(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157323
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】映像送信装置、映像出力装置、映像出力システム、映像送信方法、映像送信プログラム及び記憶媒体
(51)【国際特許分類】
H04N 21/437 20110101AFI20221006BHJP
H04N 21/442 20110101ALI20221006BHJP
【FI】
H04N21/437
H04N21/442
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021061469
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005016
【氏名又は名称】パイオニア株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001025
【氏名又は名称】弁理士法人レクスト国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】根岸 廣人
(72)【発明者】
【氏名】加峯 昂生
(72)【発明者】
【氏名】床井 晶勅
(72)【発明者】
【氏名】野田 靖之
(72)【発明者】
【氏名】伊田 裕一
【テーマコード(参考)】
5C164
【Fターム(参考)】
5C164GA03
5C164UA04S
5C164UA25S
5C164UB26P
5C164UB41P
5C164YA30
(57)【要約】
【課題】
動画の配信安定性を維持しつつ、車両から送られている映像を観る車外端末の操作者と車両の運転者との間において適切に車両の周囲の状況を共有することが可能な映像送信装置、映像出力装置及び映像配信システムを提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明の映像送信装置は、移動体の周囲の映像を示す映像データを逐次取得する映像取得部と、前記移動体の位置を取得する位置情報取得部と、前記移動体の位置に基づいた遅延モードで前記映像データをエンコーディングして映像エンコードデータを生成して前記映像エンコードデータを送信するデータ送信部と、を有することを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体の周囲の映像を示す映像データを逐次取得する映像取得部と、
前記移動体の位置を取得する位置情報取得部と、
前記移動体の位置に基づいた遅延モードで前記映像データをエンコーディングして映像エンコードデータを生成して当該映像エンコードデータを送信するデータ送信部と、
を有することを特徴とする映像送信装置。
【請求項2】
前記データ送信部は、動作モードとして第1の遅延モード及び前記第1の遅延モードよりも前記映像データが取得されてから前記データ送信部が送信するまでの時間が短い第2の遅延モードを有し、
前記データ送信部は、前記位置が前記移動体の案内経路上の案内地点に近づいたことを示す際に前記第2の遅延モード動作することを特徴とする請求項1に記載の映像送信装置。
【請求項3】
前記データ送信部が前記第2の遅延モードで動作する際の送信バッファは、前記データ送信部が前記第2の遅延モードで動作する際の送信バッファよりも少ないことを特徴とする請求項2に記載の映像送信装置。
【請求項4】
前記データ送信部が前記第2の遅延モードの際に生成する前記映像エンコードデータのフレームレートは、前記データ送信部が前記第1の遅延モードの際に出力する前記映像エンコードデータのフレームレートよりも低いことを特徴とする請求項2または3に記載の映像送信装置。
【請求項5】
前記データ送信部が前記第2の遅延モードの際に生成する前記映像エンコードデータの解像度は、前記データ送信部が前記第1の遅延モードの際に出力する前記映像エンコードデータの解像度よりも小さいことを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1つに記載の映像送信装置。
【請求項6】
移動体とともに移動する撮像装置によって撮影されてエンコードされた映像エンコードデータを逐次受信するエンコードデータ受信部と、
前記移動体の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記移動体の位置に基づいた遅延モードで前記映像エンコードデータをデコーディングして映像を出力する映像出力部と、を有することを特徴とする映像出力装置。
【請求項7】
前記映像出力部は、動作モードとして第1の遅延モード及び前記第1の遅延モードよりも前記映像エンコードデータが取得されてから前記映像を出力するまでの時間が短い第2の遅延モードを有し、
前記映像出力部は、前記位置が前記移動体の案内経路上の案内地点に近づいたことを示す際に前記第2の遅延モード動作することを特徴とする請求項6に記載の映像出力装置。
【請求項8】
前記映像出力部が前記第2の遅延モードで動作する際の再生バッファは、前記映像出力部が前記第2の遅延モードで動作する際の再生バッファよりも少ないことを特徴とする請求項7に記載の映像出力装置。
【請求項9】
移動体の周囲の映像を示す映像データを逐次取得する映像取得部と、
前記移動体の位置を取得して前記位置を示す位置データを送信する第1の位置情報取得部と、
前記移動体の位置に基づいた遅延モードで前記映像データをエンコーディングして映像エンコードデータを生成して前記映像エンコードデータを送信するデータ送信部と、
前記映像エンコードデータを送信するデータ送信部と、
前記映像エンコードデータを受信する受信部と、
前記位置データを受信して前記位置データによって示される前記移動体の位置を取得する第2の位置情報取得部と、
前記移動体の位置に基づいた遅延モードで前記映像エンコードデータをデコーディングして映像を出力する映像出力部と、を有することを特徴とする映像出力システム。
【請求項10】
移動体から映像を送信する映像送信装置が実行する映像送信方法であって、
前記移動体の周囲の映像を示す映像データを逐次取得する映像取得ステップと、
前記移動体の位置を取得する位置情報取得ステップと、
前記移動体の位置に基づいた遅延モードで前記映像データをエンコーディングして映像エンコードデータを生成して当該映像エンコードデータを送信するデータ送信ステップと、
を有することを特徴とする映像送信方法。
【請求項11】
移動体から映像を送信する映像送信装置に、
前記移動体の周囲の映像を示す映像データを逐次取得する映像取得ステップと、
前記移動体の位置を取得する位置情報取得ステップと、
前記移動体の位置に基づいた遅延モードで前記映像データをエンコーディングして映像エンコードデータを生成して当該映像エンコードデータを送信するデータ送信ステップと、
を実行させることを特徴とする映像送信プログラム。
【請求項12】
移動体から映像を送信する映像送信装置に、
前記移動体の周囲の映像を示す映像データを逐次取得する映像取得ステップと、
前記移動体の位置を取得する位置情報取得ステップと、
前記移動体の位置に基づいた遅延モードで前記映像データをエンコーディングして映像エンコードデータを生成して当該映像エンコードデータを送信するデータ送信ステップと、
を実行させる映像送信プログラムを記憶するコンピュータ可読記憶媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、映像送信装置、映像出力装置、映像出力システム、映像送信方法、映像送信プログラム及び記憶媒体に関し、例えば、移動体からの映像をユーザに提供するための映像送信装置、映像出力装置、映像配信システム、映像送信方法、映像送信プログラム及び記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
車両に搭載される車載機と当該車両の外部に位置する車外端末との間で通信を行う通信ステムがある。例えば、特許文献1には、車両の運転者と車外端末の操作者との間で音声通話を行い、当該音声通話がなされているときに、車両の前方の映像を表す映像データを車載機から車外端末に送信し、当該映像を車外端末に表示させるシステムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1のようなシステムにおいて、例えば、配信を安定させるために十分な遅延を取ったモードで映像の配信をすることが考えられる。しかし、車外端末のユーザが車両の前方の映像を見ながら道案内をする際のように、映像の遅延が少ないこと、すなわちリアルタイム性が高いことが必要である場合も存在する。
【0005】
本発明は、上記した点に鑑みてなされたものであり、動画の配信安定性を維持しつつ、車両から送られている映像を観る車外端末の操作者と車両の運転者との間において適切に車両の周囲の状況を共有することが可能な映像送信装置、映像出力装置及び映像配信システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の発明は、移動体の周囲の映像を示す映像データを逐次取得する映像取得部と、前記移動体の位置を取得する位置情報取得部と、前記移動体の位置に基づいた遅延モードで前記映像データをエンコーディングして映像エンコードデータを生成して前記映像エンコードデータを送信するデータ送信部と、を有する映像送信装置である。
【0007】
請求項6に記載の発明は、移動体ともに移動する撮像装置によって撮影されてエンコードされた映像エンコードデータを逐次受信する映像エンコードデータ受信部と、前記移動体の位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部と、前記移動体の位置に基づいた遅延モードで前記映像エンコードデータをデコーディングして映像を出力する映像出力部と、を有する映像出力装置である。
【0008】
また、請求項9に記載の発明は、移動体の周囲の映像を示す映像データを逐次取得する映像取得部と、前記移動体の位置を取得して前記位置を示す位置データを送信する第1の位置情報取得部と、前記移動体の位置に基づいた遅延モードで前記映像データをエンコーディングして映像エンコードデータを生成して前記映像エンコードデータを送信するデータ送信部と、前記映像エンコードデータを送信するデータ送信部と、前記映像エンコードデータを受信する受信部と、前記位置データを受信して前記位置データによって示される前記移動体の位置を取得する第2の位置情報取得部と、前記移動体の位置に基づいた遅延モードで前記映像エンコードデータをデコーディングして映像を出力する映像出力部と、を有することを特徴とする映像出力システムである。
【0009】
また、請求項10に記載の発明は、移動体から映像を送信する映像送信装置が実行する映像送信方法であって、前記移動体の周囲の映像を示す映像データを逐次取得する映像取得ステップと、前記移動体の位置を取得する位置情報取得ステップと、前記移動体の位置に基づいた遅延モードで前記映像データをエンコーディングして映像エンコードデータを生成して当該映像エンコードデータを送信するデータ送信ステップと、を有することを特徴とする映像送信方法である。
【0010】
また、請求項11に記載の発明は、移動体から映像を送信する映像送信装置に、前記移動体の周囲の映像を示す映像データを逐次取得する映像取得ステップと、前記移動体の位置を取得する位置情報取得ステップと、前記移動体の位置に基づいた遅延モードで前記映像データをエンコーディングして映像エンコードデータを生成して当該映像エンコードデータを送信するデータ送信ステップと、を実行させることを特徴とする映像送信プログラムである。
【0011】
また、請求項12に記載の発明は、移動体から映像を送信する映像送信装置に、前記移動体の周囲の映像を示す映像データを逐次取得する映像取得ステップと、前記移動体の位置を取得する位置情報取得ステップと、前記移動体の位置に基づいた遅延モードで前記映像データをエンコーディングして映像エンコードデータを生成して当該映像エンコードデータを送信するデータ送信ステップと、を実行させる映像送信プログラムを記憶するコンピュータ可読記憶媒体である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の実施例1である映像配信システムの図である。
【
図2】車載装置を搭載した車両の前席部分の斜視図である。
【
図3】車載装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】サーバの構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】外部装置の構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0013】
[1.システムの構成]
以下に、本発明の実施例1である映像配信システム100について添付図面を参照しつつ説明する。
【0014】
図1は、本発明の実施例1である映像配信システム100を示している。
図1に示すように、映像配信システム100は、車載装置10、中継サーバ40及び外部装置70を含んで構成されている。なお、
図1においては、車載装置10が移動体の一例としての自動車Mに搭載されている場合を示している。また、
図1においては、外部装置70の一例として、スマートフォンを示している。
【0015】
車載装置10、中継サーバ40及び外部装置70とは、ネットワークNWを介して、例えば、TCP/IP、UDP/IP等の通信プロトコルを用いて相互にデータの送受信が可能になっている。なお、ネットワークNWは、例えば、移動体通信網、Wi-Fi(登録商標)等の無線通信及び有線通信を含むインターネット通信により構築されて得る。
【0016】
本実施例の映像配信システム100においては、車載装置10と外部装置70との間で音声通話が確立された上で、車載装置10から自動車Mにおいて撮影された映像が外部装置70に配信される。このように、車載装置10と外部装置70との間での音声通話を確立させつつ、自動車Mにおいて撮影された映像を車載装置10から外部装置70に配信する通信態様をビデオ通信と称する。
【0017】
このようなビデオ通信が行われることで、車載装置10から送信される映像を視聴している外部装置70のユーザは、あたかも自動車Mの運転者と自動車Mに同乗しているような感覚を得ることができる。言い換えれば、ビデオ通信によって、外部装置70のユーザの自動車Mへの仮想同乗を実現することができる。また、このようなビデオ通信を実現可能な本実施例の映像配信システム100のようなシステムを仮想同乗システムとも称する。
【0018】
以下、実施例1においては、車載装置10がカーナビゲーション装置である場合を例に説明する。また、実施例1においては、車載装置10が、ユーザが案内を希望する目的地をユーザから受け付け、当該目的地をサーバ40に送信し、サーバ40が目的地への経路を生成する、いわゆるクラウド型のカーナビゲーション装置の端末装置である場合を例に説明する。
【0019】
図2は、映像送信装置としての車載装置10を搭載している自動車Mの前席付近を示す斜視図である。
図1では、取り付け例として、自動車Mの前席のダッシュボードDB内に車載装置10が取り付けられている場合を示す。
【0020】
GPS受信機11は、GPS(Global Positioning System)衛星からの信号(GPS信号)を受信する装置である。GPS受信機11は、例えば、ダッシュボードDB上に配されている。なお、GPS受信機11は、GPS信号が受信できればどこに配されていてもよい。GPS受信機11は、受信したGPS信号を車載装置10に送信することが可能である。
【0021】
撮影部としての車外カメラ12は、自動車Mの前方を撮影する撮像装置である。本実施例において、車外カメラ12は、前方が撮影方向となる様にダッシュボードDBに配されている。例えば、車外カメラ12は、広角カメラであり、フロントガラスを介して自動車Mの前方の広い領域を撮影可能である。
【0022】
車内カメラ13は、自動車Mの内部の状況を撮影する撮像装置である。本実施例において、車内カメラ13は、フロントガラスFGの上端または当該上端付近の天井部に設けられており、自動車Mの運転者を撮影可能である。
【0023】
ビデオ通信時には、車外カメラ12または車内カメラ13によって撮像された映像が、外部装置70に配信される。以下、主に車外カメラ12の映像が外部装置70に配信される場合を説明する。
【0024】
タッチパネル14は、例えば、映像を表示可能な液晶ディスプレイ等のディスプレイとタッチパッドとが組み合わされたタッチパネルモニターである。タッチパネル14は、例えば、ダッシュボードDBのセンターコンソールCCに配されている。タッチパネル14は、運転者から視認できかつ運転者の手が届く場所に配されていればよい。例えば、タッチパネル14は、ダッシュボードDB上に取り付けられていてもよい。
【0025】
タッチパネル14は、車載装置10の制御に基づいて画面表示を行うことが可能である。また、タッチパネル14は、ユーザからの受け付けたタッチパネル14への入力操作を表す信号を車載装置10に送信することが可能である。例えば、タッチパネル14には、カーナビゲーションの案内表示がなされても良い。また、タッチパネル14を介して、目的地を設定する等、カーナビゲーション機能に関する操作が可能であってもよい。
【0026】
また、タッチパネル14には、ビデオ通信に関する情報が表示されたり、ビデオ通信の接続をするための操作の受付画面が表示されてもよい。自動車Mの乗員はタッチパネル14への入力操作によって、ビデオ通信の接続操作を行ってもよい。
【0027】
スピーカー15は、例えば、AピラーAPの室内側に設けられている。スピーカー15は、車載装置10の制御に基づいて音楽や音声等の音を発することが可能である。ビデオ通信時において、スピーカー15からは、音声通話における外部装置70からの音声が発せられる。
【0028】
マイク17は、車内の音を受音するマイク装置であり、例えば、ダッシュボードDB上に配されている。マイク17は、車内の音を受音可能であれば、ルームミラーRMまたはハンドル等、どこに設けられていてもよい。ビデオ通信時において、マイク17に収音された音声が音声通話の音声として外部装置70に送信される。
【0029】
図3は、車載装置10の構成を示すブロック図である。例えば、車載装置10は、システムバス21を介して、大容量記憶装置23と、制御部25と、入力部27と、出力部29と、エンコーダ部30と、データ通信部31と、が協働する装置である。
【0030】
大容量記憶装置23は、例えば、ハードディスク装置、SSD(solid state drive)、フラッシュメモリ等により構成されており、オペレーティングシステムや、端末用のソフトウェア等の各種プログラムを記憶する。また、大容量記憶装置23は、道路地図を含む地図情報を保持している。
【0031】
各種プログラムは、例えば、他のサーバ装置等からネットワークを介して取得されるようにしてもよいし、記録媒体に記録されて各種ドライブ装置を介して読み込まれるようにしてもよい。すなわち、大容量記憶装置23に記憶される各種プログラム(後述する車載装置10における処理を実行するためのプログラムを含む)は、ネットワークを介して伝送可能であるし、また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して譲渡することが可能である。
【0032】
制御部25は、CPU(Central Processing Unit)25A、ROM(Read Only Memory)25B、RAM(Random Access Memory)25C等により構成され、コンピュータとして機能する。そして、CPU25Aが、ROM25Bや大容量記憶装置23に記憶された各種プログラムを読み出し実行することにより各種機能を実現する。本実施例においては、制御部25によって、ビデオ通信接続時の動画配信機能、カーナビゲーション機能等が発揮される。
【0033】
入力部27は、車載装置10と、車外カメラ12及び車内カメラ13、タッチパネル14並びにマイク17とを通信可能に接続するインタフェース部である。車載装置10は、入力部27を介して車外カメラ12及び車内カメラ13が撮影した映像を逐次取得することが可能である。言い換えれば、制御部25は、入力部27を介して、車外カメラ12によって撮影された自動車の周囲の映像を示す映像データを逐次取得する映像取得部として機能する。
【0034】
車載装置10は、入力部27を介して、タッチパネル14への入力操作を示す信号を受信することが可能である。例えば、車載装置10は、入力部27を介して、タッチパネル14及びマイク17によってユーザからなされたビデオ通信の接続要求や、カーナビゲーションの目的地の設定入力を受け付けることが可能である。
【0035】
また、入力部27は、車載装置10とGPS受信機11とを通信可能に接続するインタフェース部である。車載装置10は、入力部27を介して、GPS受信機11から、GPS信号を受信し、当該GPS信号から車載装置10の現在位置、すなわち本実施例では自動車Mの現在位置の情報を取得することが可能である。言い換えれば、制御部25は、GPS受信機11から自動車Mの位置情報を取得する位置情報取得部として機能する。
【0036】
出力部29は、タッチパネル14及びスピーカー15と通信可能に接続されており、タッチパネル14に映像または画像信号を送信して表示をさせたり、スピーカー15に音声信号を送信して、音を出力させたりすることが可能である。
【0037】
エンコーダ部30は、制御部25からの命令に基づいて、カメラ12またはカメラ13によって撮像された映像(撮像映像とも称する)をエンコーディング(以下、エンコード処理とも称する)する部分である。エンコーダ部は、映像エンコード用のCPU、いわゆるGPUを有しており、当該GPUによってエンコーディングがなされてもよい。
【0038】
エンコーダ部30は、例えば、MPEG-4規格のエンコード方式で撮像映像をエンコーディングして映像エンコードデータとしてのエンコードデータを生成する。例えば、エンコーダ部30は、H.264、Xvid、DivX、VP8、VP9等のコーデックを用いて、撮像映像からエンコードデータを生成する。
【0039】
データ通信部31は、上記したネットワークNWに接続されており、種々のデータをサーバ40との間で送受信する。また、データ通信部31は、種々のデータをサーバ40を介して外部装置70との間で送受信する。
【0040】
例えば、車載装置10の制御部25は、データ通信部31を介して、サーバ40に車載装置10の現在位置を特定可能な位置データとしての位置特定情報、すなわち本実施例では自動車Mの現在位置の情報を送信可能である。また、例えば、制御部25は、データ通信部31を介して、サーバ40にユーザから入力された目的地を含む情報を送信し、サーバ40から、当該目的地への経路情報またはナビゲーション情報を受信可能である。
【0041】
制御部25は、データ通信部31を介して、ビデオ通信における音声通話のために、マイク17によって収音された音声の音声データを外部装置70に送信可能である。また、制御部25は、データ通信部31を介して、ビデオ通信における音声通話のために、外部装置70に入力された音声の音声データを受信可能である。
【0042】
また、制御部25は、データ通信部31を介して、エンコーダ部30によってエンコーディングされたエンコードデータを外部装置70に送信する。制御部25は、データ通信部31を介して、エンコードデータをバッファしつつ外部装置70に送信する。
【0043】
制御部25と、エンコーダ部30とデータ通信部31とは、ビデオ通信時のエンコードデータの送信処理において協働してデータ送信部としてのエンコード送信部32として機能する。
【0044】
エンコード送信部32は、異なる複数の処理モードで撮影映像のエンコーディング及び当該エンコーディングされたエンコードデータの送信を行う。エンコード送信部32は、カメラ12及びカメラ13からの映像をエンコーダ部30がエンコーディングし、当該エンコーディングされたデータをデータ通信部31が送信するまでの処理(以下、エンコード送信処理とも称する)について複数の動作モードを有する。具体的には、例えば、エンコード送信部32は、エンコード送信処理の動作モードとして、第1の遅延モードとしての通常モード及び第2の遅延モードとしての低遅延モードを有する。
【0045】
本実施例において、低遅延モードは、通常モードより、カメラからの映像が取得されてから、当該映像のエンコード済みデータをデータ通信部31を介して送信するまでの時間が短い動作モードである。言い換えれば、低遅延モードは、通常モードよりも、外部装置70への映像の配信遅延が少なくなるような動作するモードである。この低遅延モードは、YouTube(登録商標)、ニコニコ生放送(登録商標)等の動画配信サービスにおける低遅延モードと同様のものであってもよい。
【0046】
例えば、データ通信部31は、低遅延モードで動作する際に、通常モードで動作する際よりも送信バッファを減らして動作することにより、車外カメラ12からの映像を取得してからエンコードデータを送るまでの時間(以下、単に送信遅延とも称する)を少なくする。また、例えば、エンコーダ部30は、低遅延モードで動作する際に、通常モードで動作する際よりもフレームレート、解像度が低くなるようにエンコード処理を行うことで、エンコード処理にかかる時間を短くし、送信遅延を少なくする。
【0047】
また、例えば、車載装置10は、エンコーダ部30を低遅延モードで動作させる際に、通常モードよりもエンコード処理に対する処理リソースを多く割くことで、エンコード処理を高速に進めてもよい。例えば、車載装置10は、エンコーダ部30を低遅延モードで動作させる際に、CPU25Aのリソースを通常モードよりも多くエンコード処理に割いてもよい。
【0048】
また、例えば、車載装置10は、エンコーダ部30を低遅延モードで動作させる際に、通常モードで用いてるコーデックよりもエンコード処理時間が短くなるコーデックを用いてもよい。
【0049】
車載装置10は、上記した位置特定情報によって示される自動車Mの位置に応じて、エンコード送信部32の動作モードを通常モードと低遅延モードとの間で変更する。
【0050】
例えば、車載装置10は、自動車Mの乗員(以下、単に乗員と称する)と外部装置70のユーザ(以下、単に外部ユーザと称する)とが自動車Mの前方の景色または状態について、映像のタイムラグが少ない状態で話をしなければならない場合、すなわち映像のリアルタイム性が求められる際に、エンコード送信部32を低遅延モードで動作させる。上記タイムラグが少ない状態で話をしなければならない場合は、例えば、外部ユーザが外部装置70に表示される車外カメラ12の映像を見ながら乗員に道案内をする場合が挙げられる。
【0051】
外部ユーザが乗員に道案内をする場合、特に道路の交差点や分岐等の案内が必要または重要な地点、または案内経路が生成されている際においてナビゲーション装置が音声等で案内を行う対象の交差点等の地点(以下、単に案内地点とも称する)において、映像のタイムラグが問題になる。具体的には、映像のタイムラグがあることで、外部ユーザが案内をする前に案内地点を通過してしまう等、適切な案内ができないという問題がある。
【0052】
そこで、本実施例においては、車載装置10は、自動車Mが道路の案内地点に近づいた時点から当該案内地点を通過する迄の間において、エンコード送信部32を低遅延モードで動作させることで、映像の遅延を減少させる。
【0053】
なお、一般的に、上記したような低遅延モードの動作による動画配信は、上記した通常モードでの動作による動画配信よりも配信の安定性が悪くなる。これは、例えば、送信バッファを小さくすることにより、少しのエンコーディング処理遅延が送信データ途絶に繋がるからである。
【0054】
上記車載装置10においては、映像のリアルタイム性が求められる際にのみ低遅延モードでエンコード送信部32が動作する。それにより、通常時は安定した映像配信を実現しつつ必要時にはリアルタイム性の高い映像配信を可能とすることで、例えば、映像配信の安定性を維持しつつ道案内時等の外部ユーザと乗員との円滑なコミュニケーションを実現可能である。
【0055】
図3は、サーバ40の構成を示すブロック図である。例えば、サーバ40はシステムバス41を介して、大容量記憶装置43と、制御部45と、データ通信部47と、が協働している装置である。サーバ40は、ビデオ通信中において、車載装置10と外部装置70との間の音声通話を確立し、当該音声通話のデータを転送するSIPサーバのような機能を有している。
【0056】
また、サーバ40は、車載装置10から自動車Mの位置特定情報及び自動車Mの乗員であるユーザが設定した目的地の情報を受信し、当該位置特定情報及び目的地の情報に基づいて当該目的地への経路を生成する機能を有する。
【0057】
また、サーバ40は、車載装置10から送られてきたエンコードデータを外部装置70に転送する機能を有している。
【0058】
大容量記憶装置43は、例えば、ハードディスク装置及びSSD(solid state drive)等により構成されており、オペレーティングシステムや、サーバ40用のソフトウェア等の各種プログラムを記憶する。
【0059】
また、大容量記憶装置43内には、道路地図を含む地図情報が保存されている地図情報データベース(図中、地図情報DBと示す)43Aが含まれている。地図情報データベース55Aの地図情報は、例えばナビゲーション装置に用いられている地図情報と同等の情報を有しているデータベースである。
【0060】
制御部45は、CPU(Central Processing Unit)45A、ROM(Read Only Memory)45B、RAM(Random Access Memory)45C等により構成され、コンピュータとして機能する。そして、CPU45Aが、ROM45Bや大容量記憶装置43に記憶された各種プログラムを読み出し実行することにより各種機能を実現する。
【0061】
データ通信部47は、上記したネットワークNWに接続されており、種々のデータを車載装置10及び外部装置70との間で送受信する。
【0062】
制御部45は、データ通信部47を介して、車載装置10から自動車Mの現在位置を示す位置特定情報を取得する。また、制御部45は、データ通信部47を介して、車載装置10から自動車Mの乗員が車載装置10に入力した目的地の情報を取得する。制御部45は、当該位置特定情報及び目的地の情報に基づいて、当該目的地までの経路を生成し、当該経路を示す情報を車載装置10に送信する。
【0063】
また、制御部45は、データ通信部47を介して、車載装置10から受信したエンコードデータ及び音声を外部装置70に転送する。制御部45は、データ通信部47を介して、外部装置70から受信した音声を車載装置10に転送する。
【0064】
図4は、外部装置70の外観を示す正面図である。上述のように、実施例1において、外部装置70はスマートフォンである。
【0065】
タッチパネル71は、例えば、映像を表示可能な液晶ディスプレイ等のディスプレイとタッチパッドとが組み合わされたタッチパネルモニターである。タッチパネル71は、ユーザからの受け付けたタッチパネル71への入力操作を表す信号を生成することが可能である。本実施例において、タッチパネル71には、車載装置10から配信された映像が表示される。
【0066】
また、タッチパネル71には、ビデオ通信に関する情報が表示されたり、ビデオ通信の接続をするための操作の受付画面が表示されてもよい。外部装置70のユーザは、タッチパネル71への入力操作によって、ビデオ通信の接続操作を行ってもよい。
【0067】
スピーカー73は、音楽や音声等の音を発することが可能である。ビデオ通信時において、スピーカー73からは、音声通話における車載装置10からの音声が発せられる。
【0068】
マイク75は、外部装置70に向けて発せられた音を受音するマイク装置である。ビデオ通信時において、マイク75に収音された音声が音声通話の音声として外部装置70に送信される。
【0069】
図6は、外部装置70の構成を示すブロック図である。例えば、外部装置70は、システムバス81を介して、大容量記憶装置83と、制御部84と、入力部85と、出力部86と、データ通信部87、デコーダ部88と、が協働する装置である。
【0070】
大容量記憶装置83は、例えば、ハードディスク装置、SSD(solid state drive)、フラッシュメモリ等により構成されており、オペレーティングシステムや、端末用のソフトウェア等の各種プログラムを記憶する。
【0071】
なお、各種プログラムは、例えば、他のサーバ装置等からネットワークを介して取得されるようにしてもよいし、記録媒体に記録されて各種ドライブ装置を介して読み込まれるようにしてもよい。すなわち、大容量記憶装置83に記憶される各種プログラム(後述する外部装置70における処理を実行するためのプログラムを含む)は、ネットワークを介して伝送可能であるし、また、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して譲渡することが可能である。
【0072】
制御部84は、CPU(Central Processing Unit)84A、ROM(Read Only Memory)84B、RAM(Random Access Memory)84C等により構成され、コンピュータとして機能する。そして、CPU84Aが、ROM84Bや大容量記憶装置83に記憶された各種プログラムを読み出し実行することにより各種機能を実現する。
【0073】
入力部85は、タッチパネル71及びマイク75に対する入力インタフェース部である。制御部84は、入力部85を介して、タッチパネル71への入力操作を示す信号およびマイク75からの音声入力信号を受信することが可能である。例えば、制御部84は、入力部85を介して、タッチパネル71及びマイク75によってユーザからなされたビデオ通信接続の接続要求を受け付けることが可能である。
【0074】
出力部86は、タッチパネル71及びスピーカー73への出力インタフェース部である。制御部は84、出力部86を介してタッチパネル14に映像または画像信号を送信して表示をさせたり、スピーカー15に音声信号を送信して、音を出力させたりすることが可能である。
【0075】
データ通信部87は、上記したネットワークNWに接続されており、種々のデータをサーバ40との間で送受信する。また、データ通信部87は、車載装置10から送信された映像のエンコードデータを始めとして、種々のデータをサーバ40を介して車載装置10との間で送受信する。すなわち、制御部84は、データ通信部87を介してエンコードデータを受信するエンコードデータ受信部として機能する。
【0076】
例えば、外部装置70の制御部84は、データ通信部31を介して、サーバ40から車載装置10から送信された自動車Mの現在位置を特定可能な位置特定情報位置の情報を受信可能である。また、例えば、制御部84は、データ通信部87を介して、サーバ40から、自動車Mの経路情報またはナビゲーション情報を受信可能である。
【0077】
また、制御部84は、データ通信部87を介して、ビデオ通信における音声通話のために、マイク75によって収音された音声の音声データを車載装置10に送信可能である。また、制御部84は、データ通信部87を介して、ビデオ通信における音声通話のために、車載装置10から送信された音声データを受信可能である。
【0078】
映像出力部としてのデコーダ部88は、制御部84からの命令に基づいて、車載装置10から受信したエンコードデータをデコーディングして再生し出力する部分である。デコーダ部88は、エンコードデータのエンコード時のコーデック、例えば、MPEG-4規格のエンコード方式でエンコードデータをデコーディングして映像を再生して出力する。当該再生された映像は制御部84によってタッチパネル71に表示させられる。
【0079】
デコーダ部88は、異なる複数の動作モードでエンコードデータのデコード処理を行う。具体的には、例えば、デコーダ部88は、デコード処理の動作モードとして、第1の遅延モードとしての通常モード及び第2の遅延モードとしての低遅延モードを有する。
【0080】
本実施例において、低遅延モードは、通常モードより、エンコードデータを受信してから、エンコードデータを映像に再生してタッチパネル71に表示するまでの時間が短い動作モードである。言い換えれば、低遅延モードは、通常モードよりも、外部装置70での映像の再生の遅延が少なくなるような動作するモードである。この低遅延モードは、YouTube(登録商標)、ニコニコ生放送(登録商標)等の動画配信サービスにおける低遅延モードと同様のものであってもよい。
【0081】
例えば、デコーダ部88は、低遅延モードで動作する際に、通常モードで動作する際よりも再生バッファを減らして動作することにより、エンコードデータを受信または取得してから映像を再生するまでの時間(以下、単に再生遅延とも称する)を少なくする。
【0082】
また、例えば、外部装置70は、デコーダ部88を低遅延モードで動作させる際に、通常モードよりもデコード処理に対する処理リソースを多く割くことで、デコード処理を高速に進めてもよい。例えば、外部装置70は、デコーダ部88を低遅延モードで動作させる際に、CPU84Aのリソースを通常モードよりも多くデコード処理に割いてもよい。
【0083】
外部装置70は、上記した位置特定情報によって示される自動車Mの位置に応じて、エンコード送信部32の動作モードを通常モードと低遅延モードとの間で変更する。
【0084】
例えば、上述した車載装置10のエンコード処理の動作モードと同様に、外部装置70は、自動車Mの乗員と外部ユーザとが自動車Mの前方の景色または状態について、映像のタイムラグが少ない状態で話をしなければならない場合に、エンコード送信部32を低遅延モードで動作させる。
【0085】
車載装置10の説明において述べたとおり、上記タイムラグが少ない状態で話をしなければならない場合は、例えば、外部ユーザが外部装置70に表示される車外カメラ12の映像を見ながら乗員に道案内をする場合が挙げられる。
【0086】
車載装置10の説明において述べたとおり、外部ユーザが乗員に道案内をする場合、案内地点において映像のタイムラグが問題になる。そこで、本実施例において、外部装置70は、自動車Mが道路の案内地点に近づいた時点から当該案内地点を通過する迄の間において、デコーダ部88を低遅延モードで動作させることで、映像の遅延を減少させる。
【0087】
なお、一般的に、上記したような低遅延モードの動作による動画再生は、上記した通常モードでの動作による動画再生よりも再生の安定性が悪くなる。これは、例えば、再生バッファを小さくすることにより、少しのデコーディング処理遅延が再生の停止に繋がるからである。
【0088】
上記外部装置70においては、映像のリアルタイム性が求められる際にのみ低遅延モードでデコーダ部88が動作する。それにより、通常時は安定した映像再生を実現しつつ必要時にはリアルタイム性の高い映像再生を行うことで、例えば、映像配信の安定性を維持しつつ道案内時等の外部ユーザと乗員との円滑なコミュニケーションを実現可能である。
【0089】
[2.動画配信システムの動作]
以下、車載装置10、サーバ40及び外部装置70を含む映像配信システム100の動作について説明する。
【0090】
実施例1のシステム100の動作を実現するための車載装置10及び外部装置70の制御ルーチンについて説明する。以下、ビデオ通信で動画配信が開始されると、エンコード送信部32は通常モードで動作をし、動画のエンコード処理及び送信処理が開始するものとして説明する。
【0091】
図7は、車載装置10の制御部25において実行される動画配信ルーチンRT1を示すフローチャートである。制御部25は、例えば、車載装置10に電源が投入されると動画配信ルーチンRT1を開始し、これを繰り返し実行する。
【0092】
まず、制御部25は、車載装置10が外部装置70とのビデオ通信を開始しているか否かを判定する(ステップS101)。この判定は、例えば、車載装置10において、ビデオ通信の発信がなされ、外部装置70との間で通信が確立されているか否かに基づいてなされる。制御部25は、ビデオ通信が開始されていないと判定すると(ステップS101:NO)、ルーチンRT1を終了する。
【0093】
制御部25は、車載装置10がビデオ通信を開始していると判定する(ステップS101:YES)と、GPS受信機11からの信号に基づいて自動車Mの位置を示す位置情報を取得し、車外カメラ12または車内カメラ13から映像を取得し、当該取得した映像をエンコードして位置情報と共にサーバ40を介して外部装置70に配信する動画配信動作を開始する(ステップS102)。
【0094】
言い換えれば、制御部25は、ステップS102において、カメラ12またはカメラ13から映像を取得する映像取得部として機能する。また、ステップS102において、制御部25は、自動車Mの位置を示す位置情報を取得する位置情報取得部として機能する。また、ステップS102において、制御部25は、映像データをエンコーディングして当該エンコーディングされたエンコードデータを送信するデータ送信部として機能する。
【0095】
ステップS102は、本発明の映像送信方法、プログラム及び記憶媒体における位置情報取得ステップ、映像取得ステップ及びデータ送信ステップに対応する。なお、ステップS102において、位置情報は必ずしも外部装置70に送信されなくともよい。
【0096】
ステップS102が実行され、動画配信動作が開始されると制御部25は、車載装置10と外部装置70とのビデオ通信が終了したか否かを判定する(ステップS103)。制御部25は、ビデオ通信が終了していない、すなわちビデオ通信が継続していると判定すると(ステップS103:NO)、繰り返しステップS103を実行する。すなわち、ビデオ通信が終了しない限り動作配信動作は継続する。
【0097】
制御部25は、ステップS103において、外部装置70とのビデオ通信が終了したと判定すると、動画配信動作を終了して(ステップS104)、ルーチンR1が終了する。言い換えれば、制御部25は、外部装置70とのビデオ通信が終了したと判定すると、位置情報の取得、映像の取得並びに当該映像のエンコード処理及び送信を終了する。
【0098】
図8は、車載装置10の制御部25において実行されるエンコード送信処理制御ルーチンRT2を示すフローチャートである。制御部25は、例えば、車載装置10に電源が投入されるとエンコード送信処理制御ルーチンRT2を開始し、これを繰り返し実行する。なお、本実施例においては、動画配信動作が開始されると最初は通常モードでエンコード処理がなされるとして説明する。
【0099】
まず、制御部25は、車載装置10が外部装置70とビデオ通信の動画配信動作を行っているか否かを判定する(ステップS201)。制御部25は、ビデオ通信の動画配信動作を行っていないと判定すると(ステップS201:NO)、ルーチンRT2を終了する。
【0100】
制御部25は、車載装置10がビデオ通信の動画配信動作を行っていると判定すると(ステップS201:YES)、自動車Mが案内地点に近づいたかまたは案内地点の手前に到達したか否かを判定する(ステップS202)。
【0101】
この判定は、例えば、地図情報及び自動車Mの現在位置に基づいて、地図上の案内地点の手前の所定距離の地点に自動車Mが到達したか否かを判定することでなされてもよい。また、この判定は、例えば、地図情報並びに自動車Mの現在位置及び現在の速度に基づいて、地図上の案内地点までの到達時間が所定の時間となる地点に自動車Mが到達したか否かを判定することでなされてもよい。
【0102】
また、この判定は、車載装置10に対する自動車Mの運転者による操作に基づいてなされてもよい。例えば、自動車Mが案内地点に差し掛かる前に運転者が車載装置10に対して、例えばタッチパネル14またはマイク17を介した操作を行い、当該操作があった際に所定の案内地点または運転者が案内を希望する案内地点の手前に到達したという判定がなされてもよい。同様に、この判定は、外部装置70に対する外部装置70のユーザによる操作に基づいてなされてもよい。
【0103】
また、上記運転者または外部装置70のユーザによる操作に基づいて判定がなされる場合、例えば、その操作がなされた際の自動車Mの位置のログデータが車載装置10またはサーバ40に保存されてもよい。当該ログデータを用いて、例えば、ログデータが示す地点に基づいて、自動車Mが案内地点の手前に到達したかを判定してもよい。
【0104】
また、当該ログデータに基づいて、AIを用いて自動車Mが案内地点の手前に到達したか否かを判定してもよい。例えば、ログデータに基づいた学習モデルを構築し、当該学習モデルを用いて自動車Mが案内地点の手前に到達したか否かを判定してもよい。
【0105】
なお、上記ログデータは、上記操作のなされた時点にカメラ12によって撮像された画像または映像であってもよい。このようなログデータまたは当該ログデータに基づいた学習モデルによれば、カメラ12の映像から自動的に案内地点の手前に到達したか否かを判定可能である。
【0106】
制御部25は、自動車Mが案内地点に近づいたまたは案内地点の手前に到達したと判定すると(ステップS202:YES)、エンコード送信部32の動作を低遅延モードに切り替える(ステップS203)。なお、この低遅延モードへの切り替えの際、制御部25は、エンコード送信部32の動作を低遅延モードへ切り替えたこと通知する低遅延モード切替信号を、外部装置70に送信してもよい。
【0107】
制御部25は、自動車Mが案内地点に近づいていないまたは案内地点の手前に到達していないと判定すると(ステップS202:NO)、ルーチンRT2を終了する。
【0108】
制御部25は、ステップS203の実行後、自動車Mが案内地点を通過したか否かを判定する(ステップS204)。この判定は、例えば、地図情報及び自動車Mの現在位置に基づいて、地図上の案内地点を自動車Mが通過したか否かを判定することでなされてもよい。
【0109】
制御部25は、自動車Mが案内地点を通過していないと判定すると(ステップS204:NO)、ステップS204を繰り返し実行する。すなわち、自動車Mが案内地点を通過するまで、エンコード送信部32は低遅延モードで動作する。
【0110】
制御部25は、自動車Mが案内地点を通過したと判定すると(ステップS204:YES)、エンコード送信部32の動作を通常モードに切り替えて(ステップS205)、その後ルーチンRT2を終了する。なお、この通常モードへの切り替えの際、制御部25は、エンコード送信部32の動作を通常モードへ切り替えたこと通知する通常モード切替信号を、外部装置70に送信してもよい。
【0111】
図9は、外部装置70の制御部84において実行されるデコード処理制御ルーチンRT3を示すフローチャートである。制御部84は、例えば、外部装置70に電源が投入されるとデコード処理制御ルーチンRT3を開始し、これを繰り返し実行する。なお、本実施例においては、動画再生動作が開始されると最初は通常モードでデコード処理がなされるとして説明する。
【0112】
まず、制御部84は、外部装置70が車載装置10とビデオ通信中でありかつ車載装置10から配信されている動画の再生を行っているか否かを判定する(ステップS301)。制御部84は、ビデオ通信中でありかつ動画の再生を行っている状態ではないと判定すると(ステップS301:NO)、ルーチンRT3を終了する。
【0113】
制御部84は、外部装置70がビデオ通信中でありかつ車載装置10から配信されている動画の再生を行っていると判定すると(ステップS301:YES)、自動車Mが案内地点に近づいたかまたは案内地点の手前に到達したか否かを判定する(ステップS302)。
【0114】
この判定は、例えば、自ら保持しているかまたはサーバ40等の外部装置から取得した地図情報及び自動車Mの現在位置に基づいて、地図上の案内地点の手前の所定距離の地点に自動車Mが到達したか否かを判定することでなされてもよい。また、この判定は、例えば、地図情報並びに自動車Mの現在位置及び現在の速度に基づいて、地図上の案内地点までの到達時間が所定の時間となる地点に自動車Mが到達したか否かを判定することでなされてもよい。
【0115】
なお、この判定は、上記した車載装置10からの低遅延モード切替信号に基づいてなされてもよい。例えば、この判定において、制御部84は、低遅延モード切替信号が受信されたことをして自動車Mが案内地点に近づいたかまたは案内地点の手前に到達したと判定してもよい。
【0116】
制御部84は、自動車Mが案内地点に近づいたまたは案内地点の手前に到達したと判定すると(ステップS302:YES)、デコーダ部88の動作を低遅延モードに切り替える(ステップS303)。
【0117】
制御部84は、自動車Mが案内地点に近づいていないまたは案内地点の手前に到達していないと判定すると(ステップS302:NO)、ルーチンRT3を終了する。
【0118】
制御部84は、ステップS303の実行後、自動車Mが案内地点を通過したか否かを判定する(ステップS304)。この判定は、例えば、地図情報及び自動車Mの現在位置に基づいて、地図上の案内地点を自動車Mが通過したか否かを判定することでなされてもよい。
【0119】
なお、この判定は、上記した車載装置10からの通常モード切替信号に基づいてなされてもよい。例えば、この判定において、制御部84は、通常モード切替信号が受信されたことをして自動車Mが案内地点を通過したと判定してもよい。
【0120】
制御部84は、自動車Mが案内地点を通過していないと判定すると(ステップS304:NO)、ステップS304を繰り返し実行する。すなわち、自動車Mが案内地点を通過するまで、デコーダ部88は低遅延モードで動作する。
【0121】
制御部84は、自動車Mが案内地点を通過したと判定すると(ステップS304:YES)、デコーダ部88の動作を通常モードに切り替えて(ステップS305)、その後ルーチンRT3を終了する。
【0122】
上記実施例において、車載装置10は、車載ナビゲーション装置であるとしたが、車載装置10は、スマートフォン、タブレット等様々な端末であり得る。
【0123】
上述した実施例における車載装置10、サーバ40及び外部装置70の構成、ルーチン等は、例示に過ぎず、用途等に応じて、適宜選択または変更することができる。例えば、ルーチンRT2及びRT3のステップS202、S302における案内地点に近づいたかの判定、及びステップS204、S304における車載装置10、サーバ40及び外部装置70のいずれで行われてもよい。
【0124】
例えば、これらのステップがサーバ40で行われる場合は、各ステップの判定結果が車載装置10及び外部装置70に通知され、それに応じて、車載装置10及び外部装置70における通常モード及び低遅延モードの切り替えが行われてもよい。
【0125】
また、例えば、これらのステップが外部装置70で行われる場合は、各ステップの判定結果が車載装置10に通知され、それに応じて、車載装置10における通常モード及び低遅延モードの切り替えが行われてもよい。
【0126】
また、上記実施例においては、車載装置10と外部装置70とがサーバ40を介してビデオ通信を行うこととしたが、ビデオ通信は車載装置10と外部装置70との間で直接なされてもよい。
【0127】
また、上記実施例においては、自動車Mの位置情報及び地図情報に基づいて案内地点が近づいたか否かを判定し、その判定結果でエンコード送信部32またはデコーダ部88の動作モードを低遅延モードに切り替えることとした。しかし、地図情報に基づいて案内地点が近づいたか否かを判定は、車外カメラ12の映像を画像認識することによってなされてもよい。
【0128】
また、上記実施例においては、案内地点に近づいた際にエンコード送信部32またはデコーダ部88の動作モードを低遅延モードに切り替えることとしたが、案内地点に近づいた際以外でも、映像のリアルタイム性が必要であれば低遅延モードへの切り替えがなされても良い。例えば、景観の良い地点に差し掛かった際に、乗員と外部ユーザとが当該景観についてリアルタイム性の高い映像を共有しつつ話す必要があるとして、低遅延モードへの切り替えがなされてもよい。また、ビデオ通信のモードが映像を共有するモードから、映像を確認している側が案内を行う案内モードに切り替えが行われた場合に、案内モードにおいては位置情報によらず常に低遅延モードでの共有を行っても良い。
【0129】
上記実施例においては、車載装置10が自動車Mに搭載される例を説明したが、車載装置10は、自転車、バイク等他の移動体に搭載されていていてもよい。また、車載装置を人が保持しており、例えば歩きながらビデオ通信を行って映像を配信することしてもよい。
【0130】
上記実施例においては、車載装置10において、車載装置10と外部装置70との通信が確立されてから動画配信動作が開始される場合を例に説明した。しかし、上記したYouTube(登録商標)やニコニコ生放送(登録商標)の動画配信のような態様で動画配信がなされてもよい。すなわち、外部装置70等の視聴者側の端末との通信の確立が無くとも、動画配信動作が開始されてもよい。具体的には、車載装置10と外部装置70等の視聴者側の端末との通信の確立が無くとも、車載装置10によるサーバ40への動画データのアップロードが開始されても良い。
【0131】
例えば、車載装置10による動画配信動作は、車載装置10とサーバ40との通信が確立された後に、外部装置70との通信接続の確立無しに開始されてもよい。この場合、不特定のまたは許可を受けた特定の外部装置70がサーバ40に接続することで、車載装置10から配信された動画を受信し、外部装置70のユーザが当該動画を視聴することが可能となる。
【0132】
本実施例において、車載装置10と外部装置70とがサーバ40を介してビデオ通信を行うことについて説明したが、当該ビデオ通信は、サーバ40を介さずに、車載装置10と外部装置70との間でP2P(Peer to Peer)通信などによって直接なされてもよい。
【0133】
本実施例において、車載装置10がタッチパネル14に接続されている場合について説明したが、これに限られない。例えば、車載装置10は、自動車Mの運転者が携帯するスマートフォンと通信を行って、タッチパネル14に代えて当該スマートフォンのディスプレイにビデオ通信に関する画面等を表示させてもよい。
【0134】
また、車載装置10は、自動車Mの運転者に提示する画面を表示しない構成であってもよい。例えば、車載装置10は、ドライブレコーダのような構成を有していてもよく、例えば、車外撮影カメラ12と一体となった装置であってもよい。具体的には、車載装置10は、例えば、車外撮影カメラ12の筐体内に上記した車載装置10のビデオ通信機能を果たすハードウェアを内蔵したような装置であってもよい。この場合、車載装置10は、上記において説明したような種々の表示出力を行わないこととしてもよい。
【0135】
さらに、本発明の映像送信装置は、本実施例における車載装置10と同様の構成を有する端末装置と車外撮影カメラ12とタッチパネル14とが一体化された構成であってもよい。具体的には、例えば、本発明の映像送信装置は、上記車載装置10と同様の機能を発揮するアプリを搭載したカメラ付きのスマートフォン、タブレットまたはPC等であってもよい。
【0136】
本実施例において、自動車Mの外部の映像が車載装置10から外部装置70に送信される場合について説明したが、車載装置10から外部装置70に送信される映像は、自動車Mの外部の映像から車内撮影カメラ13によって撮影される自動車Mの内部の映像に切り替え可能であってもよい。自動車Mの内部の映像が送信されている際には、外部装置70のユーザは、例えば、自動車Mの内部の様子を見ながら自動車Mの運転者とコミュニケーションをとることができる。
【0137】
なお、外部装置70に送信する映像を車外撮影カメラ12の映像と車内撮影カメラ13の映像との間で切り替える切換操作は、車載装置10においてなされてもよい。また、当該切換操作は、外部装置70のユーザによる当該外部装置70への操作によって遠隔的になされてもよい。
【0138】
本実施例において、外部装置70の制御部84は、車載装置10から送信されている自動車Mの外部の映像をサーバ40を介して受信するとしたが、当該映像に加えて、自動車Mの現在地及び移動予定経路が記された地図画像や、自動車Mの運転者の氏名、自動車Mの走行速度などを受信してもよい。
【0139】
例えば、外部装置70の制御部84は、タッチパネル71において、車載装置10から受信した地図画像や自動車Mの運転者の氏名、自動車Mの走行速度を自動車Mの外部の映像に重ねて表示させてもよく、自動車Mの外部の映像とは異なる表示領域に表示させてもよい。このとき、地図画像や自動車Mの運転者の氏名、自動車Mの走行速度は、外部装置70の操作者によって、その表示/非表示を自由に切り替え可能であってもよい。