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特開2022-157326作業機械の起動システム及び作業機械の起動方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157326
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】作業機械の起動システム及び作業機械の起動方法
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20221006BHJP
   E02F 9/24 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
E02F9/00 Z
E02F9/24 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021061479
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000001236
【氏名又は名称】株式会社小松製作所
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】帆加利 知史
(72)【発明者】
【氏名】保田 裕一朗
(72)【発明者】
【氏名】野崎 兼史
(72)【発明者】
【氏名】岩田 耕介
(57)【要約】
【課題】セキュリティを確保しながら、作業機械を早期に操作可能にする。
【解決手段】作業機械の起動システムは、作業機械を制御する制御部と、特定オペレータが作業機械に近接したことを検出する近接検出部と、特定オペレータが作業機械に近接したことが検出された場合に、制御部の少なくとも一部を起動する起動部とを備える。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機械を制御する制御部と、
特定オペレータが前記作業機械に近接したことを検出する近接検出部と、
前記特定オペレータが前記作業機械に近接したことが検出された場合に、前記制御部の少なくとも一部を起動する起動部と
を備える作業機械の起動システム。
【請求項2】
前記制御部は、
動力源が供給する動力によって車体を駆動するための制御信号を出力する第1の制御部と、
前記制御部を構成する機器同士の通信を制御する第2の制御部と、
を備え、
前記起動部は、前記特定オペレータが前記作業機械に近接したことが検出された場合に前記第2の制御部を起動し、前記第2制御部の起動開始より後に、前記第1の制御部を起動する
請求項1に記載の作業機械の起動システム。
【請求項3】
前記第1の制御部の起動時間は前記第2の制御部の起動時間より短い
請求項2に記載の作業機械の起動システム。
【請求項4】
前記作業機械の運転室に設けられ、前記運転室に存在するオペレータを認証する認証部を備え、
前記起動部は、前記特定オペレータが前記作業機械に近接したことを検出した後に、前記オペレータが前記特定オペレータであることが認証された場合に、前記第1の制御部を起動する
請求項2又は請求項3に記載の作業機械の起動システム。
【請求項5】
前記近接検出部は、前記特定オペレータが所持する端末が発する無線信号を検出することによって、前記特定オペレータが前記作業機械に近接したことを検出する
請求項1から請求項4の何れか1項に記載の作業機械の起動システム。
【請求項6】
前記端末が発する無線信号には、オペレータを示すオペレータIDが含まれ、
前記近接検出部は、前記無線信号に含まれる前記オペレータIDに基づいて、前記作業機械に近接する人物が前記特定オペレータであるか否かを判定する
請求項5に記載の作業機械の起動システム。
【請求項7】
前記端末が発する無線信号には、起動対象の作業機械を示す機械IDが含まれ、
前記近接検出部は、前記無線信号に含まれる前記機械IDに基づいて、前記第2の制御部を起動させるか否かを判定する
請求項5又は請求項6に記載の作業機械の起動システム。
【請求項8】
特定オペレータが作業機械に近接したことを検出するステップと、
前記特定オペレータが前記作業機械に近接したことが検出された場合に、作業機械を制御する制御部の少なくとも一部を起動するステップと、
を備える作業機械の起動方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械の起動システム及び作業機械の起動方法に関する。
【背景技術】
【0002】
作業機械の分野において、キーレスエントリーシステムによって無線信号でオペレータの存在を判断し、ドアを開錠可能にする技術が知られている。例えば、特許文献1には、キーレスエントリーシステムについての技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-205469号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方で、作業機械を制御するための制御部は、オペレータは作業機械に搭乗した後にイグニッションキー操作などによって起動するため、作業機械を操作可能になるまで時間がかかる可能性がある。
本開示の目的は、作業機械を早期に操作可能にすることができる作業機械の起動システム及び作業機械の起動方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
一態様によれば、作業機械の起動システムは、作業機械を制御する制御部と、特定オペレータが前記作業機械に近接したことを検出する近接検出部と、前記特定オペレータが前記作業機械に近接したことが検出された場合に、前記制御部の少なくとも一部を起動する起動部とを備える。
【発明の効果】
【0006】
上記態様によれば、作業機械の起動システムは、作業機械を早期に操作可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1の実施形態に係る作業機械の構成を示す概略図である。
図2】第1の実施形態に係る運転室の内部の構成を示す図である。
図3】第1の実施形態に係る制御システムのハードウェア構成を示す概略ブロック図である。
図4】第1の実施形態に係るスタータ信号ユニットのソフトウェア構成を示す概略ブロック図である。
図5】第1の実施形態における制御システムによる作業機械の起動動作の一例を示すシーケンス図である。
図6】第1の実施形態に係る制御システムによるオペレータ端末との通信処理を示すフローチャートである。
図7】第1の実施形態においてドアスイッチが押下されたときの制御システムの動作を示すフローチャートである。
図8】第1の実施形態に係る制御システムによる作業機械に搭乗したオペレータの認証動作を示すフローチャートである。
図9】少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
〈第1の実施形態〉
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
【0009】
《作業機械100の構成》
図1は、第1の実施形態に係る作業機械100の構成を示す概略図である。
作業機械100は、施工現場にて稼働し、土砂などの施工対象を施工する。第1の実施形態に係る作業機械100は、例えば油圧ショベルである。作業機械100は、走行体110、旋回体120、作業機130及び運転室140を備える。第1の実施形態に係る作業機械100は、オペレータが所持するスマートフォンなどのオペレータ端末300とBLE(Bluetooth Low Energy、Bluetoothは登録商標)による通信を行うことで、オペレータの認証を行う。なお、他の実施形態においては、作業機械100とオペレータ端末300とは、Bluetooth(登録商標)、Zigbee(登録商標)などBLE以外の近距離無線通信方式で通信を行ってもよい。
【0010】
走行体110は、作業機械100を走行可能に支持する。走行体110は、左右に設けられた2つの無限軌道111と、各無限軌道111を駆動するための2つの走行モータ112を備える。
旋回体120は、走行体110に旋回中心回りに旋回可能に支持される。
作業機130は、油圧により駆動する。作業機130は、旋回体120の前部に上下方向に駆動可能に支持される。運転室140は、オペレータが搭乗し、作業機械100の操作を行うためのスペースである。運転室140は、旋回体120の左前部に設けられる。
ここで、旋回体120のうち作業機130が取り付けられる部分を前部という。また、旋回体120について、前部を基準に、反対側の部分を後部、左側の部分を左部、右側の部分を右部という。
【0011】
《旋回体120の構成》
旋回体120は、エンジン121、油圧ポンプ122、コントロールバルブ123、旋回モータ124、燃料噴射装置125を備える。
エンジン121は、油圧ポンプ122を駆動する原動機である。エンジン121は、動力源の一例である。エンジン121にはセルモータ1211が設けられる。エンジン121は、セルモータ1211の回転により起動する。
油圧ポンプ122は、エンジン121により駆動される可変容量ポンプである。油圧ポンプ122は、コントロールバルブ123を介して各アクチュエータ(ブームシリンダ131C、アームシリンダ132C、バケットシリンダ133C、走行モータ112、及び旋回モータ124)に作動油を供給する。
コントロールバルブ123は、油圧ポンプ122から供給される作動油の流量を制御する。
旋回モータ124は、コントロールバルブ123を介して油圧ポンプ122から供給される作動油によって駆動し、旋回体120を旋回させる。
燃料噴射装置125は、燃料をエンジン121に噴射する。
【0012】
《作業機130の構成》
作業機130は、ブーム131、アーム132、バケット133、ブームシリンダ131C、アームシリンダ132C、及びバケットシリンダ133Cを備える。
【0013】
ブーム131の基端部は、旋回体120にブームピンを介して取り付けられる。
アーム132は、ブーム131とバケット133とを連結する。アーム132の基端部は、ブーム131の先端部にアームピンを介して取り付けられる。
バケット133は、土砂などを掘削するための刃と掘削した土砂を収容するための収容部とを備える。バケット133の基端部は、アーム132の先端部にバケットピンを介して取り付けられる。
【0014】
ブームシリンダ131Cは、ブーム131を作動させるための油圧シリンダである。ブームシリンダ131Cの基端部は、旋回体120に取り付けられる。ブームシリンダ131Cの先端部は、ブーム131に取り付けられる。
アームシリンダ132Cは、アーム132を駆動するための油圧シリンダである。アームシリンダ132Cの基端部は、ブーム131に取り付けられる。アームシリンダ132Cの先端部は、アーム132に取り付けられる。
バケットシリンダ133Cは、バケット133を駆動するための油圧シリンダである。バケットシリンダ133Cの基端部は、アーム132に取り付けられる。バケットシリンダ133Cの先端部は、バケット133に接続されるリンク部材に取り付けられる。
【0015】
《運転室140の構成》
運転室140の左面には、オペレータが搭乗するためのドア141が設けられる。ドア141には、ドア141をロックするためのロックアクチュエータ1411と、ロックを解除するためのドアスイッチ1412が設けられる。
【0016】
図2は、第1の実施形態に係る運転室140の内部の構成を示す図である。
運転室140内には、運転席142、操作装置143、ロータリスイッチ144及びタッチパネル145Dが設けられる。ロータリスイッチ144は、回転されることでOFF、ACC(アクセサリー)、IG(イグニッション)、ST(スタート)の4つのポジションをとるスイッチである。なお、ロータリスイッチ144をSTポジションで指を離すと、図示しないばね機構により、自動的にIGポジションに戻る。
【0017】
操作装置143は、オペレータの手動操作によって走行体110、旋回体120及び作業機130を駆動させるための装置である。操作装置143は、左操作レバー143LO、右操作レバー143RO、左フットペダル143LF、右フットペダル143RF、左走行レバー143LT、右走行レバー143RTを備える。
【0018】
左操作レバー143LOは、運転席142の左側に設けられる。右操作レバー143ROは、運転席142の右側に設けられる。
【0019】
左操作レバー143LOは、旋回体120の旋回動作、及び、アーム132の掘削/ダンプ動作を行うための操作機構である。具体的には、作業機械100のオペレータが左操作レバー143LOを前方に倒すと、アーム132がダンプ動作する。また、作業機械100のオペレータが左操作レバー143LOを後方に倒すと、アーム132が掘削動作する。また、作業機械100のオペレータが左操作レバー143LOを右方向に倒すと、旋回体120が右旋回する。また、作業機械100のオペレータが左操作レバー143LOを左方向に倒すと、旋回体120が左旋回する。なお、他の実施形態においては、左操作レバー143LOを前後方向に倒した場合に旋回体120が右旋回又は左旋回し、左操作レバー143LOを左右方向に倒した場合にアーム132が掘削動作又はダンプ動作してもよい。
【0020】
右操作レバー143ROは、バケット133の掘削/ダンプ動作、及び、ブーム131の上げ/下げ動作を行うための操作機構である。具体的には、作業機械100のオペレータが右操作レバー143ROを前方に倒すと、ブーム131の下げ動作が実行される。また、作業機械100のオペレータが右操作レバー143ROを後方に倒すと、ブーム131の上げ動作が実行される。また、作業機械100のオペレータが右操作レバー143ROを右方向に倒すと、バケット133のダンプ動作が行われる。また、作業機械100のオペレータが右操作レバー143ROを左方向に倒すと、バケット133の掘削動作が行われる。なお、他の実施形態においては、右操作レバー143ROを前後方向に倒した場合に、バケット133がダンプ動作又は掘削動作し、右操作レバー143ROを左右方向に倒した場合にブーム131が上げ動作又は下げ動作してもよい。
【0021】
左フットペダル143LFは、運転席142の前方の床面の左側に配置される。右フットペダル143RFは、運転席142の前方の床面の右側に配置される。左走行レバー143LTは、左フットペダル143LFに軸支され、左走行レバー143LTの傾斜と左フットペダル143LFの押し下げが連動するように構成される。右走行レバー143RTは、右フットペダル143RFに軸支され、右走行レバー143RTの傾斜と右フットペダル143RFの押し下げが連動するように構成される。
【0022】
左フットペダル143LF及び左走行レバー143LTは、走行体110の左側履帯の回転駆動に対応する。具体的には、作業機械100のオペレータが左フットペダル143LF又は左走行レバー143LTを前方に倒すと、左側履帯は前進方向に回転する。また、作業機械100のオペレータが左フットペダル143LF又は左走行レバー143LTを後方に倒すと、左側履帯は後進方向に回転する。
【0023】
右フットペダル143RF及び右走行レバー143RTは、走行体110の右側履帯の回転駆動に対応する。具体的には、作業機械100のオペレータが右フットペダル143RF又は右走行レバー143RTを前方に倒すと、右側履帯は前進方向に回転する。また、作業機械100のオペレータが右フットペダル143RF又は右走行レバー143RTを後方に倒すと、右側履帯は後進方向に回転する。
【0024】
《制御システム145の構成》
図3は、第1の実施形態に係る制御システム145のハードウェア構成を示す概略ブロック図である。図3において、実線は電力線を表し、破線は信号線を表す。また、図3において一点鎖線は、無線通信を表す。
制御システム145は、電源部201、スタータ信号ユニット202、ゲートウェイ機能コントローラ203、モニタコントローラ204、制御コントローラ205、エンジンコントローラ206を備える。スタータ信号ユニット202、ゲートウェイ機能コントローラ203、モニタコントローラ204、制御コントローラ205及びエンジンコントローラ206は、互いにCAN(Controller Area Network)やイーサネット(登録商標)などの車内ネットワークを介して接続される。ゲートウェイ機能コントローラ203、モニタコントローラ204、制御コントローラ205及びエンジンコントローラ206は、作業機械100を制御する制御部を構成する。
【0025】
電源部201は、制御システム145を構成する各機器に電気エネルギーを供給する。
スタータ信号ユニット202は、ドアスイッチ1412、ロータリスイッチ144、オペレータ端末300及びモニタコントローラ204から信号の入力を受ける。スタータ信号ユニット202は、入力された信号に基づいて、ゲートウェイ機能コントローラ203、モニタコントローラ204、制御コントローラ205、エンジンコントローラ206、ロックアクチュエータ1411又はセルモータ1211に起動信号を出力する。起動信号が入力されたコントローラは、電源部201が供給する電気エネルギーにより起動し、動作する。なお、スタータ信号ユニット202は、他のコントローラが停止状態にあるときも、常に電源部201からの電気エネルギーの供給を受けて動作している。一方で、スタータ信号ユニット202は、作業機械100が起動していないときは、後述するBLE通信部221のみが起動状態となり、他の構成が休止状態にあってもよいし、間欠的に起動するように構成されてもよい。
【0026】
ゲートウェイ機能コントローラ203は、スタータ信号ユニット202、モニタコントローラ204、制御コントローラ205、エンジンコントローラ206などのコントローラ同士の通信を中継する。ゲートウェイ機能コントローラ203は、通信を制御する第2の制御部の一例である。
モニタコントローラ204は、制御システム145が備えるタッチパネル145Dによる表示を制御し、タッチパネル145Dのタッチ操作の発生を通知する。なお、他の実施形態に係る制御システム145は、タッチパネル145Dでなく、LCD(Liquid Crystal Display)などのタッチ入力機能を有しないモニタ及び物理ボタンを備えてもよい。この場合、モニタコントローラ204は、モニタによる表示を制御し、物理ボタンの押下を通知する。
制御コントローラ205は、作業機130の動作を制御する油圧機器に関連する各種データを図示しないセンサにより取得し、操作装置143の操作に従って油圧機器を制御するための制御信号を出力する。つまり、制御コントローラ205は、ブームシリンダ131C、アームシリンダ132C、バケットシリンダ133C、走行モータ112、旋回モータ124などの駆動を制御する。制御コントローラ205は、動力源が供給する動力によって作業機械100の車体を駆動するための制御信号を出力する第1の制御部の一例である。
エンジンコントローラ206は、エンジン121に関連する各種データを図示しないセンサにより取得し、燃料噴射装置125に燃料噴射量を指示することで、エンジン121を制御する。
【0027】
各コントローラの起動時間には差がある。各コントローラのうち、ゲートウェイ機能コントローラ203は、スタータ信号ユニット202、モニタコントローラ204、制御コントローラ205及びエンジンコントローラ206などの他のコントローラより起動時間が長い場合がある。
【0028】
制御システム145は、タッチパネル145Dの操作により、運転室140に搭乗しているオペレータの認証処理を行う機能を有する。例えば、制御システム145は、認証処理を行うコントローラを備えていてもよいし、スタータ信号ユニット202、ゲートウェイ機能コントローラ203、モニタコントローラ204が認証処理を行う機能を有していてもよい。具体的には、制御システム145は、モニタコントローラ204を介してタッチパネル145DにオペレータIDの選択画面を表示させ、オペレータIDの選択を受け付ける。制御システム145は、選択されたオペレータIDが、作業機械100に近接している操作権限を有するオペレータを示す場合に、運転室140に搭乗しているオペレータが操作権限を有するオペレータであると認証する。モニタコントローラ204は、作業機械100のオペレータを認証する認証部の一例である。
【0029】
図4は、第1の実施形態に係るスタータ信号ユニット202のソフトウェア構成を示す概略ブロック図である。
スタータ信号ユニット202は、BLE通信部221、ネットワーク通信部222、信号入力部223、オペレータ記憶部224、近接検出部225、起動部226、状態記憶部227を備える。
【0030】
BLE通信部221は、BLEのセントラルとして動作し、オペレータ端末300との通信を行う。BLE通信部221は、通信可能なオペレータ端末300を探索し、発見されたオペレータ端末300からアドバタイズパケットを受信する。アドバタイズパケットには、オペレータを識別するオペレータID及び起動対象の作業機械100を示す機械IDが含まれる。オペレータIDは、例えばオペレータ端末300のBluetooth(登録商標)デバイスアドレスであってよい。
【0031】
ネットワーク通信部222は、車内ネットワークを介して他のコントローラとの通信を行う。
信号入力部223は、ドアスイッチ1412及びロータリスイッチ144から信号の入力を受ける。
【0032】
オペレータ記憶部224は、オペレータごとに、オペレータIDと、表示名と、作業機械100の操作権限を有するか否かを示す権限フラグとを記憶する。権限フラグの値がONであることは、作業機械100の操作権限を有することを示し、権限フラグの値がOFFであることは、作業機械100の操作権限を有しないことを示す。以下、権限フラグの値がONであるオペレータ、即ち作業機械100の操作権限を有するオペレータを、特定オペレータともいう。
【0033】
近接検出部225は、BLE通信部221が受信するアドバタイズパケットとオペレータ記憶部224が記憶する情報とに基づいて、作業機械100の近傍に特定オペレータが存在するか否かを判定する。つまり、近接検出部225は、特定オペレータが作業機械100に近接したことを検出する。具体的には、近接検出部225は、BLE通信部221が受信するアドバタイズパケットに含まれるオペレータIDを特定し、オペレータ記憶部224において特定したオペレータIDに関連付けられた権限フラグがONである場合に、特定オペレータが作業機械100に近接していると判定する。近接検出部225は、特定オペレータの近接状態として、近接している特定オペレータのオペレータIDを状態記憶部227に記録する。
【0034】
起動部226は、ゲートウェイ機能コントローラ203、モニタコントローラ204、制御コントローラ205、エンジンコントローラ206、ロックアクチュエータ1411又はセルモータ1211に起動信号を出力する。
【0035】
《オペレータ端末300》
オペレータ端末300は、予めインストールされた作業機械100の起動プログラムを実行することで、BLEのペリフェラルとして機能する。オペレータ端末300は、起動プログラムを実行すると、作業機械100の一覧を表示させ、オペレータから起動対象の作業機械100の選択を受け付ける。オペレータ端末300は、作業機械100の選択を受け付けると、オペレータIDと選択された作業機械100の機械IDとを含むアドバタイズパケットの送信を開始する。
【0036】
《制御システム145の動作》
ここで、作業機械100の操作権限を有するオペレータ(特定オペレータ)が作業機械100に搭乗するときの作業機械100の起動動作について説明する。制御システム145は、作業機械100の起動システムの一例である。図5は、第1の実施形態における制御システム145による作業機械100の起動動作の一例を示すシーケンス図である。
【0037】
オペレータがオペレータ端末300を操作し、起動プログラムを実行すると、作業機械100の一覧を表示させ、オペレータから起動対象の作業機械100の選択を受け付ける(ステップS1)。オペレータ端末300は、作業機械100の選択を受け付けると、オペレータIDと選択された作業機械100の機械IDとを含むアドバタイズパケットを送信する(ステップS2)。
【0038】
スタータ信号ユニット202は、アドバタイズパケットを受信し、特定オペレータが近接していると判定すると、ゲートウェイ機能コントローラ203に起動信号を送信する(ステップS3)。これにより、ゲートウェイ機能コントローラ203は起動を開始する(ステップS4)。その後、ゲートウェイ機能コントローラ203は起動を完了する(ステップS5)。なお、アドバタイズパケットが初めに作業機械100に到達するとき、オペレータ端末300と作業機械100とはBLEの通信可能距離だけ離れている。そのため、オペレータが作業機械100に到達するまでに要する時間より、ゲートウェイ機能コントローラ203の起動に要する時間が短ければ、オペレータが作業機械100に到達するまでにゲートウェイ機能コントローラ203の起動を完了させておくことができる(ステップS5)。
【0039】
オペレータは、作業機械100に到達するとドア141を開けるためにドアスイッチ1412を押下する。これにより、スタータ信号ユニット202は、ドアスイッチ1412からONを示す信号を受信する(ステップS6)。スタータ信号ユニット202は、特定オペレータの近接状態を確認したうえで、ロックアクチュエータ1411を駆動させ、ドア141のロックを解除する(ステップS7)。
【0040】
オペレータが運転室140に乗り込み、ロータリスイッチ144をACCポジションに入れると、スタータ信号ユニット202は、ロータリスイッチ144からACCを示す信号を受信する(ステップS8)。スタータ信号ユニット202は、特定オペレータの近接状態を確認したうえで、モニタコントローラ204に起動信号を送信する(ステップS9)。これにより、モニタコントローラ204が起動する(ステップS10)。
【0041】
モニタコントローラ204は、オペレータの一覧画面の表示をするための信号をタッチパネル145Dに出力する(ステップS11)。これにより、タッチパネル145Dにオペレータの一覧画面が表示される。モニタコントローラ204はオペレータの操作により、オペレータの一覧画面から1つのオペレータIDの選択を受け付ける(ステップS12)。スタータ信号ユニット202は、選択されたオペレータIDが特定オペレータを示すことを確認し、制御コントローラ205に起動信号を送信する(ステップS13)。これにより、制御コントローラ205が起動する(ステップS14)。
【0042】
オペレータがロータリスイッチ144をIGポジションに入れると、スタータ信号ユニット202は、ロータリスイッチ144からIGを示す信号を受信する(ステップS15)。スタータ信号ユニット202は、エンジンコントローラ206に起動信号を送信する(ステップS16)。これにより、エンジンコントローラ206が起動する(ステップS17)。
【0043】
オペレータがロータリスイッチ144をSTポジションに入れると、スタータ信号ユニット202は、ロータリスイッチ144からSTを示す信号を受信する(ステップS18)。スタータ信号ユニット202は、セルモータ1211を駆動させる(ステップS19)。これにより、エンジン121が始動し、作業機械100が操作可能な状態となる。
【0044】
上述の通り、制御システム145は、特定オペレータが近接したときにゲートウェイ機能コントローラ203を起動させ、その後、特定オペレータの認証がされた後に制御コントローラ205を起動する。オペレータの認証を行うためにはオペレータが運転室140内に乗り込む必要があるため、ゲートウェイ機能コントローラ203の起動は、制御コントローラ205の起動の前に行われる。これにより、制御システム145は、特定オペレータが近接した時点ではゲートウェイ機能コントローラ203のような作業機械100の車体制御を行わない機器を起動させることで、作業機械100のセキュリティを確保することができる。また、ゲートウェイ機能コントローラ203は他の機器と比べて起動に時間がかかることから、特定オペレータの近接を条件に起動することで、作業機械100の操作の待ち時間を短縮することができる。
【0045】
以下、スタータ信号ユニット202の動作について説明する。
図6は、第1の実施形態に係る制御システム145によるオペレータ端末300との通信処理を示すフローチャートである。
スタータ信号ユニット202のBLE通信部221は、所定のスキャンタイミングごとにスキャンを行い、アドバタイズパケットを受信したか否かを判定する(ステップS101)。アドバタイズパケットを受信しない場合(ステップS101:NO)、近接検出部225は近傍に特定オペレータが存在しないと判定し、状態記憶部227が記憶する特定オペレータの近接状態を示す近接データを空白に書き換え(ステップS102)、次のスキャンタイミングまで待機する。
【0046】
他方、アドバタイズパケットを受信した場合(ステップS101:YES)、BLE通信部221はアドバタイズパケットから機器ID及びオペレータIDを読み出す。近接検出部225は、機器IDが当該作業機械100を示すアドバタイズパケットが存在するか否かを判定する(ステップS103)。機器IDが当該作業機械100を示すアドバタイズパケットが存在しない場合(ステップS103:NO)、近接検出部225は近傍に特定オペレータが存在しないと判定し、状態記憶部227が記憶する特定オペレータの近接状態を示す近接データを空白に書き換え(ステップS102)、次のスキャンタイミングまで待機する。
【0047】
機器IDが当該作業機械100を示すアドバタイズパケットが存在する場合(ステップS103:YES)、近接検出部225は、オペレータ記憶部224において当該アドバタイズパケットのオペレータIDに関連付けられた権限フラグがONであるか否かを判定する(ステップS104)。オペレータIDに関連付けられた権限フラグがOFFである場合(ステップS104:NO)、近接検出部225は、近傍に特定オペレータが存在しないと判定し、状態記憶部227が記憶する特定オペレータの近接状態を示す近接データを空白に書き換え(ステップS102)、次のスキャンタイミングまで待機する。
【0048】
オペレータIDに関連付けられた権限フラグがONである場合(ステップS104:YES)、近接検出部225は、近傍に特定オペレータが存在すると判定し、状態記憶部227が記憶する特定オペレータの近接状態を示す近接データを、アドバタイズパケットに含まれるオペレータIDに更新する(ステップS105)。
【0049】
次に、起動部226は、ゲートウェイ機能コントローラ203に起動信号を送信する(ステップS106)。これにより、スタータ信号ユニット202は特定オペレータが作業機械100に搭乗する前にゲートウェイ機能コントローラ203の起動を開始させることができる。また起動部226は、作業機械100の図示しない照明を点灯させる(ステップS107)。これにより、スタータ信号ユニット202は特定オペレータに搭乗すべき作業機械100の位置を知らせることができる。
【0050】
なお、他の実施形態においては、上記処理の一部が実施されなくてもよい。例えば、他の実施形態に係るスタータ信号ユニット202は、ステップS102、S103、S105、ステップS107の処理を行わなくてもよい。
【0051】
図7は、第1の実施形態においてドアスイッチ1412が押下されたときの制御システム145の動作を示すフローチャートである。
ドアスイッチ1412が押下されると、スタータ信号ユニット202の信号入力部223はドアスイッチ1412からONを示す信号の入力を受け付ける(ステップS121)。近接検出部225は、状態記憶部227の近接データを参照し、少なくとも1つの特定オペレータのオペレータIDが含まれるか否かを判定する(ステップS122)。近接データに特定オペレータのオペレータIDが含まれる場合(ステップS122:YES)、近接検出部225は近傍に特定オペレータが存在すると判定し、起動部226はロックアクチュエータ1411を駆動させ、ドア141のロックを解除する(ステップS123)。このとき、起動部226は図示しないスピーカからロックが解除されたことを表すブザーを鳴らしてもよい。
【0052】
他方、近接データに特定オペレータのオペレータIDが含まれない場合(ステップS122:NO)、近接検出部225は近傍に特定オペレータが存在しないと判定し、起動部226はロックアクチュエータ1411を駆動させない。
このように、制御システム145は、特定オペレータが作業機械100の近傍に存在する場合にドア141のロックを解除させ、特定オペレータが作業機械100の近傍に存在しない場合にロックを解除させない。
【0053】
なお、他の実施形態に係る作業機械100は、図7のフローチャートによらず物理キーによるロック解除を行ってもよい。
【0054】
図8は、第1の実施形態に係る制御システム145による作業機械100に搭乗したオペレータの認証動作を示すフローチャートである。
作業機械100に搭乗したオペレータがロータリスイッチ144をACCポジションまで回すと、スタータ信号ユニット202の信号入力部223はロータリスイッチ144からACCを示す信号の入力を受け付ける(ステップS141)。ACCを示す信号が入力されると、起動部226は、モニタコントローラ204に起動信号を送信する(ステップS142)。
【0055】
モニタコントローラ204は、オペレータIDの選択を受け付けるためのオペレータ一覧画面の表示をするための信号をタッチパネル145Dに出力する(ステップS143)。オペレータIDの選択を受け付けるためのオペレータ一覧を示す情報は、スタータ信号ユニット202が記憶しても良いし、ゲートウェイ機能コントローラ203が記憶しても良いし、モニタコントローラ204が記憶しても良いし、その他のコントローラが記憶していてもよい。また、モニタコントローラ204は、作業機械100の外部の制御装置からオペレータ一覧を示す情報を受信し、オペレータ一覧画面を表示するための信号をタッチパネル145Dに出力するようにしてもよい。なお、図6に示す処理により、ゲートウェイ機能コントローラ203が予め起動されるため、モニタコントローラ204は、起動次第、直ぐに他のコントローラと通信可能となる。したがって、モニタコントローラ204がオペレータ一覧画面の表示をするための信号を他のコントローラから取得する場合にも、モニタコントローラ204は起動次第直ぐに当該信号を取得することができる。オペレータ一覧画面には、ステップS143で読み出した複数のオペレータIDが含まれる。これにより、タッチパネル145Dは複数のオペレータの中から1つの選択を受け付ける。
【0056】
タッチパネル145Dの操作によりオペレータが1つのオペレータIDを選択すると、制御システム145は、選択されたオペレータIDを取得する(ステップS144)。制御システム145は、選択されたオペレータIDが、状態記憶部227が記憶する近接データに含まれるか否かを判定する(ステップS145)。制御システム145は、選択されたオペレータIDが近接データに含まれる場合(ステップS145:YES)、搭乗しているオペレータが特定オペレータであると認証する。起動部226は、制御コントローラ205に起動信号を送信する(ステップS146)。
【0057】
他方、選択されたオペレータIDが近接データに含まれない場合(ステップS145:NO)、制御システム145は、搭乗しているオペレータの認証に失敗したものと判定する。このとき、起動部226は、制御コントローラ205に起動信号を送信しない。つまり、特定オペレータの近接により、ゲートウェイ機能コントローラ203が起動し、またドア141のロックが解除されていても、搭乗したオペレータが特定オペレータであると認証されない限り、動力で作業機械100を駆動させるための制御コントローラ205が起動しない。これにより、制御システム145は、操作権限を有しない部外者によって作業機械100が操作されることを防ぐことができる。
【0058】
上述の通り、制御システム145は、複数のオペレータIDの中から1つのオペレータIDを選択させることにより認証を行う。搭乗しているオペレータがオペレータ端末300を所持する特定オペレータであれば、当該オペレータは、オペレータ一覧画面から自分のオペレータIDを見つけて押下することができる。他方、操作権限を有しない部外者には、どのオペレータIDが近傍に存在する特定オペレータを示すのかがわからないため、制御システム145は、不正なログインを防ぐことができる。
【0059】
このとき、制御システム145さらにパスワードなどを要求することで、よりセキュリティを高めてもよい。また、他の実施形態においては、タッチパネル145Dでなく、バイオメトリクス認証装置や顔認証装置などを用いてオペレータの認証を行ってもよい。また他の実施形態においては、オペレータ端末300を制御システム145に接続することで、オペレータ端末300からオペレータIDを取得することオペレータの認証を行ってもよい。
【0060】
上述のステップS144~ステップS145の処理は、スタータ信号ユニット202が行っても良いし、ゲートウェイ機能コントローラ203が行っても良いし、モニタコントローラ204が行っても良いし、その他のコントローラが行ってよい。例えば、認証を行うコントローラは、選択されたオペレータIDと状態記憶部227が記憶する近接データを取得し、選択されたオペレータIDが、状態記憶部227が記憶する近接データに含まれるか否か判定することができる。
【0061】
その後、ロータリスイッチ144がIGポジションまで回されると、起動部226はエンジンコントローラ206に起動信号を送信し、ロータリスイッチ144がSTポジションまで回されると、起動部226はセルモータ1211を駆動させ、エンジン121を駆動させる。ただし、エンジン121が駆動しても、オペレータの認証がなされて制御コントローラ205が起動しなければ、エンジン121の動力で作業機械100を駆動させることができない。また、セルモータ1211がスタータカットリレーを有する場合、起動部226は、オペレータの認証がなされたときにスタータカット出力をONにすることで、オペレータの認証がなされない限りエンジン121を駆動できないようにしてもよい。
【0062】
《作用・効果》
このように、第1の実施形態によれば、制御システム145は、特定オペレータが作業機械100に近接したことが検出された場合に、制御コントローラ205より前にゲートウェイ機能コントローラ203を起動する。このように、制御システム145は、特定オペレータの検出によりゲートウェイ機能コントローラ203を起動することで、作業機械100を早期に操作可能にすることができる。また制御システム145は、制御コントローラ205の起動をゲートウェイ機能コントローラ203の起動より後にすることで、セキュリティを高めることができる。制御コントローラ205が起動しないことで、制御コントローラ205のクラッキングがなされることを防ぐことができる。
【0063】
特に、第1の実施形態に係るゲートウェイ機能コントローラ203の起動時間は制御コントローラ205の起動時間より長いことから、先にゲートウェイ機能コントローラ203を起動させることで、ゲートウェイ機能コントローラ203の起動を待機する時間を省略することができる。
【0064】
第1の実施形態に係る制御システム145は、特定オペレータが所持するオペレータ端末300が発する無線信号を検出することによって、特定オペレータが作業機械100に近接したことを検出する。これにより、オペレータは、オペレータ端末300を所持したまま作業機械100に近づくだけで、作業機械100のゲートウェイ機能コントローラ203を起動させることができる。
【0065】
第1の実施形態において、オペレータ端末300が発する無線信号には、起動対象の作業機械100を示す機械IDが含まれ、近接検出部225は、無線信号に含まれる機械IDに基づいて、ゲートウェイ機能コントローラ203を起動させるか否かを判定する。これにより、制御システム145は、起動対象でない作業機械100が無用に起動することを防ぐことができる。
【0066】
制御システム145は、特定オペレータが作業機械100に近接したことを検出した後に、作業機械100の運転室140に設けられるタッチパネル145Dを用いてオペレータの認証を行う。これにより、制御システム145は、特定オペレータが単に作業機械100の近傍に存在するだけでなく、作業機械100に搭乗しているオペレータが特定オペレータであることを確認したうえで、制御コントローラ205を起動させることができる。
【0067】
〈他の実施形態〉
以上、図面を参照して一実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、様々な設計変更等をすることが可能である。すなわち、他の実施形態においては、上述の処理の順序が適宜変更されてもよい。また、一部の処理が並列に実行されてもよい。
【0068】
上述した実施形態に係るスタータ信号ユニット202は、単独のコンピュータによって構成されるものであってもよいし、スタータ信号ユニット202の構成を複数のコンピュータに分けて配置し、複数のコンピュータが互いに協働することでスタータ信号ユニット202として機能するものであってもよい。例えば、スタータ信号ユニット202のうち、起動信号を出力する機能と、オペレータの認証を行う機能とは別個のコンピュータに実装されてもよい。スタータ信号ユニット202を構成する一部のコンピュータが作業機械100の内部に搭載され、他のコンピュータが作業機械100の外部に設けられてもよい。
【0069】
上述した実施形態に係る制御システム145は、制御システム145を構成する一部の構成が作業機械100の内部に搭載され、他の構成が作業機械100の外部に設けられてもよい。
【0070】
上述した実施形態に係るオペレータ端末300は、スマートフォンなどのアプリケーションプログラムを実行可能な端末であるが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係るオペレータ端末300は、予め定められたアドバタイズパケットを出力する機能のみを持つキーフォブであってもよい。なお、オペレータ端末300がキーフォブである場合、アプリケーションプログラムによって起動対象の作業機械100の選択を受け付けることができない。この場合、アドバタイズパケットを受信した作業機械100のうち、アドバタイズパケットに含まれるオペレータIDが特定オペレータとして設定されているものが、すべて起動するようにしてもよい。
【0071】
上述した実施形態に係る制御システム145は、複数のオペレータIDが含まれるオペレータ一覧画面の表示を行うが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係る制御システム145は、近接検出部225が作業機械100に近接していると判定した特定オペレータに対応するオペレータIDのみをオペレータ一覧画面に表示するようにしてもよい。この場合、近接していると判定した特定オペレータが1人であれば、近接していると判定した1人のオペレータをオペレータ一覧画面に表示し、近接していると判定した特定オペレータが2人以上であれば、近接していると判定した2人以上のオペレータをオペレータ一覧画面に表示することができる。
【0072】
上述した実施形態に係るスタータ信号ユニット202は、特定オペレータの近接によってゲートウェイ機能コントローラ203を起動するが、これに限られない。例えば、他の実施形態に係るスタータ信号ユニット202は、ゲートウェイ機能コントローラ203に代えて又は加えて、制御コントローラ205でない他のコントローラ(モニタコントローラ204、図示しないカメラコントローラなど)を起動させてもよい。
【0073】
上述した実施形態に係るゲートウェイ機能コントローラ203、モニタコントローラ204、制御コントローラ205及びエンジンコントローラ206は、作業機械100を制御する制御部を構成するが、これに限られない。例えば、他の実施形態においては、ゲートウェイ機能コントローラ203、モニタコントローラ204、制御コントローラ205及びエンジンコントローラ206の一部によって作業機械100を制御する制御部を構成してもよい。また例えば、他の実施形態においては、制御部がさらに他のコントローラを含むものであってもよい。
【0074】
上述した実施形態に係る作業機械100は油圧ショベルであるが、他の実施形態においては、他の作業機械であってもよい。作業機械100の例としては、ブルドーザ、ダンプトラック、フォークリフト、ホイールローダ、モータグレーダなどが挙げられる。
【0075】
〈コンピュータ構成〉
図9は、少なくとも1つの実施形態に係るコンピュータの構成を示す概略ブロック図である。
上述の制御システム145が備える各機器(スタータ信号ユニット202、ゲートウェイ機能コントローラ203、モニタコントローラ204、制御コントローラ205、エンジンコントローラ206など)は、コンピュータ50に実装される。コンピュータ50は、プロセッサ51、メインメモリ52、ストレージ53、インタフェース54を備える。上述した各処理部の動作は、プログラムの形式でストレージ53に記憶されている。プロセッサ51は、プログラムをストレージ53から読み出してメインメモリ52に展開し、当該プログラムに従って上記処理を実行する。また、プロセッサ51は、プログラムに従って、上述した各記憶部に対応する記憶領域をメインメモリ52に確保する。プロセッサ51の例としては、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphic Processing Unit)、マイクロプロセッサなどが挙げられる。
【0076】
プログラムは、コンピュータ50に発揮させる機能の一部を実現するためのものであってもよい。例えば、プログラムは、ストレージに既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせ、又は他の装置に実装された他のプログラムとの組み合わせによって機能を発揮させるものであってもよい。なお、他の実施形態においては、コンピュータ50は、上記構成に加えて、又は上記構成に代えてPLD(Programmable Logic Device)などのカスタムLSI(Large Scale Integrated Circuit)を備えてもよい。PLDの例としては、PAL(Programmable Array Logic)、GAL(Generic Array Logic)、CPLD(Complex Programmable Logic Device)、FPGA(Field Programmable Gate Array)が挙げられる。この場合、プロセッサ51によって実現される機能の一部又は全部が当該集積回路によって実現されてよい。このような集積回路も、プロセッサの一例に含まれる。
【0077】
ストレージ53の例としては、磁気ディスク、光磁気ディスク、光ディスク、半導体メモリ等が挙げられる。ストレージ53は、コンピュータ50のバスに直接接続された内部メディアであってもよいし、インタフェース54又は通信回線を介してコンピュータ50に接続される外部メディアであってもよい。また、このプログラムが通信回線によってコンピュータ50に配信される場合、配信を受けたコンピュータ50が当該プログラムをメインメモリ52に展開し、上記処理を実行してもよい。少なくとも1つの実施形態において、ストレージ53は、一時的でない有形の記憶媒体である。
【0078】
また、当該プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、当該プログラムは、前述した機能をストレージ53に既に記憶されている他のプログラムとの組み合わせで実現するもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0079】
100…作業機械 110…走行体 120…旋回体 121…エンジン 1211…セルモータ 130…作業機 140…運転室 1411…ロックアクチュエータ 1412…ドアスイッチ 142…運転席 143…操作装置 144…ロータリスイッチ 145…制御システム 145D…タッチパネル 201…電源部 202…スタータ信号ユニット 203…ゲートウェイ機能コントローラ 204…モニタコントローラ 205…制御コントローラ 206…エンジンコントローラ 221…BLE通信部 222…ネットワーク通信部 223…信号入力部 224…オペレータ記憶部 225…近接検出部 226…起動部 227…状態記憶部 300…オペレータ端末
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9