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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157360
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】駆動装置及び建設機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
E02F9/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021061535
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】503405689
【氏名又は名称】ナブテスコ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106909
【弁理士】
【氏名又は名称】棚井 澄雄
(74)【代理人】
【識別番号】100126664
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 慎吾
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100165179
【弁理士】
【氏名又は名称】田▲崎▼ 聡
(72)【発明者】
【氏名】中野 潤
(57)【要約】
【課題】作業装置を作動させるために必要な合計所要動力の肥大化を抑え、駆動装置の小型化を図ることができる駆動装置及び建設機械を提供する。
【解決手段】実施形態の駆動装置1は、第1から第3油圧シリンダ2,3,4と、第1から第3油圧ポンプ12,13,14と、単一の電動モータ15と、動力分配器21と、を備える。第1から第3油圧ポンプ12,13,14は、第1から第3油圧シリンダ2,3,4の個々に作動流体を供給する。電動モータ15は、第1から第3油圧ポンプ12,13,14の個々に動力を伝達する。動力分配器21は、電動モータ15の動力を第1から第3油圧ポンプ12,13,14の個々が必要とする動力に分配する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作動流体が供給されることにより駆動する複数のアクチュエータと、
前記複数のアクチュエータの個々に前記作動流体をそれぞれ供給する複数のポンプと、
前記複数のポンプの個々に動力をそれぞれ伝達する単一の駆動源と、
前記単一の駆動源から前記複数のポンプの個々に動力を伝達する各動力伝達経路の途中に設けられ、前記単一の駆動源の動力を前記複数のポンプの個々が必要とする動力に分配する動力分配器と、
を備えた
駆動装置。
【請求項2】
作動流体が供給されることにより駆動する複数のアクチュエータと、
前記複数のアクチュエータの個々が必要とする動力に対応する前記作動流体を前記複数のアクチュエータの個々にそれぞれ供給する複数の可変容量ポンプと、
前記複数の可変容量ポンプの個々に動力をそれぞれ伝達する単一の駆動源と、
を備えた
駆動装置。
【請求項3】
前記動力分配器は、
前記単一の駆動源に対する前記複数のポンプの個々の変速比をそれぞれ可変可能な複数の変速器である
請求項1に記載の駆動装置。
【請求項4】
作動流体が供給されることにより駆動する複数のアクチュエータと、
前記複数のアクチュエータの個々に前記作動流体をそれぞれ供給する複数のポンプと、
前記複数のポンプの個々に動力をそれぞれ伝達する単一の駆動源と、
前記単一の駆動源から前記複数のポンプの個々に動力を伝達する各動力伝達経路の途中に設けられ、前記複数のポンプの個々が必要とする動力に分配するように、前記単一の駆動源に対する前記複数のポンプの個々の変速比を可変可能な動力分配器と、
を備えた
駆動装置。
【請求項5】
車体と、
前記車体に搭載され、前記車体を駆動するための駆動装置と、
を備え、
前記駆動装置は、
作動流体が供給されることにより駆動する複数のアクチュエータと、
前記複数のアクチュエータの個々に前記作動流体をそれぞれ供給する複数のポンプと、
前記複数のポンプの個々に動力をそれぞれ伝達する単一の駆動源と、
前記単一の駆動源から前記複数のポンプの個々に動力を伝達する各動力伝達経路の途中に設けられ、前記単一の駆動源の動力を前記複数のポンプの個々が必要とする動力に分配する動力分配器と、
を備えた
建設機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動装置及び建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、周囲環境を考慮して電動モータを駆動源とした電動式の建設機械が提案されている(例えば、特許文献1参照)。このものは、電動モータで油圧ポンプを駆動し、油圧ポンプから吐出された作動油によって、さまざまな油圧アクチュエータが駆動される。
このような、電動モータを駆動源とした電動式の建設機械のなかには、さまざまな油圧アクチュエータ毎に油圧ポンプ及び電動モータが各々設けられた駆動装置を備えたもの知られている。ここで、この駆動装置が備えられた建設機械の一例としてクローラ型のパワーショベルは、例えば作業装置(ショベル機構)としてブーム、アーム、バケットを備えている。
【0003】
この建設機械の駆動装置の場合、ブームを駆動するアクチュエータには、ブーム用の油圧ポンプ及びブーム用の電動モータが設けられている。また、アームを駆動するアクチュエータには、アーム用の油圧ポンプ及びアーム用の電動モータが設けられている。さらに、バケットを駆動するアクチュエータには、バケット用の油圧ポンプ及びバケット用の電動モータが設けられている。
【0004】
この駆動装置では、ブーム用の電動モータを駆動することにより、ブーム用の油圧ポンプでブーム用のアクチュエータを駆動してブームを作動させる。また、アーム用の電動モータを駆動することにより、アーム用の油圧ポンプでアーム用のアクチュエータを駆動してアームを作動させる。さらに、バケット用の電動モータを駆動することにより、バケット用の油圧ポンプでバケット用のアクチュエータを駆動してバケットを作動させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-284874号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、建設機械は、ブーム用のアクチュエータ、アーム用のアクチュエータ、又はバケット用のアクチュエータを単独で作動させる場合がある。この場合、ブーム用の電動モータ、アーム用の電動モータ、又はバケット用の電動モータは、各々のアクチュエータが単独で作動する場合の最大出力を維持する必要がある。このため、各々のアクチュエータに最大所要動力が必要となり、各々のアクチュエータの合計所要動力の肥大が避けられない。
【0007】
さらに、駆動装置は、ブーム用の電動モータ、アーム用の電動モータ、及びバケット用の電動モータの3つの電動モータ(すなわち、複数の電動モータ)を必要とする。このように、駆動装置に複数の電動モータを備えるため、そのことが駆動装置の小型化を図る妨げになっていた。
【0008】
本発明は、作業装置を作動させるために必要な合計所要動力の肥大化を抑え、駆動装置の小型化を図ることができる駆動装置及び建設機械を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一態様に係る駆動装置は、作動流体が供給されることにより駆動する複数のアクチュエータと、前記複数のアクチュエータの個々に前記作動流体をそれぞれ供給する複数のポンプと、前記複数のポンプの個々に動力をそれぞれ伝達する単一の駆動源と、前記単一の駆動源から前記複数のポンプの個々に動力を伝達する各動力伝達経路の途中に設けられ、前記単一の駆動源の動力を前記複数のポンプの個々が必要とする動力に分配する動力分配器と、を備えた。
【0010】
このように構成することで、単一の駆動源の動力を動力分配器で分配することにより、複数のポンプの個々が単独で必要とする動力を確保できる。このため、例えば、作業装置のそれぞれの作業部材を単独で作動する場合には、複数のアクチュエータの個々が単独作動する場合の最大出力を単一の駆動源で維持(分配)できる。
これにより、従来技術のように、作業装置の個々の作業部材を単独で作動させる場合に、各々のアクチュエータの単独作動時の最大出力を複数の駆動源で維持する必要がない。
したがって、作業装置を作動させるために必要な合計所要動力の肥大化を抑えることができる(回避できる)。
【0011】
また、例えば、作業装置のうち複数の作業部材を複合状態で作動する場合には、単一の駆動源の動力を動力分配器で分配して、単一の駆動源の動力の範囲内で、個々のポンプが必要とする動力を確保できる。このため、従来技術のように、複数のポンプに対応する複数の駆動源を備える必要がない。これにより、駆動源の個数を減らすことができ、駆動装置の小型化を図ることができる。
【0012】
本発明の他の態様に係る駆動装置は、作動流体が供給されることにより駆動する複数のアクチュエータと、前記複数のアクチュエータの個々が必要とする動力に対応する前記作動流体を前記複数のアクチュエータの個々にそれぞれ供給する複数の可変容量ポンプと、前記複数の可変容量ポンプの個々に動力をそれぞれ伝達する単一の駆動源と、を備えた。
【0013】
このように構成することで、単一の駆動源の動力を複数の可変容量ポンプの個々にそれぞれ伝達することにより、複数の可変容量ポンプで複数のアクチュエータの個々が単独で必要とする動力を確保できる。このため、例えば、作業装置のそれぞれの作業部材を単独で作動する場合には、複数のアクチュエータの個々が単独作動する場合の最大出力を単一の駆動源で維持(分配)できる。
これにより、従来技術のように、作業装置の個々の作業部材を単独で作動させる場合に、各々のアクチュエータの単独作動時の最大出力を複数の駆動源で維持する必要がない。
したがって、作業装置を作動させるために必要な合計所要動力の肥大化を抑えることができる(回避できる)。
【0014】
また、例えば、作業装置のうち複数の作業部材を複合状態で作動する場合には、単一の駆動源の動力を複数の可変容量ポンプで分配して、単一の駆動源の動力の範囲内で、個々のアクチュエータが必要とする動力を確保できる。このため、従来技術のように、複数のポンプに対応する複数の駆動源を備える必要がない。これにより、駆動源の個数を減らすことができ、駆動装置の小型化を図ることができる。
【0015】
上記構成で、前記動力分配器は、前記単一の駆動源に対する前記複数のポンプの個々の変速比をそれぞれ可変可能な複数の変速器であってもよい。
【0016】
本発明の他の態様に係る駆動装置は、作動流体が供給されることにより駆動する複数のアクチュエータと、前記複数のアクチュエータの個々に前記作動流体をそれぞれ供給する複数のポンプと、前記複数のポンプの個々に動力をそれぞれ伝達する単一の駆動源と、前記単一の駆動源から前記複数のポンプの個々に動力を伝達する各動力伝達経路の途中に設けられ、前記複数のポンプの個々が必要とする動力に分配するように、前記単一の駆動源に対する前記複数のポンプの個々の変速比を可変可能な動力分配器と、を備えた。
【0017】
このように構成することで、単一の駆動源に対する複数のポンプの個々の変速比を動力分配器(すなわち、変速器)で可変可能とした。このため、単一の駆動源の動力を複数のポンプの個々が必要とする動力に分配することができる。これにより、例えば、作業装置のそれぞれの作業部材を単独で作動する場合には、複数のアクチュエータの個々が単独作動する場合の最大出力を単一の駆動源で維持(分配)できる。
したがって、従来技術のように、作業装置の個々の作業部材を単独で作動させる場合に、各々のアクチュエータの単独作動時の最大出力を複数の駆動源で維持する必要がない。
この結果、作業装置を作動させるために必要な合計所要動力の肥大化を抑えることができる(回避できる)。
【0018】
また、例えば、作業装置のうち複数の作業部材を複合状態で作動する場合には、単一の駆動源の動力を動力分配器で分配して、単一の駆動源の動力の範囲内で、個々のポンプが必要とする動力を確保できる。このため、従来技術のように、複数のポンプに対応する複数の駆動源を備える必要がない。これにより、駆動源の個数を減らすことができ、駆動装置の小型化を図ることができる。
【0019】
本発明の他の態様に係る建設機械は、車体と、前記車体に搭載され、前記車体を駆動するための駆動装置と、を備え、前記駆動装置は、作動流体が供給されることにより駆動する複数のアクチュエータと、前記複数のアクチュエータの個々に前記作動流体をそれぞれ供給する複数のポンプと、前記複数のポンプの個々に動力をそれぞれ伝達する単一の駆動源と、前記単一の駆動源から前記複数のポンプの個々に動力を伝達する各動力伝達経路の途中に設けられ、前記単一の駆動源の動力を前記複数のポンプの個々が必要とする動力に分配する動力分配器と、を備えた。
【0020】
このように構成することで、建設機械での作業装置を作動させるために必要な合計所要動力の肥大化を抑えることができる(回避できる)。また、駆動源の個数を減らすことにより駆動装置の小型化を図ることができる建設機械を提供できる。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、駆動装置及び建設機械において作業装置を作動させるために必要な合計所要動力の肥大化を抑え、駆動装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】第1実施形態における建設機械の概略構成図。
図2】第1実施形態における駆動装置の概略構成図。
図3】第2実施形態における駆動装置の概略構成図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明の実施形態に係る駆動装置及び建設機械を図面に基づいて説明する。
【0024】
[第1実施形態]
<建設機械>
図1は、第1実施形態における建設機械100の概略構成図である。
図1に示すように、建設機械100は、例えば油圧ショベルなどである。建設機械100は、旋回体(請求項における車体の一例)101と、旋回体101の下部に設けられた走行体102と、を備える。
【0025】
旋回体101は、駆動装置(請求項における駆動装置の一例)1を備える。旋回体101は、キャブ103と、キャブ103に一端が連結されたブーム104と、ブーム104の他端に一端が連結されたアーム105と、アーム105の他端に連結されたバケット106と、を備える。キャブ103は、旋回体101に搭乗する操作者を支持する。ブーム104は、旋回体101の本体に対して揺動する。アーム105は、ブーム104に対して揺動する。バケット106は、アーム105に対して揺動する。すなわち、ブーム104、アーム105、及びバケット106は、建設機械100の作業装置(ショベル機構)を構成する。
【0026】
駆動装置1は、例えば主要部が旋回体101内に設けられている。駆動装置1から供給される作動油(請求項における作動流体の一例)は、例えばブーム104、アーム105及びバケット106を駆動する。
【0027】
<駆動装置>
図2は、第1実施形態における駆動装置1の概略構成図である。
図1図2に示すように、駆動装置1は、例えば、第1から第3油圧シリンダ(請求項における複数のアクチュエータの一例)2,3,4と、各油圧シリンダ2~4に作動油を供給する第1から第3油圧ポンプ(請求項における複数のポンプの一例)12,13,14と、各油圧ポンプ12~14に動力を伝達する単一の電動モータ(請求項における駆動源の一例)15と、電動モータ15から各油圧ポンプ12~14へ動力を分配する動力分配器(請求項における動力分配器の一例)21と、を備える。
【0028】
<油圧シリンダ>
第1油圧シリンダ2は、ブーム104を作動させるブーム用のアクチュエータである。第1油圧シリンダ2は、第1シリンダエンド2aと第1ロッドエンド2bとに第1油圧ポンプ12が接続されている。第1油圧シリンダ2は、第1油圧ポンプ12から第1シリンダエンド2aあるいは第1ロッドエンド2bに作動油が供給されることによりブーム104を矢印A方向(図1参照)に作動する。
【0029】
第2油圧シリンダ3は、アーム105を作動させるアーム用のアクチュエータである。第2油圧シリンダ3は、第2シリンダエンド3aと第2ロッドエンド3bとに第2油圧ポンプ13が接続されている。第2油圧シリンダ3は、第2油圧ポンプ13から第2シリンダエンド3aあるいは第2ロッドエンド3bに作動油が供給されることによりアーム105を矢印B方向(図1参照)に作動する。
【0030】
第3油圧シリンダ4は、バケット106を作動させるバケット用のアクチュエータである。第3油圧シリンダ4は、第3シリンダエンド4aと第3ロッドエンド4bとに第3油圧ポンプ14が接続されている。第3油圧シリンダ4は、第3油圧ポンプ14から第3シリンダエンド4aあるいは第3ロッドエンド4bに作動油が供給されることによりバケット106を矢印C方向(図1参照)に作動する。
【0031】
<油圧ポンプ>
第1油圧ポンプ12は、ブーム用の第1油圧シリンダ2を作動するブーム用のポンプである。第1油圧ポンプ12は、単一の電動モータ15に動力分配器21を介して連結されている。第1油圧ポンプ12は、電動モータ15の動力が動力分配器21を介して伝達されることによりに駆動する。第1油圧ポンプ12が駆動することにより、第1油圧シリンダ2の第1シリンダエンド2aあるいは第1ロッドエンド2bに作動油が供給される。
【0032】
第2油圧ポンプ13は、アーム用の第2油圧シリンダ3を作動するアーム用のポンプである。第2油圧ポンプ13は、単一の電動モータ15に動力分配器21を介して連結されている。第2油圧ポンプ13は、電動モータ15の動力が動力分配器21を介して伝達されることによりに駆動する。第2油圧ポンプ13が駆動することにより、第2油圧シリンダ3の第2シリンダエンド3aあるいは第2ロッドエンド3bに作動油が供給される。
【0033】
第3油圧ポンプ14は、バケット用の第3油圧シリンダ4を作動するバケット用のポンプである。第3油圧ポンプ14は、単一の電動モータ15に動力分配器21を介して連結されている。第3油圧ポンプ14は、電動モータ15の動力が動力分配器21を介して伝達されることによりに駆動する。第3油圧ポンプ14が駆動することにより、第3油圧シリンダ4の第3シリンダエンド4aあるいは第3ロッドエンド4bに作動油が供給される。
【0034】
<電動モータ>
電動モータ15は、駆動装置1に単一の個数(1つ)設けられている。電動モータ15は、例えば旋回体101に設けられた図示しないバッテリに接続されている。バッテリは、例えば高電圧に設定されている。電動モータ15は、バッテリから電力が供給されることにより駆動する。電動モータ15としては、いわゆるブラシ付きモータやブラシレスモータ等、さまざまな電動モータを採用できる。
電動モータ15のモータシャフト(図示せず)は、動力分配器21を介して第1油圧ポンプ12、第2油圧ポンプ13、第3油圧ポンプ14に連結されている。電動モータ15の動力は、動力分配器21を介して第1油圧ポンプ12、第2油圧ポンプ13、第3油圧ポンプ14に伝達される。
【0035】
電動モータ15から伝達された動力で、第1油圧ポンプ12、第2油圧ポンプ13、第3油圧ポンプ14が駆動される。第1油圧ポンプ12が駆動することにより、第1油圧ポンプ12から第1油圧シリンダ2に所定油圧が供給される。第2油圧ポンプ13が駆動することにより、第2油圧ポンプ13から第2油圧シリンダ3に所定油圧が供給される。第3油圧ポンプ14が駆動することにより、第3油圧ポンプ14から第3油圧シリンダ4に所定油圧が供給される。
【0036】
<動力分配器>
動力分配器21は、単一の電動モータ15から第1油圧ポンプ12、第2油圧ポンプ13、及び第3油圧ポンプ14の個々に動力を伝達する第1動力伝達経路22、第2動力伝達経路23、及び第3動力伝達経路24の途中に設けられている。具体的には、動力分配器21は、第1変速器26と、第2変速器27と、第3変速器28と、を備えている。第1変速器26、第2変速器27、及び第3変速器28は、請求項における複数の変速器の一例を示す。
【0037】
第1変速器26は、第1動力伝達経路22の途中に設けられ、一例として、いわゆる遊星歯車機構が使用されている。すなわち、第1変速器26は、例えば太陽歯車と、複数の遊星歯車と、内歯歯車と、キャリアと、を備える。太陽歯車は、電動モータ15のモータシャフトに回転が伝達可能に連結されている。第1変速器26は、出力軸が第1油圧ポンプ12の駆動軸に回転が伝達可能に連結されている。
複数の遊星歯車は、例えば公転と非公転との一方を任意に選択して設定可能に構成されている。また、内歯歯車は、例えば回転と非回転との一方を任意に選択して設定可能に構成されている。さらに、キャリアは、例えば回転と非回転との一方を任意に選択して設定可能に構成されている。
【0038】
ここで、複数の遊星歯車を公転、内歯歯車を非回転、キャリアを回転に設定した状態で、第1変速器26を作動させる例について説明する。
すなわち、電動モータ15を駆動させることにより、第1変速器26の太陽歯車がモータシャフトと一体となって回転する。太陽歯車の回転で複数の遊星歯車が自転しながら太陽歯車を中心に公転する。複数の遊星歯車が公転することによりキャリアが回転する。キャリアと一体となって、第1変速器26の出力軸が回転する。
第1変速器26の出力軸は、第1油圧ポンプ12の駆動軸に回転が伝達可能に連結されている。よって、第1変速器26は、電動モータ15の回転を減速して第1油圧ポンプ12の駆動軸に伝達する。
【0039】
ここで、第1変速器26によれば、複数の遊星歯車の公転/非公転、内歯歯車の回転/非回転、キャリアの回転/非回転を任意に選択することにより、複数の遊星歯車の公転、内歯歯車の回転、キャリアの回転を第1変速器26の出力軸の回転とすることができる。
これにより、第1変速器26は、電動モータ15の回転を減速するように変速して第1油圧ポンプ12の駆動軸に伝達することができる。すなわち、第1変速器26は、電動モータ15の回転に対する変速比を調整することができる。
【0040】
複数の遊星歯車の公転/非公転、内歯歯車の回転/非回転、キャリアの回転/非回転の選択は、例えば制御部31の操作レバー(図示せず)により調整できる。制御部31は、例えばキャブ103の内部に備えられた操作レバーや操作ペダル(図示せず)等で構成されている。
【0041】
第2変速器27及び第3変速器28は、第1変速器26と同様に構成されている。第2変速器27は、第2動力伝達経路23の途中に設けられ、電動モータ15の回転を変速して第2油圧ポンプ13の駆動軸に伝達することができる。すなわち、第2変速器27は、電動モータ15の回転に対する変速比を調整することができる。
また、第3変速器28は、第3動力伝達経路24の途中に設けられ、電動モータ15の回転を変速して第3油圧ポンプ14の駆動軸に伝達することができる。すなわち、第3変速器28は、電動モータ15の回転に対する変速比を調整することができる。
【0042】
以上説明したように、動力分配器21は、第1変速器26、第2変速器27、及び第3変速器28の変速比を制御部31によりそれぞれ調整することができる。すなわち、動力分配器21は、単一の電動モータ15に対する第1油圧ポンプ12、第2油圧ポンプ13、第3油圧ポンプ14の個々の変速比を操作レバー等の制御部31で可変可能に構成されている。
これにより、動力分配器21は、単一の電動モータ15の動力を、第1油圧ポンプ12、第2油圧ポンプ13、第3油圧ポンプ14の個々が必要とする動力に分配できる。
【0043】
<クラッチ>
電動モータ15と動力分配器21との途中の動力伝達経路には、例えばメインクラッチ35が設けられている。メインクラッチ35は、電動モータ15の回転を動力分配器21に伝達したり遮断したりする。また、第1変速器26と第1油圧ポンプ12との途中の第1動力伝達経路22には、例えば第1クラッチ36が設けられている。第1クラッチ36は、第1変速器26の回転を第1油圧ポンプ12に伝達したり遮断したりする。
【0044】
第2変速器27と第2油圧ポンプ13との途中の第2動力伝達経路23には、例えば第2クラッチ37が設けられている。第2クラッチ37は、第2変速器27の回転を第2油圧ポンプ13に伝達したり遮断したりする。
第3変速器28と第3油圧ポンプ14との途中の第3動力伝達経路24には、例えば第3クラッチ38が設けられている。第3クラッチ38は、第3変速器28の回転を第3油圧ポンプ14に伝達したり遮断したりする。
メインクラッチ35、第1クラッチ36、第2クラッチ37、第3クラッチ38の接続/遮断は、例えば制御部31の操作レバーや操作ペダルの操作により切り換えられる。
【0045】
<駆動装置の動作>
次に、駆動装置1の動作について説明する。
電動モータ15を駆動した状態で、メインクラッチ35、第1クラッチ36、第2クラッチ37、第3クラッチ38の接続/遮断を、制御部31の操作レバーや操作ペダルを操作することにより切り換える。また、動力分配器21の第1変速器26、第2変速器27、第3変速器28の変速比を制御部31の操作レバーを操作することにより調整する。
【0046】
このため、動力分配器21は、電動モータ15の動力を第1油圧ポンプ12、第2油圧ポンプ13、第3油圧ポンプ14の個々が必要とする動力に分配できる。これにより、第1油圧ポンプ12、第2油圧ポンプ13、第3油圧ポンプ14が必要とする動力で、各々の油圧ポンプ12,13,14を駆動することができる。
第1油圧ポンプ12、第2油圧ポンプ13、第3油圧ポンプ14が駆動されることにより、第1油圧シリンダ2、第2油圧シリンダ3、第3油圧シリンダ4が駆動し、ブーム104、アーム105、及びバケット106が作動される。
【0047】
ところで、建設機械100は、例えば、ブーム104、アーム105、又はバケット106を単独で作動させる場合がある。この場合、第1クラッチ36、第2クラッチ37、第3クラッチ38のうち、単一の必要なクラッチのみを接続状態に切り替えることにより、ブーム104、アーム105、バケット106を単独で矢印A、矢印B、矢印Cの如く作動させることができる。
【0048】
また、建設機械100は、ブーム104、アーム105、バケット106のうち、例えばブーム104及びアーム105を複合状態で作動する場合がある。この場合には、単一の電動モータ15の動力を動力分配器21(すなわち、第1変速器26、第2変速器27)でブーム104及びアーム105が必要とする動力に分配できる。よって、単一の電動モータ15の動力でブーム104及びアーム105を複合状態で矢印A、矢印Bの如く作動させることができる。
【0049】
以上説明したように、第1実施形態の駆動装置1では、動力分配器21は、第1変速器26、第2変速器27、及び第3変速器28の変速比を可変可能とした。このため、単一の電動モータ15の動力を動力分配器21(第1変速器26、第2変速器27、第3変速器28)で第1油圧ポンプ12、第2油圧ポンプ13、第3油圧ポンプ14の個々が必要とする動力に分配できる。
また、メインクラッチ35、第1クラッチ36、第2クラッチ37、第3クラッチ38の接続/遮断を切り替えることができる。
【0050】
このため、第1油圧ポンプ12、第2油圧ポンプ13、第3油圧ポンプ14の個々が単独で必要とする動力を確保できる。これにより、例えば、ブーム104、アーム105、又はバケット106を単独で作動する場合には、第1油圧シリンダ2、第2油圧シリンダ3、第3油圧シリンダ4の個々が単独作動する場合の最大出力を単一の電動モータ15で維持(分配)できる。
【0051】
したがって、ブーム104、アーム105、又はバケット106の個々を単独で作動させる場合に、第1油圧シリンダ2、第2油圧シリンダ3、第3油圧シリンダ4の単独作動時の最大出力を、従来技術のように複数の電動モータで維持する必要がない。
これにより、ブーム104、アーム105、バケット106を作動させるために必要な合計所要動力の肥大化を抑えることができる(回避できる)。
【0052】
また、例えば、ブーム104、アーム105、バケット106のうち、複数の作業部材を選択して複合状態で作動する場合がある。この場合には、単一の電動モータ15の動力を動力分配器21(すなわち、第1変速器26、第2変速器27、第3変速器28)で分配することにより、単一の電動モータ15の動力の範囲内で、個々の油圧ポンプ12,13,14が必要とする動力を確保できる。
このため、従来技術のように第1油圧ポンプ12、第2油圧ポンプ13、第3油圧ポンプ14に対応する複数の電動モータ15を備える必要がない。これにより、電動モータ15の個数を単一に減らすことができ、駆動装置1の小型化を図ることができる。
【0053】
さらに、駆動装置1は、建設機械100に備えた旋回体101に搭載されている。これにより、ブーム104、アーム105、バケット106を作動させるために必要な合計所要動力の肥大化を抑えることができ、さらに、電動モータ15の個数を単一に減らして駆動装置1の小型化を図ることができる建設機械100を得ることができる。
【0054】
<動力分配器の変形例>
次に、動力分配器の変形例について説明する。
上述の実施形態では、動力分配器21として第1変速器26、第2変速器27、及び第3変速器28が遊星歯車機構の場合について説明したが、これに限られるものではない。その他の例として、一般に知られている偏心揺動型の減速部や無段変速部等の減速器や変速機を動力分配器21としてもよい。
【0055】
偏心揺動型の減速部は、例えば、円筒状のケースと、ケースの径方向内側に配置されたキャリアと、電動モータ15のモータシャフトの回転数に対して一定の比率で減速された回転数でキャリアを回転させる減速出力部と、を備える。減速出力部は、例えば、複数のクランク軸と、クランク軸の回転に伴って揺動回転する第1外歯歯車及び第2外歯歯車と、を備える。減速出力部は、複数のクランク軸の回転を減速してキャリアに伝達し、電動モータ15のモータシャフトに対してキャリアを減速回転させる。
【0056】
この偏心揺動型の減速部を、第1実施形態の第1変速器26、第2変速器27、及び第3変速器28に代えて第1減速部、第2減速部、第3減速部としてもよい。第1減速部、第2減速部、第3減速部は、単一の電動モータ15の動力を、第1油圧ポンプ12、第2油圧ポンプ13、第3油圧ポンプ14の個々が必要とする動力に分配できるように減速比が設定されている。すなわち、偏心揺動型の減速部を動力分配器21として備えた場合でも、第1実施形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0057】
無段変速部は、電動モータ15のモータシャフト側に設けられた一対の第1プーリと、油圧ポンプ側のシャフトに設けられた一対の第2プーリと、一対の第1プーリ間及び一対の第2プーリ間にかけられた駆動ベルトと、を備える。無段変速部は、一対の第1プーリの幅や一対の第2プーリの幅がそれぞれ変更される。これにより、一対の第1プーリ及び一対の第2プーリに接する駆動ベルトの摺動位置が変更されて変速比を無段階に変化させる。
【0058】
この無段変速部を、第1実施形態の第1変速器26、第2変速器27、及び第3変速器28に代えて第1変速部、第2変速部、第3変速部としてもよい。第1変速部、第2変速部、第3変速部は、単一の電動モータ15の動力を、第1油圧ポンプ12、第2油圧ポンプ13、第3油圧ポンプ14の個々が必要とする動力に分配できるように変速比が設定される。すなわち、無段変速部を動力分配器21として備えた場合でも、第1実施形態の作用効果を得ることができる。
【0059】
その他、動力分配器21はさまざまな形態を採用できる。動力分配機21として、単一の駆動源(例えば、電動モータ15)の動力を各油圧ポンプ12~14の個々が必要とする動力に分配できる構成であればよい。
【0060】
[第2実施形態]
<駆動装置>
次に、第2実施形態の駆動装置50を図3に基づいて説明する。なお、第2実施形態において第1実施形態の駆動装置1と同一類似部材については同じ符号を付して詳しい説明を省略する。
図3は、第2実施形態における駆動装置50の概略構成図である。
図3に示すように、駆動装置50は、第1実施形態の第1油圧ポンプ12、第2油圧ポンプ13、第3油圧ポンプ14、及び動力分配器21に代えて、第1可変容量ポンプ52、第2可変容量ポンプ53、及び第3可変容量ポンプ54を備えたものである。
第1可変容量ポンプ52、第2可変容量ポンプ53、及び第3可変容量ポンプ54は、請求項における複数の可変容量ポンプの一例を示す。
【0061】
<可変容量ポンプ>
第1可変容量ポンプ52は、例えば、ブーム用の第1油圧シリンダ2を作動するブーム用のピストンポンプである。第1可変容量ポンプ52は、単一の電動モータ15のモータシャフトに第1動力伝達経路22を介して駆動軸が回転可能に連結されている。第1可変容量ポンプ52は、電動モータ15の動力(回転)が伝達されることによりに駆動する。第1可変容量ポンプ52が駆動することにより、第1油圧シリンダ2の第1シリンダエンド2aあるいは第1ロッドエンド2bに作動油が供給される。
【0062】
第1可変容量ポンプ52は、例えば、制御部31の操作レバー(図示せず)を操作してピストンに連結された斜板の傾斜角度(傾転角度)を変更することにより、作動油の供給を零から最大吐出量の範囲で無段階に可変できる。このため、第1可変容量ポンプ52は、第1油圧シリンダ2が必要とする動力に対応する作動油を第1油圧シリンダ2に供給できる。この結果、第1可変容量ポンプ52から第1油圧シリンダ2に作動油を供給することにより、単一の電動モータ15の動力に対して第1油圧シリンダ2が必要とする動力を確保できる。
【0063】
第2可変容量ポンプ53は、例えば、アーム用の第2油圧シリンダ3を作動するアーム用のピストンポンプである。第2可変容量ポンプ53は、単一の電動モータ15に第2動力伝達経路23を介して駆動軸が回転可能に連結されている。第2可変容量ポンプ53は、電動モータ15の動力(回転)が伝達されることによりに駆動する。第2可変容量ポンプ53が駆動することにより、第2油圧シリンダ3の第2シリンダエンド3aあるいは第2ロッドエンド3bに作動油が供給される。
【0064】
第2可変容量ポンプ53は、例えば、制御部31の操作レバー(図示せず)を操作してピストンに連結された斜板の傾斜角度を変更することにより、作動油の供給を零から最大吐出量の範囲で無段階に可変できる。このため、第2可変容量ポンプ53は、第2油圧シリンダ3が必要とする動力に対応する作動油を第2油圧シリンダ3に供給できる。この結果、第2可変容量ポンプ53から第2油圧シリンダ3に作動油を供給することにより、単一の電動モータ15の動力に対して第2油圧シリンダ3が必要とする動力を確保できる。
【0065】
第3可変容量ポンプ54は、例えば、バケット用の第3油圧シリンダ4を作動するバケット用のピストンポンプである。第3可変容量ポンプ54は、単一の電動モータ15に第3動力伝達経路24を介して駆動軸が回転可能に連結されている。第3可変容量ポンプ54は、電動モータ15の動力(回転)が伝達されることによりに駆動する。第3可変容量ポンプ54が駆動することにより、第3油圧シリンダ4の第3シリンダエンド4aあるいは第3ロッドエンド4bに作動油が供給される。
【0066】
第3可変容量ポンプ54は、例えば、制御部31の操作レバー(図示せず)を操作してピストンに連結された斜板の傾斜角度を変更することにより、作動油の供給を零から最大吐出量の範囲で無段階に可変できる。このため、第3可変容量ポンプ54は、第3油圧シリンダ4が必要とする動力に対応する作動油を第3油圧シリンダ4に供給できる。この結果、第3可変容量ポンプ54から第3油圧シリンダ4に作動油を供給することにより、単一の電動モータ15の動力に対して第3油圧シリンダ4が必要とする動力を確保できる。
【0067】
このように、第1可変容量ポンプ52、第2可変容量ポンプ53、第3可変容量ポンプ54の個々には、単一の電動モータ15の動力がそれぞれ伝達される。さらに、第1可変容量ポンプ52、第2可変容量ポンプ53、第3可変容量ポンプ54は、単一の電動モータ15の動力を、第1油圧シリンダ2、第2油圧シリンダ3、第3油圧シリンダ4の個々が必要とする動力に分配できる。
【0068】
<駆動装置の動作>
次に、駆動装置50の動作について説明する。
電動モータ15を駆動した状態で、第1可変容量ポンプ52、第2可変容量ポンプ53、第3可変容量ポンプ54の斜板の傾斜角度を、制御部31の操作レバーを操作することにより変更(調整)する。このため、第1可変容量ポンプ52、第2可変容量ポンプ53、第3可変容量ポンプ54は、電動モータ15の動力を第1油圧シリンダ2、第2油圧シリンダ3、第3油圧シリンダ4の個々が必要とする動力に分配できる。
この結果、第1油圧ポンプ12、第2油圧ポンプ13、第3油圧ポンプ14が駆動することにより、第1油圧シリンダ2、第2油圧シリンダ3、第3油圧シリンダ4が駆動し、ブーム104、アーム105、及びバケット106が作動する。
【0069】
ところで、建設機械100は、例えば、ブーム104、アーム105、又はバケット106を単独で作動させる場合がある。この場合、第1可変容量ポンプ52、第2可変容量ポンプ53、第3可変容量ポンプ54の斜板の傾斜角度を制御部31の操作レバーで操作することにより、個々の可変容量ポンプ52,53,54による作動油の供給を零又は最大吐出量に可変する。これにより、ブーム104、アーム105、バケット106を単独で矢印A、矢印B、矢印C(図1参照)の如く作動させることができる。
【0070】
また、建設機械100は、ブーム104、アーム105、バケット106のうち、例えばブーム104及びアーム105を複合状態で作動する場合がある。この場合には、単一の電動モータ15の動力を第1可変容量ポンプ52、第2可変容量ポンプ53でブーム104及びアーム105が必要とする動力に分配できる。このため、単一の電動モータ15の動力でブーム104及びアーム105を複合状態で矢印A、矢印B(図1参照)の如く作動させることができる。
【0071】
以上説明したように、第2実施形態の駆動装置50では、単一の電動モータ15の動力を第1可変容量ポンプ52、第2可変容量ポンプ53、第3可変容量ポンプ54の個々にそれぞれ伝達するようした。さらに、第1可変容量ポンプ52、第2可変容量ポンプ53、第3可変容量ポンプ54で、第1油圧シリンダ2、第2油圧シリンダ3、第3油圧シリンダ4の個々が単独で必要とする動力を確保できるようした。
したがって、上述の第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0072】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えることが可能である。
例えば、上述の実施形態では、建設機械100の作業装置として、ブーム104、アーム105、及びバケット106のショベル機構を例示した。しかしながらこれに限られるものではなく、建設機械の作業装置は、ブーム104、アーム105、及びバケット106以外の他の作業装置にも適用できる。
【0073】
上述の実施形態では、駆動源として電動モータ15を用いた場合について説明したが、これに限られるものではない。各油圧ポンプ12~14や各可変容量ポンプ52~54の駆動源となるものであればよい。例えば駆動源として、電動モータ15に代わってエンジンを用いることも可能である。
【0074】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上記した実施形態の構成要素を周知の構成要素に置き換えることは可能である。また、上述した各変形例を組み合わせても構わない。
【符号の説明】
【0075】
1,50…駆動装置
2…第1油圧シリンダ(アクチュエータ)
3…第2油圧シリンダ(アクチュエータ)
4…第3油圧シリンダ(アクチュエータ)
12…第1油圧ポンプ(ポンプ)
13…第2油圧ポンプ(ポンプ)
14…第3油圧ポンプ(ポンプ)
15…電動モータ(駆動源)
21…動力分配器
26…第1変速機(変速機)
27…第2変速機(変速機)
28…第3変速機(変速機)
52…第1可変容量ポンプ(可変容量ポンプ)
53…第2可変容量ポンプ(可変容量ポンプ)
54…第3可変容量ポンプ(可変容量ポンプ)
100…建設機械
101…旋回体(車体)
図1
図2
図3