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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157368
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】ロボット装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 13/00 20060101AFI20221006BHJP
   B25J 19/00 20060101ALI20221006BHJP
   G05B 11/36 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
B25J13/00 Z
B25J19/00 A
G05B11/36 F
G05B11/36 501C
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021061546
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】特許業務法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】石川 智己
(72)【発明者】
【氏名】山下 賢人
(72)【発明者】
【氏名】山本 裕介
【テーマコード(参考)】
3C707
5H004
【Fターム(参考)】
3C707CY30
3C707CY31
3C707CY37
3C707HS21
3C707HS24
3C707KS37
3C707LV22
3C707LV23
3C707MT04
5H004GA09
5H004GB16
5H004HA02
5H004HA03
5H004HA14
5H004HB03
5H004HB14
5H004JA03
5H004LA07
(57)【要約】
【課題】調圧弁のスプールの微振動に起因する人工筋肉の軸方向における伸縮を抑制する。
【解決手段】ロボット本体と、流体の供給を受けてロボット本体を駆動する少なくとも1つの人工筋肉と、スプールおよびスプールに推力を付与する電磁部を有し、流体供給源からの流体を電磁部に供給される電流に基づいて調圧して人工筋肉に供給する調圧弁と、調圧弁から人工筋肉に供給される流体圧をロボット本体の駆動に要求される目標圧力にするための制御信号に基づいて電磁部に供給される電流を制御する制御装置と、を備えるロボット装置であって、制御装置は、目標圧力に基づく電磁部への目標電流と、スプールを微振動させるディザ振幅および調圧弁から出力される流体圧のスプールの微振動による変化に伴って人工筋肉を軸方向に伸縮させないディザ周期を有するディザ指令値と、に基づいて制御信号を生成する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロボット本体と、
流体の供給を受けて前記ロボット本体を駆動する少なくとも1つの人工筋肉と、
スプールおよび前記スプールに推力を付与する電磁部を有し、流体供給源からの前記流体を前記電磁部に供給される電流に基づいて調圧して前記人工筋肉に供給する調圧弁と、
前記調圧弁から前記人工筋肉に供給される流体圧を前記ロボット本体の駆動に要求される目標圧力にするための制御信号に基づいて前記電磁部に供給される電流を制御する制御装置と、
を備えるロボット装置であって、
前記制御装置は、前記目標圧力に基づく前記電磁部への目標電流と、前記スプールを微振動させるディザ振幅および前記調圧弁から出力される前記流体圧の前記スプールの微振動による変化に伴って前記人工筋肉を軸方向に伸縮させないディザ周期を有するディザ指令値と、に基づいて前記制御信号を生成する、
ロボット装置。
【請求項2】
請求項1記載のロボット装置であって、
前記制御装置は、少なくとも前記ロボット本体の現在位置と目標位置とのずれ量が所定量以下であるときに、前記目標電流と前記ディザ指令値とに基づいて前記制御信号を生成する、
ロボット装置。
【請求項3】
請求項1または2記載のロボット装置であって、
前記制御装置は、少なくとも前記ロボット本体の目標速度が所定速度以下であるときに、前記目標電流と前記ディザ指令値とに基づいて前記制御信号を生成する、
ロボット装置。
【請求項4】
請求項1ないし3のうちの何れか1つの請求項に記載のロボット装置であって、
前記制御信号は、PWM信号であり、
前記ディザ周期は、前記PWM信号の周期よりも長い、
ロボット装置。
【請求項5】
請求項1ないし4のうちの何れか1つの請求項に記載のロボット装置であって、
前記調圧弁は、常閉型調圧弁であり、
前記制御装置は、前記目標電流の単位時間当たりの増加量である目標電流増加率が所定増加率以上であるときには、前記目標電流増加率が前記閾値未満であるときに比して、前記ディザ振幅を小さくする、
ロボット装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロボット装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の技術としては、アームと、アームと一体に回動するプーリに巻回されたロープを介して対向配置されると共に拮抗駆動される第1および第2人工筋肉と、第1および第2人工筋肉にそれぞれ接続された第1および第2調圧弁と、を備える駆動装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この駆動装置では、位置指令信号と、駆動装置のバンド幅の10倍以上の周波数の同相の外乱信号と、を用いて第1および第2調圧弁の制御信号を生成して第1および第2調圧弁を制御する。これにより、ディザ効果により第1および第2人工筋肉の有するヒステリシスを低減している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開昭61-107405号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の駆動装置では、第1および第2調圧弁のスプールの微振動に起因して、第1および第2人工筋肉のうちの少なくとも何れかが振動し、騒音や耐久性の低下を生じる可能性がある。
【0005】
本開示のロボット装置は、調圧弁のスプールの微振動に起因する人工筋肉の騒音や耐久性の低下を抑制しつつロボット本体の制御精度を高めることを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のロボット装置は、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本開示のロボット装置は、ロボット本体と、流体の供給を受けて前記ロボット本体を駆動する少なくとも1つの人工筋肉と、スプールおよび前記スプールに推力を付与する電磁部を有し、流体供給源からの前記流体を前記電磁部に供給される電流に基づいて調圧して前記人工筋肉に供給する調圧弁と、前記調圧弁から前記人工筋肉に供給される流体圧を前記ロボット本体の駆動に要求される目標圧力にするための制御信号に基づいて前記電磁部に供給される電流を制御する制御装置と、を備えるロボット装置であって、前記制御装置は、前記目標圧力に基づく前記電磁部への目標電流と、前記スプールを微振動させるディザ振幅および前記調圧弁から出力される前記流体圧の前記スプールの微振動による変化に伴って前記人工筋肉を軸方向に伸縮させないディザ周期を有するディザ指令値と、に基づいて前記制御信号を生成することを要旨とする。
【0008】
本開示のロボット装置では、ロボット本体の駆動に要求される目標圧力に基づく電磁部への目標電流と、スプールを微振動させるディザ振幅および調圧弁から出力される流体圧のスプールの微振動による変化に伴って人工筋肉を軸方向に伸縮させないディザ周期を有するディザ指令値と、に基づいて制御信号を生成する。そして、この制御信号に基づいて調圧弁の電磁部に供給される電流を制御する。これにより、調圧弁のスプールの微振動に起因する人工筋肉の軸方向における伸縮を抑制することができる。この結果、調圧弁のスプールの微振動に起因する人工筋肉の騒音や耐久性の低下を抑制しつつロボット本体の制御精度を高めることができる。例えば、ロボット本体の現在位置が目標位置に接近しているときに、ロボット本体を目標位置に精度よく到達させることができ、ロボット本体をゆっくり動作させるときに、ロボット本体を精度よく動作させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示のロボット装置を示す概略構成図である。
図2】ロボット装置を示す拡大図である。
図3】ロボット装置の流体供給装置を示す概略構成図である。
図4】第1および第2リニアソレノイドバルブを示す概略構成図である。
図5】(a),(b),(c)は、本開示の第1および第2リニアソレノイドバルブの動作を説明するための断面図である。
図6】ロボット装置の制御装置の要部を示すブロック図である。
図7】目標圧力設定マップを例示する説明図である。
図8】ロボット装置の制御装置の要部を示すブロック図である。
図9】第1リニアソレノイドバルブの電磁部に供給される電流の様子を例示する説明図である。
図10】ディザ振幅設定処理の一例を示すフローチャートである。
図11】ディザ振幅設定処理の一例を示すフローチャートである。
図12】本開示のロボット装置の制御装置の要部を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、図面を参照しながら、本開示の発明を実施するための形態について説明する。
【0011】
図1は、本開示のロボット装置1を示す概略構成図であり、図2は、ロボット装置1を示す拡大図である。これらの図面に示すロボット装置1は、ロボットアーム(ロボット本体)2と、流体供給装置10と、装置全体を制御する制御装置100とを含む。ロボットアーム2は、複数(本実施形態では、3つ)の関節(ピン結合部)J1,J2,J3と、複数(本実施形態では、3つ)のアーム(リンク)3と、関節J1,J2,J3ごとに例えば偶数個(本実施形態では、4つ)ずつ設けられる人工筋肉としての複数の流体アクチュエータMと、先端側のアーム3の手先に取り付けられる把持部としてのハンド部(ロボットハンド)4とを含む多関節アームである。ハンド部4は、対象となる物体(以下、「把持対象」という)を把持するように制御装置100により制御される。また、流体供給装置10は、制御装置100により制御されて各流体アクチュエータMに流体としての作動油(作動流体)を給排する。これにより、ロボットアーム2を油圧(流体圧)により駆動してハンド部4を所望の位置に移動させることができる。
【0012】
ロボットアーム2の各流体アクチュエータMは、図2に示すように、作動油の圧力によって膨張および収縮するチューブTと、チューブTを覆う編組スリーブSとを含む、いわゆるマッキベン型の人工筋肉である。チューブTは、高い耐油性をもった例えばゴム材等の弾性材により円筒状に形成されており、チューブTの両端部は、封止部材Cにより封止されている。チューブTの基端側(流体供給装置10側、図2中下端側)の封止部材Cには、作動油の出入口IOが形成されている。編組スリーブSは、所定方向に配向された複数のコードを互いに交差するように編み込むことにより円筒状に形成されており、軸方向および径方向に収縮可能である。編組スリーブSを形成するコードとしては、繊維コード、高強度繊維、極細のフィラメントによって構成される金属製コード等を採用することができる。かかる流体アクチュエータMのチューブT内に上記出入口IOから作動油を供給してチューブT内の作動油の圧力を高めることで、チューブTは、編組スリーブSの作用により径方向に膨張すると共に軸方向に収縮し、内部の作動油の圧力に応じた収縮力を発生する。
【0013】
図1および図2に示すように、複数のアーム3のうち、最基端側(最も流体供給装置10側)のアーム3は、関節J1を介してリンクとしての支持部材5により回動自在に支持される。また、2つのアーム3同士が、関節J2またはJ3を介して互いに回動自在に連結される。更に、各アーム3の先端部(手先側の端部)には、連結部材6が固定されている。図示するように、支持部材5は、最基端側の関節J1に対応した複数(4つ)の流体アクチュエータMの基端側の封止部材Cを回動自在に支持する。また、各アーム3の連結部材6は、基端側に位置する関節J1またはJ2に対応した複数(4つ)流体アクチュエータMの先端側(手先側)の封止部材Cを回動自在に支持する。更に、各連結部材6は、先端側に位置する関節J2またはJ3に対応した複数(4つ)流体アクチュエータMの基端側の封止部材Cを回動自在に支持する。
【0014】
より詳細には、支持部材5は、関節J1に対応した2つの流体アクチュエータMの基端側の封止部材Cを第1の連結軸を介して回動自在に支持する。また、最基端側のアーム3の連結部材6は、関節J1に対応した2つの流体アクチュエータMの先端側の封止部材Cを第2の連結軸を介して回動自在に支持する。更に、支持部材5は、関節J1に対応した残り2つの流体アクチュエータMの基端側の封止部材Cを上記第1の連結軸と平行に延びる第3の連結軸を介して回動自在に支持する。また、最基端側のアーム3の連結部材6は、関節J1に対応した残り2つの流体アクチュエータMの先端側の封止部材Cを上記第2の連結軸と平行に延びる第4の連結軸を介して回動自在に支持する。同様に、関節J2またはJ3を介して互いに連結される2つのアーム3の連結部材6も、上述のような複数の連結軸を介して、関節J2またはJ3に対応した複数(4つ)の流体アクチュエータMの対応する封止部材Cを回動自在に支持する。
【0015】
これにより、関節J1-J3の関節軸から手先側(ハンド部4側)に延びる各アーム3の両側には、流体アクチュエータMが本実施形態では2つずつ対応するアーム3と平行に配列される。そして、各アーム3の一側に配置される2つの流体アクチュエータMは、1つの関節J1,J2またはJ3に対応した第1の人工筋肉(一方の拮抗筋)AM1(図3参照)を構成し、各アーム3の他側に配置される2つの流体アクチュエータMは、第1の人工筋肉AM1と対をなす1つの関節J1,J2またはJ3に対応した第2の人工筋肉(他方の拮抗筋)AM2(図3参照)を構成する。ただし、第1の人工筋肉AM1を構成する流体アクチュエータMの数と、第2の人工筋肉AM2を構成する流体アクチュエータMの数とが異なっていてもよい。また、本実施形態において、1つの関節J1,J2またはJ3に対して設けられる複数(4つ)の流体アクチュエータMは、互いに同一の諸元を有する。ただし、1つの関節J1,J2またはJ3に対応した複数の流体アクチュエータMの諸元は、必ずしも同一である必要はなく、例えば、第1の人工筋肉AM1を構成する流体アクチュエータMの諸元と、第2の人工筋肉AM2を構成する流体アクチュエータMの諸元とが異なっていてもよい。更に、各アーム3は、中空に形成されており、各アーム3の内部には、流体供給管としての複数のホースH(図2における破線参照)が配置される。各ホースHは、対応する流体アクチュエータMの基端側の封止部材Cに形成された出入口IOに接続され、各流体アクチュエータMのチューブT内には、ホースHを介して流体供給装置10からの作動油(油圧)が供給される。
【0016】
従って、制御装置100により流体供給装置10を制御することで、第1の人工筋肉AM1を構成する2つの流体アクチュエータMのチューブT内の油圧と、第1の人工筋肉AM1と対をなす第2の人工筋肉AM2を構成する2つの流体アクチュエータMのチューブT内の油圧とを互いに異ならせることができる。これにより、4つの流体アクチュエータMすなわち対をなす(1組の)第1および第2の人工筋肉AM1,AM2から連結部材6を介して各アーム3に力(回転トルク)を伝達し、支持部材5または基端側のアーム3に対して各アーム3を回動させて関節J1-J3の関節角度を変化させることが可能となる。本実施形態において、第1の人工筋肉AM1を構成する2つの流体アクチュエータMと、第1の人工筋肉AM1と対をなす第2の人工筋肉AM2を構成する2つの流体アクチュエータMとは、チューブTが所定量(例えば、自然長の10%程度)だけ軸方向に収縮した状態を初期状態として流体供給装置10からの油圧により拮抗駆動される。
【0017】
ロボット装置1の流体供給装置10は、図1に示すように、作動油貯留部(流体貯留部)を画成するタンク11と、タンク11を上下方向に延びる回動軸(図1における一点鎖線参照)の周りに回動自在に支持するベース部12とを含む。タンク11は、例えば上端および下端が閉鎖された筒体であり、内部に作動油を貯留可能なものである。本実施形態において、ロボットアーム2の支持部材5は、図2に示すように、タンク11の上壁部11uに図示しないボルト等を介して固定される。すなわち、ロボットアーム2は、流体供給装置10のタンク11(上壁部11u)により支持される。
【0018】
ベース部12は、ロボットアーム2およびタンク11の下方に位置するようにロボット装置1の設置箇所に固定されるか、あるいは図示しない無人搬送車(AGV)に搭載(固定)される。また、ベース部12は、タンク11を上記回動軸の周りに回動させる図示しない回動ユニットを支持している。これにより、回動ユニットを作動させることで、ロボットアーム2およびタンク11を回動軸の周りに一体に回動させることが可能となる。回動ユニットは、流体供給装置10から供給される油圧により駆動される揺動モータであってもよく、電動モータ等を含むものであってもよい。
【0019】
更に、流体供給装置10は、図3に示すように、タンク11およびベース部12に加えて、流体供給源としてのポンプ13と、タンク11内に配置される図示しないバルブボディと、元圧生成バルブ14と、それぞれ複数の調圧弁(調圧装置)としての第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152とを含む。ポンプ13と、第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152とは、何れも制御装置100により制御される。第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152は、関節J1-J3ごとにそれぞれ1つずつ設けられる。
【0020】
ポンプ13は、例えば電動ポンプであり、タンク11内に貯留された作動油を吸引して吐出口から吐出する。ポンプ13は、タンク11内に配置されるポンプ部と、電動モータおよび減速ギヤ機構とを有すると共にタンク11内またはタンク11外に配置される駆動部とを含む。元圧生成バルブ14は、図示しない信号圧生成バルブからの信号圧に応じてポンプ13から吐出される作動油の一部をドレン(調圧)して元圧を生成し、元圧をバルブボディに形成された油路(流体通路)L0に供給する。元圧生成バルブ14の信号圧生成バルブとしては、例えば、制御装置100により通電制御されるリニアソレノイドバルブが用いられる。
【0021】
第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152は、それぞれバルブボディ内に配置されると共に互いに同一の構造を有し、図3図4に示すように、制御装置100により通電制御される電磁部20と、電磁部20により駆動されて作動油を調圧するバルブ部30とを含む。本実施形態において、第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152は、電磁部20に電流が供給される際に開弁する常閉型リニアソレノイドバルブである。
【0022】
電磁部20は、軸方向に並べて配置される筒状の第1および第2コアと、第1および第2コアを包囲するように配置される筒状のコイルと、第2コア内に軸方向に移動自在に配置されるプランジャと、第1コア内でプランジャに連動して軸方向に移動可能なロッド21と、これらの部材を収容するヨーク(ケース)とを含む(図4には、ロッド21のみを示す)。電磁部20のコイルを電流が流れると、ヨーク、第2コア、プランジャ、第1コアの順に流れる磁束回路が形成される。これにより、プランジャが第1コア側に吸引され、プランジャに連動してロッド21が第1コアから突出する方向(図4における右側)に移動する。本実施形態において、電磁部20に供給される電流は、目標電流に基づいて生成されるPWM信号により制御される。
【0023】
バルブ部30は、図4に示すように、上述のバルブボディに組み込まれる略円筒状のスリーブ40と、スリーブ40の内部に軸方向に摺動自在(移動自在)に配置されるスプール50とを有する。スリーブ40の一端部(図中左端部)は、電磁部20(ヨーク)に対して固定され、スリーブ40の電磁部20側とは反対側の端部(図中右端部)には、端部を閉鎖するキャップCPが固定(螺合)される。また、スリーブ40の内部には、スプール50とキャップCPとの間に位置するようにスプリング(弾性部材)SPが配置される。スプリングSPは、本実施形態においてコイルスプリングであり、スプール50を電磁部20側(図4における左側)に付勢する。
【0024】
スリーブ40は、図4に示すように、入力ポート41iと、入力ポート41iと連通可能な出力ポート41oと、出力ポート41oに連通するフィードバックポート41fと、出力ポート41oと連通可能なドレンポート41dとを含む。図3に示すように、第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152の入力ポート41iは、それぞれ油路L0に連通する。第1リニアソレノイドバルブ151の出力ポート41oは、油路L11および油路L12を介して対応する上記第1の人工筋肉AM1を構成する2つの流体アクチュエータM(チューブT)の作動油の出入口IOに連通する。第1リニアソレノイドバルブ151の出力ポート41oは、油路L21および油路L22を介して対応する上記第2の人工筋肉AM2を構成する2つの流体アクチュエータM(チューブT)の作動油の出入口IOに連通する。第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152のドレンポート41dは、それぞれ油路L3を介してタンク11内の作動油貯留部に連通する。本実施形態において、入力ポート41i、出力ポート41o、ドレンポート41dおよびフィードバックポート41fは、図4に示すように、電磁部20側からスプリングSP(キャップCP)側に向けて、この順番で間隔をおいて軸方向に並ぶようにスリーブ40に形成される。すなわち、入力ポート41iは、出力ポート41oよりも電磁部20側に形成され、ドレンポート41dは、出力ポート41oよりもスプリングSP側に形成され、フィードバックポート41fは、ドレンポート41dよりもスプリングSP側に形成される。
【0025】
スリーブ40の内部には、入力ポート41iに連通する入力室42i、出力ポート41oに連通する出力室42o、ドレンポート41dに連通するドレン室42d、およびフィードバックポート41fに連通するフィードバック室42fが軸方向に間隔をおいて画成されている。更に、スリーブ40の内部には、入力室42iおよび出力室42oで開口する第1連通室45と、出力室42oおよびドレン室42dで開口する第2連通室46と、ドレン室42dおよびフィードバック室42fで開口する第3連通室47とが画成されている。入力室42i、出力室42o、ドレン室42dおよびフィードバック室42fは、互いに同一の内径(断面積)を有する断面円形状の空間部である。第1から第3連通室45,46,47は、互いに同一かつ入力室42i等の内径(断面積)よりも小さい内径(断面積)を有する断面円形状の空間部である。入力室42i、出力室42o、ドレン室42d、フィードバック室42f、および第1から第3連通室45,46,47は、スリーブ40の軸心に沿って互いに同軸に延在する。
【0026】
スプール50は、図4に示すように、4つのランド51,52,53および54と、ランド51および52の間の第1軸部55と、ランド52および53の間の第2軸部56と、ランド53および54の間の第3軸部57とを含む。ランド51,52および53は、互いに同一の外径(断面積)を有する円柱状に形成され、ランド54は、ランド51-53の外径(断面積)よりも小さい外径(断面積)を有する円柱状に形成されている。また、ランド52および53の外径は、スリーブ40の第1から第3連通室45,46,47の内径よりも僅かに小さい値に定められている。更に、本実施形態において、スプール50のランド52は、スリーブ40の出力室42oの軸長よりも長い軸長を有する。第1から第3軸部55-57は、少なくともランド52および53の外径(断面積)よりも小さい外径(断面積)を有する円柱状に形成されている。ランド51-54および第1から第3軸部55-57は、スプール50の軸心に沿って互いに同軸に延在する。
【0027】
スプール50のランド51は、電磁部20側から入力室42iに連通するようにスリーブ40に形成された孔部(円孔)内に摺動自在に配置される。また、ランド51の先端(図4における左端)には、電磁部20のロッド21に当接する当接部51aとストッパ部51sとが形成されている。更に、スプール50のランド54は、スプリングSP(キャップCP)側からフィードバック室42fに連通するようにスリーブ40に形成された孔部(円孔)内に摺動自在に配置され、ランド54とキャップCPとの間に上述のスプリングSPが配置される。これにより、スプール50は、スリーブ40の内部に摺動自在に配置され、スプリングSPにより電磁部20側に付勢されている。そして、スプール50の移動に応じて、スリーブ40の入力ポート41iと出力ポート41oとの連通状態および出力ポート41oとドレンポート41dとの連通状態がスプール50のランド52によって変化させられることになる。
【0028】
上述のように構成された第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152では、それぞれ、スプリングSPによりスプール50に付与される電磁部20側への付勢力と、電磁部20(コイル)に供給される電流により電磁部20からスプール50に付与される電磁部20側とは反対側への推力と、出力ポート41oからフィードバックポート41fに供給される油圧によりスプール50に付与される電磁部20側への推力とをバランスさせることで、元圧生成バルブ14(ポンプ13)側から入力ポート41iに供給されて出力ポート41oから流出する作動油を所望の圧力に調圧することができる。
【0029】
具体的には、第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152では、それぞれ、電磁部20のコイルに電力が供給されていないときには、図4および図5(a)に示すように、スプール50(およびロッド21)がスプリングSPの付勢力により電磁部20のプランジャに対して(図4および図5における左側に)押し付けられる。これにより、図5(a)に示すように、スプール50のランド52の入力室42i側の端面52iが第1連通室45内に位置すると共に、ランド52のドレン室42d側の端面52dが出力室42o内に位置する。ランド52の入力室42i側の端面52iが第1連通室45内に位置することにより、入力ポート41iと出力ポート41oとが、ランド52の外周面と第1連通室45を画成するスリーブ40の内周面との僅かなクリアランスを介して連通する。更に、ランド52のドレン室42d側の端面52dが出力室42o内に位置することにより、出力室42oとドレン室42dとが第2連通室46を介して十分な連通量で連通する。以下、第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152のこうした状態を「第1状態」という。
【0030】
電磁部20に電流が供給されてロッド21がプランジャと共にスプリングSP側(図4および図5における右側)に移動すると、スプール50は、ロッド21により押圧されてスプリングSPの付勢力に抗してスプリングSP(キャップCP)側に移動する。第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152では、スプール50がスプリングSP側に移動していくと、図5(b)に示すように、ランド52の入力室42i側の端面52iが第1連通室45内に位置しつつ、ランド52のドレン室42d側の端面52dが出力室42oと第2連通室46との境界を越えて第2連通室46内に位置する。ランド52の入力室42i側の端面52iが第1連通室45内に位置することにより、入力ポート41iと出力ポート41oとが、ランド52の外周面と第1連通室45を画成するスリーブ40の内周面との僅かなクリアランスを介して連通する。更に、ランド52のドレン室42d側の端面52dが第2連通室46内に位置することにより、出力ポート41oとドレンポート41dとが、ランド52の外周面と第2連通室46を画成するスリーブ40の内周面との僅かなクリアランスを介して連通する。以下、第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152のこうした状態を「第2状態」という。
【0031】
電磁部20に供給される電流が更に大きくなって、スプール50が更にロッド21により押圧されてスプリングSP(キャップCP)側に移動していくと、図5(c)に示すように、ランド52のドレン室42d側の端面52dが第2連通室46内に位置しつつ、ランド52の入力室42i側の端面52iが第1連通室45と出力室42oとの境界を越えて出力室42o内に位置する。ランド52の端面52iが出力室42o内に位置することにより、第1連通室45を介して入力室42iと出力室42oとが十分な連通量で連通する。更に、ランド52のドレン室42d側の端面52dが第2連通室46内に位置することにより、出力ポート41oとドレンポート41dとが、ランド52の外周面と第2連通室46を画成するスリーブ40の内周面との僅かなクリアランスを介して連通する。以下、第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152のこうした状態を「第3状態」という。
【0032】
以下、第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152のスプール50の初期位置(第1状態での位置)からの移動量を「ストローク量Sc1,Sc2」という。また、スプール50のランド52の入力室42i側の端面52iが第1連通室45と出力室42oとの境界に位置するときのストローク量Sc1,Sc2を「所定ストローク量Scref1,Scref2」という。スリーブ40の入力室42i(入力ポート41i)と出力室42o(出力ポート41o)との連通量は、ストローク量Sc1,Sc2が所定ストローク量Scref1,Scref2以下であるとき(第1状態や第2状態であるとき)には、所定量(ランド52の外周面と第1連通室45を画成するスリーブ40の内周面との僅かなクリアランス)となり、ストローク量Sc1,Sc2が所定ストローク量Scref1,Scref2よりも大きいとき(第3状態であるとき)には、ストローク量Sc1,Sc2が大きくなるにつれて所定量から徐々に多くなる。このため、ストローク量Sc1,Sc2が所定ストローク量Scref1,Scref2よりも大きいときには、ストローク量Sc1,Sc2が所定ストローク量Scref1,Scref2以下であるときに比して、バルブ部30のスプール50の単位移動量当たりのスリーブ40の入力室42i(入力ポート41i)と出力室42o(出力ポート41o)との連通量の変化量、ひいては、第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152の出力ポート41oからの出力油圧の変化量が大きくなる。
【0033】
ポンプ13、元圧生成バルブ14の信号圧生成バルブ、第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152、制御装置100等には、電源としての補機バッテリ60から電力が供給される。補機バッテリ60は、例えば12Vの定格電圧を有する鉛蓄電池等である。
【0034】
ロボット装置1の制御装置100は、CPU、ROM、RAM、入出力インターフェース等を含むマイクロコンピュータや各種ロジックIC等(何れも図示省略)を含む。制御装置100は、第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152の下流側で油路L0における作動油の圧力である油圧(流体圧)を検出する図示しない元圧センサ、補機バッテリ60の電圧を検出する図示しない電圧センサの検出値等を入力する。制御装置100は、元圧センサにより検出される油路L0における油圧が目標値になるように、ポンプ13をデューティ制御すると共に、元圧生成バルブ14の信号圧生成バルブの電磁部に供給される電流を制御する。制御装置100は、第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152から各流体アクチュエータMに要求(目標油圧)に応じた油圧が供給されるように第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152の各電磁部20への目標電流を設定し、目標電流に基づいて各電磁部20に供給される電流を制御する。
【0035】
図6は、制御装置100における第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152の制御部を示すブロック図である。同図に示すように、制御装置100は、それぞれコンピュータのCPUやROM,RAMといったハードウェアと、コンピュータにインストールされた制御プログラムといったソフトウェアとの少なくとも何れか一方により構築される、目標位置設定部101と、現在位置導出部102と、トルク演算部103および重力補償部104を含む目標トルク設定部105と、目標剛性設定部106と、収縮率設定部107、収縮力算出部108および目標圧力導出部109を含む目標圧力設定部110と、目標電流設定部111と、第1および第2バルブ駆動部112,113とを含む機能ブロックを有する。
【0036】
目標位置設定部101は、ハンド部4の把持対象の位置や、ユーザにより与えられるハンド部4の移動中の目標速度および目標加速度に基づいて、ハンド部4の最終的な目標位置である目標到達位置(3次元座標)と、ハンド部4の初期位置から目標到達位置までの軌道であって複数の目標位置すなわち経由位置(3次元座標)を含む目標軌道とを設定する。
【0037】
現在位置導出部102は、ロボットアーム2の関節J1-J3の関節角度θ1,θ2,θ3とロボットアーム2(ロボット装置1)の諸元(アーム3の寸法等)とに基づいて、ハンド部4(予め定められた基準点)の現在位置(3次元座標)を導出する。関節J1-J3の関節角度θ1-θ3は、ロボットアーム2に設けられた複数の関節角度センサ7の対応する何れかにより検出される。以下、“i”を関節の番号として(ただし、本実施形態において、i=1,2,3である。)、i番目の関節を“関節Ji”といい、関節Jiの関節角度を“θi”という。
【0038】
目標トルク設定部105のトルク演算部103は、関節J1-J3ごとに、ハンド部4が現在位置から目標位置まで移動するように関節Jiを介して連結された2つのアーム3(アーム3および支持部材5)を相対的に回動させる関節トルクTj(i)を算出する。目標トルク設定部105の重力補償部104は、関節J1-J3ごとに、関節角度θ1-θ3とロボットアーム2(ロボット装置1)の諸元(アーム3の寸法等)とに基づいてロボットアーム2の姿勢を維持するのに必要な重力補償トルクTc(i)を算出する。そして、目標トルク設定部105は、関節トルクTj(i)と重力補償トルクTc(i)との和を、関節Jiを介して連結される2つのアーム3等を相対的に回動させるための関節トルクの目標値(目標駆動力)である目標トルクTtag(i)に設定する。
【0039】
目標剛性設定部106は、少なくともロボット装置1すなわちハンド部4の目標位置に基づいて、関節J1-J3ごとに、関節Jiがもつべき剛性、すなわち関節Jiを介して連結される2つのアーム3等(リンク)を単位角度だけ相対的に回動させるのに必要な力(トルク)であって、2つのアーム3等を相対的に回動させようとする外力に対する関節Jiの動きにくさを示す目標剛性R(i)を設定する。
【0040】
目標圧力設定部110の収縮率設定部107は、関節J1-J3ごとに、ハンド部4の現在位置に応じた関節Jiの関節角度θiに基づいて、関節Jiに対応した上記第1の人工筋肉AM1を構成する2つの流体アクチュエータMの収縮率Cr1(i)と、関節Jiに対応した上記第2の人工筋肉AM2を構成する2つの流体アクチュエータMの収縮率Cr2(i)とを設定する。収縮率Cr1(i),Cr2(i)は、それぞれ該当する流体アクチュエータMのチューブTの軸方向における自然長に対する収縮したチューブTの軸長の割合を示す。
【0041】
目標圧力設定部110の収縮力算出部108は、関節J1-J3ごとに、目標トルク設定部105により設定された目標トルクTtag(i)と、目標剛性設定部106により設定された目標剛性R(i)とに基づいて、関節Jiを介して連結された2つのアーム3等を目標トルクTtag(i)で相対的に回動させる際に関節Jiに対応した複数(一対)の流体アクチュエータMに要求される収縮力Fc1(i),Fc2(i)を算出する。収縮力Fc1(i)は、各関節Jiに対応した第1の人工筋肉AM1を構成する2つの流体アクチュエータMのチューブTの収縮により発生させるべき力であり、収縮力Fc2(i)は、各関節Jiに対応した第2の人工筋肉AM2を構成する2つの流体アクチュエータMのチューブTの収縮により発生させるべき力である。
【0042】
目標圧力設定部110の目標圧力導出部109は、関節J1-J3ごとに、図7に例示する目標圧力設定マップから、収縮率設定部107により設定された収縮率Cr1(i)と収縮力算出部108により算出された収縮力Fc1(i)とに対応した圧力を導出して第1の人工筋肉AM1を構成する2つの流体アクチュエータMの目標圧力Ptag1(i)に設定する。また、目標圧力導出部109は、関節J1-J3ごとに、図7に例示する目標圧力設定マップから、収縮率設定部107により設定された収縮率Cr2(i)と収縮力算出部108により算出された収縮力Fc2(i)とに対応した圧力を導出して第2の人工筋肉AM2を構成する2つの流体アクチュエータMの目標圧力Ptag2(i)に設定する。
【0043】
図7の目標圧力設定マップは、人工筋肉としての流体アクチュエータMの静特性を示すものであり、流体アクチュエータMに供給される油圧ごとに、チューブTの収縮率とチューブTが発生する収縮力との関係を規定するように予め実験・解析を経て作成されたものである。このように、チューブTの収縮率Cr1(i),Cr2(i)および収縮力Fc1(i),Fc2(i)に対応した圧力を目標圧力Ptag1(i),Ptag2(i)に設定することで、ロボットアーム2への要求に応じて目標圧力Ptag1(i),Ptag2(i)を精度よく設定することができる。
【0044】
目標電流設定部111は、目標圧力設定部110により設定された目標圧力Ptag1(i),Ptag2(i)を関節Jiの第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152の電磁部20への目標電流Itag1(i),Itag2(i)に変換する。本実施形態において、第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152が常閉型リニアソレノイドバルブであるから、目標電流設定部111は、目標圧力Ptag1(i),Ptag2(i)が大きいほど大きくなるように目標電流Itag1(i),Itag2(i)を設定する。
【0045】
第1および第2バルブ駆動部112,113は、関節J1-J3ごとの第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152にそれぞれ対応して設けられる。第1および第2バルブ駆動部112,113は、目標電流設定部111により設定された目標電流Itag1(i),Itag2(i)に基づいて関節Jiの第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152の各電磁部20に供給される電流を制御する。このようにして、関節Jiの第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152は、目標圧力Ptag1(i),Ptag2(i)に応じた油圧を生成するように制御される。
【0046】
次に、関節Jiの第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152に対応する第1および第2バルブ駆動部112,113の詳細について説明する。図8は、関節Jiの第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152に対応する第1および第2バルブ駆動部112,113の詳細を示すブロック図である。同図に示すように、関節Jiの第1および第2バルブ駆動部112,113は、それぞれ、目標電圧設定部115と、ディザ指令値設定部116と、電圧重畳部117と、PWM信号生成部118と、駆動部119と、電流検出部120と、フィルタ処理部121とを含む。
【0047】
各目標電圧設定部115は、それぞれ、目標電流設定部111により設定された関節Jiの第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152の目標電流Itag1(i),Itag2(i)と、対応する電流検出部120により検出された関節Jiの第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152に供給される電流Is1(i),Is2(i)に対して対応するフィルタ処理部121によりフィルタ処理された処理後電流Isf1(i),Isf2(i)と、の差分に基づくPI制御(比例積分制御)あるいはPID制御(比例積分微分制御)により、関節Jiの第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152の目標電圧Vtag1(i),Vtag2(i)を算出する。すなわち、各目標電圧設定部115は、目標電流Itag1(i),Itag2(i)と処理後電流Isf1(i),Isf2(i)との差分に基づく比例項や積分項等の和を目標電圧Vtag1(i),Vtag2(i)として算出する。
【0048】
各ディザ指令値設定部116は、それぞれ、対応する電圧重畳部117により生成される電圧指令値Vcom1(i),Vcom2(i)を、対応する目標電圧設定部115により設定される目標電圧Vtag1(i),Vtag2(i)に対してディザ周期Tdiz1(i),Tdiz2(i)かつディザ振幅Adiz1(i),Adiz2(i)の例えば正弦波状に変動させるためのディザ指令値Vdiz1(i),Vdiz2(i)を生成する。
【0049】
ここで、ディザ周期Tdiz1(i),Tdiz2(i)は、それぞれ、PWM信号生成部118により生成されるPWM信号Spwm1(i),Spwm2(i)の周期(PWM周期)Tpwm1(i),Tpwm2(i)よりも長い時間に設定される。ディザ振幅Adiz1(i),Adiz2(i)は、関節Jiの第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152に供給される電流Is1(i),Is2(i)の、PWM周期Tpwm1(i),Tpwm2(i)における変動量(振幅)よりもディザ周期Tdiz1(i),Tdiz2(i)における変動量(振幅)が大きくなるように設定される。ディザ周期Tdiz1(i),Tdiz2(i)およびディザ振幅Adiz1(i),Adiz2(i)の詳細については後述する。
【0050】
各電圧重畳部117は、それぞれ、対応する目標電圧設定部115により設定された目標電圧Vtag1(i),Vtag2(i)に、対応するディザ指令値設定部116により設定されたディザ指令値Vdiz1(i),Vdiz2(i)を重畳させて、関節Jiの第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152の電圧指令値Vcom1(i),Vcom2(i)を生成する。すなわち、各電圧重畳部117は、目標電圧Vtag1(i),Vtag2(i)をディザ振幅Adiz1(i),Adiz2(i)およびディザ周期Tdiz1(i),Tdiz2(i)で変動させた電圧指令値Vcom1(i),Vcom2(i)を生成する。以下、目標電圧Vtag1(i),Vtag2(i)にディザ指令値Vdiz1(i),Vdiz2(i)を重畳させて電圧指令値Vcom1(i),Vcom2(i)を生成することを「ディザ制御」という。
【0051】
各PWM信号生成部118は、それぞれ、PWM周期Tpwm1(i),Tpwm2(i)ごとに、対応する電圧重畳部117により生成された電圧指令値Vcom1(i),Vcom2(i)を、関節Jiの第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152のパルス幅変調(PWM)信号Spwm1(i),Spwm2(i)に変換して、対応する駆動部119に出力する。上述したように、PWM周期Tpwm1(i),Tpwm2(i)は、ディザ周期Tdiz1(i),Tdiz2(i)よりも短い時間に設定される。
【0052】
各駆動部119は、それぞれMOSFETであるスイッチング素子SWを有する。スイッチング素子SWのドレインは、補機バッテリ60の正極に接続され、スイッチング素子SWのソースは、関節Jiの第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152の電磁部20と電流検出部120の図示しないシャント抵抗とを介して接地され、スイッチング素子SWのゲートは、対応するPWM信号生成部118に接続される。なお、スイッチング素子SWは、MOSFETに代えて、バイポーラトランジスタやIGBTであってもよい。
【0053】
各駆動部119では、それぞれ、対応するPWM信号生成部118からのPWM信号Spwm1(i),Spwm2(i)によりスイッチング素子SWがオンされると、補機バッテリ60の電圧Vbatが対応する電磁部20(コイル)にそれぞれ印加され、電磁部20に起電流が流れる。また、各駆動部119では、それぞれ、対応するPWM信号生成部118からのPWM信号Spwm1(i),Spwm2(i)によりスイッチング素子SWがオフされると、対応する電磁部20(コイル)が接地される。以下、PWM信号Spwm1(i),Spwm2(i)を用いてスイッチング素子SWをオンオフ制御することを「PWM制御」という。
【0054】
各電流検出部120は、それぞれ、関節Jiの第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152のうち対応するリニアソレノイドバルブの電磁部20に一端部が接続されると共に他端部が接地されたシャント抵抗と、シャント抵抗の対応する電磁部20側と接地側との電圧を検出するオペアンプと、オペアンプの出力(電圧のアナログ信号)を電流値のアナログ信号に変換して更にデジタル信号としての電流値Is1(i),Is2(i)に変換するA/D変換器とを有する(何れも図示省略)。
【0055】
各フィルタ処理部121は、それぞれ、対応する電流検出部120により検出された電流値Is1(i),Is2(i)に対してフィルタ処理により上述のディザ周期Tdiz1(i),Tdiz2(i)の周波数成分を除去した処理後電流Isf1(i),Isf2(i)を対応する目標電圧設定部115に出力する。各フィルタ処理部121は、フィルタ処理としてディザ周期Tdiz1(i),Tdiz2(i)の周波数成分を除去できるものであればよく、例えば、バンドストップフィルタ(ノッチフィルタ)などが用いられる。
【0056】
こうした制御装置100の機能ブロックにより、特に、関節Jiの第1および第2バルブ駆動部112,113により、関節Jiの第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152の電磁部20に供給される電流Is1(i),Is2(i)をディザ振幅Adiz1(i),Adiz2(i)かつディザ周期Tdiz1(i),Tdiz2(i)に基づいて変動させることができる。図9は、関節J1の第1リニアソレノイドバルブ151の電磁部20に供給される電流Is1(1)の様子を例示する説明図である。同図に示すように、ディザ周期Tdiz1(1)がPWM周期Tpwm1(1)よりも長くなっており、ディザ制御に起因する電流Is1の変動量(振幅)がPWM制御に起因する電流Is1(1)の変動量(振幅)よりも大きくなっている。関節J1の第2リニアソレノイドバルブ152や関節J2,J3の第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152の電磁部20に供給される電流Is2(1),Is1(2),Is2(2),Is1(3),Is2(3)の様子は、電流Is1(i)の様子と同様である。したがって、電流Is1(1),Is2(1),Is1(2),Is2(2),Is1(3),Is2(3)の主としてディザ制御に起因する変動に基づいて、関節J1-J3ごとの第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152のプランジャやロッド21、スプール50を微振動させることができる。この結果、プランジャ、ロッド21、スプール50の摺動抵抗による出力圧のヒステリシスをより適切に低減し、関節J1-J3ごとの第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152の応答性の低下や応答バラツキ、出力圧のバラツキの抑制をより適切に図ることができる。
【0057】
本実施形態において、ディザ振幅Adiz1(i),Adiz2(i)は、関節Jiの第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152のスプール50を微振動させることが可能な振幅として設定され、ディザ周期Tdiz1(i),Tdiz2(i)は、関節Jiの第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152から出力される油圧(流体圧)のスプール50の微振動による変化に伴って関節Jiの第1および第2の人工筋肉AM1,AM2を構成する2つの流体アクチュエータMのチューブTを軸方向に伸縮させない周波数として設定される。このようにディザ周期Tdiz1(i),Tdiz2(i)およびディザ振幅Adiz1(i),Adiz2(i)を設定することにより、関節J1-J3ごとの第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152のスプール50の微振動に起因する第1および第2の人工筋肉AM1,AM2の流体アクチュエータMのチューブTの軸方向における伸縮を抑制し、振動や騒音の発生、耐久性の低下を抑制することができる。また、このときには、スプール50の微振動により第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152の出力圧のヒステリシスが十分に低減されているため、目標位置設定部101により設定されるハンド部4の目標位置(目標到達位置や、初期位置から目標到達位置までの軌道における経由位置)と現在位置導出部102により導出されるハンド部4の現在位置とのずれ量が所定ずれ量以下であるとき、すなわち、ハンド部4が目標位置に接近しているときに、ハンド部4を目標位置に精度よく到達させることができる。また、ユーザにより与えられるハンド部4の移動中の目標速度が所定速度以下であるとき、すなわち、ハンド部4をゆっくり動作させるときに、ハンド部4をより精度よく動作させることができる。ハンド部4をゆっくり動作させるときとしては、例えば、ハンド部4が目標位置に接近しているときや、把持対象としての壊れやすい物をハンド部4により把持するとき、把持対称としての倒れやすい物をハンド部4により把持して移動させるときなどを挙げることができる。
【0058】
なお、本実施形態では、設計の容易のために、ディザ周期Tdiz1(1),Tdiz2(1),Tdiz1(2),Tdiz2(2),Tdiz1(2),Tdiz2(2)は、全て同一に設定され、ディザ振幅Adiz1(1),Adiz2(1),Adiz1(1),Adiz2(2),Adiz1(1),Adiz2(2)は、全て同一に設定される。また、PWM周期Tpwm1(1),Tpwm2(1),Tpwm1(2),Tpwm2(2),Tpwm1(3),Tpwm2(3)は、全て同一に設定される。ただし、これに限定されるものではない。例えば、ディザ周期Tdiz1(1),Tdiz2(1),Tdiz1(2),Tdiz2(2),Tdiz1(2),Tdiz2(2)のうちの少なくとも一部を互いに異ならせてもよい。また、ディザ振幅Adiz1(1),Adiz2(1),Adiz1(1),Adiz2(2),Adiz1(1),Adiz2(2)のうちの少なくとも一部を互いに異ならせてもよい。更に、PWM周期Tpwm1(1),Tpwm2(1),Tpwm1(2),Tpwm2(2),Tpwm1(3),Tpwm2(3)のうちの少なくとも一部を互いに異ならせてもよい。
【0059】
以上説明したように、ロボット装置1では、目標電流Itag1(i),Itag2(i)に基づく目標電圧Vtag1(i),Vtag2(i)と、ディザ振幅Adiz1(i),Adiz2(i)かつディザ周期Tdiz1(i),Tdiz2(i)を有するディザ指令値Vdiz1(i),Vdiz2(i)と、に基づくPWM信号Spwm1(i),Spwm2(i)を用いて関節Jiの第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152に供給される電流を制御する。この場合に、ディザ振幅Adiz1(i),Adiz2(i)を、関節Jiの第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152のスプール50を微振動させることが可能な振幅として設定する。また、ディザ周期Tdiz1(i),Tdiz2(i)を、関節Jiの第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152から出力される油圧(流体圧)のスプール50の微振動による変化に伴って関節Jiの第1および第2の人工筋肉AM1,AM2を構成する2つの流体アクチュエータMのチューブTを軸方向に伸縮させない周波数として設定する。これにより、関節J1-J3ごとの第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152のスプール50の微振動に起因する第1および第2の人工筋肉AM1およびAM2の流体アクチュエータMのチューブTの軸方向における伸縮を抑制し、振動や騒音の発生、耐久性の低下を抑制することができる。また、このときには、スプール50の微振動により第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152の出力圧のヒステリシスが十分に低減されているため、例えば、ハンド部4が目標位置に接近しているときに、ハンド部4を目標位置に精度よく到達させることができ、ハンド部4をゆっくり動作させるときに、ハンド部4をより精度よく動作させることができる。
【0060】
また、ディザ周期Tdiz1(i),Tdiz2(i)を、PWM信号Spwm1(i),Spwm2(i)の周期(PWM周期)Tpwm1(i),Tpwm2(i)よりも長い時間に設定する。これにより、主としてディザ制御に起因する電流Is1(i),Is2(i)の変動に基づいて、第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152のプランジャやロッド21、スプール50を微振動させることができる。この結果、スプール50とスリーブ40との摺動抵抗の低減をより適切に図り、第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152の応答性の低下や応答バラツキの抑制をより適切に図ることができる。
【0061】
上記実施形態では、関節J1-J3ごとの第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152のディザ指令値Vdiz1(1),Vdiz2(1),Vdiz1(2),Vdiz2(2),Vdiz1(2),Vdiz2(2)の位相については説明を省略した。しかし、ディザ指令値Vdiz1(1),Vdiz2(1),Vdiz1(2),Vdiz2(2),Vdiz1(2),Vdiz2(2)の位相を全て同一としてもよいし、これらの位相のうちの少なくとも一部を互いに異ならせるものとしてもよい。この場合の例示の説明において、説明の容易のために、ディザ周期Tdiz1(1),Tdiz2(1),Tdiz1(2),Tdiz2(2),Tdiz1(3),Tdiz2(3)が同一である(以下、「Tdiz」という)として説明する。
【0062】
ディザ指令値Vdiz1(1),Vdiz2(1),Vdiz1(2),Vdiz2(2),Vdiz1(2),Vdiz2(2)の位相を互いに異ならせる、例えば60°ずつ異ならせる場合について説明する。この場合、関節J1-J3ごとの第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152の電圧指令値Vcom1(1),Vcom2(1),Vcom1(2),Vcom2(2),Vcom1(3),Vcom2(3)のディザ周期Tdizにおける位相(以下、「ディザ位相」という)が互いに異なり、各電磁部20に供給される電流Is1(1),Is2(1),Is1(2),Is2(2),Is1(3),Is2(3)のディザ位相が互いに異なる。各電磁部20に供給される電流Is1(1),Is2(1),Is1(2),Is2(2),Is1(3),Is2(3)のディザ位相が重なると、補機バッテリ60からのピーク電流が増大し、補機バッテリ60の電圧降下が増大し、各電磁部20に十分な電流が供給されなくなる可能性がある。この場合、少なくとも1つの流体アクチュエータMに十分な作動油(油圧)が供給されずに、ロボットアーム2の挙動が不安定になったり、ハンド部4を目標軌道に沿って目標到達位置まで適切に移動させることができなくなったりする可能性がある。これに対して、各電磁部20に供給される電流Is1(1),Is2(1),Is1(2),Is2(2),Is1(3),Is2(3)のディザ位相を異ならせることにより、補機バッテリ90からの電流のピークを分散させて補機バッテリ90の電圧降下を抑制し、各電磁部20に十分な電流を供給することができる。これにより、各流体アクチュエータMに十分な作動油(油圧)を供給し、ロボットアーム2を適切に動作させることができる。更に、補機バッテリ60からの電流のピークを分散させることにより、ノイズを低減し、制御装置100やこれに電気的に接続される機器等への悪影響を抑制することもできる。
【0063】
ディザ指令値Vdiz1(1),Vdiz2(1),Vdiz1(2),Vdiz2(2),Vdiz1(2),Vdiz2(2)の位相を互いに異ならせる場合について説明した。しかし、ディザ指令値Vdiz1(1),Vdiz2(1)の位相を同一とし、ディザ指令値Vdiz1(2),Vdiz2(2)の位相を同一とし、ディザ指令値Vdiz1(3),Vdiz2(3)の位相を同一とし、ディザ指令値Vdiz1(1),Vdiz1(2),Vdiz1(3)の位相を互いに異ならせる、例えば120°ずつ異ならせるものとしてもよい。この場合、電圧指令値Vcom1(1),Vcom2(1)のディザ位相が同一となり、電圧指令値Vcom1(2),Vcom2(2)のディザ位相が同一となり、電圧指令値Vcom1(3),Vcom2(3)のディザ位相が同一となり、電圧指令値Vcom1(1),Vcom1(2),Vcom1(3)のディザ位相が互いに異なる。そして、電磁部20に供給される電流Is1(1),Is2(1)のディザ位相が同一となり、電流Is1(2),Is2(2)のディザ位相が同一となり、電流Is1(3),Is2(3)のディザ位相が同一となり、電流Is1(1),Is(2),Is(3)のディザ位相が互いに異なる。これにより、補機バッテリ90からの電流のピークをある程度分散させて補機バッテリ90の電圧降下を抑制しつつ、関節Jiに対応した、第1の人工筋肉AM1を構成する2つの流体アクチュエータMと第2の人工筋肉AM2を構成する2つの流体アクチュエータMとを良好に拮抗駆動することができる。
【0064】
上記実施形態では、各電圧重畳部117は、目標電圧Vtag1(i),Vtag2(i)にディザ指令値Vdiz1(i),Vdiz2(i)を重畳させて電圧指令値Vcom1(i),Vcom2(i)を生成するものとした。すなわち、常時、ディザ制御を実行するものとした。しかし、少なくとも、ハンド部4の目標位置(目標到達位置や、初期位置から目標到達位置までの軌道における経由位置)とハンド部4の現在位置とのずれ量が所定ずれ量以下であるとき、および/または、ハンド部4の移動中の目標速度が所定速度以下であるときのうちの何れかのときに、ディザ制御を実行するものであればよい。したがって、各電圧重畳部117は、ハンド部4の目標位置と現在位置とのずれ量が所定ずれ量よりも大きいときや、ハンド部4の移動中の目標速度が所定速度よりも大きいときには、目標電圧Vtag1(i),Vtag2(i)を電圧指令値Vcom1(i),Vcom2(i)に設定する、すなわち、ディザ制御を実行しないものとしてもよい。
【0065】
上記実施形態では、ディザ指令値Vdiz1(i),Vdiz2(i)のディザ振幅Adiz1(i),Adiz2(i)およびディザ周期Tdiz1(i),Tdiz2(i)をそれぞれ一定値とした。しかし、これらのうちの少なくとも1つを可変としてもよい。ディザ振幅Adiz1(i),Adiz2(i)を可変とする場合について説明する。図10は、関節J1の第1リニアソレノイドバルブ151に対応する第1駆動部112のディザ指令値設定部116により、ディザ振幅Adiz1(1)を設定するために繰り返し実行されるディザ振幅設定処理の一例を示すフローチャートである。なお、ディザ振幅Adiz2(1),Adiz1(2),Adiz2(2),Adiz1(3),Adiz2(3)は、ディザ振幅Adiz1(1)と同様に設定される。
【0066】
図10のディザ振幅設定処理では、ディザ指令値設定部116は、対応する目標電流設定部111により設定された目標電流Itag1(1)を入力し(ステップS100)、入力した目標電流Itag1(1)に基づいて、目標電流Itag1(i)の単位時間当たりの増加量である目標電流増加率Iup1(1)を演算する(ステップS110)。ここで、目標電流増加率Iup1(1)は、例えば、今回の目標電流Itag1(i)から前回の目標電流(前回Itag1(1))を減じた値を目標電流Itag1の入力周期Δtで除して演算される。
【0067】
続いて、目標電流増加率Iup(1)を閾値Iupref(1)と比較する(ステップS120)。ここで、閾値Iupref(1)は、関節J1の第1リニアソレノイドバルブ151のストローク量Sc1(1)が所定ストローク量Scref1(1)付近よりも小さい側から所定ストローク量Scref1(1)付近やそれよりも大きい側に至るまたはすでに所定ストローク量Scref1(1)付近やそれよりも大きい側である可能性(以下、「第1可能性」という)の有無を判定するのに用いられる閾値であり、実験や解析により予め定められる。関節J1の第1リニアソレノイドバルブ151が常閉型リニアソレノイドバルブである場合、電磁部20に供給される電流の増加に伴ってストローク量Sc1(1)が増加し、ストローク量Sc1(1)が所定ストローク量Scref1(1)よりも大きいときに、ストローク量Sc1(1)が所定ストローク量Scref1(1)以下であるときに比して、スプール50の単位移動量当たりのスリーブ40の入力室41i(入力ポート41i)と出力室42o(出力ポート41o)との連通量の変化量、ひいては、関節J1の第1リニアソレノイドバルブ151の出力ポート41oからの出力油圧の変化量が大きくなる。ステップS120の処理は、これを考慮して行なわれる処理である。なお、目標電流増加率Iup(1)が閾値Iupref(1)以上になる場合としては、関節J1に対応した第1の人工筋肉AM1を構成する2つの流体アクチュエータMの目標圧力Ptag1(i)が急増したとき、例えば、ハンド部4が把持対象を速やかに移動させるときなどを挙げることができる。
【0068】
ステップS120で目標電流増加率Iup1(1)が閾値Iupref(1)未満であると判定したときには、第1可能性がないと判断し、ディザ振幅Adiz1(1)に比較的大きい第1振幅A1を設定する振幅通常処理を実行して(ステップS130)、本処理を終了する。振幅通常処理を実行することにより、対応する電圧重畳部117により生成される電圧指令値Vcom1(1)が比較的大きい振幅で変動し、対応する駆動回路119によって関節J1の第1リニアソレノイドバルブ151の電磁部20に供給される電流が比較的大きい振幅で変動し、スプール50が比較的大きい振幅で振動する。この結果、関節J1の第1リニアソレノイドバルブ151のスプール50とスリーブ40との摺動抵抗の影響による出力圧のヒステリシスを十分に低減し、関節J1のリニアソレノイドバルブ151の応答性の低下や応答バラツキ、出力圧の制御精度の悪化を十分に抑制することができる。
【0069】
ステップS120で目標電流増加率Iup1(1)が閾値Iupref(1)以上であると判定したときには、第1可能性があると判断し、ディザ振幅Adiz1(1)に値0以上でかつ第1振幅A1よりも小さい第2振幅A2を設定する振幅低減処理を実行して(ステップS130)、本処理を終了する。振幅低減処理を実行することにより、振幅通常処理を実行する場合に比して、対応する電圧重畳部117により生成される電圧指令値Vcom1(1)の変動の振幅が小さくなり、対応する駆動回路119によって関節J1の第1リニアソレノイドバルブ151の電磁部20に供給される電流の変動の振幅が小さくなり、スプール50の振動の振幅が小さくなる。この結果、ストローク量Sc1(1)が所定ストローク量Scref1(1)付近やそれよりも大きい側で変動するときに、スリーブ40の入力室42i(入力ポート41i)と出力室42o(出力ポート41o)との連通量が大きく変動するのを抑制し、関節J1の第1リニアソレノイドバルブ151の出力ポート41oからの出力油圧が大きく変動するのを抑制することができる。
【0070】
上記実施形態では、関節J1-J3に対応した第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152は、何れも常閉型リニアソレノイドバルブであるものとした。しかし、関節J1-J3に対応した第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152のうちの少なくとも1つは、常開型リニアソレノイドバルブであるものとしてもよい。ここでは、関節J1-J3に対応した第1および第2リニアソレノイドバルブ151が何れも常開型リニアソレノイドバルブである場合について説明する。この場合のハード構成として、図4のリニアソレノイドバルブ151,152と同様のスリーブ40およびスプール50を有し、且つ、スプリングSPによりスプール50を図4の右側に付勢すると共に電磁部20に電流が供給されたときにスプリングSPの付勢力に抗してスプール50を図4の左側に移動させる構成を一例として説明する。また、説明の容易のために、図4の第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152と同一の符号を用いて説明する。
【0071】
以下、第1および第2リニアソレノイドバルブ151が常閉型リニアソレノイドバルブである場合のスプール50の初期位置からの移動量を「ストローク量So1,So2」という。また、スプール50のランド52の入力室42i側の端面52iが第1連通室45と出力室42oとの境界に位置するときのストローク量So1,So2を「所定ストローク量Soref1,Soref2」という。スリーブ40の入力室42i(入力ポート41i)と出力室42o(出力ポート41o)との連通量は、ストローク量So1,So2が所定ストローク量Soref1,Soref2よりも小さいときには、ストローク量So1,So2が大きくなるにつれて所定量(ランド52の外周面と第1連通室41を画成するスリーブ40の内周面との僅かなクリアランス)よりも多い第2所定量から所定量に向かって徐々に少なくなり、ストローク量So1,So2が所定ストローク量Soref1,Soref2以上であるときには、所定量となる。このため、ストローク量So1,So2が所定ストローク量Soref1,Soref2よりも小さいときには、ストローク量So1,So2が所定ストローク量Soref1,Soref2以上であるときに比して、スプール50の単位移動量当たりのスリーブ40の入力室42i(入力ポート41i)と出力室42o(出力ポート41o)との連通量の変化量、ひいては、第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152の出力ポート41oからの出力油圧の変化量が大きくなる。
【0072】
第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152が常開型リニアソレノイドバルブである場合、リニアソレノイドバルブ151,152が常閉型リニアソレノイドバルブである場合と同様に、制御装置100は、図6図8のような機能ブロックを有する。ただし、関節Jiの第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152の各目標電流設定部111は、目標圧力Ptag1(i),Ptag2(i)が大きいほど小さくなるように目標電流Itag1(i),Itag2(i)を設定する。
【0073】
また、各ディザ指令値設定部116は、ディザ指令値Vdiz1(i),Vdiz2(i)のディザ振幅Adiz1(i),Adiz2(i)およびディザ周期Tdiz1(i),Tdiz2(i)をそれぞれ一定値としてもよいし、これらのうちの少なくとも1つを可変としてもよい。ディザ振幅Adiz1(i),Adiz2(i)を可変とする場合について説明する。図11は、関節J1の第1リニアソレノイドバルブ151に対応する第1駆動部112のディザ指令値設定部116により、ディザ振幅Adiz1(1)を設定するために繰り返し実行されるディザ振幅設定処理の一例を示すフローチャートである。なお、ディザ振幅Adiz2(1),Adiz1(2),Adiz2(2),Adiz1(3),Adiz2(3)は、ディザ振幅Adiz1(1)と同様に設定される。
【0074】
図11のディザ振幅設定処理では、ディザ指令値設定部116は、対応する目標電流設定部111により設定された目標電流Itag1(1)を入力し(ステップS200)、入力した目標電流Itag1(1)に基づいて、目標電流Itag1(i)の単位時間当たりの減少量である目標電流減少率Idn1(1)を演算する(ステップS210)。ここで、目標電流減少率Idn1(1)は、例えば、前回の目標電流(前回Itag1(1))から今回の目標電流Itag1(i)を減じた値を目標電流Itag1の入力周期Δtで除して演算される。
【0075】
続いて、目標電流減少率Idn(1)を閾値Idnref(1)と比較する(ステップS220)。ここで、閾値Idnref(1)は、関節J1の第1リニアソレノイドバルブ151のストローク量So1(1)が所定ストローク量Soref1(1)付近よりも大きい側から所定ストローク量Soref1(1)付近やそれよりも小さい側に至るまたはすでに所定ストローク量Soref1(1)付近やそれよりも小さい側である可能性(以下、「第2可能性」という)の有無を判定するのに用いられる閾値であり、実験や解析により予め定められる。関節J1の第1リニアソレノイドバルブ151が常開型リニアソレノイドバルブである場合、電磁部20に供給される電流の減少に伴ってストローク量So1(1)が減少し、ストローク量So1(1)が所定ストローク量Soref1(1)よりも小さいときに、ストローク量Sc1(1)が所定ストローク量Scref1(1)以上であるときに比して、スプール50の単位移動量当たりのスリーブ40の入力室41i(入力ポート41i)と出力室42o(出力ポート41o)との連通量の変化量、ひいては、関節J1の第1リニアソレノイドバルブ151の出力ポート41oからの出力油圧の変化量が大きくなる。ステップS220の処理は、これを考慮して行なわれる処理である。なお、目標電流減少率Idn(1)が閾値Idnref(1)以上になる場合としては、関節J1に対応した第1の人工筋肉AM1を構成する2つの流体アクチュエータMの目標圧力Ptag1(i)が急増したとき、例えば、ハンド部4が把持対象を速やかに移動させるときなどを挙げることができる。
【0076】
ステップS220で目標電流減少率Idn1(1)が閾値Idnref(1)未満であると判定したときには、第2可能性がないと判断し、ディザ振幅Adiz1(1)に比較的大きい第1振幅A1を設定する振幅通常処理を実行して(ステップS230)、本処理を終了する。振幅通常処理を実行することにより、対応する電圧重畳部117により生成される電圧指令値Vcom1(1)が比較的大きい振幅で変動し、対応する駆動回路119によって関節J1の第1リニアソレノイドバルブ151の電磁部20に供給される電流が比較的大きい振幅で変動し、スプール50が比較的大きい振幅で振動する。この結果、関節J1の第1リニアソレノイドバルブ151のスプール50とスリーブ40との摺動抵抗の影響による出力圧のヒステリシスを十分に低減し、関節J1のリニアソレノイドバルブ151の応答性の低下や応答バラツキ、出力圧の制御精度の悪化を十分に抑制することができる。
【0077】
ステップS220で目標電流減少率Idn1(1)が閾値Idnref(1)以上であると判定したときには、第2可能性があると判断し、ディザ振幅Adiz1(1)に値0以上でかつ第1振幅A1よりも小さい第2振幅A2を設定する振幅低減処理を実行して(ステップS230)、本処理を終了する。振幅低減処理を実行することにより、振幅通常処理を実行する場合に比して、対応する電圧重畳部117により生成される電圧指令値Vcom1(1)の変動の振幅が小さくなり、対応する駆動回路119によって関節J1の第1リニアソレノイドバルブ151の電磁部20に供給される電流の変動の振幅が小さくなり、スプール50の振動の振幅が小さくなる。この結果、ストローク量So1(1)が所定ストローク量Soref1(1)付近やそれよりも小さい側で変動するときに、スリーブ40の入力室42i(入力ポート41i)と出力室42o(出力ポート41o)との連通量が大きく変動するのを抑制し、関節J1の第1リニアソレノイドバルブ151の出力ポート41oからの出力油圧が大きく変動するのを抑制することができる。
【0078】
上記実施形態では、関節Jiの第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152に対応する第1および第2バルブ駆動部112,113は、それぞれ、目標電圧設定部115と、ディザ指令値設定部116と、電圧重畳部117と、PWM信号生成部118と、駆動部119と、電流検出部120と、フィルタ処理部121とを含むものとした。しかし、図12に示すように、第1および第2バルブ駆動部112,113が第1および第2バルブ駆動部112B,113Bに置き換えられるものとしてもよい。図12の第1および第2バルブ駆動部112B,113Bは、図8の第1および第2バルブ駆動部112,113の目標電圧設定部115、ディザ指令値設定部116、電圧重畳部117、PWM信号生成部118が、電流指令値設定部115B、ディザ指令値設定部116B、電流重畳部117B、PWM信号生成部118Bに置き換えられた点で、図8の第1および第2バルブ駆動部112,113とは異なる。したがって、図12の第1および第2バルブ駆動部112B,113Bのうち図8の第1および第2バルブ駆動部112,113と同一部分については、同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。
【0079】
各電流指令値設定部115Bは、それぞれ、目標電流設定部111により設定された関節Jiの第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152の目標電流Itag1(i),Itag2(i)と、対応する電流検出部120により検出された関節Jiの第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152に供給される電流Is1(i),Is2(i)に対して対応するフィルタ処理部121によりフィルタ処理された処理後電流Isf1(i),Isf2(i)と、の差分に基づくPI制御あるいはPID制御により、関節Jiの第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152の電流指令値Icom1(i),Icom2(i)を算出する。すなわち、各目標電流設定部115Bは、目標電流Itag1(i),Itag2(i)と処理後電流Isf1(i),Isf2(i)との差分に基づく比例項や積分項等の和を電流指令値Icom1(i),Icom2(i)として算出する。
【0080】
各ディザ指令値設定部116Bは、それぞれ、対応する電流重畳部117Bにより生成される重畳後電流Icom1’(i),Icom2’(i)を、対応する電流指令値設定部115Bにより設定される電流指令値Icom1(i),Icom2(i)に対してディザ周期Tdiz1’(i),Tdiz2’(i)かつディザ振幅Adiz1’(i),Adiz2’(i)の例えば正弦波状に変動させるためのディザ指令値Idiz1(i),Idiz2(i)を生成する。ここで、ディザ周期Tdiz1’(i),Tdiz2’(i)やディザ振幅Adiz1’(i),Adiz2’(i)は、上述のディザ周期Tdiz1(i),Tdiz2(i)やディザ振幅Adiz1(i),Adiz2(i)と同様に設定される。
【0081】
各電流重畳部117Bは、それぞれ、対応する電流指令値設定部115Bにより設定された電流指令値Icom1(i),Icom2(i)に、対応するディザ指令値設定部116により設定されたディザ指令値Idiz1(i),Idiz2(i)を重畳させて、重畳後電流Icom1’(i),Icom2’(i)を生成する。各PWM信号生成部118Bは、対応する電流重畳部117Bにより生成された重畳後電流Icom1’(i),Icom2’(i)、または、重畳後電流Icom1’(i),Icom2’(i)に基づく電圧を、関節Jiの第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152のPWM信号Spwm1(i),Spwm2(i)に変換して、対応する駆動部119に出力する。
【0082】
第1および第2バルブ駆動部112,113が第1および第2バルブ駆動部112B,113Bに置き換えられる場合でも、第1および第2バルブ駆動部112,113を備える場合と同様の効果を奏することができる。
【0083】
上記実施形態において、関節J1-J3ごとの第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152の少なくとも何れか1つは、専用のフィードバックポートを有さずに、スプールを収容するスリーブの内側で出力圧をフィードバック圧としてスプールに作用させるように構成されたものであってもよい(例えば、特開2020-41687号公報参照)。また、関節J1-J3ごとの第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152の少なくとも何れか1つは、電磁部に供給される電流に応じた信号圧を出力するリニアソレノイドバルブと、信号圧に応じて作動油の圧力を調整するコントロールバルブとに置き換えられてもよい。更に、関節J1-J3ごとの第1および第2リニアソレノイドバルブ151,152の少なくとも何れか1つは、対応する流体アクチュエータMに供給される油圧(流体圧)が目標圧力になるように制御される流量制御弁に置き換えられてもよい。加えて、流体供給装置10から元圧生成バルブ14が省略されてもよい。また、流体供給装置10は、ポンプ13により発生させられた油圧を蓄えるアキュムレータ(蓄圧器)が設けられてもよい。更に、流体供給装置10は、水等の作動油以外の液体や空気等の気体を流体アクチュエータMに供給するように構成されてもよい。
【0084】
また、上記実施形態において、人工筋肉としての流体アクチュエータMは、内部に作動油が供給されると共に内部の油圧の上昇に応じて径方向に膨張しながら軸方向に収縮するチューブTと、チューブTを覆う編組スリーブSと、を含むマッキベン型の人工筋肉であるものとした。しかし、ロボット装置1における流体アクチュエータMの構成は、これに限られるものではない。すなわち、流体アクチュエータMは、流体が供給された際に径方向に膨張しながら軸方向に収縮するチューブを含むものであればよく、例えば弾性体により形成された内側筒状部材と、弾性体により形成されると共に内側筒状部材の外側に同軸に配置され外側筒状部材と、内側筒状部材と外側筒状部材との間に配置された繊維層と、を含む軸方向繊維強化型の流体アクチュエータ(例えば、特開2011-137516号参照)であってもよい。更に、流体アクチュエータMは、シリンダおよびピストンを含む流体シリンダであってもよい。
【0085】
そして、ロボット装置1は、少なくとも1つの流体アクチュエータMとハンド部4とを有するロボットアーム2を含むものに限られず、少なくとも1つの流体アクチュエータMと、例えばドリルビット等の工具や例えばスイッチ等を押圧する押圧部材といったハンド部4以外の要素が手先に取り付けられたロボットアームとを含むものであってもよい。また、ロボット装置1は、歩行ロボットや、ウェアラブルロボット等であってもよい。更に、ロボット装置1は、関節を1つだけ含むものであってもよく、人工筋肉としての流体アクチュエータMを1つだけ含むものであってもよい。
【0086】
以上、本開示を実施するための形態について説明したが、本開示はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0087】
本開示は、ロボット装置の製造産業などに利用可能である。
【符号の説明】
【0088】
1 ロボット装置、2 ロボットアーム(ロボット本体)、10 流体供給装置、13 ポンプ(流体供給源)、20 電磁部、40 スプール、100 制御装置、151 第1リニアソレノイドバルブ(調圧弁)、152 第2リニアソレノイドバルブ(調圧弁)、AM1 第1の人工筋肉、AM2 第2の人工筋肉、M 流体アクチュエータ(人工筋肉)。
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