(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157410
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】作業機械
(51)【国際特許分類】
E02F 9/26 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
E02F9/26 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021061610
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】502246528
【氏名又は名称】住友建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】松橋 唯希
【テーマコード(参考)】
2D015
【Fターム(参考)】
2D015HA03
2D015HB00
(57)【要約】
【課題】作業内容に合わせて動作を自動化することを目的とする。
【解決手段】下部走行体と、上部旋回体と、エンドアタッチメントと、表示装置と、を備えた作業機械であって、前記表示装置に表示された設定画面において、前記作業機械の自動制御機能の設定を受け付ける制御部を有する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、
上部旋回体と、
エンドアタッチメントと、
表示装置と、を備えた作業機械であって、
前記表示装置に表示された設定画面において、前記作業機械の自動制御機能の設定を受け付ける制御部を有する、作業機械。
【請求項2】
前記制御部は、
前記設定画面において、前記自動制御機能による制御の対象となる動作の選択を受け付ける、請求項1記載の作業機械。
【請求項3】
前記設定画面には、前記動作と対応付けられたアイコン画像が表示されており、
前記制御部は、
前記アイコン画像の選択を、前記アイコン画像と対応する動作の選択として受け付ける、請求項2記載の作業機械。
【請求項4】
前記制御部は、
前記自動制御機能による制御の対象となる動作毎に、パラメータの設定を受け付ける、請求項1乃至3の何れか一項に記載の作業機械。
【請求項5】
前記自動制御機能による制御の対象となる動作には、複数種類の動作を含む動作グループが複数含まれる、請求項1乃至4の何れか一項に記載の作業機械。
【請求項6】
前記制御部は、
前記自動制御機能による制御の開始を指示するスイッチに対する操作を受け付けて、
複数の前記動作グループのうち、第1動作グループに含まれる種類の動作を前記作業機械に実行させ、前記第1動作グループに含まれる種類の動作が完了した後に、第2動作グループに含まれる種類の動作を前記作業機械に実行させる、請求項5記載の作業機械。
【請求項7】
前記制御部は、
前記作業機械の状態が、所定の条件を満たす場合に、前記自動制御機能による制御を停止させる、請求項1乃至6の何れか一項に記載の作業機械。
【請求項8】
前記所定の条件は、
前記作業機械の周囲において人が検出されること、又は、オペレータによる操作装置の操作が検出されることである、請求項7記載の作業機械。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、作業機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、バケット閉じ動作による掘削中に自律制御によってブームを自動的に上昇させるショベルが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年では、ショベル等の作業機械の動作を自動化することが望まれているが、作業機械のエンドアタッチメントには、様々な種類が存在し、多様な使われ方をするため、容易に動作を自動化することが困難である。
【0005】
開示の技術は、作業内容に合わせて動作を自動化することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係る作業機械は、下部走行体と、上部旋回体と、エンドアタッチメントと、表示装置と、を備えた作業機械であって、前記表示装置に表示された設定画面において、前記作業機械の自動制御機能の設定を受け付ける制御部を有する。
【発明の効果】
【0007】
作業内容に合わせて動作を自動化できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係るショベルの側面図である。
【
図3】
図1のショベルに搭載される油圧システムの構成例を示す図である。
【
図4A】アームシリンダの操作に関する油圧システムの一部の図である。
【
図4B】ブームシリンダに関する油圧システムの一部の図である。
【
図4C】バケットシリンダに関する油圧システムの一部の図である。
【
図4D】旋回油圧モータに関する油圧システムの一部の図である。
【
図5】コントローラの機能について説明する図である。
【
図6】ショベルのコントローラの処理を説明する第一のフローチャートである。
【
図8】自動制御機能の設定画面の一例を示す図である。
【
図9】自動制御機能の設定について説明する図である。
【
図10】ショベルのコントローラの処理を説明する第二のフローチャートである。
【
図12】自動制御機能によるショベルの動作を説明する第一の図である。
【
図13】自動制御機能によるショベルの動作を説明する第二の図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
最初に、
図1及び
図2を参照して、本発明の実施形態に係る掘削機としてのショベル100について説明する。
図1はショベル100の側面図であり、
図2はショベル100の上面図である。
【0010】
本実施形態では、ショベル100の下部走行体1はクローラ1Cを含む。クローラ1Cは、下部走行体1に搭載されている走行アクチュエータとしての走行油圧モータ2Mによって駆動される。具体的には、クローラ1Cは左クローラ1CL及び右クローラ1CRを含む。左クローラ1CLは左走行油圧モータ2MLによって駆動され、右クローラ1CRは右走行油圧モータ2MRによって駆動される。
【0011】
下部走行体1には旋回機構2を介して上部旋回体3が旋回可能に搭載されている。旋回機構2は、上部旋回体3に搭載されている旋回アクチュエータとしての旋回油圧モータ2Aによって駆動される。但し、旋回アクチュエータは、電動アクチュエータとしての旋回電動発電機であってもよい。
【0012】
上部旋回体3にはブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられ、アーム5の先端にはエンドアタッチメントとしてのバケット6が取り付けられている。ブーム4、アーム5及びバケット6は、アタッチメントの一例であるアタッチメントATを構成する。ブーム4はブームシリンダ7で駆動され、アーム5はアームシリンダ8で駆動され、バケット6はバケットシリンダ9で駆動される。ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9は、アタッチメントアクチュエータを構成している。
図1及び
図2に示す例では、バケット6は、掘削バケットであるが、スケルトンバケット(除礫バケット)であってもよい。また、バケット6は、バケットチルト機構を備えていてもよい。
【0013】
上部旋回体3には、運転室としてのキャビン10が設けられ、且つ、エンジン11等の動力源が搭載されている。キャビン10の内部には、操作装置26、コントローラ30、及び操作方式切換装置SD等が設けられている。また、上部旋回体3には、空間認識装置70等が取り付けられている。なお、本書では、便宜上、上部旋回体3における、アタッチメントATが取り付けられている側を前方とし、カウンタウェイトが取り付けられている側を後方とする。
【0014】
空間認識装置70は、空間認識装置の別の一例であり、ショベル100の周囲を撮像するように構成されている。なお、ショベル100は、空間認識装置の一例として、物体検知装置を有していてもよい。本実施形態の空間認識装置は、周囲の物体とショベル100との位置関係を把握できるのであれば、どのように構成されていてもよい。
【0015】
空間認識装置70は、上部旋回体3の上面後端に取り付けられたカメラ70B、上部旋回体3の上面左端に取り付けられたカメラ70L、及び、上部旋回体3の上面右端に取り付けられたカメラ70Rを含む。空間認識装置70は、カメラ70Fを含んでいてもよい。
【0016】
空間認識装置70が撮像した画像は、キャビン10内に設置されている表示装置40に表示される。空間認識装置70は、俯瞰画像等の視点変換画像を表示装置40に表示できるように構成されていてもよい。俯瞰画像は、例えば、カメラ70B、カメラ70L、及びカメラ70Rのそれぞれが出力する画像を合成して生成される。
【0017】
この構成により、ショベル100は、空間認識装置70が検知した物体の画像を表示装置40に表示できる。そのため、ショベル100の操作者は、被駆動体の動作が制限或いは禁止された場合、表示装置40に表示されている画像を見ることで、その原因となった物体が何であるかをすぐに確認できる。
【0018】
空間認識装置70(カメラ70F、70B、70L、70R)は、それぞれ、例えば、非常に広い画角を有する単眼の広角カメラである。また、空間認識装置70は、ステレオカメラや距離画像カメラ等であってもよい。空間認識装置70による撮像画像は、表示装置40を介してコントローラ30に取り込まれる。
【0019】
また、空間認識装置70は、物体検知装置として機能してもよい。この場合、空間認識装置70は、ショベル100の周囲に存在する物体を検知してよい。検知対象の物体には、例えば、地形形状(傾斜、穴等)、人、動物、車両、建設機械、建造物、壁、ヘルメット、安全ベスト、作業服、又は、ヘルメットにおける所定のマーク等が含まれうる。
【0020】
また、空間認識装置70は、空間認識装置70又はショベル100から認識された物体までの距離を算出してもよい。空間認識装置としての空間認識装置70には、例えば、超音波センサ、ミリ波レーダ、ステレオカメラ、LIDAR(Light Detection and Ranging)、距離画像センサ、赤外線センサ等が含まれうる。
【0021】
また、空間認識装置は、例えば、CCD(Charge-Coupled Device)イメージセンサやCMOS(Complementary Metal-Oxide-Semiconductor)イメージセンサ等の撮像素子を有する単眼カメラであり、撮像した画像を表示装置40に出力してよい。また、空間認識装置は、ショベル100から認識された物体までの距離を算出するように構成されていてもよい。
【0022】
ショベル100は、撮像される画像情報を利用するだけでなく、空間認識装置としてミリ波レーダ、超音波センサ、或いはレーザレーダ等を利用する場合、多数の信号(つまり、ミリ波、超音波、或いはレーザ光等)を周囲に発信し、その反射信号を受信することで、反射信号から物体の距離及び方向を検出してもよい。
【0023】
このように、空間認識装置は、物体の種類、位置、及び形状等の少なくとも1つを識別できるように構成されていてもよい。例えば、空間認識装置は、人と人以外の物体とを区別できるように構成されていてもよい。
【0024】
なお、空間認識装置70は、直接、コントローラ30と通信可能に接続されてもよい。
【0025】
また、空間認識装置70はショベル100から独立していてもよい。また、コントローラ30は、通信機器を介して空間認識装置70が出力するショベル100の周囲の作業現場の撮像画像を取得してもよい。具体的には、空間認識装置70は、空撮用マルチコプタ、作業現場に設置された鉄塔、電柱等に取り付けられ、作業現場を上から見た撮像画像に基づいて作業現場の情報を取得してもよい。
【0026】
操作装置26は、操作者がアクチュエータの操作のために用いる装置である。操作装置26は、例えば、操作レバー及び操作ペダルを含む。アクチュエータは、油圧アクチュエータ及び電動アクチュエータの少なくとも1つを含む。
【0027】
操作方式切換装置SDは、操作レバーの操作方式を切り換えることができるように構成される。例えば、操作方式切換装置SDは、キャビン10内の右側コンソールに設けられた押しボタンスイッチを含み、押しボタンスイッチが押される度に、第1操作方式と第2操作方式との間で操作レバーの操作方式を切り換えることができるように構成される。例えば、第1操作方式は、左操作レバー26L(
図3参照。)が前方に倒されたときにアーム5が開かれ、左操作レバー26Lが後方に倒されたときにアーム5が閉じられ、左操作レバー26Lが左方に倒されたときに左旋回が実行され、且つ、左操作レバー26Lが右方に倒されたときに右旋回が実行されるように構成されている。また、第1操作方式は、右操作レバー26R(
図3参照。)が前方に倒されたときにブーム4が下げられ、右操作レバー26Rが後方に倒されたときにブーム4が上げられ、右操作レバー26Rが左方に倒されたときにバケット6が閉じられ、且つ、右操作レバー26Rが右方に倒されたときにバケット6が開かれるように構成されている。一方で、第2操作方式は、左操作レバー26L(
図3参照。)が前方に倒されたときに右旋回が実行され、左操作レバー26Lが後方に倒されたときに左旋回が実行され、左操作レバー26Lが左方に倒されたときにアーム5が開かれ、且つ、左操作レバー26Lが右方に倒されたときにアーム5が閉じられるように構成されている。
【0028】
ショベル100の操作者は、例えば、掘削バケットを用いて掘削作業を行う場合に第1操作方式を選択し、除礫バケットを用いて除礫作業を行う場合に第2操作方式を選択してもよい。
【0029】
コントローラ30は、ショベル100を制御するための制御装置である。本実施形態では、コントローラ30は、CPU、揮発性記憶装置、及び不揮発性記憶装置等を備えたコンピュータで構成されている。そして、コントローラ30は、各機能に対応するプログラムを不揮発性記憶装置から読み出して揮発性記憶装置にロードし、対応する処理をCPUに実行させる。各機能は、例えば、操作者によるショベル100の手動操作をガイド(案内)するマシンガイダンス機能、及び、操作者によるショベル100の手動操作を支援したり或いはショベル100を自動的或いは自律的に動作させたりするマシンコントロール機能を含む。コントローラ30は、ショベル100の周囲の監視範囲内に存在する物体とショベル100との接触を回避するためにショベル100を自動的或いは自律的に動作させたり或いは停止させたりする接触回避機能を含んでいてもよい。ショベル100の周囲の物体の監視は、監視範囲内だけでなく監視範囲外に対しても実行される。
【0030】
次に、
図3を参照し、ショベル100に搭載される油圧システムの構成例について説明する。
図3は、ショベル100に搭載される油圧システムの構成例を示す図である。
図3は、機械的動力伝達系、作動油ライン、パイロットライン及び電気制御系を、それぞれ、二重線、実線、破線及び点線で示している。
【0031】
ショベル100の油圧システムは、主に、エンジン11、レギュレータ13、メインポンプ14、パイロットポンプ15、コントロールバルブユニット17、操作装置26、吐出圧センサ28、操作センサ29、及びコントローラ30等を含む。
【0032】
図3において、油圧システムは、エンジン11によって駆動されるメインポンプ14から、センターバイパス管路60又はパラレル管路62を経て作動油タンクまで作動油を循環させることができるように構成されている。
【0033】
エンジン11は、ショベル100の駆動源である。本実施形態では、エンジン11は、例えば、所定の回転数を維持するように動作するディーゼルエンジンである。エンジン11の出力軸は、メインポンプ14及びパイロットポンプ15のそれぞれの入力軸に連結されている。
【0034】
メインポンプ14は、作動油ラインを介して作動油をコントロールバルブユニット17に供給できるように構成されている。本実施形態では、メインポンプ14は、斜板式可変容量型油圧ポンプである。
【0035】
レギュレータ13は、メインポンプ14の吐出量を制御できるように構成されている。本実施形態では、レギュレータ13は、コントローラ30からの制御指令に応じてメインポンプ14の斜板傾転角を調節することによってメインポンプ14の吐出量を制御する。
【0036】
パイロットポンプ15は、パイロット圧生成装置の一例であり、パイロットラインを介して油圧制御機器に作動油を供給できるように構成されている。本実施形態では、パイロットポンプ15は、固定容量型油圧ポンプである。但し、パイロット圧生成装置は、メインポンプ14によって実現されてもよい。すなわち、メインポンプ14は、作動油ラインを介して作動油をコントロールバルブユニット17に供給する機能に加え、パイロットラインを介して各種油圧制御機器に作動油を供給する機能を備えていてもよい。この場合、パイロットポンプ15は、省略されてもよい。
【0037】
コントロールバルブユニット17は、ショベル100における油圧システムを制御する油圧制御装置である。本実施形態では、コントロールバルブユニット17は、制御弁171~176を含む。制御弁175は制御弁175L及び制御弁175Rを含み、制御弁176は制御弁176L及び制御弁176Rを含む。コントロールバルブユニット17は、制御弁171~176を通じ、メインポンプ14が吐出する作動油を1又は複数の油圧アクチュエータに選択的に供給できるように構成されている。制御弁171~176は、例えば、メインポンプ14から油圧アクチュエータに流れる作動油の流量、及び、油圧アクチュエータから作動油タンクに流れる作動油の流量を制御する。油圧アクチュエータは、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、左走行油圧モータ2ML、右走行油圧モータ2MR及び旋回油圧モータ2Aを含む。
【0038】
操作装置26は、操作者がアクチュエータを操作できるように構成されている。本実施形態では、操作装置26は、操作者が油圧アクチュエータを操作できるように構成された油圧アクチュエータ操作装置を含む。具体的には、油圧アクチュエータ操作装置は、パイロットラインを介して、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、コントロールバルブユニット17内の対応する制御弁のパイロットポートに供給できるように構成されている。パイロットポートのそれぞれに供給される作動油の圧力(パイロット圧)は、油圧アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置26の操作方向及び操作量に応じた圧力である。
【0039】
吐出圧センサ28は、メインポンプ14の吐出圧を検出できるように構成されている。本実施形態では、吐出圧センサ28は、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0040】
操作センサ29は、操作者による操作装置26の操作の内容を検出できるように構成されている。本実施形態では、操作センサ29は、アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置26の操作方向及び操作量を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0041】
本実施形態では、操作装置26の操作方向及び操作量を含む操作情報と、操作情報が示す作業内容とを対応付けて、コントローラ30の記憶装置等に格納していてもよい。
【0042】
メインポンプ14は、左メインポンプ14L及び右メインポンプ14Rを含む。そして、左メインポンプ14Lは、左センターバイパス管路60L又は左パラレル管路62Lを経て作動油タンクまで作動油を循環させ、右メインポンプ14Rは、右センターバイパス管路60R又は右パラレル管路62Rを経て作動油タンクまで作動油を循環させる。
【0043】
左センターバイパス管路60Lは、コントロールバルブユニット17内に配置された制御弁171、173、175L及び176Lを通る作動油ラインである。右センターバイパス管路60Rは、コントロールバルブユニット17内に配置された制御弁172、174、175R及び176Rを通る作動油ラインである。
【0044】
制御弁171は、左メインポンプ14Lが吐出する作動油を左走行油圧モータ2MLへ供給し、且つ、左走行油圧モータ2MLが吐出する作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0045】
制御弁172は、右メインポンプ14Rが吐出する作動油を右走行油圧モータ2MRへ供給し、且つ、右走行油圧モータ2MRが吐出する作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0046】
制御弁173は、左メインポンプ14Lが吐出する作動油を旋回油圧モータ2Aへ供給し、且つ、旋回油圧モータ2Aが吐出する作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0047】
制御弁174は、右メインポンプ14Rが吐出する作動油をバケットシリンダ9へ供給し、且つ、バケットシリンダ9内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0048】
制御弁175Lは、左メインポンプ14Lが吐出する作動油をブームシリンダ7へ供給するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。制御弁175Rは、右メインポンプ14Rが吐出する作動油をブームシリンダ7へ供給し、且つ、ブームシリンダ7内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0049】
制御弁176Lは、左メインポンプ14Lが吐出する作動油をアームシリンダ8へ供給し、且つ、アームシリンダ8内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0050】
制御弁176Rは、右メインポンプ14Rが吐出する作動油をアームシリンダ8へ供給し、且つ、アームシリンダ8内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0051】
左パラレル管路62Lは、左センターバイパス管路60Lに並行する作動油ラインである。左パラレル管路62Lは、制御弁171、173、及び175Lの何れかによって左センターバイパス管路60Lを通る作動油の流れが制限或いは遮断された場合に、より下流の制御弁に作動油を供給できる。右パラレル管路62Rは、右センターバイパス管路60Rに並行する作動油ラインである。右パラレル管路62Rは、制御弁172、174、及び175Rの何れかによって右センターバイパス管路60Rを通る作動油の流れが制限或いは遮断された場合に、より下流の制御弁に作動油を供給できる。
【0052】
レギュレータ13は、左レギュレータ13L及び右レギュレータ13Rを含む。左レギュレータ13Lは、左メインポンプ14Lの吐出圧に応じて左メインポンプ14Lの斜板傾転角を調節することによって、左メインポンプ14Lの吐出量を制御する。具体的には、左レギュレータ13Lは、例えば、左メインポンプ14Lの吐出圧の増大に応じて左メインポンプ14Lの斜板傾転角を調節して吐出量を減少させる。右レギュレータ13Rについても同様である。吐出圧と吐出量との積で表されるメインポンプ14の吸収パワー(吸収馬力)がエンジン11の出力パワー(出力馬力)を超えないようにするためである。
【0053】
操作装置26は、左操作レバー26L、右操作レバー26R及び走行レバー26Dを含む。走行レバー26Dは、左走行レバー26DL及び右走行レバー26DRを含む。
【0054】
左操作レバー26Lは、旋回操作とアーム5の操作に用いられる。左操作レバー26Lは、前後方向に操作されると、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁176のパイロットポートに導入させる。また、左右方向に操作されると、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁173のパイロットポートに導入させる。
【0055】
具体的には、左操作レバー26Lは、アーム閉じ方向に操作された場合に、制御弁176Lの右側パイロットポートに作動油を導入させ、且つ、制御弁176Rの左側パイロットポートに作動油を導入させる。また、左操作レバー26Lは、アーム開き方向に操作された場合には、制御弁176Lの左側パイロットポートに作動油を導入させ、且つ、制御弁176Rの右側パイロットポートに作動油を導入させる。また、左操作レバー26Lは、左旋回方向に操作された場合に、制御弁173の左側パイロットポートに作動油を導入させ、右旋回方向に操作された場合に、制御弁173の右側パイロットポートに作動油を導入させる。
【0056】
図3に示す例では、左操作レバー26Lは、前後方向に操作されたときにアーム操作レバーとして機能し、左右方向に操作されたときに旋回操作レバーとして機能する。
【0057】
右操作レバー26Rは、ブーム4の操作とバケット6の操作に用いられる。右操作レバー26Rは、前後方向に操作されると、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁175のパイロットポートに導入させる。また、左右方向に操作されると、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁174のパイロットポートに導入させる。
【0058】
具体的には、右操作レバー26Rは、ブーム下げ方向に操作された場合に、制御弁175Rの左側パイロットポートに作動油を導入させる。また、右操作レバー26Rは、ブーム上げ方向に操作された場合には、制御弁175Lの右側パイロットポートに作動油を導入させ、且つ、制御弁175Rの左側パイロットポートに作動油を導入させる。また、右操作レバー26Rは、バケット閉じ方向に操作された場合に、制御弁174の右側パイロットポートに作動油を導入させ、バケット開き方向に操作された場合に、制御弁174の左側パイロットポートに作動油を導入させる。
【0059】
図3に示す例では、右操作レバー26Rは、前後方向に操作されたときにブーム操作レバーとして機能し、左右方向に操作されたときにバケット操作レバーとして機能する。
【0060】
走行レバー26Dは、クローラ1Cの操作に用いられる。具体的には、左走行レバー26DLは、左クローラ1CLの操作に用いられる。左走行ペダルと連動するように構成されていてもよい。左走行レバー26DLは、前後方向に操作されると、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁171のパイロットポートに導入させる。右走行レバー26DRは、右クローラ1CRの操作に用いられる。右走行ペダルと連動するように構成されていてもよい。右走行レバー26DRは、前後方向に操作されると、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁172のパイロットポートに導入させる。
【0061】
吐出圧センサ28は、吐出圧センサ28L及び吐出圧センサ28Rを含む。吐出圧センサ28Lは、左メインポンプ14Lの吐出圧を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。吐出圧センサ28Rについても同様である。
【0062】
操作センサ29は、操作センサ29LA、29LB、29RA、29RB、29DL、29DRを含む。操作センサ29LAは、操作者による左操作レバー26Lに対する前後方向への操作の内容を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作の内容は、例えば、レバー操作方向、レバー操作量(レバー操作角度)等である。
【0063】
言い換えれば、本実施形態の操作情報は、レバー操作方向、レバー操作量(レバー操作角度)等を含み、操作により行われた作業内容と対応付けられていてよい。
【0064】
同様に、操作センサ29LBは、操作者による左操作レバー26Lに対する左右方向への操作の内容を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作センサ29RAは、操作者による右操作レバー26Rに対する前後方向への操作の内容を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作センサ29RBは、操作者による右操作レバー26Rに対する左右方向への操作の内容を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作センサ29DLは、操作者による左走行レバー26DLに対する前後方向への操作の内容を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作センサ29DRは、操作者による右走行レバー26DRに対する前後方向への操作の内容を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0065】
コントローラ30は、操作センサ29の出力を受信し、必要に応じてレギュレータ13に対して制御指令を出力し、メインポンプ14の吐出量を変化させる。また、コントローラ30は、絞り18の上流に設けられた制御圧センサ19の出力を受信し、必要に応じてレギュレータ13に対して制御指令を出力し、メインポンプ14の吐出量を変化させる。絞り18は左絞り18L及び右絞り18Rを含み、制御圧センサ19は左制御圧センサ19L及び右制御圧センサ19Rを含む。
【0066】
左センターバイパス管路60Lには、最も下流にある制御弁176Lと作動油タンクとの間に左絞り18Lが配置されている。そのため、左メインポンプ14Lが吐出した作動油の流れは、左絞り18Lで制限される。そして、左絞り18Lは、左レギュレータ13Lを制御するための制御圧を発生させる。左制御圧センサ19Lは、この制御圧を検出するためのセンサであり、検出した値をコントローラ30に対して出力する。コントローラ30は、この制御圧に応じて左メインポンプ14Lの斜板傾転角を調節することによって、左メインポンプ14Lの吐出量を制御する。コントローラ30は、この制御圧が大きいほど左メインポンプ14Lの吐出量を減少させ、この制御圧が小さいほど左メインポンプ14Lの吐出量を増大させる。右メインポンプ14Rの吐出量も同様に制御される。
【0067】
具体的には、
図3で示されるようにショベル100における油圧アクチュエータが何れも操作されていない待機状態の場合、左メインポンプ14Lが吐出する作動油は、左センターバイパス管路60Lを通って左絞り18Lに至る。そして、左メインポンプ14Lが吐出する作動油の流れは、左絞り18Lの上流で発生する制御圧を増大させる。その結果、コントローラ30は、左メインポンプ14Lの吐出量を許容最小吐出量まで減少させ、吐出した作動油が左センターバイパス管路60Lを通過する際の圧力損失(ポンピングロス)を抑制する。一方、何れかの油圧アクチュエータが操作された場合、左メインポンプ14Lが吐出する作動油は、操作対象の油圧アクチュエータに対応する制御弁を介して、操作対象の油圧アクチュエータに流れ込む。そして、左メインポンプ14Lが吐出する作動油の流れは、左絞り18Lに至る量を減少或いは消失させ、左絞り18Lの上流で発生する制御圧を低下させる。その結果、コントローラ30は、左メインポンプ14Lの吐出量を増大させ、操作対象の油圧アクチュエータに十分な作動油を循環させ、操作対象の油圧アクチュエータの駆動を確かなものとする。なお、コントローラ30は、右メインポンプ14Rの吐出量も同様に制御する。
【0068】
上述のような構成により、
図3の油圧システムは、待機状態においては、メインポンプ14における無駄なエネルギ消費を抑制できる。無駄なエネルギ消費は、メインポンプ14が吐出する作動油がセンターバイパス管路60で発生させるポンピングロスを含む。また、
図3の油圧システムは、油圧アクチュエータを作動させる場合には、メインポンプ14から必要十分な作動油を作動対象の油圧アクチュエータに確実に供給できる。
【0069】
次に、
図4A~
図4Dを参照し、コントローラ30がマシンコントロール機能によってアクチュエータを動作させるための構成について説明する。
図4A~
図4Dは、油圧システムの一部を抜き出した図である。具体的には、
図4Aは、アームシリンダ8の操作に関する油圧システム部分を抜き出した図であり、
図4Bは、ブームシリンダ7の操作に関する油圧システム部分を抜き出した図である。
図4Cは、バケットシリンダ9の操作に関する油圧システム部分を抜き出した図であり、
図4Dは、旋回油圧モータ2Aの操作に関する油圧システム部分を抜き出した図である。
【0070】
図4A~
図4Dに示すように、油圧システムは、比例弁31を含む。比例弁31は、比例弁31AL~31DL及び31AR~31DRを含む。
【0071】
比例弁31は、マシンコントロール用制御弁として機能する。比例弁31は、パイロットポンプ15とコントロールバルブユニット17内の対応する制御弁のパイロットポートとを接続する管路に配置され、その管路の流路面積を変更できるように構成されている。本実施形態では、比例弁31は、コントローラ30が出力する制御指令に応じて動作する。そのため、コントローラ30は、操作者による操作装置26の操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31を介し、コントロールバルブユニット17内の対応する制御弁のパイロットポートに供給できる。そして、コントローラ30は、比例弁31が生成するパイロット圧を、対応する制御弁のパイロットポートに作用させることができる。
【0072】
この構成により、コントローラ30は、特定の操作装置26に対する操作が行われていない場合であっても、その特定の操作装置26に対応する油圧アクチュエータを動作させることができる。また、コントローラ30は、特定の操作装置26に対する操作が行われている場合であっても、その特定の操作装置26に対応する油圧アクチュエータの動作を強制的に停止させることができる。
【0073】
例えば、
図4Aに示すように、左操作レバー26Lは、アーム5を操作するために用いられる。具体的には、左操作レバー26Lは、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、前後方向への操作に応じたパイロット圧を制御弁176のパイロットポートに作用させる。より具体的には、左操作レバー26Lは、アーム閉じ方向(後方向)に操作された場合に、操作量に応じたパイロット圧を制御弁176Lの右側パイロットポートと制御弁176Rの左側パイロットポートに作用させる。また、左操作レバー26Lは、アーム開き方向(前方向)に操作された場合には、操作量に応じたパイロット圧を制御弁176Lの左側パイロットポートと制御弁176Rの右側パイロットポートに作用させる。
【0074】
左操作レバー26LにはスイッチNSが設けられている。本実施形態では、スイッチNSは、左操作レバー26Lの先端に設けられた押しボタンスイッチである。操作者は、スイッチNSを押しながら左操作レバー26Lを操作できる。スイッチNSは、右操作レバー26Rに設けられていてもよく、キャビン10内の他の位置に設けられていてもよい。
【0075】
操作センサ29LAは、操作者による左操作レバー26Lに対する前後方向への操作の内容を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0076】
比例弁31ALは、コントローラ30が出力する制御指令(電流指令)に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から比例弁31ALを介して制御弁176Lの右側パイロットポート及び制御弁176Rの左側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31ARは、コントローラ30が出力する制御指令(電流指令)に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から比例弁31ARを介して制御弁176Lの左側パイロットポート及び制御弁176Rの右側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31ALは、制御弁176L及び制御弁176Rを任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。同様に、比例弁31ARは、制御弁176L及び制御弁176Rを任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。
【0077】
この構成により、コントローラ30は、操作者によるアーム閉じ操作に応じ、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31ALを介し、制御弁176Lの右側パイロットポート及び制御弁176Rの左側パイロットポートに供給できる。また、コントローラ30は、操作者によるアーム閉じ操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31ALを介し、制御弁176Lの右側パイロットポート及び制御弁176Rの左側パイロットポートに供給できる。すなわち、コントローラ30は、操作者によるアーム閉じ操作に応じ、或いは、操作者によるアーム閉じ操作とは無関係に、アーム5を閉じることができる。
【0078】
また、コントローラ30は、操作者によるアーム開き操作に応じ、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31ARを介し、制御弁176Lの左側パイロットポート及び制御弁176Rの右側パイロットポートに供給できる。また、コントローラ30は、操作者によるアーム開き操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31ARを介し、制御弁176Lの左側パイロットポート及び制御弁176Rの右側パイロットポートに供給できる。すなわち、コントローラ30は、操作者によるアーム開き操作に応じ、或いは、操作者によるアーム開き操作とは無関係に、アーム5を開くことができる。
【0079】
また、この構成により、コントローラ30は、操作者によるアーム閉じ操作が行われている場合であっても、必要に応じて、制御弁176の閉じ側のパイロットポート(制御弁176Lの左側パイロットポート及び制御弁176Rの右側パイロットポート)に作用するパイロット圧を減圧し、アーム5の閉じ動作を強制的に停止させることができる。操作者によるアーム開き操作が行われているときにアーム5の開き動作を強制的に停止させる場合についても同様である。
【0080】
或いは、コントローラ30は、操作者によるアーム閉じ操作が行われている場合であっても、必要に応じて、比例弁31ARを制御し、制御弁176の閉じ側のパイロットポートの反対側にある、制御弁176の開き側のパイロットポート(制御弁176Lの右側パイロットポート及び制御弁176Rの左側パイロットポート)に作用するパイロット圧を増大させ、制御弁176を強制的に中立位置に戻すことで、アーム5の閉じ動作を強制的に停止させてもよい。操作者によるアーム開き操作が行われている場合にアーム5の開き動作を強制的に停止させる場合についても同様である。
【0081】
また、以下の
図4B~
図4Dを参照しながらの説明を省略するが、操作者によるブーム上げ操作又はブーム下げ操作が行われている場合にブーム4の動作を強制的に停止させる場合、操作者によるバケット閉じ操作又はバケット開き操作が行われている場合にバケット6の動作を強制的に停止させる場合、及び、操作者による旋回操作が行われている場合に上部旋回体3の旋回動作を強制的に停止させる場合についても同様である。また、操作者による走行操作が行われている場合に下部走行体1の走行動作を強制的に停止させる場合についても同様である。
【0082】
また、
図4Bに示すように、右操作レバー26Rは、ブーム4を操作するために用いられる。具体的には、右操作レバー26Rは、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、前後方向への操作に応じたパイロット圧を制御弁175のパイロットポートに作用させる。より具体的には、右操作レバー26Rは、ブーム上げ方向(後方向)に操作された場合に、操作量に応じたパイロット圧を制御弁175Lの右側パイロットポートと制御弁175Rの左側パイロットポートに作用させる。また、右操作レバー26Rは、ブーム下げ方向(前方向)に操作された場合には、操作量に応じたパイロット圧を制御弁175Rの右側パイロットポートに作用させる。
【0083】
操作センサ29RAは、操作者による右操作レバー26Rに対する前後方向への操作の内容を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0084】
比例弁31BLは、コントローラ30が出力する制御指令(電流指令)に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から比例弁31BLを介して制御弁175Lの右側パイロットポート及び制御弁175Rの左側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31BRは、コントローラ30が出力する制御指令(電流指令)に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から比例弁31BRを介して制御弁175Rの右側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31BLは、制御弁175L及び制御弁175Rを任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。また、比例弁31BRは、制御弁175Rを任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。
【0085】
この構成により、コントローラ30は、操作者によるブーム上げ操作に応じ、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31BLを介し、制御弁175Lの右側パイロットポート及び制御弁175Rの左側パイロットポートに供給できる。また、コントローラ30は、操作者によるブーム上げ操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31BLを介し、制御弁175Lの右側パイロットポート及び制御弁175Rの左側パイロットポートに供給できる。すなわち、コントローラ30は、操作者によるブーム上げ操作に応じ、或いは、操作者によるブーム上げ操作とは無関係に、ブーム4を上げることができる。
【0086】
また、コントローラ30は、操作者によるブーム下げ操作に応じ、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31BRを介し、制御弁175Rの右側パイロットポートに供給できる。また、コントローラ30は、操作者によるブーム下げ操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31BRを介し、制御弁175Rの右側パイロットポートに供給できる。すなわち、コントローラ30は、操作者によるブーム下げ操作に応じ、或いは、操作者によるブーム下げ操作とは無関係に、ブーム4を下げることができる。
【0087】
また、
図4Cに示すように、右操作レバー26Rは、バケット6を操作するためにも用いられる。具体的には、右操作レバー26Rは、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、左右方向への操作に応じたパイロット圧を制御弁174のパイロットポートに作用させる。より具体的には、右操作レバー26Rは、バケット閉じ方向(左方向)に操作された場合に、操作量に応じたパイロット圧を制御弁174の左側パイロットポートに作用させる。また、右操作レバー26Rは、バケット開き方向(右方向)に操作された場合には、操作量に応じたパイロット圧を制御弁174の右側パイロットポートに作用させる。
【0088】
操作センサ29RBは、操作者による右操作レバー26Rに対する左右方向への操作の内容を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0089】
比例弁31CLは、コントローラ30が出力する制御指令(電流指令)に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から比例弁31CLを介して制御弁174の左側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31CRは、コントローラ30が出力する制御指令(電流指令)に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から比例弁31CRを介して制御弁174の右側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31CLは、制御弁174を任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。同様に、比例弁31CRは、制御弁174を任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。
【0090】
この構成により、コントローラ30は、操作者によるバケット閉じ操作に応じ、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31CLを介し、制御弁174の左側パイロットポートに供給できる。また、コントローラ30は、操作者によるバケット閉じ操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31CLを介し、制御弁174の左側パイロットポートに供給できる。すなわち、コントローラ30は、操作者によるバケット閉じ操作に応じ、或いは、操作者によるバケット閉じ操作とは無関係に、バケット6を閉じることができる。
【0091】
また、コントローラ30は、操作者によるバケット開き操作に応じ、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31CRを介し、制御弁174の右側パイロットポートに供給できる。また、コントローラ30は、操作者によるバケット開き操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31CRを介し、制御弁174の右側パイロットポートに供給できる。すなわち、コントローラ30は、操作者によるバケット開き操作に応じ、或いは、操作者によるバケット開き操作とは無関係に、バケット6を開くことができる。
【0092】
また、
図4Dに示すように、左操作レバー26Lは、旋回機構2を操作するためにも用いられる。具体的には、左操作レバー26Lは、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、左右方向への操作に応じたパイロット圧を制御弁173のパイロットポートに作用させる。より具体的には、左操作レバー26Lは、左旋回方向(左方向)に操作された場合に、操作量に応じたパイロット圧を制御弁173の左側パイロットポートに作用させる。また、左操作レバー26Lは、右旋回方向(右方向)に操作された場合には、操作量に応じたパイロット圧を制御弁173の右側パイロットポートに作用させる。
【0093】
操作センサ29LBは、操作者による左操作レバー26Lに対する左右方向への操作の内容を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0094】
比例弁31DLは、コントローラ30が出力する制御指令(電流指令)に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から比例弁31DLを介して制御弁173の左側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31DRは、コントローラ30が出力する制御指令(電流指令)に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から比例弁31DRを介して制御弁173の右側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31DLは、制御弁173を任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。同様に、比例弁31DRは、制御弁173を任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。
【0095】
この構成により、コントローラ30は、操作者による左旋回操作に応じ、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31DLを介し、制御弁173の左側パイロットポートに供給できる。また、コントローラ30は、操作者による左旋回操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31DLを介し、制御弁173の左側パイロットポートに供給できる。すなわち、コントローラ30は、操作者による左旋回操作に応じ、或いは、操作者による左旋回操作とは無関係に、旋回機構2を左旋回させることができる。
【0096】
また、コントローラ30は、操作者による右旋回操作に応じ、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31DRを介し、制御弁173の右側パイロットポートに供給できる。また、コントローラ30は、操作者による右旋回操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31DRを介し、制御弁173の右側パイロットポートに供給できる。すなわち、コントローラ30は、操作者による右旋回操作に応じ、或いは、操作者による右旋回操作とは無関係に、旋回機構2を右旋回させることができる。
【0097】
ショベル100は、下部走行体1を自動的に前進・後進させる構成を備えていてもよい。この場合、左走行油圧モータ2MLの操作に関する油圧システム部分、及び、右走行油圧モータ2MRの操作に関する油圧システム部分は、ブームシリンダ7の操作に関する油圧システム部分等と同じように構成されてもよい。
【0098】
また、操作装置26の形態として電気式操作レバーに関する説明を記載したが、電気式操作レバーではなく油圧式操作レバーが採用されてもよい。この場合、油圧式操作レバーのレバー操作量は、圧力センサによって圧力の形で検出されてコントローラ30へ入力されてもよい。また、油圧式操作レバーとしての操作装置26と各制御弁のパイロットポートとの間には電磁弁が配置されてもよい。電磁弁は、コントローラ30からの電気信号に応じて動作するように構成される。この構成により、油圧式操作レバーとしての操作装置26を用いた手動操作が行われると、操作装置26は、レバー操作量に応じてパイロット圧を増減させることで各制御弁を移動させることができる。また、各制御弁は電磁スプール弁で構成されていてもよい。この場合、電磁スプール弁は、電気式操作レバーのレバー操作量に対応するコントローラ30からの電気信号に応じて動作する。
【0099】
次に、
図5を参照し、コントローラ30の機能構成について説明する。
図5は、コントローラの機能について説明する図である。
【0100】
図5では、コントローラ30は、操作装置26、空間認識装置70、操作方式切換装置SD、及びスイッチNS等の少なくとも1つが出力する信号を受け、様々な演算を実行し、比例弁31等に制御指令を出力できるように構成されている。また、本実施形態のコントローラ30は、各種の情報を表示装置40に表示させる。
【0101】
表示装置40は、コントローラ30と接続され、コントローラ30による制御下で、キャビン10内の着座したオペレータから視認し易い位置に設けられ、各種情報画像を表示する。表示装置40は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ等である。表示装置40は、後述する入力装置42を有する。
【0102】
なお、表示装置40として、携帯端末等の支援装置の表示部を利用してもよい。支援装置は、典型的には携帯端末装置であり、例えば、施工現場にいる作業者等が携帯するノートPC、タブレットPC、又はスマートフォン等である。また、支援装置は、本実施形態における端末装置400であってもよい。支援装置は、ショベル100の操作者が携帯するコンピュータであってもよい。支援装置は、固定端末装置であってもよい。
【0103】
本実施形態のコントローラ30は、入力受付部310、表示制御部311、登録部312、禁止判定部313、バケット動作制御部314、及びアーム動作制御部315を機能要素として有する。各機能要素は、ハードウェアで構成されていてもよく、ソフトウェアで構成されていてもよい。また、バケット動作制御部314、及びアーム動作制御部315は、説明の便宜のために区別されて示されているが、物理的に区別されている必要はなく、全体的に或いは部分的に共通のソフトウェアコンポーネント若しくはハードウェアコンポーネントで構成されていてもよい。
【0104】
入力受付部310は、表示装置40が有する入力装置42や、左操作レバー26Lに設けられたスイッチNS(NSL)等に対する各種の操作の入力を受け付ける。
【0105】
表示制御部311は、表示装置40に対する表示を制御する。具体的には、表示制御部311は、表示装置40に、ショベル100の自動制御機能の設定を行うための画面等を表示させる。
【0106】
登録部312は、入力受付部310が受け付けた操作に応じて、ショベル100の作業内容と、ショベル100の操作情報とを対応付けて、コントローラ30の有する記憶装置等に格納する。言い換えれば、登録部312は、自動化する作業内容と、作業内容と対応する操作情報とを対応付けた自動制御情報を記憶装置に格納する。
【0107】
本実施形態の作業内容とは、ショベル100の動作を組み合わせたものであってよい。また、本実施形態の作業内容には、複数の動作を含む動作グループが、複数含まれてもよい。本実施形態では、動作グループ間には、一定時間のインターバルや、任意の時間に設定可能なインターバルが含まれてもよい。
【0108】
また、以下の説明では、記憶装置に、作業内容と操作情報とを対応付けた自動制御情報を格納することを、自動制御機能を設定する、と表現する場合がある。本実施形態の作業内容とは、自動制御の対象となる動作の組み合わせである。
【0109】
なお、記憶装置は、コントローラ30の有する不揮発性記憶装置であってもよいし、コントローラ30の外部に設けられた記憶装置であってもよい。登録部312の処理の詳細は後述する。
【0110】
禁止判定部313は、登録部312により登録された作業内容に、予め禁止された動作の組み合わせが含まれるか否かを判定する。予め禁止された動作の組み合わせとは、例えば、ブーム上げ動作とブーム下げ動作との組み合わせ等である。
【0111】
バケット動作制御部314は、記憶装置に格納された自動制御情報に基づき、バケット6の自動開閉動作を行う。
【0112】
アーム動作制御部315は、記憶装置に格納された自動制御情報に基づき、アーム5の自動開閉動作を行う。
【0113】
このように、本実施形態のコントローラ30は、ショベル100の表示装置40に表示された画面において、自動制御機能の設定を受け付ける制御部の一例である。
【0114】
次に、
図6を参照して、本実施形態のショベル100のコントローラ30の処理について説明する。
図6は、ショベルのコントローラの処理を説明する第一のフローチャートである。
図6では、自動制御機能を設定する処理を示している。
【0115】
本実施形態のコントローラ30は、入力受付部310により、自動制御機能の設定を指示する操作を受け付けると、表示制御部311により、表示装置40に、ショベル100の動作を示すアイコン画像を含む設定画面を表示させる(ステップS601)。ここで表示されるアイコン画像は、スイッチNSにより、切り換えることができる。なお、本実施形態のアイコン画像は、ショベル100の動きの種類を示す画像とも言える。設定画面の詳細は後述する。
【0116】
続いて、コントローラ30は、アイコン画像が決定されると(ステップS602)、登録部312により、決定されたアイコン画像と対応付けられた動作と、動作と対応する操作情報とを対応づけて保持する(ステップS603)。
【0117】
つまり、登録部312は、アイコン画像の選択を受け付けると、このアイコン画像と対応付けられた動作を、自動制御機能による制御の対象となる動作とする。
【0118】
なお、動作毎の操作情報は、予め準備されて、記憶装置に格納されていてよい。
【0119】
続いて、コントローラ30は、入力受付部310により、登録を操作する指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS604)。ステップS604において、登録を終了する操作を受け付けない場合、コントローラ30はステップS601へ戻り、次の動作を選択するためのアイコン画像を設定画面に表示させる。
【0120】
ステップS604において、登録を終了する操作を受け付けると、コントローラ30は、禁止判定部313により、1つのグループとして登録された動作に、予め禁止された組み合わせが含まれるか否かを判定する(ステップS605)。
【0121】
ステップS605において、該当する動作の組み合わせが含まれる場合、コントローラ30は、表示制御部311により、表示装置40にエラーを表示させ(ステップS606)、処理を終了する。
【0122】
ステップS605において、該当する動作の組み合わせが含まれない場合、コントローラ30は、登録部312に保持された、動作と操作情報とを対応付けた情報を、作業内容の自動制御情報として登録し(ステップS607)、処理を終了する。
【0123】
このとき、登録部312は、作業内容とスイッチNSとを対応付けておき、スイッチNSが操作されると、スイッチNSと対応する作業内容の自動制御情報に基づき、バケット動作制御部314、アーム動作制御部315を制御してもよい。
【0124】
以下に、
図7と
図8を参照して、表示装置40の表示例について説明する。
図7は、メイン画面の一例を示す第一の図である。
【0125】
図7に示す表示装置40は、画像表示部41と、入力装置42とを有する。画像表示部41は、各種の画像が表示される画面であり、
図7では、画像表示部41にメイン画面が表示されている。このメイン画面は、例えば、
図6のステップS601で表示される設定画面が表示される前に表示装置40に表示され、メイン画面に対する操作により、設定画面が表示される。入力装置42は、各種のメニュースイッチが含まれる。
【0126】
まず、画像表示部41について説明する。
図7に示されるように、画像表示部41は、日時表示領域41a、走行モード表示領域41b、アタッチメント表示領域41c、燃費表示領域41d、エンジン制御状態表示領域41e、エンジン稼働時間表示領域41f、冷却水温表示領域41g、燃料残量表示領域41h、回転数モード表示領域41i、尿素水残量表示領域41j、作動油温表示領域41k、エアコン運転状態表示領域41m、画像表示領域41n、及びメニュー表示領域41pを含む。
【0127】
走行モード表示領域41b、アタッチメント表示領域41c、エンジン制御状態表示領域41e、回転数モード表示領域41i、及びエアコン運転状態表示領域41mは、ショベル100の設定状態に関する情報である設定状態情報を表示する領域である。燃費表示領域41d、エンジン稼働時間表示領域41f、冷却水温表示領域41g、燃料残量表示領域41h、尿素水残量表示領域41j、及び作動油温表示領域41kは、ショベル100の稼動状態に関する情報である稼動状態情報を表示する領域である。
【0128】
具体的には、日時表示領域41aは、現在の日時を表示する領域である。走行モード表示領域41bは、現在の走行モードを表示する領域である。アタッチメント表示領域41cは、現在装着されているアタッチメントを表す画像を表示する領域である。燃費表示領域41dは、コントローラ30によって算出された燃費情報を表示する領域である。燃費表示領域41dは、生涯平均燃費又は区間平均燃費を表示する平均燃費表示領域41d1、瞬間燃費を表示する瞬間燃費表示領域41d2を含む。
【0129】
エンジン制御状態表示領域41eは、エンジン11の制御状態を表示する領域である。エンジン稼働時間表示領域41fは、エンジン11の累積稼働時間を表示する領域である。冷却水温表示領域41gは、現在のエンジン冷却水の温度状態を表示する領域である。燃料残量表示領域41hは、燃料タンクに貯蔵されている燃料の残量状態を表示する領域である。
【0130】
回転数モード表示領域41iは、エンジン回転数調整ダイヤル75によって設定された現在の回転数モードを画像で表示する領域である。尿素水残量表示領域41jは、尿素水タンクに貯蔵されている尿素水の残量状態を画像で表示する領域である。作動油温表示領域41kは、作動油タンク内の作動油の温度状態を表示する領域である。
【0131】
エアコン運転状態表示領域41mは、現在の吹出口の位置を表示する吹出口表示領域41m1、現在の運転モードを表示する運転モード表示領域41m2、現在の設定温度を表示する温度表示領域41m3、及び現在の設定風量を表示する風量表示領域41m4を含む。
【0132】
画像表示領域41nは、空間認識装置70としての撮像装置が撮像した画像を表示する領域である。
図7の例では、画像表示領域41nは、俯瞰画像FV及び後方画像CBTを表示している。俯瞰画像FVは、例えば、表示制御部311によって生成される仮想視点画像であり、後方カメラ70B、左カメラ70L、及び右カメラ70Rのそれぞれが取得した画像に基づいて生成される。
【0133】
また、俯瞰画像FVの中央部分には、ショベル100に対応するショベル図形GEが配置されている。ショベル100とショベル100の周囲に存在する物体との位置関係をオペレータにより直感的に把握させるためである。後方画像CBTは、ショベル100の後方の空間を映し出す画像であり、カウンタウェイトの画像GCを含む。後方画像CBTは、表示制御部311等によって生成される実視点画像であり、後方カメラ70Bが取得した画像に基づいて生成される。
【0134】
また、画像表示領域41nは、上方に位置する第1画像表示領域41n1と下方に位置する第2画像表示領域41n2を有する。
図7の例では、俯瞰画像FVを第1画像表示領域41n1に配置し、且つ、後方画像CBTを第2画像表示領域41n2に配置している。但し、画像表示領域41nは、俯瞰画像FVを第2画像表示領域41n2に配置し、且つ、後方画像CBTを第1画像表示領域41n1に配置してもよい。
【0135】
また、
図7の例では、俯瞰画像FVと後方画像CBTとは上下に隣接して配置されているが、間隔を空けて配置されていてもよい。また、
図7の例では、画像表示領域41nが縦長の領域であるが、画像表示領域41nは横長の領域であってもよい。
【0136】
画像表示領域41nが横長の領域である場合、画像表示領域41nは、左側に第1画像表示領域41n1として俯瞰画像FVを配置し、右側に第2画像表示領域41n2として後方画像CBTを配置してもよい。この場合、左右に間隔を空けて配置してもよいし、俯瞰画像FVと後方画像CBTの位置を入れ換えてもよい。
【0137】
さらに、本実施形態では、第1画像表示領域41n1と第2画像表示領域41n2のそれぞれに、アイコン画像41xが表示される。アイコン画像41xは、撮像装置(空間認識装置70)の位置と上部旋回体3のアタッチメントの向きとの相対的関係を表す画像である。
【0138】
本実施形態のアイコン画像41xは、ショベル100の画像41xMと、ショベル100の前方を示す画像41xF、ショベル100の後方を示す画像41xB、を含む。また、アイコン画像41xは、ショベル100の左側を示す画像41xL、ショベル100の右側を示す画像41xR、キャビン10内を示す画像41xIを含む。
【0139】
画像41xF、41xB、41xL、41xR、41xIは、それぞれが、ショベル100の前方を撮像するカメラ70F、ショベル100の後方を撮像するカメラ70B、ショベル100の左方を撮像するカメラ70L、ショベル100の右方を撮像するカメラ70Rに対応している。また、画像41xIは、キャビン10内部のカメラに対応している。
【0140】
本実施形態では、アイコン画像41xにおいて、各カメラと対応付けられた画像が選択されると、選択された画像と対応するカメラによって撮像された画像データが画像表示領域41nに表示される。
【0141】
図7の例では、第1画像表示領域41n1では、画像41xB、41xL、41xRの表示態様が、画像41xF、画像41xIの表示態様と異なっている。このため、第1画像表示領域41n1には、画像41xB、41xL、41xRのそれぞれと対応するカメラ70B、70L、70Rで撮像された画像データから合成された画像データが示す俯瞰画像が表示されていることがわかる。
【0142】
また、第2画像表示領域41n2では、画像41xBの表示態様が、画像41xF、41xL、41xR、41xIの表示態様と異なっている。このため、第2画像表示領域41n2には、画像41xBと対応するカメラ70Bで撮像された画像データが示す画像が表示されていることがわかる。
【0143】
メニュー表示領域41pは、タブ41p1~41p7を有する。
図7の例では、画像表示部41の最下部に、タブ41p1~41p7が左右に互いに間隔を空けて配置されている。タブ41p1~41p7には、各種情報を表示するためのアイコン画像が表示される。
【0144】
タブ41p1には、メニュー詳細項目を表示するためのメニュー詳細項目アイコン画像が表示されている。オペレータによりタブ41p1が選択されると、タブ41p2~41p7に表示されているアイコン画像がメニュー詳細項目に関連付けされたアイコン画像に切り換わる。
【0145】
タブ41p4には、デジタル水準器に関する情報を表示するためのアイコン画像が表示されている。オペレータによりタブ41p4が選択されると、後方画像CBTがデジタル水準器に関する情報を示す画面に切り換わる。但し、後方画像CBTに重畳したり、後方画像CBTが縮小したりしてデジタル水準器に関する情報を示す画面が表示されてもよい。
【0146】
また、俯瞰画像FVがデジタル水準器に関する情報を示す画面に切り換わってもよく、俯瞰画像FVに重畳したり、俯瞰画像FVが縮小したりしてデジタル水準器に関する情報を示す画面が表示されてもよい。
【0147】
タブ41p5には、画像表示部41に表示されているメイン画面を、自動制御機能の設定画面に遷移させるためのアイコン画像が表示されている。オペレータにより、後述するタブ41p5と対応する入力装置42が選択されると、画像表示部41に表示されたメイン画面は、自動制御機能の設定画面に遷移する。なお、このとき、画像表示領域41nは継続して表示され、第1画像表示領域41nは継続して表示され、第2画像表示領域41n2に、自動制御機能を設定するためのアイコン画像等が表示される。なお、自動制御機能の設定は、ショベル100の非操作時に行われる。
【0148】
タブ41p6には、情報化施工に関する情報を表示するためのアイコン画像が表示されている。オペレータによりタブ41p6が選択されると、後方画像CBTが情報化施工に関する情報を示す画面に切り換わる。但し、後方画像CBTに重畳したり、後方画像CBTが縮小したりして情報化施工に関する情報を示す画面が表示されてもよい。また、俯瞰画像FVが情報化施工に関する情報を示す画面に切り換わってもよく、俯瞰画像FVに重畳したり、俯瞰画像FVが縮小したりしてデジタル水準器に関する情報を示す画面が表示されてもよい。
【0149】
タブ41p7には、クレーンモードに関する情報を表示するためのアイコン画像が表示されている。オペレータによりタブ41p7が選択されると、後方画像CBTがクレーンモードに関する情報を示す画面に切り換わる。但し、後方画像CBTに重畳したり、後方画像CBTが縮小したりしてクレーンモードに関する情報を示す画面が表示されてもよい。また、俯瞰画像FVがクレーンモードに関する情報を示す画面に切り換わってもよく、俯瞰画像FVに重畳したり、俯瞰画像FVが縮小したりしてクレーンモードに関する情報を示す画面が表示されてもよい。
【0150】
タブ41p2、41p3には、アイコン画像が表示されていない。このため、オペレータによりタブ41p2、41p3が操作されても、画像表示部41に表示される画像に変化は生じない。
【0151】
なお、タブ41p1~41p7に表示されるアイコン画像は上記した例に限定されるものではなく、他の情報を表示するためのアイコン画像が表示されていてもよい。
【0152】
次に、入力装置42について説明する。
図7に示されるように、入力装置42は、オペレータによるタブ41p1~41p7の選択、設定入力等が行われる1又は複数のボタン式のスイッチにより構成されている。
【0153】
図7の例では、入力装置42は、上段に配置された7つのスイッチ42a1~42a7と、下段に配置された7つのスイッチ42b1~42b7と、を含む。スイッチ42b1~42b7は、スイッチ42a1~42a7のそれぞれの下方に配置されている。
【0154】
但し、入力装置42のスイッチの数、形態、及び配置は、上記した例に限定されるものではなく、例えば、ジョグホイール、ジョグスイッチ等により複数のボタン式のスイッチの機能を1つにまとめた形態であってもよいし、入力装置42が表示装置40と別体になっていてもよい。また、画像表示部41と入力装置42が一体となったタッチパネルでタブ41p1~41p7を直接操作する方式でもよい。
【0155】
スイッチ42a1~42a7は、タブ41p1~41p7の下方に、それぞれタブ41p1~41p7に対応して配置されており、それぞれタブ41p1~41p7を選択するスイッチとして機能する。
【0156】
スイッチ42a1~42a7がそれぞれタブ41p1~41p7の下方に、それぞれタブ41p1~41p7に対応して配置されているので、オペレータは直感的にタブ41p1~41p7を選択できる。
【0157】
図7では、例えば、スイッチ42a1が操作されるとタブ41p1が選択されて、メニュー表示領域41pが1段表示から2段表示に変更されて第1メニューに対応するアイコン画像がタブ41p2~41p7に表示される。また、メニュー表示領域41pが1段表示から2段表示に変更されたことに対応して、後方画像CBTの大きさが縮小される。このとき、俯瞰画像FVの大きさは変更されることなく維持されるので、オペレータがショベル100の周囲を確認するときの視認性が悪化しない。
【0158】
また、表示制御部311は、スイッチ42a5が操作されると、タブ41p5が選択されたものとし、メイン画面を、
図8に示す自動制御機能の設定画面に遷移させる。
【0159】
具体的には、表示制御部311は、スイッチ42a5が操作されると、画像表示領域41nは維持したまま、第2画像表示領域41n2を、自動制御機能を設定するための画像を表示させる表示領域とする。
【0160】
このように、本実施形態では、自動制御機能の設定画面においても、画像表示領域41nに継続して撮像画像が表示されるため、オペレータがショベル100の周囲を確認するときの視認性が悪化させない。
【0161】
スイッチ42b1は、画像表示領域41nに表示される撮像画像を切り換えるスイッチである。スイッチ42b1が操作されるごとに画像表示領域41nの第1画像表示領域41n1に表示される撮像画像が、例えば、後方画像、左方画像、右方画像、及び俯瞰画像の間で切り換わるように構成されている。
【0162】
また、スイッチ42b1が操作されるごとに画像表示領域41nの第2画像表示領域41n2に表示される撮像画像が、例えば、後方画像、左方画像、右方画像、及び俯瞰画像の間で切り換わるように構成されていてもよい。
【0163】
また、表示制御部311は、スイッチ42b1の操作に応じて、アイコン画像41xにおける画像41xF、41xB、41xL、41xR、41xIの表示態様を変更してもよい。
【0164】
また、スイッチ42b1が操作されるごとに画像表示領域41nの第1画像表示領域41n1に表示される撮像画像と第2画像表示領域41n2に表示される撮像画像とが入れ換わるように構成されていてもよい。
【0165】
このように、入力装置42としてのスイッチ42b1は、第1画像表示領域41n1又は第2画像表示領域41n2に表示される画面を切り換えてもよいし、第1画像表示領域41n1と第2画像表示領域41n2に表示される画面を切り換えてもよい。また、第2画像表示領域41n2に表示される画面を切り換えるためのスイッチを別に設けてもよい。
【0166】
スイッチ42b2、42b3は、エアコンの風量を調節するスイッチである。
図7の例では、スイッチ42b2が操作されるとエアコンの風量が小さくなり、スイッチ42b3が操作されるとエアコンの風量が大きくなるように構成されている。
【0167】
スイッチ42b4は、冷房・暖房機能のON・OFFを切り換えるスイッチである。
図7の例では、スイッチ42b4が操作されるごとに冷房・暖房機能のON・OFFが切り換わるように構成されている。
【0168】
スイッチ42b5、42b6は、エアコンの設定温度を調節するスイッチである。
図7の例では、スイッチ42b5が操作されると設定温度が低くなり、スイッチ42b6が操作されると設定温度が高くなるように構成されている。
【0169】
スイッチ42b7は、エンジン稼働時間表示領域41fの表示を切り換得るスイッチである。
【0170】
また、スイッチ42a2~42a6、42b2~42b6は、それぞれのスイッチ又はスイッチ近傍に表示された数字を入力可能に構成されている。また、スイッチ42a3、42a4、42a5、42b4は、メニュー画面にカーソルが表示された際、カーソルをそれぞれ左、上、右、下に移動させることが可能に構成されている。
【0171】
なお、スイッチ42a1~42a7、42b1~42b7に与えられる機能は一例であり、他の機能が実行できるように構成されていてもよい。
【0172】
以上に説明したように、画像表示領域41nに俯瞰画像FV及び後方画像CBTが表示されている状態で、タブ41p1が選択されると、俯瞰画像FV及び後方画像CBTを表示した状態でタブ41p2~41p7に第1メニュー詳細項目が表示される。このため、オペレータは、俯瞰画像FV及び後方画像CBTを確認しながら、第1メニュー詳細項目を確認できる。
【0173】
また、画像表示領域41nには、タブ41p1が選択される前後で大きさが変更されることなく俯瞰画像FVが表示される。オペレータがショベル100の周囲を確認するときの視認性が悪化しない。
【0174】
図8は、自動制御機能の設定画面の一例を示す図である。
図8の示す画像表示部41には、第1画像表示領域41n1と、第2表示領域41n2Aとが表示される。
【0175】
第2表示領域41n2Aには、アイコン画像45a、45b、アイコン画像46a、矢印画像47a、47b、アイコン画像48aが表示されている。また、第2表示領域41n2Aには、タブ49a~49dが表示されている。
【0176】
アイコン画像45aは、第2表示領域41n2Aが、自動制御機能の登録を行うための表示であることを示す。アイコン画像45bは、自動制御機能の登録を終了するためのアイコン画像である。
【0177】
アイコン画像46aは、ブーム下げ動作と対応付けられたアイコン画像である。矢印画像47a、47bは、アイコン画像46aの、他の動作と対応付けられたアイコン画像への切り換えが可能であることを示す。
【0178】
アイコン画像48aは、アイコン画像46aと対応付けられた動作に別の動作を組み合わせるためのアイコン画像である。
【0179】
タブ49aは、第2表示領域41n2Aの表示を元に戻すためのタブである。タブ49bは、アイコン画像45aを切り換えるためのタブである。タブ49cは、アイコン画像46aが示す動作の次の動作を選択するためのタブである。タブ49dは、自動制御機能の設定画面をメイン画面に遷移させるためのタブである。
【0180】
本実施形態てば、タブ49a~49dのそれぞれと対応する位置にある入力装置42が操作されると、表示装置40の画面が、操作された入力装置42と対応するタブに応じた表示となる。
【0181】
図8に示す第2表示領域41n2Aは、自動制御機能の設定画面の初期状態であってよい。
【0182】
次に、
図9を参照して、自動制御機能の設定について具体的に説明する。
図9は、自動制御機能の設定について説明する図である。
【0183】
図9(A)は、自動制御機能の設定画面の初期状態であり、
図8の第2表示領域41n2Aと同様である。
【0184】
図9(A)では、ブーム下げ動作と対応付けられたアイコン画像46aが表示されている。この状態で、例えば、タブ49bと対応する入力装置42が操作されると、アイコン画像46aが、ブーム下げ動作とは別の動作と対応付けられたアイコン画像に切り替わる。
【0185】
また、
図9(A)の状態でタブ49cと対応する入力装置42が操作されると、アイコン画像48aの隣に、新たに、動作と対応付けられたアイコン画像が表示される。
【0186】
図9(B)は、自動制御機能の設定中の第2表示領域41n2Aの状態を示す。
図9(B)の第2表示領域41n2Aでは、アイコン画像46a、46b、46cがアイコン画像48aとアイコン画像48bとによって関連付けられている。したがって、
図9(B)の例では、アイコン画像46aが対応付けられたブーム下げ動作、アイコン画像46bと対応付けられたアーム開き動作、アイコン画像46cと対応付けられたバケット開き動作とが組み合わされていることがわかる。
【0187】
つまり、ここでは、ショベル100は、ブーム下げ動作、アーム開き動作、バケット開き動作を同時に行う排土動作が選択されたことがわかる。
【0188】
また、
図9(B)の第2表示領域41n2Aでは、アイコン画像43aが表示されている。このアイコン画像43aは、選択された種類の動作間に設けられるインターバルと対応付けられたアイコン画像である。
【0189】
図9(B)の例では、アイコン画像46a~46cが表示された領域の下に、アイコン画像43aが表示されている。そして、アイコン画像43aが表示された領域の下に、アイコン画像46d、46eが表示されている。
【0190】
アイコン画像46dは、アーム閉じ動作と対応付けられており、アイコン画像46eは左旋回動作と対応付けている。また、アイコン画像46dと、アイコン画像46eとは、アイコン画像48cによって関連付けられており、アーム閉じ動作と左旋回動作とが組み合わされていることがわかる。つまり、ここでは、ショベル100は、ブーム下げ動作、アーム閉じ動作、旋回動作を同時に行う左旋回動作が選択されたことがわかる。
【0191】
このように、
図9(B)では、排土動作、インターバル、左旋回動作が、一連の作業内容として選択されている。
【0192】
また、本実施形態では、第2表示領域41n2Aにおいて、各アイコン画像が示す動作に対し、角度や時間等のパラメータを設定することができる。また、本実施形態では、作業内容は、掘削すべき位置等の作業条件を含んでいてもよい。例えば、作業内容が設定され、設定された作業内容を実行するために各アイコン画像が示す動作が選択されると、作業内容に含まれる作業条件に基づき、各動作の動作時間等を示すパラメータが自動的に設定される。また、各動作の動作時間を累積することで、設定された作業内容が完了するまでに必要な作業時間を推定できる。また、各動作の動作時間等を示すパラメータは手入力により設定してもよい。
【0193】
図9(B)の例では、アイコン画像46a~46dのそれぞれに対し、動作時間を示すパラメータ50a、50b、50c、50eが設定されており、アイコン画像43aに対し、インターバルの時間を示すパラメータ50dが設定されている。また、アイコン画像46eには、旋回角度を示すパラメータ50fが設定されている。
【0194】
本実施形態では、
図9(B)において、アイコン画像45bを選択する操作が行われると、登録部312は、第2表示領域41n2Aの設定に応じた自動制御情報を登録する。
【0195】
具体的には、登録部312は、アイコン画像46a~46cのそれぞれに対して設定されたパラメータを含む排土動作の操作情報と、アイコン画像43aに対して設定されたパラメータが示すインターバルと、アイコン画像46d、46eのそれぞれに対して設定されたパラメータを含む左旋回動作の操作情報と、排土及び左旋回という作業内容とを対応付けた自動制御情報を生成し、記憶装置に格納する。
【0196】
本実施形態では、インターバル前の動作の組み合わせを、第1動作グループと表現し、インターバル後の動作の組み合わせを、第2動作グループと表現する場合がある。この場合、
図9(B)の例で自動化される作業内容は、第1動作グループと第2動作グループとを含む作業内容となる。また。作業内容に含まれる動作グループの数は、
図9(B)に示す例に限定されない。作業内容に含まれる動作グループの数は、任意であってよい。
【0197】
図9(B)において、自動制御情報の登録が完了すると、第2表示領域41n2Aは、
図9(C)に示す状態となる。
【0198】
図9(C)に示す状態において、例えば、タブ49dを選択する操作がなされると、表示装置40において、第2表示領域41n2Aが第2画像表示領域41n2に切り換わり、自動制御機能の設定画面からメイン画面に遷移してもよい。
【0199】
本実施形態では、このように、ショベル100の動作と対応付けられたアイコン画像の組み合わせを選択することで、オペレータが所望する作業内容を自動化することができる。
【0200】
したがって、本実施形態によれば、ショベル100のエンドアタッチメントの種類等に依存せず、オペレータが所望する作業内容を容易に自動化することができる。
【0201】
また、本実施形態では、アイコン画像を選択して動作を組み合わせることで、作業内容を自動化することができるため、例えば、自動化を行うためのプログラミングの知識等が要求されず、オペレータが簡単に作業内容を自動化できる。
【0202】
さらに、本実施形態では、左操作レバー26Lに、複数のスイッチNSが設けられている場合には、各スイッチに対し、異なる作業内容を設定することができる。つまり、本実施形態では、複数種類の自動制御情報を、複数のNSスイッチのそれぞれに対応付けて登録することができる。
【0203】
さらに、本実施形態では、作業内容が登録されたスイッチNSを操作することで、ショベル100に対し、登録した作業内容を自動で行わせることができ、オペレータの負荷を軽減することができる。
【0204】
次に、自動制御機能により、ショベル10のコントローラ30の処理について説明する。本実施形態では、自動制御機能による動作中に、ショベル100が所定の条件を満たした場合、自動制御機能による動作を停止させる。自動制御機能による動作中とは、言い換えれば、ショベル100が、自動制御情報に基づく制御により動作している最中である。
【0205】
所定の条件とは、例えば、オペレータによる操作装置26のレバー操作等が行われた場合や、空間認識装置70により、ショベル100の周囲に人や物体が検知された場合等である。
【0206】
図10は、ショベルのコントローラの処理を説明する第二のフローチャートである。
図10では、自動制御機能によりショベル100を動作される場合を示している。
【0207】
本実施形態において、コントローラ30は、自動制御機能による動作の指示を受け付けたか否かを判定する(ステップS1001)。具体的には、コントローラ30は、入力受付部310により、
図9で設定された作業内容と対応するスイッチNSが操作されたか否かを判定する。
【0208】
ステップS1001において、自動制御機能による動作の指示を受け付けない場合、コントローラ30は、待機する。ステップS1001において、自動制御機能による動作の指示を受け付けた場合、コントローラ30は、操作されたスイッチNSと対応する作業内容と対応付けられた自動制御情報を読み出し、自動制御を開始する(ステップS1002)。なお、このとき、コントローラ30は、表示制御部311により、表示装置40に、自動制御機能による動作中であることを示すメッセージを表示させてもよい。
【0209】
続いて、コントローラ30は、ショベル100が所定の条件を満たすか否かを判定する(ステップS1003)。ステップS1003において、所定の条件を満たす場合、コントローラ30は、自動制御機能による動作を停止させ(ステップS1004)、処理を終了する。
【0210】
具体的には、コントローラ30は、オペレータによる操作装置26の操作を検出した場合には、自動制御機能による動作を停止させて、オペレータの操作による動作に切り換えてもよい。
【0211】
また、コントローラ30は、ショベル100の周囲に人や物体が検知された場合には、自動制御機能による動作を停止し、操作装置26による操作が無効となるように、制御してもよい。このようにすることで、自動制御機能による動作中であっても、作業における安全性を担保することができる。
【0212】
ステップS1003において、所定の条件を満たしていない場合、コントローラ30は、自動制御機能による動作が終了したか否かを判定する(ステップS1005)。ステップS1005において、動作が終了していない場合、コントローラ30は、ステップS1003に戻る。
【0213】
ステップS1005において、自動制御機能による動作が終了した場合、コントローラ30は、処理を終了する。
【0214】
次に、
図11を参照して、自動制御機能による動作中の表示例について説明する。
図11は、メイン画面の一例を示す第二の図である。
【0215】
図11では、第1画像表示領域41n1に、表示領域110が表示され、表示領域110に、自動制御機能による動作中であることを示すメッセージ「自動制御中」が表示されている。なお、このメッセージは、例えば、ショベル100の作業現場等で作業をする作業者が保持するショベル100の支援装置に表示されてもよい。
【0216】
本実施形態では、このように、メッセージを表示させることで、ショベル100のオペレータや作業現場の作業者等に通知することができる。
【0217】
また、本実施形態では、表示領域110を第1画像表示領域41n1に表示させるため、第2画像表示領域41n2に表示されたショベル100の後方画像CBTの視認性を悪化せない。
【0218】
次に、
図12と
図13を参照して、自動制御機能によるショベル100の動作について説明する。
図12は、自動制御機能によるショベルの動作を説明する第一の図である。
【0219】
図12では、自動制御機能による各アクチュエータに対応する比例弁31に対する指令値と時間との関係を示す。また、
図12では、自動制御機能による動作中に、ショベル100が所定の条件を満たさない場合を示す。
【0220】
図12の例では、タイミングT1において、作業内容「排土及び左旋回」の自動制御が選択されると、コントローラ30は、この作業内容のうち、第1動作グループと対応付けられた自動制御情報にしたがって、バケット開き動作、ブーム下げ動作、アーム開き動作を行う。
【0221】
ショベル100は、タイミングT1からタイミングT2までの間に、第1動作グループとして組み合わされた動作が完了すると、タイミングT2からタイミングT3の間をインターバルとする。ショベル100では、このインターバルの期間に、コントローラ30が、各アクチュエータに対応する制御弁171~176のスプールの位置を中立にするための指令値を比例弁31に出力する。そして、ショベル100は、タイミングT3からは、第2動作グループと対応付けられた自動制御情報にしたがって、アーム閉じ動作、左旋回動作を行い、タイミングT4において、第2動作グループとして組み合わされた動作が完了する。
【0222】
このように、本実施形態では、インターバルを介して、複数の動作グループを一連の作業内容として登録することができる。また、本実施形態では、動作グループの間にインターバルが設けられるため、禁止判定部313は、同一の動作グループ内に、禁止された動作の組み合わせが含まれる場合にのみ、エラーとすればよい。
【0223】
図13は、自動制御機能によるショベルの動作を説明する第二の図である。
図13では、自動制御機能による動作中の各アクチュエータに対応する比例弁31に対する指令値と時間との関係と、オペレータの操作による操作装置26の操作量と時間との関係と、を示す。また、
図12では、自動制御機能による動作中に、ショベル100が所定の条件を満たす場合を示す。
【0224】
図13の例では、第2動作グループと対応付けられた自動制御情報にしたがった自動制御機能の動作中であるタイミングT5において、オペレータにより操作装置26に対する操作が行われた場合を示している。
【0225】
この場合、ショベル100は、タイミングT5において、自動制御機能による動作を停止し、オペレータの操作に基づき動作するようなる。具体的には、ショベル100は、タイミングT5において、自動制御機能による動作を停止し、オペレータによるブーム上げ操作に基づき、ブーム上げ動作を行う。
【0226】
なお、上述した実施形態では、ショベル100を作業機械の一例とし、バケット6をエンドアタッチメントの一例としたが、これに限定されない。本実施形態は、例えば、エンドアタッチメントとして、グラップルやリフティングマグネット等が取り付けられたマテリアルハンドリング機等にも適用することができる。
【0227】
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本発明はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本発明の特徴を備えている限り、本発明の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素及びその配置、条件、及び形状等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更され得る。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わされてもよい。例えば、上述の実施形態では、設定された自動制御情報に基づいて、作業時間を推定してもよい。具体的には、各動作において設定された動作時間及びインターバルの時間を積算して、自動制御に要する作業時間を推定してもよい。
【符号の説明】
【0228】
26 操作装置
30 コントローラ
40 表示装置
100 ショベル
310 入力受付部
311 表示制御部
312 登録部
313 禁止判定部
314 バケット動作制御部
315 アーム動作制御部