IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 東京瓦斯株式会社の特許一覧

特開2022-157427水電解システム、水電解装置の制御方法及びプログラム
<>
  • 特開-水電解システム、水電解装置の制御方法及びプログラム 図1
  • 特開-水電解システム、水電解装置の制御方法及びプログラム 図2
  • 特開-水電解システム、水電解装置の制御方法及びプログラム 図3
  • 特開-水電解システム、水電解装置の制御方法及びプログラム 図4
  • 特開-水電解システム、水電解装置の制御方法及びプログラム 図5
  • 特開-水電解システム、水電解装置の制御方法及びプログラム 図6
  • 特開-水電解システム、水電解装置の制御方法及びプログラム 図7
  • 特開-水電解システム、水電解装置の制御方法及びプログラム 図8
  • 特開-水電解システム、水電解装置の制御方法及びプログラム 図9
  • 特開-水電解システム、水電解装置の制御方法及びプログラム 図10
  • 特開-水電解システム、水電解装置の制御方法及びプログラム 図11
  • 特開-水電解システム、水電解装置の制御方法及びプログラム 図12
  • 特開-水電解システム、水電解装置の制御方法及びプログラム 図13
  • 特開-水電解システム、水電解装置の制御方法及びプログラム 図14
  • 特開-水電解システム、水電解装置の制御方法及びプログラム 図15
  • 特開-水電解システム、水電解装置の制御方法及びプログラム 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157427
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】水電解システム、水電解装置の制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   C25B 15/023 20210101AFI20221006BHJP
   C25B 1/04 20210101ALI20221006BHJP
   C25B 9/00 20210101ALI20221006BHJP
   C25B 15/00 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
C25B15/023
C25B1/04
C25B9/00 A
C25B15/00 303
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021061635
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000220262
【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】特許業務法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 俊平
【テーマコード(参考)】
4K021
【Fターム(参考)】
4K021AA01
4K021BA02
4K021BC06
4K021BC07
4K021CA05
4K021CA09
4K021DC03
4K021EA06
(57)【要約】
【課題】供給される電力を最大限活用して水素を生成する。
【解決手段】水電解システム100は、各水電解装置の定格負荷の合計が定常水素需要を超える量となる複数の水電解装置22と、水素を貯蔵する貯蔵部28と、制御部10とを含み、制御部10は、水電解装置22に供給する電力が所定価格以上の場合には、各水電解装置22の定格負荷の合計が水素需要を満たすように1以上の水電解装置を選択し、電力が所定価格未満の場合には、余剰電力を含む電力量を最大限活用可能な台数の水電解装置22を選択し、選択した水電解装置を稼働させると共に、水素需要以上に生成された水素を貯蔵部28に貯蔵するように制御する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
各水電解装置の定格負荷の合計が定常水素需要を超える量となる複数の水電解装置と、
水素を貯蔵する貯蔵部と、
水電解装置に供給する電力が所定価格以上の場合には、各水電解装置の定格負荷の合計が水素需要を満たすように1以上の水電解装置を選択し、前記電力が所定価格未満の場合には、余剰電力を含む電力量を最大限活用可能な台数の水電解装置を選択し、選択した水電解装置を稼働させると共に、水素需要以上に生成された水素を前記貯蔵部に貯蔵するように制御する制御部と、
を含む水電解システム。
【請求項2】
前記制御部は、選択される水電解装置に、部分負荷運転となる水電解装置が1台のみ含まれるように前記1以上の水電解装置を選択する請求項1に記載の水電解システム。
【請求項3】
前記制御部は、前記複数の水電解装置の各々に設定された優先度順に前記1以上の水電解装置を選択する請求項1又は請求項2に記載の水電解システム。
【請求項4】
前記制御部は、前記優先度を、前記複数の水電解装置の各々の稼働状況に基づいて更新する請求項3に記載の水電解システム。
【請求項5】
前記制御部は、前記優先度を、前記複数の水電解装置の各々の稼働時間が長いほど低くする請求項4に記載の水電解システム。
【請求項6】
前記制御部は、稼働停止した前記水電解装置の前記優先度を最下位に更新する請求項4又は請求項5に記載の水電解システム。
【請求項7】
前記制御部は、前記優先度を、所定期間毎にローテーションで更新する請求項3に記載の水電解システム。
【請求項8】
前記制御部は、前記優先度を、前記複数の水電解装置の各々の水素生成効率が低いほど低くする請求項3に記載の水電解システム。
【請求項9】
前記制御部は、水素生成効率が予め定めた閾値以下の前記水電解装置の前記優先度を、最下位に固定する請求項3~請求項8のいずれか1項に記載の水電解システム。
【請求項10】
各水電解装置の定格負荷の合計が定常水素需要を超える量となる複数の水電解装置と、水素を貯蔵する貯蔵部とを含む水電解システムにおける水電解装置の制御方法であって、
制御部が、水電解装置に供給する電力が所定価格以上の場合には、各水電解装置の定格負荷の合計が水素需要を満たすように1以上の水電解装置を選択し、前記電力が所定価格未満の場合には、余剰電力を含む電力量を最大限活用可能な台数の水電解装置を選択し、選択した水電解装置を稼働させると共に、水素需要以上に生成された水素を前記貯蔵部に貯蔵するように制御する
水電解装装置の制御方法。
【請求項11】
各水電解装置の定格負荷の合計が定常水素需要を超える量となる複数の水電解装置と、水素を貯蔵する貯蔵部とを含む水電解システムにおける水電解装置の制御プログラムであって、
コンピュータを、水電解装置に供給する電力が所定価格以上の場合には、各水電解装置の定格負荷の合計が水素需要を満たすように1以上の水電解装置を選択し、前記電力が所定価格未満の場合には、余剰電力を含む電力量を最大限活用可能な台数の水電解装置を選択し、選択した水電解装置を稼働させると共に、水素需要以上に生成された水素を前記貯蔵部に貯蔵するように制御する制御部
として機能させるための水電解装置の制御プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水電解システム、水電解装置の制御方法、及び水電解装置の制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、水素を燃料として使用する水素利用装置と、水素利用装置へ水素を供給するための水素を貯蔵する水素貯蔵手段と、水素貯蔵手段に貯蔵するための水素を発生させる水電解装置と、水電解装置に電力を供給するために商用電力からの電力を供給する電力供給手段と、商用電力の電力コスト、水素利用装置での水素消費量、及び水素貯蔵手段による水素貯蔵量に応じて水電解装置の運転を制御するコントローラを備える水素利用システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、蓄電池と、水電解装置と、水素貯蔵タンクと、指令に応じて水素を活用した発電を行う水素発電機と、水素発電機と水素貯蔵タンクとの間で水素を輸送するための水素輸送手段と、水素貯蔵タンクの圧力を計測する圧力計と、水素供給/受入れ手段と、システムコントローラと、を備える水素利用システムが提案されている(例えば、特許文献2参照)。この水素利用システムでは、システムコントローラは、圧力計により計測された水素貯蔵タンクの圧力を基に、水素貯蔵タンクの水素貯蔵量を算出し、水素貯蔵タンクの水素貯蔵量が不足している場合、外部から水素を受入れるとともに、外部から水素供給要求に従って水素貯蔵タンクの水素を外部に供給するように制御する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002-180281号公報
【特許文献2】特開2018-085861号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
水電解システムにおいて、例えば、再生可能エネルギーを活用した余剰電力を利用可能な場合など、安価な電力を入手可能な場合には、供給される電力を最大限活用して水素を生成することが望ましい。しかし、水電解システムでは、通常、定常水素需要に対して定格負荷が同量となる水電解装置が導入されると考えられる。したがって、従来の水電解システムでは、水電解装置を定格負荷で稼働させる場合の電力を超える電力の供給が可能な場合であっても、定格負荷以上の水素を生成することはできない。
【0006】
また、上記特許文献1及び2に記載される従来技術では、定常水素需要と水電解装置の定格負荷との関係について言及されておらず、供給される電力を最大限に活用できない場合がある。
【0007】
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、供給される電力を最大限活用して水素を生成することができる水電解システム、水電解装置の制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するために、本発明に係る水電解システムは、各水電解装置の定格負荷の合計が定常水素需要を超える量となる複数の水電解装置と、水素を貯蔵する貯蔵部と、水電解装置に供給する電力が所定価格以上の場合には、各水電解装置の定格負荷の合計が水素需要を満たすように1以上の水電解装置を選択し、前記電力が所定価格未満の場合には、余剰電力を含む電力量を最大限活用可能な台数の水電解装置を選択し、選択した水電解装置を稼働させると共に、水素需要以上に生成された水素を前記貯蔵部に貯蔵するように制御する制御部と、を含んで構成される。これにより、供給される電力を最大限活用して水素を生成することができる。
【0009】
また、前記制御部は、選択される水電解装置に、部分負荷運転となる水電解装置が1台のみ含まれるように前記1以上の水電解装置を選択してよい。これにより、部分負荷運転を最小限にすることで補器損を抑制し、最大効率で水素を生成することができる。
【0010】
また、前記制御部は、前記複数の水電解装置の各々に設定された優先度順に前記1以上の水電解装置を選択してよい。これにより、適切な水電解装置を優先的に選択して稼働させることができる。
【0011】
また、前記制御部は、前記優先度を、前記複数の水電解装置の各々の稼働状況に基づいて更新してよい。例えば、前記制御部は、前記優先度を、前記複数の水電解装置の各々の稼働時間が長いほど低くしてよい。また、前記制御部は、稼働停止した前記水電解装置の前記優先度を最下位に更新してもよい。また、前記制御部は、前記優先度を、所定期間毎にローテーションで更新してもよい。これにより、各水電解装置の稼働時間を平準化することができる。
【0012】
また、前記制御部は、前記優先度を、前記複数の水電解装置の各々の水素生成効率が低いほど低くしてもよい。また、前記制御部は、水素生成効率が予め定めた閾値以下の前記水電解装置の前記優先度を、最下位に固定してもよい。これにより、水素生成効率が良い水電解装置を優先的に選択して稼働させることができる。
【0013】
また、本発明に係る水電解装置の制御方法は、各水電解装置の定格負荷の合計が定常水素需要を超える量となる複数の水電解装置と、水素を貯蔵する貯蔵部とを含む水電解システムにおける水電解装置の制御方法であって、制御部が、水電解装置に供給する電力が所定価格以上の場合には、各水電解装置の定格負荷の合計が水素需要を満たすように1以上の水電解装置を選択し、前記電力が所定価格未満の場合には、余剰電力を含む電力量を最大限活用可能な台数の水電解装置を選択し、選択した水電解装置を稼働させると共に、水素需要以上に生成された水素を前記貯蔵部に貯蔵するように制御する方法である。
【0014】
また、本発明に係る水電解装置の制御プログラムは、各水電解装置の定格負荷の合計が定常水素需要を超える量となる複数の水電解装置と、水素を貯蔵する貯蔵部とを含む水電解システムにおける水電解装置の制御プログラムであって、コンピュータを、水電解装置に供給する電力が所定価格以上の場合には、各水電解装置の定格負荷の合計が水素需要を満たすように1以上の水電解装置を選択し、前記電力が所定価格未満の場合には、余剰電力を含む電力量を最大限活用可能な台数の水電解装置を選択し、選択した水電解装置を稼働させると共に、水素需要以上に生成された水素を前記貯蔵部に貯蔵するように制御する制御部として機能させるためのプログラムである。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る水電解システム、水電解装置の制御方法及びプログラムによれば、供給される電力を最大限活用して水素を生成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】水電解システムの概略構成を示すブロック図である。
図2】定常水素需要を満たす水電解装置を1台備える場合を説明するための図である。
図3】定常水素需要を超える水電解装置を1台備える場合を説明するための図である。
図4】複数の水電解装置を備える場合を説明するための図である。
図5】第1実施形態における定常水素需要用及び余剰電力用の水電解装置を説明するための図である。
図6】複数の水電解装置の単純な制御方法を説明するための図である。
図7】本実施形態における複数の水電解装置の制御方法を説明するための図である。
図8】制御部のハードウェア構成を示すブロック図である。
図9】選択処理の一例を示すフローチャートである。
図10】更新処理の一例を示すフローチャートである。
図11】第2実施形態における定常水素需要用及び余剰電力用の水電解装置を説明するための図である。
図12】第3実施形態における定常水素需要用及び余剰電力用の水電解装置を説明するための図である。
図13】更新処理の他の例を示すフローチャートである。
図14】更新処理の他の例を示すフローチャートである。
図15】優先度をローテーションした場合における、各水電解装置の稼働状況の一例を概略的に示す図である。
図16】更新処理の他の例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。
【0018】
<第1実施形態>
図1に示すように、第1実施形態に係る水電解システム100は、制御部10と、水電解部20と、貯蔵部28とを含んで構成される。水電解部20は、複数の水電解装置22A、22B、22Cを含む。水電解装置22A、22B、22Cは、それぞれ個別補器類24A、24B、24Cを備える。また、水電解部20は、水電解装置22A、22B、22Cに共通して利用される共通補器類26を含む。以下、水電解装置22A、22B、22Cの各々を区別なく説明する場合には、単に「水電解装置22」と表記する。また、個別補器類24A、24B、24Cの各々を区別なく説明する場合には、単に「個別補器類24」と表記する。なお、水電解部20に含まれる、個別補器類24を備えた水電解装置22の数は図1の例に限定されない。
【0019】
水電解装置22は、供給された電力を利用して、水を電気分解し水素を生成する装置である。供給される電力は、商用電力であってもよいし、再生可能エネルギーを利用した電力であってもよい。また、電気分解の方式は、アルカリ水電解法であってもよいし、固体高分子形水電解法であってもよいし、その他の水電解方式であってもよい。水電解装置22で生成された水素は、貯蔵部28に蓄えられてもよいし、図示しない水素利用装置で利用されてもよい。
【0020】
ここで、水電解装置に求められる水素発生能力を示す定格負荷は、定常的な水素の需要量(以下、「定常水素需要」という)を満たす必要がある。一般的には、定常水素需要を満たすために、図2に示すように、水電解システム全体に対する定常水素需要と同等の定格負荷を有する水電解装置を1台備えることが考えられる。図2では、50Nm/hの定常水素需要に対して、定格負荷が50Nm/hの水電解装置を1台備える例を示している。
【0021】
通常時において、水電解システムへ供給する電力量が、水電解装置の定格負荷に応じて設定されている場合であっても、水電解装置を定格負荷で稼働させるための電力量以上の電力を利用可能な場合がある。例えば、日中断続的に、又は夜間の時間帯に、再生可能エネルギーを活用した余剰電力を利用可能な場合など、安価な電力を入手可能な場合である。このような場合であっても、図2に示す構成では、仮に70Nm/hの水素を生成可能な電力を供給可能であっても、水電解装置の定格負荷(図2の例では、50Nm/h)以上の水素を生成することができない。以下、水電解システムに対する定常水素需要と同量の水素を生成するために必要な電力以上の電力を「余剰電力」という。
【0022】
そこで、余剰電力を有効活用するための単純な発想から想定される構成として、例えば図3に示すような構成が考えられる。図3の方式は、例えば50Nm/hの定常水素需要に対して、定格負荷100Nm/hの水電解装置を1台導入するものである。この場合、余剰電力が発生した際に、水電解装置をフル稼働させ、生成された水素のうち、50Nm/hを定常水素需要に当て、残りの水素を、貯蔵、貯蔵からの定常水素需要での利用、その他の水素需要での利用等に当てる。これにより、余剰電力を最大限に活用することはできる。しかし、余剰電力の非発生時において、水電解装置が常に部分負荷運転となるため、水電解装置を効率的に活用することができない。
【0023】
そこで、第1実施形態に係る水電解システム100では、図4に示すように、水電解システム100全体に対する定常水素需要よりも少量の定格負荷の水電解装置22を複数台備える。図4では、50Nm/hの定常水素需要に対して、定格負荷が1Nm/hの水電解装置22を100台備える例を示している。この場合、図5に示すように、100台の水電解装置22のうち、50台を定常水素需要用の水電解装置22、残りの50台を余剰電力用の水電解装置22とみなすことができる。なお、図5では、1つの四角が1台の水電解装置の定格負荷の大きさを表し、四角内の斜線部分が稼働させる負荷の大きさを表す。この表記の意味については後述する。また、後述する図6図7図11図12、及び図15においても同様である。
【0024】
個別補器類24は、水電解装置22個々の温度等の環境を調整するための補器であり、例えば、保温用ヒーター、換気ファン等が含まれる。共通補器類26は、上述したように、水電解部20に含まれる複数の水電解装置22で共通して利用される補器であり、例えば、純水の供給系、電力の供給系等が含まれる。
【0025】
貯蔵部28は、水電解部20で生成され、吐出された水素が貯蔵される。貯蔵部28へは、水電解装置22から吐出された水素を圧縮して貯蔵してもよいし、圧縮することなく貯蔵してもよい。貯蔵部28は、定置式の大型容器、カードルやトレーラー等の移動式の小型容器等で実現される。
【0026】
制御部10は、供給する電力が所定価格以上の場合、すなわち余剰電力が存在しない場合には、定常水素需要用の水電解装置22の各々を稼働させて、定常水素需要分の水素を生成させるように制御する。一方、供給される電力が所定価格未満の場合、すなわち余剰電力が存在する場合には、定常水素需要用の水電解装置22に加え、余剰電力用の水電解装置22を稼働させ、定常水素需要以上に生成された水素を貯蔵部28に貯蔵するように制御する。制御部10は、余剰電力用の水電解装置22を稼働させる場合、余剰電力を最大限活用可能な台数の余剰電力用の水電解装置22を選択し、選択した水電解装置22を稼働させる。なお、所定価格は、例えば、商用電力の標準価格としてよい。
【0027】
ここで、余剰電力を最大限活用するために、複数の水電解装置を制御する単純な方法としては、図6に示すように、全ての余剰電力用の水電解装置を同じ負荷で稼働するように制御することが考えられる。図6では、余剰電力により生成可能な水素量が26.5Nm/hである場合に、50台の水電解装置(定格負荷1Nm/h)の各々を負荷0.53Nm/hで稼働する例を示している。すなわち、図6の例では、50台の余剰電力用の水電解装置を稼働して、0.53Nm/h×50台=26.5Nm/hの水素を生成する。
【0028】
一方、第1実施形態に係る水電解システム100では、制御部10は、水電解部20に含まれる複数の余剰電力用の水電解装置22から、定格負荷の合計が、余剰電力により生成可能な水素量となるように1以上の水電解装置22を選択する。この際、制御部10は、選択される水電解装置22に、部分負荷運転となる水電解装置22が1台のみ含まれるように、1以上の水電解装置を選択する。例えば、図6の例の場合と同様に余剰電力により生成可能な水素量が26.5Nm/hであり、各水電解装置22の定格負荷が1Nm/hであるとする。この場合、制御部10は、図7に示すように、余剰電力用の水電解装置22の1台目から27台目までを選択すると共に、1台目から26台目までは負荷1Nm/hで稼働させ、27台目は負荷0.5Nm/hで稼働させるように制御する。すなわち、図7の例では、27台の水電解装置22を稼働して、1Nm/h×26台+0.5Nm/h×1台=26.5Nm/hの水素を生成する。
【0029】
なお、制御部10は、供給する電力が所定価格以上、かつ水素需要が定常水素需要未満の場合、すなわち定常水素需要用の水電解装置22の全てを定格負荷で稼働させる必要がない場合は、定常水素需要の水電解装置22についても、上記と同様に選択してよい。すなわち、制御部10は、水素需要を満たし、かつ部分負荷運転となる水電解装置22が1台のみ含まれるように、1以上の水電解装置22を選択すればよい。
【0030】
制御部10が上記のように制御することで、水電解システム100全体として、広域な負荷変動幅を確保することができる。例えば、各水電解装置の負荷変動幅が30~100%であるとすると、図6の方式の最小負荷は1Nm/h×30%×50台=15Nm/hとなる。一方、図7の方式の最小負荷は0.3Nm/hであるため、図6の方式に比べ、第1実施形態に係る水電解システム100の負荷変動幅は広域である。製造量が安定しない再生可能エネルギーを活用する場合や、生成した水素の利用方法によっては、水素の需要量が大きく変動する可能性がある。これを考慮すると、広域な負荷変動幅を確保することは運用利便性を高める。一般的な水素製造方法であるSMR-PSAでは、装置の稼働に数時間を要し、負荷変動に数分を要するため、図7に示すような制御は困難である。一方、本実施形態では、負荷変動速度が速いという水電解装置の特徴を生かし、複数の水電解装置をモジュール化することで、図7に示すような制御が可能となる。
【0031】
また、一般的に、各水電解装置の水素生成効率は、負荷が低下するにつれて、水電解装置の電流密度及び電圧が低下するため、定格負荷を満たさない低負荷の稼働であるからといって、効率が低下するとまではいえない。一方で、システム全体をみると、個別補器類に使用されるエネルギーは、一般的に高負荷時も低負荷時も同一程度であるため、水電解装置の部分負荷運転時には、補器損が発生し、効率が低下する。したがって、制御部10が上記のように制御し、部分負荷運転となる水電解装置22を最小限とすることで、個別補器類24の補器損を抑制し、常に最大効率で水素を生成することが可能となる。これも、SMR-PSA方式と比較して、高いon-off耐久性を備える水電解装置の特徴を生かした制御といえる。
【0032】
また、制御部10は、稼働させる水電解装置22を選択する際、複数の水電解装置22の各々に設定された優先度順に1以上の水電解装置22を選択してよい。制御部10は、例えば、水電解システム100の導入初期においては、各水電解装置22の状態は同等であるため、水電解装置22の番号順(並び順)に優先度を付してよい。その後、制御部10は、複数の水電解装置22の各々の稼働状況に基づいて、優先度を更新してよい。例えば、制御部10は、稼働時間が長い水電解装置22の優先度ほど低くするように更新してよい。
【0033】
なお、上述したように、本実施形態では、水電解部20に含まれる複数の水電解装置22のうち、一部が定常水素需要用であり、残りが余剰電力用であるとみなせる(図5参照)。これは、例えば水電解装置22の番号順(並び順)に1~50台目は定常水素需要用、51~100台目は余剰電力用として予め定めておく必要はない。上記の優先度が高い順に1~50台目は定常水素需要用、51~100台目は余剰電力用として利用するように、動的に変更可能である。
【0034】
図8は、制御部10のハードウェア構成を示すブロック図である。図8に示すように、制御部10は、CPU(Central Processing Unit)32、メモリ34、記憶装置36、入力装置38、出力装置40、記憶媒体読取装置42、及び通信I/F(Interface)44を有する。各構成は、バス46を介して相互に通信可能に接続されている。
【0035】
記憶装置36には、後述する選択処理及び更新処理を実行するための水電解装置の制御プログラムが格納されている。CPU32は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各構成を制御したりする。すなわち、CPU32は、記憶装置36からプログラムを読み出し、メモリ34を作業領域としてプログラムを実行する。CPU32は、記憶装置36に記憶されているプログラムに従って、上記各構成の制御及び各種の演算処理を行う。
【0036】
メモリ34は、RAM(Random Access Memory)により構成され、作業領域として一時的にプログラム及びデータを記憶する。記憶装置36は、ROM(Read Only Memory)、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム及び各種データを格納する。
【0037】
入力装置38は、例えば、キーボードやマウス等の、各種の入力を行うための装置である。出力装置40は、例えば、ディスプレイやプリンタ等の、各種の情報を出力するための装置である。出力装置40として、タッチパネルディスプレイを採用することにより、入力装置38として機能させてもよい。記憶媒体読取装置42は、CD(Compact Disc)-ROM、DVD(Digital Versatile Disc)-ROM、ブルーレイディスク、USB(Universal Serial Bus)メモリ等の各種の記憶媒体に記憶されたデータの読み込みや、記憶媒体に対するデータの書き込み等を行う。
【0038】
通信I/F44は、他の機器と通信するためのインタフェースであり、例えば、イーサネット(登録商標)、FDDI又はWi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。
【0039】
次に、第1実施形態に係る水電解システム100の作用について説明する。
【0040】
定常水素需要と同量の水素需要が要求されている状態で、水電解システム100に対して、電力の価格が通知されると、制御部10が図9に示す選択処理を実行する。また、所定のタイミングで、制御部10が図10に示す更新処理を実行する。選択処理及び更新処理は、本発明の「水電解装置の制御方法」の一例である。CPU32が記憶装置36から、水電解装置の制御プログラムを読み出して、メモリ34に展開して実行することにより、CPU32が制御部10として機能し、選択処理及び更新処理の各々が実行される。
【0041】
まず、図9に示す選択処理について説明する。
【0042】
ステップS10で、制御部10が、水電解システム100に通知された電力の価格を取得し、電力の価格が所定価格未満か否かを判定する。所定価格未満の場合には、余剰電力が利用可能であると判定し、ステップS12へ移行し、所定価格以上の場合には、余剰電力は存在しないと判定し、ステップS20へ移行する。
【0043】
ステップS12では、制御部10が、余剰電力を最大限活用可能な余剰電力用の水電解装置22の台数を計算する。例えば、制御部10は、電力の価格に応じて入手可能な余剰電力量を計算する。また、制御部10は、1台の水電解装置22を稼働するための電力量の情報を予め保持しておく。そして、制御部10は、計算した余剰電力量を、1台の水電解装置22を稼働するための電力量で除算することにより、余剰電力を最大限活用可能な余剰電力用の水電解装置22の台数を計算する。
【0044】
次に、ステップS14で、制御部10が、水電解装置22の各々に付与された優先度を参照し、優先度順に、計算した台数分の余剰電力用の水電解装置22を選択する。次に、ステップS16で、制御部10が、定常水素需要用の水電解装置22、及び選択した余剰電力用の水電解装置22を稼働させるように制御する。この際、制御部10は、選択した余剰電力用の水電解装置22の1台を部分負荷運転させ、選択した他の水電解装置22及び定常水素需要用の水電解装置22の各々は定格負荷で稼働するように制御する。また、制御部10は、選択しなかった水電解装置22の稼働を停止するように制御する。
【0045】
次に、ステップS18で、制御部10が、余剰電力用の水電解装置22で生成された水素を貯蔵部28に貯蔵するように制御する。一方、ステップS20では、制御部10が、定常水素需要用の水電解装置22の各々を定格負荷で稼働するように制御し、稼働している余剰電力用の水電解装置22が存在する場合には、その稼働を停止するように制御する。次に、ステップS22で、上記ステップS18又はS20において、定常水素需要用の水電解装置22で生成された水素を定常負荷へ供給する。なお、ステップS22の処理は、ステップS18又はS20の処理と並行して行われる。そして、選択処理は終了する。
【0046】
なお、電力の価格が所定価格以上、かつ水素需要が定常水素需要未満の場合、ステップS20において、制御部10が、水素需要を満たし、かつ部分負荷運転となる水電解装置22が1台のみ含まれるように、1以上の水電解装置22を選択するようにすればよい。また、電力の価格が所定価格未満、かつ水素需要が定常水素需要未満の場合、余剰電力を含む電力量を最大限活用可能な水電解装置22の台数のうち、水素需要を満たす台数分の水電解装置22を水素需要用の水電解装置22とみなせばよい。そして、残りの台数を余剰電力分の水電解装置22とみなせばよい。
【0047】
次に、図10に示す更新処理について説明する。
【0048】
ステップS30で、制御部10が、各水電解装置22の導入時以降の稼働時間を集計する。例えば、制御部10は、水電解装置22毎に記録されたログを取得して稼働時間を集計してよい。次に、ステップS32で、制御部10が、稼働時間が短い順に、水電解装置22の各々に優先度を付与する。すなわち、制御部10は、稼働時間が短い水電解装置22ほど選択され易く、稼働時間が長い水電解装置22ほど選択されにくくなるように優先度を付与する。これにより、水電解装置22の各々の優先度が更新される。
【0049】
以上説明したように、第1実施形態に係る水電解システムは、各水電解装置の定格負荷の合計が定常水素需要を超える量となる複数の水電解装置と、水素を貯蔵する貯蔵部と、制御部とを備える。そして、制御部が、水電解装置に供給する電力が所定価格以上の場合には、各水電解装置の定格負荷の合計が水素需要を満たすように1以上の水電解装置を選択する。一方、制御部は、電力が所定価格未満の場合には、余剰電力を含む電力量を最大限活用可能な台数の水電解装置を選択し、選択した水電解装置を稼働させると共に、水素需要以上に生成された水素を貯蔵部に貯蔵するように制御する。これにより、供給される電力を最大限活用して水素を生成することができる。
【0050】
また、制御部は、選択される水電解装置に、部分負荷運転となる水電解装置が1台のみ含まれるように1以上の水電解装置を選択する。これにより、部分負荷運転を最小限にすることで補器損を抑制し、最大効率で水素を生成することができる。
【0051】
また、制御部は、複数の水電解装置の各々に設定された優先度順に、1以上の水電解装置を選択する。また、制御部は、この優先度を、稼働時間が長いほど低くするなど、複数の水電解装置の各々の稼働状況に基づいて更新する。これにより、複数の水電解装置の各々の稼働時間の平準化が図れるため、全台まとめてメンテナンスが実施可能になるなど、結果として通年でのメンテナンス費用を削減することができる。
【0052】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。第1実施形態では、定常水素需要用の水電解装置22、及び余剰電力用の水電解装置22の各々を複数台ずつ備える構成について説明した。第2実施形態では、図11に示すように、定常水素需要用の水電解装置22、及び余剰電力用の水電解装置22の各々を1台ずつ備える場合について説明する。
【0053】
図11は、定常水素需要が50Nm/hの場合に、定格負荷50Nm/hの水電解装置22を2台設け、1台を定常水素需要用、もう1台を余剰電力用とした例である。この場合、制御部10は、供給される電力の価格が所定価格以上の場合には、定常水素需要用の水電解装置22のみを稼働させるように制御する。一方、電力の価格が所定価格未満の場合には、定常水素需要用及び余剰電力用の両方の水電解装置22を稼働させるように制御する。
【0054】
これにより、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、供給される電力を最大限活用して水素を生成することができる。ただし、第2実施形態の場合、余剰電力により生成可能な水素量が、余剰電力用の水電解装置の定格負荷未満の場合、余剰電力用の水電解装置が部分負荷運転となり、第1実施形態の場合に比べ、水素生成の効率が低下する。さらに、水素需要が定常水素需要未満の場合には、定常水素需要用の水電解装置についても同様に部分負荷運転となり、水素生成の効率が低下する。
【0055】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。第3実施形態は、第1実施形態と第2実施形態との中間の形態であり、図12に示すように、定常水素需要用の水電解装置22を1台、余剰電力用の水電解装置22を複数台備えた構成である。図12は、定常水素需要が50Nm/hの場合に、定格負荷50Nm/hの1台の水電解装置22を定常水素需要用の水電解装置22として設け、定格負荷1Nm/hの50台の水電解装置22を余剰電力用の水電解装置22として設けた例である。この場合、制御部10は、供給される電力の価格が所定価格以上の場合には、定常水素需要用の水電解装置22のみを稼働させるように制御する。一方、電力の価格が所定価格未満の場合には、定常水素需要用、及び部分負荷運転となる水電解装置22が1台となり、かつ余剰電力を最大限活用可能な台数の余剰電力用の水電解装置22を稼働させるように制御する。
【0056】
これにより、第3実施形態においても、第1実施形態と同様に、供給される電力を最大限活用して水素を生成することができる。また、第2実施形態の場合に比べ、余剰電力により生成可能な水素量が、余剰電力用の水電解装置の定格負荷未満の場合であっても、部分負荷運転となる余剰電力用の水電解装置を最小限にして、水素生成の効率を向上させることができる。ただし、水素需要が定常水素需要未満の場合には、第2実施形態の場合と同様に、定常水素需要用の水電解装置が部分負荷運転となり、水素生成の効率が低下する。
【0057】
なお、第1実施形態では、各水電解装置の稼働時間の長さに応じて優先度を更新する場合について説明したが、これに限定されない。例えば、制御部10は、図13に示すような更新処理を実行してもよい。具体的には、ステップS40で、制御部10が、各水電解装置22の稼働状況を監視し、稼働が停止した水電解装置22が存在するか否かを判定する。稼働が停止した水電解装置22が存在する場合には、ステップS42へ移行し、制御部10が、稼働を停止した水電解装置22の優先度を最下位に更新し、更新処理は終了する。一方、稼働を停止した水電解装置22が存在しない場合には、そのまま更新処理は終了する。この更新処理が繰り返し実行されることにより、稼働を停止した直後の水電解装置は、次に選択され難くなるため、第1実施形態の場合と同様に、複数の水電解装置の各々の稼働時間の平準化が図れる。
【0058】
また、例えば、制御部10は、図14に示すような更新処理を実行してもよい。具体的には、ステップS50で、制御部10が、優先度の更新タイミングか否かを判定する。更新タイミングとしては、1日毎、1週間毎等のように、予め所定期間毎のタイミングを定めておく。優先度の更新タイミングの場合には、ステップS52へ移行し、制御部10が、優先度を、水電解装置22の番号順(並び順)に1台ずつ順送りする。これにより、水電解装置22の優先度が、ローテーションされて更新され、更新処理は終了する。一方、更新タイミングではない場合には、そのまま更新処理は終了する。
【0059】
図15に、1日毎の更新タイミング毎に、50台の水電解装置22の優先度を1台ずつ順送りしてローテーションした場合における、各水電解装置22の稼働状況を概略的に示す。図15の例では、優先度1、優先度2、・・・、優先度50の順に優先度が高いことを表す。図15に示すように、優先度がローテーションされることにより、所定期間(図11の例では、1日)毎に、選択される水電解装置22もローテーションされる。これにより、第1実施形態の場合と同様に、複数の水電解装置の各々の稼働時間の平準化が図れる。なお、優先度を1台ずつ順送りにしてローテーションする場合に限定されず、2台ずつ、3台ずつ等、任意の台数分順送りするように、優先度をローテーションしてもよい。
【0060】
また、例えば、制御部10は、図16に示すような更新処理を実行してもよい。図16に示す更新処理は、所定のタイミング毎に、水電解装置22毎に実行される。具体的には、ステップS60で、制御部10が、対象の水電解装置22の水素生成効率を取得する。水素生成効率は、定格負荷で稼働させた際に水電解装置22により生成される水素量の、定格負荷に対する割合である。例えば、定格負荷1Nm/hの水電解装置22を負荷1Nm/hで稼働させた際に生成された水素量が0.9Nm/hであった場合、その水電解装置22の水素生成効率は90%である。
【0061】
次に、ステップS62で、制御部10が、上記ステップS60で取得した水素生成効率が閾値以下か否かを判定する。閾値以下の場合には、ステップS64へ移行し、制御部10が、該当の水電解装置22の優先度を最下位に固定し、更新処理は終了する。一方、水素生成効率が閾値を超えている場合には、そのまま更新処理は終了する。これにより、水素生成効率が低下した水電解装置が選択されることを抑制でき、効率良く水素を生成可能な水電解装置が選択される。なお、図16に示す更新処理は、図10図13、又は図14に示す更新処理と組み合わせて実行するようにしてもよい。また、水素生成効率が閾値以下の水電解装置の優先度を最下位に固定する場合について説明したが、水素生成効率が低いほど、その水電解装置の優先度を低くするように、優先度を更新してもよい。
【0062】
また、上記第1及び第2実施形態では、各水電解装置の定格負荷が同一の場合について、第3実施形態では、余剰電力用の各水電解装置の定格負荷が同一の場合について説明したが、これに限定されない。水電解部に含まれる複数の水電解装置の中に、定格負荷が異なる水電解装置が含まれていてもよい。この場合、制御部は、水電解装置の定格負荷の和が、余剰電力を含む電力を最大限活用可能となるように、又は水素需要を満たすように、1以上の水電解装置を選択すればよい。
【0063】
また、上記各実施形態でCPUがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した選択処理及び更新処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、選択処理及び更新処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0064】
また、上記各実施形態では、水電解装置の制御プログラムが記憶装置に予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。プログラムは、CD-ROM、DVD-ROM(Digital Versatile Disc Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【符号の説明】
【0065】
100 水電解システム
10 制御部
20 水電解部
22、22A、22B、22C 水電解装置
24、24A、24B、24C 個別補器類
26 共通補器類
28 貯蔵部
32 CPU
34 メモリ
36 記憶装置
38 入力装置
40 出力装置
42 記憶媒体読取装置
44 通信I/F
46 バス
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16