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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157451
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】引出し式収納ケース
(51)【国際特許分類】
   A47B 67/04 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
A47B67/04 B
A47B67/04 501Z
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021061683
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】591239003
【氏名又は名称】株式会社SANKA
(74)【代理人】
【識別番号】100097065
【弁理士】
【氏名又は名称】吉井 雅栄
(72)【発明者】
【氏名】神子島 岩男
【テーマコード(参考)】
3B160
【Fターム(参考)】
3B160AA08
3B160AB02
3B160AB21
3B160AB42
3B160AC00
3B160CA02
3B160CA12
3B160DA22
3B160DA52
3B160DA58
(57)【要約】
【課題】低い位置にあっても高い位置にあっても指掛け部に容易に手の指をかけて引出し操作でき、体裁不良やゴミ等の進入も防止できる簡易構造の引出し式収納ケースを提供すること。
【解決手段】引出し体3の前壁部4に指掛け部5が設けられ、指掛け部5は、前壁部4に手の指を挿入可能な指入れ用開口部6が設けられ、指入れ用開口部6を後方側から閉塞するように前壁部4後面に閉塞カバー7が付設され、閉塞カバー7は前方開口部8を有し、前方開口部8は、上下開口幅が指入れ用開口部6の上下開口幅より大きい開口形状に形成され、閉塞カバー7の前方開口部8の上下の開口縁が、指入れ用開口部6の上下の開口縁より外方に位置するように前壁部4の後面に付設されている引出し式収納ケース。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上下にスタッキング可能なケース本体内に引出し収納部が設けられ、この引出し収納部内に、前方へ引出しスライド自在に引出し体が収納されていると共に、この引出し体は、前壁部に手を掛けて引出し入れ操作を行うための指掛け部が設けられている引出し式収納ケースであって、
前記指掛け部は、前記引出し体の前壁部に手の指を挿入可能な指入れ用開口部が設けられていると共に、この指入れ用開口部を後方側から閉塞するように前記引出し体の前壁部の後面に閉塞カバーが付設されて、指入れ用開口部から閉塞カバー内に差し入れた手の指を、この指入れ用開口部の開口縁に指掛け可能な構成とされていると共に、
この指掛け部の前記閉塞カバーは、前方が開口する形状に構成され、この前方開口部は、上下開口幅が前記指入れ用開口部の上下開口幅より大きい開口形状に形成されていて、この閉塞カバーの前記前方開口部の上下の開口縁が、前記指入れ用開口部の上下の開口縁より外方に位置するように前記前壁部の後面に付設されていて、
前記指入れ用開口部を介して前記閉塞カバー内に差し入れた手の指を、この指入れ用開口部の上下双方いずれの開口縁にも指掛け可能な構成とされていることを特徴とする引出し式収納ケース。
【請求項2】
前記閉塞カバーは、前方が開口する箱形体で構成されていると共に、この前方開口部が前記指入れ用開口部の開口形より大きな開口形状に形成され、この閉塞カバーの後方側の深さは、手の指を差し入れ可能で、且つ差し入れた指先若しくは指先の一部を前記前壁部後面側に配して前記指入れ用開口部の開口縁に指掛け可能に構成されていることを特徴とする請求項1記載の引出し式収納ケース。
【請求項3】
前記閉塞カバーは、前記前方開口部の開口縁の全周が前記指入れ用開口部の孔縁より外方に位置するように前記前壁部の後面に付設されていて、前記指入れ用開口部の開口縁全周に、前記指入れ用開口部から差し入れた手の指を指掛け可能な前記指掛け部が構成されていることを特徴とする請求項2記載の引出し式収納ケース。
【請求項4】
前記閉塞カバーは、前記前方開口部を有する形状に一体成形され、この前方開口部が前記前壁部の後面に係止固定されることで閉塞カバーが前壁部の後面に付設されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の引出し式収納ケース。
【請求項5】
前記前壁部の後面に、前記閉塞カバーの周壁部を重合可能な取付筒部が後方に向けて突設され、この取付筒部に前記閉塞カバーの周壁部が重合されて係止固定されることで、閉塞カバーが前記前壁部の後面に付設されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の引出し式収納ケース。
【請求項6】
前記閉塞カバーには、前記指入れ用開口部への指掛け操作時にこの前壁部の変形を抑制して前記閉塞カバーの前壁部からの係脱を防止する補強リブが一体成形されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の引出し式収納ケース。
【請求項7】
前記前壁部の後面に、前記閉塞カバーの周壁部を重合可能な取付筒部が後方に向けて突設され、この取付筒部に閉塞カバーの周壁部が重合された際に、この取付筒部の上下の後端縁の近傍に配設する形状の前記補強リブが、閉塞カバーの後壁部の前面に設けられていることを特徴とする請求項6記載の引出し式収納ケース。
【請求項8】
前記閉塞カバーの後面に、防虫剤を収納可能なポケット部が設けられていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の引出し式収納ケース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スタッキング可能な引出し式収納ケースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、上下にスタッキング可能なケース本体内に引出し収納部が設けられ、この引出し収納部内に、前方へ引出しスライド自在に引出し体が収納されていると共に、この引出し体の前壁部には、手を掛けて引出し入れ操作を行うための指掛け部が設けられている引出し式収納ケースが実施されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、この種の引出し式収納ケースの指掛け部は、引出し体の前壁部の前面に指入れ可能な凹み部が設けられ、この凹み部の上側に指掛け縁が設けられていて、手ひらを上に向けて凹み部に指を入れることで前記指掛け縁に下から指を掛けることができるような構造が採用されているものが多い。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第5117941号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
スタッキング可能なこの種引出し式収納ケースは、複数体が上下に積載された多段収納に構築されて使用されることも多いが、例えば下段に設置されて足元付近に設置されているものや、上段に設置されて手の届きにくい高さに設置されているものを引出し操作するときには、指掛け部(指掛け縁)に手のひらを下に向けて指掛けできない構成であるが故に、指掛け縁に手のひらを上に向けて下方から指を掛けようとすると、腰と膝を深くまげてしゃがんだり、指が上手く掛かるまでつま先立ちをし続けたり何度もつま先立ちを繰り返したりする難儀な姿勢を強いられることがあり、操作性には改善の余地があった。
【0006】
この問題は、例えば引出し体の前壁部に指入れ用の貫通開口部を形成すれば、この指入れ用開口部にはその開口上縁部にも開口下縁部にも指を掛けることが可能となり、開口上縁部に指を掛けるか開口下縁部に指を掛けるかを状況に応じて選択することによって楽に指掛け操作を行うことが可能となるので、比較的簡単に打開できそうな事象とも考えられる。
【0007】
しかし、引出し体の前壁部に指入れ用の貫通開口部を形成すると、この貫通開口部から引出し体内の収納物が見えて体裁不良を招いてしまうし、この貫通開口部から引出し体内にゴミやほこりなどが侵入してしまうので、あまり有効な打開策とは言えない。
【0008】
本発明は、このような従来の引出し式収納ケースの問題点に鑑み、これを解決しようとするもので、低い位置に設置されても高い位置に設置されても引出し体の指掛け部に容易に手の指をかけて引出し体を操作でき、しかも引出し前壁部の体裁不良や前壁部からのゴミなどの進入も防止できる簡易構造の引出し式収納ケースを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0010】
上下にスタッキング可能なケース本体1内に引出し収納部2が設けられ、この引出し収納部2内に、前方へ引出しスライド自在に引出し体3が収納されていると共に、この引出し体3は、前壁部4に手を掛けて引出し入れ操作を行うための指掛け部5が設けられている引出し式収納ケースであって、
前記指掛け部5は、前記引出し体3の前壁部4に手の指を挿入可能な指入れ用開口部6が設けられていると共に、この指入れ用開口部6を後方側から閉塞するように前記引出し体3の前壁部4の後面に閉塞カバー7が付設されて、指入れ用開口部6から閉塞カバー7内に差し入れた手の指を、この指入れ用開口部6の開口縁に指掛け可能な構成とされていると共に、
この指掛け部5の前記閉塞カバー7は、前方が開口する形状に構成され、この前方開口部8は、上下開口幅が前記指入れ用開口部6の上下開口幅より大きい開口形状に形成されていて、この閉塞カバー7の前記前方開口部8の上下の開口縁が、前記指入れ用開口部6の上下の開口縁より外方に位置するように前記前壁部4の後面に付設されていて、
前記指入れ用開口部6を介して前記閉塞カバー7内に差し入れた手の指を、この指入れ用開口部6の上下双方いずれの開口縁にも指掛け可能な構成とされていることを特徴とする引出し式収納ケースに係るものである。
【0011】
また、前記閉塞カバー7は、前方が開口する箱形体で構成されていると共に、この前方開口部8が前記指入れ用開口部6の開口形より大きな開口形状に形成され、この閉塞カバー7の後方側の深さは、手の指を差し入れ可能で、且つ差し入れた指先若しくは指先の一部を前記前壁部4後面側に配して前記指入れ用開口部6の開口縁に指掛け可能に構成されていることを特徴とする請求項1記載の引出し式収納ケースに係るものである。
【0012】
また、前記閉塞カバー7は、前記前方開口部8の開口縁の全周が前記指入れ用開口部6の孔縁より外方に位置するように前記前壁部4の後面に付設されていて、前記指入れ用開口部6の開口縁全周に、前記指入れ用開口部6から差し入れた手の指を指掛け可能な前記指掛け部5が構成されていることを特徴とする請求項2記載の引出し式収納ケースに係るものである。
【0013】
また、前記閉塞カバー7は、前記前方開口部8を有する形状に一体成形され、この前方開口部8が前記前壁部4の後面に係止固定されることで閉塞カバー7が前壁部4の後面に付設されていることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の引出し式収納ケースに係るものである。
【0014】
また、前記前壁部4の後面に、前記閉塞カバー7の周壁部9を重合可能な取付筒部10が後方に向けて突設され、この取付筒部10に前記閉塞カバー7の周壁部9が重合されて係止固定されることで、閉塞カバー7が前記前壁部4の後面に付設されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の引出し式収納ケースに係るものである。
【0015】
また、前記閉塞カバー7には、前記指入れ用開口部6への指掛け操作時にこの前壁部4の変形を抑制して前記閉塞カバー7の前壁部4からの係脱を防止する補強リブ11が一体成形されていることを特徴とする請求項1~5のいずれか1項に記載の引出し式収納ケースに係るものである。
【0016】
また、前記前壁部4の後面に、前記閉塞カバー7の周壁部9を重合可能な取付筒部10が後方に向けて突設され、この取付筒部10に閉塞カバー7の周壁部9が重合された際に、この取付筒部10の上下の後端縁の近傍に配設する形状の前記補強リブ11が、閉塞カバー7の後壁部14の前面に設けられていることを特徴とする請求項6記載の引出し式収納ケースに係るものである。
【0017】
また、前記閉塞カバー7の後面に、防虫剤を収納可能なポケット部12が設けられていることを特徴とする請求項1~7のいずれか1項に記載の引出し式収納ケースに係るものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明は上述のように構成したから、引出し体の前壁部の指掛け部は、指入れ用開口部から閉塞カバー内に差し入れた手の指を、この指入れ用開口部の上下双方いずれの開口縁にも指掛けでき、そのため、従来品同様に手のひらを上に向け指入れ用開口部の上側開口縁に指を掛けての引出し操作が可能であるが、足元付近に存在している指掛け部や手の届きにくい高さに存在している指掛け部に対しては、手のひらを下に向け指入れ用開口部の下側開口縁に指を掛けて引出し操作することもでき、指掛け位置選択により設置状況に応じた引出し入れ操作が可能で操作性に優れ、しかも本発明の指入れ部は、指入れ用開口部が閉塞カバーで閉塞されているので、この指入れ用開口部から引出し体内の収納物が見えず体裁良好であると共に、この指入れ用開口部を介してごみやほこりなどが引出し体内へ進入することも防止でき、その上、本発明の指入れ部は、指入れ用開口部が形成されている前壁部と、指入れ用開口部を閉塞する閉塞カバーとの二部品で構成可能であるため、簡易構造で安価に設計実現可能となるなど、極めて実用性に優れた引出し式収納ケースとなる。
【0019】
また、請求項2記載の発明においては、前記作用効果を確実に発揮する閉塞カバー付きの指掛け部を簡易構成にして容易に設計実現可能となる一層実用性に優れた構成の引出し式収納ケースとなる。
【0020】
また、請求項3記載の発明においては、前記作用効果に加えて、指掛け部の指入れ用開口部の左右両側開口縁に指掛けして引出し入れ操作することも可能となる一層実用性に優れた構成の引出し式収納ケースとなる。
【0021】
また、請求項4,5記載の発明においては、前壁部へ閉塞カバーを容易に付設できる一層量産性に優れた引出し式収納ケースとなり、特に請求項4記載の発明のように構成すれば、前記作用効果を発揮する閉塞カバーを簡易に設計実現可能となる。
【0022】
また、請求項6,7記載の発明においては、指掛け操作時の前壁部の変形を補強リブにより抑制できて閉塞カバーの前壁部からの係脱を防止でき、特に請求項7記載の発明のように構成すれば、指掛け操作時の前壁部の変形を一層効果的に抑制できる補強リブ構造を簡易構成にして容易に設計実現可能となる一層実用性に優れた構成の引出し式収納ケースとなる。
【0023】
また、請求項8記載の発明においては、前壁部に閉塞カバーを取付けることで防虫剤収納ポケットを備えた引出し体を構成できる衣類収納などに適した引出し式収納ケースとなる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】本実施例を示す斜視図である。
図2】本実施例を示す、引出し体を引き出した状態の斜視図である。
図3】本実施例の引出し体を示す分解斜視図である。
図4】本実施例の閉塞カバーを示す斜視図である。
図5】本実施例の引出し体の前壁部を示す説明側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
本発明の最適な実施形態を、図面に基づいて本発明の作用を示し簡単に説明する。
【0026】
本発明の引出し式収納ケースは、単体の収納として使用可能であるが、ケース本体1を複数上下にスタッキングすることにより多段収納を構築して使用することも可能である。
【0027】
引出し体3の引出し入れ操作は、この引出し体3の前壁部4に設けられている指掛け部5に手を掛けて行うが、この際、本発明の指掛け部5は、前壁部4に手の指を挿入可能な指入れ用開口部6が設けられていると共に、この指入れ用開口部6を後方側から閉塞するように前記引出し体3の前壁部4の後面に閉塞カバー7が付設されて、指入れ用開口部6から閉塞カバー7内に差し入れた手の指を、この指入れ用開口部6の開口縁に指掛け可能な構成とされていると共に、この指掛け部5の前記閉塞カバー7は、前方が開口する形状に構成され、この前方開口部8は、上下開口幅が前記指入れ用開口部6の上下開口幅より大きい開口形状に形成されていて、この閉塞カバー7の前記前方開口部8の上下の開口縁が、前記指入れ用開口部6の上下の開口縁より外方に位置するように前記前壁部4の後面に付設されているため、前記指入れ用開口部6を介して前記閉塞カバー7内に差し入れた手の指を、この指入れ用開口部6の上下双方いずれの開口縁にも指掛け可能である。
【0028】
それ故、従来の引出し式収納ケースの指掛け部と同様に、指入れ用開口部6から閉塞カバー7内に手のひらを上に向けたまま指を入れ、指入れ用開口部6の上側の開口縁に下方から指掛けして引出し入れ操作できるだけでなく、例えば、足元などの低所へ設置されている(引出し式収納ケースの)指掛け部5に対して、指入れ用開口部6から閉塞カバー7内に手のひらを下に向けたまま指を入れ、指入れ用開口部6の下側開口縁に上方から指掛けして容易に引出し入れ操作を行うことができるし、手の届きにくい高所に設置されている(引出し式収納ケースの)指掛け部5に対しても、指入れ用開口部6から閉塞カバー7内に手のひらを下に向けたまま指を入れ、指入れ用開口部6の下側開口縁に上方から指掛けして容易に引出し入れ操作を行うことができる。
【0029】
また、本発明の指入れ部5は、前記指入れ用開口部6が閉塞カバー7で閉塞されているので、この指入れ用開口部6から引出し体3内の収納物が見えず、体裁良好であると共に、この指入れ用開口部6を介してごみやほこりなどが引出し体3内へ進入することも防止される。
【0030】
また、前記指入れ用開口部6が形成されている前壁部4と、この指入れ用開口部6を閉塞する前記閉塞カバー7との二部品で構成されている本発明の指入れ部5は、簡易構造で容易に且つ安価に設計実現可能である。
【実施例0031】
本発明の具体的な実施例について図面に基づいて説明する。
【0032】
本実施例は、上下にスタッキング可能なケース本体1内に引出し収納部2が設けられ、この引出し収納部2内に、前方へ引出しスライド自在に引出し体3が収納されていると共に、この引出し体3は、前壁部4に手を掛けて引出し入れ操作を行うための指掛け部5が設けられている引出し式収納ケースに係るものである。
【0033】
本実施例のケース本体1は、図1図2に示すような平面視方形状であって前面が開口する合成樹脂製の箱状体に形成され、このケース本体1の内部空間が前記引出し収納部2として構成されている。
【0034】
本実施例の引出し体3は、図2図3に示すように、合成樹脂製の前壁部4と、この前壁部4とは別部品の合成樹脂製の基体部13とから構成されている。また、基体部13は、前面及び上面が開口する箱状体に構成され(一体成形され)、この基体部13の前面開口部に前記前壁部4が係止固定されることで、上部が開口する箱状の引出し体3が構成されている。
【0035】
本実施例の前記指掛け部5は、前記引出し体3の前壁部4に手の指を挿入可能な指入れ用開口部6が設けられていると共に、この指入れ用開口部6を後方側から閉塞するように前記引出し体3の前壁部4の後面に閉塞カバー7が付設されて、指入れ用開口部6から閉塞カバー7内に差し入れた手の指を、この指入れ用開口部6の開口縁に指掛け可能に構成されている。
【0036】
具体的には、前壁部4の中ほどよりやや上側位置に、左右横方向に長さを有する細長い前記指入れ用開口部6が貫通形成され(横長の指入れ用開口部6を有する形状に前壁部4が一体成形され)ている。
【0037】
また、この前壁部4の後面には、前記指入れ用開口部6の上下の開口縁に沿ってリブ凸条19が一体成形されていて、このリブ凸条19の補強作用により指入れ用開口部6への指掛け操作時などの前壁部4の変形が抑制されるように構成されている(図5参照)。
【0038】
また、前壁部4の後面には、前記指入れ用開口部6と同心形の細長い(横長)短筒形状であって、指入れ用開口部6より一回り筒径が大きい短筒形状の取付筒部10が後方に向けて突設(一体成形)されている。
【0039】
本実施例の閉塞カバー7は、図3図4に示すような、前方開口部8を有する形状に構成され、この前方開口部8は、上下開口幅が前記指入れ用開口部6の上下開口幅より大きい開口形状に形成されていて、この閉塞カバー7の前記前方開口部8の上下の開口縁が、前記指入れ用開口部6の上下の開口縁より外方に位置するように前記前壁部4の後面に付設されていて(図5参照)、前記指入れ用開口部6を介して前記閉塞カバー7内に差し入れた手の指を、この指入れ用開口部6の上下双方いずれの開口縁にも指掛け可能な構成とされている。
【0040】
さらに具体的には、前記閉塞カバー7は、前記取付筒部10と略同形の細長(横長)形状であって、取付筒部10よりやや開口径が大きく取付筒部10に被嵌重合可能な前方開口形の短い箱形状に形成(一体成形)されている。換言すると、閉塞カバー7は、前記取付筒部10に被嵌重合される短筒状の周壁部9と、この周壁部6の後端部を閉塞する後壁部14とから成る形状に形成(一体成形)されている。
【0041】
そして、取付筒部10に閉塞カバー7の周壁部9が重合されて係止固定されることで、閉塞カバー7が前記前壁部4の後面に付設されている。
【0042】
また、この取付筒部10への閉塞カバー7の係止固定構造について説明すると、取付筒部10の外周面に、この外周面の周方向に間隔を置いた複数箇所(図面は取付筒部10外周上面の四箇所と取付筒部10外周下面の三箇所)に係止爪15が突設(一体成形)されている一方、閉塞カバー7の周壁部9には、前記七箇所の係止爪15の位置に対応する複数個所(七箇所)に係止孔16が貫通形成されていて、取付筒部10に閉塞カバー7の周壁部9を被嵌重合させて複数の係止爪15を夫々前記係止孔16に圧入係止することで、閉塞カバー7が前記前壁部4の後面に付設される構造が採用されている。
【0043】
従って、本実施例によれば、単に閉塞カバー7を前壁部4の取付筒部10に被嵌重合した上で係止爪15を係止孔16に圧入係止させるだけの簡単な作業で前記指掛け部5を構成でき、この指掛け部5付きの前壁部4を前記基体部13に取付けるだけで、引出し体3を簡易に構成可能である。
【0044】
尚、図示していないが、前壁部4(取付筒部10)に閉塞カバー7が接着やその他の固定手段によって固定されていても良い。
【0045】
また、この閉塞カバー7は、後方側の深さ(前記前方開口部8から前記後壁部14までの奥行き幅)が、手の指を差し入れ可能で、且つ差し入れた指先若しくは指先の一部を前記前壁部4後面側に配して前記指入れ用開口部6の開口縁に指掛け可能に構成されている。
【0046】
また、この閉塞カバー7は、前記前方開口部8の形状が、前記指入れ用開口部6の開口形状より一回り大きく形成されていると共に、この前方開口部8の開口縁の全周が指入れ用開口部6の孔縁より外方に位置するように前記前壁部4の後面に付設されていて、前記指入れ用開口部6の開口縁全周に、前記指入れ用開口部6から差し入れた手の指を指掛け可能な前記指掛け部5が構成されている。すなわち、指入れ用開口部6の上下左右いずれの開口縁にも指掛け可能で引出し入れ操作が可能な指掛け部5が構成されている。
【0047】
また、この閉塞カバー7には、前記指入れ用開口部6への指掛け操作時にこの前壁部4の変形を抑制して前記閉塞カバー7の前壁部4からの係脱を防止する補強リブ11が一体成形されている。
【0048】
具体的には、前記取付筒部10に前記閉塞カバー7の周壁部9を被嵌重合した際に、この取付筒部10の上下の後端縁の近傍に配設する形状の前記補強リブ11が、閉塞カバー7の後壁部14の前面に設けられている。
【0049】
さらに詳しくは、図4図5に示すように、後壁部14の前面の上部に前記取付筒部10の上側後端縁の近傍下方に沿設配設する横長長尺形状の前記補強リブ11が設けられていると共に、後壁部14の前面の下部に前記取付筒部10の下側後端縁の近傍上方に沿設配設する横長長尺形状の前記補強リブ11が設けられていて、この上下二箇所の補強リブ11で後壁部14の変形を効果的に防止でき、指入れ用開口部6への指掛け操作時には、前記取付筒部10を介して前壁部4へ良好な変形抑制作用を付与するように構成されている。
【0050】
また、図5に示すように、上側の補強リブ11は、その前端側上面が前側に行くほど下降する湾曲面形状(前端側程上側周壁部9内面との距離が増大する形状)に形成され、下側の補強リブ11は、その前端側下面が前側に行くほど上昇する湾曲面形状(前端側程下側周壁部9内面との距離が増大する形状)に形成されていて、閉塞カバー7を前記取付筒部10に被嵌重合した際には、この取付筒部10の上下の後端縁が、上下の前記補強リブ11と上下の周壁部9内面との間に誘い込まれ易く、結果閉塞カバー7の取付筒部10(前壁部4)への装着作業がスムーズに行われるように構成されている。
【0051】
また、本実施例は、図3図5に示すように、前記閉塞カバー7の後壁部14の後面に、防虫剤を収納可能なポケット部12が設けられている。すなわち本実施例は、衣類収納の用途に好適となる構成が採用されている。
【0052】
具体的には、閉塞カバー7の後壁部14の後面中央部に、上方開放形であって且つ多数の通気用スリット17が貫通形成されている前記ポケット部12が一体成形されている。閉塞カバー7と別部品で構成されたポケット部12が、閉塞カバー7の後壁部14に付設される構成が採用されていても良い。
【0053】
尚、本発明は、本実施例に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0054】
1 ケース本体
2 引出し収納部
3 引出し体
4 前壁部
5 指掛け部
6 指入れ用開口部
7 閉塞カバー
8 前方開口部
9 周壁部
10 取付筒部
11 補強リブ
12 ポケット部
14 後壁部
図1
図2
図3
図4
図5