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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157471
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】回転駆動装置
(51)【国際特許分類】
   H02K 5/173 20060101AFI20221006BHJP
   H02K 7/116 20060101ALI20221006BHJP
   H02K 5/08 20060101ALI20221006BHJP
   H02K 5/22 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
H02K5/173 A
H02K7/116
H02K5/08 A
H02K5/22
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021061722
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000177612
【氏名又は名称】株式会社ミクニ
(74)【代理人】
【識別番号】100106312
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 敬敏
(72)【発明者】
【氏名】塩川 寿
(72)【発明者】
【氏名】井▲原▼ 大貴
(72)【発明者】
【氏名】矢合 翔大
(72)【発明者】
【氏名】高見 克志
【テーマコード(参考)】
5H605
5H607
【Fターム(参考)】
5H605AA08
5H605BB10
5H605CC01
5H605CC02
5H605CC04
5H605CC08
5H605DD01
5H605EA06
5H605EA10
5H605EB10
5H605EB17
5H605EC08
5H605EC20
5H605GG06
5H607AA12
5H607BB01
5H607BB07
5H607BB14
5H607CC03
5H607DD03
5H607DD08
5H607EE31
5H607EE57
5H607GG01
5H607GG08
5H607JJ05
(57)【要約】
【課題】モータの回転軸の傾きを防止し、回転軸の軸線方向において装置の薄型化及び小型化が図れる回転駆動装置を提供する。
【解決手段】軸線Sを中心とする円筒状の収容孔13を有する樹脂製のボディ10と、ボディの収容孔内に配置され軸線回りに回転するロータ60及びロータと軸線回りに一体的に回転すると共に軸線方向に伸長する回転軸40を含むモータMと、回転軸を回転自在に支持するべく軸線方向においてボディの一端側に固定された第1軸受B1及びボディの他端側に固定された第2軸受B2と、ボディの一端側に連結された第1カバー部材110及びボディの他端側に連結された第2カバー部材120を備えている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線を中心とする円筒状の収容孔を有する樹脂製のボディと、
前記ボディの収容孔内に配置され軸線回りに回転するロータ及び前記ロータと前記軸線回りに一体的に回転すると共に軸線方向に伸長する回転軸を含むモータと、
前記回転軸を回転自在に支持するべく,前記軸線方向において前記ボディの一端側に固定された第1軸受及び前記ボディの他端側に固定された第2軸受と、
前記ボディの一端側に連結された第1カバー部材及び前記ボディの他端側に連結された第2カバー部材と、
を含む、回転駆動装置。
【請求項2】
前記ボディは、前記一端側に埋設された第1軸受ホルダと、前記他端側に圧入された第2軸受ホルダを含み、
前記第1軸受は、前記第1軸受ホルダに嵌合されて固定され、
前記第2軸受は、前記第2軸受ホルダに嵌合されて固定されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の回転駆動装置。
【請求項3】
前記第1軸受ホルダは、前記第1軸受部の前記軸線方向外側への移動を規制する第1規制部を含み、
前記第2軸受ホルダは、前記第2軸受部の前記軸線方向外側への移動を規制する第2規制部を含む、
ことを特徴とする請求項2に記載に回転駆動装置。
【請求項4】
前記回転軸は、前記軸線方向において前記第1軸受よりも外側に連結部を含み、
前記第1カバー部材と前記ボディの間に配置され,前記連結部に連結されて前記回転軸の速度を減速する減速ユニットをさらに含む、
ことを特徴とする請求項1ないし3いずれか一つに記載の回転駆動装置。
【請求項5】
前記連結部は、前記軸線回りにおいて偏心して回転する偏心軸部であり、
前記減速ユニットは、前記偏心軸部に連結されて自転すると共に前記軸線回りに公転する外歯車と、前記外歯車に部分的に噛合する内歯車と、前記外歯車に連動して前記軸線回りに回転する出力回転体を含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の回転駆動装置。
【請求項6】
前記第1軸受に隣接して配置されて前記回転軸に対して前記軸線方向に付勢力を及ぼす第1ワッシャと、
前記出力回転体に隣接して配置されて前記出力回転体に対して前記軸線方向に付勢力を及ぼす第2ワッシャと、をさらに含む、
ことを特徴とする請求項4に記載の回転駆動装置。
【請求項7】
前記内歯車は、前記ボディの一端側に埋設して固定されている、
ことを特徴とする請求項5又は6に記載の回転駆動装置。
【請求項8】
前記外歯車は、第3軸受を介して前記偏心軸部に回転自在に支持されている、
ことを特徴とする請求項5ないし7いずれか一つに記載の回転駆動装置。
【請求項9】
前記出力回転体は、前記第1カバー部材に対して、前記軸線回りに回転自在に支持されている、
ことを特徴とする請求項5ないし8いずれか一つに記載の回転駆動装置。
【請求項10】
前記出力回転体は、円筒状のブッシュを介して、前記第1カバー部材に回転自在に支持されている、
ことを特徴とする請求項9に記載の回転駆動装置。
【請求項11】
前記外歯車は、前記内歯車に噛合する外歯及び前記出力回転体と係合する第1係合部が形成された第1円板部と、前記第1円板部に一体形成された第1円筒部を含み、
前記第1円板部は、前記ボディの一端側の壁面に隣接して配置され、
前記第1円筒部は、前記軸線方向において前記第1円板部から外側に突出するように形成されている、
ことを特徴とする請求項5ないし10いずれか一つに記載の回転駆動装置。
【請求項12】
前記出力回転体は、前記軸線方向において前記外歯車の第1円板部に隣接して配置されると共に前記第1係合部と係合する第2係合部が形成された第2円板部と、前記第2円板部に一体形成されて前記第1円筒部の周囲を囲むように配置される第2円筒部を含む、
ことを特徴とする請求項11に記載の回転駆動装置。
【請求項13】
前記第1係合部は、前記軸線方向において外側に突出する突起部であり、
前記第2係合部は、前記突起部を遊走自在に挿入する挿入孔である、
ことを特徴とする請求項12に記載の回転駆動装置。
【請求項14】
前記出力回転体は、前記軸線回りに回転すると共に外部と連結される出力部を含む、
ことを特徴とする請求項12又は13に記載の回転駆動装置。
【請求項15】
前記出力部は、前記軸線方向において、前記第2円筒部の外側に隣接して固定されている、
ことを特徴とする請求項14に記載の回転駆動装置。
【請求項16】
前記出力部は、前記第2円筒部の外周に形成されている、
ことを特徴とする請求項14に記載の回転駆動装置。
【請求項17】
前記回転軸には、前記軸線方向において前記第2軸受よりも外側の領域に被検出部が固定され、
前記第2カバー部材と前記ボディの間に配置され,前記被検出部を介して前記回転軸の回転位置を検出する検出センサ及び前記モータの駆動を制御する制御回路が実装された回路基板をさらに含む、
ことを特徴とする請求項1ないし16いずれか一つに記載の回転駆動装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロータと一体的に回転する回転軸を含む回転駆動装置に関し、特に、回転軸と同軸上に減速ユニットの出力部を備えた回転駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の回転駆動装置としては、ハウジングと、ステータ及びロータを含むモータと、ロータと一体的に回転する回転軸(モータ軸)と、回転軸上に配置された減速機構と、回転軸と平行に配置されて減速機構により減速されて回転する出力軸を備えた回転式アクチュエータが知られている(例えば、特許文献1)。
ここで、ハウジングは、モータを収容する筒状のアッパーケース部と、モータに隣接して配置された減速機構を覆うべくアッパーケース部に連結されるロアケース部と、ロアケース部と反対側において制御基板を覆うべくアッパーケース部に連結されるプレートカバーを備えている。
【0003】
この装置においては、回転軸の一端部を支持する軸受がアッパーケース部に配置され、回転軸の他端部を支持する軸受がロアケース部に配置されている。それ故に、アッパーケース部とロアケース部との組付けバラツキにより、回転軸が傾いて取り付けられる虞がある。また、出力軸は、一端部がアッパーケース部に支持されかつ他端部がロアケース部に支持されているため、同様に、アッパーケース部とロアケース部との組付けバラツキにより、出力軸が傾いて取り付けられる虞がある。
さらに、上記構成を前提として、出力軸を回転軸と同軸上に配置する構成を採用すると、回転軸の軸線方向において装置の大型化を招く。
【0004】
他の回転駆動装置としては、ハウジングと、ステータ及びロータを含むモータと、ロータと一体的に回転する回転軸と、回転軸と同軸上に配置された変速機(遊星歯車機構)と、変速機を覆うべくハウジングに連結されるサブハウジングと、回転軸と同軸上に配置されて変速機により減速されて回転する出力軸を備えた電動駆動装置が知られている(例えば、特許文献2)。
ここで、ハウジングは、モータを収容する筒状部と、筒状部の一端側及び他端側に接合して固定される二つの端板と備えている。
【0005】
この装置においては、回転軸の一端部を支持する軸受が一方の端板に配置され、回転軸の他端部を支持する軸受が他方の端板に配置されている。それ故に、筒状部と二つの端板との組付けバラツキにより、回転軸が傾いて取り付けられる虞がある。
また、変速機を単にハウジングに隣接して配置するだけでは、回転軸の軸線方向において装置の大型化を招く。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-178422号公報
【特許文献2】特開2020-150608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の事情に鑑みて成されたものであり、その目的とするところは、上記従来技術の問題点に鑑み、モータの回転軸の傾きを防止し、回転軸の軸線方向において装置の薄型化及び小型化が図れる回転駆動装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の回転駆動装置は、軸線を中心とする円筒状の収容孔を有する樹脂製のボディと、ボディの収容孔内に配置され軸線回りに回転するロータ及びロータと軸線回りに一体的に回転すると共に軸線方向に伸長する回転軸を含むモータと、回転軸を回転自在に支持するべく軸線方向においてボディの一端側に固定された第1軸受及びボディの他端側に固定された第2軸受と、ボディの一端側に連結された第1カバー部材及びボディの他端側に連結された第2カバー部材と、を含む。
【0009】
上記回転駆動装置において、ボディは、一端側に埋設された第1軸受ホルダと、他端側に圧入された第2軸受ホルダを含み、第1軸受は、第1軸受ホルダに嵌合されて固定され、第2軸受は、第2軸受ホルダに嵌合されて固定されている、構成を採用してもよい。
【0010】
上記回転駆動装置において、第1軸受ホルダは、第1軸受部の軸線方向外側への移動を規制する第1規制部を含み、第2軸受ホルダは、第2軸受部の軸線方向外側への移動を規制する第2規制部を含む、構成を採用してもよい。
【0011】
上記回転駆動装置において、回転軸は、軸線方向において第1軸受よりも外側に連結部を含み、第1カバー部材とボディの間に配置され連結部に連結されて回転軸の速度を減速する減速ユニットをさらに含む、構成を採用してもよい。
【0012】
上記回転駆動装置において、連結部は、軸線回りにおいて偏心して回転する偏心軸部であり、減速ユニットは、偏心軸部に連結されて自転すると共に軸線回りに公転する外歯車と、外歯車に部分的に噛合する内歯車と、外歯車に連動して軸線回りに回転する出力回転体を含む、構成を採用してもよい。
【0013】
上記回転駆動装置において、第1軸受に隣接して配置されて回転軸に対して軸線方向に付勢力を及ぼす第1ワッシャと、出力回転体に隣接して配置されて出力回転体に対して軸線方向に付勢力を及ぼす第2ワッシャと、をさらに含む、構成を採用してもよい。
【0014】
上記回転駆動装置において、内歯車は、ボディの一端側に埋設して固定されている、構成を採用してもよい。
【0015】
上記回転駆動装置において、外歯車は、第3軸受を介して偏心軸部に回転自在に支持されている、構成を採用してもよい。
【0016】
上記回転駆動装置において、出力回転体は、記第1カバー部材に対して軸線回りに回転自在に支持されている、構成を採用してもよい。
【0017】
上記回転駆動装置において、出力回転体は、円筒状のブッシュを介して、第1カバー部材に回転自在に支持されている、構成を採用してもよい。
【0018】
上記回転駆動装置において、外歯車は、内歯車に噛合する外歯及び出力回転体と係合する第1係合部が形成された第1円板部と、第1円板部に一体形成された第1円筒部を含み、第1円板部は、ボディの一端側の壁面に隣接して配置され、第1円筒部は、軸線方向において第1円板部から外側に突出するように形成されている、構成を採用してもよい。
【0019】
上記回転駆動装置において、出力回転体は、軸線方向において外歯車の第1円板部に隣接して配置されると共に第1係合部と係合する第2係合部が形成された第2円板部と、第2円板部に一体形成されて第1円筒部の周囲を囲むように配置される第2円筒部を含む、構成を採用してもよい。
【0020】
上記回転駆動装置において、第1係合部は、軸線方向において外側に突出する突起部であり、第2係合部は、突起部を遊走自在に挿入する挿入孔である、構成を採用してもよい。
【0021】
上記回転駆動装置において、出力回転体は、軸線回りに回転すると共に外部と連結される出力部を含む、構成を採用してもよい。
【0022】
上記回転駆動装置において、出力部は、軸線方向において、第2円筒部の外側に隣接して固定されている、構成を採用してもよい。
【0023】
上記回転駆動装置において、出力部は、第2円筒部の外周に形成されている、構成を採用してもよい。
【0024】
上記回転駆動装置において、回転軸には、軸線方向において第2軸受よりも外側の領域に被検出部が固定され、第2カバー部材とボディの間に配置され被検出部を介して回転軸の回転位置を検出する検出センサ及びモータの駆動を制御する制御回路が実装された回路基板をさらに含む、構成を採用してもよい。
【発明の効果】
【0025】
上記構成をなす回転駆動装置によれば、モータの回転軸の傾きを防止でき、回転軸の軸線方向において装置の薄型化及び小型化を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明に係る回転駆動装置の第1実施形態を示す外観斜視図である。
図2】第1実施形態に係る回転駆動装置の側面図である。
図3】第1実施形態に係る回転駆動装置の軸線を含む断面図である。
図4】第1実施形態に係る回転駆動装置を分解してボディの一端側から視た分解斜視図である。
図5】第1実施形態に係る回転駆動装置を分解してボディの他端側から視た分解斜視図である。
図6】第1実施形態に係る回転駆動装置に含まれるボディ、ロータ及び回転軸、第2軸受ホルダを示すものであり、ボディの一端側から視た分解斜視図である。
図7】第1実施形態に係る回転駆動装置に含まれるボディ、ロータ及び回転軸、第2軸受ホルダを示すものであり、ボディの他端側から視た分解斜視図である。
図8】第1実施形態に係る回転駆動装置に含まれる回転軸、ロータ、第1軸受、第2軸受、被検出部を示す分解斜視図である。
図9】第1実施形態に係る回転駆動装置において、ボディに埋設されたステータ、ステータの内側に配置されたロータを示すものであり、軸線に垂直な面における断面図である。
図10】第1実施形態に係る回転駆動装置において、ボディ、第1軸受ホルダ、第1軸受、第2軸受ホルダ、第2軸受、ロータ、回転軸を示すものであり、軸線を含む断面図である。
図11】第1実施形態に係る回転駆動装置において、ボディに埋設された第1軸受ホルダ及び内歯車を示すものであり、ボディの一端側から視た斜視断面図である。
図12】第1実施形態に係る回転駆動装置において、ボディに埋設された第1軸受ホルダ及び内歯車を示すものであり、ボディの他端側から視た斜視断面図である。
図13】第1実施形態に係る回転駆動装置において、減速ユニット(内歯車、外歯車、出力回転体)を示すものであり、第1カバー部材を外してボディの一端側から視た端面図である。
図14】第1実施形態に係る回転駆動装置において、外歯車と出力回転体との相互関係を示すものであり、軸線を含む断面図である。
図15】本発明に係る回転駆動装置の第2実施形態を示すものであり、第1カバー部材、出力回転体、外歯車及び回転軸を示す分解斜視図である。
図16】第1実施形態に係る回転駆動装置において、外歯車及び回転軸、出力回転体、第1カバー部材の組付け状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
第1実施形態に係る回転駆動装置は、図1ないし図7に示すように、ボディ10、第1軸受ホルダ20、第2軸受ホルダ30、回転軸40、ステータ50、ロータ60、内歯車70、外歯車80、出力回転体90、回路基板100、第1カバー部材110、第2カバー部材120、第1ワッシャW1、第2ワッシャW2を備えている。
ここで、回転軸40、ステータ50、及びロータ60により、三相ブラシレス型のモータMが構成されている。また、内歯車70、外歯車80、及び出力回転体90により、回転軸40の回転速度を減速する減速ユニットUが構成されている。
【0028】
ボディ10は、樹脂材料を用いてモールド成型された樹脂製であり、図3図10ないし図12に示すように、一端側の壁面11、他端側の壁面12、収容孔13、ステータ50を埋設する埋設部14、第1軸受ホルダ20を埋設する埋設部15、第2軸受ホルダ30を接合する接合部16、内歯車70を埋設する埋設部17、回路基板100を取り付ける取付け部18、コネクタ部19を備えている。
【0029】
一端側の壁面11は、軸線S方向において、ステータ50が埋設された領域の端面11aと、第1カバー部材110が接合される第1接合面11bを含む。
第1接合面11bは、第1カバー部材110を接合させて連結する領域であり、ネジb3を捩じ込む六つのネジ穴11bを備えている。
他端側の壁面12は、軸線S方向において、ステータ50が埋設された領域の端面12aと、第2カバー部材120が接合される第2接合面12bを含む。
第2接合面12bは、第2カバー部材120を接合させて連結する領域であり、ネジb4を捩じ込む六つのネジ穴12bを備えている。
【0030】
収容孔13は、軸線Sを中心とする円筒状に形成され、その内周面13aは、図9図11及び図12に示すように、樹脂材料と共にステータ50の露出した極歯51aにより形成されている。そして、収容孔13は、ロータ60を軸線S回りに回転自在に非接触にて収容する。
【0031】
埋設部14は、図9ないし図12に示すように、ステータコア51の九つの極歯51aが収容孔13の内周面13aに露出するように、又、ボビン52及びコイル53を樹脂材料で覆うように、ステータ50を埋設する。
埋設部15は、図10に示すように、一端側の壁面11寄りにおいて、第1軸受B1が嵌合される内壁面20aが露出するように第1軸受ホルダ20を埋設する。
【0032】
接合部16は、図7図10図12に示すように、他端側の壁面12の一部として形成され、第2軸受ホルダ30を軸線S方向に接合させる領域であり、ネジb1を捩じ込む二つのネジ穴16aを備えている。
埋設部17は、図10及び図11に示すように、一端側の壁面11から軸線S方向の外側へ突出する円環状に形成され、内歯71を露出させるように内歯車70を埋設する。埋設部17は、第1カバー部材110の内側に入り込む領域であり、ボディ10の実質的な幅寸法は一端側の壁面11により規定される。
【0033】
取付け部18は、図5及び図12に示すように、他端側の壁面12から軸線S方向の外側へ突出する柱状部として形成され、その端面においてネジb2を捩じ込むネジ穴18aを備えている。取付け部18は、第2カバー部材120の内側に入り込む領域であり、ボディ10の実質的な幅寸法は他端側の壁面12により規定される。
コネクタ部19は、外部コネクタに接続される端子19aを収容する。
【0034】
第1軸受ホルダ20は、図10及び図11に示すように、第1軸受B1を嵌合させてボディ10に固定するものであり、金属材料により形成され、内壁面20aが露出した状態でボディ10に埋設されている。
第1軸受ホルダ20は、軸線Sを中心とする円筒部21、円筒部21に連続する環状部22を備えている。
円筒部21は、第1軸受B1を嵌合させて固定する。
環状部22は、ボディ10の端面11aの近傍に形成されて、第1軸受B1の軸線S方向外側への移動を規制する第1規制部として機能する。
第1軸受B1は、回転軸40を回転自在に支持するものであり、回転軸40が嵌合される内輪、円筒部21に嵌合される外輪、内輪と外輪の間で転動するボールを含むボール軸受である。
【0035】
第2軸受ホルダ30は、図10に示すように、第2軸受B2を嵌合させてボディ10に固定するものであり、金属材料により形成され、収容孔13の内周面13aに圧入され、又、図5に示すように、接合部16に接合されてネジb1によりボディ10に固定されている。
第2軸受ホルダ30は、軸線Sを中心とする内側円筒部31、内側円筒部31に連続する環状部32、内側円筒部31に連続すると共に軸線Sを中心とする外側円筒部33、外側円筒部33に連続する鍔部34を備えている。
内側円筒部31は、第2軸受B2を嵌合させて固定する。
環状部32は、ボディ10の端面12aの近傍に形成されて、第2軸受B2の軸線S方向外側への移動を規制する第2規制部として機能する。
外側円筒部33は、ボディ10の収容孔13の内周面13aに圧入されてボディ10に固定される。
鍔部34は、ボディ10の接合部16に接合されて、第2軸受ホルダ30を軸線S方向に位置決めする。
第2軸受B2は、回転軸40を回転自在に支持するものであり、回転軸40が嵌合される内輪、円筒部31に嵌合される外輪、内輪と外輪の間で転動するボールを含むボール軸受である。
【0036】
回転軸40は、金属材料を用いて、軸線Sを中心としかつ軸線S方向に伸長する円形断面の中実軸として形成され、図3図8図10に示すように、軸部41、軸部42、軸部43、偏心軸部44、軸部45を備えている。
軸部41は、ロータ60が嵌合により固定される領域である。
軸部42は、第1軸受B1の内輪が嵌合により固定される領域である。
軸部43は、第2軸受B2の内輪が嵌合により固定される領域である。
偏心軸部44は、軸線S方向において、軸部42よりも外側に形成され、減速ユニットUを連結する連結部として機能するものである。
ここで、偏心軸部44は、軸線Sから径方向に所定量だけ偏心しかつ軸線Sに平行な軸線S2を中心とする円形断面に形成され、減速ユニットUの外歯車80と第3軸受B3を介して連結される。
軸部45は、軸線S方向において第2軸受B2が嵌合される軸部43よりも外側の領域であり、回転軸40及びロータ60の回転位置を検出する検出センサ102により検出される被検出部Dを嵌合して固定する領域である。
【0037】
そして、回転軸40は、軸部41にロータ60が固定され、偏心軸部44に外歯車80が連結され、軸部45に被検出部Dが固定された状態で、軸部42がボディ10の一端側に固定された第1軸受ホルダ20及び第1軸受B1を介し、軸部43がボディ10の他端側に固定された第2軸受ホルダ30及び第2軸受B2を介し、ボディ10に対して回転自在に支持される。
【0038】
このように、回転軸40は、一つのボディ10の一端側に固定された第1軸受B1及び他端側に固定された第2軸受B2により軸線S回りに回転自在に支持されているため、従来のようにボディとは別部材の端板やカバー部材に固定された軸受により支持される場合に比べて、回転軸40の傾きを防止することができる。
特に、第1軸受B1を嵌合する第1軸受ホルダ20は、ボディ10に埋設して固定され、又、第2軸受B2を嵌合する第2軸受ホルダ30は、ボディ10の収容孔13に圧入されて固定されているため、軸線S上における軸心合わせを高精度に行うことができる。
【0039】
ステータ50は、図9及び図10に示すように、ステータコア51、ボビン52、コイル53を備えている。
ステータコア51は、磁性材料からなる鋼板を用いてプレス成形した後に積層した積層体として形成され、環状部から軸線Sに向けて突出した九つの極歯51aを備えている。
極歯51aは、その端面が収容孔13の内周面13aの一部を画定する円弧面に形成されて、ロータ60の外周面60aに対向するように配置される。
【0040】
ボビン52は、電気的絶縁性を有する樹脂材料を用いて二分割構造に形成され、軸線S方向においてステータコア51を挟み込むように組み込まれている。
コイル53は、九つの極歯51aを囲繞するボビン52の周りにそれぞれ巻回されており、三つの端子(不図示)に接続されている。
すなわち、ステータコア51にボビン52が組み込まれ、コイル53がボビン52に巻回されることで、ステータ50が形成される。その後、ステータ50は、ボディ10の埋設部14に埋設される。
【0041】
ロータ60は、図8に示すように、ロータコア61、ロータコア61に嵌め込まれた六つの永久磁石62を備えている。
ロータコア61は、磁性材料からなる鋼板を用いてプレス成形した後に積層した積層体により円柱状に形成され、回転軸40を嵌合させる嵌合孔61a、永久磁62を挿着する六つの挿着孔61bを備えている。
【0042】
六つの永久磁石62は、略矩形の平板状に形成され、図9に示すように、それぞれロータコア61の挿着孔61bに挿着されて径方向においてN極及びS極が対向するように配置され、又、軸線S回りの周方向において等間隔でかつ外側を向く極が交互に入れ替わるように配置されている。
上記構成をなすステータ50及びロータ60を含むモータMは、九つのスロット及び六つの磁極を有する三相のブラシレスモータである。
【0043】
内歯車70は、金属材料を用いて、図6図10図11図13に示すように、軸線Sを中心とする円環状に形成され、内周面において外歯車80の外歯81aと部分的に噛合する内歯71を備えている。ここで、内歯71の歯数Z1はnに設定される。
そして、内歯車70は、内歯71が露出するように、ボディ10の一端側の壁面11に隣接する埋設部17に埋設されている。
【0044】
外歯車80は、図3図4図13図14に示すように、ボディ10の端面11aに隣接して配置され、内歯車70と部分的に噛合するものであり、金属材料を用いて略円板状に形成され、第1円板部81、第1円板部81に一体的に形成された第1円筒部82を備えている。
第1円板部81は、外周面において内歯71と噛合する外歯81a、周方向に配列され九つの突起部81bを備えている。ここで、外歯81aの歯数Z2はn-1に設定される。突起部81bは、出力回転体90の第2係合部(挿入孔91a)と係合する第1係合部として機能する。
第1円筒部82は、図14に示すように、偏心軸部44の軸線S2を中心とする円筒状をなし、かつ、軸線S方向において第1円板部81から外側に突出するように形成されている。第1円筒部82の内側には、第3軸受B3を介して回転軸40の偏心軸部44が連結される。
【0045】
第3軸受B3は、外歯車80を回転自在に支持するものであり、偏心軸部44が嵌合される内輪、外歯車80の第1円筒部82に嵌合される外輪、内輪と外輪の間で転動するボールを含むボール軸受である。
すなわち、外歯車80は、第1円筒部82が第3軸受B3を介して偏心軸部44に回転自在に支持され、第1円板部81がボディ10の一端側の壁面11(端面11a)に隣接するように配置されて、図13に示すように、外歯81aが内歯車70の内歯71と部分的に噛合する。
これにより、外歯車80は、回転軸40が回転することにより、内歯車70との噛合位置を変化させつつ、軸線S2回りに自転する共に軸線S回りに公転する。
【0046】
出力回転体90は、図3図4図13図14に示すように、金属材料を用いて略円板状に形成され、第2円板部91、第2円板部91に一体的に形成された第2円筒部92、第2円筒部92に結合された出力部93を備えている。
第2円板部91は、周方向に配列され九つの挿入孔91aを備えている。挿入孔91aは、外歯車80の第1係合部(突起部81b)と係合する第2係合部として機能する。そして、挿入孔91aは、外歯車80の自転及び公転を許容しつつ外歯車80に連動するように突起部81bを受け入れる。
第2円筒部92は、図14に示すように、外歯車80の第1円筒部82よりも大きい外径をなすと共に軸線Sを中心とする有底円筒状に、すなわち、第1円筒部82の周囲を囲むように形成されている。また、第2円筒部92は、出力部93が結合される結合孔を画定する底壁部92aを備えている。さらに、底壁部92aには、第2ワッシャW2が隣接するように配置される。
出力部93は、図14に示すように、軸線Sを中心とする円筒状に形成され、内側において外部の適用対象物と連結される連結孔93aを備えている。そして、出力部93は、軸線S方向において第2円筒部92の底壁部92aの結合孔に嵌合固定されている。
このように、出力部93は、出力回転体90の一部を構成するものの、第1円板部81及び第2円筒部92とは別体の結合物であるため、出力部93の形状を種々設定することで、必要に応じて適宜連結形状を変更することができる。
【0047】
そして、出力回転体90は、出力部93が第1カバー部材110に設けられたブッシュB4に嵌合されて、軸線S回りに回転自在に支持される。
すなわち、出力回転体90は、第1カバー部材110に対して軸線S回りに回転自在に支持されると共に、挿入孔91aに外歯車80の突起部81bが遊走自在に挿入され、第2円板部91が外歯車80の第1円板部81に隣接し、第2円筒部92が外歯車80の第1円筒部82の周囲を囲むように配置される。
上記構成をなす減速ユニットUは、サイクロイド減速機構を構成するものであり、減速比は、Z2/(Z1-Z2)=nとなる。ここでは、内歯車70の歯数Z1が61、外歯車80の歯数Z2が60に設定されているため、回転軸40の回転速度は、1/60に減速されて出力部93から外部に出力される。
【0048】
回路基板100は、図3ないし図5に示すように、略矩形の平板状に形成されて、ネジb2を通す四つの円孔101を備えている。
回路基板100には、配線がプリントされると共に、ボディ10と対向する内側面において、モータMの駆動を制御する制御回路及び種々の電子部品(不図示)が実装され、又、検出センサ102が実装されている。
検出センサ102は、回転軸40及びロータ60の回転位置を検出するものであり、軸線S方向において被検出部Dと対向するべく、軸線Sを中心とする弧状に配列された三つのホール素子を含む。
【0049】
第1カバー部材110は、ボディ10の一端側を覆うものであり、樹脂材料を用いて形成され、図1ないし図5に示すように、凹状の収容部111、円筒部112、ボディ10の第1接合面11bに接合されるフランジ部113、フランジ部113に形成されてネジb3を通す六つの円孔114、適用対象物に取り付けられる三つの取付け部115を備えている。
収容部111は、その内周壁にボディ10の埋設部17の外周壁を嵌合させると共に、減速ユニットU及びボディ10の埋設部17を収容する。
円筒部112は、減速ユニットUの出力回転体90を軸線S回りに回転自在に支持するべく、軸線Sを中心とする円筒孔として形成され、その内側に円筒状のブッシュB4が嵌め込まれている。
【0050】
そして、第1カバー部材110は、減速ユニットUがボディ10の一端側の壁面11に隣接して配置された状態で、出力回転体90の出力部93を円筒部112に回転自在に嵌合させ、フランジ部113をボディ10の第1接合面11bに接合して、ネジb3によりボディ10に連結される。
【0051】
第2カバー部材120は、ボディ10の他端側を覆うものであり、樹脂材料を用いて形成され、図1ないし図5に示すように、回路基板100及びボディ10の取付け部18を収容する収容部121、ボディ10の第2接合面12bに接合されるフランジ部122、フランジ部122に形成されてネジb4を通す六つの円孔123を備えている。
【0052】
そして、第2カバー部材120は、回路基板100がボディ10の他端側の壁面12に隣接して配置された状態で、フランジ部122をボディ10の第2接合面12bに接合して、ネジb4によりボディ10に連結される。
【0053】
第1ワッシャW1は、図6図8図10に示すように、バネ鋼により形成されたウエーブワッシャであり、第1軸受B1に隣接して配置されている。具体的には、第1ワッシャW1は、第1軸受ホルダ20の環状部22と第1軸受B1に隣接するように配置されて、回転軸40に対して軸線S方向に付勢力を及ぼす。すなわち、第1ワッシャW1は、回転軸40が軸線S方向に移動しようとするとき抵抗力を及ぼす。
このように、第1ワッシャW1を設けることにより、回転軸40に対して軸線S方向に受ける衝撃を緩和することができる。
【0054】
第2ワッシャW2は、図3図4図5に示すように、バネ鋼により形成されたウエーブワッシャであり、減速ユニットUを構成する出力回転体90に隣接して配置されている。具体的には、第2ワッシャW2は、出力回転体90の第2円筒部92の底壁部92aと第1カバー部材110の円筒部112の内壁との間に介在するように配置されて、出力回転体90に対して軸線S方向に付勢力を及ぼす。すなわち、第2ワッシャW2は、出力回転体90を外歯車80に押し付け、外歯車80及び第3軸受B3を介して、回転軸40が軸線S方向に移動しようとするとき抵抗力を及ぼす。
このように、第2ワッシャW2を設けることにより、回転軸40に対して軸線S方向に受ける衝撃を緩和することができる。
【0055】
ここでは、第1ワッシャW1に加えて第2ワッシャW2を設けたことにより、適用対象物により及ぼされる衝撃が、出力部93を介して回転駆動装置に伝わる際に、第1ワッシャW1及び第2ワッシャW2が、その衝撃を吸収するように緩和する。
このように、第1ワッシャW1及び第2ワッシャW2の衝撃緩和作用により、回転駆動装置の破損等を防止でき、所期の機能を保証することができる。
【0056】
上記第1実施形態に係る回転駆動装置の動作については、回路基板100に配置された制御回路により、モータMが適宜駆動制御される。
そして、ロータ60及び回転軸40が軸線S回りに回転すると、偏心軸部44を介して、外歯車80が軸線S2回りに自転すると共に軸線S回りに公転する。
これにより、外歯車80は、回転軸40の回転速度に対して、減速比=nで減速されて回転する。
外歯車80が回転すると、突起部81bと挿入孔91aとの係合により、出力回転体90が外歯車80に連動して軸線S回りに回転する。
したがって、出力回転体90の出力部93が駆動対象物に連結されることで、減速された回転力が外部に出力される。
【0057】
上記第1実施形態に係る回転駆動装置によれば、回転軸40が、一つのボディ10の一端側に固定された第1軸受B1及び他端側に固定された第2軸受B2により軸線S回りに回転自在に支持されているため、従来のようにボディとは別部材の端板やカバー部材に固定された軸受により支持される場合に比べて、回転軸40の傾きを防止できる。
また、内歯車70が軸線S方向においてボディ10の一端側の壁面11に隣接して配置され、外歯車80の第1円板部81が軸線S方向においてボディ10の一端側の壁面(端面11a)に隣接して配置され、出力回転体90の第2円板部91が軸線S方向において外歯車80の第1円板部81に隣接して配置され、出力回転体90の第2円筒部92が外歯車80の第2円筒部91の周囲を囲むように配置されている。
したがって、軸線S方向において減速ユニットUを集約して配置することができ、図2に示すように、軸線S方向における装置の幅寸法Wを小さくできる。これにより、装置の薄型化、小型化を達成することができる。
【0058】
次に、第1実施形態に係る回転駆動装置の組み付け作業について説明する。
先ず、第1軸受ホルダ20,ステータ50,内歯車70,端子19a,その他の接続配線(不図示)が一体的に埋設された樹脂製のボディ10、第2軸受ホルダ30、回転軸40、ロータ60、被検出部D、第1軸受B1、第2軸受B2、第3軸受B3、第1ワッシャW1、第2ワッシャW2、回路基板100、ブッシュB4が固定された第1カバー部材110、第2カバー部材120が準備される。
【0059】
続いて、回転軸40に対して、図8に示すような順序で、第1ワッシャW1、第1軸受B1、ロータ60、第2軸受B2、被検出部Dが取り付けられる。
続いて、図6及び図7に示すように、ボディ10の他端側からボディ10の収容孔13に向けて回転軸40が近づけられ、第1軸受B1が第1軸受ホルダ20に嵌合して固定される。
【0060】
続いて、第2軸受ホルダ30が、ボディ10の収容孔13に圧入されると共に第2軸受B2を嵌合させて、鍔部34がボディ10の接合部16に接合される。その後、ネジb1が円孔34aを通してネジ穴16aに捩じ込まれる。
これにより、回転軸40は、軸線Sの傾きを生じることなく、ボディ10に対して第1軸受B1及び第2軸受B2を介し軸線S回りに回転自在に支持される。
【0061】
続いて、回転軸40の偏心軸部44に第3軸受B3が嵌合される。
続いて、外歯車80が、ボディ10の一端側から近づけられ、第1円筒部82の内側に第3軸受B3が嵌合されると共に、外歯81aが内歯車70の内歯71に部分的に噛合するように、ボディ10の一端側の端面11aに隣接して配置される。
【0062】
続いて、出力回転体90が、外歯車80の外側から近づけられ、第2円筒部92が外歯車80の第1円筒部82の周囲を囲むように、又、第2円板部91が外歯車80の第1円板部81に隣接するように配置され、挿入孔91aに突起部81bが遊走自在に挿入される。そして、第2ワッシャW2が、第2円筒部92の端面に当接するように配置される。
【0063】
続いて、第1カバー部材110が、出力回転体90の外側から近づけられ、円筒部112内に出力部93が回転自在に嵌め込まれると共に、フランジ部113がボディ10の第1接合面11bに接合される。そして、ネジb3が、円孔114を通して、ボディ10のネジ穴11bに捩じ込まれる。これにより、第1カバー部材110は、減速ユニットUを覆うようにしてボディ10に連結される。
【0064】
続いて、回路基板100が、ボディ10の他端側から近づけられ、取付け部18に当接して保持され、ネジb2が円孔101を通してネジ穴18aに捩じ込まれる。これにより、回路基板100がボディ10に固定されると共に、検出センサ102が軸線S方向において被検出部Dと対向するように配置される。
【0065】
続いて、第2カバー部材120が、回路基板100の外側からボディ10に近づけられて、フランジ部122がボディ10の第2接合面12bに接合される。そして、ネジb4が、円孔123を通して、ボディ10のネジ穴12bに捩じ込まれる。これにより、第2カバー部材120は、回路基板100を覆うようにしてボディ10に連結される。
これにより、回転駆動装置の組み付けが完了する。尚、組み付け手法は、上記の手順に限るものではなく、その他の手法を採用してもよい。
【0066】
以上述べたように、上記構成をなす回転駆動装置によれば、モータMの回転軸40の傾きを防止でき、回転軸40の軸線S方向において装置の薄型化及び小型化を達成することができる。
【0067】
図15及び図16は、本発明に係る回転駆動装置の第2実施形態を示すものであり、回転駆動装置に含まれる減速ユニットUの出力回転体と第1カバー部材を変更した以外は、前述の第1実施形態と同一である。第2実施形態において、第1実施形態と同一の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0068】
第2実施形態に係る回転駆動装置は、ボディ10、第1軸受ホルダ20、第2軸受ホルダ30、回転軸40、ステータ50、ロータ60、内歯車70、外歯車80、出力回転体190、回路基板100、第1カバー部材210、第2カバー部材120を備えている。
【0069】
出力回転体190は、金属材料を用いて底付き二重円筒状に形成され、第2円板部91、第2円板部91に一体的に形成された第2円筒部192、第2円板部91に一体的に形成された外側円筒部193を備えている。
第2円筒部192は、図16に示すように、外歯車80の第1円筒部82よりも大きい外径をなすと共に軸線Sを中心とする円筒状に、すなわち、第1円筒部82の周囲を囲むように形成されている。
また、第2円筒部192の外周には、出力部としての外歯192aが形成されている。そして、外歯192aは、外部の適用対象物の内歯を有する連結体と連結されるようになっている。
外側円筒部193は、第1カバー部材210の支持部213にブッシュB4を介して、軸線S回りに回転自在に支持されるように形成されている。また、外側円筒部193は、軸線S方向において、第2ワッシャW2を介して外歯車80に向けて付勢されている。
【0070】
そして、出力回転体190は、外側円筒部193が第1カバー部材210に設けられた支持部312にブッシュB4を介して嵌合されて、軸線S回りに回転自在に支持される。
すなわち、出力回転体190は、第1カバー部材210に対して軸線S回りに回転自在に支持されると共に、挿入孔91aに外歯車80の突起部81bが遊走自在に挿入され、第2円板部91が外歯車80の第1円板部81に隣接し、第2円筒部192が外歯車80の第1円筒部82の周囲を囲むように配置される。
【0071】
第1カバー部材210は、ボディ10の一端側を覆うものであり、樹脂材料を用いて形成され、収容部111、円筒部212、フランジ部113、六つの円孔114、三つの取付け部115、支持部213、環状凹部214を備えている。
円筒部212は、外部の適用対象物の連結部Cpが挿入される開口部212aを画定する。
支持部213は、収容部111を画定する内壁面において、軸線Sを中心とする円筒状に形成され、その外周面においてブッシュB4が嵌合固定されている。
環状凹部214は、出力回転体190の外側円筒部193を挿入し得る寸法に形成されており、その底面において第2ワッシャW2を収容するように形成されている。
【0072】
そして、第1カバー部材210は、減速ユニットUがボディ10の一端側の壁面11に隣接して配置された状態で、出力回転体190の外側円筒部193を支持部213に回転自在に嵌合させ、フランジ部113をボディ10の第1接合面11bに接合して、ネジb3によりボディ10に連結される。
【0073】
上記第2実施形態に係る回転駆動装置によれば、内歯車70が軸線S方向においてボディ10の一端側の壁面11に隣接して配置され、外歯車80の第1円板部81が軸線S方向においてボディ10の一端側の壁面(端面11a)に隣接して配置され、出力回転体190の第2円板部91が軸線S方向において外歯車80の第1円板部81に隣接して配置され、出力回転体190の第2円筒部192が外歯車80の第2円筒部91の周囲を囲むように配置されている。
特に、出力回転体190の第2円筒部192の外周に出力部としての外歯192aを設けたことにより、第1実施形態の出力回転体90に比べて、軸線S方向の外側に突出する部分を短くすることができる。したがって、軸線S方向において減速ユニットUを集約して配置することができ、軸線S方向における装置の薄型化、小型化を達成することができる。
【0074】
また、第2実施形態においては、第1実施形態と同様に、第1ワッシャW1及び第2ワッシャW2を設けたことにより、適用対象物により及ぼされる衝撃が、外歯192aを介して回転駆動装置に伝わる際に、第1ワッシャW1及び第2ワッシャW2が、その衝撃を吸収するように緩和する。
このように、第1ワッシャW1及び第2ワッシャW2の衝撃緩和作用により、回転駆動装置の破損等を防止でき、所期の機能を保証することができる。
【0075】
以上述べたように、上記構成をなす回転駆動装置によれば、モータMの回転軸40の傾きを防止でき、回転軸40の軸線S方向において装置の薄型化及び小型化を達成することができる。
【0076】
上記実施形態においては、第1軸受ホルダ20及び第2軸受ホルダ30を介して、第1軸受B1及び第2軸受B2をボディ10に固定する形態を示したが、これに限定されるものではなく、ボディ10が堅固に形成される限り、第1軸受B1及び第2軸受B2をボディ10の収容孔13に直接嵌合させて固定してもよい。
【0077】
上記実施形態においては、回転軸40の速度を減速する減速ユニットUを備えた回転駆動装置を示したが、これに限定されるものではなく、減速ユニットUを廃止した構成を採用してもよい。
【0078】
上記実施形態においては、減速ユニットUを構成する外歯車80及び出力回転体90,190において、第1係合部として外歯車80の突起部81b、第2係合部として出力回転体90,190の挿入孔91aを示したが、これに限定されるものではなく、その他の形態を採用してもよい。
【0079】
上記実施形態においては、減速ユニットUとして、内歯車70、外歯車80、及び出力回転体90,190を含むサイクロイド減速機構を示したが、これに限定されるものではなく、減速ユニットとしてその他の減速機構を採用してもよい。
例えば、減速ユニットとして遊星歯車機構を採用する場合、回転軸の連結部は、軸線Sを中心とする回転軸として形成され、遊星歯車機構の太陽歯車に連結される。
また、減速ユニットとして波動歯車機構を採用する場合、回転軸の連結部は、軸線Sを中心とする回転軸として形成され、波動を発生する波動発生器と連結される。
【0080】
以上述べたように、本発明の回転駆動装置は、モータの回転軸の傾きを防止でき、回転軸の軸線方向において装置の薄型化及び小型化を達成することができるため、種々の装置の回転駆動装置として適用できるのは勿論のこと、特にモータの回転を減速して外部に伝達する回転駆動装置、例えば、車両の搭載される機器の回転駆動装置として有用である。
【符号の説明】
【0081】
S 軸線
10 ボディ
11 一端側の壁面
12 他端側の壁面
13 収容孔
20 第1軸受ホルダ
22 環状部(第1規制部)
B1 第1軸受
W1 第1ワッシャ
30 第2軸受ホルダ
32 環状部(第2規制部)
B2 第2軸受
M モータ
D 被検出部
40 回転軸(モータ)
44 偏心軸部(連結部)
50 ステータ
60 ロータ
U 減速ユニット
70 内歯車(減速ユニット)
71 内歯
80 外歯車(減速ユニット)
81 第1円板部
81a 外歯
81b 突起部(第1係合部)
82 第1円筒部
B3 第3軸受
90 出力回転体(減速ユニット)
91 第2円板部
91a 挿入孔(第2係合部)
92 第2円筒部
W2 第2ワッシャ
93 出力部
100 回路基板
102 検出センサ
110 第1カバー部材
B4 ブッシュ
120 第2カバー部材
190 出力回転体(減速ユニット)
192 第2円筒部
192a 外歯(出力部)
193 外側円筒部
210 第1カバー部材
213 支持部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16