(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157493
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】ガス配管温調システム及び温度動作装置
(51)【国際特許分類】
C23C 16/44 20060101AFI20221006BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20221006BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
C23C16/44 J
H01L21/302 101G
H01L21/205
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021061750
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】508275939
【氏名又は名称】エドワーズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105201
【弁理士】
【氏名又は名称】椎名 正利
(72)【発明者】
【氏名】高橋 克典
(72)【発明者】
【氏名】田村 達基
【テーマコード(参考)】
4K030
5F004
5F045
【Fターム(参考)】
4K030EA11
4K030HA12
4K030JA10
4K030KA22
4K030KA39
4K030KA46
4K030LA15
4K030LA16
4K030LA18
5F004AA13
5F004AA16
5F004BC02
5F004DA01
5F004DA02
5F004DA16
5F004DA17
5F004DA18
5F004DA25
5F045EC09
5F045EF20
(57)【要約】
【課題】ガス配管の過昇温に伴い生ずるフランジ接続部のシール部材の焼損やこの焼損によるガス漏れを防止することのできる安価なガス配管温調システム及び温度動作装置を提供する。
【解決手段】フランジ接続部について温度調整を可能とすることで、ガス配管部分の過昇温に伴い生ずるおそれのあるシール部材の焼損を防止できる。この温度調整は、温度動作部で検知した温度が設定温度以上となったときに、温度動作部が動作して、電源からヒータへの電力の供給を切断することで行う。このシール部材の焼損防止のためには、フランジ接続部の周囲に直接温度動作部を配置、若しくはフランジ接続部の周囲とほぼ同じ温度であることが確認されているフランジ接続部に隣接したガス配管周りに温度動作部を配設する。これにより、間接的にこのフランジ接続部の周囲温度を検出することで、フランジ接続部の温度調整や警報を可能とした。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気路をなすガス配管と、
該ガス配管の接続部の気密を保持するシール部材と、
前記ガス配管と前記接続部、又は、前記ガス配管を加熱するためのヒータと、
該ヒータに対して電力を供給する電源と、
前記接続部に配置、又は、該接続部に隣接した前記ガス配管周りに該ガス配管と密着して配置され、設定温度以上で動作する温度動作部とを備え、
該温度動作部で検知した温度が前記設定温度以上となったときに、前記温度動作部が動作して、前記電源から前記ヒータへの電力の供給が切断されることを特徴とするガス配管温調システム。
【請求項2】
排気路をなすガス配管と、
該ガス配管の接続部の気密を保持するシール部材と、
前記ガス配管と前記接続部、又は、前記ガス配管を加熱するためのヒータと、
該ヒータに対して電力を供給する電源と、
前記ヒータに配設され、設定温度以上で動作する温度動作部とを備え、
該温度動作部が、前記接続部に配置、又は、該接続部に隣接した前記ガス配管周りに該ガス配管と密着して配置され、前記温度動作部で検知した温度が前記設定温度以上となったときに、前記温度動作部が動作して、前記電源から前記ヒータへの電力の供給が切断されることを特徴とするガス配管温調システム。
【請求項3】
前記温度動作部の温度の検知が、サーモスタット若しくは温度ヒューズにより行われることを特徴とする請求項1又は請求項2記載のガス配管温調システム。
【請求項4】
前記温度動作部が、ガラス繊維で形成されたベルトにより保持されたことを特徴とする請求項1、2又は3記載のガス配管温調システム。
【請求項5】
シール部材の接続された排気路をなすガス配管に対し取り付けられる温度動作装置であって、
所定の電源より電力供給されたヒータにより加熱される前記ガス配管の温度に基づき動作する温度動作部と、
該温度動作部を保持し、屈曲性を有するベルトを備え、
前記温度動作部で検知した温度が設定温度以上になったときに、前記温度動作部が動作して、前記所定の電源から前記ヒータへの電力の供給が切断されることを特徴とする温度動作装置。
【請求項6】
前記温度動作部が、前記シール部材の周囲、又は、前記シール部材を挟んだフランジに隣接するように配置されたことを特徴とする請求項5記載の温度動作装置。
【請求項7】
前記温度動作部が前記ガス配管に対し当接されたことを特徴とする請求項5又は請求項6記載の温度動作装置。
【請求項8】
前記温度動作部の前記ベルトへの保持が、前記温度動作部の上面と両側面、又は前記温度動作部の上面を前記ベルトが被覆することで行われたことを特徴とする請求項5、6又は7記載の温度動作装置。
【請求項9】
前記ベルトの材質がガラスであることを特徴とする請求項5~8のいずれか一項に記載の温度動作装置。
【請求項10】
前記ベルトを前記ガス配管周りに巻いた後に締結する締結部を備えたことを特徴とする請求項5~9のいずれか一項に記載の温度動作装置。
【請求項11】
前記温度動作部の温度の検知が、サーモスタットにより行われることを特徴とする請求項5~10のいずれか一項に記載の温度動作装置。
【請求項12】
前記フランジに隣接する箇所における温度は、前記シール部材の周囲の温度の10%以内であることを特徴とする請求項6記載の温度動作装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はガス配管温調システム及び温度動作装置に係わり、特にガス配管の過昇温に伴い生ずるフランジ接続部のシール部材の焼損やこの焼損によるガス漏れを防止することのできる安価なガス配管温調システム及び温度動作装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体素子、液晶パネル、太陽電池の製造工程では、化学気相反応を利用して成膜するCVD(Chemical Vapor Deposition)処理やエッチング処理等が行われ、プロセスチャンバにおいて各種のガスが使用されている。
【0003】
このガスとしては、例えば、半導体素子、液晶パネル、太陽電池の製膜材料ガスであるシラン(SiH4)、NH3、H2や、プラズマCVD装置等の密閉チャンバ内を例えばプラズマでクリーニングする際のクリーニングガスとして使用するNF3、CF4、C2F6、SF6、CHF3、CF6等のガス状フッ化物、窒素(N2)等の不活性ガスがある。
【0004】
そして、
図7に示すように、プロセスチャンバ2には、この有害な排ガスを除去するべく真空引きのためにターボ分子ポンプ4及びドライポンプ6が直列に接続されている。そして、ドライポンプ6で運転開始時にある程度真空引きした後に、更にターボ分子ポンプ4で必要な低圧にまで真空引きするように構成されている。但し、CVD処理等の場合には、ターボ分子ポンプ4が省略された形で構成されるケースが一般的である。
【0005】
ドライポンプ6から出力された有害な排ガスは、燃焼式除害装置8で燃焼分解されるようになっている。このとき、排ガスは、セントラルスクラバー10により多少の減圧をされつつ燃焼式除害装置8内に誘導される。
そして、例えば、CVD処理によりシリコン窒化膜を形成する場合には、反応副生成物として塩化アンモニウムやケイフッ化アンモニウムが発生する。
これらの反応副生成物は微細な粉体であり、途中のガス配管内に付着し易い。特に、ドライポンプ6の排気側のガス配管では、圧力が高くなるため、ガスの温度が下がるとガス成分が昇華や液化しやすくなる。
【0006】
そこで、ドライポンプ6の排気側のガス配管は、ガス配管内での排気ガス中に含まれるガス成分による反応副生物の堆積を防止するために、ガス成分が固相域や液相域とならないように、温調されたヒータで所定温度以上となるように加熱保持されている(特許文献1参照)。
ガス配管は、温度が例えば200度となるように温調され、上限温度が例えば230度になると安全のためアラームを発報するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、昨今はプロセス流量が増加傾向にあり、より高い温度での温調が期待されるようになってきている。この場合、ガス配管がより高い温度となるため、シールなどに使われる部材の耐熱温度に対するマージンは減少する傾向にある。また、プロセスによっては、ドライポンプ6の排気側のガス配管がヒータで温調される温度以上となる、過昇温の問題が生じ易い環境になる。
そして、このような耐熱温度に対するマージンが少ない中で過昇温が生ずると、ガス配管に用いられるシール部材やヒータを構成する部材の耐熱温度を超えてしまうおそれがある。例えば、シール部材の焼損が起こると、ガス漏れが発生してしまうおそれがある。
また、このシール部材を保護するためにはシール部に対して温度センサを着けることが望ましいが、シール部の構造上、直接温度センサをつけて温度を測ることは難しい。
更に、このシール部は設備内で多数あり、シール部材が配置されたフランジ接続部全てに過昇温防止のための温度センサと温度調節器を設置すると多大なコストが発生するという問題があった。
本発明はこのような従来の課題に鑑みてなされたもので、ガス配管の過昇温に伴い生ずるフランジ接続部のシール部材の焼損やこの焼損によるガス漏れを防止することのできる安価なガス配管温調システム及び温度動作装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
このため本発明(請求項1)はガス配管温調システムの発明であって、排気路をなすガス配管と、該ガス配管の接続部の気密を保持するシール部材と、前記ガス配管と前記接続部、又は、前記ガス配管を加熱するためのヒータと、該ヒータに対して電力を供給する電源と、前記接続部に配置、又は、該接続部に隣接した前記ガス配管周りに該ガス配管と密着して配置され、設定温度以上で動作する温度動作部とを備え、該温度動作部で検知した温度が前記設定温度以上となったときに、前記温度動作部が動作して、前記電源から前記ヒータへの電力の供給が切断されることを特徴とする。
【0010】
フランジ接続部について温度調整を可能とすることで、ガス配管部分の過昇温に伴い生ずるおそれのあるシール部材の焼損を防止できる。この温度調整は、温度動作部で検知した温度が設定温度以上となったときに、温度動作部が動作して、電源からヒータへの電力の供給を切断することで行う。
このシール部材の焼損防止のためには、フランジ接続部の周囲に直接温度動作部を配置するのが最も望ましい。しかしながら、現場の作業で簡単に温度動作部の取付作業をするのには困難が想定される場合には、フランジ接続部の周囲とほぼ同じ温度であることが確認されているフランジ接続部に隣接したガス配管周りに温度動作部を配設する。これにより、間接的にこのフランジ接続部の周囲温度を検出することで、フランジ接続部の温度調整や警報を可能とした。
【0011】
また、本発明(請求項2)はガス配管温調システムの発明であって、排気路をなすガス配管と、該ガス配管の接続部の気密を保持するシール部材と、前記ガス配管と前記接続部、又は、前記ガス配管を加熱するためのヒータと、該ヒータに対して電力を供給する電源と、前記ヒータに配設され、設定温度以上で動作する温度動作部とを備え、該温度動作部が、前記接続部に配置、又は、該接続部に隣接した前記ガス配管周りに該ガス配管と密着して配置され、前記温度動作部で検知した温度が前記設定温度以上となったときに、前記温度動作部が動作して、前記電源から前記ヒータへの電力の供給が切断されることを特徴とする。
【0012】
温度動作部をヒータに配置することで、ガス配管部分の過昇温に伴い生ずるおそれのあるシール部材の焼損を防止できる。この温度調整は、温度動作部で検知した温度が設定温度以上となったときに、温度動作部が動作して、電源からヒータへの電力の供給を切断することで行う。
【0013】
更に、本発明(請求項3)はガス配管温調システムの発明であって、前記温度動作部の温度の検知が、サーモスタット若しくは温度ヒューズにより行われることを特徴とする。
【0014】
温度動作部の温度調整のためには、フランジ接続部毎に一つの温度動作部を配設することが望ましい。このため、被計測個所数は多い。温度動作部にサーモスタット若しくは温度ヒューズを用いることにより、温度調節器が不要となり、安価なガス配管温調システムが実現できる。
【0015】
更に、本発明(請求項4)はガス配管温調システムの発明であって、前記温度動作部が、ガラス繊維で形成されたベルトにより保持されたことを特徴とする。
【0016】
ベルトをガラス繊維で形成することで、熱の散逸を防ぎ精度の高い温度検出が可能である。また、300度となるような高い温度環境でも安定した形状が維持できる。
【0017】
更に、本発明(請求項5)は温度動作装置の発明であって、シール部材の接続された排気路をなすガス配管に対し取り付けられる温度動作装置であって、所定の電源より電力供給されたヒータにより加熱される前記ガス配管の温度に基づき動作する温度動作部と、該温度動作部を保持し、屈曲性を有するベルトを備え、前記温度動作部で検知した温度が設定温度以上になったときに、前記温度動作部が動作して、前記所定の電源から前記ヒータへの電力の供給が切断されることを特徴とする。
【0018】
ガス配管の温度に基づき動作する温度動作部と、この温度動作部を保持し、形状追従性が良いベルトを備えて構成したので、取り付けが容易な温度動作装置にできる。
温度動作部で検知した温度が設定温度以上となったときに、温度動作部が動作して、電源からヒータへの電力の供給を切断する。このことにより、ガス配管部分の過昇温に伴い生ずるおそれのあるシール部材の焼損を防止できる。
【0019】
更に、本発明(請求項6)は温度動作装置の発明であって、前記温度動作部が、前記シール部材の周囲、又は、前記シール部材を挟んだフランジに隣接するように配置されたことを特徴とする。
【0020】
シール部材の焼損防止のためには、フランジ接続部の周囲に直接温度動作部を配置するのが最も望ましい。しかしながら、現場の作業で簡単に温度動作部の取付作業をするのには困難が想定される場合には、フランジ接続部の周囲とほぼ同じ温度であることが確認されているフランジ接続部に隣接したガス配管周りに温度動作部を配設する。これにより、間接的にこのフランジ接続部の周囲温度を検出することで、フランジ接続部の温度調整や警報を可能とした。
【0021】
更に、本発明(請求項7)は温度動作装置の発明であって、前記温度動作部が前記ガス配管に対し当接されたことを特徴とする。
【0022】
温度動作部がガス配管に対し当接されることで、精度の高い温度検出が可能となる。
【0023】
更に、本発明(請求項8)は温度動作装置の発明であって、前記温度動作部の前記ベルトへの保持が、前記温度動作部の上面と両側面、又は前記温度動作部の上面を前記ベルトが被覆することで行われたことを特徴とする。
【0024】
温度動作部の少なくとも一面を被覆することで熱の散逸を防げる。このため、フランジ接続部との温度差が生じてしまうことを防げる。
【0025】
更に、本発明(請求項9)は温度動作装置の発明であって、前記ベルトの材質がガラスであることを特徴とする。
【0026】
ベルトの材質がガラスであることで、AC200ボルト等の高い電源を使用している場合であっても電気的な絶縁を確実にできる。
【0027】
更に、本発明(請求項10)は温度動作装置の発明であって、前記ベルトを前記ガス配管周りに巻いた後に締結する締結部を備えたことを特徴とする。
【0028】
ベルトをガス配管周りに巻いた後に締結する締結部を備えたことで、簡易な構成でありながら締結を確実にできる。また、ガス配管を外さなくても、施工されたままの状態で取付できる。狭小部にも巻くことができる。
【0029】
更に、本発明(請求項11)は温度動作装置の発明であって、前記温度動作部の温度の検知が、サーモスタットにより行われることを特徴とする。
【0030】
温度動作部にサーモスタットを用いることで、安価な温度制御システムを実現できる。また、温度調節器は不要である。
【0031】
更に、本発明(請求項12)は温度動作装置の発明であって、前記フランジに隣接する箇所における温度は、前記シール部材の周囲の温度の10%以内であることを特徴とする。
【0032】
フランジに隣接する箇所における温度がシール部材の周囲の温度の10%以内であれば、シール部材の周囲の温度とほぼ同じ温度であると判断できる。このため、フランジ接続部に隣接したガス配管周りに温度動作部を配設した場合でも、間接的にこのフランジ接続部の周囲温度を検出することで、フランジ接続部の温度調整や警報を精度よくできる。
【発明の効果】
【0033】
以上説明したように本発明によれば、ガス配管の接続部に配置、又は、この接続部に隣接したガス配管周りにガス配管と密着して配置され、設定温度以上で動作する温度動作部を備え、温度動作部で検知した温度が設定温度以上となったときに、温度動作部が動作して、電源からヒータへの電力の供給が切断されるように構成したので、フランジ接続部について温度調整ができ、ガス配管部分の過昇温に伴い生ずるおそれのあるシール部材の焼損を防止できる。
ガス配管の接続部に隣接したガス配管周りでは、フランジ接続部の周囲とほぼ同じ温度であることが確認されている。これにより、間接的にこのフランジ接続部の周囲温度を検出することで、フランジ接続部の温度調整や警報を可能とした。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本発明の第1実施形態である温度動作装置の取付構造の斜視図
【
図6】本発明の第2実施形態である温度動作装置の構成図
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の第1の実施形態について説明する。本発明の第1実施形態である温度動作装置の取付構造の斜視図を
図1に、また、配管軸方向に沿った縦断面図を
図2に示す。また、
図2中のA-A矢視断面図を
図3に示す。
図1乃至
図3において、フランジ1及びフランジ3は共に差込溶接タイプであり、フランジ1及びフランジ3の内側端部に形成された段差1a、3aにはそれぞれガス配管に相当する直管5及び直管7が差し込まれ、直管5及び直管7の端部がそれぞれ溶接されている。但し、フランジ1及びフランジ3は突き当て溶接タイプであってもよい。フランジ1とフランジ3の間にはシール部材に相当する、例えばアウターリング付きOリング9が配設されている。
【0036】
フランジ1とフランジ3は、このフランジ1とフランジ3をまたぐように取り付けられた、配管クランプ11により蝶ネジ13を締めることで締結されている。配管クランプ11は、環状周面11a及びこの環状周面11aより「ハ」の字状に突設した側面11b、11cを有する。
なお、
図1における配管クランプ11の蝶ネジ13の取り付け位置は配管周りの回転角の任意で取り付け可能であり、このため、蝶ネジ13の記載を
図2中には省略をしている。
【0037】
直管5の周囲にはヒータ15が巻かれ、直管7の周囲にはヒータ17が巻かれている。また、フランジ1及びフランジ3の周囲にはヒータ19が巻かれている。
図4のヒータの回路図例に示すように、ヒータ15とヒータ19は直列に接続がされ、制御盤40内の電源41より電力供給されている。なお、ヒータ17に対し電力供給する電源は、ヒータ15、ヒータ19用の電源とは別に独立している。ヒータ15とヒータ17の内部にはそれぞれ熱電対45が埋め込まれている。そして、ヒータ15に内蔵の熱電対45で計測された温度に基づき、
図4に示す制御盤40内に配設された温度調節器43でヒータ15とヒータ19が温度調節されるようになっている。
なお、故障や電力の遮断時の影響などを考慮して、ヒータ15とヒータ17の電源を別にしているが、共通化しても良い。
【0038】
同様に、ヒータ17の内部にも熱電対45が埋め込まれている。そして、ヒータ17に内蔵の熱電対45で計測された温度に基づき、制御盤40に配設された温度調節器43でヒータ17が温度調節されるようになっている。
なお、
図4ではヒータ15とヒータ19は直列に接続がされているとして説明したが、並列に接続されてもよい。また、ヒータ15内にはサブ熱電対47も配設されている。そして、このサブ熱電対47により、ヒータ15とヒータ19を損傷若しくは火災発生する程度の温度異常を感知した際には、ヒータ15とヒータ19を保護するために、電源からの電力供給を停止するというハードウェアインターロックがかかるようになっている。
【0039】
図1乃至
図3に示すように、フランジ1の環状突設部3bの周囲にはベルトに相当するホースクランプ21が巻かれている。但し、簡略表示のため、
図2にはホースクランプ21を省略している。そして、このホースクランプ21の上面には金属の土台23が固着されている。但し、フランジ1に土台を溶接するなどで、フランジ1と土台を一体の形状にしてもよい。
金属の土台23の中央には図示しない角形の凹部が形成されている。
【0040】
また、
図1に示すように、この土台23の直管5及び直管7内のガス進行方向に対する前方と後方にはそれぞれ前方壁部23bと後方壁部23cとが立設され、土台23の左右は開放されている。そして、この土台23の前方壁部23bと後方壁部23cで仕切られた空間には、
図5に斜視外形図を示す温度動作部30が載置されている。この温度動作部30の中央下部には、金属の土台23の凹部に対し嵌合されるセンサ部30aが突設している。このセンサ部30aの下端面はフランジ1の環状突設部1bに対し接触している。
【0041】
温度動作部30の左右からはそれぞれプラス電極30b、マイナス電極30cが突設されている。このプラス電極30bとマイナス電極30cのそれぞれの端部にはリード線の一端が接続され、そのリード線の他端には図示しないオスコネクタとメスコネクタがそれぞれ取り付けられている。そして、この各コネクタが、
図4中に点線Aで囲んだコネクタ部分の図示しないオスコネクタとメスコネクタを一旦外した後に、このコネクタ間に対して直列に接続されるようになっている。また、温度動作部30の上方にはコの字状の板バネ31が配設され、この温度動作部30は、この板バネにより下方に向けて押さえつけられることで保持されている。
【0042】
次に、本発明の第1実施形態の作用について説明する。
従来、ガス配管部分については、ヒータ内の熱電対45で検出をした温度に基づき、温度調節器43でヒータに対する温度調整(制御)をしている。しかしながら、フランジ接続部については温度センサが配設されてなく温度調整はされていない。
【0043】
そこで、本発明の第1実施形態では、フランジ接続部についても温度調整を可能とすることで、ガス配管部分の過昇温に伴い生ずるおそれのあるアウターリング付きOリング9の焼損を防止するものである。そして、この焼損防止のためには、フランジ接続部の周囲に直接温度センサを配置するのが最も望ましい。しかしながら、フランジ接続部にはヒータ19が巻かれていたり、配管クランプ11が配設されているため、現場の作業で簡単に温度センサの取付作業をするのには困難が想定される。
【0044】
そこで、フランジ接続部の周囲とほぼ同じ温度であって、検出の容易そうな配置場所を探し、その箇所に温度センサを配設することで、間接的にこのフランジ接続部の周囲温度を検出することにした。このため、フランジ1、フランジ3、直管5、直管7の温度を、測定ポイントを変えつつ多数箇所にわたり温度測定をしてみた。その結果、環状突設部1b、3bの周囲であれば、フランジ接続部の周囲温度とほぼ同一の温度であることを確認した。
【0045】
例えば、直管5における温度が350度で、フランジ接続部の周囲温度が282度のときに、環状突設部1bにおける測定ポイントの温度は263度であったが、この場合に環状突設部1bの箇所での温度測定をしたとしてもアウターリング付きOリング9の保護に際しての支障は生じない。即ち、フランジ接続部の周囲温度に対するアウターリング付きOリング9部分の温度減衰幅が15%以内の箇所であれば、より好ましくは10%以内であれば、フランジ接続部の周囲温度に代えて測定をしたとしても、温度制御上の支障は無いと考えられる。
また、事前の運転試験などから、前述の温度減衰幅を把握しておき、その温度減衰幅を考慮して、温度動作部30の設定温度を設定しても良い。
更に、温度減衰幅が少ない位置で温度を検出し、その位置での温度減衰幅を考慮して、温度動作部30の設定温度を設定することで、フランジ接続部の過昇温によるシール部材の焼損をより高い信頼性で防止することが可能となる。
【0046】
また、本発明の第1実施形態では、フランジ接続部毎に一つの温度センサを配設することが望ましい。このため、被計測個所数は多い。例えば、市販の温度センサと温度調節器を用いた場合には高額になってしまう。そこで、温度センサとしては、サーマル・スナップ・スイッチ(サーモスタット)や温度ヒューズを用いることで、安価な温度制御システムを実現可能とした。なお、本発明の第1実施形態では、従来の温度センサとしてサーミスタ等を使用した場合に必要であったような温度調節器は不要である。
【0047】
更に、環状突設部1bの周囲はフランジ部分の傾斜や段差は無く、ホースクランプ21の取付及び温度動作部30の取付がし易い。
そして、温度動作部30について、アウターリング付きOリング9の焼損を防止できる限界温度で動作するように温度設定を行う。この限界温度は、Oリングに関するメーカーの製品仕様の短時間許容温度、長時間許容温度等に基づき判断をし設定をする。
【0048】
温度動作部30が限界温度で動作した場合には、プラス電極30bとマイナス電極30c間の接続がオフされる。このため、この温度動作部30に接続されている、例えばヒータ15とヒータ19への電力供給は切断される。これにより、ガス配管の温度は下がり、アウターリング付きOリング9は保護される。温度動作部30が限界温度で動作した場合には、接続をオフするだけではなく、過昇温情報の警報として外部に出力するようにしてもよい。但し、この警報は、ガス配管の温度が下がることで温度調節器43に内蔵のソフトウェア側で検知するようにしてもよい。
なお、温度動作部30のオフ動作は1回のみ動作するタイプでもよいし、一旦オフ後に復旧可能なタイプや複数回繰り返し動作可能なタイプでもよい。
【0049】
次に、本発明の第2実施形態について説明する。本発明の第2実施形態である温度動作装置の構成図を
図6に示す。なお、
図1、
図2、
図3、
図5と同一要素のものについては同一符号を付して説明は省略する。
図6において、温度動作部30のプラス電極30bとマイナス電極30cにはそれぞれリード線63とリード線65が接続された後、プラス電極30bとマイナス電極30cの周囲には、それぞれ絶縁のために圧着スリーブ51、圧着スリーブ53が取り付けられている。そして、この圧着スリーブ51、圧着スリーブ53の外側には収縮チューブ55、収縮チューブ57がそれぞれプラス電極30bとマイナス電極30cを被覆するように配設されている。収縮チューブ55、収縮チューブ57は例えば直径3mmである。
【0050】
また、この収縮チューブ55、収縮チューブ57の更に外側には収縮チューブ59、収縮チューブ61がそれぞれ温度動作部30のセンサ部30aを除く本体部分を被覆するように配設されている。収縮チューブ59、収縮チューブ61は例えば直径5mmである。
温度動作部30の本体部分、プラス電極30b及びマイナス電極30cはセンサ部30aのある面側を下面と見たときに、本体の上面側及び本体の両側面を例えば長さ60mm、幅17mmの1枚のガラスクロス71でくるむように被覆されている。
【0051】
そして、このガラスクロス71の上面には、例えば幅10mm、長さ250mm程度のベルト状のガラスクロス73が、ガラスクロス71に対して中央ライン75を縫うことで取り付けられている。但し、本体の上面側だけが被覆されるようにしてもよい。
ガラスクロス73には、ガラスクロス71を挟んだ両側に、それぞれ例えば直径5mm、長さ20mm程度のガラスチューブ77、ガラスチューブ79が通されている。そして、このガラスチューブ77、ガラスチューブ79には、また、収縮チューブ59、収縮チューブ61も通されるようになっている。
【0052】
ガラスチューブ77、ガラスチューブ79の抜け防止のために、ガラスチューブ77とガラスクロス71、ガラスチューブ79とガラスクロス71とは一部が縫われることで固定されている。また、ガラスクロス71の両端部は折り返されていて、少し厚みがありガラスチューブ77、ガラスチューブ79から抜けにくくなっている。
但し、ガラスチューブ77、ガラスチューブ79を使わずに、例えばガラスクロス73の端面同士を縫っても固定できる。また、ガラスクロス73の端部に折り返しを付けておき、そこにガラスチューブ77、ガラスチューブ79をひっかける構造にすれば、縫わなくても固定できる。
ガラスクロス73の一端には例えば幅11mmのDカン81が2個取り付けられている。一方、ガラスクロス73の他端73aには1回の折り返しが施されている。
【0053】
プラス電極30bの端部にはリード線63の一端が圧着され、一方、マイナス電極30cの端部にはリード線65の一端が圧着されている。リード線63の他端にはオスコネクタ67が取り付けられ、一方、リード線65の他端にはメスコネクタ69が取り付けられている。
オスコネクタ67とメスコネクタ69とは、
図4中に点線Aで囲んだ図示しないオスコネクタとメスコネクタとを一旦外した後にその間に挿入され、直列に接続されるようになっている。
【0054】
次に、本発明の第2実施形態の作用について説明する。
PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)製の収縮チューブ59、収縮チューブ61の収縮時には、プラス電極30bとマイナス電極30cを、片側45度ずつセンサ部30a側に曲げてから収縮させる。これは、チューブの抜け防止のためであり、また、設置時における温度動作部30のセンサ部30aの向きを決定するためである。
【0055】
ヒータ15、17、19は、例えば200ボルト電源から電力供給をされている。このため、絶縁の確保が課題となる。ガラスチューブ77、ガラスチューブ79を通したのは、収縮チューブ55、収縮チューブ57、収縮チューブ59、収縮チューブ61が伸縮性がないのでピンホールのおそれがある。このため、これらの収縮チューブをガラスチューブ77、ガラスチューブ79で覆うことで耐久性の他に絶縁も確保したものである。
【0056】
温度動作部30をガス配管に取り付けるに際しては、第1実施形態と同様に例えば、環状突設部1b、3bの周囲に取り付ける。あるいは、フランジ接続部の周囲温度に比べて15%以内の箇所であれば、より好ましくは10%以内であれば、フランジ接続部の周囲温度に代えて測定をしたとしても、温度制御上の支障は無いと考えられるので望ましい。
【0057】
環状突設部3bの周囲には
図2に示すように、ヒータ17とヒータ19の間にヒータの設置に伴う段差があるため、わずかの隙間の生じている場合がある。温度動作部30の幅は10mm以下程度と狭いので、この隙間を利用して簡単に取付が可能である。設置済みのヒータ17とヒータ19の端を開いた上で、温度動作部30をガス配管に取り付ける必要がある場合でも、端部のわずかな部分だけを開くだけで済む。
【0058】
取り付けは、センサ部30aをガス配管に対して接触させた状態で、ガラスクロス73をベルト状にガス配管の周りに1回巻く。そして、ガラスクロス73の折り返し73a部分をDカン81に対して通し引っ張ることで簡単に締結できる。このため、プロセスチャンバを止めて温度センサをガス配管に着ける等の必要はない。温度動作部30は、断熱性を有するガラスで被覆されているため、熱は散逸され難く、温度の制御精度を高く維持できる。
【0059】
第1実施形態と同様に、温度動作部30が限界温度で動作した場合には、プラス電極30bとマイナス電極30c間の接続がオフされる。このため、この温度動作部30に接続されている、例えばヒータ15とヒータ19への電力供給は切断される。常時200度以上にもなる高温環境であるが、ガス配管部分が過昇温になった場合であっても耐熱性を有し電源を遮断でき、アウターリング付きOリング9の焼損を確実に防止できる。
なお、前記各実施形態の温度動作部30はヒータ15、17、19に内蔵、若しくはヒータ15、17、19の内側に配設とされてもよい。
また、第2実施形態では、温度動作部30のプラス電極30bとマイナス電極30cに対し、リード線63とリード線65を接続した後、1枚のガラスクロス71でくるむように被覆するとして説明したが、ガラスクロス71の被覆に代えてガラス編組電線を付帯させるようにしてもよい。
この場合、図示は省略するが、ガラス編組電線と温度動作部30を並置した後、ガラス編組電線の一端と温度動作部30のプラス電極30b側を共に1本の第1の収縮チューブに通すことで固定する。一方、ガラス編組電線の他端と温度動作部30のマイナス電極30c側についても、同様に1本の第2の収縮チューブに通すことで固定する。これにより、絶縁と耐熱性の両面を満足した構成にできる。取り付けは、センサ部30aをガス配管に対して接触させた状態で、ガラス編組電線をガス配管の周りに1回巻く。その後、ガラス編組電線の両端を重ね合わせてねじることで簡単に取り付けできる。但し、ガラス編組電線の端部に締結部材が配設されてもよい。
なお、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変をなすことができ、上述した実施形態及び各変形例は、種々組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0060】
1、3 フランジ
1b、3b 環状突設部
5、7 直管
9 アウターリング付きOリング
11 配管クランプ
15、17、19 ヒータ
21 ホースクランプ
23 土台
30 温度動作部
30a センサ部
30b プラス電極
30c マイナス電極
40 制御盤
41 電源
43 温度調節器
45 熱電対
47 サブ熱電対
51、53 圧着スリーブ
55、57、59、61 収縮チューブ
63、65 リード線
67 オスコネクタ
69 メスコネクタ
71、73 ガラスクロス
75 中央ライン
77、79 ガラスチューブ
81 Dカン