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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157521
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】攪拌装置
(51)【国際特許分類】
   B01F 35/00 20220101AFI20221006BHJP
   B01F 27/91 20220101ALI20221006BHJP
【FI】
B01F15/00 B
B01F7/22
B01F15/00 C
B01F15/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021061799
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000002358
【氏名又は名称】新明和工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000556
【氏名又は名称】特許業務法人 有古特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松岡 司
(72)【発明者】
【氏名】渡部 剛久
【テーマコード(参考)】
4G037
4G078
【Fターム(参考)】
4G037DA21
4G037DA23
4G037DA25
4G037EA04
4G078AA13
4G078BA05
4G078CA01
4G078CA15
4G078DA19
4G078DB10
(57)【要約】
【課題】架台への取り付け及び架台からの取り外しを容易に行うことが可能な、攪拌装置を提供する。
【解決手段】本開示の一実施形態に係る攪拌装置は、流体内に配置されるプロペラと、プロペラに連結され、プロペラから上方へと延び、少なくともその一部が流体よりも上方に配置される回転軸と、回転軸と架台との間に介在する介在部と、回転軸を回転駆動するためのモータと、モータから下方に突出し回転軸と連結する出力軸と、回転軸から軸方向に直交する第1方向へと突出し、下向きの主面を有する被支持部と、を備え、介在部が架台に取り付けられる前、又は介在部が架台から取り外された後、下向きの主面が開口の少なくとも一部を塞ぐように設置された支持部の上部に当接した状態で、被支持部が支持部に支持されることを特徴とする。
【選択図】図5C
【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体を攪拌するための攪拌装置であって、
前記流体は上部に開口を有する槽内に貯えられ、前記開口の少なくとも一部を塞ぐ架台が架設され、
前記流体内に配置されるプロペラと、
前記プロペラに連結され、前記プロペラから上方へと延び、少なくともその一部が前記流体よりも上方に配置される回転軸と、
前記回転軸と前記架台との間に介在する介在部と、
前記回転軸を回転駆動するためのモータと、
前記モータから下方に突出し前記回転軸と連結する出力軸と、
前記回転軸から軸方向に直交する第1方向へと突出し、下向きの主面を有する被支持部と、を備え、
前記介在部が前記架台に取り付けられる前、又は前記介在部が前記架台から取り外された後、前記下向きの主面が前記開口の少なくとも一部を塞ぐように設置された支持部の上部に当接した状態で、前記被支持部が前記支持部に支持されることを特徴とする、攪拌装置。
【請求項2】
前記被支持部は、前記第1方向に延在する板状である、請求項1に記載の攪拌装置。
【請求項3】
クレーンのロープを連結するための連結部をさらに備え、
前記連結部は、前記回転軸のうち前記被支持部の直上から前記第1方向へと突出し、前記軸方向及び前記第1方向に直交する第2方向向きの主面を有する主部と、前記主部を前記第2方向に貫通する連結孔と、を有する、請求項1又は2に記載の攪拌装置。
【請求項4】
前記被支持部は、前記回転軸の軸方向に貫通する貫通孔を有し、前記貫通孔に挿通される固定具により前記支持部に固定される、請求項1乃至3のいずれかに記載の攪拌装置。
【請求項5】
前記被支持部を複数備え、
複数の前記被支持部は、前記回転軸の軸方向において同じ位置に設けられる、請求項1乃至4のいずれかに記載の攪拌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、攪拌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、例えば、特許文献1で提案されているような攪拌装置が知られている。
【0003】
特許文献1には、槽内の水を攪拌するための縦軸型の攪拌装置が記載されている。この攪拌装置は、水中に配置されるプロペラと、プロペラに連結され、プロペラから上方へと延び、その一部が水面から露出するように配置される回転軸と、回転軸のうち水中に浸漬する浸漬部に取り付けられるインペラと、を備える。インペラは、回転軸と一体的に回転することで、下向き又は外向きの水流を発生させ、水面から下方へと回転軸に沿って流れる水流と、水面上に回転軸の周囲から該回転軸側へと流れる水流と、を発生させるように構成される。回転軸のうち水中に浸漬する浸漬部と水面から露出する露出部との境界付近には、回転軸の回転に伴い動作する除去具が設けられる。除去具は、回転軸が回転した際に、回転軸の付近の水面に浮かぶスカムと接触し、スカムを水面から除去するように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-15705号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1のような攪拌装置により攪拌される流体は、上部に開口を有する槽内に貯えられ、前記開口の少なくとも一部を塞ぐ架台が架設される場合がある。そして、攪拌装置は、架台に取り付けられる場合があり、また、架台から取り外される場合があるが、これらの作業を行うことが困難になる場合があった。
【0006】
そこで、本開示は、架台への取り付け及び架台からの取り外しを容易に行うことが可能な、攪拌装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本開示の一実施形態に係る攪拌装置は、流体を攪拌するための攪拌装置であって、前記流体は上部に開口を有する槽内に貯えられ、前記開口の少なくとも一部を塞ぐ架台が架設され、前記流体内に配置されるプロペラと、前記プロペラに連結され、前記プロペラから上方へと延び、少なくともその一部が前記流体よりも上方に配置される回転軸と、前記回転軸と前記架台との間に介在する介在部と、前記回転軸を回転駆動するためのモータと、前記モータから下方に突出し前記回転軸と連結する出力軸と、前記回転軸から軸方向に直交する第1方向へと突出し、下向きの主面を有する被支持部と、を備え、前記介在部が前記架台に取り付けられる前、又は前記介在部が前記架台から取り外された後、前記下向きの主面が前記開口の少なくとも一部を塞ぐように設置された支持部の上部に当接した状態で、前記被支持部が前記支持部に支持されることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、前記下向きの主面が前記支持部の上部に当接した状態で、前記被支持部が、前記支持部に支持される。その結果、本開示の一実施形態に係る攪拌装置は、架台への取り付け及び架台からの取り外しを容易に行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、架台への取り付け及び架台からの取り外しを容易に行うことが可能な、攪拌装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本開示の一実施形態に係る攪拌装置が貯留槽の架台に取り付けられた様子を示す概略図である。
図2】本開示の一実施形態に係る攪拌装置の全体構成を示す概略図である。
図3】本開示の一実施形態に係る攪拌装置が備える第2シャフト及びその周辺部分を示すシャフトの軸方向に沿った断面図である。
図4】本開示の一実施形態に係る攪拌装置が備える位置決め部及びその周辺部分を示す斜視図である。
図5A】本開示の一実施形態に係る攪拌装置を架台に取り付ける作業の一例を説明するための概略図であり、貯留槽、プロペラを連結した第1シャフト、駆動部及びクレーンを準備したときの図である。
図5B】本開示の一実施形態に係る攪拌装置を架台に取り付ける作業の一例を説明するための概略図であり、架台を蓋に取り付けたときの図である。
図5C】本開示の一実施形態に係る攪拌装置を架台に取り付ける作業の一例を説明するための概略図であり、第1シャフトの位置決め部を支持部に支持させたときの図である。
図5D】本開示の一実施形態に係る攪拌装置を架台に取り付ける作業の一例を説明するための概略図であり、第1シャフトの位置決め部を支持部に固定したときの一部拡大図である。
図5E】本開示の一実施形態に係る攪拌装置を架台に取り付ける作業の一例を説明するための概略図であり、第1シャフトに駆動部を連結したときの図である。
図5F】本開示の一実施形態に係る攪拌装置を架台に取り付ける作業の一例を説明するための概略図であり、第1シャフトの位置決め部を支持部から取り外し、攪拌装置を吊り上げたときの図である。
図5G】本開示の一実施形態に係る攪拌装置を架台に取り付ける作業の一例を説明するための概略図であり、支持部を架台から取り外し、取り付け板を架台に取り付けたときの図である。
図6A】本開示の一実施形態に係る攪拌装置を架台から取り外す作業の一例を説明するための概略図であり、取り付け板を架台から取り外し、攪拌装置を吊り上げたときの図である。
図6B】本開示の一実施形態に係る攪拌装置を架台から取り外す作業の一例を説明するための概略図であり、第1シャフトの位置決め部を支持部に固定したときの図である。
図6C】本開示の一実施形態に係る攪拌装置を架台から取り外す作業の一例を説明するための概略図であり、第1シャフトから駆動部を取り外したときの図である。
図6D】本開示の一実施形態に係る攪拌装置を架台から取り外す作業の一例を説明するための概略図であり、第1シャフトの位置決め部を支持部から取り外し、プロペラを連結した第1シャフトを吊り上げたときの図である。
図7A】本開示の一実施形態に係る攪拌装置を架台に取り付ける作業の第1変形例を説明するための概略図であり、第1シャフトの位置決め部を支持部に固定したときの一部拡大図である。
図7B】本開示の一実施形態に係る攪拌装置を架台に取り付ける作業の第2変形例を説明するための概略図であり、第1シャフトの位置決め部を支持部に固定したときの一部拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の一実施形態に係る攪拌装置について図面を参照して説明する。なお、本実施形態によって本発明が限定されるものではない。また、以下では、全ての図を通じて、同一又は相当する要素には同一の参照符号を付して、その重複する説明を省略する。
【0012】
(貯留槽T)
図1は、本実施形態に係る攪拌装置が貯留槽の架台に取り付けられた様子を示す概略図である。図1に示すように、本実施形態に係る攪拌装置10は、貯留槽T(槽)内の汚水W(流体)を攪拌するために設けられる。貯留槽Tは、例えば、合併浄化槽又は排水処理槽などであっっても良いし、その他の槽であっても良い。貯留槽Tは上部に開口を有し、この開口の少なくとも一部を塞ぐために蓋Cが設けられる。蓋Cには挿通孔IHが設けられ、挿通孔IHの少なくとも一部を塞ぐように架台Fが架設される。貯留槽Tは、汚水Wの液面WSの高さ位置を一定に保つように構成されている。攪拌装置10は、架台Fに対して取り付け板98を介して取り付けられる。
【0013】
(攪拌装置10)
図1に示すように、攪拌装置10は、汚水W内に配置されるプロペラ12と、プロペラ12に連結され、プロペラ12から上方へと延び、少なくともその一部が汚水Wから露出するように配置されるシャフト20(回転軸)と、シャフト20を回転駆動するためのモータ70と、を備える。
【0014】
(シャフト20)
図2は、本実施形態に係る攪拌装置の全体構成を示す概略図である。図3は、同攪拌装置が備える第2シャフト及びその周辺部分を示すシャフトの軸方向に沿った断面図である。図2、3に示すように、シャフト20は、プロペラ12に連結される第1シャフト22と、プロペラ12とは反対側で第1シャフト22に連結される第2シャフト32と、を有する。第1シャフト22と第2シャフト32とは、互いに同軸状に連結される。
【0015】
(第1シャフト22)
第1シャフト22は、プロペラ12に連結されるシャフト主部24と、シャフト主部24と第2シャフト32との間に介在するシャフト副部26と、を有する。シャフト主部24とシャフト副部26とは、互いに同軸状に連結される。
【0016】
図3に示すように、シャフト主部24は、軸孔24cを有し、主として中空に形成される。シャフト主部24の第2シャフト32側の端部24bには、円板状のフランジ25が設けられる。また、シャフト副部26のプロペラ12側の端部26aには、シャフト主部24のフランジ25に対応するように円板状のフランジ27が設けられる。
【0017】
フランジ25、27は、例えば、互いに複数本のボルトで固定されても良い。また、該複数本のボルトそれぞれの頭部がフランジ25またはフランジ27に溶接されていても良く、その他、フランジ同士の締結に用いられる方法を用いることができる。例えばこのようにして、シャフト主部24の端部24bにシャフト副部26の端部26aが強固に連結されても良い。
【0018】
シャフト副部26のプロペラ12とは反対側の端部26bには、フランジ82が設けられる。フランジ82は、シャフト副部26の軸部から軸方向に直交する第1方向へと突出する。フランジ82は、シャフト20の軸方向において、取り付け板98と所定の間隔を空けて配置される。
【0019】
(第2シャフト32)
第2シャフト32は、シャフト副部26に連結される。具体的には、第2シャフト32のプロペラ12側の端部が、シャフト副部26の軸孔26cに挿入され、該軸孔26cの内壁にキー材44を介して連結される。なお、第2シャフト32のプロペラ12側の端部は、シャフト副部26に対してナットなどの固定具を用いて固定されても良い。第2シャフト32のプロペラ12側の端面32aは、シャフト副部26の軸孔26cのプロペラ12側の開口から露出し、シャフト主部24の軸孔24c内に位置する。第2シャフト32は、該プロペラ12側の端面32aから上方へと延び、プロペラ12とは反対側の端部32bがモータ70の出力軸72に連結される。第2シャフト32と出力軸72の連結方法は図示しないが、各種回転軸間の連結方法が採用可能である。
【0020】
上記のような構造によれば、モータ70のトルクが、第2シャフト32、シャフト副部26、シャフト主部24の順に伝達される。
【0021】
本実施形態では、攪拌装置10が、第2シャフト32の一部を内包する筒状の第1筐体40(介在部)をさらに備える。第1筐体40のプロペラ12側の端部40aには、フランジ41が設けられ、第1筐体40のプロペラ12とは反対側の端部40bには、フランジ42が設けられる。
【0022】
第1筐体40の軸孔40cには、第1筐体40内で第2シャフト32を回転可能に支持する複列円錐ころ軸受50が設けられる。なお、見た目の煩雑さを避けるため、図3において複列円錐ころ軸受50の断面は簡略化して示してある。ここで、フランジ41の下面に図1に示す取り付け板98が取り付けられる。すなわち、本実施形態では、第2シャフト32が、第1筐体40、複列円錐ころ軸受50及び取り付け板98を介して、汚水Wの上方に設けられる架台Fによって支持される。したがって、本実施形態では、第1筐体40、複列円錐ころ軸受50及び取り付け板98が、後述する第2軸部分92と架台Fとの間に介在する介在部60を構成する。
【0023】
本実施形態では、攪拌装置10が、第2シャフト32の他の一部及びモータ70の出力軸72を内包する筒状の第2筐体45をさらに備える。第2筐体45の端部45aには、フランジ46が設けられる。このフランジ46が、第1筐体40のフランジ42に対して固定される。第2筐体45の軸孔45cには、第2筐体45内で第2シャフト32を回転可能に支持する円筒ころ軸受52が設けられる。なお、見た目の煩雑さを避けるため、図3において円筒ころ軸受52の断面は簡略化して示してある。
【0024】
(位置決め部100及び第1連結部110)
図4は、本実施形態に係る攪拌装置が備える位置決め部及びその周辺部分を示す斜視図である。図4に示すように、本実施形態に係る攪拌装置10は、第1シャフト22から軸方向に直交する第1方向へと突出する2つの位置決め部100、100(被支持部)と、クレーンのロープR(図5A等参照)を連結するための2つの第1連結部110、110(連結部)をさらに備える。
【0025】
第1連結部110、110は、例えば、各々に連結されるクレーンCRのロープRの長さを調整することで、プロペラ12が連結された第1シャフト22を支持部S、S(図5C等参照)に取り付ける際に、第1シャフト22を鉛直方向に対して傾けることが可能となる。このように第1シャフト22を傾けることで、平面視において、プロペラ12が貯留槽Tに設けられた挿通孔IHよりも大きい場合に、プロペラ12を挿通孔IHに挿入することが可能となる。
【0026】
位置決め部100、100は、それぞれ、シャフト20の軸方向において同じ位置に設けられ、同シャフト20の円周方向において互いに反対側(互いから180°回転した位置)に設けられる。位置決め部100、100は、互いに同一の構造を備えるので、以下の説明では一方の位置決め部100についてのみ説明し、他方の位置決め部100についての同様となる説明は繰り返さない。
【0027】
位置決め部100は、下向きの主面102を有する。位置決め部100は、軸方向に直交する第1方向に延在する板状である。位置決め部100は、シャフト20の軸方向に貫通する2つの貫通孔104、104を有し、該貫通孔104、104それぞれに挿通されるネジ部材SC(固定具。図5D参照)により支持部S(図5C等参照)に固定される。本実施形態においては、支持部Sは公知の固定方法によって架台Fに固定される。
【0028】
第1連結部110、110は、それぞれ、シャフト20の軸方向において同じ位置に設けられ、同シャフト20の円周方向において互いに反対側(互いから180°回転した位置)に設けられる。第1連結部110、110は、互いに同一の構造を備えるので、以下の説明では一方の第1連結部110についてのみ説明し、他方の第1連結部110についての同様となる説明は繰り返さない。
【0029】
第1連結部110は、第1シャフト22のうち位置決め部100の直上から軸方向に直交する第1方向へと突出し、同軸方向及び第1方向に直交する第2方向向きの主面112を有する主部111と、該主部111を第2方向に貫通する連結孔114と、を有する。主部111は、板状であり、第1シャフト22の円周方向において、位置決め部100の2つの貫通孔104、104の間に設けられる。
【0030】
(攪拌装置10の取り付け作業の一例)
図5A~5Gに基づき、本実施形態に係る攪拌装置10の架台Fへの取り付け作業の一例について説明する。
【0031】
まず、図5Aに示すように、上部に設けられる開口の少なくとも一部が蓋Cで塞がれた貯留槽Tがあり、プロペラ12を連結した第1シャフト22と、攪拌装置10のうちプロペラ12及び第1シャフト22を除いた部分である駆動部30と、をロープRで吊り上げて移動させるためのクレーンCRを準備する。
【0032】
次に、図5Bに示すように、クレーンCRのロープRを架台Fの上部に連結し、クレーンCRにより架台Fを吊り上げて移動させ、貯留槽Tの蓋Cに設けられる挿通孔IHの少なくとも一部を塞ぐように、該架台Fを蓋Cに取り付ける。
【0033】
さらに、図5Cに示すように、クレーンCRのロープRを、プロペラ12を連結した第1シャフト22のフランジ25に連結し、クレーンCRにより第1シャフト22を吊り上げて移動させることにより、架台Fよりも下にプロペラ12、架台Fよりも上に位置決め部100と第1シャフト22の一部とが突き出た状態とする。なお、ロープRは、連結孔114に連結し第1シャフト22を吊り上げても良い。また、架台Fと位置決め部100との間には、支持部Sが入るだけの間隔を設けた状態とする。
【0034】
次に、架台Fの上部に2つの支持部S、Sを位置決め部100を下から支持できる位置に配置する。ここで支持部S、Sの下面は、それぞれ、図5Dに示すように、ネジ部材SC´により架台Fの上面に固定されても良い。
【0035】
その後、第1シャフト22を下降させることで、同図に示すように、位置決め部100は下向きの主面102が支持部S、Sの上部に当接した状態で、支持部S、Sに支持される。なお、本実施形態においては支持部Sが架台Fに支持されるように構成されているが、支持部Sを貯留槽Tの上部の開口を渡すように配置しても良いし、蓋Cの挿通孔IHを渡すように配置しても良い。
【0036】
そして、図5Dに示すように、一方の位置決め部100の貫通孔104、104それぞれにネジ部材SC(固定具)を挿通し、該ネジ部材SCにより一方の位置決め部100を一方の支持部Sに対して固定する。同様に、他方の位置決め部100の貫通孔104、104それぞれにネジ部材SC(同前)を挿通し、該ネジ部材SCにより他方の位置決め部100を他方の支持部Sに対して固定する。このようにして、下向きの主面102、102が架台Fに支持される支持部S、Sの上部に当接した状態で、位置決め部100、100が支持部S、Sに支持されることにより、プロペラ12が連結された第1シャフト22を位置決めすることが可能となる。
【0037】
次に、図5Eに示すように、クレーンCRのロープRを、駆動部30のうちモータ70の直下に設けられる2つの第2連結部120、120に連結し、クレーンCRにより駆動部30を吊り上げて移動させ、プロペラ12を連結した第1シャフト22のフランジ25に駆動部30のフランジ27を固定し、第1シャフト22に駆動部30を連結する。これにより、攪拌装置10が完成する。なお、このとき、クレーンCRのロープRを2つの第2連結部120、120に連結した状態は維持したままである。
【0038】
さらに、図5Fに示すように、支持部S,Sと架台Fとの締結を解き、クレーンCRにより攪拌装置10を吊り上げたあと、支持部S、Sを架台Fから取り外す。
【0039】
最後に、図5Gに示すように、クレーンCRにより攪拌装置10を下降させ、架台Fに取り付け板98を取り付ける。
【0040】
(攪拌装置10を架台Fに取り付ける際の作用効果)
上記したように、本実施形態では、取り付け板98が架台Fに取り付けられる前に、下向きの主面102が架台Fに支持される支持部Sの上部に当接した状態で、位置決め部100が支持部Sに支持されて位置決め可能である。これにより、図5Eに示すように、第1シャフト22のフランジ25が支持部S、Sよりも上方に位置した状態となるため、プロペラ12が連結された第1シャフト22に駆動部30を容易に連結することが可能となる。その結果、本実施形態に係る攪拌装置10は、架台Fへの取り付けを容易に行うことが可能となる。
【0041】
また、本実施形態では、位置決め部100が、シャフト20の軸方向に直交する第1方向に延在する板状であるため、位置決め部100を、簡単な構造かつ安定した状態で、支持部Sに対して位置決めすることが可能である。
【0042】
さらに、本実施形態に係る攪拌装置10は、位置決め部100の直上からシャフト20の軸方向に直交する第1方向に突出する第1連結部110を備えるので、位置決め部100と第1連結部110とが互いに補強し合い、攪拌装置10の強度を向上させることが可能となる。
【0043】
また、本実施形態では、位置決め部100が、貫通孔104、104に挿通されるネジ部材SC、SCにより支持部Sに固定されるので、プロペラ12が連結された第1シャフト22を、安定した状態で、支持部Sに対して位置決めすることが可能である。
【0044】
さらに、本実施形態に係る攪拌装置10は、2つの位置決め部100、100を備えるので、位置決め部100を1つのみ設けられる場合と比較して、プロペラ12が連結された第1シャフト22を、安定した状態で、支持部Sに対して位置決めすることが可能である。
【0045】
(攪拌装置10の取り外し作業の一例)
図6A~6Dに基づき、本実施形態に係る攪拌装置10の架台Fからの取り外し作業の一例について説明する。
【0046】
まず、図6Aに示すように、取り付け板98を架台Fから取り外したあと、クレーンCRのロープRを2つの第2連結部120、120に連結し、クレーンCRにより攪拌装置10を吊り上げた状態にする。
【0047】
次に、図6Bに示すように、架台Fの上部に2つの支持部S、Sを取り付ける。ここで、2つの支持部S、Sは、第1シャフト22を挟むように配置され、図5Dに例示したように架台Fに対して固定される。また、図6Bに示すように、クレーンCRにより攪拌装置10を下降させることにより、位置決め部100、100の下向きの主面102、102が支持部S、Sの上部に当接した状態で、位置決め部100、100が支持部S、Sに支持される。
【0048】
また、図6Bに示した状態で、図5Dに基づき説明した場合と同様に、一方の位置決め部100の貫通孔104、104それぞれにネジ部材SC(固定具)を挿通し、該ネジ部材SCにより一方の位置決め部100を一方の支持部Sに対して固定する。同様に、他方の位置決め部100の貫通孔104、104それぞれにネジ部材SC(同前)を挿通し、該ネジ部材SCにより他方の位置決め部100を他方の支持部Sに対して固定する。
【0049】
さらに、図6Cに示すように、第1シャフト22のフランジ25から駆動部30のフランジ27を取り外し、クレーンCRにより駆動部30を吊り上げた状態にする。
【0050】
最後に、図6Dに示すように、クレーンCRのロープRを、プロペラ12を連結した第1シャフト22のフランジ25に連結し、クレーンCRにより第1シャフト22を吊り上げて移動させることにより、架台Fからプロペラ12及び第1シャフト22を取り外す。ロープRは、連結孔114に連結し第1シャフト22を吊り上げても良い。また、同図に示すように、このとき架台Fから支持部S、Sも取り外す。
【0051】
(攪拌装置10を架台Fから取り外す際の作用効果)
上記したように、本実施形態では、取り付け板98が架台Fから取り外される前に、下向きの主面102が架台Fに支持される支持部Sの上部に当接した状態で、位置決め部100が支持部Sに支持されて位置決め可能である。これにより、図6Bに示すように、第1シャフト22のフランジ25が架台Fよりも上方に位置した状態となるため、プロペラ12が連結された第1シャフト22から駆動部30を容易に取り外すことが可能となる。その結果、本実施形態に係る攪拌装置10は、架台Fからの取り外しを容易に行うことが可能となる。支持部Sを架台Fに固定することでより安定的に作業を進めることが出来る。
【0052】
また、攪拌装置10を架台Fから取り外す際の他の作用効果は、上記でした攪拌装置10を架台Fに取り付ける際の作用効果と同様であるため、ここではその説明を繰り返さない。
【0053】
なお、上記のように攪拌装置10を架台Fから完全に取り外さず、図6Cに示すように駆動部30をプロペラ12が連結された第1シャフト22から取り外し、プロペラ12が連結された第1シャフト22は支持部S、Sに固定した状態のままとしても良い。これにより、取り外した駆動部30のメンテナンス作業を容易に行うことが可能となる。なお、プロペラ12が連結された第1シャフト22は、内部にゴミや水分などが侵入しないように、例えば、上部の開口を別部材で覆って養生されても良い。
【0054】
(変形例)
上記説明から、当業者にとっては、本発明の多くの改良や他の実施形態が明らかである。したがって、上記説明は、例示としてのみ解釈されるべきであり、本発明を実行する最良の態様を当業者に教示する目的で提供されたものである。本発明の精神を逸脱することなく、その構造及び/又は機能の詳細を実質的に変更できる。
【0055】
図7Aは、上記実施形態に係る攪拌装置を架台に取り付ける作業の第1変形例を説明するための概略図であり、第1シャフトの位置決め部を支持部に固定したときの一部拡大図である。なお、本変形例に係る攪拌装置10、及び該攪拌装置10を架台Fに取り付ける作業は、図5Dに基づき説明した支持部Sの構造、及び該支持部Sの架台Fへの固定態様を除き、上記実施形態と同様である。したがって、同一部分には同じ参照番号を付し、同様となる説明は繰り返さない。
【0056】
図7Aに示すように、本変形例に係る支持部S´は、下面にフランジSFを有する。そして、このフランジSFがネジ部材SC´´により架台Fの上面に固定される。このような固定態様で、支持部S´を架台Fに固定しても良い。
【0057】
図7Bは、上記実施形態に係る攪拌装置を架台に取り付ける作業の第2変形例を説明するための概略図であり、第1シャフトの位置決め部を支持部に固定したときの一部拡大図である。なお、本変形例に係る攪拌装置10、及び該攪拌装置10を架台Fに取り付ける作業は、図5Dに基づき説明した支持部S及び架台Fの構造、及び該支持部Sの架台Fへの固定態様を除き、上記実施形態と同様である。したがって、同一部分には同じ参照番号を付し、同様となる説明は繰り返さない。
【0058】
図7Bに示すように、本変形例に係る支持部S´は、上記第1変形例と同様に、下面にフランジSFを有する。また、本変形例に係る架台F´は、上面において、支持部S´のフランジSFに対応するフランジFFを有する。そして、支持部S´のフランジSFと架台FのフランジFFとが、いわゆるシャコ万力SPにより互いに固定される。このような固定態様で、支持部S´を架台F´に固定しても良い。なお、例えば、支持部S´の上面にフランジを設け、このフランジと位置決め部100の下向きの主面102とをシャコ万力SPにより互いに固定しても良い。
【0059】
上記態様では、例えば、図5Aなどに示すように、予め第1シャフト22がプロペラ12に連結された状態で準備される場合について説明した。しかし、この場合に限定されず、予めプロペラ12を貯留槽T内の底部に配置しておき、第1シャフト22をクレーンCRにより移動させ、貯留槽T内で第1シャフト22がプロペラ12に連結されても良い。
【0060】
上記態様では、シャフト20の一部が架台Fよりも上方に位置した状態で、攪拌装置10が貯留槽Tに配置される場合について説明した。しかし、この場合に限定されず、例えば、モータ70の出力軸72が架台Fよりも下方まで延び、これにより、シャフト20の全てが架台Fよりも下方に位置した状態で、攪拌装置10が貯留槽Tに配置されても良い。
【0061】
上記実施形態では、架台Fと支持部Sが別個に設けられ、該架台Fの上面と該支持部Sの下面がネジ部材SC´により互いに固定され、支持部Sの上面と位置決め部100の下向きの主面102とがネジ部材SCにより互いに固定される場合について説明した。しかし、この場合に限定されず、例えば、支持部は、架台Fとして構成されても良いし、架台Fの挿通孔IHに架設した梁として構成されても良いし、或いは、貯留槽Tの開口に架台Fを設けずに該開口に直接的に架設した梁として構成されても良い。
【0062】
上記実施形態では、被支持部が、支持部Sの上面にネジ部材SCにより固定して位置決めされる位置決め部100として構成される場合について説明した。しかし、この場合に限定されず、被支持部は、支持部に固定して位置決めされず、該支持部に支持されるだけであっても良い。
【0063】
上記実施形態では、下向きの主面102が架台Fに支持される支持部Sの上部に当接した状態で、位置決め部100が支持部Sに支持されて位置決め可能である場合について説明した。しかし、この場合に限定されず、位置決め部100及び架台Fの少なくともいずれか一方の形状などを変更することで、下向きの主面102が架台Fの上部に当接した状態で、位置決め部100が架台Fに支持されて位置決め可能であっても良い。
【0064】
上記実施形態では、位置決め部100が第1シャフト22の軸方向に直交する第1方向へと延在する板状である場合について説明した。しかし、この場合に限定されず、位置決め部100は、下向きの主面102を有する他の形状(例えば、半球状及び立方体状など)であっても良い。
【0065】
上記実施形態では、位置決め部100が2つ設けられる場合について説明した。しかし、この場合に限定されず、位置決め部100は、1つ又は3つ以上設けられても良い。
【0066】
(まとめ)
上記課題を解決するために、本開示の一実施形態に係る攪拌装置は、流体を攪拌するための攪拌装置であって、前記流体は上部に開口を有する槽内に貯えられ、前記開口の少なくとも一部を塞ぐ架台が架設され、前記流体内に配置されるプロペラと、前記プロペラに連結され、前記プロペラから上方へと延び、少なくともその一部が前記流体よりも上方に配置される回転軸と、前記回転軸と前記架台との間に介在する介在部と、前記回転軸を回転駆動するためのモータと、前記モータから下方に突出し前記回転軸と連結する出力軸と、前記回転軸から軸方向に直交する第1方向へと突出し、下向きの主面を有する被支持部と、を備え、前記介在部が前記架台に取り付けられる前、又は前記介在部が前記架台から取り外された後、前記下向きの主面が前記開口の少なくとも一部を塞ぐように設置された支持部の上部に当接した状態で、前記被支持部が前記支持部に支持されることを特徴とする。
【0067】
上記構成によれば、前記下向きの主面が前記支持部の上部に当接した状態で、前記被支持部が、前記支持部に支持される。その結果、本開示の一実施形態に係る攪拌装置は、架台への取り付け及び架台からの取り外しを容易に行うことが可能となる。
【0068】
前記被支持部は、前記第1方向に延在する板状であっても良い。
【0069】
上記構成によれば、前記被支持部を、簡単な構造かつ安定した状態で、前記支持部に対して支持させることが可能である。
【0070】
クレーンのロープを連結するための連結部をさらに備え、前記連結部は、前記回転軸のうち前記被支持部の直上から前記第1方向へと突出し、前記軸方向及び前記第1方向に直交する第2方向向きの主面を有する主部と、前記主部を前記第2方向に貫通する連結孔と、を有しても良い。
【0071】
上記構成によれば、前記被支持部と前記連結部とが互いに補強し合い、前記攪拌装置の強度を向上させることが可能となる。
【0072】
前記被支持部は、前記回転軸の軸方向に貫通する貫通孔を有し、前記貫通孔に挿通される固定具により前記支持部に固定される、
【0073】
上記構成によれば、前記被支持部を、安定した状態で、前記支持部に支持させることが可能である。
【0074】
前記被支持部を複数備え、複数の前記被支持部は、前記回転軸の軸方向において同じ位置に設けられても良い。
【0075】
上記構成によれば、前記被支持部が1つのみ設けられる場合と比較して、前記被支持部を、安定した状態で、前記支持部に支持させることが可能である。
【符号の説明】
【0076】
10 攪拌装置
12 プロペラ
20 シャフト(回転軸)
22 第1シャフト
24 シャフト主部
26 シャフト副部
30 駆動部
32 第2シャフト
40 第1筐体(筐体)
44 スペーサ
45 第2筐体
50 複列円錐ころ軸受
52 円筒ころ軸受
60 介在部
70 モータ
72 出力軸
82 フランジ
85 落下防止部
90 破断予想部分
98 取り付け板
100 位置決め部
102 下向きの主面
104 貫通孔
110 第1連結部(連結部)
111 主部
112 主面
114 連結孔
120 第2連結部
C 蓋
F 架台
S 支持部
IH 挿通孔
T 貯留槽
SC ネジ部材(固定具)
W 汚水(流体)
WS 液面
CR クレーン
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図5C
図5D
図5E
図5F
図5G
図6A
図6B
図6C
図6D
図7A
図7B