(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022015755
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】配線基板
(51)【国際特許分類】
H05K 1/11 20060101AFI20220114BHJP
H01L 23/12 20060101ALI20220114BHJP
H05K 3/40 20060101ALI20220114BHJP
H05K 1/02 20060101ALI20220114BHJP
H05K 3/38 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
H05K1/11 N
H01L23/12 F
H05K3/40 K
H05K1/02 J
H05K3/38 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020118810
(22)【出願日】2020-07-09
(71)【出願人】
【識別番号】000000158
【氏名又は名称】イビデン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】特許業務法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】大野 功
(72)【発明者】
【氏名】台蔵 外茂也
(72)【発明者】
【氏名】澤田 曜志
(72)【発明者】
【氏名】倉信 和彦
【テーマコード(参考)】
5E317
5E338
5E343
【Fターム(参考)】
5E317AA25
5E317BB02
5E317BB03
5E317BB12
5E317BB13
5E317BB15
5E317CC32
5E317CC33
5E317CD12
5E317GG03
5E338AA03
5E338CD32
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5E343AA02
5E343AA12
5E343BB24
5E343BB44
5E343BB71
5E343CC62
5E343DD33
5E343DD43
5E343ER11
5E343FF16
5E343GG03
5E343GG20
(57)【要約】
【課題】剥離などの不良が抑制される信頼性が高い配線基板の提供。
【解決手段】実施形態の配線基板10は、樹脂絶縁層101と、樹脂絶縁層101上に形成された導体パッド102pと、樹脂絶縁層101及び導体パッド102pを被覆する被覆絶縁層103と、導体パッド102p上に接続され被覆絶縁層103から突出する金属ポスト104と、を備える。金属ポスト104と導体パッド102pとが接続する部分の周縁には、被覆絶縁層103が金属ポスト104と導体パッド102pとの間に介在する介在部103iが形成されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂絶縁層と、前記樹脂絶縁層上に形成された導体パッドと、前記樹脂絶縁層及び前記導体パッドを被覆する被覆絶縁層と、前記導体パッド上に接続され前記被覆絶縁層から突出する金属ポストと、を備える配線基板であって、
前記金属ポストと前記導体パッドとが接続する部分の周縁には、前記被覆絶縁層が前記金属ポストと前記導体パッドとの間に介在する介在部が形成されている。
【請求項2】
請求項1記載の配線基板であって、前記導体パッドの前記金属ポストと接続する側の面は、前記金属ポスト側へ向かって隆起している。
【請求項3】
請求項1記載の配線基板であって、前記導体パッドの前記金属ポストと反対側には、前記樹脂絶縁層を貫通するビア導体が接続されている。
【請求項4】
請求項1記載の配線基板であって、前記導体パッドと前記金属ポストとは、同種の金属材料を含んでいる。
【請求項5】
請求項2記載の配線基板であって、前記導体パッドの前記金属ポスト側へ向かって隆起している部分の頂点は、前記金属ポストと接続している。
【請求項6】
請求項1記載の配線基板であって、前記介在部は、前記金属ポストの側面側から中央側に向かうに従って幅が小さくなる形状を有している。
【請求項7】
請求項1記載の配線基板であって、前記金属ポストの前記被覆絶縁層によって被覆される面は、粗面に形成されている。
【請求項8】
請求項7記載の配線基板であって、前記金属ポストの前記被覆絶縁層によって被覆される面と、前記導体パッドの前記被覆絶縁層によって被覆される面とは、略等しい表面粗さを有する粗面に形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は配線基板に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、配線層上に形成された金属ポストを有する配線基板が開示されている。金属ポストは配線層を覆うソルダーレジスト層の上面から突出している。金属ポストの基端側の面の全体は配線層と接続している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の配線基板では、ソルダーレジスト層(被覆絶縁層)が金属ポスト及び配線層(導体パッド)と接する領域は比較的小さく、ソルダーレジスト層と金属ポスト及び配線層との密着を良好に確保し得ないと考えられる。金属ポストなどにかかる外力に応じて、ソルダーレジスト層の金属ポスト及び配線層からの剥離が生じる虞があると考えられる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の配線基板は、樹脂絶縁層と、前記樹脂絶縁層上に形成された導体パッドと、前記樹脂絶縁層及び前記導体パッドを被覆する被覆絶縁層と、前記導体パッド上に接続され前記被覆絶縁層から突出する金属ポストと、を備えている。前記金属ポストと前記導体パッドとが接続する部分の周縁には、前記被覆絶縁層が前記金属ポストと前記導体パッドとの間に介在する介在部が形成されている。
【0006】
本発明の実施形態によれば、金属ポスト及び導体パッドと被覆絶縁層との密着性が良く、剥離などの不良の発生が抑制される信頼性の高い配線基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の一実施形態の配線基板の一例を部分的に示す断面図。
【
図3】
図2に示される配線基板の異なる例を示す断面図。
【
図4A】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法を示す断面図。
【
図4B】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法を示す断面図。
【
図4C】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法を示す断面図。
【
図4D】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法を示す断面図。
【
図4E】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法を示す断面図。
【
図4F】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法を示す断面図。
【
図4G】本発明の一実施形態の配線基板の製造方法を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
次に、図面を参照しながら本発明の一実施形態である配線基板について説明する。なお、以下、参照される図面においては、各構成要素の寸法の正確な比率を示すことは意図されておらず、理解され易いように本発明の特徴が強調されて描かれている。
図1には、本実施形態の配線基板の一例である配線基板10の断面が部分的に示されている。配線基板10は、交互に積層される絶縁層及び導体層で形成されており、
図1にはその一部の樹脂絶縁層101、被覆絶縁層103及び導体層102が示されている。図示される配線基板10の片方の面Fは、半導体素子などの外部の電子部品が搭載される部品搭載面として形成されている。
図1に示される、配線基板10の部品搭載面Fは、被覆絶縁層103、及び、被覆絶縁層103から突出する金属ポスト104の表面から構成されている。
【0009】
なお、本実施形態の配線基板10の説明では、配線基板10を構成する各要素の部品搭載面F側、すなわち紙面における上側を「上側」又は単に「上」と称し、反対側を「下側」又は単に「下」と称する。従って、各要素における上側の端部は「上端」とも称され、下側の端部は「下端」とも称される。
【0010】
図1では、配線基板10が有する複数の樹脂絶縁層101及び導体層102のうち、部品搭載面F側の3層が図示されている。実施形態の配線基板は、1又は2層以上の樹脂絶縁層101、及び、1又は2層以上の導体層102を有しており、配線基板10が有する樹脂絶縁層101及び導体層102の層数は特に限定されず、適宜増減され得る。配線基板10がより多くの導体層を含むことにより、配線基板10の平面サイズを大きくすることなく、より規模が大きく複雑な電気回路が配線基板10内に形成され得る。
【0011】
導体層102は樹脂絶縁層101に接して任意の導体パターンを有している。導体層102は、樹脂絶縁層101を貫通して形成されているビア導体112を介して樹脂絶縁層101の反対側の導体層102と電気的に接続される。図示の例では、各ビア導体112は部品搭載面Fから反対側に向かって縮径するテーパー形状を有しているが、ビア導体112の形状はこれに限定されない。部品搭載面Fに向かって縮径する形状であってもよく、また、樹脂絶縁層101の厚さ方向において同径で導体層102に対して略直交する円柱形状に形成されてもよい。なお、便宜上、「縮径」という文言が用いられているが、ビア導体112の開口形状は必ずしも円形に限定されない。「縮径」は、単に、ビア導体112の水平断面における外周上の最長の2点間の距離が小さくなることを意味している。
【0012】
図示される3層の導体層102のうち最も部品搭載面Fの近くに形成される導体層102は、導体パッド102pを含んでいる。導体パッド102pは、その上に形成される金属ポスト104を介して、半導体素子などの外部の電子部品が有する接続用のパッドと電気的に接続される。金属ポスト104は、導体パッド102p及び樹脂絶縁層101の表面上を覆うように形成されている被覆絶縁層103から部品搭載面F側に突出している。
【0013】
図示される例の配線基板10が有する金属ポスト104は、導体パッド102pと接続する下端(基端)側から、反対側の上端側(部品搭載面F側)に向けて縮径している。金属ポスト104が基端側から上端側に向かって縮径していることで、基端側での導体パッド102pとの接続面積が良好に確保されつつ、隣接する金属ポスト104の上端同士の過剰な近接が抑制され得る。複数の金属ポスト104間でのショートなどの不良の発生が抑制されることがある。しかしながら、金属ポスト104の形状はこれに限定されない。金属ポスト104は基端側から上端側に向かって略同径に形成されてもよい。ビア導体112と同様に、金属ポスト104の水平方向の断面形状は円形に限定されない。
【0014】
配線基板10の樹脂絶縁層101は、エポキシ樹脂等の任意の絶縁性樹脂を用いて形成される。ポリイミド樹脂、BT樹脂(ビスマレイミド-トリアジン樹脂)、ポリフェニレンエーテル樹脂、フェノール樹脂等も用いられ得る。樹脂絶縁層101はシリカなどの無機フィラーを含んでいてもよい。図示される例の配線基板10においては、樹脂絶縁層101は芯材を含んでいないが、必要に応じてガラス繊維やアラミド繊維などの芯材を含んでもよい。芯材を含むことで配線基板10の強度が向上し得る。複数の樹脂絶縁層101は、それぞれ異なる材料で構成されてもよく、全てが同じ材料で形成されてもよい。
【0015】
導体層102は、銅やニッケルなど、適切な導電性を有する任意の材料を用いて形成され得る。導体層102は、例えば、金属膜層(好ましくは無電解銅めっき膜層)もしくは電解めっき膜層(好ましくは電解銅めっき膜層)、又はこれらの組み合わせによって形成される。図示の例では、金属膜層102n及び電解めっき膜層102eの2層構造で形成されている。しかし、配線基板10を構成する各導体層102の構成は、
図1に例示される多層構造に限定されない。導体層102は、例えば、金属箔層、金属膜層、及び電解めっき膜層の3層構造で構成されてもよい。
【0016】
ビア導体112は、
図1に示されるように、導体層102を構成している金属膜層102n及び電解めっき膜層102eと一体的に形成され得る。図示の例では、ビア導体112は導通用孔112h内を充填するいわゆるフィルドビアであり、導通用孔112h内の底面及び側面を被覆する金属膜層と電解めっき膜層とで構成されている。
【0017】
被覆絶縁層103は任意の絶縁性の樹脂材料を用いて形成される。被覆絶縁層103は、例えば、感光性のポリイミド樹脂やエポキシ樹脂等を用いて形成される。被覆絶縁層103は、導体パッド102pと、導体パッド102p上に形成される金属ポスト104の側面の一部と、複数の導体パッド102pの間に露出する樹脂絶縁層101の表面とを覆っている。被覆絶縁層103はソルダーレジスト層であり得る。
【0018】
金属ポスト104は、例えば、銅、又は、ニッケルを用いて形成される。金属ポスト104は、詳しくは後述するように、導体パッド102p上に任意の金属材料の電解めっきが施されることで形成され得る。金属ポスト104が、導体パッド102pが含む金属と同種の金属材料を含むことで、導体パッド102pと金属ポスト104との接続性が向上することがある。金属ポスト104の上端には、図示しない保護層が形成されてもよい。例えば、Ni/Sn、Ni/Pd/Auなどからなる保護層が設けられる。保護層はNi/Au、又はSnにより形成されてもよい。OSP膜が形成されてもよい。
【0019】
図2には、
図1において一点鎖線で囲われる部分IIの拡大図が示されている。
図2に示されるように、配線基板10が有する金属ポスト104は、基端側の導体パッド102pと接続する部分の周縁で、楔状の被覆絶縁層103によって導体パッド102pから分離されている。すなわち、金属ポスト104と導体パッド102pとが接続する部分の周縁では、金属ポスト104と導体パッド102pとの隙間に被覆絶縁層103が介在している。この、被覆絶縁層103の、金属ポスト104と導体パッド102pとの間に入り込んでいる楔状の部分は、介在部103iと称される。
【0020】
図2において介在部103iは、点104op、点104ip、及び点104epを結ぶ領域である。点104opは、金属ポスト104の側面における基端側の角部である。点104epは、金属ポスト104の側面に沿う延長線と導体パッド102pの表面との交点である。点104ipは、金属ポスト104と導体パッド102pとの間に入り込む楔状の部分の先端であり、金属ポスト104と導体パッド102pとが接続する部分の周縁に対応している。介在部103iは、金属ポスト104の側面側(点104op、104ep側)から、中央側(点104ip側)に向かって先細る形状、すなわち幅が小さくなる形状を有している。金属ポスト104の基端側の角部である点104opと点104epとを結ぶ線の長さは、被覆絶縁層103の上側の表面における金属ポスト104との接触点103upと点104opとを結ぶ線の長さよりも短い。具体的には、点104opと点104epとを結ぶ線の長さは、点103upと点104opとを結ぶ線の長さの0.2倍以下である。換言すると、介在部103iは、金属ポスト104の被覆絶縁層103に被覆されている部分の厚さの0.2倍以下の厚さを有している。
【0021】
介在部103iは、金属ポスト104と導体パッド102pとの間にかかる応力を効果的に分散させ得る。金属ポスト104と導体パッド102pとが接続する部分近傍での剥離やクラックなどの不良の発生が効果的に抑制され得る。また、介在部103iによって、被覆絶縁層103と金属ポスト104との密着領域、及び、被覆絶縁層103と導体パッド102pとの密着領域が大きくされる。従って、被覆絶縁層103と金属ポスト104との密着性、及び、被覆絶縁層103と導体パッド102pとの密着性が向上する。剥離の発生が抑制され得る。特に、図示されるように、金属ポスト104が導体パッド102p側から反対側に向かって縮径する形状を有する場合には、導体パッド102pと被覆絶縁層103との密着する領域が比較的小さい場合がある。この場合においても、介在部103iがあることにより、導体パッド102pと被覆絶縁層103との望ましい密着性が提供され得る。
【0022】
図示の例において、導体パッド102pの、金属ポスト104と接続する側(上側)の面は、金属ポスト104に向かって隆起している。すなわち、導体パッド102pの上側の面は、金属ポスト104側に向かって凸になるように湾曲している。導体パッド102pの、金属ポスト104との接続面が湾曲することで広い接続面積が確保され、導体パッド102pと金属ポスト104との接続信頼性が向上し得る。また、導体パッド102pと金属ポスト104との接続する部分の応力緩和の観点からも、導体パッド102pが隆起し、導体パッド102pと金属ポスト104と広い接続面積が確保されていることが好ましい。この接続信頼性の向上の観点から、導体パッド102pの隆起している部分の頂点(樹脂絶縁層101から最も遠い点)は、金属ポスト104と接続されていることが好ましく、さらに好ましくは、頂点が接続面の中央近傍に位置していることが好ましい。より効果的に応力が緩和され、導体パッド102pと金属ポスト104との接続信頼性がさらに向上し得る。
【0023】
なお、
図2に示される導体パッド102pの、金属ポスト104との接続面の反対側はビア導体112と接続している。この構成が、導体パッド102pと樹脂絶縁層101との間での剥離の抑制の観点から好ましいことがある。電子部品の搭載時などの、金属ポスト104にかかる外力に起因して導体パッド102pにかかる応力がビア導体112で分散され、導体パッド102pと樹脂絶縁層101との界面への応力集中が抑制され得る。しかし、導体パッド102pは必ずしもビア導体112と接続されずともよい。
【0024】
図3には、
図2に示される金属ポスト104の形状と異なる金属ポスト104を有する配線基板10の部分拡大図が示されている。図示される金属ポスト104の上端側の面は、導体パッド102pの隆起形状に対応して隆起している。金属ポスト104の上端面がこのような隆起形状を有することで、金属ポスト104と電子部品などの接続パッドと間での接続信頼性が向上することがある。金属ポスト104と電子部品の接続パッドなどとの間に介在する、はんだなどの接続部材との接合性が向上し得る。このような金属ポスト104の隆起形状は、導体パッド102pの隆起の形状、及び、導体パッド102p上に施される電解めっきの条件などを調整することによって形成され得る。
【0025】
上述の、金属ポスト104とはんだなどの接続部材との接合性、及び、被覆絶縁層103と金属ポスト104及び導体パッド102pとの密着性の観点から、金属ポスト104及び導体パッド102pの表面は、図示のように粗面に形成されていることが望ましい。例えば、金属ポスト104及び導体パッド102pの表面には共通の粗面化処理が施され、金属ポスト104及び導体パッド102pの表面は、略等しい表面粗さを有する粗面に形成され得る。被覆絶縁層103と金属ポスト104及び導体パッド102pとの密着性が向上し得る。
【0026】
以下に、
図1に示される配線基板10を製造する方法が、
図4A~4Gを参照しながら説明される。
図4A~4Gにおいては、
図1と同様に、配線基板10の全体は図示されず、金属ポスト104が形成される部品搭載面F側の部分的な断面のみが図示される。なお、以下の説明においても、各要素において、配線基板10の部品搭載面Fとなる側(紙面における上側)を「上」又は「上側」と称し、「外側」又は単に「外」とも称する。
【0027】
先ず、
図4Aに示されるように、最外の樹脂絶縁層101の積層までが完了した配線基板10pが準備される。配線基板10pは、複数の絶縁層及び導体層が積層されるビルドアップ方式による一般的な配線基板の製造方法により製造される。
【0028】
次に、
図4Bに示されるように、配線基板10pの最外の樹脂絶縁層101の、ビア導体112の形成箇所に対応する位置に、樹脂絶縁層101を貫通する導通用孔112hが形成される。導通用孔112hは、例えば炭酸ガスレーザー、又は、YAGレーザーなどのレーザー光の照射によって穿孔される。そして、導通用孔112hの内側及び樹脂絶縁層101の表面の全体に亘って、例えば無電解めっきによって、無電解銅めっき膜層である金属膜層102nが形成される。
【0029】
続いて、金属膜層102n上に電解めっき用のめっきレジスト102rが形成される。めっきレジスト102rは、例えば、アクリル樹脂などを含むドライフィルムレジストを用いて形成される。めっきレジスト102rは、配線基板10の最外の導体層102が有するべき、導体パッド102pを含む導体パターンに応じた、開口102rhを有するように形成される。適切な開口パターンを有するマスクを用いた露光及び現像によるフォトリソグラフィを用いて形成され得る。
【0030】
次に、
図4Cに示されるように、金属膜層102nをシード層として用いた電解めっきにより、最外の樹脂絶縁層101の導通用孔112hの内部、及び、めっきレジスト102rの開口102rhの内部が充填される。ビア導体112、及び、導体パッド102pが形成される。この金属膜層102nをシード層とする電解めっきの条件(温度、電流密度、めっき時間など)が適切に調整されることにより、上側に向かって隆起する導体パッド102pが得られる。導体パッド102pの形成後には、めっきレジスト102rは除去される。
【0031】
次に、
図4Dに示されるように、めっきレジスト102rの除去により露出する金属膜層102n上及び導体パッド102p上に、金属ポスト104形成用のレジスト層104rが形成される。レジスト層104rは、例えば、アクリル樹脂などを含む感光性のドライフィルムレジストを用いて形成される。レジスト層104rには、金属ポスト104形成用の開口104rhが形成される。開口104rhの形成には、フォトリソグラフィが用いられる。レジスト層104rに用いる樹脂材料の光透過性、フォトリソグラフィにおけるフォトマスクの開口形状、及び、露光条件などを適切に調整することで、レジスト層104rに、楔状の部分104riが形成される。この楔状の部分104riは、配線基板10が完成した段階における介在部103iの形状を画定する。
【0032】
続いて、レジスト層104rの開口104rhの内面に、金属膜層102nを給電層として利用する電解めっきが施されることにより、金属ポスト104が形成される。金属ポスト104の形成に用いられる電解めっきは、例えば、電解銅めっき、又は、電解ニッケルめっきである。電解めっきによって形成されるめっき層は、開口104rhの底面である導体パッド102pの表面から上方に向かって、いわゆるボトムアップで成長する。
【0033】
開口104rh内の所望の位置まで充填した状態で電解めっきは終了し、金属ポスト104の形成が完了する。なお、金属ポスト104の上側の面(上端面)の形状は、導体パッド102pの金属ポスト104と接する表面の形状、及び、電解めっきの条件などにより変化し得る。これらを適切に調整することで、上端面が隆起する形状の金属ポスト104も形成され得る。金属ポスト104の上端面には、必要に応じて、Ni/Sn、Au、Ni/Au、又はNi/Pd/Au、などからなる表面保護膜(図示せず)が形成され得る。
【0034】
次に、
図4Eに示されるように、レジスト層104rが除去される。レジスト層104rの除去によって露出する金属膜層102nはエッチングにより除去される。導体パッド102p及び金属ポスト104が完全に露出すると共に、複数の導体パッド102pの間から樹脂絶縁層101の表面が露出する。レジスト層104rの除去により楔状の部分104riも除去され、金属ポスト104と導体パッド102pとの接続部分の周縁に、部分104riと同形の隙間が形成される。続く工程で金属ポスト104と導体パッド102pを被覆する被覆絶縁層103との密着性を向上させるために、露出した金属ポスト104及び導体パッド102pの表面には粗面化処理が施されてもよい。
【0035】
次いで、
図4Fに示されるように、複数の導体パッド102pの間から露出する樹脂絶縁層101の表面、導体パッド102p、及び金属ポスト104を被覆するように、被覆絶縁層103が形成される。被覆絶縁層103は、導体パッド102p及び金属ポスト104を完全に被覆する。これにより、金属ポスト104は被覆絶縁層103に埋没した状態となる。
【0036】
被覆絶縁層103の形成において、被覆絶縁層103を構成する樹脂材料は、上述の部分104riと同形の隙間に入り込み、金属ポスト104と導体パッド102pとの間に介在する介在部103iを形成する。
【0037】
次いで、
図4Gに示されるように、被覆絶縁層103の厚さ方向における一部分が除去され、金属ポスト104の一部が被覆絶縁層103から露出する。金属ポスト104が被覆絶縁層103から上側に突出する状態となる。被覆絶縁層103の厚さ方向における部分的な除去には、例えば、CF4又はCF4+O2によるプラズマエッチングなどのドライプロセスが用いられ得る。また、ブラスト処理により被覆絶縁層103の厚さ方向の一部が除去されて金属ポスト104の露出が行われてもよい。以上の工程により、
図1に示される配線基板10が完成する。金属ポスト104の被覆絶縁層103から露出する部分には、耐熱性プリフラックスなどからなる表面保護膜(図示せず)が形成されてよい。
【0038】
実施形態の配線基板10の製造においては、
図4Cに示される導体パッド102pの形成に続くめっきレジスト102rの除去後に、上述の工程とは異なる工程を経て配線基板10が製造されてもよい。異なる工程を経る場合、金属膜層102n上にレジスト層104rが形成されずに、めっきレジスト102rの除去に続いて、導体パッド102pの間から露出する金属膜層102nも除去される。金属膜層102nの除去により露出する樹脂絶縁層101の表面及び導体パッド102p上に被覆絶縁層103が形成される。
【0039】
例えばソルダーレジストとなる被覆絶縁層103は、樹脂絶縁層101の表面及び導体パッド102pを被覆する。レジスト層104rが被覆されてその開口104rh内に金属ポスト104が形成される場合と同様に、被覆絶縁層103に導体層102を露出させる開口が露光及び現像により形成される。この露光及び現像によって、介在部103iが形成される。
【0040】
次いで、被覆絶縁層103に形成された開口内に無電解めっきにより金属ポスト104が形成される。この場合、金属ポスト104の形成においては、無電解めっきに先行して、開口内にめっき析出用の触媒層が形成され得る。触媒層には、例えば、パラジウム(Pd)、金(Au)、白金(Pt)、又はルテニウム(Ru)などの金属が用いられ得る。触媒層の付与状態などによって、無電解めっき層は開口内にのみ形成され金属ポスト104が形成される。金属ポスト104の形成に次いで、被覆絶縁層103の厚さ方向の一部が除去される。金属ポスト104が部分的に被覆絶縁層103から露出し、上側に突出する。配線基板10の形成が完了する。
【0041】
実施形態の配線基板は、各図面に例示される構造や、本明細書において例示された構造や材料を備えるものに限定されない。例えば、部品搭載面Fに最も近い導体層102には、導体パッド102pの他にも異なる導体パターンが含まれ得る。また、実施形態の配線基板の製造方法は、各図面を参照して説明された方法に限定されず、その条件や順序などは適宜変更され得る。現に製造される配線基板の構造に応じて、一部の工程が省略されてもよく、別の工程が追加されてもよい。
【符号の説明】
【0042】
101 樹脂絶縁層
102 導体層
103 被覆絶縁層
103i 介在部
104 金属ポスト
112 ビア導体
112h 導通用孔
102n 金属膜層
102e 電解めっき膜層
102p 導体パッド
102r めっきレジスト
102rh 開口
104r レジスト層
104rh 開口