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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157550
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】浴室の排水口構造
(51)【国際特許分類】
   E03C 1/262 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
E03C1/262 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021061836
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】501362906
【氏名又は名称】積水ホームテクノ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100085556
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 昇
(74)【代理人】
【識別番号】100115211
【弁理士】
【氏名又は名称】原田 三十義
(74)【代理人】
【識別番号】100153800
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 哲巳
(72)【発明者】
【氏名】宮本 寛希
【テーマコード(参考)】
2D061
【Fターム(参考)】
2D061DA01
2D061DE03
2D061DE10
2D061DE13
(57)【要約】
【課題】浴室床の排水口構造の指掛かり隙間に手の指や足の指が嵌り込むのを防止する。
【解決手段】浴室床2の排水口11を有する排水凹部10に排水蓋20を着脱可能に設ける。排水蓋20の外縁部に指掛かり部23を形成し、指掛かり部23と排水凹部10の内周面との間に指掛かり隙間9gを形成する。指掛かり隙間の大きさD9gを8mm未満とする。
【選択図】図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
浴室床に形成された排水凹部と、
前記排水凹部に開口された排水口と、
前記排水凹部に着脱可能に設けられた排水蓋と、
を備え、前記排水蓋の外縁部に指掛かり部が形成され、前記指掛かり部と前記排水凹部の内周面との間に指掛かり隙間が形成され、前記指掛かり隙間の大きさが8mm未満であることを特徴とする浴室の排水口構造。
【請求項2】
前記指掛かり部の厚みが、前記排水凹部の内周面とは反対の基端部へ向かって増大されていることを特徴とする請求項1に記載の浴室の排水口構造。
【請求項3】
前記排水蓋が、前記排水凹部の上面開口に嵌る蓋板と、前記蓋板の外縁から下へ突出されて前記排水凹部の内周面に沿う蓋周壁とを有し、前記蓋周壁の前記指掛かり部と対応する部分には、底面視で凹んだ凹壁部が形成され、前記指掛かり部が前記凹壁部から外方へ突出されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の浴室の排水口構造。
【請求項4】
請求項1~3の何れか1項に記載の排水口構造を有する浴室であって、
前記排水口構造が、洗い場パンにおける浴槽側の縁部の中間部に配置され、
前記浴槽を受ける浴槽パン上には、複数の床ボードが、前記浴槽側の縁部に沿う浴室幅方向へ並べられて敷設され、かつ前記中間部を挟んで隣接する2つの床ボードどうしの間にはボード間隙間が形成されており、
前記排水凹部の浴槽側の周側部には、前記ボード間隙間に連なる連通開口が形成され、
前記排水蓋の浴槽側端部が、前記ボード間隙間に嵌っていることを特徴とする浴室。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、浴室の排水口構造に関し、特に、排水蓋を取り外すための指掛かり隙間を有する排水口構造に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、浴室における洗い場などの浴室床には、湯水を排水するための排水凹部が設けられ、排水凹部の凹底面に排水口が形成されている。排水凹部には、排水口に被さるように排水蓋が嵌められている。特許文献1、2の排水蓋においては、縁部の所定箇所に平面視で半円状に凹む指掛かり部が形成されている。該指掛かり部と排水凹部の内周面との間に指掛かり隙間が形成されている。指掛かり隙間に指を引っ掛けることで、排水蓋を取り出すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2012-072574号公報
【特許文献1】実用新案登録第2518600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の指掛かり隙間の大きさは8mm以上であったために、例えば足の指が嵌り込んで躓きやすくなったり、手の指が嵌り込んで抜けにくくなったりすることがある。
本発明は、かかる事情に鑑み、浴室床の排水口構造の指掛かり隙間に手の指や足の指が嵌り込むのを防止して安全性を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するため、本発明に係る浴室の排水口構造は、
浴室床に形成された排水凹部と、
前記排水凹部に開口された排水口と、
前記排水凹部に着脱可能に設けられた排水蓋と、
を備え、前記排水蓋の外縁部に指掛かり部が形成され、前記指掛かり部と前記排水凹部の内周面との間に指掛かり隙間が形成され、前記指掛かり隙間の大きさが8mm未満であることを特徴とする。
【0006】
湯水は、浴室床から排水凹部に入り込んで排水口から排水される。排水蓋を排水凹部に被せることで、浴室の美観を確保できるとともに、入浴者等の足が排水凹部に嵌るのを防止できる。
指掛かり隙間の大きさが8mm未満であるため、入浴者等の足の指が嵌り込んで躓きやすくなるのを防止できる。
排水蓋を取り外す際は、指掛かり部に指を掛けて持ち上げる。指掛かり隙間の大きさが8mm未満であるため、指が指掛かり隙間に深く入り込むのを防止でき、排水凹部の内周面と排水蓋との間に指を挟み付けたり、指が指掛かり隙間から抜けにくくなったりするのを防止できる。これによって、排水蓋を容易に取り外すことができる。
【0007】
前記指掛かり部の厚みが、前記排水凹部の内周面とは反対の基端部へ向かって増大されていることが好ましい。
これによって、指掛かり部の所要強度を確保できる。一方、指掛かり部における前記排水凹部の内周面を向く先端部を薄肉にすることで、指を掛けやすくでき、排水蓋を一層容易に取り外すことができる。
【0008】
前記排水蓋が、前記排水凹部の上面開口に嵌る蓋板と、前記蓋板の外縁から下へ突出されて前記排水凹部の内周面に沿う蓋周壁とを有し、前記蓋周壁の前記指掛かり部と対応する部分には、底面視で凹んだ凹壁部が形成され、前記指掛かり部が前記凹壁部から外方へ突出されていることが好ましい。
これによって、指を指掛かり部に掛けやすくなり、排水蓋を一層容易に取り外すことができる。また、指掛かり部の支持強度を確保できる。
【0009】
前記排水口構造を有する浴室においては、
前記排水口構造が、洗い場パンにおける浴槽側の縁部の中間部に配置され、
前記浴槽を受ける浴槽パン上には、複数の床ボードが、前記浴槽側の縁部に沿う浴室幅方向へ並べられて敷設され、かつ前記中間部を挟んで隣接する2つの床ボードどうしの間にはボード間隙間が形成されており、
前記排水凹部の浴槽側の周側部には、前記ボード間隙間に連なる連通開口が形成され、
前記排水蓋の浴槽側端部が、前記ボード間隙間に嵌っていることが好ましい。
これによって、排水蓋が、床ボード間の間隔保持スペーサ、及び床ボードのストッパーとしても機能することで、ボード間隙間の幅を確保したり、床ボードのがたつきを抑えたりすることができる。また、床ボード上に人が乗った状態で、床ボードが不意に浴室幅方向へ動くのを阻止できる。
使用済の湯水は、ボード間隙間、連通開口、排水凹部を順次経て、排水口から排水される。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、浴室床の排水口構造の指掛かり隙間に手の指や足の指が嵌り込むのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る浴室の平面図である。
図2図2は、図1に現れた排水口構造の平面図である。
図3図3は、図2のIII-III線に沿う断面図である。
図4図4は、前記排水口構造の排水蓋の斜視図である。
図5図5は、前記排水蓋の底面図である。
図6図6は、図5のVI-VI線に沿う断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の実施形態を図面にしたがって説明する。
図1に示すように、浴室1は、同図において二点鎖線にて示す浴槽1aと、浴室床2と、排水口構造9を備えている。浴室床2は、洗い場パン3と、浴槽パン4と、敷設体5を含む。洗い場パン3の奥側(図1において右側)に浴槽パン4が配置されている。
【0013】
敷設体5は、複数(図では4つ)の床ボード5aによって構成されている。これら床ボード5aが、浴室幅方向へ並べられて、浴槽パン4上に敷設されている。床ボード5a上に浴槽1aが載置されている。浴槽パン4は、床ボード5aからなる敷設体5を介して、浴槽1aを受けている。
【0014】
浴槽パン4における浴室幅方向の中間部を挟んで隣接する2つの床ボード5aは、互いに離間されており、これら2つの床ボード5aどうしの間にボード間隙間5cが形成されている。浴槽パン4における浴室幅方向の中間部が、ボード間隙間5cを介して露出されている。
【0015】
図1に示すように、洗い場パン3における浴槽側の縁部3eは、浴室幅方向(同図において上下)へ延びている。該浴槽側の縁部3eの中間部には、排水口構造9が配置されている。
【0016】
図2及び図3に示すように、排水口構造9は、排水凹部10と、排水口11と、排水蓋20によって構成されている。排水凹部10は、洗い場パン3ひいては浴室床2から凹むとともに平面視で概略U字状に形成されている。排水凹部10の平面視半円状の部分が、浴室奥行方向の手前側(図2において左側)へ向けられている。排水凹部10における前記平面視半円状の部分とは反対側(図2において右側)すなわち浴槽側の周側部は、開放されることによって、連通開口13が形成されている。該連通開口13が、ボード間隙間5cと連通している。図3に示すように、連通開口13の底面13bは、浴槽パン4の上面と面一に連続している。
なお、詳細な図示は省略するが、連通開口13の底面13bと浴槽パン4との継ぎ目、さらには洗い場パン3と浴槽パン4との継ぎ目には、止水処理が施されている。
【0017】
図3に示すように、排水凹部10の中央の凹底面10bに排水口11が開口されている。
排水凹部10の内周面の中間高さには、蓋係止段差12が形成されている。
【0018】
図4に示すように、排水蓋20は、蓋板21と、蓋周壁22を有している。蓋板21は、排水凹部10の平面視形状に合わせた半円状に形成されている。図2に示すように、蓋板21の上面には、例えば格子状のパターン21bが形成されている。パターン21bの態様は、格子状に限らず、適宜改変できる。パターン21bが無くてもよい。
【0019】
図3及び図4に示すように、蓋周壁22は、蓋板21の外縁に沿う環状に形成され、蓋板21の外縁から下へ突出されている。蓋周壁22における浴槽側の壁部分22bは、洗い場側の壁部分22aよりも下方への突出高さが短く、これら壁部分22a,22bどうしの間に蓋壁段差22dが形成されている。
【0020】
図3に示すように、排水凹部10に排水蓋20が着脱可能に設けられている。蓋板21が、排水凹部10の上面開口に嵌まることで、排水口11に被さっている。蓋板21の上面は、排水凹部10の周辺の洗い場パン3の上面と略同じ高さに配置されている。
【0021】
蓋周壁22は、排水凹部10の蓋係止段差12より上側の内周面に沿わされている。蓋周壁22の下端部が蓋係止段差12に係止されている。また、蓋係止段差12における側方の段差部12dが、蓋壁段差22dに係止されている。
【0022】
図4及び図5に示すように、排水蓋20の外縁部には、指掛かり部23が形成されている。指掛かり部23は、蓋板21における浴室奥行方向の手前側(洗い場側)の端部に配置されている。平面視又は底面視において、指掛かり部23の先端部23eは、排水蓋20の半円状の外縁から円弧状に凹んでいる。
【0023】
図2及び図3に示すように、指掛かり部23の先端部23eと排水凹部10の内周面との間には、指掛かり隙間9g(安全隙間)が形成されている。指掛かり隙間9gの大きさD9gは、8mm未満であり(D9g<8mm)、好ましくは5mm以上8mm未満である。
なお、指掛かり隙間9gの大きさD9gは、厳密には、排水凹部10の内周面と排水蓋20との間のクリアランスCL20が排水蓋20の周方向に均一になるよう、排水蓋20を排水凹部10に対して偏りのない正規の位置に設置したときにおける、指掛かり部23の先端部23eの中央部(最も引っ込んだ箇所)から排水凹部10の内周面の上端部分10a(洗い場パン3の上面に至るアール部分16との連続部分)までの水平距離である(図6)。
【0024】
図6に示すように、指掛かり部23の上面23aは、蓋板21の上面と面一に連続している。指掛かり部23の下面23bは、基端部23c(排水凹部の内周面とは反対の部分)から先端部23eへ向かって上へ傾斜されている。したがって、指掛かり部23は、先端部23eへ向かって薄肉になっている。つまり、指掛かり部23の厚みが、基端部23cへ向かって増大されている。指掛かり部23の基端部23cにおける厚みは、蓋板21の本体部分の厚みと同程度であり、例えば2mm~5mmである。
【0025】
図4及び図5に示すように、蓋周壁22における指掛かり部23と対応する部分には、凹壁部24が形成されている。凹壁部24は、底面視で指掛かり部23よりも凹んでいる。図6に示すように、該凹壁部24における外側を向く面24aに指掛かり部23の基端部23cが一体に連なっている。言い換えると、指掛かり部23は、底面視で凹壁部24から外方へ突出されている。
【0026】
図4及び図5に示すように、凹壁部24の幅方向(図5において上下)の両端部には、蓋周壁22と交差する端壁部24bが設けられている。指掛かり部23の幅方向の両端部が、端壁部24bに連なっている。
【0027】
図2に示すように、排水蓋20における指掛かり部23とは反対側の浴槽側端部20bは、ボード間隙間5cに嵌っている。
浴室幅方向に沿う、排水蓋20の幅寸法は、ボード間隙間5cの幅と略等しい。排水蓋20の浴槽側端部20bの両側部が、ボード間隙間5cを挟んで隣接する床ボード5aと略接している。
【0028】
かかる排水口構造9を備えた浴室1において、使用済みの湯水は、洗い場パン3などからボード間隙間5c、連通開口13、排水凹部10を順次経て、排水口11から排水される。
排水蓋20を排水凹部10に被せておくことで、浴室1の美観を確保できるとともに、入浴者の足が排水凹部10に嵌るのを防止できる。加えて、指掛かり隙間9gの大きさD9gが8mm未満であるため、入浴者等の足の指が指掛かり隙間9gに嵌り込んで躓きやすくなるのを防止できる。
清掃などのために排水蓋20を取り外す際は、指掛かり部23に指を掛けて排水蓋20を排水凹部10から引き上げる。指掛かり隙間9gの大きさD9gが8mm未満であるため、指が指掛かり隙間9gに深く入り込むのを防止でき、排水凹部10の内周面と排水蓋20との間に指を挟み付けたり、指が指掛かり隙間9gから抜けにくくなったりするのを防止できる。
さらに、指掛かり部23の下面23bが先端部23eへ向かって上へ傾斜されて、先端部23eが薄肉になっているため、指を指掛かり部23に掛け易くできる。加えて、蓋周壁22における指掛かり部23と対応する部分は内側へ引っ込む凹壁部24となり、該凹壁部24から指掛かり部23が外方へ突出されることによって、指を指掛かり部23に一層掛けやすくできる。これによって、排水蓋20を容易に取り外すことができる。
【0029】
指掛かり部23の先端部23eは薄肉であるのに対し、基端部23cは厚肉であるから、指掛かり部23の所要強度を確保することができる。指掛かり部23の基端部23cが凹壁部24と一体に連なることで、指掛かり部23の支持強度を高めることができる。
【0030】
さらに、排水蓋20は、床ボード5a間の間隔保持スペーサ、及び床ボード5aのストッパーとしても機能する。すなわち、排水蓋20の浴槽側端部20bがボード間隙間5cに嵌っていることによって、ボード間隙間5cの幅を確保したり、床ボード5aのがたつきを抑えたりすることができる。さらには、床ボード5a上に人が乗った状態で、床ボード5aが不意に浴室幅方向へ動くのを阻止できる。
【0031】
本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の改変をなすことができる。
例えば、指掛かり部23は、排水蓋20の外周縁を仮想的に指掛かり部側へ延長した仮想線に対して引っ込んでいればよく、指掛かり部23の先端部23eは、凹曲線状に限らず、直線状であってもよい。
【0032】
本発明は、例えば建物の浴室に適用できる。
【符号の説明】
【0033】
1 浴室
2a 浴槽
2 浴室床
3 洗い場パン
3e 浴槽側の縁部
4 浴槽パン
5 敷設体
5a 床ボード
5c ボード間隙間
9 排水口構造
9g 指掛かり隙間
9g 指掛かり隙間の大きさ
10 排水凹部
11 排水口
12 蓋係止段差
13 連通開口
20 排水蓋
20b 浴槽側端部
21 蓋板
22 蓋周壁
23 指掛かり部
23c 基端部(排水凹部の内周面とは反対の部分)
23e 先端部
24 凹壁部
図1
図2
図3
図4
図5
図6