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  • 特開-トリガー式液体噴出器 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157559
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】トリガー式液体噴出器
(51)【国際特許分類】
   B05B 11/00 20060101AFI20221006BHJP
   B65D 47/34 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
B05B11/00 102E
B05B11/00 102N
B65D47/34 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021061851
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100140718
【弁理士】
【氏名又は名称】仁内 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100140774
【弁理士】
【氏名又は名称】大浪 一徳
(74)【代理人】
【識別番号】100188592
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 洋
(72)【発明者】
【氏名】坂田 耕太
(72)【発明者】
【氏名】阿部 孝之
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AB01
3E084BA02
3E084DB12
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084GB17
3E084KA20
3E084KB06
3E084LC01
3E084LD22
3E084LD26
(57)【要約】
【課題】ピストンの意図しない前進を規制する。
【解決手段】トリガー式液体噴出器1は、上下方向に延び、容器体内の液体を吸上げる縦供給筒部10と、縦供給筒部10の前方に前方付勢状態で後方に移動可能に配設されたトリガー部51を有し、トリガー部51の後方への移動によって、液体を縦供給筒部10内から噴出孔側に向けて流通させるトリガー機構50と、を備え、トリガー機構50は、トリガー部51の移動に伴って前後に移動するピストン52と、ピストン52の移動に伴って内部が加圧および減圧し、かつ内部が縦供給筒部10内に連通するシリンダ202と、を備え、トリガー部51は、トリガー部51の上端部を中心に前後方向に揺動可能に支持され、噴出器本体2には、トリガー部51に下方から係止してトリガー部51の前方に向けた揺動を規制する規制部201が設けられている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体が収容された容器体に装着される噴出器本体と、
前記噴出器本体の前方側に配設され、液体を前方に向けて噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、を備え、
前記噴出器本体は、
上下方向に延び、前記容器体内の液体を吸上げる縦供給筒部と、
前記縦供給筒部の前方に前方付勢状態で後方に移動可能に配設されたトリガー部を有し、前記トリガー部の後方への移動によって、液体を前記縦供給筒部内から前記噴出孔側に向けて流通させるトリガー機構と、を備え、
前記トリガー機構は、
前記トリガー部の移動に伴って前後に移動するピストンと、
前記ピストンの移動に伴って内部が加圧および減圧し、かつ内部が前記縦供給筒部内に連通するシリンダと、を備え、
前記トリガー部は、前記トリガー部の上端部を中心に前後方向に揺動可能に支持され、
前記噴出器本体には、前記トリガー部に下方から係止して前記トリガー部の前方に向けた揺動を規制する規制部が設けられている、トリガー式液体噴出器。
【請求項2】
前記トリガー部は、後方に向けて突出し前記規制部に係止する後方突出部を備え、
前記規制部には、前記規制部から上方に突出するとともに、前記噴出器本体との間に前記後方突出部を挟む壁面部が設けられている、請求項1に記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項3】
前記トリガー機構は、前記ピストンを前方に付勢する金属製のコイルばねを備えている、請求項1または2に記載のトリガー式液体噴出器。
【請求項4】
前記噴出器本体は、
前記トリガー部の後方への移動によって、前記シリンダから前記縦供給筒部内を通過した液体が内部に供給される貯留シリンダと、
前記貯留シリンダ内にその中心軸線に沿う軸方向に移動可能に配設され、前記貯留シリンダ内への液体の供給に伴って前記軸方向のうちの一方側に向けて移動するとともに、他方側に向けて付勢される貯留プランジャと、
前記シリンダ内の加圧時に前記容器体内と前記シリンダ内との前記縦供給筒部内を通した連通を遮断し、かつ前記シリンダ内の減圧時に前記容器体内と前記シリンダ内との前記縦供給筒部内を通した連通を許容する第1逆止弁と、
前記シリンダ内の加圧時に前記貯留シリンダ内と前記シリンダ内との前記縦供給筒部内を通した連通を許容し、かつ前記シリンダ内の減圧時に前記貯留シリンダ内と前記シリンダ内との前記縦供給筒部内を通した連通を遮断する第2逆止弁と、を備えている、請求項1から3のいずれか1項に記載のトリガー式液体噴出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トリガー式液体噴出器に関する。
【背景技術】
【0002】
トリガー部の操作によって容器体内から液体を吸い上げ、噴出孔を通じて液体を噴出するトリガー式液体噴出器が知られている。
この種のトリガー式液体噴出器として、例えば下記特許文献1に示されるようなトリガー式液体噴出器が知られている。
トリガー式液体噴出器は、液体が収容された容器体に装着される噴出器本体と、噴出器本体の前方側に配設され、液体を前方に向けて噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、を備えている。噴出器本体は、上下方向に延び、容器体内の液体を吸上げる縦供給筒部と、縦供給筒部の前方に前方付勢状態で後方に移動可能に配設されたトリガー部を有し、トリガー部の後方への移動によって、液体を縦供給筒部内から噴出孔側に向けて流通させるトリガー機構と、を備えている。トリガー機構は、トリガー部の移動に伴って前後に移動するピストンと、ピストンの移動に伴って内部が加圧および減圧し、かつ内部が縦供給筒部内に連通するシリンダと、を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-213497号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来のトリガー式液体噴出器では、環境温度の変化などによって、容器体の内圧が上昇した際、容器体内が縦供給筒部内を通してシリンダ内に連通し、シリンダ内のピストンが意図せず前進する可能性がある。この場合、ピストンがシリンダから外れ、液漏れが生じるなどのおそれがある。
【0005】
本発明は、前述した事情に鑑みてなされたものであって、ピストンの意図しない前進を規制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
<1>本発明の一態様に係るトリガー式液体噴出器は、液体が収容された容器体に装着される噴出器本体と、前記噴出器本体の前方側に配設され、液体を前方に向けて噴出する噴出孔が形成されたノズル部材と、を備え、前記噴出器本体は、上下方向に延び、前記容器体内の液体を吸上げる縦供給筒部と、前記縦供給筒部の前方に前方付勢状態で後方に移動可能に配設されたトリガー部を有し、前記トリガー部の後方への移動によって、液体を前記縦供給筒部内から前記噴出孔側に向けて流通させるトリガー機構と、を備え、前記トリガー機構は、前記トリガー部の移動に伴って前後に移動するピストンと、前記ピストンの移動に伴って内部が加圧および減圧し、かつ内部が前記縦供給筒部内に連通するシリンダと、を備え、前記トリガー部は、前記トリガー部の上端部を中心に前後方向に揺動可能に支持され、前記噴出器本体には、前記トリガー部に下方から係止して前記トリガー部の前方に向けた揺動を規制する規制部が設けられている。
【0007】
規制部が、トリガー部に係止してトリガー部の前方に向けた揺動を規制する。したがって、仮にシリンダの内圧が上昇し、ピストンが前進しようとしても、トリガー部が規制部に係止することで、ピストンの前進を規制することができる。
【0008】
<2>上記<1>に係るトリガー式液体噴出器では、前記トリガー部は、後方に向けて突出し前記規制部に係止する後方突出部を備え、前記規制部には、前記規制部から上方に突出するとともに、前記噴出器本体との間に前記後方突出部を挟む壁面部が設けられている構成を採用してもよい。
【0009】
壁面部が、噴出器本体との間に後方突出部を挟む。したがって、仮に後方突出部が規制部に対して左右方向に位置ずれしようとしても、この位置ずれを壁面部によって規制することができる。これにより、ピストンの前進を確実に規制することができる。
【0010】
<3>上記<1>または<2>に係るトリガー式液体噴出器では、前記トリガー機構は、前記ピストンを前方に付勢する金属製のコイルばねを備えている構成を採用してもよい。
【0011】
トリガー機構が、ピストンを前方に付勢する金属製のコイルばねを備えている。金属製のコイルばねの付勢力は、例えば樹脂製の付勢部材などに比べて強い。そのため、金属製のコイルばねがピストンを前方に付勢する部材に採用されている場合、シリンダの内圧が上昇したときに、ピストンが前進し易くなっている。よって、規制部によってピストンの前進を規制する作用効果が顕著に奏功される。
【0012】
<4>上記<1>から<3>のいずれか1項に係るトリガー式液体噴出器では、前記噴出器本体は、前記トリガー部の後方への移動によって、前記シリンダから前記縦供給筒部内を通過した液体が内部に供給される貯留シリンダと、前記貯留シリンダ内にその中心軸線に沿う軸方向に移動可能に配設され、前記貯留シリンダ内への液体の供給に伴って前記軸方向のうちの一方側に向けて移動するとともに、他方側に向けて付勢される貯留プランジャと、前記シリンダ内の加圧時に前記容器体内と前記シリンダ内との前記縦供給筒部内を通した連通を遮断し、かつ前記シリンダ内の減圧時に前記容器体内と前記シリンダ内との前記縦供給筒部内を通した連通を許容する第1逆止弁と、前記シリンダ内の加圧時に前記貯留シリンダ内と前記シリンダ内との前記縦供給筒部内を通した連通を許容し、かつ前記シリンダ内の減圧時に前記貯留シリンダ内と前記シリンダ内との前記縦供給筒部内を通した連通を遮断する第2逆止弁と、を備えている構成を採用してもよい。
【0013】
この場合、液体の連続噴出を実現することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ピストンの意図しない前進を規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の一実施形態に係るトリガー式液体噴出器の側面図である。
図2図1に示すトリガー式液体噴出器の縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明に係るトリガー式液体噴出器の実施形態について、図1および図2を参照して説明する。本実施形態では、トリガー式液体噴出器が容器体に取り付けられた噴出容器を例にして説明する。
【0017】
(概略構成)
図1および図2に示すように、本実施形態のトリガー式液体噴出器1は、液体を収容する容器体Aに装着される噴出器本体2と、液体を噴出する噴出孔4が形成され、噴出器本体2に装着されたノズル部材3と、噴出器本体2およびノズル部材3を覆うカバー体100と、を備えている。
なお、トリガー式液体噴出器1の各構成部品は、特に記載がなければ、合成樹脂を用いた成形品とされている。
【0018】
噴出器本体2は、縦供給筒部10と、装着キャップ14と、貯留シリンダ90と、射出筒部11と、トリガー機構50と、貯留プランジャ80と、付勢部材81と、ボール弁19(第1逆止弁)と、貯留弁20(第2逆止弁)と、を主に備えている。
【0019】
本実施形態では、縦供給筒部10の中心軸線を軸線O1とし、この軸線O1に沿って容器体A側を下側、その反対側を上側といい、軸線O1に沿う方向を上下方向という。また、上下方向から見た平面視において、軸線O1に交差する一方向を前後方向といい、上下方向及び前後方向の双方向に直交する方向を左右方向という。
【0020】
さらに本実施形態では、貯留シリンダ90の中心軸線を軸線O2とする。本実施形態において軸線O2は、前後方向に延びている。本実施形態において前後方向は、貯留シリンダ90の中心軸線に沿う軸方向に相当する。本実施形態において後方は、貯留シリンダ90の中心軸線に沿う軸方向のうちの一方側に相当し、前方は貯留シリンダ90の中心軸線に沿う軸方向のうちの他方側に相当する。ただし、軸線O2に沿う軸方向は、前後方向と一致していなくても良い。
【0021】
縦供給筒部10は、上下方向に延在し、容器体A内の液体を吸い上げる。縦供給筒部10は、装着キャップ14によって、容器体Aに装着される。縦供給筒部10には、上下方向に延びると共に容器体Aから液体を吸い上げるパイプ15の上部が嵌合されている。
縦供給筒部10の上端部には、前方に向けて延びる接続筒部30が設けられている。接続筒部30内は、縦供給筒部10内に連通している。
【0022】
接続筒部30の下方、かつ、装着キャップ14の上方には、シリンダ用筒部40が設けられている。シリンダ用筒部40は、縦供給筒部10から前方に向けて突出すると共に、前方に向けて開口している。シリンダ用筒部40内には、主シリンダ53が嵌合されている。主シリンダ53は、前方に開口すると共に後方が閉塞された有底筒状に形成されている。主シリンダ53内は、縦供給筒部10内に連通している。
【0023】
貯留シリンダ90は、縦供給筒部10及び接続筒部30の上方に配置されている。なお本実施形態では、貯留シリンダ90の下端部は、縦供給筒部10の上端部及び接続筒部30の上端部と一体に形成されている。貯留シリンダ90の内部(後述する貯留空間90a)には、トリガー部51の後方への揺動によって、縦供給筒部10内及び接続筒部30内を通過した液体が供給される。
【0024】
射出筒部11は、貯留シリンダ90から前方に向けて延びている。射出筒部11は、貯留シリンダ90内(貯留空間90a)及び接続筒部30内を通じて縦供給筒部10の内部に連通している。射出筒部11は、縦供給筒部10内、接続筒部30内及び貯留シリンダ90内(貯留空間90a)を通過した液体を噴出孔4に導く。
射出筒部11には、ノズル部材3が前方から外嵌されている。ノズル部材3は、噴出器本体2に組付けられている。ノズル部材3には、前方に開口し、液体を前方に向けて噴出する噴出孔4が形成されている。
【0025】
図2に示すように、貯留プランジャ80は、貯留シリンダ90内に軸線O2に沿う前後方向に移動可能に配置されている。貯留プランジャ80は、貯留シリンダ90内を前後方向に密に摺動する。
貯留プランジャ80は、最前方位置では、縦供給筒部10内と噴出孔4(射出筒部11内)との連通を遮断する。貯留プランジャ80は、最前方位置から後方に移動したときに、縦供給筒部10内と噴出孔4(射出筒部11内)とを連通する。貯留シリンダ90において、貯留プランジャ80よりも前方に位置する空間は、貯留空間90aとして機能する。
【0026】
貯留空間90aは、縦供給筒部10内を通過した液体が貯留される。貯留空間90aは、液体の供給によって貯留プランジャ80が後方に向けて移動することで拡張する。貯留プランジャ80は、貯留シリンダ90内への液体の供給に伴って後方に向けて移動する。貯留空間90aは、接続筒部30を通して縦供給筒部10内に連通している。貯留空間90aは、射出筒部11内とも連通可能である。貯留プランジャ80が最前方位置にいるとき、貯留空間90aは、射出筒部11内との連通が遮断されている。貯留プランジャ80が最前方位置から後退すると、貯留空間90aは、射出筒部11内と連通する。
【0027】
付勢部材81は、貯留プランジャ80を前方に向けて付勢している。付勢部材81は、貯留シリンダ90内において貯留プランジャ80よりも後方に配置されている。使用者がトリガー部51を操作する前の初期状態において、付勢部材81が貯留プランジャ80を前方に付勢することで、貯留プランジャ80が最前方位置に位置する。付勢部材81は、軸線O2と同軸に配設された金属製のコイルばねとされている。ただし、例えば付勢部材81として樹脂製のばねを用いても良いし、その他の弾性を有する部材を用いても構わない。
【0028】
貯留プランジャ80が後方に移動するまでは、貯留シリンダ90の貯留空間90aで液体が加圧される。貯留空間90aの液圧が所定値に達すると、貯留プランジャ80が付勢部材81に抗して後方に移動する。これにより、貯留空間90aの液体を、噴出孔4側に供給することが可能とされている。貯留プランジャ80は蓄圧弁として機能する。
【0029】
トリガー機構50は、トリガー部51と、前記主シリンダ53と、主ピストン52(ピストン)と、コイルばね(付勢部材)54とを備えている。トリガー機構50は、トリガー部51の後方への揺動によって、液体を縦供給筒部10内から噴出孔4側に向けて流通させることが可能とされている。
【0030】
トリガー部51は、縦供給筒部10の前方に前方付勢状態で後方に移動可能に配置されている。トリガー部51は、上下方向に延びるように形成されていると共に、射出筒部11の下方に配置されている。トリガー部51の上端部は、ノズル部材3に前後方向に揺動可能に軸支されている。トリガー部51は、ノズル部材3から下方に延びている。トリガー部51の下端部は、主シリンダ53の前方に配置される。
【0031】
なお図示の例では、トリガー部51と、主シリンダ53との間の前後方向の隙間には、ストッパTが着脱可能に設けられている(図1には図示略)。ストッパTは、トリガー部51及び主シリンダ53のそれぞれに当接することで、トリガー部51の後方への揺動を規制する。ストッパTはなくてもよい。
【0032】
主ピストン52は、主シリンダ53の内部に前後方向に移動可能に配置されている。主ピストン52は、トリガー部51の揺動に連動して前後方向に移動可能とされている。主シリンダ53の内部は、主ピストン52の前後方向の移動に伴って加圧及び減圧される。主ピストン52は、後方に開口すると共に前方が閉塞された有頂筒状に形成されている。
【0033】
主ピストン52は、トリガー部51と共にコイルばね54の付勢力によって前方に付勢されている。主ピストン52は、トリガー部51の後方への揺動に伴って後方に移動して主シリンダ53内に押し込まれる。主ピストン52は、トリガー部51が最前方揺動位置にあるときに、これに対応して最前方位置に位置している。
【0034】
コイルばね(付勢部材)54は、金属製である。コイルばね54は、主ピストン52及び主シリンダ53と同軸に配設され、主ピストン52を介してトリガー部51を前方に付勢している。コイルばね54は、主ピストン52の底壁と主シリンダ53の頂壁との間に配置されている。なお、コイルばね54の材質は金属製に限定されるものではなく、例えば樹脂ばね等を採用してもよい。
【0035】
ボール弁19および貯留弁20は、縦供給筒部10内に設けられている。
ボール弁19は、主シリンダ53内の加圧時に、縦供給筒部10内を通じた容器体A内と主シリンダ53内との連通を遮断すると共に、主シリンダ53内の減圧時に上方に向けて変位することで、縦供給筒部10内を通じた容器体A内と主シリンダ53内との連通を許容する逆止弁とされている。
【0036】
ボール弁19の上方には、貯留弁20が配置されている。貯留弁20は、縦供給筒部10内から貯留シリンダ90内への液体の供給を許容すると共に、貯留シリンダ90内から縦供給筒部10内への液体の流出を規制する逆止弁とされている。
【0037】
カバー体100は、縦供給筒部10のうちの下端部を除く全体、射出筒部11の全体、及び貯留シリンダ90の全体を、少なくとも左右方向の両側及び上方から覆うように形成されている。
【0038】
(トリガー式液体噴出器の作用)
次に、上述のように構成されたトリガー式液体噴出器1を使用する場合について説明する。なお、トリガー部51の複数回の操作によって、トリガー式液体噴出器1の各部内に液体が充填され、縦供給筒部10内に液体を吸い上げることができる状態になっているものとする。
【0039】
使用者は、ストッパTを取り外した後、トリガー部51をコイルばね54の付勢力に抗して、後方に引くように操作する。すると、主ピストン52が最前方位置から後方に移動し、主シリンダ53内が加圧される。これにより、主シリンダ53内の液体が、縦供給筒部10に供給される。すると、縦供給筒部10に供給された液体は、ボール弁19を下方に押し付けると共に、貯留弁20を押し上げる。
【0040】
これにより、縦供給筒部10内の液体を、接続筒部30内を通じて貯留シリンダ90の貯留空間90aに供給することができ、貯留空間90aを加圧することができる。そのため、貯留空間90aの加圧に伴って、貯留プランジャ80を付勢部材81の付勢力に抗して最前進位置から後方に向けて移動させることができ、液体を貯留空間90aに溜める(充填する)ことができる。
【0041】
貯留プランジャ80が後方に移動することで、圧力が高まった貯留空間90aの液体を、射出筒部11内を通じて噴出孔4に導くことができる。従って、噴出孔4から前方に向けて液体を噴出させることができる。
上述のように、トリガー部51を後方に引く操作を行う毎に、液体を噴出孔4から噴出させることができると共に、貯留プランジャ80を後方に移動させて、貯留空間90a内に液体を溜めることができる。
【0042】
その後、トリガー部51を解放すると、コイルばね54の弾性復元力(付勢力)によって主ピストン52が主シリンダ53内を前方に向けて復元移動するので、これに伴ってトリガー部51も前方に復元移動する。そのため、主シリンダ53内を減圧させて、容器体A内の圧力よりも低い圧力にすることができるので、貯留弁20が閉弁したままの状態で、ボール弁19を上昇させることができる。従って、容器体A内の液体を、縦供給筒部10内に吸い上げ、主シリンダ53内に導入することができる。
これにより、次回の噴出に備えることができる。
【0043】
ここで本実施形態では、金属製のコイルばね54(金属スプリング)が主ピストン52を付勢している。金属製のコイルばね54は、樹脂製の付勢部材などに比べて、耐久性および復元力(弾性力)に優れている。そのため、本実施形態のように、コイルばね54が金属製であることで、トリガー部51の移動に伴って主ピストン52が後退した後、主ピストン52を素早く復帰させる(前進させる)ことができる。その結果、主シリンダ53から貯留空間90aに液体を連続的に送り込むことが可能になり、液体を途切れなく連続吐出させ易くすることができる。
【0044】
なお、トリガー部51の後方に向けた操作を停止すると、縦供給筒部10内及び接続筒部30内を通じた貯留空間90aへの液体の供給は停止するものの、付勢部材81の付勢力によって貯留プランジャ80が最前進位置に向けて前方移動しはじめる。
なお、この際、貯留空間90aから縦供給筒部10内への液体の流出は、貯留弁20によって規制される。
【0045】
これにより、貯留空間90aに溜まった液体を、射出筒部11内を通じて噴出孔4に導き、噴出孔4を通じて前方に向けて液体を引き続き噴出させることができる。
このように、トリガー部51を後方に引く操作を行ったときだけでなく、トリガー部51を操作しない場合であっても液体を噴出させることができ、液体の連続噴出を行うことができる。
【0046】
(規制部)
そして本実施形態では、図1に示すように、噴出器本体2には、規制部201(フランジ部)が設けられている。規制部201は、トリガー部51に下方から係止する。規制部201は、トリガー部51の前方に向けた揺動を規制する。
規制部201は、シリンダ202の外面(噴出器本体2の外面)に設けられている。本実施形態では、シリンダ202は、主シリンダ53およびシリンダ用筒部40によって構成される。規制部201は、シリンダ用筒部40の外面に設けられている。なお、主シリンダ53およびシリンダ用筒部40は、一体として成形されていてもよい。
【0047】
規制部201は、シリンダ202を左右方向に挟むように2つ設けられている。各規制部201は、前後方向に直線状に延びている。各規制部201は、シリンダ202に対して、前後方向のほぼ全長にわたって延びている。各規制部201の前端は、シリンダ202(シリンダ用筒部40)の前端よりも後方に、かつ、シリンダ202の前後方向の中央よりも前方に配置されている。各規制部201の後端は、シリンダ202の後端に配置され、縦供給筒部10の外面に連なっている。各規制部201は、表裏面が前後方向を向く板状である。
【0048】
規制部201は、回転軸部55およびピストンの中心軸線O3よりも下方に位置している。ピストンの中心軸線O3は、上下方向において回転軸部55と規制部201との間に位置する。
【0049】
各規制部201には、壁面部203が設けられている。壁面部203は、規制部201から上方に突出する。壁面部203は、規制部201における左右方向の外側の端に配置されている。壁面部203は、シリンダ202の外面との間に隙間をあけて配置されている。壁面部203は、表裏面が左右方向を向く板状である。壁面部203は、規制部201に対して、前後方向の全長にわたって延びている。
【0050】
ここで本実施形態では、カバー体100は、規制部201および壁面部203を左右方向の外側から覆っている。カバー体100は、規制部201および壁面部203それぞれの全体を、左右方向の外側から覆っている。カバー体100と規制部201(壁面部203)との間の左右方向の距離は、シリンダ202と壁面部203との間の左右方向の距離よりも短い。規制部201および壁面部203は、シリンダ202(噴出器本体2)とカバー体100との間に挟まれている。
【0051】
なおトリガー部51は、主板部材51aと、側板部材51bと、を備えている。主板部材51aの表裏面は、前後方向を向く。主板部材51aは、上下方向に延びる。図示の例では、主板部材51aは、左右方向から見た側面視で後方に向けて凹状に湾曲する。
側板部材51bは、一対設けられている。各側板部材51bは、主板部材51aの左右の側縁から後方に向けて延びる。各側板部材51bの表裏面は、左右方向を向く。図示の例では、各側板部材51bは、左右方向から見た側面視で後方に向けて突となるような倒立L字状である。各側板部材51bの上端部は、回転軸部55によって支持されている。これにより、トリガー部51は、回転軸部55を中心に前後方向に揺動可能に支持されている。
【0052】
各側板部材51bには、後方突出部51cが設けられている。後方突出部51cは、側板部材51bの後端における上下方向の中間部から後方に向けて突出している。後方突出部51cは、後方に向かうに従って上下方向に小さくなる。後方突出部51cは、後方に向けて突となる三角形状である。後方突出部51cの後端が、シリンダ202と壁面部203との間の隙間に配置される。壁面部203は、シリンダ202との間に後方突出部51cを挟んでいる。後方突出部51cの下端は、規制部201によって下方から支持される。後方突出部51cは、規制部201に係止する。
【0053】
後方突出部51cは、左右方向を向く板状である。後方突出部51cの表裏面は、側板部材51bの表裏面と面一である。なお後方突出部51cの一部が、後方突出部51cの他の部分に比べて肉厚な厚肉部であってもよい。このような厚肉部は、後方突出部51cのうち、規制部201に係止する部分(後方突出部51cの後端、かつ、下端)であることが好ましい。
なお主ピストン52が最前方位置に位置する状態で、後方突出部51cの下端は、規制部201と平行に延びた状態で規制部201に係止している。
【0054】
以上説明したように、本実施形態に係るトリガー式液体噴出器1によれば、規制部201が、トリガー部51に係止してトリガー部51の前方に向けた揺動を規制する。したがって、仮にシリンダ202の内圧が上昇し、主ピストン52が前進しようとしても、トリガー部51が規制部201に係止することで、主ピストン52の前進を規制することができる。
【0055】
壁面部203が、シリンダ202との間に後方突出部51cを挟む。したがって、仮に後方突出部51cが規制部201に対して左右方向に位置ずれしようとしても、この位置ずれを壁面部203によって規制することができる。これにより、主ピストン52の前進を確実に規制することができる。
なお本実施形態では、カバー体100が、シリンダ202との間に規制部201および壁面部203を挟む。そのため、後方突出部51cが仮に壁面部203よりも左右方向の外側に移動しようとしても、カバー体100によってその移動が抑制される。
【0056】
トリガー機構50が、主ピストン52を前方に付勢する金属製のコイルばね54を備えている。金属製のコイルばね54の付勢力は、例えば樹脂製の付勢部材81などに比べて強い。そのため、金属製のコイルばね54が主ピストン52を前方に付勢する部材に採用されている場合、シリンダ202の内圧が上昇したときに、主ピストン52が前進し易くなっている。よって、規制部201によって主ピストン52の前進を規制する作用効果が顕著に奏功される。
【0057】
主ピストン52の中心軸線O3が、上下方向において回転軸部55と規制部201との間に位置する。したがって、上下方向に離れた2か所(回転軸部55および規制部201)において、噴出器本体2がトリガー部51の荷重を効果的に支持することができる。
【0058】
なお、本発明の技術的範囲は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
【0059】
貯留シリンダ90、貯留プランジャ80がなくてもよい。トリガー式液体噴出器1が、連続噴出を前提としていなくてもよい。
主ピストン52の中心軸線O3が、上下方向において回転軸部55と規制部201との間に位置していなくてもよい。主ピストン52の中心軸線O3が、回転軸部55および規制部201より下方に位置していてもよい。
トリガー部51が、後方突出部51cを備えていなくてもよい。側板部材51bや主板部材51aが、規制部201に係止してもよい。
規制部201が、シリンダ202になくてもよい。例えば、規制部201が、縦供給筒部10に設けられていてもよい。
【0060】
その他、本発明の趣旨に逸脱しない範囲で、前記実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、前記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0061】
1 トリガー式液体噴出器
2 噴出器本体
3 ノズル部材
4 噴出孔
10 縦供給筒部
50 トリガー機構
51 トリガー部
51c 後方突出部
52 主ピストン(ピストン)
55 回転軸部
80 貯留プランジャ
90 貯留シリンダ
201 規制部
202 シリンダ
203 壁面部
A 容器体
O2 軸線
図1
図2