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特開2022-157599フレーバーカカオ粉砕物入りヨーグルト
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157599
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】フレーバーカカオ粉砕物入りヨーグルト
(51)【国際特許分類】
   A23C 9/12 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
A23C9/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021061910
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(72)【発明者】
【氏名】水沼 聡
(72)【発明者】
【氏名】田中 立志
【テーマコード(参考)】
4B001
【Fターム(参考)】
4B001AC02
4B001AC05
4B001AC06
4B001AC22
4B001AC30
4B001AC31
4B001AC32
4B001AC99
4B001BC05
4B001BC08
4B001BC12
4B001BC14
4B001BC99
4B001DC01
4B001EC01
4B001EC99
(57)【要約】
【課題】 フレーバービーンズカカオの破砕粒状物を含有し、カカオの風味が強く感じられると共に、今までに無いクリスピーな食感が感じられる安価なヨーグルトおよびその製造方法を提供すること。
【解決手段】 スターターにより発酵されたカカオ豆がアルカリ処理されずに焙煎されたフレーバーカカオ豆の粉砕物と、プレーンヨーグルトを混合することで、カカオ粉砕物入りヨーグルトを作製する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
スターターにより発酵されたカカオ豆がアルカリ処理されずに焙煎されたフレーバーカカオ豆の粉砕物と、プレーンヨーグルトが混合された、カカオ粉砕物入りヨーグルト。
【請求項2】
カカオ粉砕物入りヨーグルト全体中、カカオ豆の粉砕物が5~30重量%とプレーンヨーグルト95~70重量%を含む、請求項1に記載のカカオ粉砕物入りヨーグルト。
【請求項3】
前記プレーンヨーグルトは、タンパク還元価が2~9の原料乳と、ホエータンパク質を含有する原料ミックスの発酵物であって、前記原料ミックス全体中、乳脂肪3.4~4.5重量%と、乳タンパク質4.3~7重量%を含有し、前記乳タンパク質中のホエータンパク質/カゼインタンパク質比が23/77~30/70(重量比)であり、前記プレーンヨーグルトのカードのメジアン径が25~60μmであり、前記プレーンヨーグルトの10℃での粘度が20~55Pa・sである、請求項1又は2に記載のカカオ粉砕物入りヨーグルト。
【請求項4】
スターターが酵母と、酢酸菌及び/又枯草菌との組み合わせであり、発酵基質がアミノ酸と糖であり、カカオ豆の破砕物の粒径が1~6mmである、請求項1~3何れかに記載のカカオ粉砕物入りヨーグルト。
【請求項5】
カカオ豆が、15~35℃で4~10日間の条件で発酵され、110~170℃で10~60分間の条件で焙煎された請求項1~4何れかに記載のカカオ粉砕物入りヨーグルト。
【請求項6】
スターターが酵母と、酢酸菌及び/又枯草菌との組み合わせであり、15~35℃で4~10日間の条件で発酵し、110~170℃で10~60分間の条件で焙煎してから粉砕してフレーバーカカオ豆の粉砕物を得、それとは別に、タンパク還元価が2~9の原料乳と、ホエータンパク質とを含有する原料ミックスであって、前記原料ミックス全体中、乳脂肪3.4~4.5重量%と、乳タンパク質4.3~7重量%を含有し、前記乳タンパク質中のホエータンパク質/カゼインタンパク質比が23/77~30/70(重量比)である原料ミックスを、39~41℃の温度条件下で、pHが4.5~4.7となるまで発酵する工程と、前記発酵後の原料ミックスのカードを、メジアン径が25~60μmとなるように粉砕して、10℃での粘度が20~55Pa・sであるプレーンヨーグルトを得、それらを混合することを特徴とするカカオ粉砕物入りヨーグルトの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フレーバーカカオの粉砕物が入ったヨーグルトに関する。
【背景技術】
【0002】
通常用いられるカカオ豆とは、カカオの果実より取り出した種子(カカオ豆)を醗酵させ、乾燥の後出荷される。その後、ロースト(焙焼)されたカカオ豆を、粗砕して外皮(セル)と胚乳(ニブ)および胚芽(ジャーム)等に分離してカカオニブが得られる。
【0003】
そして前記カカオニブは、カカオポリフェノールを多く含んでおり、活性酵素を抑える抗酸化物質の1つであり、活性酸素を抑えることで身体を健やかに保ち老化を防ぐアンチエイジング効果があるとされている。そこで最近、カカオニブは食材と言うより、機能性素材として注目されている。しかし、苦みが強いため、そのままでは多量に美味しく摂取することは困難である。
【0004】
前記カカオ豆は、その産地や種類ごとに特徴があり、ベースビーンズカカオとフレーバービーンズカカオに分類され、チョコレートはこれらを適宜配合して作られるが、最近は良質な風味を求めて、フレーバービーンズのみでチョコレートが製造されることもある。しかし、これまで農園従事者任せになっているフレーバービーンズは産地や生産者が限られるため、一般的に高価であり、一般にはあまり普及してこなかった。
【0005】
一方、ヨーグルトは、近年の食の多様化に伴い、その健康効果に注目されている。また、様々な素材と組み合わされているが、主にはフルーツ、植物種子やコーンフレークとの組み合わせである。
【0006】
これまで、焙煎前にアルカリ処理することで苦みや渋みを低減したカカオニブ含有するヨーグルトが開示されているが(特許文献1)、特定のヨーグルトとの組み合わせには着目されておらず、カカオ豆の処理工程が多い上に、フレーバーカカオの発酵は特にコントロールされていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平11-318338号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、フレーバービーンズカカオの破砕粒状物を含有し、カカオの風味が強く感じられると共に、今までに無いクリスピーな食感が感じられる安価なヨーグルトおよびその製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意研究を重ねた結果、スターターにより発酵されたカカオ豆がアルカリ処理されずに焙煎されたフレーバーカカオ豆の粉砕物と、プレーンヨーグルトを混合してなるカカオ粉砕物入りヨーグルトは、カカオの風味が強く感じられると共に、今までに無いクリスピーな食感が感じられることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
即ち、本発明の第一は、スターターにより発酵されたカカオ豆がアルカリ処理されずに焙煎されたフレーバーカカオ豆の粉砕物と、プレーンヨーグルトが混合された、カカオ粉砕物入りヨーグルトに関する。好ましい実施態様は、カカオ粉砕物入りヨーグルト全体中、カカオ豆の粉砕物が5~30重量%とプレーンヨーグルト95~70重量%を含む、上記記載のカカオ粉砕物入りヨーグルトに関する。より好ましくは、前記プレーンヨーグルトは、タンパク還元価が2~9の原料乳と、ホエータンパク質を含有する原料ミックスの発酵物であって、前記原料ミックス全体中、乳脂肪3.4~4.5重量%と、乳タンパク質4.3~7重量%を含有し、前記乳タンパク質中のホエータンパク質/カゼインタンパク質比が23/77~30/70(重量比)であり、前記プレーンヨーグルトのカードのメジアン径が25~60μmであり、前記プレーンヨーグルトの10℃での粘度が20~55Pa・sである、上記記載のカカオ粉砕物入りヨーグルト、更に好ましくは、スターターが酵母と、酢酸菌及び/又枯草菌との組み合わせであり、発酵基質がアミノ酸と糖であり、カカオ豆の破砕物の粒径が1~6mmである、上記記載のカカオ粉砕物入りヨーグルト、特に好ましくは、カカオ豆が、15~35℃で4~10日間の条件で発酵され、110~170℃で10~60分間の条件で焙煎された上記記載のカカオ粉砕物入りヨーグルト、に関する。本発明の第二は、スターターが酵母と、酢酸菌及び/又枯草菌との組み合わせであり、15~35℃で4~10日間の条件で発酵し、110~170℃で10~60分間の条件で焙煎してから粉砕してフレーバーカカオ豆の粉砕物を得、それとは別に、タンパク還元価が2~9の原料乳と、ホエータンパク質とを含有する原料ミックスであって、前記原料ミックス全体中、乳脂肪3.4~4.5重量%と、乳タンパク質4.3~7重量%を含有し、前記乳タンパク質中のホエータンパク質/カゼインタンパク質比が23/77~30/70(重量比)である原料ミックスを、39~41℃の温度条件下で、pHが4.5~4.7となるまで発酵する工程と、前記発酵後の原料ミックスのカードを、メジアン径が25~60μmとなるように粉砕して、10℃での粘度が20~55Pa・sであるプレーンヨーグルトを得、それらを混合することを特徴とするカカオ粉砕物入りヨーグルトの製造方法に関する。
【発明の効果】
【0011】
本発明に従えば、フレーバービーンズカカオの破砕粒状物を含有し、カカオの風味が強く感じられると共に、今までに無いクリスピーな食感が感じられる安価なヨーグルトおよびその製造方法を提供することができる。また、輸送時に、フレーバービーンズカカオの破砕粒状物が沈みにくく、偏在化しにくい。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明につき、さらに詳細に説明する。本発明のカカオ粉砕物入りヨーグルトは、特定のフレーバーカカオ豆の粉砕物と特定のプレーンヨーグルトをそれぞれ特定量含有する。
【0013】
[フレーバーカカオ豆の粉砕物]
前記フレーバーカカオ豆の粉砕物は、生のカカオ豆が特定のスターターにより発酵され、その後アルカリ処理されずに焙煎され、それから粉砕されることが特徴である。
【0014】
前記カカオ豆は、アオイ科の常緑樹であるカカオの種子であり、カカオの品種としては、フォラステロ種(FORASTERO)、クリオロ種(CRIOLLO)、トリニタリオ種(TRINITARIO)などが挙げられ、何れの品種の種子でも使用できる。
【0015】
前期スターターとしては、酵母と酢酸菌、酵母と枯草菌、酵母と酢酸菌及び枯草菌の組み合わせが好ましく、酵母と酢酸菌及び枯草菌の組み合わせがより好ましい。
【0016】
前記酵母としては、サッカロマイセス・セレビシエやハンセニアスポラ属、ジゴサッカロマイセス属、トリコスポロン属、キャンディダ属、クルベロマイセス属が例示できる。
【0017】
前記酢酸菌としては、アセトバクター属、グルコノバクター属、グルコナセトバクター属が例示できる。
【0018】
前記枯草菌としては、バシラス・サブティリスが例示できる。
【0019】
また、必要に応じて前記スターターに加えて、ラクトバシルス属やラクトコッカス属などの乳酸菌を使用することもできる。
【0020】
また、発酵時にはスターターとともに発酵基質として糖とアミノ酸を添加することが好ましい。糖としては微生物利用可能な糖類であれば種類を問わないが、グルコース、スクロース、フルクトース、マルトース、ラクトースなどが例示でき、アミノ酸としては微生物利用可能なアミノ酸であれば種類を問わないが、タンパク質を構成する20種類のアミノ酸が例示できる。糖やアミノ酸は、概ねカカオ豆100重量部に対して0.001~0.1重量部添加すればよい。
【0021】
前記発酵の条件は、常法に従えばよく、スターターを摂取後、概ね15~35℃で4~10日間静置することが好ましい。上記範囲を外れると、焙煎後のカカオ豆の風味が弱かったり、風味が悪くなる場合がある。また、嫌気条件下や好気条件下は、目的とする発酵の風味によって使い分ければ良い。
【0022】
前記アルカリ処理とは、炭酸カリウムなどのアルカリ物質を含む溶液にて発酵後のカカオ豆を加圧加熱処理することを意味し、本発明では焙煎前にアルカリ処理は行わない。
【0023】
発酵後のカカオ豆は、110~170℃で10~60分間の条件で焙煎することが好ましい。上記範囲を外れると、焙煎後のカカオ豆の風味が弱かったり、風味が悪くなる場合がある。
【0024】
焙煎後のカカオ豆は、カカオ粉砕機を用いて粉砕し、本発明におけるスターターにより発酵されたカカオ豆がアルカリ処理されずに焙煎されたフレーバーカカオ豆の粉砕物を得ることができる。該カカオ豆の粉砕物は、粒径を概ね1mm~6mmにすればよい。1mmより小さいとクリスピーナ食感が損なわれる場合があり、6mmより大きいと、苦みや渋みが強すぎる場合がある。
【0025】
[プレーンヨーグルト]
前記プレーンヨーグルトとは、本願において、乳等省令の発酵乳の内、乳又はこれと同等以上の無脂乳固形分を含む乳等を乳酸菌で発酵させて糊状にしたもの、及び、前記乳等に糖類を混ぜ合わせて乳酸菌で発酵させて糊状にしたものをいう。
【0026】
前記乳は、生乳、牛乳、特別牛乳、生山羊乳、殺菌山羊乳、生めん羊乳、成分調整牛乳、低脂肪牛乳、無脂肪牛乳及び加工乳をいう。前記生乳は、搾取したままの牛の乳をいい、前記牛乳は、直接飲用に供する目的又はこれを原料とした食品の製造若しくは加工用に供する目的で販売する牛の乳をいう。
【0027】
本実施形態に係るプレーンヨーグルトは、特定のタンパク還元価の原料乳と、ホエータンパク質とを含有する原料ミックスの発酵物である。前記原料ミックスは、特定量の乳脂肪と乳タンパク質を含有する。
【0028】
前記原料乳は、特に限定されないが、生乳又は牛乳であることが好ましい。原料乳は、単一種類の乳であってもよいし、複数種類の乳の混合物であってもよい。例えば、タンパク還元価が異なる2種類の生乳の混合物であってもよいし、タンパク還元価が異なる2種類の牛乳の混合物であってもよい。また、生乳と牛乳との混合物であってもよい。原料乳として複数種類の乳の混合物を用いる場合、混合割合は特に限定されない。但し、未殺菌の生乳の割合を多くすると、加熱殺菌処理により乳タンパク質が変性して粘度が上昇するため、プレーンヨーグルトのとろみが向上しやすい利点がある。
【0029】
前記原料乳のタンパク還元価は2~9が好ましい。原料乳のタンパク還元価が前記範囲外であると、濃厚な風味と滑らかでとろみのある食感が不足する場合がある。前記原料乳のタンパク還元価は2~7がより好ましく、2~5が更に好ましい。なお、原料乳として複数種類の乳の混合物を用いる場合、当該混合物全体として示すタンパク還元価が前記範囲内にあればよく、混合物に含まれる個々の乳のタンパク還元価は前記範囲内になくてもよい。
【0030】
前記タンパク還元価は、公知の方法で測定することができ、例えば「日本薬学会編 乳製品試験法・注解」(金原出版株式会社、p.131、昭和59年3月20日発行)に記載される方法等が挙げられる。
【0031】
前記ホエータンパク質は、ホエーに含まれる乳タンパク質の1種である。前記原料ミックス中のホエータンパク質は、原料乳とは別に配合されるホエータンパク質源に由来することが好ましい。
【0032】
ホエータンパク質源は、ホエーパウダー、ホエータンパク質濃縮物(WPC)及びホエータンパク質分離物(WPI)からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
【0033】
前記ホエータンパク質源の含有量は、原料ミックス全体中、0.5~2重量%が好ましい。ホエータンパク質源の含有量が前記範囲内にあると、後述する乳タンパク質中のホエータンパク質/カゼインタンパク質比を調整することが容易となる。前記ホエータンパク質源の含有量は0.5~1.5重量%がより好ましく、0.7~1.2重量%が更に好ましい。
【0034】
前記ホエーパウダーは、例えば、生乳を凝固させてチーズを製造する際に副生する液体(チーズホエー)を噴霧乾燥したものをいう。ホエーパウダーの主成分は、ラクトースが60~80重量%、ホエータンパク質が7~30重量%、無機塩類が3~12重量%である。ホエーパウダーとして、脱塩ホエーパウダーを用いてもよい。
【0035】
前記ホエータンパク質濃縮物(WPC)は、チーズホエーから膜処理によってラクトースを除去し、タンパク質を30~95重量%にまで濃縮した粉末をいう。
【0036】
前記ホエータンパク質分離物(WPI)は、ホエータンパク質濃縮物よりもさらにホエータンパク質の含有量を高めたものをいう。
【0037】
前記乳脂肪は、乳由来の脂肪分である。前記原料ミックスが含有する乳脂肪は、原料乳、ホエータンパク質源、及び他の乳製品に由来することが好ましい。
【0038】
前記他の乳製品としては、例えば、クリーム、発酵クリーム、バター、発酵バター、バターミルク、バターミルクパウダー、バターオイル、全脂粉乳、全脂濃縮乳等が挙げられる。その中でも、乳脂肪の含有量が多いため、クリーム、発酵クリーム、バター、発酵バター、バターオイルが好ましい。
【0039】
前記乳脂肪の含有量は、原料ミックス全体中、3.4~4.5重量%が好ましく、3.7~4.3重量%がより好ましい。乳脂肪の含有量が3.4重量%より少ないと、濃厚な風味が不足する場合があり、4.5重量%より多いと、とろみが不足する場合がある。前記乳脂肪の含有量は、公知の方法で測定することができ、例えば、レーゼゴットリーブ法等が挙げられる。
【0040】
前記乳タンパク質は、乳由来のタンパク質であり、前記ホエータンパク質とカゼインタンパク質からなる。
【0041】
前記乳タンパク質の含有量は、原料ミックス全体中、4.3~7重量%が好ましい。乳タンパク質の含有量が前記範囲を外れると、プレーンヨーグルトのとろみと濃厚な風味が不足し、カカオ粉砕物の苦みや渋みが強く感じられる場合がある。前記乳タンパク質の含有量は4.3~5.8重量%がより好ましく、4.3~5.4重量%が更に好ましく、4.5~5.2重量%が特に好ましい。前記乳タンパク質の含有量は、公知の方法で測定することができ、例えば、燃焼法等が挙げられる。
【0042】
前記乳タンパク質の供給源としては、原料乳、及び乳製品に由来することが好ましい。該乳製品としては、乳を原料としたものであれば限定されないが、後述する乳タンパク質中のホエータンパク質/カゼインタンパク質比の調整のし易さの観点から、乳タンパク質の含有量が多い乳製品が好ましい。具体的には、ホエー、脱塩ホエー、ホエーパウダー(脱塩ホエーパウダーを含む)、ホエータンパク質濃縮物(WPC)、ホエータンパク質分離物(WPI)、全脂粉乳、脱脂粉乳、全脂濃縮乳、脱脂濃縮乳、高純度乳タンパク質(TMP)、乳タンパク質濃縮物(MPC)、乳タンパク質分離物(MPI)、加糖練乳、加糖脱脂練乳、無糖練乳、無糖脱脂練乳などが挙げられる。
【0043】
風味の観点から、前記乳タンパク質の供給源として、全脂粉乳又は脱脂粉乳を使用することが好ましく、脱脂粉乳を使用することがより好ましい。脱脂粉乳を使用する場合、その含有量は、前記原料ミックス全体中1.5~10重量%が好ましい。脱脂粉乳の含有量が前記範囲内にあると、後述する乳タンパク質中のホエータンパク質/カゼインタンパク質比を調整することが容易となる。前記脱脂粉乳の含有量は2~5.5重量%がより好ましく、3~5重量%が更に好ましい。
【0044】
前記原料ミックスにおいて、前記乳タンパク質中のホエータンパク質/カゼインタンパク質比は、23/77~30/70(重量比)であることが好ましく、25/75~30/70がより好ましく、25/75~28/72が更に好ましい。前記比が23/77より小さいと、とろみが不足する場合があり、30/70より大きいと、濃厚な風味が不足したり、滑らかな食感が劣り、カカオの粉砕物と混ぜたヨーグルトにおいて、カカオの風味が弱かったり、クリスピーな食感が際立たない場合がある。
【0045】
前記ホエータンパク質の含有量及び前記カゼインタンパク質の含有量は、電気泳動法により、乳タンパク質を分離した後、個々のタンパク質の帯を色素結合により定量化することで測定できる。
【0046】
前記原料ミックスには、前記原料乳、前記乳製品及び前記ホエータンパク質源以外に、発明の効果を損なわない範囲で、糖類、安定剤、香料等を適宜配合することができる。
【0047】
前記糖類としては、特に限定されず、上白糖、グラニュー糖、粉糖をはじめ、ブドウ糖、果糖、ショ糖、麦芽糖、酵素糖化水飴、還元澱粉糖化物、還元水飴、異性化液糖、ショ糖結合水飴、還元糖、還元パラチノース、ソルビトール、乳糖、還元乳糖、L-アラビノース、トレハロース、キシロース、キシリトール、マルチトール、エリスリトール、マンニトール、フラクトオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ガラクトオリゴ糖、乳果オリゴ糖、キシロオリゴ糖、ラフィノース、ラクチュロース、パラチノース、パラチノースオリゴ糖等の糖類や糖アルコール等が挙げられ、これらの群から選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
【0048】
前記糖類の含有量は、プレーンヨーグルトをカカオの粉砕物と一緒に食した際にお互いの風味や食感を高め合うという観点から、プレーンヨーグルト全体中2~7重量%が好ましい。
【0049】
前記安定剤としては、ヨーグルトの粘度を高め、保存中や流通過程においてヨーグルトの粘度を安定させるために用いられる食品添加物や澱粉、デキストリンをいう。前記食品添加物としては、食品用の増粘剤が挙げられ、ペクチン、ゼラチン、カラギーナン、寒天、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、キサンタンガム、ローカストビーンガム、カルボキシメチルセルロース、加工澱粉等が挙げられ、これらの群から選ばれる少なくとも1種を使用することができる。
【0050】
前記安定剤の含有量は、プレーンヨーグルトをカカオの粉砕物と一緒に食した際にお互いの風味や食感を高め合うという観点から、少なければ少ないほど良い。具体的には、前記安定剤の含有量は、原料ミックス全体中、1重量%以下が好ましく、0.5重量%以下がより好ましく、0.2重量%以下が更に好ましく、含有しないことが特に好ましい。
【0051】
前記香料としては、ミルクフレーバー、ヨーグルトフレーバー、バニラフレーバー等が挙げられる。
【0052】
前記香料の含有量は、プレーンヨーグルトをカカオの粉砕物と一緒に食した際にお互いの風味や食感を高め合うという観点から、少なければ少ないほど良い。具体的には、前記香料の含有量は、原料ミックス全体中、0.5重量%以下が好ましく、0.1重量%以下がより好ましく、0.05重量%以下が更に好ましく、含有しないことが特に好ましい。
【0053】
本実施形態に係るプレーンヨーグルトは、カードのメジアン径が25~60μmであることが好ましく、30~55μmがより好ましく、35~50μmが更に好ましく、40~50μmが特に好ましい。前記メジアン径が25μmより小さいと、濃厚な風味やとろみが不足する場合がある。また60μmより大きいと、濃厚な風味や滑らかな食感が不足し、カカオの粉砕物と混ぜたヨーグルトにおいて、カカオの風味が弱かったり、クリスピーな食感が際立たない場合がある。
【0054】
なお、前記カードのメジアン径は、公知の方法で測定することができ、例えば、レーザ回折/散乱式粒子径分布測定装置を用いて測定する方法等が挙げられる。当該測定装置としては、例えば、LA-960V2((株)堀場製作所製)等が挙げられる。具体的には、試料をイオン交換水で希釈し、透過率を適正範囲内に調整した後、回折/散乱光の強度分布パターンを、専用ソフトウェアLA-960 for Windowsを用いて解析することで、メジアン径を求めることができる。
【0055】
本実施形態に係るプレーンヨーグルトは、BH型粘度計でNo.4のローターを用いて、2rpmの回転速度で、10℃において測定した粘度が20~55Pa・sであることが好ましく、20~45Pa・sがより好ましく、25~45Pa・sが更に好ましい。前記粘度が20Pa・sより低いと、濃厚な風味やとろみが不足する場合がある。55Pa・sより高いと、濃厚な風味や滑らかな食感が不足する場合がある。
【0056】
本実施形態に係るプレーンヨーグルトは、前記のような特定組成を有する原料ミックスの発酵物であり、且つカードのメジアン径及び粘度が前記範囲内であることにより、濃厚な風味、滑らかな食感、及びとろみの全てを満足することができる。
【0057】
本発明のカカオ粉砕物入りヨーグルトは、該カカオ粉砕物入りヨーグルト全体中、カカオ豆の粉砕物を5~30重量%含み、プレーンヨーグルトを95~70重量%含むことが好ましい。
【0058】
本発明のカカオ粉砕物入りヨーグルトの製造は、上記記載したカカオ粉砕物やプレーンヨーグルトの製造条件に従えば、最終的にはそれらを混ぜるだけで容易に実行できる。
【実施例0059】
以下に実施例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、実施例において「部」や「%」は重量基準である。
【0060】
また、実施例及び比較例で使用した原料は以下の通りである。
1)生乳を1次加熱(75℃、30秒)、2次加熱(115℃、7秒)で処理した牛乳(乳脂肪含量:3.7%、乳タンパク質含量:3.2%)
2)生乳(乳脂肪含量:3.7%、乳タンパク質含量:3.2%)
3)生乳を1次加熱(60℃、30秒)、2次加熱(135℃、2秒)で処理した牛乳(乳脂肪含量:3.7%、乳タンパク質含量:3.2%)
4)(株)明治製「明治十勝フレッシュクリーム47」(乳脂肪含量:47.0%、乳タンパク質含量:1.0%)
5)(株)カネカ製「カネカ脱脂粉乳」(乳脂肪含量:1.0%、乳タンパク質含量:34.0%)
6)Warrnambool Cheese and Butter社製「WPC80」(乳脂肪含量:4.8%、乳タンパク質含量:76.5%)
7)よつ葉乳業(株)製「よつ葉ホエイパウダー」(乳脂肪含量:1.1%、乳タンパク質含量:12.1%
【0061】
<プレーンヨーグルトの官能評価>
熟練した10人のパネラーに、製造例で得られた各プレーンヨーグルトを10℃に温調したものを食してもらい、濃厚な風味、滑らかな食感、及び、とろみの観点で各々の官能評価を行い、その評価点の平均値を官能評価の評価値として各表に記載した。その際の評価基準は以下の通りであった。
(プレーンヨーグルトの濃厚な風味)
5点:製造例1のプレーンヨーグルトよりも良く、濃厚な風味が強く感じられる
4点:製造例1のプレーンヨーグルトと同等で、濃厚な風味が十分に感じられる
3点:製造例1のプレーンヨーグルトよりもやや劣るが、濃厚な風味が感じられる
2点:製造例1のプレーンヨーグルトよりも悪く、濃厚な風味が感じられ難い
1点:製造例1のプレーンヨーグルトよりも非常に悪く、濃厚な風味が感じられない
(滑らかな食感)
5点:製造例1のプレーンヨーグルトよりも良く、滑らかな食感が強く感じられる
4点:製造例1のプレーンヨーグルトと同等で、滑らかな食感が十分に感じられる
3点:製造例1のプレーンヨーグルトよりもやや劣るが、滑らかな食感が感じられる
2点:製造例1のプレーンヨーグルトよりも悪く、滑らかな食感が感じられ難い
1点:製造例1のプレーンヨーグルトよりも非常に悪く、滑らかな食感が感じられない
(とろみ)
5点:製造例1のプレーンヨーグルトよりも良く、とろみが強く感じられる
4点:製造例1のプレーンヨーグルトと同等で、とろみが十分に感じられる
3点:製造例1のプレーンヨーグルトよりもやや劣るが、とろみが感じられる
2点:製造例1のプレーンヨーグルトよりも悪く、とろみが感じられ難い
1点:製造例1のプレーンヨーグルトよりも非常に悪く、とろみが感じられない
【0062】
<カカオ粉砕物入りヨーグルトの官能評価>
(風味の評価)
実施例・比較例で得られたカカオ粉砕物入りヨーグルトを10人のパネラーに食してもらい、その風味を平均的に評価した。その際の評価基準は、以下の通りであった。
○:カカオの風味が充分感じられ、ヨーグルトの濃厚な風味が感じられ、苦みや渋みは気にならなかった
△:カカオの風味は感じられ、ヨーグルトの濃厚な風味も感じられるが、苦みや渋みが少し気になった
×:カカオの風味は感じられず、ヨーグルトの風味は感じるものの、苦みや渋みが気になった
(食感の評価)
実施例・比較例で得られたカカオ粉砕物入りヨーグルトを10人のパネラーに食してもらい、その食感を平均的に評価した。その際の評価基準は、以下の通りであった。
○:今までにないクリスピーな食感であった
△:クリスピーな食感であるが、全体として違和感があった
×:これまで通りのややクリスピーな食感であった
【0063】
(製造例1) プレーンヨーグルトの作製
表1の配合に従って、牛乳(タンパク還元価:9.0)93.5重量部に、生クリーム0.8重量部、脱脂粉乳4.7重量部、WPC0.5重量部、ホエーパウダー0.5重量部を添加・溶解して原料ミックスを調製した。
【0064】
これを60℃に予備加熱し、高圧ホモジナイザーを用いて3.5/17MPaの圧力で均質化し、プレート式熱交換器を用いて90℃まで昇温し、ジャケット付のタンクで、90℃で30分間保持して加熱処理後、40℃まで冷却し、乳酸菌スターター(Streptococcus thermophilus、Lactobacillus delbrueckii subsp. Bulgaricus、Lactobacillus acidophilus、Bifidobacterium lactis)を0.0009重量部添加し、pH4.7になるまで、一次発酵を行なった。
【0065】
その後、タンクでの攪拌冷却により19℃まで冷却し、その温度でpHが4.5になるまで保持して二次発酵を行った後、60メッシュのフィルターを通過させ、プレーンヨーグルトを得た。得られたプレーンヨーグルトのカードのメジアン径、粘度と、濃厚な風味、滑らかな食感、及びとろみの評価結果を表1に示した。
【0066】
【表1】
【0067】
(製造例2) プレーンヨーグルトの作製
表1の配合に従って、牛乳(タンパク還元価:9.0)を、生乳(タンパク還元価:4.4)に変更した以外は、製造例1と同様にしてプレーンヨーグルトを得た。得られたプレーンヨーグルトのカードのメジアン径、粘度と、濃厚な風味、滑らかな食感、及びとろみの評価結果を表1に示した。
【0068】
(製造例3) プレーンヨーグルトの作製
表1の配合に従って、牛乳(タンパク還元価:9.0)を、タンパク還元価が11.0の牛乳に変更した以外は、製造例1と同様にしてプレーンヨーグルトを得た。得られたプレーンヨーグルトのカードのメジアン径、粘度と、濃厚な風味、滑らかな食感、及びとろみの評価結果を表1に示した。
【0069】
(製造例4) プレーンヨーグルトの作製
表1の配合に従って、生乳93.5重量部を94.4重量部に、生クリーム0.8重量部を2.0重量部に、脱脂粉乳4.7重量部を2.6重量部に変更した以外は、製造例2と同様にしてプレーンヨーグルトを得た。得られたプレーンヨーグルトのカードのメジアン径、粘度と、濃厚な風味、滑らかな食感、及びとろみの評価結果を表1に示した。
【0070】
(製造例5) プレーンヨーグルトの作製
表1の配合に従って、生乳93.5重量部を85.0重量部に、脱脂粉乳4.7重量部を5.3重量部に変更し、生クリーム0.8重量部を添加せず、水8.7重量部を添加した以外は、製造例2と同様にしてプレーンヨーグルトを得た。得られたプレーンヨーグルトのカードのメジアン径、粘度と、濃厚な風味、滑らかな食感、及びとろみの評価結果を表1に示した。
【0071】
(製造例6) プレーンヨーグルトの作製
表1の配合に従って、生乳93.5重量部を88.5重量部に、生クリーム0.8重量部を0.2重量部に、脱脂粉乳4.7重量部を9.5重量部に、WPC0.5重量部を0.9重量部に、ホエーパウダー0.5重量部を0.9重量部に変更した以外は、製造例2と同様にしてプレーンヨーグルトを得た。得られたプレーンヨーグルトのカードのメジアン径、粘度と、濃厚な風味、滑らかな食感、及びとろみの評価結果を表1に示した。
【0072】
(製造例7) プレーンヨーグルトの作製
表1の配合に従って、生乳100重量部のみを使用した以外は、製造例2と同様にしてプレーンヨーグルトを得た。得られたプレーンヨーグルトのカードのメジアン径、粘度と、濃厚な風味、滑らかな食感、及びとろみの評価結果を表1に示した。
【0073】
(製造例8) プレーンヨーグルトの作製
表1の配合に従って、生乳93.5重量部を95.02重量部に、生クリーム0.8重量部を1.1重量部に、脱脂粉乳4.7重量部を2.2重量部に、WPC0.5重量部を0.84重量部に、ホエーパウダー0.5重量部を0.84重量部に変更した以外は、製造例2と同様にしてプレーンヨーグルトを得た。得られたプレーンヨーグルトのカードのメジアン径、粘度と、濃厚な風味、滑らかな食感、及びとろみの評価結果を表1に示した。
【0074】
(製造例9) プレーンヨーグルトの作製
表2の配合に従って、二次発酵の終点pHを4.5から4.2に変更した以外は、製造例2と同様にしてプレーンヨーグルトを得た。得られたプレーンヨーグルトのカードのメジアン径、粘度と、濃厚な風味、滑らかな食感、及びとろみの評価結果を表2に示した。
【0075】
【表2】
【0076】
(製造例10) プレーンヨーグルトの作製
表2の配合に従って、一次発酵の温度を40℃から36℃に変更した以外は、製造例2と同様にしてプレーンヨーグルトを得た。得られたプレーンヨーグルトのカードのメジアン径、粘度と、濃厚な風味、滑らかな食感、及びとろみの評価結果を表2に示した。
【0077】
(製造例11) プレーンヨーグルトの作製
表2の配合に従って、一次発酵の温度を40℃から45℃に変更した以外は、製造例2と同様にしてプレーンヨーグルトを得た。得られたプレーンヨーグルトのカードのメジアン径、粘度と、濃厚な風味、滑らかな食感、及びとろみの評価結果を表2に示した。
【0078】
(製造例12) プレーンヨーグルトの作製
表2の配合に従って、一次発酵終了後のpHを4.7から4.4に変更した以外は、製造例2と同様にして、二次発酵の終点pHが4.2のプレーンヨーグルトを得た。得られたプレーンヨーグルトのカードのメジアン径、粘度と、濃厚な風味、滑らかな食感、及びとろみの評価結果を表2に示した。
【0079】
(製造例13) プレーンヨーグルトの作製
表2の配合に従って、一次発酵終了後のpHを4.7から5.0に変更した以外は、製造例2と同様にしてプレーンヨーグルトを得た。得られたプレーンヨーグルトのカードのメジアン径、粘度と、濃厚な風味、滑らかな食感、及びとろみの評価結果を表2に示した。
【0080】
(製造例14) カカオ粉砕物の作製
<菌の培養>
独立行政法人製品評価技術基盤機構(以下NBRC)より譲渡を受けた菌株Hanseniaspora thailandica(NBRC番号104218、以下HTと省略)、Zygosaccharomyces parabailli(NBRC番号1047、以下ZPと省略)、Acetobacter pasteurianus(NBRC番号3283、以下APと省略)、Acetobacter tropicalis(NBRC番号16470、以下ATと省略)の4種類を以下のようにして培養した。
【0081】
HTはNBRCより譲渡を受けたL-乾燥菌体を、NBRC記載の培地番号108のプレート(寒天あり)で復元させた。これを寒天無しの液体培地10mlで30℃、24時間培養し、さらにその培養液を500mlの液体培地2本に植菌して30℃で24時間増殖させ液体培地を1L得た。この液体培地1Lを20Lの液体培地で30℃、48時間培養した後、遠心分離で沈殿させて濃縮し、1012の菌体を含む濃縮液約100g得た。
【0082】
ZPも同様の方法で培養し、1012の菌体を含む濃縮液約100gを得た。ATも同様にNBRCより譲渡を受けたL-乾燥菌体を、NBRCの培地番号804のプレート(寒天あり)で復元させた。これを寒天無しの液体培地10mlで30℃、24時間培養し、さらにその培養液を500mlの液体培地2本に植菌して30℃、24時間増殖させ液体培地を1L得た。この液体培地1Lを20Lの液体培地で30℃、48時間培養した後、遠心分離で沈殿させて濃縮し、1012の菌体を含む濃縮液約100gを得た。
【0083】
APもATと同様の方法で培養し、1012の菌体を含む濃縮菌液約100gを得た。
【0084】
このようにして得たそれぞれの菌体溶液は冷凍保管し、以下のようにカカオ豆の発酵に使用した。
【0085】
<カカオ豆の発酵>
インドネシアジャワ島内で収穫されたカカオポッドをナタで割り、ビニール手袋を装着した手でカカオ豆を取り出して20kgを木箱に入れた。塩素を含まない無菌の水400mlにグルコース150gを加え、さらにフェニルアラニン、イソロイシン、バリンをそれぞれ2.4g、ロイシン4.8gを加えてよく混合した。木箱に入れたカカオ豆に前記のグルコース、アミノ酸混合液をカカオ豆20kgに対して全量散布してビニール手袋を装着した手でよく混合した。
【0086】
前記で培養した菌液を冷蔵条件でゆっくりと解凍し、4種類濃縮菌液のそれぞれ25gずつを混合し、さらにカネカインスタントドライイーストグリーン40gを合わせて混合し、水を足して400gとした。この混合液を糖、及びアミノ酸を散布したカカオ豆20kgに散布して、ビニール手袋を装着した手でよく混合した。
【0087】
これに乾燥防止のためにバナナの葉をかぶせ、屋外で6日間発酵させた。なお発酵中は1日に1回、手袋を装着した手でよく攪拌した。発酵終了後は乾燥台で6日間天日干しして乾燥させた。
【0088】
乾燥後、150℃の恒温槽で30分ローストし、山本電機社製家庭用粉砕機「よめっこさん」で2~5mm程度の大きさになるようにカカオ豆を粉砕し、家庭用ドライヤーで皮を吹き飛ばして、フレーバーカカオ豆の粉砕物を得た。
【0089】
(実施例1) カカオ粉砕物入りヨーグルトの作製
製造例1のプレーンヨーグルト82gを充填した後、その上に、製造例13のフレーバーカカオ豆の粉砕物18gを充填し、冷蔵倉庫で8℃まで冷却して、カカオ粉砕物入りヨーグルトを得た。得られたカカオ粉砕物入りヨーグルトの風味や食感の評価結果を表1に示した。製造後6日目のカカオ粉砕物入りヨーグルト10個を段ボール箱に縦2個×横5個で隙間の無いように梱包したものを、株式会社カネカ高砂工業所(兵庫県高砂市)から、株式会社カネカ東京本社(東京都港区赤坂)まで、冷蔵の宅配便で輸送したところ、特にフレーバーカカオ豆の粉砕物が底に沈むことなく、偏在化も見られなかった。
【0090】
(実施例2)
製造例2のプレーンヨーグルト82gを充填した後、その上に、製造例13のフレーバーカカオ豆の粉砕物18gを充填し、冷蔵倉庫で8℃まで冷却して、カカオ粉砕物入りヨーグルトを得た。得られたカカオ粉砕物入りヨーグルトの風味や食感の評価結果を表1および表2に示した。
【0091】
(実施例3)
製造例3のプレーンヨーグルト82gを充填した後、その上に、製造例13のフレーバーカカオ豆の粉砕物18gを充填し、冷蔵倉庫で8℃まで冷却して、カカオ粉砕物入りヨーグルトを得た。得られたカカオ粉砕物入りヨーグルトの風味や食感の評価結果を表1に示した。
【0092】
(実施例4)
製造例4のプレーンヨーグルト82gを充填した後、その上に、製造例13のフレーバーカカオ豆の粉砕物18gを充填し、冷蔵倉庫で8℃まで冷却して、カカオ粉砕物入りヨーグルトを得た。得られたカカオ粉砕物入りヨーグルトの風味や食感の評価結果を表1に示した。
【0093】
(実施例5)
製造例5のプレーンヨーグルト82gを充填した後、その上に、製造例13のフレーバーカカオ豆の粉砕物18gを充填し、冷蔵倉庫で8℃まで冷却して、カカオ粉砕物入りヨーグルトを得た。得られたカカオ粉砕物入りヨーグルトの風味や食感の評価結果を表1に示した。
【0094】
(実施例6)
製造例6のプレーンヨーグルト82gを充填した後、その上に、製造例13のフレーバーカカオ豆の粉砕物18gを充填し、冷蔵倉庫で8℃まで冷却して、カカオ粉砕物入りヨーグルトを得た。得られたカカオ粉砕物入りヨーグルトの風味や食感の評価結果を表1に示した。
【0095】
(実施例7)
製造例7のプレーンヨーグルト82gを充填した後、その上に、製造例13のフレーバーカカオ豆の粉砕物18gを充填し、冷蔵倉庫で8℃まで冷却して、カカオ粉砕物入りヨーグルトを得た。得られたカカオ粉砕物入りヨーグルトの風味や食感の評価結果を表1に示した。
【0096】
(実施例8)
製造例8のプレーンヨーグルト82gを充填した後、その上に、製造例13のフレーバーカカオ豆の粉砕物18gを充填し、冷蔵倉庫で8℃まで冷却して、カカオ粉砕物入りヨーグルトを得た。得られたカカオ粉砕物入りヨーグルトの風味や食感の評価結果を表1に示した。
【0097】
(実施例9)
製造例9のプレーンヨーグルト82gを充填した後、その上に、製造例13のフレーバーカカオ豆の粉砕物18gを充填し、冷蔵倉庫で8℃まで冷却して、カカオ粉砕物入りヨーグルトを得た。得られたカカオ粉砕物入りヨーグルトの風味や食感の評価結果を表2に示した。
【0098】
(実施例10)
製造例10のプレーンヨーグルト82gを充填した後、その上に、製造例13のフレーバーカカオ豆の粉砕物18gを充填し、冷蔵倉庫で8℃まで冷却して、カカオ粉砕物入りヨーグルトを得た。得られたカカオ粉砕物入りヨーグルトの風味や食感の評価結果を表2に示した。
【0099】
(実施例11)
製造例11のプレーンヨーグルト82gを充填した後、その上に、製造例13のフレーバーカカオ豆の粉砕物18gを充填し、冷蔵倉庫で8℃まで冷却して、カカオ粉砕物入りヨーグルトを得た。得られたカカオ粉砕物入りヨーグルトの風味や食感の評価結果を表2に示した。
【0100】
(実施例12)
製造例12のプレーンヨーグルト82gを充填した後、その上に、製造例13のフレーバーカカオ豆の粉砕物18gを充填し、冷蔵倉庫で8℃まで冷却して、カカオ粉砕物入りヨーグルトを得た。得られたカカオ粉砕物入りヨーグルトの風味や食感の評価結果を表2に示した。
【0101】
(実施例13)
製造例13のプレーンヨーグルト82gを充填した後、その上に、製造例13のフレーバーカカオ豆の粉砕物18gを充填し、冷蔵倉庫で8℃まで冷却して、カカオ粉砕物入りヨーグルトを得た。得られたカカオ粉砕物入りヨーグルトの風味や食感の評価結果を表2に示した。
【0102】
(参考例1)
市販の「スマイルライフ 北海道プレーンヨーグルト」(スーパーマケットライフのプライベートブランド)82gを容器に計り取り、その上に、市販のコーンフレーク18gを載置してから掻き混ぜ、冷蔵倉庫で8℃まで冷却して、コーンフレーク入りヨーグルトを得た。得られたカカオ粉砕物入りヨーグルトの風味や食感の評価結果を表1および表2に示した。