(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157609
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】液体噴出器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/34 20060101AFI20221006BHJP
B05B 11/00 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
B65D47/34 200
B05B11/00 102E
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021061928
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006909
【氏名又は名称】株式会社吉野工業所
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100154003
【弁理士】
【氏名又は名称】片岡 憲一郎
(72)【発明者】
【氏名】紅谷 翔太
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA02
3E084AA12
3E084AA24
3E084AA25
3E084AA26
3E084AB01
3E084BA02
3E084CA01
3E084CB02
3E084DA01
3E084DB12
3E084FA09
3E084FB01
3E084JA20
3E084KB01
3E084LB02
3E084LB05
3E084LB07
3E084LC01
3E084LC06
3E084LD22
3E084LD26
(57)【要約】
【課題】少量の内容物を容易かつ精度よく噴出させることが可能な液体噴出器を提供する。
【解決手段】本開示に係る液体噴出器1は、容器本体2に装着し、容器本体2内に収容された内容物を外部に噴出させ、容器本体2内の内容物を吸引及び圧送するポンプ14と、ポンプ14を容器本体2に装着する装着キャップ11と、圧送された内容物を外部に導くノズル13aと、液体噴出器1の固定部15に対して揺動可能に取り付けられ、ポンプ14の作動部材(ステム12)に作用してポンプ14を作動させる操作レバー16と、操作レバー16に対して相対移動可能に装着された調整部材100とを有し、調整部材100を操作レバー16に対して相対移動させることによって液体噴出器1の固定部15に対しても相対移動し、調整部材16が液体噴出器1の固定部15に当接するまでの操作レバー16のストローク量を調整可能であることを特徴とする。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体に装着し、前記容器本体内に収容された内容物を外部に噴出させる液体噴出器であって、
前記容器本体内の内容物を吸引及び圧送するポンプと、
前記ポンプを前記容器本体に装着する装着キャップと、
圧送された内容物を外部に導くノズルと、
前記液体噴出器の固定部に対して揺動可能に取り付けられ、前記ポンプの作動部材に作用して前記ポンプを作動させる操作レバーと、
前記操作レバーに対して相対移動可能に装着された調整部材と
を有し、
前記調整部材を前記操作レバーに対して相対移動させることによって前記液体噴出器の固定部に対しても相対移動し、前記調整部材が前記液体噴出器の固定部に当接するまでの前記操作レバーのストローク量を調整可能であることを特徴とする液体噴出器。
【請求項2】
前記操作レバーは、該操作レバーを操作する際に押圧する押圧部と、該押圧部の左右方向両側に設けられ該操作レバーの揺動方向に略平行な側板部とを有し、前記調整部材は、前記側板部に設けられた長尺状の装着開口に嵌合し該装着開口の長手方向に移動可能である、請求項1に記載の液体噴出器。
【請求項3】
前記調整部材は、前記装着開口に嵌合する嵌合部と、左右方向における該嵌合部の間に設けられ、前記液体噴出器の固定部に近づく方向に突出する突出部とを有する、請求項2に記載の液体噴出器。
【請求項4】
前記作動部材は、略鉛直方向に延びるとともに上方付勢されており、前記操作レバーは、前記作動部材の後方に設けられた支持部から前記作動部材を越えて前方に延びるとともに先端部が前方に向かって下方に方向づけされており、前記支持部に対して回動させることによって前記作動部材を押下可能であり、
前記調整部材は、略前後方向に移動可能である、請求項1から3のいずれか一項に記載の液体噴出器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、容器本体内の液体内容物を外部に噴出させるための液体噴出器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の液体噴出器としては、例えば、特許文献1に示すように、押下部材を操作することによって容器本体内の液体内容物をノズルから噴出させる噴出器であって、押下部材に大きな力が加えられても吐出ヘッドがステムから引き抜かれるのを抑制できる噴出器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1の液体噴出器では、内容物を少量だけ噴出させたい場合に、少量の噴出に対応する操作レバー位置で止めることが難しく、意図せず多量の内容物を噴出させてしまう場合があったため、この点において改善の余地があった。
【0005】
本開示の目的は、少量の内容物を容易かつ精度よく噴出させることが可能な液体噴出器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の液体噴出器は、
容器本体に装着し、前記容器本体内に収容された内容物を外部に噴出させる液体噴出器であって、
前記容器本体内の内容物を吸引及び圧送するポンプと、
前記ポンプを前記容器本体に装着する装着キャップと、
圧送された内容物を外部に導くノズルと、
前記液体噴出器の固定部に対して揺動可能に取り付けられ、前記ポンプの作動部材に作用して前記ポンプを作動させる操作レバーと、
前記操作レバーに対して相対移動可能に装着された調整部材と
を有し、
前記調整部材を前記操作レバーに対して相対移動させることによって前記液体噴出器の固定部に対しても相対移動し、前記調整部材が前記液体噴出器の固定部に当接するまでの前記操作レバーのストローク量を調整可能であることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の液体噴出器は、上記構成において、前記操作レバーは、該操作レバーを操作する際に押圧する押圧部と、該押圧部の左右方向両側に設けられ該操作レバーの揺動方向に略平行な側板部とを有し、前記調整部材は、前記側板部に設けられた長尺状の装着開口に嵌合し該装着開口の長手方向に移動可能であることが好ましい。
【0008】
また、本発明の液体噴出器は、上記構成において、前記調整部材は、前記装着開口に嵌合する嵌合部と、左右方向における該嵌合部の間に設けられ、前記液体噴出器の固定部に近づく方向に突出する突出部とを有することが好ましい。
【0009】
また、本発明の液体噴出器は、上記構成において、前記作動部材は、略鉛直方向に延びるとともに上方付勢されており、前記操作レバーは、前記作動部材の後方に設けられた支持部から前記作動部材を越えて前方に延びるとともに先端部が前方に向かって下方に方向づけされており、前記支持部に対して回動させることによって前記作動部材を押下可能であり、前記調整部材は、略前後方向に移動可能であることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、少量の内容物を容易かつ精度よく噴出させることが可能な液体噴出器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の一実施形態である液体噴出器の側面断面図である。
【
図2A】本開示の一実施形態である液体噴出器に用いられる調整部材の平面図である。
【
図2B】本開示の一実施形態である液体噴出器に用いられる調整部材の正面図である。
【
図2C】本開示の一実施形態である液体噴出器に用いられる調整部材の側面図である。
【
図3】本開示の一実施形態である液体噴出器(レバー操作無し)の操作レバー部分の拡大側面図である。
【
図4】本開示の一実施形態である液体噴出器(レバー操作有り、ストローク制限無し)の操作レバー部分の拡大側面図である。
【
図5】本開示の一実施形態である液体噴出器(レバー操作有り、ストローク制限有り)の操作レバー部分の拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面(
図1から
図5)を参照して、本開示の一実施形態に係る液体噴出器1を詳細に説明する。
【0013】
本実施形態に係る液体噴出器1は、
図1に示すように、内容物を収容する収容空間Sを有する容器本体2の口部3に固定され、容器本体2内の内容物を吸引し圧送するポンプ14と、ポンプ14を固定するとともに口部3の外周面に装着される装着キャップ11と、ポンプ14により圧送された内容物を外部に導き噴出させるノズル13aと、液体噴出器1の固定部15に対して揺動可能に取り付けられ、ポンプ14のステム12(作動部材)に作用しポンプ14を作動させる操作レバー16とを備えている。ノズル13aはノズルヘッド13に組み込まれ、ステム12に装着されている。
【0014】
なお、本明細書、特許請求の範囲、及び図面においては、上下方向は、
図1に示すように液体噴出器1を容器本体2に装着して正立姿勢とした状態における上方、下方を意味するものとする。また、内容物の噴出方向(
図1における左側)を前方向とし、その反対方向を後方向とする。また、
図1における紙面に垂直方向を左右方向とする。また、径方向外側とは、
図1における液体噴出器1の中心軸線Oを通り中心軸線Oに垂直な直線に沿って中心軸線Oから離れる方向であり、径方向内側とは、当該直線に沿って中心軸線Oに向かう方向を意味するものとする。また、周方向とは、中心軸線O周りの回転方向である。本実施形態では、液体噴出器1の中心軸線Oは、容器本体2及びポンプ14の中心軸線と一致しているが、これに限定されるものではない。
【0015】
本実施形態において容器本体2は、内容物の収容空間Sを区画形成し、合成樹脂素材により形成されるパリソンに対し、押出しブロー成形を行うことによって形作っている。そして、容器本体2を構成する材料には、例えば、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)等を用いることができる。特に、HDPEを用いた場合には、高い剛性を備え耐衝撃性に優れた容器本体2を製造することができる。しかし、この態様に限定されず、例えば二軸延伸ブロー成形を行うことによって容器本体2を形成してもよく、容器本体2を構成する材料としてポリエチレンテレフタレート(PET)等を用いてもよい。
【0016】
符号11は、後述するポンプ30を固定するとともに容器本体2の口部3に装着される装着キャップである。装着キャップ11は、平面視において略円形状の断面を有しており、外周壁11bと外周壁11bの上部を閉塞する天壁11aとを備えている。
【0017】
外周壁11bの内面には、口部3に設けられた雄ねじ部3aにねじ係合する雌ねじ部11cが形成されている。ポンプ14においてシリンダ42の上端部から径方向外側に延びるフランジ42aを天壁11aと口部3の上端部との間でパッキン66とともに挟持した状態で雄ねじ部3aと雌ねじ部11cをねじ係合することによって、装着キャップ11はポンプ14を口部3に固定するとともに口部3を液密にシールしている。なお、ねじ係合に代えて外周壁11bから径方向内側に突出する係合突部を設けて打栓により容器本体2に装着可能に構成してもよい。
【0018】
ポンプ14は、シリンダ42と、装着キャップ11に固定するためのフランジ42aと、押下することによってポンプ14を作動させて容器本体2の収容空間S内の内容物を上方に圧送する筒状のステム12(作動部材)と、シリンダ42の内面を液密にシールしステム12の押下によってシリンダ42内の内容物を圧縮するピストン41と、ピストン41を中心軸線Oに沿う方向にガイドするピストンガイド43と、ステム12を上方に付勢する付勢ばね94とを備えている。後述するように、利用者が操作レバー16の押圧部91を後方に引くと、ポンプ14のステム12が下方に押し下げられ、ステム12に装着筒43dを通じて連結されたピストンガイド43及びステム12によって押し下げられたピストン41とともにシリンダ42の内側を下方に移動する。ピストン41の下方への移動によってシリンダ42内の内容物は圧縮され、この状態でステム12を更に押し下げると、シリンダ42内の上昇した内圧によってピストン41の下方移動が抑止される。ピストン41はステム12下端部の弾性部により押下されているため、シリンダ42内の内圧によってステム12の弾性部が変形し、ピストン41の内側の下端部がピストンガイド43の当接部43eから離間する。これによって、シリンダ42の内部とステム12の内部空間は連通孔43bを通じて連通する。
【0019】
シリンダ42内の圧縮された内容物は、連通孔43bを通ってステム12の内部空間内を上方に向けて圧送される。圧送された内容物は、更にノズルヘッド13のノズル13a内を前方に導かれ、ノズル13a先端のノズル孔13b及びノズルキャップ13cを経て外部に噴出される。
【0020】
内容物の噴出を終了し、利用者が操作レバー16の操作を終了すると、ピストンガイド43及びステム12は付勢ばね94の付勢力によって上方に押し上げられ、ピストン41の内側の下端部が再びピストンガイド43の当接部43eに当接し、シリンダ42内とステム12の内部空間との連通が遮断される。その後ピストン41の上昇によってシリンダ42の内部は負圧化し、ボール弁44が弁座68から離間して開放されるため、容器本体2内の内容物がシリンダ42内に供給される。
【0021】
また、本実施形態では、
図1に示すように、ポンプ14の下端部に、液体噴出器1及び容器本体2の倒立姿勢においても内容物を噴出可能とするための正倒立両用アダプタ200が設けられている。正倒立両用アダプタ200は、円筒状の本体筒部210を備え、液体噴出器1が正立姿勢にあるときは、切替弁225が倒立時導入孔221と連通路R3との連通を遮断する。そして、容器本体2内の内容物は、パイプ213及び本体筒部210内の連通路R3を通ってシリンダ42内に流入する。
【0022】
他方、液体噴出器1が倒立姿勢にあるときは、パイプ213の下端部が内容物の液面から突出するが、倒立時導入孔221が内容物中に位置するとともに切替弁225が自重により移動して開放される。これによって、倒立時導入孔221と連通路R3とが本体筒部210内で連通し、容器本体2内の内容物は、倒立時導入孔221から本体筒部210内の連通路R3を通ってシリンダ42内に流入する。
【0023】
装着キャップ11には、
図1に示すように、固定部15が装着されている。固定部15は、フランジ42aの上面に立設された連結筒部42bの外周面に係合固定される外周筒15aと、外周筒15aの上端部に連なる上壁15fと、外周筒15aの径方向内側において上壁15fから垂下する中筒15eと、中筒15eの径方向内側において上壁15fから垂下しステム12を径方向外側から囲む内周筒15dと、上壁15fの上面から立設されステム12をガイドするガイド筒15cと、上壁15f及び外周筒15aから後方に向かって斜め上方に延びる支持部15gとを備えている。操作レバー16は、支持部15gの後端部近傍において、回転軸線L周りに回動可能に支持されている。
【0024】
固定部15には、回動軸131周りに回動可能なストッパ130が設けられている(
図3参照)。ストッパ130を上下方向に方向づけることによって、操作レバー16が利用者の意に反して操作された場合であっても、ステム12が下方に移動せず内容物が吐出されないようにノズルヘッド13を固定することができる。
【0025】
操作レバー16は、操作する際に利用者が押圧する押圧部91と、押圧部91の左右方向両側に設けられ操作レバー16の揺動方向に略平行な側板部92と、操作レバー16の上端部において側板部92の間に設けられた天壁90とを備えている。
【0026】
本実施形態において操作レバー16は、支持部15gからステム12を越えて前方に延びるとともに先端部が前方に向かって下方に方向づけされている。利用者は、操作レバー16の先端部における押圧部91を後方に向かって引き操作を行うことによって操作レバー16が回転軸線L周りに
図1の反時計回りに回動し、操作レバー16の天壁90が後述するノズルヘッド13を下方に押圧する。これによって、ノズルヘッド13は上方付勢されているステム12を付勢ばね94の付勢力に抗して押し下げるため、ステム12に連結されたピストンガイド43及びピストン41を下方に移動させ、シリンダ42内の内容物を圧縮する。
【0027】
ステム12の上端部には、
図1に示すように、ノズルヘッド13が装着されている。ノズルヘッド13は、ステム12の内部流路を通じて上方に圧送された内容物を前方に導きノズル孔13bから外部に噴出させるノズル13aと、ノズル13aの前端部に装着され内容物を噴出させる際に発泡させるノズルキャップ13cと、ノズル13aの基端部に設けられ、ステム12の内周面に嵌合することでノズルヘッド13をステム12に固定する嵌合筒31とを備えている。ノズルキャップ13cには、内容物を発泡させる際に空気を取り込むための空気孔13c1が複数設けられている。
【0028】
操作レバー16における押圧部91と天壁90の間には、レバー開口93が設けられている。
図1に示すように、ノズルヘッド13のノズル13aがこのレバー開口93を通って外部に露出している。レバー開口93は、押圧部91を後方へ引き操作を行ったときにノズルヘッド13と操作レバー16との間に干渉が生じないように、上下及び前後方向に十分な幅を有している。
【0029】
操作レバー16における側板部92には、
図1に示すように、操作レバー16の未操作時において略水平方向(略前後方向)に延びる矩形形状の装着開口95を備えている。本実施形態では、装着開口95は、押圧部91の左右方向(
図1の紙面に垂直方向)両側の側板部92にそれぞれ1つずつ設けられている。
【0030】
装着開口95には、
図2Aから
図2Cに示す調整部材100が装着されている。調整部材100は、装着開口95に嵌合する嵌合腕部101と、前後方向に延びる本体部103と、本体部103から下方に突出し、液体噴出器1の固定部15に当接する突出部102とを備えている。調整部材100における各嵌合腕部101の上面には、左右方向に延びる突起部101aが設けられている。突起部101aが、装着開口95の上縁部に設けられた係合突部95aにアンダーカット係合することによって、操作レバー16のストローク制限を行わない状態(
図4に示すように、嵌合腕部101が装着開口95の最前部に位置決めされた状態)と、操作レバー16のストローク制限を行う状態(
図5に示すように、嵌合腕部101が装着開口95の最後部に位置決めされた状態)とにそれぞれ位置決めすることができる。
【0031】
以上の構成を有する液体噴出器1を使用するに際しては、
図3に示す操作レバー16の操作を行っていない状態から、例えば固定部15の支持部15gを親指で把持し、同じ片手の中指と薬指で操作レバー16の押圧部91を把持して押圧部91を後方に引く。この操作によって、
図4に示すように、操作レバー16は、固定部15の支持部15gの後端部近傍の回転軸線L周りに
図4の反時計回りに回動し、操作アームの天壁90がノズルヘッド13の上端部を下方に押下する。
【0032】
図4では、調整部材100の嵌合腕部101が装着開口95の最前部に位置決めされた状態であるため、操作レバー16を操作しても調整部材100の突出部102が固定部15のガイド筒15cの上端部に当接せず、調整部材100はガイド筒15cの前面に沿って下方に移動する。このように、嵌合腕部101が装着開口95の最前部に位置決めされた状態では、操作レバー16のストロークが制限されていないため、
図4の例では装着キャップ11に当接する位置まで押し下げられ、最大量の内容物がステム12内を圧送され、ノズル13aから外部に噴出される。
【0033】
これに対して、
図5に示すように、調整部材100の嵌合腕部101を装着開口95の最後部に位置決めすると、調整部材100の突出部102が固定部15のガイド筒15cの上端部に当接し、これによって操作レバー16の回動及びステム12の下方への移動は制限される。
図5に示す例では、ステム12の押し下げ量は、
図4の場合と比較して約3分の1へと制限されている。
【0034】
このように、本実施形態では、操作レバー16の引き切り位置を操作レバー16に対する調整部材100の相対位置によって定めることができるので、操作レバー16のストローク量を調整して少量の内容物を容易かつ精度よく噴出させることができる。
【0035】
なお、本実施形態では、調整部材100の嵌合腕部101を装着開口95の最後部に位置決めしたときに、突出部102が固定部15という特定の部材に当接するように構成したが、この態様には限定されない。突出部102は、例えば装着キャップ11など、容器本体2に対して固定されている他の部材に当接することによって操作レバー16のストローク量を調整するように構成してもよい。つまり、容器本体2に固定される固定部15以外の他の部材も、広く本願発明の「固定部」となり得る。
【0036】
以上述べたように、本実施形態は、容器本体2に装着し、容器本体2内に収容された内容物を外部に噴出させる液体噴出器1であって、容器本体2内の内容物を吸引及び圧送するポンプ14と、ポンプ14を容器本体2に装着する装着キャップ11と、圧送された内容物を外部に導くノズル13aと、液体噴出器1の固定部15に対して揺動可能に取り付けられ、ポンプ14の作動部材(ステム12)に作用してポンプ14を作動させる操作レバー16と、操作レバー16に対して相対移動可能に装着された調整部材100とを有し、調整部材100を操作レバー16に対して相対移動させることによって液体噴出器1の固定部15に対しても相対移動し、調整部材100が液体噴出器1の固定部15に当接するまでの操作レバー16のストローク量を調整可能であるように構成した。このような構成の採用によって、操作レバー16の引き切り位置を操作レバー16に対する調整部材100の相対位置によって定めることができるので、操作レバー16のストローク量を調整して少量の内容物を容易かつ精度よく噴出させることができる。特に、本実施形態では、操作レバー16のストローク量を調整するための調整部材100を操作レバー16側に設けたので、液体噴出器1の固定部15側に設けた内容物の噴出自体を抑制するストッパ130とは別の場所に設けることで配置の自由度を高めることができる。
【0037】
また、本実施形態では、操作レバー16は、操作レバー16を操作する際に押圧する押圧部91と、押圧部91の左右方向両側に設けられ操作レバー16の揺動方向に略平行な側板部92とを有し、調整部材100は、側板部92に設けられた長尺状の装着開口95に嵌合し装着開口95の長手方向に移動可能であるように構成した。このような構成の採用によって、調整部材100を、押圧部91と側板部92とで囲まれる領域内に配置することができるので、操作レバー16内のスペースを有効活用しつつ操作レバー16のストローク量を調整して少量の内容物を容易かつ精度よく噴出させることができる。
【0038】
また、本実施形態では、調整部材100は、装着開口95に嵌合する嵌合部(嵌合腕部101)と、左右方向における嵌合部の間に設けられ、液体噴出器1の固定部15に近づく方向に突出する突出部102とを有するように構成した。このような構成の採用によって、装着開口95及びこれに嵌合する嵌合部という簡素な構成で操作レバー16のストローク量を調整して少量の内容物を容易かつ精度よく噴出させることができる。
【0039】
また、本実施形態では、装着開口95は、長手方向への調整部材100の相対移動を規制する係合突部95aを有するように構成した。このような構成の採用によって、利用者の意図に反して操作レバー16のストローク量が調整されたり、ストローク量の調整が解除されたりすることを抑制することができる。
【0040】
また、本実施形態では、作動部材(ステム12)は、略鉛直方向に延びるとともに上方付勢されており、操作レバー16は、作動部材の後方に設けられた支持部15gから作動部材を越えて前方に延びるとともに先端部が前方に向かって下方に方向づけされており、支持部15gに対して回動させることによって作動部材を押下可能であり、調整部材100は、略前後方向に移動可能であるように構成した。このような構成の採用によって、調整部材100の移動方向を作動部材の移動方向に略直交するように構成したので、液体噴出器1の鉛直方向のサイズを抑制し、コンパクトな液体噴出器1を構成することができる。
【0041】
本開示を諸図面や実施例に基づき説明してきたが、当業者であれば本開示に基づき種々の変形や修正を行うことが容易であることに注意されたい。従って、これらの変形や修正は本発明の範囲に含まれることに留意されたい。例えば、各構成部に含まれる機能などは論理的に矛盾しないように再配置可能であり、複数の構成部を1つに組み合わせたり、或いは分割したりすることが可能である。本発明の範囲にはこれらも包含されるものと理解されたい。
【0042】
例えば、本実施形態では、操作レバー16は、作動部材(ステム12)の後方に設けられた支持部15gから作動部材を越えて前方に延びるように構成したが、この態様には限定されず、操作レバー16は例えば液体噴出器本体から前方に延びる作動部材を駆動するトリガーであってもよい。
【0043】
また、本実施形態では、調整部材100は、操作レバー16に対してスライド移動可能に装着されるように構成したが、この態様には限定されない。調整部材100は、例えば、操作レバー16に対して回動可能に装着されていてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本開示は、例えば、少量の内容物を容易かつ精度よく噴出させることが可能な液体噴出器1として採用することができる。
【符号の説明】
【0045】
1 液体噴出器
2 容器本体
3 口部
3a 雄ねじ部
11 装着キャップ
11a 天壁
11b 外周壁
11c 雌ねじ部
12 ステム(作動部材)
13 ノズルヘッド
13a ノズル
13b ノズル孔
13c ノズルキャップ
13c1 空気孔
14 ポンプ
15 固定部
15a 外周筒
15c ガイド筒
15d 内周筒
15e 中筒
15f 上壁
15g 支持部
16 操作レバー
30 ポンプ
31 嵌合筒
41 ピストン
42 シリンダ
42a フランジ
42b 連結筒部
43 ピストンガイド
43b 連通孔
43d 装着筒
43e 当接部
44 ボール弁
66 パッキン
68 弁座
90 天壁
91 押圧部
92 側板部
93 レバー開口
94 付勢ばね
95 装着開口
95a 係合突部
100 調整部材
101 嵌合腕部(嵌合部)
101a 突起部
102 突出部
103 本体部
130 ストッパ
131 回動軸
200 正倒立両用アダプタ
210 本体筒部
213 パイプ
221 導入孔
225 切替弁
L 回転軸線
O 中心軸線
R3 連通路
S 収容空間