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特開2022-157634学習装置、推定装置、学習方法、推定方法及びコンピュータープログラム
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  • 特開-学習装置、推定装置、学習方法、推定方法及びコンピュータープログラム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157634
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】学習装置、推定装置、学習方法、推定方法及びコンピュータープログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 50/20 20180101AFI20221006BHJP
   A61B 5/16 20060101ALI20221006BHJP
   A61B 10/00 20060101ALI20221006BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20221006BHJP
【FI】
G16H50/20
A61B5/16 130
A61B10/00 H
G06N20/00 130
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021061967
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】399041158
【氏名又は名称】西日本電信電話株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】517026472
【氏名又は名称】ジョージ・アンド・ショーン株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】521420772
【氏名又は名称】岡田 将吾
(74)【代理人】
【識別番号】110001634
【氏名又は名称】弁理士法人志賀国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山下 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】延原 広大
(72)【発明者】
【氏名】安楽 沙希
(72)【発明者】
【氏名】梅村 和弘
(72)【発明者】
【氏名】槇林 康雄
(72)【発明者】
【氏名】井上 憲
(72)【発明者】
【氏名】横山 慎一郎
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩司
(72)【発明者】
【氏名】小野 幸村
(72)【発明者】
【氏名】松林 晶
(72)【発明者】
【氏名】福田 省吾
(72)【発明者】
【氏名】岡田 将吾
【テーマコード(参考)】
4C038
5L099
【Fターム(参考)】
4C038PP05
4C038PS00
5L099AA04
(57)【要約】      (修正有)
【課題】人の認知能力に関する情報をより高い精度で推定することを可能とする学習装置、学習方法及びコンピュータプログラムを提供する。
【解決手段】人の認知能力に関する情報をより高い精度で推定する学習装置10であって、推定対象者の認知能力に関する情報を出力する学習済みモデルを取得する学習部143と、学習済みモデルのデータを出力する出力制御部144と、を備える。単位教師データは、人物の一日における睡眠が行われた時間帯を示す情報である睡眠位相情報を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人物の生体情報と、前記人物の認知能力に関する情報と、を対応付けた単位教師データを複数の人物に関して有している教師データを用いて学習処理を行うことで、推定対象者の生体情報に関する情報を入力することによって前記推定対象者の認知能力に関する情報を出力する学習済みモデルを取得する学習部と、
前記学習済みモデルのデータを出力する出力制御部と、を備え、
前記単位教師データは、前記人物の一日における睡眠が行われた時間帯を示す情報である睡眠位相情報を含む、
学習装置。
【請求項2】
前記教師データに対して主成分分析を行うことで共通パターンを生成し、前記教師データについて前記共通パターンとの類似性を示す値を特徴量として含む学習データを生成する学習データ生成部をさらに備え、
前記学習部は、前記学習データ生成部によって生成された学習データを用いて学習処理を行う、請求項1に記載の学習装置。
【請求項3】
推定対象者の生体情報を取得する情報取得部と、
請求項1又は2に記載の学習装置によって生成された学習済みモデルと、前記推定対象者の生体情報と、を用いて推定処理を行う推定部と、
を備える推定装置。
【請求項4】
推定対象者の生体情報を取得する情報取得部と、
請求項2に記載の学習装置によって生成された学習済みモデルと、前記推定対象者の生体情報に対して前記共通パターンについて前記推定対象者の生体情報の類似性を示す値を含む推定データと、を用いて推定処理を行う推定部と、
を備える推定装置。
【請求項5】
人物の生体情報と、前記人物の認知能力に関する情報と、を対応付けた単位教師データを複数の人物に関して有している教師データを用いて学習処理を行うことで、推定対象者の生体情報に関する情報を入力することによって前記推定対象者の認知能力に関する情報を出力する学習済みモデルを取得する学習ステップと、
前記学習済みモデルのデータを出力する出力制御ステップと、を有し、
前記単位教師データは、前記人物の一日における睡眠が行われた時間帯を示す情報である睡眠位相情報を含む、
学習方法。
【請求項6】
推定対象者の生体情報を取得する情報取得ステップと、
請求項1又は2に記載の学習装置によって生成された学習済みモデルと、前記推定対象者の生体情報と、を用いて推定処理を行う推定ステップと、
を有する推定方法。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の学習装置としてコンピューターを機能させるためのコンピュータープログラム。
【請求項8】
請求項3又は4に記載の推定装置としてコンピューターを機能させるためのコンピュータープログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、人の認知能力に関する情報を推定するための技術に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、社会全体の高齢化などに伴い、認知能力の低下の抑制が社会的な課題となってきている。認知能力の低下の抑制には、なるべく早期に認知能力の低下の傾向を発見することが大切である。そのため、学習処理を行うことによって、被験者が認知症であるか否かを推定する技術が提案されてきている(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-149234号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では推定の精度向上の余地があった。また、このような推定の精度を向上させることについての要求もある。
上記事情に鑑み、本発明は、人の認知能力に関する情報をより高い精度で推定することを可能とする技術の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、人物の生体情報と、前記人物の認知能力に関する情報と、を対応付けた単位教師データを複数の人物に関して有している教師データを用いて学習処理を行うことで、推定対象者の生体情報に関する情報を入力することによって前記推定対象者の認知能力に関する情報を出力する学習済みモデルを取得する学習部と、前記学習済みモデルのデータを出力する出力制御部と、を備え、前記単位教師データは、前記人物の一日における睡眠が行われた時間帯を示す情報である睡眠位相情報を含む、学習装置である。
【0006】
本発明の一態様は、上記の学習装置であって、前記教師データに対して主成分分析を行うことで共通パターンを生成し、前記教師データについて前記共通パターンとの類似性を示す値を特徴量として含む学習データを生成する学習データ生成部をさらに備え、前記学習部は、前記学習データ生成部によって生成された学習データを用いて学習処理を行う。
【0007】
本発明の一態様は、推定対象者の生体情報を取得する情報取得部と、上記の学習装置によって生成された学習済みモデルと、前記推定対象者の生体情報と、を用いて推定処理を行う推定部と、を備える推定装置である。
【0008】
本発明の一態様は、推定対象者の生体情報を取得する情報取得部と、上記の学習装置によって生成された学習済みモデルと、前記推定対象者の生体情報に対して前記共通パターンについて前記推定対象者の生体情報の類似性を示す値を含む推定データと、を用いて推定処理を行う推定部と、を備える推定装置である。
【0009】
本発明の一態様は、人物の生体情報と、前記人物の認知能力に関する情報と、を対応付けた単位教師データを複数の人物に関して有している教師データを用いて学習処理を行うことで、推定対象者の生体情報に関する情報を入力することによって前記推定対象者の認知能力に関する情報を出力する学習済みモデルを取得する学習ステップと、前記学習済みモデルのデータを出力する出力制御ステップと、を有し、前記単位教師データは、前記人物の一日における睡眠が行われた時間帯を示す情報である睡眠位相情報を含む、学習方法である。
【0010】
本発明の一態様は、推定対象者の生体情報を取得する情報取得ステップと、上記の学習装置によって生成された学習済みモデルと、前記推定対象者の生体情報と、を用いて推定処理を行う推定ステップと、を有する推定方法である。
【0011】
本発明の一態様は、上記の学習装置としてコンピューターを機能させるためのコンピュータープログラムである。
【0012】
本発明の一態様は、上記の推定装置としてコンピューターを機能させるためのコンピュータープログラムである。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、人の認知能力に関する情報をより高い精度で推定することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の学習装置10の機能構成を示す概略ブロック図である。
図2】本発明の推定装置20の機能構成を示す概略ブロック図である。
図3】学習装置10の処理の流れの具体例を示すフローチャートである。
図4】推定装置20の処理の流れの具体例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の具体的な構成例について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の学習装置10の機能構成を示す概略ブロック図である。学習装置10は、複数の人物から得られた生体情報を含む教師データを用いて学習処理を行う。学習装置10は、学習処理の実行によって、推定対象者の認知能力に関する情報(以下「認知情報」という。)を推定するための学習済みモデルを生成する。学習装置10は、パーソナルコンピューターやサーバー装置等の情報処理装置を用いて構成される。学習装置10は、入力部11、出力部12、記憶部13及び制御部14を備える。
【0016】
入力部11は、教師データを学習装置10に入力する。入力部11は、例えばCD-ROMやUSBメモリー(Universal Serial Bus Memory)等の記録媒体に記録された教師データを記録媒体から読み出してもよい。また、入力部11は、ネットワークを介して他の装置から教師データを受信してもよい。入力部11は、教師データの入力を受けることが可能な構成であれば、さらに異なる態様で構成されてもよい。
【0017】
教師データは、個々の人物から得られた単位教師データを複数含む。すなわち、教師データは、複数の人物によって得られた単位教師データを含む。単位教師データは、複数のデータ項目の値と、そのデータ項目の値が得られた人物の認知能力に関する情報(例えば、“健常”、“MCI”、“認知症”のいずれに属するかという分類を示す情報)と、を対応付けた情報である。単位教師データに含まれるデータ項目の少なくとも1つは、生体に関する情報(以下「生体情報」という。)を示す。各人物の認知能力に関する情報は、医師の判断に基づいて得られることが望ましい。
【0018】
生体情報のデータ項目の具体例として、睡眠に関する情報(以下「睡眠情報」という。)がある。睡眠情報は、睡眠に関する情報であればどのような情報であってもよい。例えば、就床してから起床するまでの期間(以下「就床期間」という。)における生体情報が睡眠情報として用いられてもよい。より具体的には、就床から起床までの睡眠時間の総和、就床から起床までの間の覚醒(以下「中途覚醒」という。)の回数、中途覚醒の各時間、中途覚醒の総時間、睡眠時の心拍の時系列情報、睡眠時の呼吸回数の時系列情報、睡眠時の血圧の時系列情報、睡眠時の体動に関する情報、睡眠時の呼吸の中断(回数、時間、間隔)の時系列情報などが睡眠情報の具体例としてありえる。
【0019】
また、睡眠情報の他の具体例として、一日における睡眠が行われた時間帯を示す情報(以下「睡眠位相情報」という。)がある。睡眠位相情報は、例えば一日に行われる一連の睡眠(例えば就床から起床までの間に行われる睡眠)における最初の就眠の時刻から最後の覚醒の時刻までの中央値の時刻として表されてもよい。睡眠位相情報は、例えば一日に行われる一連の睡眠において発生する1又は複数の睡眠時間の重心値の時刻として表されてもよい。睡眠位相情報は、一日における睡眠が行われた時間帯を示す情報であれば、他の値を用いて定義されてもよい。
【0020】
睡眠情報に限らず、利用者が活動している期間に取得された生体情報(呼吸数、心拍、脳波など)や、活動情報(行動履歴[飲食、排せつ、入浴、外出など]、位置情報など)が生体情報として用いられてもよい。生体情報は、どのような手段によって取得されてもよい。例えば、睡眠情報を人物から取得するセンサー等の装置を用いて生体情報が生成されてもよい。
【0021】
出力部12は、情報を学習装置10から外部に出力する。出力部12は、例えばCD-ROMやUSBメモリー等の記録媒体に対して学習済みモデルのデータを記録してもよい。また、出力部12は、ネットワークを介して他の装置に対し学習済みモデルのデータを送信してもよい。出力部12は、学習済みモデルのデータの出力を行うことが可能な構成であれば、さらに異なる態様で構成されてもよい。
【0022】
記憶部13は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。記憶部13は、制御部14によって使用されるデータや、制御部14によって生成されたデータを記憶する。例えば、記憶部13は、教師データ記憶部131、学習データ記憶部132及び学習済みモデル記憶部133として機能してもよい。
【0023】
教師データ記憶部131は、入力部11から入力された教師データを記憶する。学習データ記憶部132は、制御部14の処理によって教師データに基づいて生成された学習データを記憶する。学習データは、学習処理において使用される複数の特徴量を含むデータである。特徴量は、例えば教師データの統計値として得られてもよいし、複数の共通パターンとの類似性を示す情報として得られてもよいし、スパースコーディング(Sparse Coding)を用いて生成されてもよい。学習済みモデル記憶部133は、学習データを用いた学習処理によって得られる学習済みモデルのデータを記憶する。
【0024】
制御部14は、CPU(Central Processing Unit)等のプロセッサーとメモリーとを用いて構成される。制御部14は、プロセッサーがプログラムを実行することによって、情報取得部141、学習データ生成部142、学習部143及び出力制御部144として機能する。なお、制御部14の各機能の全て又は一部は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やPLD(Programmable Logic Device)やFPGA(Field Programmable Gate Array)等のハードウェアを用いて実現されても良い。上記のプログラムは、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピューター読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM、半導体記憶装置(例えばSSD:Solid State Drive)等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスクや半導体記憶装置等の記憶装置である。上記のプログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0025】
情報取得部141は、入力部11を介して、教師データを取得する。情報取得部141は、取得された教師データを教師データ記憶部131に記録する。
【0026】
学習データ生成部142は、教師データ記憶部131に記録されている教師データに対して所定の処理を行うことによって、複数の特徴量を有する学習データを生成する。学習データ生成部142は、生成された学習データを学習データ記憶部132に記録する。
【0027】
学習データ生成部142は、例えば、各単位教師データとして得られている生体データの時系列の値について統計値を取得し、取得された統計値を特徴量として用いることによって学習データを生成してもよい。このような統計値の具体例として、平均値、標準偏差、分散、最小値、最大値、第1四分位数、第3四分位数、四分位範囲などの値がある。学習データ生成部142は、例えば、24時間分の時系列の値を6時間毎に区切り、各区間での統計値を取得してもよい。
【0028】
学習データ生成部142は、例えば教師データとして得られている複数の単位教師データに共通する共通パターンを生成し、その共通パターンに対する類似性を示す値を特徴量として取得することで学習データを生成してもよい。以下、このような特徴量の取得方法の具体例について説明する。なお、以下の例では、単位教師データに含まれる時系列の値が24時間分の値であると仮定する。
【0029】
まず、各データ項目の時系列の値を所定の区間(例えば1時間、2時間など)に区切り、各区間での統計値を取得する。統計値の具体例は、上述したとおりである。例えば、データ項目が7種類あり、24時間分の時系列の値を1時間毎に区切って統計値を取得した場合には、1つの単位教師データにおいて7×24=168次元のベクトルが得られる。このようにして得られたベクトルを、以下の説明では単位教師ベクトルと呼ぶ。
【0030】
単位教師データが複数日分得られている場合には、各単位教師ベクトルを並べることによって、行列を生成する。教師データとして得られている各人物の行列をつなげ、主成分分析を実行することによって、固有ベクトルを取得する。取得された固有ベクトルは、所定の基準や設計者の判断等に応じて、一部が使用されなくてもよい。使用される固有ベクトルの集合が、複数の共通パターンとして使用される。
【0031】
学習データ生成部142は、このように得られた複数の共通パターン(複数の固有ベクトル)に対し、単位教師ベクトル毎に類似性示す値を取得する。例えば、学習データ生成部142は、固有ベクトルと単位教師ベクトルとの組合せ毎に内積を取得することによって特徴量を取得してもよい。また、学習データ生成部142は、各内積の平均と分散(又は標準偏差)とをそれぞれ特徴量として取得してもよい。この場合、得られる特徴量が“0”に近いほど単位教師ベクトルが共通パターンから乖離しており、得られる特徴量が“1”に近いほど単位教師ベクトルが共通パターンに類似している。このような特徴量が用いられることによって、複数の共通パターンのうちどの共通パターンに類似しているかを示す値を特徴量として用いることが可能となる。
【0032】
学習データ生成部142は、スパースコーディングを用いて得られた特徴量を用いて学習データを生成してもよい。この場合、スパースコーディングに用いられる辞書(基底ベクトルの集合)には、上述した主成分分析によって得られた共通パターン(固有ベクトルの集合)が用いられてもよい。
【0033】
学習データ生成部142は、上述した各特徴量のうち複数種類の特徴量を組み合わせて得られる学習データを生成してもよい。どの特徴量が学習データとして用いられるかについては、予め設計者によって定められてもよい。学習データ生成部142は、生成された学習データを学習データ記憶部132に記録する。
【0034】
学習部143は、学習データ生成部142によって生成された学習データ(学習データ記憶部132に記録されている学習データを含む。)を用いて、所定の学習モデルにしたがって学習処理を実行する。学習部143が使用する学習モデルは、予め定められる。学習部143が用いる学習モデルには、例えば決定木が用いられてもよいし、サポートベクターマシン(Support Vector Machine)が用いられてもよいし、他のアルゴリズムが用いられてもよい。学習部143が学習処理を行うことによって、学習データ生成部142によって行われた学習データの生成処理と同様の処理を行うことによって得られる入力データを用いて、その入力データの取得元となった人物の認知能力に関する情報を推定するための学習済みモデルが生成される。学習部143は、生成された学習済みモデルを学習済みモデル記憶部133に記録する。
【0035】
出力制御部144は、学習部143によって生成された学習済みモデル(学習済みモデル記憶部133に記憶されている学習済みモデルを含む。)を、出力部12を介して出力する。出力制御部144によって出力された学習済みモデルは、後述する推定装置20によって使用される。
【0036】
図2は、本発明の推定装置20の機能構成を示す概略ブロック図である。推定装置20は、推定対象の人物から得られた生体情報を含む推定対象データを用いて推定処理を行う。推定装置20は、推定処理の実行によって、推定対象者の認知能力に関する情報(認知情報)を推定する。推定装置20は、パーソナルコンピューターやサーバー装置等の情報処理装置を用いて構成される。推定装置20は、入力部21、出力部22、記憶部23及び制御部24を備える。
【0037】
入力部21は、推定対象データを推定装置20に入力する。入力部21は、例えばCD-ROMやUSBメモリー等の記録媒体に記録された推定対象データを記録媒体から読み出してもよい。また、入力部21は、ネットワークを介して他の装置から推定対象データを受信してもよい。入力部21は、推定対象データの入力を受けることが可能な構成であれば、さらに異なる態様で構成されてもよい。
【0038】
推定対象データは、学習データで用いられた教師データと同様のデータ項目の各値を有する。推定対象データは、例えば睡眠情報を含む場合には、推定対象者によって用いられているセンサーによって推定対象者の睡眠中に得られたデータを用いて構成されてもよい。
【0039】
出力部22は、情報を推定装置20から外部に出力する。出力部22は、例えばCD-ROMやUSBメモリー等の記録媒体に対して推定結果を示すデータを記録してもよい。また、出力部22は、ネットワークを介して他の装置に対し推定結果を示すデータを送信してもよい。出力部22は、推定結果を示すデータの出力を行うことが可能な構成であれば、さらに異なる態様で構成されてもよい。
【0040】
記憶部23は、磁気ハードディスク装置や半導体記憶装置等の記憶装置を用いて構成される。記憶部23は、制御部24によって使用されるデータや、制御部24によって生成されたデータを記憶する。例えば、記憶部23は、学習済みモデル記憶部231、推定対象データ記憶部232、推定データ記憶部233及び推定結果データ記憶部234として機能してもよい。
【0041】
学習済みモデル記憶部231は、学習済みモデルのデータを記憶する。学習済みモデルのデータは、例えば学習装置10によって生成された学習済みモデルのデータである。学習済みモデルのデータは、予め学習済みモデル記憶部231に記録されていてもよいし、入力部21から入力されてもよい。推定対象データ記憶部232は、入力部21から入力された推定対象データを記憶する。推定データ記憶部233は、制御部24の処理によって推定対象データに基づいて生成された推定データを記憶する。推定データは、推定処理において使用される複数の特徴量を含むデータである。推定データに含まれる特徴量は、学習装置10において学習データに用いられた特徴量と同じ処理を推定対象データに対して行うことによって得られる。推定結果データ記憶部234は、推定データを用いた推定処理によって得られる推定結果を示すデータを記憶する。
【0042】
制御部24は、CPU等のプロセッサーとメモリーとを用いて構成される。制御部24は、プロセッサーがプログラムを実行することによって、情報取得部241、推定データ生成部242、推定部243及び出力制御部244として機能する。なお、制御部24の各機能の全て又は一部は、ASICやPLDやFPGA等のハードウェアを用いて実現されても良い。上記のプログラムは、コンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されても良い。コンピューター読み取り可能な記録媒体とは、例えばフレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM、半導体記憶装置(例えばSSD)等の可搬媒体、コンピューターシステムに内蔵されるハードディスクや半導体記憶装置等の記憶装置である。上記のプログラムは、電気通信回線を介して送信されてもよい。
【0043】
情報取得部241は、入力部21を介して、推定対象データを取得する。情報取得部241は、取得された推定対象データを推定対象データ記憶部232に記録する。情報取得部241は、入力部21を介して学習済みモデルのデータを取得する場合には、取得された学習済みモデルのデータを学習済みモデル記憶部231に記録する。
【0044】
推定データ生成部242は、学習装置10の学習データ生成部142と同様の処理を推定対象データに対して行うことによって、推定データを生成する。そのため、生成される推定データの構成は、学習データと同様の構成となっている。すなわち、推定データに含まれるデータ項目の数(次元数)や各データ項目の種別(取得法)は、学習データのデータ項目の数や各データ項目の種別と一致する。例えば、学習データの生成において共通パターンが用いられる場合には、同じ共通パターンが推定データの生成において使用される。推定データ生成部242は、生成された推定データを推定データ記憶部233に記録する。
【0045】
推定部243は、推定データ生成部242によって生成された推定データ(推定データ記憶部233に記憶されている推定データを含む。)を学習済みモデルの入力値として用いることによって、推定処理を行う。推定部243は、推定処理の実行によって、推定対象者の認知能力に関する情報を取得する。例えば、推定部243は、推定対象者が所定の分類(例えば、MCI及び認知症とそれ以外という分類、MCI、認知症、健常のいずれかという分類など)のいずれに該当する可能性があるかを示す推定結果を取得してもよい。推定部243は、取得された推定結果を示すデータを、推定結果データ記憶部234に記録する。
【0046】
出力制御部244は、推定部243によって得られた推定結果を示すデータ(推定結果データ記憶部234に記憶されているデータを含む。)を、出力部22を介して出力する。出力制御部244は、例えば推定対象者が使用する端末装置や、推定対象者の関係者(例えば親族や担当医師等)等の端末装置へ推定結果のデータを送信してもよい。
【0047】
図3は、学習装置10の処理の流れの具体例を示すフローチャートである。学習データ生成部142は、取得されている教師データに対して前処理を実行することによって学習データを生成する(ステップS101)。学習部143は、学習データを用いて学習処理を実行する(ステップS102)。学習部143は、学習処理の実行によって得られる学習済みモデルのデータを学習済みモデル記憶部133に記録する(ステップS103)。出力制御部144は、学習済みモデルのデータを出力する(ステップS104)。
【0048】
図4は、推定装置20の処理の流れの具体例を示すフローチャートである。推定データ生成部242は、取得されている推定対象データに対して前処理を実行することによって推定データを生成する(ステップS201)。推定部243は、推定データを用いて推定処理を実行する(ステップS202)。推定部243は、推定処理の実行によって得られる推定結果のデータを推定結果データ記憶部234に記録する(ステップS203)。出力制御部244は、推定結果のデータを出力する(ステップS204)。
【0049】
このように構成された学習装置10及び推定装置20では、人の認知能力に関する情報をより高い精度で推定することが可能となる。
【0050】
例えば、学習装置10では、睡眠位相情報を用いて学習処理が行われ学習済みモデルが生成されてもよい。睡眠位相情報では、その人物が一日の中のどのような時間帯に睡眠をとっているかが表現される。一般的に、睡眠に関する行動や生体情報が認知能力に相関があることが知られている。そのため、このような睡眠に関する従来にない新たな特徴量が用いられることによって、人の認知能力に関する情報をより高い精度で推定することが可能となる。
【0051】
また、学習装置10では、共通パターンに対する類似性を示す値が特徴量として用いられる。一般的に、睡眠に関する行動や生体情報が認知能力に相関があることが知られている。そのため、このような睡眠や生体情報に関する従来にない新たな特徴量が用いられることによって、人の認知能力に関する情報をより高い精度で推定することが可能となる。
【0052】
以上、この発明の実施形態について図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【符号の説明】
【0053】
10…学習装置, 11…入力部, 12…出力部, 13…記憶部, 131…教師データ記憶部, 132…学習データ記憶部, 133…学習済みモデル記憶部, 14…制御部, 141…情報取得部, 142…学習データ生成部, 143…学習部, 144…出力制御部, 20…推定装置, 21…入力部, 22…出力部, 23…記憶部, 231…学習済みモデル記憶部, 232…推定対象データ記憶部, 233…推定データ記憶部, 234…推定結果データ記憶部, 24…制御部, 241…情報取得部, 242…推定データ生成部, 243…推定部, 244…出力制御部
図1
図2
図3
図4