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特開2022-157644車両姿勢制御装置および車高調整可能な車両
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157644
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】車両姿勢制御装置および車高調整可能な車両
(51)【国際特許分類】
   B60G 17/016 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
B60G17/016
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021061983
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 大治朗
(72)【発明者】
【氏名】森下 文寛
(72)【発明者】
【氏名】小澤 拓巳
(72)【発明者】
【氏名】松本 祐希
【テーマコード(参考)】
3D301
【Fターム(参考)】
3D301AA48
3D301AB16
3D301AB24
3D301DA14
3D301EA51
3D301EA54
3D301EA73
3D301EB04
(57)【要約】
【課題】車両が安定する高さで車高を調整して、車両の安定性を確保することができる。
【解決手段】車両100(車両姿勢制御装置)は、車体1における各車輪3の位置での車高を調整する車高調整装置5と、車高調整装置5による車高調整を制御する車高制御手段9と、車輪3のパンクを検知するパンク検知手段11と、車両1が走行中か停車中かを判定するECU10(停車判定手段)と、を備え、車高制御手段9は、パンク検知手段11が車輪3のパンクを検知し、かつ、ECU10が走行中と判定した場合、車両100が所定の車高になるように車高を調整する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体における各車輪の位置での車高を調整する車高調整装置と、
前記車高調整装置による車高調整を制御する車高制御手段と、
前記車輪のパンクを検知するパンク検知手段と、
車両が走行中か停車中かを判定する停車判定手段と、を備え、
前記車高制御手段は、
前記パンク検知手段が前記車輪のパンクを検知し、かつ、前記停車判定手段が走行中と判定した場合、前記車両が所定の車高になるように車高を調整する
ことを特徴とする車両姿勢制御装置。
【請求項2】
前記車高制御手段は、
前記パンク検知手段が前記車輪のパンクを検知し、かつ、前記停車判定手段が停車と判定した場合、前記車高調整装置による車高調整を停止する。
ことを特徴とする請求項1に記載の車両姿勢制御装置。
【請求項3】
前記停車判定手段は、
前記車両に搭載された変速機のシフトレンジのポジションがPレンジの時に停車中と判定する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両姿勢制御装置。
【請求項4】
前記所定の車高は、上下に所定の幅を備えた領域であり、
前記車高制御手段は、
前記パンク検知手段が前記車輪のパンクを検知し、かつ、前記停車判定手段が走行中と判定した場合は、前記領域内で車高を調整する
ことを特徴とする請求項1に記載の車両姿勢制御装置。
【請求項5】
車体における各車輪の位置での車高を調整する車高調整装置と、
前記車輪のパンクを検知するパンク検知手段と、
車両が走行中か停車中かを判定する停車判定手段と、
前記車高調整装置による車高調整を制御するとともに、
前記パンク検知手段が前記車輪のパンクを検知し、かつ、前記停車判定手段が走行中と判定した場合、前記車両が所定の車高になるように車高を調整する車高制御手段と、
を備えることを特徴とする車高調整可能な車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両姿勢制御装置および車高調整可能な車両に関する。
【背景技術】
【0002】
車高調整装置は、走行中、もしくは、目標車高が運転者により変更になったり、イグニッションスイッチがオンになったり、ドアやトランクが開いたりしたときに、車体の下部等と路面との距離を計測して、その距離が干渉危険距離と判定されると、目標車高を高く設定し、その目標車高に実車高が一致するように車高調整を行う。
【0003】
特許文献1には、タイヤがパンクした時に通常の車高制御を中止し、パンクしたタイヤとは反対側のタイヤの車高を下げる車両の制御方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭61-102303号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の車両の制御方法にあっては、パンクしたタイヤの反対側のタイヤの車高を下げた後は、車高制御を中止してしまっているため、車高が下がりすぎて安定性を欠く可能性があった。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、車両が安定する高さで車高を調整して、車両の安定性を確保することができる車両姿勢制御装置および車高調整可能な車両を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る車両姿勢制御装置は、車体における各車輪の位置での車高を調整する車高調整装置と、前記車高調整装置による車高調整を制御する車高制御手段と、前記車輪のパンクを検知するパンク検知手段と、車両が走行中か停車中かを判定する停車判定手段と、を備え、前記車高制御手段は、前記パンク検知手段が前記車輪のパンクを検知し、かつ、前記停車判定手段が走行中と判定した場合、前記車両が所定の車高になるように車高を調整することを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、車両が安定する高さで車高を調整して、車両の安定性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施形態に係る車両姿勢制御装置(車両)の構成図である。
図2】本発明の実施形態に係る車両姿勢制御装置(車両)の側面図である。
図3】本発明の実施形態に係る車両姿勢制御装置(車両)のブロック図である。
図4】本発明の実施形態に係る車両姿勢制御装置(車両)の車高調整機能の実行/停止の処理を示すフローチャートである。
図5】本発明の実施形態に係る車両姿勢制御装置(車両)の各積載時の自動車高調整を説明する図であり、(a)は定積の車両を示す図、(b)は偏積載の車両を示す図、(c)は自動車高調整を実行した車両を示す図である。
図6】本発明の実施形態に係る車両姿勢制御装置(車両)の自動車高調整を説明する図である。
図7】本発明の実施形態に係る車両姿勢制御装置(車両)のタイヤ交換等における車高調整を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し重複した説明を省略する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態に係る車両姿勢制御装置を搭載した車両100の構成図である。図2は、車両100の側面図である。車両姿勢制御装置が、車両100に広範囲に組み込まれ一体となっているので、車両そのものと考えてもよく、車両姿勢制御装置が、車両100に搭載されていると考えてもよい。
本実施形態の車両100は、ガソリン車であるが、ディーゼル車または電気自動車(ハイブリッド車および燃料電池車を含む。)であってもよい。
【0012】
図1および図2に示すように、車両100の車体1には、車輪3が前後左右に4個設置されている。車輪3は、左前輪3fl、左後輪3rl、右前輪3frおよび右後輪3rrとからなる。これら各車輪3は、4つのサスペンションアーム4を介して車体1に支持されており、各車輪3と車体1との間には、車高調整装置5が設けられている。
なお、本明細書では、4つの車輪3fr,3fl,3rr,3rlに対応して配置されている部材、例えば車輪速センサ2fr,2fl,2rr,2rl等については、それぞれを総称するときには符号の数字部分を用いる。また、個々の部材について言及するときは、その配置位置に応じて、符号にfr(右前)、fl(左前)、rr(右後)、rl(左後)のアルファベット部分を含む符号を用いて識別する。したがって、以下で総称するときは、例えば、「車輪3」といい、個々の部材(位置)を指示するときは、例えば「車輪3fr」等という。
【0013】
<車高調整装置5>
車高調整装置5は、車体1における各車輪3の位置での車高を調整する。
車高調整装置5は、エアサスペンション6と、車高センサ20(20fr,20fl,20rr,20rl)と、圧縮空気制御ユニット15と、を備える。
エアサスペンション6は、圧縮空気が供給されることで、各エアサスペンション6内の空気圧が調整され、車高調整装置5のストロークを変化させることで、車高を調整することができる。
【0014】
車高センサ20(20fr,20fl,20rr,20rl)は、4つの車輪3fr,3fl,3rr,3rlのエアサスペンション6に設けられる。車高センサ20は、車高調整装置5の伸縮した長さ(ストローク)を計測することができる。車高センサ20は、車輪3と車体1との相対的な位置関係に基づいて、車輪3fr,3fl,3rr,3rlの位置での車高Hfr,Hfl,Hrr,Hrlを検出する。車高Hfr,Hfl,Hrr,Hrlは、路面から車体1の下端までの距離を示す。
【0015】
図3は、車両姿勢制御装置(車両100)のブロック図である。
図3に示すように、圧縮空気制御ユニット15は、コンプレッサ30と、エアタンク31と、第1バルブ32~第7バルブ38と、圧力センサ39と、を備える。コンプレッサ30、エアタンク31、第1バルブ32~第7バルブ38、および圧力センサ39は、配管40により接続されている。
圧縮空気制御ユニット15は、車高制御手段9(図1参照)の起動に伴って起動し、車高制御手段9の停止に伴って停止する。圧縮空気制御ユニット15は、圧縮空気を発生させるコンプレッサ30と、開弁してその圧縮空気を各エアサスペンション6に供給し、閉弁して各エアサスペンション6に供給された圧縮空気を保持する第1バルブ32~第7バルブ38とを有している。
【0016】
エアサスペンション6は、車輪3毎に設けられるものである。各エアサスペンション6は、配管40を介してコンプレッサ30側から供給されるエアを空気室(図示省略)に収容することで車高を維持/調整する。
【0017】
コンプレッサ30は、ECU(Electronic Control Unit)10(後記)からの指令に基づいて配管40内のエアの圧力を調整する。第1バルブ32は、コンプレッサ30およびエアタンク31を結ぶ配管40上に配置される。第2バルブ33は、コンプレッサ30およびエアタンク31と各エアサスペンション6とを結ぶ配管40上に配置される。第3バルブ34は、大気と各エアサスペンション6とを結ぶ配管40上に配置される。第4バルブ35~第7バルブ38は、各エアサスペンション6の手前に配置され、第1バルブ32~第3バルブ34側からエアサスペンション6に対するエアの供給を制御する。
【0018】
圧力センサ39は、配管40内の圧力Pを検出する。本実施形態では、圧力センサ39により、各車輪3fl、3fr、3rl、3rrの圧力値を検出する。
【0019】
図1および図2に示すように、車両100には、車両100の全般にわたる各種の制御を実行する電子制御装置10(以下「ECU10」という。)と、車高調整装置5による車高調整の制御を実行する車高制御手段9と、パンク検知手段11と、が設けられている。
【0020】
<ECU10>
ECU10と、車高制御手段9とは、イグニッションスイッチIGのオン(ON)で起動(電源オン)し、イグニッションスイッチIGのオフ(OFF)で停止(電源オフ)する。ECU10は、イグニッションスイッチIGのオン(ON)で起動してから、イグニッションスイッチIGのオフ(OFF)で停止するまで、車両100の全般にわたる各種の制御を実行する。
【0021】
ECU10は、車両100が走行中か停車中かを判定する停車判定手段としての機能を有する。
ECU10は、車両1に搭載された変速機のシフトレンジのポジションがP(パーキング)レンジの時に停車中と判定する。
【0022】
<車高制御手段9>
車高制御手段9は、イグニッションスイッチIGのオン(ON)で起動してから、イグニッションスイッチIGのオフ(OFF)で停止するまで、車高調整装置5による車高調整の制御を実行する。
【0023】
図1および図2に示すように、車体1は、車輪速センサ2(2fr,2fl,2rr,2rl)を備える。
車輪速センサ2は、例えばブレーキロックを防止するシステム等に用いられる。この車輪速センサ2は、車輪3と同軸上に設置される磁気エンコーダの回転に伴う磁界の変化を磁気ピックアップによりパルス信号(車輪速検出信号)に変換する。このパルス信号(車輪速検出信号)は車高制御手段9に送信される。
【0024】
車高制御手段9は、車高センサ20が計測したストロークを取得し、取得したストロークに基づいて、車高(実車高)を算出することができる。車高制御手段9は、算出された車高が、予め記憶手段12に記憶させておいた目標車高になるように制御された車高調整を行う。
車高制御手段9は、パンク検知手段11が車輪3のパンクを検知し、かつ、ECU10(停車判定手段)が走行中と判定した場合、車両100が所定の車高になるように車高を調整する。
【0025】
車高制御手段9は、パンク検知手段11が車輪3のパンクを検知し、かつ、ECU10(停車判定手段)が停車と判定した場合、車高調整装置5による車高調整を停止する。
【0026】
車高制御手段9は、パンク検知手段11が車輪3のパンクを検知し、かつ、ECU10(停車判定手段)が走行中と判定した場合は、領域(図6の二点鎖線の囲みa参照)内で車高を調整する。
【0027】
車高調整は、車高制御手段9で車高調整装置5を制御することによって行われるが、車高制御手段9による制御は、圧縮空気制御ユニット15を介して行われている。
【0028】
なお、ECU10が、車高制御手段9を含んでいてもよく、パンク検知手段11からの信号を受信して、車高制御手段9を含むECU10全体が起動してもよい。
【0029】
<パンク検知手段11>
パンク検知手段11は、TPMS(Tire Pressure Monitoring System)を用いて、車輪のタイヤパンクを検知する。TPMSは、車輪速等に基づいて空気圧を間接的に検出するシステムであり、減圧したタイヤが車両走行時につぶれて動荷重半径が小さくなり、正常圧のタイヤよりも速く回転する現象を利用する。本実施形態では、車輪速センサ2(2fr,2fl,2rr,2rl)により検出した車輪速に基づいて、タイヤの空気圧を推定するとともに、所定値との比較により各車輪3のタイヤのパンクも検出する。なお、空気圧センサでタイヤの空気室の圧力を直接検出する直接式のものでもよい。
【0030】
以下、車両姿勢制御装置(車両)の車高調整機能の実行/停止の動作について説明する。
図4は、車両姿勢制御装置(車両)の車高調整機能の実行/停止の車高調整機能の継続/停止の処理を示すフローチャートである。
車両姿勢制御装置(車両)が車高調整機能制御を開始すると、ステップS1で車高制御手段9は、走行中の自動車高調整をONにし、車高調整装置5による車高調整の制御を実行する。
【0031】
走行中の自動車高調整をONにすることで、車高制御手段9は、車高調整装置5による車高調整の制御を実行する。走行中の動車高調整は、Driving modeに合わせた設定車高の変更であり、選択したDriving modeで目標車高を変化させる。また、車速と連動して車高を調整する。例えば、Driving modeがスポーティの場合は、重心高ダウンによるハンドリング特性向上がある。また、高速走行時には、車高を下げて、高速走行時の安定性の向上を図る。また、車速の連動による頻繁な車高の変更(車高の上げ下げ)を抑制するため車高変更にヒステリシスを設ける。さらに、安定性確保のため、段階的に車高を低減する。
【0032】
図5は、各積載時の自動車高調整を説明する図である。図5(a)は定積の車両を示し、図5(b)は偏積載の車両を示し、図5(c)は自動車高調整を実行した車両を示す。
図5に示すように、車高調整装置5は、エアサスペンション6(図1および図3参照)の高さを調整することにより、積載状態が変化した場合でも設定車高を常に保つ。車高制御手段9は、車高調整装置5を用いて、車両100の車高のずれが閾値以上に達した場合、閾値以内に入るようにエアサスペンション6の高さを調整する。
以上、走行中の自動車高調整ONについて述べた。
【0033】
図4のフローに戻って、ステップS2でECU10は、パンク検知手段11がTPMSのパンク状態検知信号を検知(車輪のタイヤパンクを検知)したか否かを判別する。
TPMSパンク状態検知信号を検知していない場合(S2:No)、ステップS3で車高制御手段9は、停車中(駐車中)の自動車高調整をONにしてステップS2に戻る。
【0034】
TPMSパンク状態検知信号を検知した場合(S2:Yes)、ステップS4でECU10は、車両100に搭載された変速機のシフトレンジのポジションのギアがPレンジであるか否かを判別する。ECU10は、停車判定手段としての機能を有しており、ギアがPレンジの時に駐車中と判定する。ギアがPレンジか否かを検知することで、運転者が車両から停止するという意思を明確に確認できる。
【0035】
ギアがPレンジでない場合(S4:No)、ステップS5で車高制御手段9は、操縦安定性が確保可能な車高であるか否かを判別する。操縦安定性が確保可能な車高である場合(S5:Yes)、ステップS2に戻る。
操縦安定性が確保可能な車高でない場合(S5:No)、ステップS6で車高制御手段9は、操縦安定性が確保可能な車高に調整して、ステップS2に戻る。走行中でも車両が安定する高さで車高を自動的に調整することで、車両の安定性を確保することができる。
【0036】
図6は、車両姿勢制御装置(車両)の自動車高調整を説明する図である。
図6に示すように、車高制御手段9は、上下幅を持った領域(図6の二点鎖線の囲みa参照)を有し、その領域(図6の二点鎖線の囲みa参照)の範囲内で車高を調整する。図6では、所定の領域は、車高調整0すなわち1Gに対して、上限をMid(X2)、下限をLo1(X1)に設定する。車高調整装置5による車高調整は、図6に示すようにHigh(X3)まで可能である(ただしX3>X2>X1)。しかし、車高制御手段9は、パンク検知手段11がパンクを検知し、かつ、車両100が走行中と判定した場合は、領域(図6の二点鎖線の囲みa参照)内で車高を調整する。上下幅を持った領域で自動的に車高を調整するので、パンクしている状態でも視認性と安定性向上(ここでは高速走行時の安定性向上)を両立した制御を行うことができる。
【0037】
また、車速の連動による頻繁な車高の変更(車高の上げ下げ)を抑制するため、車高変更にヒステリシスを設ける。図6では、車速<1>kph(時速)になると車高を下げるが(図6の符号b参照)、もとの車高に戻る場合には車速<1>kphではなく、車速が車速<2>kphまで下がる(ただし車速<1>>車速<2>)(図6の符号c参照)ことが復帰条件となる。
【0038】
図4のフローに戻って、ステップS4でギアがPレンジである場合(S4:Yes)、ステップS7で車高制御手段9は、駐車中の自動車高調整をOFFにしてステップS2に戻る。
【0039】
このように、車両100(車両姿勢制御装置)は、パンク検知信号でパンク状態を見極めた後(ステップS2参照)、停車中をPレンジであるかどうかで見分け(ステップS4参照)、Pレンジである場合(停車中である場合)車高調整をOFFにする(ステップS7参照)車両姿勢制御を行う。
【0040】
図7は、車両姿勢制御装置(車両)のタイヤ交換等における車高調整を説明する図である。
図7に示すように、ジャッキアップ中に車高調整機能が動作すると、エアバネ(エアサスペンション6)の空気を抜いてしまい、ジャッキ50が車体1から外せない可能性がある。従来は、パンクにおけるタイヤ交換等を行う場合、自動車高調整を手動で無効にする必要がある。
本実施形態では、図4のフローのステップS7において、車高制御手段9が、駐車中の自動車高調整をOFFにする。
これにより、自動車高調整が禁止(停止)されるので、運転者が特別な操作をすることなく車高調整を禁止することができ、運転者の手間を省くことができる。
【0041】
以上説明したように、本実施形態の車両100(車両姿勢制御装置)(図1参照)は、車体1における各車輪3の位置での車高を調整する車高調整装置5と、車高調整装置5による車高調整を制御する車高制御手段9と、車輪3のパンクを検知するパンク検知手段11と、車両100が走行中か停車中かを判定するECU10(停車判定手段)と、を備え、車高制御手段9は、パンク検知手段11が車輪3のパンクを検知し、かつ、ECU10(停車判定手段)が走行中と判定した場合、車両100が所定の車高になるように車高を調整する。
【0042】
この構成により、走行中でも車両が安定する高さで車高を自動的に調整することで、車両の安定性を確保することができる。
【0043】
車両100(車両姿勢制御装置)において、車高制御手段9は、パンク検知手段11が車輪3のパンクを検知し、かつ、ECU10が停車と判定した場合、車高調整装置5による車高調整を停止する。
【0044】
これにより、図7に示すタイヤ交換の作業時に、運転者は特別な操作をすることなく車高調整を禁止(停止)することができ、運転者の手間を省くことができる。
【0045】
車両100(車両姿勢制御装置)において、ECU10は、車両1に搭載された変速機のシフトレンジのポジションがPレンジの時に停車中と判定する。
【0046】
これにより、車両の停止が駐車による停止であるという運転者の意思を明確に確認できる。
【0047】
車両100(車両姿勢制御装置)において、所定の車高は、上下に所定の幅を備えた領域であり、車高制御手段9は、パンク検知手段11が車輪3のパンクを検知し、かつ、ECU10が走行中と判定した場合は、領域内で車高を調整する。
【0048】
これにより、上下幅を持った領域で自動的に車高を調整するので、パンクしている状態でも視認性と安定性を両立した制御を行うことができる。
【0049】
上記した実施形態例は本発明をわかりやすく説明するために詳細に説明したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0050】
1 車体
3,3fr,3fl,3rr,3rl 車輪
2,2fr,2fl,2rr,2rl 車輪速センサ
5 車高調整装置
6 エアサスペンション
9 車高制御手段
10 ECU(電子制御装置)(停車判定手段)
11 パンク検知手段
15 圧縮空気制御ユニット
20,20fr,20fl,20rr,20rl 車高センサ
30 コンプレッサ
31 エアタンク
32~38 第1バルブ~第7バルブ
39 圧力センサ
100 車両姿勢制御装置(車両)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7