(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157665
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】板材搬入出装置
(51)【国際特許分類】
B23K 26/70 20140101AFI20221006BHJP
B08B 1/02 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
B23K26/70
B08B1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021062018
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】390014672
【氏名又は名称】株式会社アマダ
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】明山 衆保
(72)【発明者】
【氏名】廣野 純
【テーマコード(参考)】
3B116
4E168
【Fターム(参考)】
3B116AA02
3B116AA47
3B116AB07
3B116AB37
3B116AB43
3B116BA02
3B116BA03
3B116BA23
3B116BA35
4E168GA01
4E168GA02
4E168JA02
(57)【要約】
【課題】加工パレットにおけるスキッドに固着した付着物を確実に除去することができる板材搬入出装置を提供する。
【解決手段】板材搬入出装置1は、収納ラック2と、板材を支持するスキッド15を複数有し、加工パレット収納部6に収納される加工パレット10と、収納ラック2の一側に昇降可能に設けられたリフタ20と、リフタ20に収納ラック2に対して接近離反する方向へ移動可能に設けられ、加工パレット10を保持可能であって、加工パレット10をリフタ20に出し入れるトラバーサ30と、加工パレット収納部6に収納された空の加工パレット10に対して昇降可能に設けられ、リフタ20に加工パレット収納部6から空の加工パレット10を引き入れる際に降下することで、空の加工パレット10におけるスキッド15に接触してスキッド15に付着した付着物を除去するブラシとガイドスクレーパ及びクリーニングスクレーパと、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ加工機の近傍に立設され、加工パレット収納部を有した収納ラックと、
板材を先端の尖った多数の支持部で支持するスキッドを複数有し、前記加工パレット収納部に収納される加工パレットと、
前記収納ラックに対して接近離反する方向へ移動可能に設けられ、前記加工パレットを保持可能であって、前記加工パレットを前記リフタに出し入れて前記加工パレット上の前記板材を搬出入するトラバーサと、
前記トラバーサにより前記加工パレット収納部から前記空の加工パレットを引き入れる際又は前記加工パレット収納部に前記空の加工パレットを送り出す際に、前記空の加工パレットにおける前記スキッドに接触して前記スキッドに付着した付着物を除去する複数の清掃部材と、を備え、
前記複数の清掃部材は、前記スキッドが挿入されるスリットを有したガイドスクレーパと、前記スキッドの支持部に接触することで前記付着物を除去するスクレーパ部を下側に有したクリーニングスクレーパと、からなる板材搬入出装置。
【請求項2】
前記複数の清掃部材は、前側から前記ブラシと前記ガイドスクレーパと前記クリーニングスクレーパの順に配置されている、請求項1に記載の板材搬入出装置。
【請求項3】
前記収納ラックは、昇降可能に設けられた昇降フレームを備え、
前記昇降フレームには、複数の清掃ユニットが取り付けられ、
前記清掃ユニットは、
前記昇降フレームにヒンジを介して取り付けられた取付ブラケットと、
前記取付ブラケットの前側に取り付けられた第1ブラシと、
前記取付ブラケットの後側に順に取り付けられた第2ブラシと前記ガイドスクレーパ及び前記クリーニングスクレーパと、
前記取付ブラケットと前記昇降フレームの間に介在され、前記取付ブラケットを前記昇降フレーム側に付勢する弾性部材と、
を備えている、請求項1又は2に記載の板材搬入出装置。
【請求項4】
前記ガイドスクレーパは、前記スリットの開口部に前記スキッドを案内する傾斜部を有する、請求項1から3のいずれか1項に記載の板材搬入出装置。
【請求項5】
前記クリーニングスクレーパは、前記取付ブラケットの後側に取り付けられる取付部と、前記取付部の下端にL字状に折り曲げられた幅広の前記スクレーパ部と、を有する請求項1から3のいずれか1項に記載の板材搬入出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、板材搬入出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の板材搬入出装置として、特許文献1に開示されたものがある。この板材搬入出装置は、レーザ加工機の近傍に立設された収納ラックと、収納ラックの一側に昇降可能に設けられたエレベータと、エレベータに加工テーブルを出し入れるトラバーサと、収納ラックの一側近傍に設けられ、スキッドを清掃するブラシとを備えている。このブラシは、トラバーサによってテーブル待機部からエレベータに空の加工テーブルを引き入れると、空の加工テーブルにおける複数のスキッドの全ての支持部を接触によって清掃するように構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記従来の板材搬入出装置では、スキッドに強く固着した溶融物やスキッドの支持部に溶着したスクラップ等の付着物にブラシが接触した際に、ブラシの先端側が上方に変形してしまうため、十分な除去効果が見込めない。
【0005】
そこで、本発明の一態様は、前記した課題を解決すべくなされたものであり、加工パレットにおける複数のスキッドに強く固着した付着物を簡単かつ確実に除去して清掃することができる板材搬入出装置にある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、レーザ加工機の近傍に立設され、加工パレット収納部を有した収納ラックと、板材を先端の尖った多数の支持部で支持するスキッドを複数有し、前記加工パレット収納部に収納される加工パレットと、前記収納ラックの一側に昇降可能に設けられたリフタと、前記リフタに前記収納ラックに対して接近離反する方向へ移動可能に設けられ、前記加工パレットを保持可能であって、前記加工パレットを前記リフタに出し入れて前記加工パレット上の前記板材を搬出入するトラバーサと、前記加工パレット収納部に収納された空の前記加工パレットに対して昇降可能に設けられ、前記リフタに前記加工パレット収納部から前記空の加工パレットを引き入れる際又は前記リフタから前記加工パレット収納部に前記空の加工パレットを送り出す際に降下することで、前記空の加工パレットにおける前記スキッドに接触して前記スキッドに付着した付着物を除去する複数の清掃部材と、を備える板材搬入出装置であって、前記複数の清掃部材は、全ての前記スキッドの支持部及び両側面に接触することで前記付着物を除去するブラシと、前記スキッドが挿入されるスリットを有したガイドスクレーパと、下側に前記スキッドの支持部に接触することで前記付着物を除去するスクレーパ部を有したクリーニングスクレーパと、からなるものである。そして、この一態様により、ガイドスクレーパによりスキッドの側面に付着した付着物が削り取られ、また、クリーニングスクレーパによりスキッド上に付着した付着物が削り取られることで、スキッドに強く固着した付着物が簡単かつ確実に除去されて清掃される。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一態様によれば、加工パレットにおける複数のスキッドに強く固着した付着物を簡単かつ確実に除去して清掃することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は本発明の実施形態に係る板材搬入出装置の一例を示す斜視図である。
【
図2】
図2は板材搬入出装置の清掃ユニット群の斜視図である。
【
図3】
図3は清掃ユニットを後方から見た斜視図である。
【
図4】
図4は清掃ユニットが加工パレットのスキッドに降下する前の状態を示す正面図である。
【
図5】
図5は清掃ユニットのガイドスクレーパの要部の拡大正面図である。
【
図6】
図6は清掃ユニットが加工パレットのスキッドに降下する前の状態を一部断面で示す側面図である。
【
図7】
図7は清掃ユニットが加工パレットのスキッドに降下した状態を一部断面で示す側面図である。
【
図8】
図8は清掃ユニットが加工パレットのスキッドに降下した状態を示す正面図である。
【
図9】
図9(a)は清掃ユニットの清掃状態を一部断面で示す側面図、
図9(b)は同清掃ユニットがスキッドの支持部に強固に溶着された溶着スクラップ等に当たって退避した状態を一部断面で示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を用いて本発明の実施形態に係る板材搬入出装置について詳細に説明する。
【0010】
図1は本発明の実施形態に係る板材搬入出装置の一例を示す斜視図である。
図2は板材搬入出装置の清掃ユニット群の斜視図である。
図3は掃ユニットを後方から見た斜視図である。
図4は清掃ユニットが加工パレットのスキッドに降下する前の状態を示す正面図である。
図5は清掃ユニットのガイドスクレーパの要部の拡大正面図である。
図6は清掃ユニットが加工パレットのスキッドに降下する前の状態を一部断面で示す側面図である。
図7は清掃ユニットが加工パレットのスキッドに降下した状態を一部断面で示す側面図である。
図8は清掃ユニットが加工パレットのスキッドに降下した状態を示す正面図である。
図9(a)は清掃ユニットの清掃状態を一部断面で示す側面図である。
図9(b)は清掃ユニットがスキッドの支持部に強固に溶着された溶着スクラップ等に当たって退避した状態を一部断面で示す側面図である。なお、
図1、
図3、
図4、
図8中において、「FF」は前方向を、「FR」は後方向を、「L」は左方向を、「R」は右方向を、「X」は左右方向を、「Y」は前後方向をそれぞれ指している。
【0011】
図1に示すように、この実施形態に係わる板材搬入出装置1は、収納ラック2の加工パレット収納部6に収納される加工パレット10を用い、レーザ加工機に対して鉄製の板材(いずれも図示省略)を搬入したり、加工済みの板材を搬出したりする装置である。
【0012】
詳述すると、この実施形態に係わる板材搬入出装置1は、レーザ加工機の近傍に立設され、加工パレット収納部6を有した収納ラック2と、板材を先端の尖った多数の支持部15aで支持するスキッド15を複数有し、加工パレット収納部6に収納される加工パレット10と、収納ラック2に対して接近離反する方向へ移動可能に設けられ、加工パレット10を保持可能であって、加工パレット10をリフタ20に出し入れて加工パレット10上の板材を搬出入するトラバーサ30と、トラバーサ30により加工パレット収納部6から空の加工パレット10を引き入れる際又は加工パレット収納部6に空の加工パレット10を送り出す際に、空の加工パレット10におけるスキッド15に接触してスキッド15に付着した付着物17を除去する複数の清掃部材と、を備え、複数の清掃部材は、スキッド15が挿入されるスリット57bを有したガイドスクレーパ57と、スキッド15の支持部15aに接触することで付着物17を除去するスクレーパ部58bを下側に有したクリーニングスクレーパ58と、を有している。以下、板材搬入出装置1の具体的な構成について説明する。
【0013】
図1に示すように、板材搬入出装置1は、収納ラック2と、加工パレット10と、リフタ20と、トラバーサ30と、昇降フレーム40と、昇降フレーム40に取り付けられ、スキッド15に付着した付着物を除去する複数の清掃ユニット50と、を備えている。つまり、板材搬入出装置1は、収納ラック2内で加工パレット10が移動する範囲である経路K(
図1では加工パレット10の後ろ側端部を基準として加工パレット10の移動範囲を図示)上を移動する際に、加工パレット10上で昇降動する複数の清掃ユニット50により、収納ラック2の加工パレット収納部6から加工する前の板材や加工後の板材が載置されていない空の加工パレット10をリフタ20に引き入れる際に、スキッド15に付着した付着物を除去するものである。
【0014】
収納ラック2は、レーザ加工機の近傍に立設され、上下方向に延びた4本の支柱3と、左右両側に位置する各2本の支柱3,3間に架け渡された4本の短架材4と、前後両側に位置する各2本の支柱3,3間に架け渡される4本の長架材5により構成されている。なお、支柱3や各架材4,5の数やサイズは収納ラック2の仕様により異なる。この収納ラック2は、中段に加工パレット10を収納する加工パレット収納部6を有している。また、レーザ加工機は、収納ラック2の左側(左方向L)または右側(右方向R)近傍に設置されている。さらに、加工パレット収納部6は、例えば、特開2001-97505号公報に示すように公知であるため、加工パレット収納部6の詳細な構成は省略する。
【0015】
図1、
図4に示すように、加工パレット10は、枠形のパレットベース11を備えており、このパレットベース11上には、左右方向Xに長い複数の枕部材12が前後方向Yに適宜間隔に備えられている。この複数の枕部材12上には、前後方向Yに長い複数のスキッド15が左右方向Xに等間隔に備えられている。
図6に示すように、各スキッド15は、上部に先端の尖った多数(鋸刃状)の支持部15aを有しており、この多数の支持部15aで板材の下面が線又は点で支持されるようになっている。そして、加工パレット10は、収納ラック2の加工パレット収納部6に収納されるようになっている。
【0016】
そして、加工パレット10におけるスキッド15上に板材を水平に載置して加工パレット10をレーザ加工機に搬入しレーザ加工を行うと、レーザ加工機のレーザ加工ヘッドに備えたノズルから噴出されるアシストガスによってドロス等の溶融物が下方向へ吹き飛ばされる。この吹き飛ばしによって、溶融物が冷やされ溶着物としての付着物がスキッド15の支持部15aや両側面15b,15bに付着する。また、切断されたスクラップ等が溶融物と共にスキッド15の支持部15aや両側面15b,15bに付着物として付着する。加工パレット10内のスキッド15は、前後方向Yに沿ってレーザ加工を行うときに、常時一つのスキッド15上を移動して溶融物や溶着物が連続してスキッド15上に付かないように左右方向Xに湾曲した状態で取り付けられている。また、スキッド15に付着物が多く付着する前に除去しないと、次の板材の一部が盛り上がるように支持されることがあるため、後述する清掃ユニット50により、スキッド15に付着した付着物を除去するようにしている。
【0017】
図1に示すように、リフタ20は、収納ラック2の前側に昇降可能に設けられており、収納ラック2の上部に設けられたリフタ用モータ(図示省略)により昇降するようになっている。また、リフタ20には、加工パレット10をリフタ20に対して出し入れするトラバーサ30が収納ラック2に接近離反する前後方向Yへ移動可能に設けられている。このトラバーサ30は、自走モータ(図示省略)によって前後方向Yへ移動するものであって、加工パレット10を保持可能である。この加工パレット10をリフタ20に出し入れて、加工パレット10上の板材を搬出入するようになっている。なお、リフタ20及びトラバーサ30は、例えば、特開2001-113392号公報及び特開平11-254165号公報に示すように公知であるため、リフタ20及びトラバーサ30の詳細な構成は省略する。
【0018】
図1に示すように、昇降フレーム40は、収納ラック2内から加工パレット10が移動する範囲である経路K上を移動する際に、加工パレット10と接触するように昇降可能に設けられている。詳述すると、
図1、
図2に示すように、昇降フレーム40は、昇降フレーム40の両端に固定されたブラケット41を介して収納ラック2の前両側に位置する2本の支柱3,3に備えられた空圧シリンダ(アクチュエータ)42によって上下動するようになっている。なお、昇降フレーム40は、両側に配置されたガイドバー43によって垂直に上下動するように案内されている。
【0019】
図1、
図2、
図3に示すように、複数の清掃ユニット50は、昇降フレーム40の前面40aに取り付けられている。そして、空の加工パレット10が収納ラック2内から加工パレット10が移動する範囲である経路K上を移動する際に、上下動自在な昇降フレーム40に取り付けられた複数の清掃ユニット50が加工パレット10のスキッド15上に降下するようになっている。各清掃ユニット50は、取付ブラケット51と、ヒンジ52と、第1取付板54に固定された第1ブラシ53と、第2取付板56に固定された第2ブラシ55と、ガイドスクレーパ57と、クリーニングスクレーパ58と、引張りコイルバネ59と、を備えている。そして、
図3、
図6に示すように、各清掃ユニット50は、複数の清掃部材として、前側から順に第1ブラシ53及び第2ブラシ55とガイドスクレーパ57とクリーニングスクレーパ58とを備えている。
【0020】
図2、
図6に示すように、取付ブラケット51は、矩形板状に形成されていて、ヒンジ52を介して昇降フレーム40の前面40a側に取り付けられている。このヒンジ52は、取付ブラケット51の前面51aにボルト60で固定され、かつ回転軸52aと共に回動する可動ブラケット52bと、回転軸52aを回動自在に支承し、かつ昇降フレーム40の上面40bに固定された固定ブラケット52cと、を備える。なお、
図1、
図2に示すように、取付ブラケット51は、各一対のヒンジ52,52を介して、昇降フレーム40の前面40aの両端間において僅かの隙間を有して複数箇所に取り付けられている。
【0021】
図2、
図3、
図6に示すように、第1ブラシ53は、横長板状の第1取付板54に等間隔毎に複数固定されている。また、この第1取付板54には、等間隔毎に複数の長孔54aが形成されていて、取付ブラケット51の前面51aにおいてボルト61とナット62を介して固定されている。そして、第1ブラシ53は、加工パレット10内において左右方向Xに湾曲した状態で取り付けられた全てのスキッド15のスキッド15の支持部15aと両側面15b,15bに接触し、スキッド15に付着した溶融物等の付着物17を除去するようになっている。
【0022】
図2、
図3、
図6に示すように、第2ブラシ55は、横長板状の第2取付板56に等間隔毎に複数固定されている。また、この第2取付板56には、等間隔毎に複数の長孔56aが形成されていて、取付ブラケット51の後面51bにおいてボルト61とナット62を介して固定されている。そして、第2ブラシ55は、湾曲した全てのスキッド15のスキッド15の支持部15aと両側面15b,15bに接触し、スキッド15に付着した溶融物等の付着物17を除去するようになっている。これら複数の第1ブラシ53を固定した第1取付板54と複数の第2ブラシ55を固定した第2取付板56とが取付ブラケット51を挟むように取り付けられることで、ブラシアッシーが構成される。
【0023】
図3、
図4、
図6に示すように、ガイドスクレーパ57は、矩形板状に形成されていて、スキッド15の両側面15b,15bに付着した溶融物17を削り取るものである。このガイドスクレーパ57の両側には、長孔57aが形成されていて、取付ブラケット51に取り付けられた第2ブラシ55の後方において第1取付板54で用いるボルト61とナット65を介して左右方向Xにスライド移動自在に設けられている。また、ガイドスクレーパ57は、下端から中央にかけてスキッド15が挿入されるスリット57bを等間隔毎に複数有している。このスリット57bの開口部57cには、スキッド15を案内する一対の傾斜部57d,57dを有している。そして、ガイドスクレーパ57は、湾曲したスキッド15のスキッド15の支持部15aと両側面15b,15bに接触し、スキッド15に付着した溶融物等の付着物17を除去するようになっている。
【0024】
次に、ガイドスクレーパ57のスリット57bの深さ、スリット57bの幅、下降位置について詳述すると、スキッド15の谷の部分に付着物が堆積すると、この付着物によるレーザ加工に影響し加工品質が低下するので、加工品質を維持するために、ガイドスクレーパ57のスリット57bの深さは、スキッド15の谷より下に行く程度の深さとしてある。また、ガイドスクレーパ57のスリット57bの幅は、スキッド15の湾曲形状や、変形している場合や、付着物が多く堆積している場合など、各ブラシ53,55とスキッド15や付着物とのかじりなどの不具合を考慮した場合は、ある程度の余裕を持った幅が望ましい。例えば、スリット57bの幅は、スキッド15の厚みの2枚程度の幅としてある。また、スリット57bの幅は、かじらない範囲でより狭い方が望ましい。さらに、ガイドスクレーパ57の下降する位置は、スリット57bの深さにスキッド15の支持部15aの先端が当たらない程度の位置までとしてある。この位置まで下降することにより、スキッド15の下方側面15bの付着物も確実に除去することができる。
【0025】
図3、
図6に示すように、クリーニングスクレーパ58は、スキッド15上に付着したスクラップ(付着物)18を削り取るものであり、取付ブラケット51に取り付けられた第2ブラシ55の後方に取り付けられる矩形板状の取付部58aと、この取付部58aの下端にL字状に折り曲げられた幅広のスクレーパ部58bと、を有する。この取付部58aの両側には、長孔(図示省略)が形成されていて、ガイドスクレーパ57の後側において第1取付板54で用いるボルト61とナット65を介して左右方向Xにスライド移動自在に設けられている。また、スクレーパ部58bは、スリット58cで区分けされて複数設けられている。そして、クリーニングスクレーパ58の複数のスクレーパ部58bは、湾曲したスキッド15の支持部15aに接触し、スキッド15の支持部15aに付着した溶融物等の付着物17を除去するようになっている。なお、
図3に示すように、ガイドスクレーパ57とクリーニングスクレーパ58は、取付ブラケット51の後方において重なり合うように同じボルト63とナット64を介して取り付けられていると共に、間隔をおいて複数箇所に配置されている。また、L字状に折り曲げられた幅広のスクレーパ部58bの長さは、溶着物を除去させるために、溶着物より大きい10~15mm程度が望ましい。
【0026】
図6、
図8に示すように、取付ブラケット51と昇降フレーム40の背面40c側に固定された固定ブラケット44との間には、引張りコイルバネ(弾性部材)59が介在されている。この引張りコイルバネ59は、清掃ユニット50を昇降フレーム40側に引っ張り付勢する弾性部材である。そして、
図9(b)に示すように、付着物17を除去する際に清掃ユニット50に過負荷が掛かると、引張りコイルバネ59の付勢力に抗してヒンジ52により上方へ揺動することで、加工パレット10内のスキッド15から退避するようになっている。なお、昇降フレーム40の前面40aには、取付ブラケット51の後面51bに当たる緩衝板45が取り付けられている。
【0027】
以上実施形態の板材搬入出装置1によれば、レーザ加工機から加工が終わった製品の加工パレット10を収納ラック2へ搬出し、加工パレット10上の製品を取り出すことで空の加工パレット10となる。この空の加工パレット10をリフタ20上に移動する際に加工パレット10の清掃を実施し、収納ラック2内の加工前の素材をセットする位置に移動させて次の材料を積載する。空の加工パレット10が収納ラック2の加工パレット収納部6からリフタ20上に移動する際に、トラバーサ30上に加工パレット10が入ったことをセンサ(図示せず)で検出する。この検出センサはトラバーサ30の後ろ側端部に備えられている。
図3に示すように、センサの検出により清掃ユニット50が降下する。清掃ユニット50の降下は枕部材12及びクランプ13と干渉しないタイミングで行われる。そして、
図7、
図8に示すように、清掃ユニット50の各ブラシ53,55及びガイドスクレーパ57のスリット57bに加工パレット10内のスキッド15が差し込まれ、各ブラシ53,55及びガイドスクレーパ57がスキッド15にそれぞれ接触する。この接触により、スキッド15の支持部15a及び両側面15b,15bに付着した付着物17を除去する。さらに、トラバーサ30の前側端部にはセンサ(図示せず)が備えられており、このセンサが検出したタイミングで清掃ユニット50を上昇させている。よって、清掃作業を行う際に、枕部材12とクランプ13との干渉を確実に避けることができる。
【0028】
この清掃ユニット50による除去動作を詳述すると、まず、
図9(a)に示すように、スキッド15の支持部15aに付着した付着物17に清掃ユニット50が当たり、一定の負荷がかかるとヒンジ52が開き、各スクレーパ57,58に角度がつく。この角度がついた各スクレーパ57,58によって、斜め上方に力Fがかかり、スキッド15の支持部15aに付着した付着物17がまずクリーニングスクレーパ58の複数のスクレーパ部58bによって清掃される。また、ガイドスクレーパ57が各ブラシ53,55より先にスキッド15の両側面15b,15bに付着した溶融物17がガイドスクレーパ57と接触することにより除去されるため、その後の各ブラシ53,55による清掃において、各ブラシ53,55の変形が抑えられる。これらにより、レーザ加工後、スキッド15の支持部15aと側面15bに強く固着した付着物17を簡単かつ確実に除去して清掃することができる。また、ガイドスクレーパ57とクリーニングスクレーパ58によって連続的に除去動作が行われるため、スクレーパが一枚のものよりも除去機能を向上させることができる。
【0029】
また、加工パレット10内のスキッド15は、左右方向Xに湾曲した状態で取り付けられている。このため、
図4、
図8に示すように、ガイドスクレーパ57の両側には長孔57aを形成してあり、取付ブラケット51に対して左右方向Xにスライド移動することで、ガイドスクレーパ57は、湾曲したスキッド15に追従して左右方向Xに動く。同様にして、クリーニングスクレーパ58も湾曲したスキッド15に追従して左右方向Xに動く。これにより、ガイドスクレーパ57は、湾曲したスキッド15のスキッド15の支持部15aと両側面15b,15bに接触し、スキッド15に付着した付着物17を除去する。また、清掃ユニット50の降下時に、ガイドスクレーパ57は、スリット57bの開口側の傾斜部57dにより湾曲したスキッド15に案内されて位置決めされ、スキッド15の左右方向Xの変形にフレキシブルに対応できる。よって、スライド移動するガイドスクレーパ57で、湾曲したスキッド15に付着した付着物17も簡単かつ確実に除去することができ、次の板材をレーザ加工する際に、板材の一部が盛り上がるように支持されることがないため、高品質の製品を作ることができる。
【0030】
さらに、
図9(b)に示すように、スキッド15の支持部15aに強く固着した溶着スクラップ等の付着物17やスキッド15の変形過多により、クリーニング動作中に清掃ユニット50に強く負荷がかかる場合がある。この場合、引張りコイルバネ59の付勢力に抗してヒンジ52により清掃ユニット50が上方へ揺動して退避するため、過負荷によるガイドスクレーパ57やクリーニングスクレーパ58の破壊と、各ブラシ53,55やスキッド15の変形を防ぐことができる。
【0031】
このように、スキッド15の側面15bに差し込まれる清掃ユニット50の各ブラシ53,55やガイドスクレーパ57の複数の清掃部材によって、従来のブラシだけでは除去できない付着物17を確実に除去することができる。また、スキッド15の湾曲に対して清掃ユニット50の複数の清掃部材が追従して動くため、除去機能が向上する。さらに、過負荷時に清掃ユニット50がスキッド15上へ回避することで、スキッド15や清掃ユニット50の破壊を防げる。
【0032】
以上、本実施形態を説明したが、本実施形態はこれらに限定されるものではなく、本実施形態の要旨の範囲内で種々の変形が可能である。
【0033】
すなわち、前記実施形態によれば、リフタに収納ラックの加工パレット収納部から空の加工パレットを引き入れる際に付着物を除去するようにしたが、リフタから加工パレット収納部に空の加工パレットを送り出す際に付着物を除去するようにして良い。
【0034】
また、前記実施形態によれば、湾曲したスキッドに対してブラシやガイドスクレーパ及びクリーニングスクレーパを個別に左右方向にスライド移動するようにしたが、湾曲したスキッドに対して清掃ユニット全体をスライド移動させて追従させるようにしても良い。この場合、清掃ユニットの取付ブラケットにスライダー用の溝として長孔を形成し、清掃ユニットをスライド移動させたり、清掃ユニットをリニアガイドブロックに取り付けて、リニア移動させるようにする。
【0035】
さらに、前記実施形態によれば、収納ラックの加工パレット収納部から空の加工パレットを出し入れする際にスキッドの付着物を除去するようにしたが、収納ラック内の加工パレット収納部において清掃ユニット自体が経路上を移動することによりスキッドの付着物を除去するようにして良い。
【符号の説明】
【0036】
1 板材搬入出装置
2 収納ラック
6 加工パレット収納部
10 加工パレット
15 スキッド
15a 支持部
15b,15b 両側面
17 溶融物(付着物)
20 リフタ
30 トラバーサ
40 昇降フレーム
50 清掃ユニット
51 取付ブラケット
52 ヒンジ
53 第1ブラシ(ブラシ:清掃部材)
55 第2ブラシ(ブラシ:清掃部材)
57 ガイドスクレーパ
57b スリット
57c 開口部
57d 傾斜部
58 クリーニングスクレーパ
58a 取付部
58b スクレーパ部
59 引張り圧縮コイルバネ(弾性部材)
X 加工パレットの左右方向(移動方向に交差する方向)
Y 加工パレットの前後方向(移動方向)
K 加工パレットの移動経路