(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157685
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】液晶表示装置及び表示装置
(51)【国際特許分類】
G02F 1/13 20060101AFI20221006BHJP
G02F 1/1347 20060101ALI20221006BHJP
G02B 30/32 20200101ALI20221006BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
G02F1/13 505
G02F1/1347
G02B30/32
G09F9/00 313
G09F9/00 361
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021062043
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】502356528
【氏名又は名称】株式会社ジャパンディスプレイ
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小糸 健夫
【テーマコード(参考)】
2H088
2H189
2H199
5G435
【Fターム(参考)】
2H088EA06
2H088EA42
2H088HA02
2H088HA12
2H088HA14
2H088HA17
2H088HA18
2H088JA05
2H088JA11
2H088MA01
2H189AA22
2H189JA05
2H189JA14
2H189LA03
2H189LA14
2H189LA15
2H189LA16
2H189LA17
2H189NA13
2H199BA09
2H199BA49
2H199BB09
2H199BB10
2H199BB42
2H199BB43
2H199BB52
2H199BB66
5G435AA00
5G435BB12
5G435BB15
5G435CC09
5G435DD11
5G435FF02
5G435FF13
(57)【要約】
【課題】液晶パネルによる視差バリアの形成と視域の確保とを両立できる液晶表示装置を提供する。
【解決手段】液晶表示装置は、背面側からの光を利用して画像を表示する第1パネル40と、第1パネル40の背面側から光を照射するバックライトと、第1パネル40が出力する画像を視差画像として視認させるように光の出射範囲を限定する第2パネル10と、を備える。第2パネル10は、液晶層16を挟んで対向する透光性電極141,142,…,14k,151,152と対向電極21とを備える。透光性電極141,142,…,14k,151,152は、第1方向Dxに並び、第1状態である液晶と、第2状態である液晶と、が第1方向Dxに交互に生じるように電位を与えられる。第1状態は、光を遮る状態である。第2状態は、液晶レンズとして機能する状態である。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
背面側からの光を利用して画像を表示する第1パネルと、
前記第1パネルの背面側から光を照射するバックライトと、
前記第1パネルが出力する画像を視差画像として視認させるように前記光の出射範囲を限定する第2パネルと、を備え、
前記第2パネルは、電位を個別に制御可能に設けられた複数の第1電極と、液晶を挟んで前記複数の第1電極と対向する位置に設けられた第2電極と、を備え、
前記複数の第1電極は、前記第2パネルに沿う第1方向に並び、
前記複数の第1電極は、第1状態である液晶と、第2状態である液晶と、が前記第1方向に交互に生じるように電位を与えられ、
前記第1状態は、光を遮る状態であり、
前記第2状態は、光を透過し、かつ、前記バックライト側から入射する光の屈折率分布を変化させる状態である、
液晶表示装置。
【請求項2】
前記第1電極及び前記第2電極は、透光性を有する、
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記複数の第1電極のうち、前記第1状態である液晶に対応する配置の電極は、遮光性を有する、
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記複数の第1電極のうち、前記液晶を挟んで前記第1状態である液晶に対応する配置の電極と対向する位置に遮光部が設けられる、
請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記複数の第1電極のうち、前記第1状態である液晶を生じさせる一部の電極は、前記第2状態である液晶を生じさせる他の一部の電極よりも前記第1方向の幅が大きい電極を含む、
請求項1から4のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記複数の第1電極のうち、前記第1状態である液晶を生じさせる一部の電極は、前記第2状態である液晶を生じさせる他の一部の電極と前記第1方向の幅が同じ電極を含む、
請求項1から4のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記複数の第1電極は、前記第2パネルに沿い、かつ、前記第1方向及び第2方向に交差する方向に延出し、
前記第2方向は、前記第2パネルに沿い、かつ、前記第1方向と直交する方向である、
請求項1から6のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記バックライトと第1パネルの間に第1偏光板が設けられ、
前記第1パネルと第2パネルの間に第2偏光板が設けられ、
前記第2パネル上に第3偏光板が設けられており、
前記第1偏光板と第3偏光板の偏光軸は互いに平行であって、当該偏光軸は前記第2偏光板の偏光軸と交差する、
請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
画像を表示する第1パネルと、
前記第1パネルが出力する画像を視差画像として視認させるように前記光の出射範囲を限定する第2パネルと、を備え、
前記第2パネルは、電位を個別に制御可能に設けられた複数の第1電極と、液晶を挟んで前記複数の第1電極と対向する位置に設けられた第2電極と、を備え、
前記複数の第1電極は、前記第2パネルに沿う第1方向に並び、
前記複数の第1電極は、第1状態である液晶と、第2状態である液晶と、が前記第1方向に交互に生じるように電位を与えられ、
前記第1状態は、光を遮る状態であり、
前記第2状態は、光を透過し、かつ、前記第1パネルから入射する光の屈折率分布を変化させる状態である、
表示装置。
【請求項10】
前記第1パネルと第2パネルの間に第1偏光板が設けられ、
前記第2パネル上に第2偏光板が設けられており、
前記第1偏光板の偏光軸と前記第2偏光板の偏光軸とは互いに交差する、
請求項9に記載の表示装置。
【請求項11】
前記第1パネルと第1偏光板の間に、さらにΛ/4板が設けられている、
請求項10に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液晶表示装置及び表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
視差画像を出力して立体視を生じさせる表示装置が知られている。視差画像の形成方法として、レンズを用いた視差バリアを採用する方法が知られている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に開示のレンチキュラー素子は所謂物理レンズであり、当該レンチキュラー素子を備えた表示装置においては、2D(画像の平面視)と3D(画像の立体視)の切り替えができない。これに対し、当該物理レンズの代替として、レンズ機能を有する液晶パネルを表示パネル上に設け、当該液晶パネルをオン/オフさせることで上記2Dと3Dとを切り替える構成が考えられる。
【0005】
ところで、単純な2視点による立体視に留まらず、3視点以上の多視点で立体画像を視認可能な表示装置では、各視点にて輝度等含む光学特性を確保する必要がある。上記液晶パネルを単に液晶レンズとして機能させるのみでは、各視点での光学特性を確保しようとすると、位相差が確保できず、各視点において十分な光学特性を得ることが難しいという問題がある。この点、液晶層を厚くすることで位相差を確保することが考えられるが、液晶層を所定の厚さ以上とすると層内で光が散乱し、光学特性が劣化する。このため、従来の物理レンズを単に液晶レンズに置換するだけでは、上記多視点の各視点における光学特性を十分に確保することが困難であった。
【0006】
本開示は、上記の課題に鑑みてなされたもので、液晶パネルによる視差バリアの形成と各視点における光学特性の確保とを両立できる液晶表示装置及び表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様による液晶表示装置は、背面側からの光を利用して画像を表示する第1パネルと、前記第1パネルの背面側から光を照射するバックライトと、前記第1パネルが出力する画像を視差画像として視認させるように前記光の出射範囲を限定する第2パネルと、を備え、前記第2パネルは、電位を個別に制御可能に設けられた複数の第1電極と、液晶を挟んで前記複数の第1電極と対向する位置に設けられた第2電極と、を備え、前記複数の第1電極は、前記第2パネルに沿う第1方向に並び、前記複数の第1電極は、第1状態である液晶と、第2状態である液晶と、が前記第1方向に交互に生じるように電位を与えられ、前記第1状態は、光を遮る状態であり、前記第2状態は、光を透過し、かつ、前記バックライト側から入射する光の入射角度範囲に比して前記バックライトの反対側に出射する光の出射角度範囲が前記第1方向に大きくなる状態である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、立体視を生じさせる表示装置の仕組みを示す模式図である。
【
図2】
図2は、複数の視点に対する第1パネルからの光の光軸を示す模式図である。
【
図3】
図3は、液晶表示装置の主要構成例を示す図である。
【
図4】
図4は、液晶表示装置のうち、
図1及び
図2を参照して説明した1つの開口部の幅と、当該開口部を通して光をユーザ側に出射可能に設けられた副画素が配置されている出射範囲と、に含まれる構成を示す模式的な断面図である。
【
図5】
図5は、液晶層に含まれる液晶分子の初期配向を示す模式図である。
【
図6】
図6は、第2パネルが視差バリアとして機能するよう動作した状態の液晶分子の配向を示す模式図である。
【
図7】
図7は、画素電極層に設けられた複数の透光性電極の電位制御に関する構成を示す模式図である。
【
図8】
図8は、表示領域内における第2パネルの透光性電極の延出方向の一例を示す模式図である。
【
図9】
図9は、第2パネルの透光性電極と副画素との平面視点での重なりを示す模式図である。
【
図10】
図10は、
図9に示す出射範囲及び視差バリアの開口部の位置関係で生じる遮光領域及び遮光領域を示す図である。
【
図11】
図11は、画素電極層が透光性電極15を含み、透光性電極14を含まない例を示す模式図である。
【
図12】
図12は、レンズとして機能するように液晶分子の配向を制御するための複数の透光性電極140と、透光性電極140よりも第1方向の幅が大きい複数の透光性電極150と、が設けられた例を示す模式図である。
【
図13】
図13は、第1方向の幅が共通である複数の透光性電極を第1方向に並べた例を示す模式図である。
【
図14】
図14は、第1方向の幅が共通である複数のメタル電極を第1方向に並べた例を示す模式図である。
【
図16】
図16は、液晶表示装置の主要構成例を示す図である。
【
図18】
図18は、マルチアングル画像を含む3D画像データの作成方法を示す模式図である。
【
図19】
図19は、自発光型の表示パネルが採用された表示装置の積層構造例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本開示の各実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、開示はあくまで一例にすぎず、当業者において、発明の主旨を保っての適宜変更について容易に想到し得るものについては、当然に本開示の範囲に含有されるものである。また、図面は説明をより明確にするため、実際の態様に比べ、各部の幅、厚さ、形状等について模式的に表される場合があるが、あくまで一例であって、本開示の解釈を限定するものではない。また、本明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して、詳細な説明を適宜省略することがある。
【0010】
(立体視の仕組み)
実施形態の説明に先立ち、立体視を生じさせる表示装置の仕組みについて、
図1と
図2とを参照して説明する。
【0011】
図1は、立体視を生じさせる表示装置の仕組みを示す模式図である。
図2は、複数の視点E1,E2,…,Enに対する第1パネル40からの光の光軸R1,R2,…,Rnを示す模式図である。
【0012】
図1及び
図2に示す画素48は、第1副画素49Rと、第2副画素49Gと、第3副画素49Bとを有する。以下、副画素49と記載した場合、第1副画素49Rと、第2副画素49Gと、第3副画素49Bとを包括する。画素48は、第1パネル40に複数設けられる。第1パネル40は、複数の画素48の各々が有する副画素49の輝度制御によって画像を表示出力する。以下、複数の画素48が設けられた第1パネル40の画像表示面に沿う二方向を第1方向Dx及び第2方向Dyとする。第1方向Dxと第2方向Dyとは直交する。また、第1方向Dx及び第2方向Dyに直交する方向を第3方向Dzとする。
【0013】
図1等では、矩形状の画素48において第1方向Dxの一方側から多方側に向かって第1副画素49R、第2副画素49G、第3副画素49Bの順に副画素49が並ぶ所謂ストライプ型のカラー画素を例示しているが、画素48が有する副画素49の配置及び形状はこれに限られるものでなく、適宜変更可能である。また、
図1等では、第1副画素49Rが赤(R)の出力を行い、第2副画素49Gが緑(G)の出力を行い、第3副画素49Bが青(B)の出力を行うことでカラー表示出力を実現する画素48が例示されているが、画素48が有する副画素49の色の組み合わせ及び色数はこれに限られるものでなく、適宜変更可能である。
【0014】
第1パネル40からの光を視認して画像を認識するユーザの視点E1,E2,…,Enと第1パネル40との間には、視差バリアが形成される。当該視差バリアは、例えば、
図1及び
図2に示す遮光領域PB1と、遮光領域PB2と、遮光領域PB1と遮光領域PB2との間に形成された開口部と、を有する。
図1及び
図2では、当該開口部の第1方向Dxの開口幅を幅L2としている。
【0015】
遮光領域PB1及び遮光領域PB2は、第1パネル40と視点E1,E2,…,Enとの間で光を遮断する。従って、第1パネル40から視点E1,E2,…,En側に向かう光のうち、光軸上に遮光領域PB1又は遮光領域PB2がある光は遮断されてユーザに視認されない。
【0016】
図2では、第1パネル40から視差バリアの開口部を通過して視点E1,E2,…,En側に向かう光の光軸R1,R2,…,Rnを模式的に示している。光軸R1は、第1副画素49Rから視点E1に向かう光の光軸である。光軸R2は、第2副画素49Gから視点E2に向かう光の光軸である。光軸Rnは、第3副画素49Bから視点Enに向かう光の光軸である。視点E1,E2,…,Enのうち2つは、ユーザ(ヒト)が有する2つの目による視点である。このように、複数の副画素49の各々からそれぞれ異なる視点E1,E2,…,En側に向かう光の光軸R1,R2,…,Rnが、立体視を成立させる。また、ユーザが第1パネル40及び視差バリアへの相対位置を変えることで、異なる視点から異なる立体視画像を視認できる。
【0017】
光軸R1,R2,…,Rnの数(n)は、任意の自然数である。nの数が大きい程、より多くの視点E1,E2,…,Enで立体視が可能になる。
【0018】
視差バリアの開口部に入射する光の入射角度範囲θ0及び第1パネル40から視差バリアの開口部を通過して視点E1,E2,…,Enに向かうことができる光の出射角度範囲θ1は、幅L2と、第1パネル40と視差バリアとの間隔L3と、に応じる。出射角度範囲θ1に応じて、視差バリアにおける1つの開口部を通して光を出射可能な第1パネル40の出射範囲L1が決定される。出射範囲L1は、第1方向Dxの幅を示す。出射範囲L1は、幅L2よりも第1方向Dxの幅が大きい。
【0019】
(実施形態)
以下、本開示による実施形態について説明する。
【0020】
図3は、液晶表示装置1の主要構成例を示す図である。液晶表示装置1は、第3方向Dzの一方側から他方側に向かって積層された、バックライト70と、第1偏光板81と、第1パネル40と、第2偏光板82と、接着層91と、第2パネル10と、第3偏光板83と、を備える。第3偏光板83が立体視を認識するユーザ側に位置し、バックライト70がその反対側(背面側)に位置する。
【0021】
バックライト70は、第1パネル40の背面側から光を照射する。バックライト70は、例えば、白色の光を発する複数の発光素子を備える。発光素子は、例えば、白色発光ダイオードであるが、これに限られるものでなく、同様に機能する光源であればよい。
【0022】
第1パネル40には、
図1及び
図2を参照して説明した画素48が複数配置される。
図3では、複数の画素48が配置されていて画像の表示出力が可能な領域を表示領域AAとして示している。
図3では、表示領域AAが第1方向Dxの幅を示すように図示されているが、表示領域AAは、第3方向Dzに直交する平面に沿う二次元的な領域である(
図8参照)。
【0023】
図4は、液晶表示装置1のうち、
図1及び
図2を参照して説明した1つの開口部の幅L2と、当該開口部を通して光をユーザ側に出射可能に設けられた副画素49が配置されている出射範囲L1と、に含まれる構成を示す模式的な断面図である。
図4では、バックライト70の図示を省略している。
【0024】
第1パネル40は、例えば、第3方向Dzの一方側から他方側に向かって積層された、第1基板41と、回路形成層42と、共通電極層43と、絶縁層44と、画素電極451,452,…,45nと、配向膜層46と、液晶層47と、配向膜層50と、カラーフィルタ51と、第2基板52と、を備える。
図4に示す第1パネル40はいわゆるFFS(Flinge Field Switching)方式又はIPS(In Plane Switching)方式の透過型液晶表示パネルであるが、第1パネル40で採用可能な駆動方式はこれに限られるものでなく、適宜変更可能である。
【0025】
第1基板41及び第2基板52は、例えばガラス基板であるが、これに限られるものでない。第1基板41及び第2基板52は、電極と、電極に接続される配線、キャパシタ及び半導体回路を形成可能であって、2つの基板の間に液晶層47を封止可能な透光性基板であればよい。
【0026】
回路形成層42は、上述の配線及び半導体回路が形成される複数の積層構造を含む。当該積層構造は、複数の絶縁層と、各絶縁層間に形成された配線層、半導体等を含む。当該半導体は、画素電極451,452,…,45nに対する配線の接続を開閉する半導体回路(スイッチング素子)を構成する。
【0027】
共通電極層43は、所定の定電位が与えられる電極である。絶縁層44は、共通電極層43と画素電極45とを絶縁する。画素電極451,452,…,45nの各々は、それぞれ異なる副画素49に個別に設けられる電極である。共通電極層43の電位を基準として画素電極451,452,…,45nの電位が個別に制御されることで、画素電極451,452,…,45nの各々の位置における液晶分子の配向が制御される。これによって、バックライト70から発せられて第1パネル40を透過する光の透過の度合いが各副画素49で個別に制御される。当該液晶分子は、液晶層47に含まれる。画素電極451,452,…,45nの各々の電位は、第1パネル40に入力される画像データに含まれる画素信号に対応する。図示しないが、第1パネル40は、当該画像データに基づいて画素電極451,452,…,45nの電位を個別に制御する機能を有するDDIC(Display Driver Integrated Circuit)を備える。
【0028】
配向膜層46及び画素48は、間に挟まれた液晶層47に含まれる液晶分子の初期配向を決定する。カラーフィルタ51は、各副画素49が透過させる光の色を限定する。カラーフィルタ51は、上述の第1副画素49Rに対応する範囲で赤(R)の光を透過させ、第2副画素49Gに対応する範囲で緑(G)の光を透過させ、第3副画素49Bに対応する範囲で青(B)の光を透過させる。
【0029】
第2パネル10は、例えば、第3方向Dzの一方側から他方側に向かって積層された、第1基板11と、回路形成層12と、配向膜13と、画素電極層と、液晶層16と、配向膜20と、対向電極21と、第2基板22と、を備える。画素電極層は、透光性電極141,142,…,14k及び透光性電極151,152を含む。
図4に示す第2パネル10はいわゆるTN(Twisted Nematic)方式の透過型液晶パネルであるが、第2パネル10で採用可能な駆動方式はこれに限られるものでなく、適宜変更可能である。
【0030】
第1基板11及び第2基板22は、例えばガラス基板であるが、これに限られるものでない。第1基板11及び第2基板22は、電極と、電極に接続される配線、キャパシタ及び半導体回路であって回路形成層12が含む配線及び半導体回路を形成可能であって、2つの基板の間に液晶層16を封止可能な透光性基板であればよい。
【0031】
回路形成層12は、配線及び半導体回路が形成される複数の積層構造を含む。当該積層構造は、複数の絶縁層と、各絶縁層間に形成された配線層、半導体等を含む。当該半導体は、透光性電極141,142,…,14k及び透光性電極151,152に対する配線の接続を開閉する半導体回路(スイッチング素子)を構成する。
【0032】
透光性電極141,142,…,14k及び透光性電極151,152は、液晶層16を挟んで対向電極21と対向する電極である。透光性電極141,142,…,14kと透光性電極151,152とは第2パネル10の積層構造において同層である。対向電極21は、所定の定電位が与えられる電極である。対向電極21の電位を基準として透光性電極141,142,…,14k及び透光性電極151,152の電位が個別に制御されることで、透光性電極141,142,…,14k及び透光性電極151,152の各々の位置における液晶分子LC(
図5、
図6参照)の配向が制御される。液晶分子LCは、液晶層16に含まれる。液晶分子LCの配向及び透光性電極141,142,…,14k及び透光性電極151,152の電位の制御に関する構成については、後述する。
【0033】
第1偏光板81、第2偏光板82及び第3偏光板83は、通過する光の偏向方向を限定する。第1偏光板81及び第3偏光板83は、第2方向Dyに偏向する光(第2方向Dyに偏光軸を有する偏光成分)を通過させる。第2偏光板82は、第1方向Dxに偏向する光(第1方向Dxに偏光軸を有する偏光成分)を通過させる。第1偏光板81は、第1基板41に取り付けらえている。第2偏光板82は、第2基板52に取り付けられている。第3偏光板83は、第2基板22に取り付けられている。接着層91は、第2パネル10と第1パネル40とを接着する。具体的には、接着層91は、第2偏光板82と第1基板11とを接着する。なお、第1偏光板81と第1基板41との間及び第3偏光板83と第2基板22との間も、図示しない接着層を介して接着されている。また、接着層91の第3方向Dzの厚みは、第1偏光板81と第1基板41との間の接着層及び第3偏光板83と第2基板22との間の接着層に比して厚い。
【0034】
図5は、第2パネル10の液晶層16に含まれる液晶分子LCの初期配向を示す模式図である。
図5及び後述する
図6では、第2パネル10が備える構成のうち、回路形成層12から第2基板22を図示している。
【0035】
配向膜13及び配向膜20は、間に挟まれた液晶層16に含まれる液晶分子LCの初期配向を決定する。なお、ここでいう初期配向とは、対向電極21と、液晶層16を挟んで対向電極21と対向する画素電極(例えば、透光性電極141,142,…,14k及び透光性電極151,152)との間に電位差がない状態である場合に液晶分子LCが取る配向をさす。なお、本実施形態においては所謂ポジ型の液晶分子が用いられている。
【0036】
配向膜13は、紡錘形状の液晶分子LCの長手方向が第1方向Dxに沿うよう設けられる。配向膜20は、液晶分子LCの長手方向が第2方向Dyに沿うよう設けられる。すなわち、両配向膜の配向方向は平面視で直交している。これによって、配向膜13に近い程液晶分子LCの長手方向が第1方向Dxに沿う方向に近くなり、配向膜20に近い程液晶分子LCの長手方向が第2方向Dyに沿う方向に近くなる。すなわち、液晶分子LCの長手方向は、配向膜13に対する距離と配向膜20に対する距離との相対関係に応じる。また、液晶層16内で第3方向Dzに並ぶ複数の液晶分子LCを見た場合、配向膜13側から配向膜20側に向かうにつれて液晶分子LCの長手方向が第1方向Dxから第2方向Dyにねじれるように変化しているように見える。
図5では、このような第3方向Dzに並ぶ複数の液晶分子LCの長手方向の変化を、配向膜13側で第1方向Dxに相対的に大きく、配向膜20側で第1方向Dxに相対的に小さい液晶分子LCを図示することで表現している。このような初期配向の液晶分子LCを含む液晶層16は、偏光方向が第1方向Dxに沿う光の偏向方向を第2方向Dyに沿わせるように変化させる。これによって第2偏光板82を通過した光が、第2パネル10及び第3偏光板83を通過する。なお、本実施形態では両配向膜の配向方向は90度で交差しているが、それ以外の角度、例えば90度±10度の角度で交差する構成も採用可能である。
【0037】
図6は、第2パネル10が視差バリアとして機能するよう動作した状態の液晶分子LCの配向を示す模式図である。
図6に示す状態では、透光性電極151及び透光性電極152が対向電極21との電位差を最大にする信号を与えられている。ここでいう最大とは、対向電極21と、液晶層16を挟んで対向電極21と対向する電極との電位差が取ることができる範囲として予め設定された範囲内における電位差の最大をさす。当該最大の電位差によって、透光性電極151又は透光性電極152と対向電極21との間に位置する液晶分子LCの長手方向は、第3方向Dzに向く。液晶分子LCの長手方向が第3方向Dzに向いている範囲では、偏光方向が第1方向Dxに沿う光の偏向方向を第2方向Dyに沿わせる変化が生じない。このため、当該範囲の光は第3偏光板83を通過しない。従って、第2パネル10のうち当該範囲は、ユーザから見て光が通過しない領域になる。すなわち、当該範囲を
図1及び
図2を参照して説明した遮光領域PB1、遮光領域PB2とすることができる。
図6では、透光性電極151が設けられた範囲を遮光領域PB1とし、透光性電極152が設けられた範囲を遮光領域PB2としている。また、これによって、遮光領域PB1として機能する遮光範囲を形成する透光性電極151と、遮光領域PB2として機能する遮光範囲を形成する透光性電極152と、の間の範囲が、
図1及び
図2を参照して説明した視差バリアの開口部として機能する。
図5及び
図6では、当該開口部として機能する範囲を幅L2で示している。
【0038】
透光性電極141,142,…,14kは、第1方向Dxの配置が透光性電極151と透光性電極152との間にある。
図6に示す状態では、透光性電極141,142,…,14kが対向電極21との電位差を最大未満にする信号を与えられている。具体的には、第1方向で見た場合に、透光性電極151及び透光性電極152に近い透光性電極程対向電極21との電位差が大きく、透光性電極151及び透光性電極152に遠い透光性電極程対向電極21との電位差が小さくなる。これによって、
図6に示すように、当該第1方向Dxの距離が最も遠い位置、すなわち、第1方向Dxの位置が透光性電極151と透光性電極152との中間位置では、液晶分子LCの配向が初期配向(
図5参照)と同等になる。また、当該中間位置から透光性電極151に近付く程、紡錘形状の液晶分子LCの長手方向の一端側が透光性電極151側に向くように液晶分子LCの配向が制御される。また、当該中間位置から透光性電極152に近付く程、紡錘形状の液晶分子LCの長手方向の一端側が透光性電極152側に向くように液晶分子LCの配向が制御される。幅L2内でこのように制御された配向の液晶分子LCを含む液晶層16は幅L2内で屈折率分布が生じ、透光性電極151と透光性電極152との間で配向膜13側から配向膜20側に向かう光を所定の方向に向かうように出射させる。
図6では、液晶層16のうちこのようなレンズと同様の光学的作用を生じさせる範囲を示す目的で、破線の弧LEを図示している。以下、「レンズとして機能するように液晶分子LCの配向が制御される」と記載した場合、上記のような光学的作用を生じさせるように幅L2内の液晶分子LCの配向が制御されることをさす。
【0039】
図6を参照して説明したように、第2パネル10は、一部分を視差バリアの遮光領域PB1、遮光領域PB2として機能させるように遮光し、当該遮光領域PB1と当該遮光領域PB2との間に視差バリアの開口部を形成する。また、第2パネル10では、当該開口部において、レンズとして機能するように液晶分子LCの配向が制御される。これによって、
図1及び
図2を参照して説明したように単に開口部に光を透過させる場合に比して、視差バリアを通過した光の指向性を確保することができる。この結果、多視点の各視点における光学特性を確保でき、ひいては各視点での画像(あるいは当該画像を構成する角画素)の輝度の低下を抑制できる。
【0040】
図4、
図5及び
図6では、透光性電極141,142,…,14kの第1方向Dxの幅は、透光性電極151及び透光性電極152の第1方向Dxの幅よりも小さい。これは、幅L2内に配置された透光性電極141,142,…,14kの数がより多い程、透光性電極141,142,…,14kの各々の電位を個別に制御してレンズとして機能するように液晶分子LCの配向を制御することがより容易になることによる。
【0041】
また、
図6では、透光性電極151の第1方向Dxの幅が遮光領域PB1の第1方向Dxの幅に対応し、透光性電極152の第1方向Dxの幅が遮光領域PB2の第1方向Dxの幅に対応しているが、遮光領域PB1、遮光領域PB2の第1方向Dxの幅はこのようにして決定されるとは限らない。以下、
図7から
図10を参照して、より具体的な透光性電極141,142,…,14k及び透光性電極151,152の形態及び電位制御例について説明する。
【0042】
図7は、画素電極層に設けられた複数の透光性電極141,142,…,14B及び透光性電極151,152の電位制御に関する構成を示す模式図である。
図7に示す透光性電極141,142,…,14Bは、
図4、
図5及び
図6を参照して説明した透光性電極141,142,…,14kにおけるkの値が11である場合の例である。kは、0又は自然数である。透光性電極141,142,…,14Bは、第1方向Dxの一端側から他端側に向かって、透光性電極141,142,143,144,145,146,147,148,149,14A,14Bの順で並ぶ。
【0043】
電源回路71は、画素電極層に含まれる複数の電極(例えば、透光性電極141,142,…,14B及び透光性電極151,152)に与えられる電位を制御する。
図7では、電源回路71は、複数の電位線と接続される。
図7では、電位V1,V2,V3,V4,V5,V6,V7が与えられる7つの電位線を例示している。電位線は、回路形成層12内に延出する。
【0044】
透光性電極151及び透光性電極152は、電位V1が与えられる信号線と接続される。透光性電極141,14Bは、電位V2が与えられる信号線と接続される。透光性電極142,14Aは、電位V2が与えられる信号線と接続される。透光性電極143,149は、電位V2が与えられる信号線と接続される。透光性電極144,148は、電位V2が与えられる信号線と接続される。透光性電極145,147は、電位V2が与えられる信号線と接続される。透光性電極146は、電位V2が与えられる信号線と接続される。電源回路71は、複数の電位線の各々に電位V1,V2,V3,V4,V5,V6,V7を与えることで、いずれかの電位線と接続された複数の電極の各々に電位V1,V2,V3,V4,V5,V6,V7のいずれかを与える。
【0045】
電位V1,V2,V3,V4,V5,V6,V7の一部は同電位であってもよいが、少なくとも、電位V7は、電位V1よりも小さい電位である。また、電位V1は、上述のように、電位V1,V2,V3,V4,V5,V6,V7の中でも、対向電極21との電位差が最大になる電位である。また、対向電極21はV7と同じ電位であることが好ましい。なお、実施形態では、対向電極21の電位は一定である。また、実施形態では、透光性電極141,142,…,14k及び透光性電極151,152の各々の電位は、各々と接続された信号線を介して与えられる電位になる。電源回路71は、電位V1,V2,V3,V4,V5,V6,V7の各々に対応したパルス信号を出力する。なお、対向電極21の電位に対する電位V7の関係を一定とする目的で、電位V7を一定としてもよい。また、対向電極21の電位を可変としてもよい。具体例を挙げると、液晶層16の反転駆動のために対向電極21の電位を周期的に切り替えてもよい。その場合、電位V7は、対向電極21の切り替わりに応じて、対向電極21との電位差が生じないように切り替わる。
【0046】
電源回路71の実装形態は任意である。電源回路71は、例えば、第1基板11上に実装されて回路形成層12内の配線と接続されてもよいし、回路形成層12に接続されて第1基板11上に延出するよう設けられた配線パターンと接続された外部のフレキシブルプリント基板上に実装されてもよい。
【0047】
図7に示すように、第1方向Dxの一端側(
図7の紙面左側)から他端側(
図7の紙面右側)に向かって、透光性電極151、透光性電極141,142,143,144,145,146,147,148,149,14A,14B,透光性電極152が並ぶ。また、透光性電極152の他端側に透光性電極141が並ぶ。
図7では図示が省略されているが、実際には、透光性電極152の他端側に透光性電極141,142,…,14Bが並ぶ。また、透光性電極151の一端側に透光性電極14Bが他端側に向かって並ぶ。
図7では図示が省略されているが、実際には、透光性電極151の一端側に透光性電極14B,14A,…,141が一端側に向かって並ぶ。
【0048】
なお、透光性電極151と透光性電極152は、配置が異なるのみであり、電極の態様及び与えられる電位は同一である。従って、透光性電極151又は透光性電極152を包括して透光性電極15として表し、一組の透光性電極141,142,…,14kを透光性電極14として表すと、第1方向Dxに透光性電極15と透光性電極14とが交互に並ぶ。また、2つの透光性電極15が透光性電極14を挟む。
【0049】
図8は、表示領域AA内における第2パネル10の透光性電極14及び透光性電極15の延出方向の一例を示す模式図である。
図8に示すように、各透光性電極15及び透光性電極14に含まれる電極(透光性電極141,142,…,14k)の各々の延出方向は、第3方向Dzに直交する平面に沿い、かつ、第1方向Dx及び第2方向Dyに交差する。また、
図8に示す例の場合、第2方向Dyの一端側から他端側に向かって、各透光性電極15及び透光性電極14に含まれる電極の各々は途切れることなく一続きであって、所定の幅を変更することなく延出している。
【0050】
各透光性電極15及び透光性電極14に含まれる電極の各々は、透光性を有する。具体的には、各透光性電極15及び透光性電極14に含まれる電極の各々は、例えば酸化インジウムスズ(ITO:Indium Tin Oxide)のように透光性を有する導電性の素材で形成されている。
【0051】
図9は、第2パネル10の透光性電極141,142,…,14B及び透光性電極151,152と副画素49との平面視点での重なりを示す模式図である。平面視点とは、第3方向Dzに直交する平面を正面視する視点である。
図9に示す例では、副画素49から発せられる光の色は、第2方向Dyに並ぶ複数の副画素49で共通である。すなわち、第1パネル40の表示領域AA内には、第1副画素49Rが第2方向Dyに並ぶ列と、第2副画素49Gが第2方向Dyに並ぶ列と、第3副画素49Bが第2方向Dyに並ぶ列と、が第1方向Dxに周期的に並ぶ。
【0052】
透光性電極151を長手方向に沿って二分する線と透光性電極152を長手方向に沿って二分する線とで挟まれた領域を出射範囲L1とみなすと、
図9に示す例の場合、出射範囲L1内には、第1方向Dxに23の副画素49が並ぶ。また、第1方向Dxに並ぶ副画素49を画素行とすると、
図9に示す例では、1つの出射範囲L1内に含まれる23の副画素49の第1方向Dxの一端側及び他端側の位置が同じである2つの画素行と、当該2つの行に対して23の副画素49の第1方向Dxの一端側及び他端側の位置が1つ一端側にずれている1つの画素行と、が第2方向Dyに交互に並ぶ。言い換えれば、
図9に示す例の場合、透光性電極14及び透光性電極15の第1方向Dx及び第2方向Dyに対する傾きの度合いは、出射範囲L1内において、3行の画素行につき2行の頻度で、23の副画素49の第1方向Dxの一端側及び他端側の位置が1つ一端側にずれる程度である。
【0053】
なお、
図9では、第2方向Dyに4つの画素行程度の幅の透光性電極14及び透光性電極15を破線で図示しているが、実際には
図8に示すように、第2方向Dyの一端側から他端側に向かって、各透光性電極15及び透光性電極14に含まれる電極の各々は一続きである。
【0054】
図9に示す例では、透光性電極14に含まれる電極の各々の第1方向Dxの幅は8.5μmである。また、各透光性電極15の第1方向Dxの幅は150nmである。また、第2パネル10の画素電極層で第1方向Dxに隣り合う電極同士の間隔は8.5μmである。また、第1パネル40における副画素49の第1方向Dxのピッチは3umから20um、より好ましくは10umから15umである。ここで例示した各構成の幅、間隔、ピッチはあくまで一例であってこれに限られるものでなく、適宜変更可能である。
【0055】
図9に示す例では、1つの出射範囲L1内における開口部の第1方向Dxの開口幅(幅L2)が、第1方向Dxの一端側に位置する透光性電極151が有する他端側のエッジと第1方向Dxの他端側に位置する透光性電極152が有する一端側のエッジと、の間の幅になっている。なお、透光性電極14の両端に位置する透光性電極141及び透光性電極14Bが幅L2の外側に位置するようにしてもよい。すなわち、透光性電極141及び透光性電極14Bは、視差バリアの遮光部に含まれるようにしてもよい。その場合、電位V2のように、透光性電極15により近い位置にある透光性電極14に与えられる電位が透光性電極15と同じ電位V1になる。このように、透光性電極15だけでなく、透光性電極14に含まれる複数の電極のうち透光性電極15により近い一部を視差バリアの遮光部を形成するために用いてもよい。
【0056】
図10は、
図9に示す出射範囲L1及び視差バリアの開口部の位置関係で生じる遮光領域PB1及び遮光領域PB2を示す図である。遮光領域PB1及び遮光領域PB2ならびに視差バリアの開口部の延出方向は、透光性電極15の延出方向に沿う。
【0057】
ここで、
図10に示す遮光領域PB1及び遮光領域PB2が形成される場合の電位V1,V2,V3,V4,V5,V6,V7と対向電極21の電位の例を示す。電位V1は、10ボルト(V)である。電位V2は、6ボルト(V)である。電位V3は、3.5ボルト(V)である。電位V4は、1.8ボルト(V)である。電位V5は、1.1ボルト(V)である。電位V6は、0.7ボルト(V)である。電位V7及び対向電極21の電位は、0ボルト(V)である。
【0058】
なお、遮光領域PB1と遮光領域PB2は、1つの出射範囲L1に対する位置が異なるのみであり、視差バリアの遮光部であるという点で共通である。図示しないが、遮光領域PB1に対して第1方向Dxの一端側にも出射範囲L1が生じる。また、遮光領域PB2に対して第1方向Dxの他端側にも出射範囲L1が生じる。そして、1つの出射範囲L1を挟んで2つの視差バリアの遮光部が生じる。従って、第1方向Dxの一端側から他端側に向かって、視差バリアの遮光部と開口部とが交互に並ぶ。
【0059】
図9及び
図10に示す第1副画素49R、第2副画素49G、第3副画素49Bに付された番号は、光軸R1,R2,…,Rnの数(n)における符号の末尾の番号を示す。例えば、
図9において「1」と付された第1副画素49R、第2副画素49G、第3副画素49Bが、光軸R1の光として視点E1に入射する方向に出射される光が透過する第1副画素49R、第2副画素49G、第3副画素49Bである。すなわち、番号「1」が付与されている画素は、これらで多視点のうちの第1視点(視点E1)の画像を形成する。また、番号「2」が付与されている画素は、これらで多視点のうちの第2視点(視点E2)の画像を形成する。本実施例においては、合計69視点において画像が形成される。ここで、同じ番号が付された副画素49は、それぞれ異なる画素行にある。例えば、「1」と付された第1副画素49Rは、位置P1にある。また、「1」と付された第2副画素49Gは、位置P2にある。また、「1」と付された第3副画素49Bは、位置P3にある。「1」以外の番号でも同様に、共通の番号が付された第1副画素49R、第2副画素49G、第3副画素49Bは、それぞれ異なる画素行にある。すなわち、本実施形態では、液晶パネル40は、これら出射範囲L1の領域に属する三段の画素を用いることにより、複数の視点(本実施例においては69視点)に対応した画像を形成する。画像の形成方法については後述する。なお、
図9においてはL1で規定される領域のうち、特に太枠で示された9行の画素について番号を付与しているが、他の画素については、当該枠内の番号付与の順が繰り返される。また、当該画像は多視点画像を形成する場合のみ表示される。通常の表示(2D表示)する場合には、第1パネル40の表示領域全体で1枚の2D画像を形成することは言うまでもない。また、この場合、第2パネル10は駆動せず、第1パネル40からの光は第2パネル10の屈折率分布の影響を受けることなく当該第2パネルを通過する。
【0060】
以上、第2パネル10における画素電極層の態様として、透光性電極14と透光性電極15とが第1方向Dxに交互に並ぶ態様を説明してきたが、画素電極層の態様はこれに限られるものでない。以下、画素電極層の態様について、他の例を
図11から
図15を参照して説明する。
図11から
図15では、第2パネル10が備える構成のうち、回路形成層12から第2基板22を図示し、さらに、液晶層16の図示を省略している。また、
図11から
図15では、弧LEを図示することで、幅L2内でレンズとして機能するように液晶分子LCの配向が制御された範囲を示す。
【0061】
図11は、画素電極層が透光性電極15を含み、透光性電極14を含まない例を示す模式図である。
図11に示すように、幅L2に対応する第1方向Dxの間隔をあけて透光性電極15を第1方向Dxに並べるようにしてもよい。すなわち、透光性電極15間の全ての透光性電極14を省略してもよい。この場合、2つの透光性電極15の間では、透光性電極15から離れるほど液晶分子LCの長手方向が初期配向に近い配向になることで、幅L2内でレンズとして機能するように液晶分子LCの配向が制御される。
【0062】
図12は、レンズとして機能するように液晶分子LCの配向を制御するための複数の透光性電極140と、透光性電極140よりも第1方向Dxの幅が大きい複数の透光性電極150と、が設けられた例を示す模式図である。
図12に示すように、幅L2内に複数の透光性電極140を第1方向Dxに並べ、当該複数の透光性電極140を挟むように対になった透光性電極150を配置するようにしてもよい。
図12に示す例では、1つの弧LEを挟んで2対の透光性電極150が設けられているが、1つの弧LEを挟んで対で配置される透光性電極150の数は任意である。
【0063】
各透光性電極150の電位は、上述の透光性電極15と同様に制御される。複数の透光性電極140の各々の電位は、幅L2における第1方向Dxの中間に近いほど対向電極21に対する電位差がより小さくなるように個別に制御される。複数の透光性電極140及び透光性電極150に対して個別に電位を与えるための具体的方法は、
図7を参照して説明した電源回路71と電位線を用いた方法と同様である。
【0064】
図13は、第1方向Dxの幅が共通である複数の透光性電極140を第1方向Dxに並べた例を示す模式図である。
図13に示すように、幅L2内であるか幅L2外であるかに関わらず、複数の透光性電極140を第1方向Dxに並べるようにしてもよい。
【0065】
幅L2内における複数の透光性電極140の各々の電位は、幅L2における第1方向Dxの中間に近いほど対向電極21に対する電位差がより小さくなるように個別に制御される。幅L2外における複数の透光性電極140の各々の電位は、上述の透光性電極15と同様に制御される。
【0066】
図14は、第1方向Dxの幅が共通である複数のメタル電極159を第1方向Dxに並べた例を示す模式図である。
図11を参照して説明した透光性電極15に代えて、メタル電極159を設けてもよい。メタル電極159は、例えば銅の薄膜で形成された電極のように、透光性を有しない電極であるという点を除いて、透光性電極15と同様である。
【0067】
また、
図14に示すメタル電極159は、遮光部BCで被覆されている。遮光部BCは、遮光性を有する樹脂製の薄膜で形成される被覆部材である。すなわち、
図14に示す例では、遮光部BCに被覆されたメタル電極159が光を遮ることで視差バリアの遮光部(上述の遮光領域PB1、遮光領域PB2)を形成する。メタル電極159のように電極の素材が遮光性を有する場合、遮光部BCは省略可能である。なお、遮光部BCで被覆される場合、メタル電極159は、透光性電極15に置換されてもよい。
【0068】
なお、遮光部BCのように遮光性を有する部材は、メタル電極159のように視差バリアの遮光部に対応する配置の電極を被覆する部材として設けられることに代えて、液晶層16を挟んで当該電極に対向する位置に配置されてもよい。
【0069】
図15は、遮光部BMが設けられた例を示す図である。
図15に示すように、メタル電極159に対向する位置に遮光部BMを設けてもよい。遮光部BMは、遮光部BCと同様、遮光性の薄膜樹脂である。遮光部BMは、対向電極21を挟んで第2基板22の反対側に設けられる。
【0070】
画素電極層において遮光部BC又は液晶層16を挟んだ対向位置に遮光部BMが設けられる電極は、メタル電極159に限られるものでない。具体的には、画素電極層に含まれる複数の電極のうち、上述の遮光領域PB1及び遮光領域PB2が生じる位置に対応する幅L2外のものに遮光部BC又は液晶層16を挟んだ対向位置に遮光部BMを設けてもよい。
【0071】
また、画素電極層に含まれる複数の電極のうち、上述の遮光領域PB1及び遮光領域PB2が生じる位置に対応する幅L2外のものは、メタル電極159と同様、遮光性を有する電極であってもよい。
【0072】
以上、
図3を参照して説明した第2パネル10と第1パネル40との位置関係に基づいた説明を行ったが、第2パネル10と第1パネル40との位置関係は逆でもよい。
【0073】
図16は、液晶表示装置100の主要構成例を示す図である。液晶表示装置100は、第3方向Dzの一方側から他方側に向かって積層された、バックライト70と、第2パネル10と、第3偏光板83と、接着層91と、第1偏光板81と、第1パネル40と、第2偏光板82と、を備える。第2偏光板82が立体視を認識するユーザ側に位置し、バックライト70がその反対側に位置する。
【0074】
図17は、
図16に示す積層順で立体視が成立する仕組みを示す模式図である。
図17に示す視差バリアは、バックライト70と第1パネル40との間に位置する遮光領域PB3と遮光領域PB4とによって形成される。遮光領域PB3及び遮光領域PB4は、バックライト70と第1パネル40との位置関係が異なる点を除いて、遮光領域PB1及び遮光領域PB2と同様である。すなわち、
図6等で透光性電極151、透光性電極152に与えられた電位によって生じている遮光領域PB1及び遮光領域PB2と同様の仕組みで、遮光領域PB3及び遮光領域PB4を生じさせることができる。
【0075】
入射角度範囲θ0及びバックライト70から視差バリアの開口部を通過して視点E1,E2,…,Enに向かうことができる光の出射角度範囲θ2は、幅L2と、バックライト70と視差バリアとの間隔L5と、に応じる。
図16及び
図17に示す構成では、出射角度範囲θ2内の光軸R1,R2,…,Rnの各々が第1副画素49R、第2副画素49G又は第2副画素49Gのいずれかを通過するように、視差バリアと第1パネル40との間隔L4が決定される。
【0076】
図1から
図17を参照して説明した液晶表示装置1又は液晶表示装置100では、光軸R1,R2,…,Rnの数(n)に対応するマルチアングル画像を含む3D画像データを表示出力できる。以下、当該3D画像データの作成方法について、
図18を参照して説明する。
【0077】
図18は、マルチアングル画像を含む3D画像データの作成方法を示す模式図である。当該3D画像データは、例えば、被写体200を中心に、n台のカメラ501,502,…,50nを円弧状に並べ、当該n台のカメラ501,502,…,50nで個別に撮像した画像データを組み合わせることで作成される。より具体的には、実施形態では、69視点に対応した画像を形成すべく、69の視点位置(視点1、視点2、…、69視点)において被写体を撮像する。各視点位置は、
図18に示す如く被写体に対して上面視円弧上且つ互いの間隔は同じであることが好ましい。ここで、第1パネル40がN×Mの副画素からなる表示領域であるとすると、各視点における撮像画像を当該第1パネル40の表示領域に表示させるには、画像データとしては、画素(0,0)から(N,M)を有することとなり、かかる画像データを69視点分準備する。なお、かかる69枚の画像データは、被写体を69視点から撮像することで得ることも可能であるし、69視点から被写体を見たと仮定して各画像データをCG(コンピュータグラフィクス)技術を用いて作成することも可能である。これら69の画像データをベースとして最終的な表示画像を作成することとなるが、
図9を参照しつつ当該最終的な表示画像について説明すると、
図9の「1」となっている画素については、当該画素に対応する画像データを視点1で撮像した画像の画像データから持ってくる。また、「2」となっている画素については、当該画素に対応する画像データをカメラ2で撮像した画像の画像データから持ってくる。同じような作業を69枚の画像データに対して繰り返すことで、最終的な表示画像の画像データを得ることができる。かかる画像処理は、当該第1パネル40に接続されるホストで行うこともできるし、あらかじめかかる画像を作成しておき、メモリに保存しておくことも可能である。なお、当該最終的な画像は、第2パネル10を介することなく視認すると、意味をなさない。一方、第2パネル10を介して当該第1パネル40に表示される画像を視認することにより、より具体的には上記69視点に対応する位置から表示画像を視認することにより、それぞれの視点で撮像された画像を視認することができる。
【0078】
なお、nよりも少ない数のカメラを固定した状態で、当該カメラに対する被写体200のアングルが変わるように被写体200を回転させることでも、マルチアングル画像を含む3D画像データを作成できる。その場合、被写体200の回転軸は、当該カメラの立設方向に沿う。当該カメラの立設方向は、例えば、当該カメラの光軸に直交する。また、いわゆるライトフィールドカメラによって被写体200を撮像することでも、マルチアングル画像を含む3D画像データを作成できる。
【0079】
以上説明したように、実施形態によれば、液晶表示装置(例えば、液晶表示装置1又は液晶表示装置100)は、背面側からの光を利用して画像を表示する第1パネル40と、第1パネル40の背面側から光を照射するバックライト70と、第1パネル40が出力する画像を視差画像として視認させるように光の出射範囲を限定する第2パネル10と、を備える。第2パネル10は、電位を個別に制御可能に設けられた複数の第1電極(例えば、透光性電極14及び透光性電極15)と、液晶を挟んで当該複数の第1電極と対向する位置に設けられた第2電極(対向電極21)と、を備える。複数の当該第1電極は、第2パネル10に沿う第1方向Dxに並ぶ。当該複数の第1電極は、第1状態である液晶と、第2状態である液晶と、が第1方向Dxに交互に生じるように電位を与えられる。当該第1状態は、光を遮る状態である。当該第2状態は、光を透過し、かつ、バックライト70側から入射する光の屈折率分布を変化させる状態である。すなわち、幅L2内が当該第2状態に対応し、幅L2外が当該第1状態に対応する。このように、第2パネル10のうち、当該第2状態となる範囲を当該第1状態でない範囲に限定することで、当該第1状態が生じない場合に比して当該第2状態で形成される液晶レンズの第1方向Dx方向の円弧の径をより小さくできる。径が小さいということは、レンズの焦点距離が短いということである。従って、間隔L3(
図2参照)を短縮しようとした場合に求められる、液晶レンズの焦点距離の短縮化に対応できる。すなわち、液晶レンズによって、液晶レンズを通過する光に十分に位相差を付加できる。これにより、各画素から対応視点に向けての光の指向性を確保できる。あるいはこれにより、当該対応視点に向けて出射する光の光学特性を維持できる。以上により、液晶パネルによる視差バリアの形成と多視点での出射光の光学特性の維持とを両立できる。
【0080】
また、第1電極(例えば、透光性電極14及び透光性電極15)及び第2電極(対向電極21)は、透光性を有する。これによって、第2パネル10が表示領域AA内の全域で光を通過させる状態にすることで、立体画像でない通常の二次元画像を表示することもできるようになる。
【0081】
また、複数の第1電極(例えば、透光性電極14及び透光性電極15)のうち、上述の第1状態である液晶に対応する配置の電極が遮光性を有するようにすることで、第1状態とされる範囲(遮光領域PB1,PB2,PB3,PB4)の遮光性能をより高められる。
【0082】
また、複数の第1電極(例えば、透光性電極14及び透光性電極15)のうち、液晶を挟んで上述の第1状態である液晶に対応する配置の電極と対向する位置に遮光部BMが設けられるようにすることで、第1状態とされる範囲(遮光領域PB1,PB2,PB3,PB4)の遮光性能をより高められる。
【0083】
また、複数の第1電極(例えば、透光性電極14及び透光性電極15)のうち、上述の第1状態である液晶を生じさせる一部の電極(例えば、透光性電極15)が、上述の第2状態である液晶を生じさせる他の一部の電極(例えば、透光性電極14)よりも第1方向Dxの幅が大きい電極を含むことで、上述の第1状態である液晶を生じさせるための電極に対する電位伝送系をより単純化できる。なぜなら、当該大きい電極に当該第1状態である液晶を生じさせるための電位を与えることは、当該大きい電極が設けられた範囲と同範囲に設けられた複数のより小さい電極の各々に当該電位を与えることに比して、電位を伝送する配線系をより単純化できるからである。
【0084】
また、複数の第1電極のうち、上述の第1状態である液晶を生じさせる一部の電極(例えば、
図13に示す透光性電極140)が、上述の第2状態である液晶を生じさせる他の一部の電極(例えば、
図13に示す透光性電極140)と第1方向Dxの幅が同じ電極を含むことで、当該複数の第1電極の形成をより単純化しやすくなる。なぜなら、第1状態になる位置に対応する一部の電極と、第2状態になる位置に対応する他の一部の電極と、で第1方向Dxの幅が同じであるということは、これらを区別せずに画素電極層を設計できるからである。
【0085】
また、複数の第1電極(例えば、透光性電極14及び透光性電極15)は、第2パネル10に沿い、かつ、第1方向Dx及び第2方向Dyに交差する方向に延出する。これによって、カラー表示出力を行う第1パネル40が備える複数の色の副画素49(例えば、第1副画素49R、第2副画素49G、第3副画素49B)からの光を視点E1,E2,…,Enに視認させることができる。
【0086】
なお、第1パネル40はカラー液晶表示パネルに限られるものでなく、モノクロ液晶表示パネルであってもよいし、電子ペーパーディスプレイであってもよい。また、第1パネル40は自発光型の表示パネルであってもよい。第1パネル40が自発光型の表示パネルである場合、バックライト70は不要である。また、第1パネル40が自発光型の表示パネルである場合、
図16に示す構成を取ることはできない。
【0087】
図19は、自発光型の表示パネルが採用された表示装置300の積層構造例を示す模式図である。表示装置300は、第3方向Dzの一方側から他方側に向かって積層された、表示パネル301と、Λ/4板302と、偏光板303と、第2パネル10と、第3偏光板83と、を備える。第3偏光板83が立体視を認識するユーザ側に位置し、表示パネル301がその反対側に位置する。表示パネル301は、例えばOLED(Organic Light Emitting Diode)パネルであるが、これに限られるものでなく、他の方式による自発光型の表示パネルであってもよい。Λ/4板302は、第3方向Dzに通過した光の位相を変更させる。具体的には、Λ/4板302を第3方向Dzに通過した光は、入射時の位相差に対し、射出時の位相差が90度(°)ずれる。偏光板303は、上述の第2偏光板82と同様の構成である。偏光板303を通過する光の偏光方向と第3偏光板83を通過する光の偏光方向とは交差する。具体的には、偏光板303は、第1方向Dxに偏向する光(第1方向Dxに偏光軸を有する偏光成分)を通過させる。
【0088】
また、本実施形態において述べた態様によりもたらされる他の作用効果について本明細書記載から明らかなもの、又は当業者において適宜想到し得るものについては、当然に本開示によりもたらされるものと解される。
【符号の説明】
【0089】
1,100 液晶表示装置
10 第2パネル
14,15,141,142,…,14k,140,151,152 透光性電極
159 メタル電極
16 液晶層
21 共通電極
40 第1パネル
70 バックライト
LC 液晶分子