(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157697
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】水中油型乳化化粧料
(51)【国際特許分類】
A61K 8/06 20060101AFI20221006BHJP
A61K 8/898 20060101ALI20221006BHJP
A61K 8/81 20060101ALI20221006BHJP
A61K 8/73 20060101ALI20221006BHJP
A61Q 1/02 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
A61K8/06
A61K8/898
A61K8/81
A61K8/73
A61Q1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021062062
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(72)【発明者】
【氏名】木村 孝行
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AB051
4C083AB212
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB372
4C083AC012
4C083AC022
4C083AC102
4C083AC122
4C083AC342
4C083AC422
4C083AC442
4C083AC482
4C083AC532
4C083AC542
4C083AC852
4C083AD012
4C083AD042
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD13
4C083AD152
4C083AD161
4C083AD162
4C083AD281
4C083AD352
4C083AD572
4C083BB11
4C083BB25
4C083CC11
4C083CC14
4C083CC19
4C083DD33
4C083EE01
4C083EE03
4C083EE05
4C083EE17
(57)【要約】
【課題】高い化粧持ちを有し、安定性も良好な水中油型乳化化粧料を提供すること。
【解決手段】次の成分(a)~(e);
(a)特定のモノマー単位を必須成分として構成される重量平均分子量700~300,000の共重合体
(b)水
(c)カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースの中から選ばれる1種または2種以上の水溶性高分子
(d)油剤
(e)疎水化処理粉体
を含有する水中油型乳化化粧料。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(a)~(e);
(a)次のモノマー単位(I)~(IV)を必須成分として構成される重量平均分子量700~300,000の共重合体、
モノマー単位(I):下記式(1)で示されるシリコーンマクロモノマー;15~50質量%、
【化1】
[上記式(1)中、Xは炭素数6~12の2価の芳香族基もしくは-COOR
3-であり、但しR
3はSiと結合されている脂肪族基であり、R
1は水素原子またはメチル基であり、R
2は互いに同一もしくは異なる、フッ素置換された、または非置換の炭素数1~30の1価アルキル基、もしくはアリール基であり、nは1~100の整数を示す。]
モノマー単位(II):炭素数12以上のアルコール化合物またはアミン化合物と、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸グリシジル化合物、及び(メタ)アクリル酸ハロゲン化合物のいずれか1以上とを縮合反応させて得られる(メタ)アクリレートモノマー又は(メタ)アクリルアミドモノマー;15~50質量%、
モノマー単位(III):1種または2種以上のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートであるラジカル重合性基を有する親水性モノマー;0.1~25質量%、
モノマー単位(IV):炭素数10以下の炭化水素基を有するラジカル重合性疎水性モノマー;10~60質量%
(b)水
(c)カルボキシビニルポリマー、アルキル変性カルボキシビニルポリマー、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、及びヒドロキシプロピルメチルセルロースの中から選ばれる1種または2種以上の水溶性高分子
(d)油剤
(e)疎水化処理粉体
を含有する水中油型乳化化粧料。
【請求項2】
前記成分(a)のモノマー単位(III)のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートから選ばれる1種または2種以上である請求項1に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項3】
前記成分(d)に対する前記成分(a)及び前記成分(c)の含有質量比;(a)+(c)/(d)が0.1以上である、請求項1又は2に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項4】
前記成分(e)がシリコーン化合物で処理された疎水化処理顔料である請求項1~3に記載水中油型乳化化粧料。
【請求項5】
前記成分(d)油剤の全量中の40%以上が、炭化水素油、シリコーン油から選ばれる1種または2種以上である請求項1~4に記載の水中油型乳化化粧料。
【請求項6】
メークアップ化粧料である請求項1~5に記載の水中油型乳化化粧料。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特定の共重合体と疎水化処理粉体を含有する水中油型乳化化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
水中油型乳化化粧料は、一般的な特徴として、みずみずしい感触があるが、一方で化粧持ちが悪いという欠点がある。そのため、汗や水による化粧膜の欠落のない高い化粧持ちが要求されている。
【0003】
また、こうした市場の要求に応えるべく、種々の機能向上の努力がなされている。例えば、高い耐水性を得るために、(アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマーを配合する技術がある(特許文献1)。また、内油相に油溶性樹脂を配合する技術もある(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-088346号公報
【特許文献2】特開平7-267827号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術で得られる化粧料では、(アクリレーツ/アクリル酸ステアリル/メタクリル酸ジメチコン)コポリマーの皮膜によって耐水性は高くなるものの、水中油型乳化化粧料とすると安定性の面で満足いかない場合があった。特許文献2の技術で得られる化粧料では、油溶性樹脂の被膜により化粧持ちは高くなるものの、樹脂を内油相に安定配合するためには界面活性剤の高配合を必要とし、使用中に界面活性剤のべたつきが生じたり、仕上がりの化粧膜の親水性があがってしまい、高い化粧持ちを最大限に発揮できないという点で、満足のいくものが得られなかった。
【0006】
したがって、本発明では、高い化粧持ちを有し、安定性も良好な水中油型乳化化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる実情において、本発明者は鋭意検討を重ねた結果、水中油型乳化化粧料において、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートを導入した特定の共重合体と、カルボキシビニルポリマー及び/又はアルキル変性カルボキシビニルポリマー、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの中から選ばれる1種または2種以上の水溶性高分子とを組み合わせて用いることにより、高い化粧持ちに加えて、製造直後の乳化安定性、耐水性、高温での経時安定性に優れた水中油型化粧料を具現化できることを見出し、本発明を完成するに至った。さらには、粉体を含有しても分散性が良く、色ムラのなさにも優れることを見出した。
【0008】
すなわち本発明は、次の成分(a)~(e);
(a)次のモノマー単位(I)~(IV)を必須成分として構成される重量平均分子量700~300,000の共重合体、
モノマー単位(I):下記式(1)で示されるシリコーンマクロモノマー;15~50質量%、
【化1】
[上記式(1)中、Xは炭素数6~12の2価の芳香族基もしくは-COOR
3-であり、但しR
3はSiと結合されている脂肪族基であり、R
1は水素原子またはメチル基であり、R
2は互いに同一もしくは異なる、フッ素置換された、または非置換の炭素数1~30の1価アルキル基、もしくはアリール基であり、nは1~100の整数を示す。]
モノマー単位(II):炭素数12以上のアルコール化合物またはアミン化合物と、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸グリシジル化合物、及び(メタ)アクリル酸ハロゲン化合物のいずれか1以上とを縮合反応させて得られる(メタ)アクリレートモノマー又は(メタ)アクリルアミドモノマー;15~50質量%、
モノマー単位(III):1種または2種以上のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートであるラジカル重合性基を有する親水性モノマー;0.1~25質量%、
モノマー単位(IV):炭素数10以下の炭化水素基を有するラジカル重合性疎水性モノマー;10~60質量%
(b)水
(c)カルボキシビニルポリマー及び/又はアルキル変性カルボキシビニルポリマー、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの中から選ばれる1種または2種以上
(d)油剤
(e)疎水化処理粉体
を含有する水中油型乳化化粧料に関するものである。
【0009】
前記成分(a)のモノマー単位(III)のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートが、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートのいずれかである前記記載の水中油型乳化化粧料に関するものである。
【0010】
前記成分(d)に対する前記成分(a)及び前記成分(c)の含有質量比;(a)+(c)/(d)が0.1以上である前記記載の水中油型乳化化粧料に関するものである。
【0011】
前記成分(e)がシリコーン化合物で処理された疎水化処理顔料である前記記載の水中油型乳化化粧料に関するものである。
【0012】
前記成分(d)油剤の全量中の40%以上が、炭化水素油、シリコーン油から選ばれる1種または2種以上である前記記載の水中油型乳化化粧料に関するものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明の水中油型乳化化粧料は、製造直後の乳化安定性や耐水性、化粧持ち、色ムラのなさ、高温安定性に優れたものである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において、「~」はその前後の数値を含む範囲を意味するものとする。
【0015】
本発明に用いられる成分(a)の共重合体は、次のモノマー単位(I)~(IV)を必須成分として構成される重量平均分子量700~300,000の共重合体(以下、「共重合体(a)」と示す場合もある)である。
モノマー単位(I):下記式(1)で示されるシリコーンマクロモノマー;15~50質量%、
【化2】
[上記式(1)中、Xは炭素数6~12の2価の芳香族基もしくは-COOR
3-であり、但しR
3はSiと結合されている脂肪族基であり、R
1は水素原子またはメチル基であり、R
2は互いに同一もしくは異なる、フッ素置換された、または非置換の炭素数1~30の1価アルキル基、もしくはアリール基であり、nは1~100の整数を示す。]
モノマー単位(II):炭素数12以上のアルコール化合物またはアミン化合物と、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸グリシジル化合物、及び(メタ)アクリル酸ハロゲン化合物のいずれか1以上とを縮合反応させて得られる(メタ)アクリレートモノマー又は(メタ)アクリルアミドモノマー;15~50質量%、
モノマー単位(III):1種または2種以上のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートであるラジカル重合性基を有する親水性モノマー;0.1~25質量%、
モノマー単位(IV):炭素数10以下の炭化水素基を有するラジカル重合性疎水性モノマー;10~60質量%。
【0016】
<モノマー単位(I):シリコーンマクロモノマー>
共重合体(a)を構成するためのモノマー単位(I)は上記式(1)で示されるシリコーンマクロモノマーである。
【0017】
上記式(1)で示されるシリコーンマクロモノマーのR1は、水素原子またはメチル基であるが、好ましくはメチル基である。
【0018】
また、R2は互いに同一もしくは異なる、フッ素置換された、または非置換の炭素数1~30の1価アルキル基、もしくはアリール基であるが、皮膚に対してより好ましいのはフッ素置換された、または非置換の炭素数1~6の1価のアルキル基、アリール基である、更に好ましくは皮膚に対する低刺激性、滑り性の観点からメチル基、フェニル基、トリフロロプロピル基であり、もっとも好ましいのはメチル基である。
【0019】
Xは、炭素数6~12の2価の芳香族基もしくは-COOR3-であり、好ましくは炭素数6~8の2価の芳香族基もしくは-COOR3-である。2価の芳香族基としては、フェニレン基、トリレン基、キシリレン基、メシチレン基等が例示され、好ましくはフェニレン基である。また、-COOR3‐において、R3はSiに結合されている脂肪族基であり、カルボニル基は共重合体主鎖の炭素原子に結合されている。R3は例えば-(CH2)a-であり、ここでaは1~9の整数、好ましくは2~7の整数、より好ましくは3~5の整数である。Xが2価の芳香族基もしくは-COOR3-の場合の例を下記一般式(2)及び(3)に示す。これらのシリコーンマクロモノマーにおいて、R1~R3およびa、nは既に述べたものと同じである。
【0020】
【0021】
【0022】
nは1~100の整数、好ましくは3~80の整数、より好ましくは5~65の整数である。nが上限値100を超えると、共重合体(a)の製造時において重合反応の反応性が低下する場合がある。また、得られる共重合体(a)の密着性が低下する。さらに、化粧料中に炭化水素系油剤を配合する場合には油剤と共重合体の相溶性が悪くなる場合がある。一方、nが0であると、滑り性が不足したり、べたつき感が強くなったりする。
【0023】
上記一般式(1)、(2)、(3)で示されるシリコーンマクロモノマーは、代表的には(メタ)アクリレート置換クロロシラン化合物と、カルビノール変性シリコーンとを、常法により脱塩酸反応により得ることができるが、合成方法はこれに限定されるものではない。
【0024】
<モノマー単位(II):(メタ)アクリレートモノマー又は(メタ)アクリルアミドモノマー>
共重合体(a)を構成するためのモノマー単位(II)は、炭素数12以上のアルコール化合物またはアミン化合物と、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸グリシジル化合物、及び(メタ)アクリル酸ハロゲン化合物のいずれか1以上とを縮合反応させて得られる(メタ)アクリレートモノマー又は(メタ)アクリルアミドモノマーである。モノマー単位(II)の(メタ)アクリレートモノマー又は(メタ)アクリルアミドモノマー由来の構成単位を含むことで、共重合体(a)は炭素数12以上の側鎖を有する共重合体となるため、各種油剤に良好な相溶性を示す共重合体(a)となる。モノマー単位(II)の(メタ)アクリレートモノマー又は(メタ)アクリルアミドモノマーは、例えば炭素数12以上のアルコールまたはアミンと、(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸グリシジル、(メタ)アクリル酸ハロゲン化物を縮合反応させてエステルまたは酸アミドすることにより容易に製造することができる。モノマー単位(II)として用いられる(メタ)アクリレートモノマー又は(メタ)アクリルアミドモノマーのうち、特に好適に用いられるものの具体例としては、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、ベヘニル(メタアクリレート)の他、以下の化学式で示されるものが挙げられる。
CH2=CHCOOCH2CH(OH)CH2O(CH2)17CH3
CH2=C(CH3)COOCH2CH(OH)CH2O(CH2)29CH3
CH2=C(CH3)CONH(CH2)17CH3
CH2=CHCONH(CH2)21CH3
CH2=C(CH3)COO(CH2)15CH3
CH2=CHCOO(CH2)15CH3
【0025】
<モノマー単位(III):親水性モノマー>
共重合体(a)を構成するためのモノマー単位(III)はラジカル重合性基を有する親水性モノマーである。モノマー単位(III)のラジカル重合性基を有する親水性モノマーとしては、1種または2種以上の(メタ)アクリル酸、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリレートアルコール類、ポリオオキシアルキレンモノ(メタ)アクリレート、(ポリ)グリセリンモノ(メタ)アクリレートが例示される。特に、臭いの少ない皮膜を形成するためには、1種または2種以上のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートであることが好ましい。特に限定されないが、使用感が良好で、より臭いが少ない共重合体が得られるなどの点から、前記ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートとしては、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレートを1種または2種以上用いることが好ましい。
【0026】
<モノマー単位(IV):ラジカル重合性疎水性モノマー>
共重合体(a)を構成するためのモノマー単位(IV)は炭素数10以下の炭化水素基を有するラジカル重合性モノマーである。炭素数10以下の炭化水素基を有するラジカル重合性モノマー由来の構成単位を含むことで、皮膜の強度や柔軟性を調整可能な共重合体(a)となる。モノマー単位(IV)のラジカル重合性モノマーが有する炭素数10以下の炭化水素基は、鎖状、環状、芳香族のいずれでもよく、例えば1種または2種以上のメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、tert-ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n-オクチル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、イソポルニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。モノマー単位(IV)のラジカル重合性モノマーはこれらの2種以上から選ばれることが特に好ましい。また、これらは皮膜の強度や柔軟性に寄与するところが多いため、メチル(メタ)アクリレートやイソポルニル(メタ)アクリレート等のようにポリマー化したときのTgが高くなるラジカル重合性モノマーであることが好ましく、さらに柔軟性のためにTgの低いラジカル重合性モノマーと組み合わせることがより好ましい。
【0027】
共重合体(a)を構成するためのモノマー単位(I)は、15~50質量%であるが、好ましくは15~40質量%、より好ましくは18~38質量%である。15質量%より少ないと、シリコーン重合体としての特性が低下し、シリコーン油との相溶性が低下する。また、耐水性も低下して、皮膜に十分な撥水性を付与することができない。50質量%より多い場合は、有機系油との相溶性が低下する他、粘稠な皮膜となり、使用感が悪くなる。
【0028】
また、共重合体(a)を構成するためのモノマー単位(II)は、15~50質量%であるが、好ましくは20~40質量%、より好ましくは28~38質量%である。15質量%より少ないと、有機系油との相溶性が低下する。50質量%より多いと柔軟性のある皮膜を形成することが困難となるため使用感が悪くなる。
【0029】
さらに、共重合体(a)を構成するためのモノマー単位(I)と(II)の割合は、選択される物質の種類にもよるが、モノマー単位(I)/モノマー単位(II)として3/1~1/3(質量比)、とくに1.2/1~1/1.2(質量比)の領域であることが好ましい。モノマー単位(I)と(II)の割合が3/1~1/3(質量比)であればシリコーン油、極性油双方への相溶性により優れた共重合体(a)を得ることができるため好ましい。
【0030】
また、共重合体(a)を構成するためのモノマー単位(III)は、0.1~25質量%であるが、好ましくは1~20質量%、更に好ましくは5~18質量%である。0.1質量%より少ないと密着性が低下し、化粧料の持続性が低下する。また、25質量%より多いと共存する油剤への相溶性が低下する。また、共重合体(a)を構成するためのモノマー単位(IV)は、10~60質量%であるが、好ましくは15~50質量%、より好ましくは20~50質量%である。10質量%より低いと皮膜の強度や柔軟性が不十分となるため使用感が悪くなり、60質量%より高いと強度が強すぎたり柔軟性がなさ過ぎたりするため使用感が悪くなる。さらに、モノマー単位(III)及び(IV)の配合バランスにより、皮膜の強度、柔軟性などを調整することが可能であり、また、成分(III)は親水性の付与にも寄与している。
【0031】
なお、共重合体(a)を構成するための上記モノマー単位(I)~(IV)の質量%の和は100質量%となるように調整される。
【0032】
共重合体(a)の重合は、上記モノマー単位(I)~(IV)のモノマーとベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、アゾビスイソブチロニトリル等のラジカル重合開始剤の存在下に行なわれる。重合方法は、溶液重合法、乳化重合法、懸濁重合法、バルク重合法のいずれの方法の適用も可能である。これらの中でも、溶液重合法は、得られる重量平均分子量を調べる際のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)のグラフの分散と共重合体の重量平均分子量を適宜調製することが容易であることから好ましい方法である。重合の際、用いられる溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、デカン、ドデカン、ヘキサデカン、オクタデカン等の脂肪族系有機溶剤、ベンゼン、トルエン、キシレン等の芳香族系有機溶剤、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、デカノール等のアルコール系有機溶剤、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化有機溶剤、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン系有機溶剤中で重合反応を行っても良い。しかし、化粧品用途として用いる観点からは、無溶剤、又は溶媒としてエタノールやイソプロパノールを使用することが好ましい。
【0033】
このようにして製造される共重合体(a)のGPCにおけるポリスチレン換算の重量平均分子量は700~300,000であるが、好ましくは2000~200,000、よりこのましくは3000~100,000である。重量平均分子量が300,000より大きいと、各種油剤への相溶性が低下する。また重量平均分子量が700より小さいと皮膜剤、増粘剤、界面活性剤、及び/又は分散剤としての使用感が低下する。
【0034】
本発明に用いられる成分(a)の共重合体の具体例としては、INCI名で、Polyacrylate-44(ポリアクリレート-44:メタクリル酸ジメチコン、アクリル酸ステアリル、メタクリル酸ヒドロキシエチル、及びアクリル酸、メタクリル酸又はそれらの単純エステルからなるモノマー1種以上との共重合体)として収載されているものがあり、市販品として例えば、X-22-8338E(固形分:30質量%、信越化学工業社製)等が挙げられる。
【0035】
本発明における成分(a)の含有量は、特に限定されないが、化粧持ちの良さ、にじみのなさに優れる観点から、0.05~10質量%(以下、単に%とする)であることが好ましく、0.1~7%であることがより好ましく、0.1~5%であることが特に好ましい。
【0036】
本発明に用いられる成分(b)の水は、化粧料等に一般に用いられるものであれば、特に制限されない。具体的には、精製水、温泉水、深層水、或いは植物の水蒸気蒸留水でもよく、必要に応じて1種または2種以上を適宜選択して用いることができる。また含有量は、特に限定されず、適宜、他の成分量に応じて含有することができ、50~85%が好ましい。
【0037】
本発明に用いられる成分(c)は、カルボキシビニルポリマー及び/又はアルキル変性カルボキシビニルポリマー、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの中から選ばれる1種または2種以上の水溶性高分子である。ここで、「カルボキシビニルポリマー」とは、重合性ビニル基と、カルボキシル基を有する重合性モノマーを、少なくとも一つの構成単位として含む重合体の総称である。ここで、「アルキル変性」とは、カルボキシル基の一部以上がアルキルエステル化していることをいい、例えば、少なくとも1種のアクリル酸エステル類又はメタクリル酸エステル類を構成モノマーとして含む重合体は、アルキル変性されたカルボキシビニルポリマーの例に含まれる。アルキル変性のアルキル基の炭素数は、限定されるものではないが、10以上30以下が好ましく、18以上24以下がより好ましい。アルキル変性カルボキシビニルポリマーの市販品としてCARBOPOL1342、CARBOPOL1382(以上、LUBRIZOL ADVANNCED MATERIALS社製)、ペミュレンTR-1、ペミュレンTR-2(以上、NOVEON社製)等が挙げられ、カルボキシビニルポリマーの市販品としてはCARBOPOL940、CARBOPOL941、CARBOPOL980、CARBOPOL934(以上、LUBRIZOL ADVANNCED MATERIALS社製)等が挙げられ、(アクリル酸Na/アクリロイルジメチルタウリンNa)コポリマーの市販品としてSIMULGEL EG QD(SEPPIC社製)等が挙げられ、ヒドロキシプロピルメチルセルロースの市販品としてメトローズ90SH-15000、メトローズ65SH-4000(信越化学工業社製)等が挙げられる。
【0038】
本発明における成分(c)の含有質量は、特に限定されないが、乳化安定性、みずみずしい伸び広がりに優れる点から、0.05~0.8%が好ましく、0.1~0.6%がより好ましい。
【0039】
本発明に用いられる成分(d)の油剤は、通常化粧料に用いられる油であれば特に制約なく使用することができ、動物油、植物油、合成油等の起源や半固形油、液体油、揮発性油等の性状を問わず、炭化水素類、油脂類、エステル油類、脂肪酸類、高級アルコール類、フッ素系油類等を使用することができるが、乳化安定性の観点から、その中でも炭化水素油類又はシリコーン油類から選択される1種または2種以上を含有することがより好ましい。具体的には、流動パラフィン、スクワラン、ワセリン、ポリイソブチレン、軽質流動イソパラフィン、イソドデカン等の炭化水素類、モクロウ、オリーブ油、ヒマシ油、ミンク油、マカデミアンナッツ油等の油脂類、ミツロウ、ゲイロウ、カルナウバワックス、キャンデリラワックス等のロウ類、ロジン酸ペンタエリトリットエステル、コレステロール脂肪酸エステル、フィトステロール脂肪酸エステル等の非液状のエステル類、ステアリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、ベヘニン酸、イソステアリン酸、オレイン酸等の脂肪酸類、メチルポリシロキサン、トリメチルシロキシケイ酸、アルキル変性ポリシロキサンポリオキシアルキレン変性オルガノポリシロキサン、架橋型ポリエーテル変性メチルポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等のシリコーン類、パーフルオロデカン、パーフルオロオクタン、パーフルオロポリエーテル等のフッ素系油剤類、ラノリン、酢酸ラノリン、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラノリンアルコール類のラノリン誘導体、ショ糖脂肪酸エステル、イソステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウム、パルミチン酸デキストリン、12-ヒドロキシステアリン酸等の油性ゲル化剤類等が挙げられ、これらを1種または2種以上を用いることができる。
【0040】
本発明における成分(d)の含有質量は、特に限定されないが、0.1~20%が好ましい。
【0041】
また、前記成分(d)に対する前記成分(a)及び前記成分(c)の含有質量比;(a)+(c)/(d)は、乳化安定性、経時安定性の点で、0.1以上が好ましい。
【0042】
本発明に用いられる成分(e)の疎水化処理粉体は、疎水性を付与するために、粉体の表面の一部又は全部を疎水化処理剤で被覆処理したものであり、通常化粧料に使用されるものであれば、特に限定されずに使用できる。粉体表面に処理を施すことで、粉体表面の付着性が弱まり、粉体同士の凝集が低減されるため、成分(a)と組み合わせたときに、より均一な化粧膜を形成し、化粧持ちの良さや色ムラのなさ等の効果を得ることができる。成分(e)の疎水化処理粉体で使用される疎水化処理剤としては、シリコーン化合物、フッ素化合物、油剤、ゲル化剤、エマルションポリマー等が挙げられ、中でも化粧持ちの良さや色ムラのなさ等に優れる点でシリコーン化合物であることがより好ましく、フッ素化合物であることが特に好ましい。
【0043】
本発明に用いられる成分(e)の疎水化処理粉体に用いられるシリコーン化合物としては、ジメチコン、メチコン、ハイドロゲンジメチコン、トリエトキシカプリリルシランを用いることがより好ましい。
【0044】
本発明に用いられる成分(e)の疎水化処理粉体の母体となる粉体は、通常化粧料に用いられるものであれば、球状、板状、針状等の形状、微粒子、顔料級等の粒子径、多孔質、無孔質等の粒子構造等により特に限定されず、無機粉体類、光輝性粉体類、有機粉体類、色素粉体類、金属粉体類、複合粉体類等が挙げられる。具体的には、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、酸化鉄、カーボンブラック、チタン・酸化チタン焼結物、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の有色無機顔料、シリカ、タルク、白雲母、金雲母、紅雲母、黒雲母、合成雲母、絹雲母(セリサイト)、合成セリサイト、カオリン、炭化珪素、ベントナイト、スメクタイト、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、珪ソウ土、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素等の白色体質粉体、酸化チタン被覆雲母、酸化チタン被覆オキシ塩化ビスマス、酸化鉄雲母チタン、紺青処理雲母チタン、カルミン処理雲母チタン、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔、ポリエチレンテレフタレート・アルミニウム・エポキシ積層末、ポリエチレンテレフタレート・ポリオレフィン積層フィルム末、ポリエチレンテレフタレート・ポリメチルメタクリレート積層フィルム末等の光輝性粉体、ポリアミド系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリアクリル系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、ポリスチレン系樹脂、スチレン-アクリル共重合樹脂等のコポリマー樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ウレタン樹脂等の有機高分子樹脂粉体、ステアリン酸亜鉛、N-アシルリジン等の有機低分子性粉体、シルク粉末、セルロース粉末、デキストリン粉末等の天然有機粉体、赤色201号、赤色202号、赤色205号、赤色226号、赤色228号、橙色203号、橙色204号、青色404号、黄色401号、赤色3号、赤色104号、赤色106号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、緑色3号、青色1号等のジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料粉体あるいは更にアルミニウム粉、金粉、銀粉等の金属粉体、微粒子酸化チタン被覆雲母チタン、微粒子酸化亜鉛被覆雲母チタン、硫酸バリウム被覆雲母チタン、酸化チタン含有二酸化珪素、酸化亜鉛含有二酸化珪素等の複合粉体、ナイロン、ポリエステル、レーヨン、セルロース等の繊維等が挙げられる。
【0045】
本発明に用いられる成分(e)の疎水化処理粉体の疎水化処理剤の処理量は、特に限定されないが、0.1~10%が好ましく、更に好ましくは1~5%である。
【0046】
本発明における成分(e)の含有量は、特に限定されないが、乳化安定性、化粧持ち、色ムラのなさ等の観点から、0.1~20%であることが好ましく、0.5~15%であることがより好ましく、1~10%であることが特に好ましい。
【0047】
本発明の水中油型乳化化粧料には、上記の成分(a)~(e)の他に、通常の化粧料に使用される成分を、本発明の効果を損なわない量的、質的範囲において、必要に応じて配合することができる。例えば、多価アルコール等の水性成分、無機顔料、有機顔料及び色素等の粉体、繊維、界面活性剤、水溶性高分子、水溶性皮膜形成性樹脂、保湿剤、糖類、紫外線吸収剤、褪色防止剤、酸化防止剤、消泡剤、美容成分、防腐剤、香料、清涼剤等を本発明の効果を妨げない範囲で含有することができる。
【0048】
水性成分としては、特に限定されず、成分(b)と共に水中油型乳化化粧料の外水相を構成し得るものであり、水に可溶な成分を挙げることができる。例えば、エチルアルコール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール類、プロピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類、グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセロール類、アロエベラ、ウイッチヘーゼル、ハマメリス、キュウリ、レモン、ラベンダー、ローズ等の植物抽出液等が挙げられる。また、水相の含有質量としては、使用感と安定性の観点から、全化粧料中の50~85%であることが好ましい。
【0049】
本発明では、成分(a)及び成分(c)以外の水溶性高分子としては、特に限定されずに、含有することができ、例えば、キサンタンガム、グアーガム、コンドロイチン硫酸ナトリウム、ヒアルロン酸ナトリウム、アラビアガム、アルギン酸ナトリウム、カラギーナン等の天然系のもの、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース等の半合成系のもの、ポリアクリル酸ナトリウム等の合成系のものを挙げることができる。
【0050】
界面活性剤としては、化粧料一般に用いられている界面活性剤であればいずれのものも使用でき、非イオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、両性界面活性剤等が挙げられる。特に限定されないが、本発明の効果を顕著に発揮できる点などから、両性界面活性剤を用いることが好ましく、中でもレシチンを用いることが特に好ましい。
【0051】
紫外線吸収剤としては、例えばベンゾフェノン系、PABA系、ケイ皮酸系、サリチル酸系等、例えば、4-tert-ブチル-4’-メトキシジベンゾイルメタン、オキシベンゾン、パラメトキシケイ皮酸2-エチルヘキシル2,4,6-トリス[4-(2-エチルへキシルオキシカルボニル)アニリノ]-1,3,5-トリアジン、ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル、ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン等を挙げることができる。
【0052】
本発明の水中油型乳化化粧料の製造方法は、特に限定されず通常公知の方法で製造可能であり、製造機器としては、一般のディスパーションのような分散・乳化機器であればいずれでもよい。例えば、成分(a)および成分(c)を均一に溶解、分散した成分(b)を含む水系成分に対して、成分(e)を均一に分散した成分(d)を含む油系成分を添加して乳化することにより得られる。
【0053】
本発明の水中油型乳化化粧料の形態としては、特に限定されないが、乳液状、クリーム状とすることができる。
【0054】
本発明の水中油型乳化化粧料は、アイシャドウ、ファンデーション、メークアップ下地、日焼け止め、乳液、美容液、パック、クリームなどに好適に用いることができる。特に、優れた化粧持ち、色ムラのなさの観点から、メークアップ化粧料が好ましく、アイシャドウ、日焼け止め化粧料が好ましい。
【実施例0055】
以下に実施例をあげて本発明を詳細に説明する。尚、これらは本発明を何ら限定するものではない。
【0056】
実施例1~16および比較例1~4:水中油型アイシャドウ
下記表1に示す処方の水中油型アイシャドウを調製し、乳化安定性、経時安定性耐水性、化粧持ち、色ムラのなさについて下記の方法により評価した。その結果も併せて表1に示す。
【0057】
【0058】
(製造方法)
A.成分(1)~(7)、(12)、(26)~(31)を均一に混合する。
B.成分(8)~(11)、(13)~(25)を均一に混合する。
C.BをAに混合・乳化する。
D.Cを充填して水中油型アイシャドウを得た。
【0059】
(評価項目)
イ.乳化安定性
ロ.耐水性
ハ.化粧持ちの良さ
ニ.色ムラのなさ
【0060】
(評価方法)
(イ.乳化安定性)
実施例1~16、比較例1~4で得られた水中油型アイシャドウについて、製造直後の各試料の乳化滴の平均粒子径を、サブミクロン粒子アナライザーN5(ベックマン・コールター社製)で測定し、乳化滴のサイズが100μm以下で、均一かどうかを以下の2段階判定基準にて評価した。
<判定基準>
平均粒子径が100μm以下で、外観上離しょうが見られない :◎
平均粒子径が100μmより大きく、外観上離しょうが見られる :×
【0061】
(ロ.耐水性)
実施例1~16、比較例1~4で得られた水中油型アイシャドウについて、化粧料を塗布して6時間後に、化粧膜に流水を30秒間当てた後、化粧膜が肌に乗った状態を維持しているかどうかを専門評価者20名が以下の評価基準に従って4段階評価し評点を付し、全パネルの評点の平均点を以下の判定基準に従って判定した。
<評価基準>(評点):(評価)
4 :非常に維持している
3 :維持している
2 :普通
1 :あまり維持していない
0 :非常に維持していない
<判定基準>
(評点平均値) :(判定)
3点を超える : ◎
2点以上3点未満 : ○
1点以上2点未満 : △
1点未満 : △
【0062】
(ハ.化粧持ち)
実施例1~16、比較例1~4で得られた水中油型アイシャドウについて、化粧料を塗布して6時間後に、化粧膜が肌に乗った状態を維持しているかどうかを専門評価者20名が以下の評価基準に従って4段階評価し評点を付し、全パネルの評点の平均点を以下の判定基準に従って判定した。
<評価基準>
(評点):(評価)
4 :非常に維持している
3 :維持している
2 :普通
1 :あまり維持していない
0 :非常に維持していない
<判定基準>
(評点平均値) :(判定)
3点を超える : ◎
2点以上3点未満 : ○
1点以上2点未満 : △
1点未満 : △
【0063】
(ニ.色ムラのなさ)
実施例1~16、比較例1~4で得られた水中油型アイシャドウについて、化粧料塗布直後に化粧膜に色ムラがあるかどうかを専門評価者20名が以下の評価基準に従って4段階評価し評点を付し、全パネルの評点の平均点を以下の判定基準に従って判定した。
<評価基準>
(評点):(評価)
4 :非常に色ムラがない
3 :色ムラがない
2 :普通
1 :色ムラがある
0 :非常に色ムラがある
<判定基準>
(評点平均値) :(判定)
3点を超える : ◎
2点以上3点未満 : ○
1点以上2点未満 : △
【0064】
(ホ.経時安定性)
実施例1~15、比較例1~7で得られた水中油型アイシャドウについて、製造1か月後の各試料の乳化滴の平均粒子径を、サブミクロン粒子アナライザーN5(ベックマン・コールター社製)で測定し、乳化滴のサイズが100μm以下で、均一かどうかを以下の2段階判定基準にて評価した。
<判定基準>
平均粒子径が100μm以下で、外観上離しょうが見られない :◎
平均粒子径が100μmより大きく、外観上離しょうが見られる :×
【0065】
表1の結果から明らかなように、実施例1~16は、乳化安定性、耐水性、化粧持ち、色ムラのなさ、高温安定性に優れた化粧料であった。
一方、成分(a)を含有しない比較例1及び比較例2、成分(c)を含有しない比較例3は、乳化安定性の点で劣る結果となった。成分(e)を含有しない比較例4は、耐水性、化粧持ち及び色ムラのなさの点で劣る結果となった。
【0066】
実施例17:水中油型日焼け止め
(成分) (%)
1.ポリアクリレート-44 3.0
2.精製水 残量
3.アルキル変性カルボキシビニルポリマー 0.3
4.キサンタンガム 0.1
5.スクワラン 1.0
6.ジメチコン 3.0
7.イソドデカン 7.0
8.メトキシケイヒ酸エチルヘキシル 5.0
9.ビスエチルヘキシルオキシフェノールメトキシフェニルトリアジン 1.0
10.ジエチルアミノヒドロキシベンゾイル安息香酸ヘキシル 2.3
11.ポリシリコーン-15 3.0
12.シリコーン処理酸化亜鉛 4.0
13.シリコーン処理酸化チタン 1.0
14.メチルパラベン 0.1
【0067】
(製法)
A.成分(1)~(4)を均一に混合する。
B.成分(5)~(13)均一に混合する。
C.BをAに混合・乳化する。
D.Cに(14)を均一に混合する。
E.Dを充填して水中油型日焼け止めを得た。
【0068】
以上のようにして得られた実施例17の水中油型日焼け止めは、乳化安定性、耐水性、化粧持ち、色ムラのなさに優れた化粧料であった。