(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157743
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】評価方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/02 20120101AFI20221006BHJP
A23G 1/02 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
G06Q50/02
A23G1/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021062150
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000000941
【氏名又は名称】株式会社カネカ
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100134359
【弁理士】
【氏名又は名称】勝俣 智夫
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100178847
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 映美
(72)【発明者】
【氏名】藤田 緑
(72)【発明者】
【氏名】田原 孔明
【テーマコード(参考)】
4B014
5L049
【Fターム(参考)】
4B014GG06
4B014GP27
5L049CC01
(57)【要約】
【課題】農作物を固形状態で発酵させた固形発酵物の生産性を向上することが可能な評価方法を提供する。
【解決手段】固形の農作物各々を固形状態で発酵させた固形発酵物について、嗅覚センサによって検出された臭い検出値を取得する臭い取得過程と、前記臭い検出値が入力された場合に、前記臭い検出値と前記固形発酵物の品質値が予め対応付けられた対応情報を用いて、前記固形発酵物の品質値を出力する評価過程と、を有する評価方法。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
固形の農作物各々を固形状態で発酵させた固形発酵物について、嗅覚センサによって検出された臭い検出値を取得する臭い取得過程と、
前記臭い検出値が入力された場合に、前記臭い検出値と前記固形発酵物の品質値が予め対応付けられた対応情報を用いて、前記固形発酵物の品質値を出力する評価過程と、
を有する評価方法。
【請求項2】
前記固形発酵物の内部の水分量を示す水分量検出値を取得する水分量取得過程、
をさらに有し、
前記評価過程において、前記水分量検出値及び前記臭い検出値が入力された場合に、前記水分量検出値、前記臭い検出値、及び前記品質値が予め対応付けられた前記対応情報を用いて、前記固形発酵物の品質値を出力する、
請求項1に記載の評価方法。
【請求項3】
前記固形発酵物の硬さを示す硬さ検出値を取得する硬さ取得過程、
をさらに有し、
前記評価過程において、前記硬さ検出値及び前記臭い検出値が入力された場合に、前記硬さ検出値、前記臭い検出値、及び前記品質値が予め対応付けられた前記対応情報を用いて、前記固形発酵物の品質値を出力する、
請求項1に記載の評価方法。
【請求項4】
前記固形発酵物の食味を示す食味情報を取得する食味情報取得過程、
をさらに有し、
前記評価過程において、前記食味情報及び前記臭い検出値が入力された場合に、前記食味情報、前記臭い検出値、及び前記品質値が予め対応付けられた前記対応情報を用いて、前記固形発酵物の品質値を出力する、
請求項1に記載の評価方法。
【請求項5】
前記評価過程において、固形発酵物に用いる発酵物質に応じて前記臭い検出値が入力された場合に、前記発酵物質の各々に対して前記臭い検出値及び前記品質値が予め対応付けられた前記対応情報を用いて、当該発酵物質で発酵させた固形発酵物の品質値を出力する、
請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の評価方法。
【請求項6】
前記固形発酵物は、発酵カカオであり、
前記評価過程において、カカオ豆の種類とカカオに用いる発酵物質に応じて前記臭い検出値が入力された場合に、カカオ豆の種類と前記発酵物質の各々に対して前記臭い検出値及び前記品質値が予め対応付けられた前記対応情報を用いて、当該発酵物質で発酵させた発酵カカオの品質値を出力する、
請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の評価方法。
【請求項7】
前記発酵物質は、酵母、酢酸菌、又は納豆菌の少なくともいずれか1つである、
請求項5又は請求項6に記載の評価方法。
【請求項8】
前記固形発酵物は、発酵カカオであり、
前記評価過程において、麹を用いて発酵した発酵カカオについて、前記臭い検出値が入力された場合に、麹に対して前記臭い検出値及び前記品質値が予め対応付けられた前記対応情報を用いて、麹で発酵させた発酵カカオの品質値を出力する、
請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の評価方法。
【請求項9】
前記評価過程において、前記発酵カカオを撮影した撮影画像に基づいて検出される前記発酵カカオの状態に応じて、前記品質値を下げる、
請求項6又は請求項8に記載の評価方法。
【請求項10】
前記品質値に基づいて、取引金額を算出する金額算出過程、
をさらに有する、
請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の評価方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、評価方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農作物の生産において、生産工程の中に固形状態で発酵させる工程を含む農作物がある。例えば、カカオ豆である。カカオ豆は、インドネシアやタイなどの東南アジアの国々、ガーナやコートジボワールなどのアフリカの国々、ブラジルやエクアドルなどの南米の国々で主に生産されている。
【0003】
これらの国々において、カカオ豆の生産者には、例えば低収入による貧困問題や児童労働問題等の社会問題を抱えている生産者が存在する。カカオ豆の先物取引の対象であるため、生産者に価格の決定権がないことが低収入の一因となっている。また、新興国の富裕化に伴い、カカオの需要が急増する可能性があるともいわれている。カカオの需要の急増に伴い、カカオの価格が下落し、生産者の収入も下落することが懸念されている。そこで、カカオ豆の生産者の収入を増加させるために、カカオ豆の生産性や品質を向上させることが考えられる。
【0004】
カカオ豆の発酵状況や焙煎具合は、例えば、発酵時に生じる臭いや焙煎時に生じる香りから判定可能である。例えば、下記特許文献1には、発酵技術としてニンニクを発酵させる技術が開示されている。また、下記特許文献2には、堆肥の生産において、臭気を検出して制御に用いる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007-275034号公報
【特許文献2】特開2016-033106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、カカオ豆の生産者は、自身で発酵時に生じる臭いや焙煎時に生じる香りを嗅ぐことで、カカオ豆の発酵状況や焙煎具合を判定している。カカオ豆の発酵状況や焙煎具合の判定作業を人手で行うことは、生産性を低下させる。そこで、人手を介さずに当該判定作業をできるようにすることで、カカオ豆の生産性を向上させることが望まれる。
【0007】
上述の課題を鑑み、本発明の目的は、農作物を固形状態で発酵させた固形発酵物の生産性を向上することが可能な評価方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上述の課題を解決するために、本発明の一態様に係る評価方法は、固形の農作物各々を固形状態で発酵させた固形発酵物について、嗅覚センサによって検出された臭い検出値を取得する臭い取得過程と、前記臭い検出値が入力された場合に、前記臭い検出値と前記固形発酵物の品質値が予め対応付けられた対応情報を用いて、前記固形発酵物の品質値を出力する評価過程と、を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、農作物を固形状態で発酵させた固形発酵物の生産性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る情報処理システムの構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る生産情報に関する対応情報のデータ構成の一例を示す図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る発酵状況情報に関する対応情報のデータ構成の一例を示す図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る品質値に関する対応情報のデータ構成の一例を示す図である。
【
図5】本発明の実施形態に係る農園情報のデータ構成の一例を示す図である。
【
図6】本発明の実施形態に係る発酵・乾燥情報のデータ構成の一例を示す図である。
【
図7】本発明の実施形態に係る焙煎情報のデータ構成の一例を示す図である。
【
図8】本発明の実施形態に係る評価情報のデータ構成の一例を示す図である。
【
図9】本発明の実施形態に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の実施形態に係る変形例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について詳しく説明する。
【0012】
<1.情報処理システムの構成>
図1を参照して、本実施形態に係る情報処理システム1の構成について説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る情報処理システム1の構成の一例を示すブロック図である。
【0013】
情報処理システム1は、固形の農作物の生産を管理するためのシステムである。以下、本実施形態では、固形の農作物がカカオ豆である例について説明する。なお、固形の農作物は、カカオ豆に限定されない。
【0014】
情報処理システム1は、カカオ豆の生産工程の内、例えばカカオ豆の発酵工程において、カカオ豆各々を固形状態で発酵させた発酵カカオ(請求項における固形発酵物に相当)に関する管理を行う。当該管理では、発酵カカオの発酵時間の管理や発酵カカオの品質の管理を行う。具体的に、発酵カカオの発酵に必要な時間の予測や、目標とする品質基準を満たすカカオ豆を生産するために必要な情報の出力等を行う。
【0015】
本実施形態においてカカオ豆は、発酵物質を用いて発酵される。上述した目標とする品質基準を満たすカカオ豆を生産するために必要な情報の出力では、例えば、カカオ豆の発酵に用いる発酵物質の提案を行う。発酵物質は、例えば、粕、酵母、カビ、細菌等である。粕は、例えば、酒粕、みりん粕等である。酵母は、例えば、ワイン酵母、ビール酵母、パン酵母等である。カビは、例えば、麹、白カビ、青カビ等である。細菌は、例えば、乳酸菌、酢酸菌・納豆菌等である。これらの発酵物質の内、例えば、酵母、酢酸菌、又は納豆菌の少なくともいずれか1つが、カカオ豆の発酵物質(スターターとも称される)として用いられる。その内、少なくとも酵母は用いることが好ましい。
【0016】
また、情報処理システム1は、カカオ豆の生産工程の内、例えば、発酵カカオの乾燥工程において、乾燥される発酵カカオの管理を行う。当該管理では、発酵カカオの乾燥時間の管理を行う。具体的に、発酵カカオの乾燥に必要な時間の予測を行う。
【0017】
また、情報処理システム1は、カカオ豆の品質を評価する。例えば、情報処理システム1は、カカオ豆が生産されてから流通し、消費されるまでの任意の工程におけるカカオ豆の品質を評価する。本実施形態では、情報処理システム1は、評価値に基づき、カカオ豆の品質の評価を行う。評価値は、例えば、カカオ豆の品質値、香り検出値、カカオ豆の購買結果に基づく情報である。
【0018】
図1に示すように、情報処理システム1は、嗅覚センサ10、温度センサ11、嗅覚センサ12、水分センサ13、超音波センサ14、撮像装置15、通信モジュール20~24、サーバ装置30、及びユーザ端末40を備える。通信モジュール20~24、サーバ装置30、及びユーザ端末40の各々は、ネットワークNWによって接続されている。
【0019】
箱2は、カカオ豆の発酵時に当該カカオ豆を収納する箱である。本実施形態において、嗅覚センサ10、温度センサ11、及び通信モジュール20は、箱2の中に設けられている。嗅覚センサ12、水分センサ13、超音波センサ14、撮像装置15、通信モジュール21~24の設置場所は特に限定されない。
嗅覚センサ10及び温度センサ11は、通信モジュール20と接続されている。嗅覚センサ12は通信モジュール21と接続され、水分センサ13は通信モジュール22と接続され、超音波センサ14は通信モジュール23と接続され、撮像装置15は通信モジュール24と接続されている。
【0020】
(1)嗅覚センサ10
嗅覚センサ10は、箱2内の臭いを検出するために用いられるセンサ装置である。即ち、嗅覚センサ10は、箱2内でカカオ豆が発酵されている時に生じる臭い、即ち発酵カカオから生じる臭いを検出する。以下、嗅覚センサ10によって検出される発酵カカオの臭いを示す値は、「臭い検出値」とも称される。嗅覚センサ10は、検出した臭い検出値を通信モジュール20へ送信する。
嗅覚センサ10は、例えば、MSS(Membrane-type Surface stress Sensor:膜型表面応力センサ)である。
なお、箱2内において、嗅覚センサ10が設けられる位置は特に限定されない。例えば、箱2内において臭いを検出したい位置に応じて、嗅覚センサ10を設ける位置は変更されてもよい。
【0021】
(2)温度センサ11
温度センサ11は、箱2内の温度を検出するために用いられるセンサ装置である。即ち、温度センサ11は、箱2内で発酵カカオが発酵されている温度を検出する。以下、温度センサ11によって検出される発酵カカオの発酵している温度を示す値は、「温度検出値」とも称される。温度センサ11は、検出した温度検出値を通信モジュール20へ送信する。
なお、箱2内において、温度センサ11が設けられる位置は特に限定されない。例えば、箱2内において温度を検出したい位置に応じて、温度センサ11を設ける位置は変更されてもよい。
【0022】
(3)嗅覚センサ12
嗅覚センサ12は、発酵カカオが焙煎されて以降にカカオ豆から生じる香りを検出するために用いられるセンサ装置である。以下、嗅覚センサ12によって検出されるカカオ豆の香りを示す値は、「香り検出値」とも称される。嗅覚センサ12は、検出した香り検出値を通信モジュール21へ送信する。
【0023】
(4)水分センサ13
水分センサ13は、カカオ豆に含まれる水分量を検出するために用いられるセンサ装置である。以下、水分センサ13によって検出されるカカオ豆の内部の水分量を示す値は、「水分量検出値」とも称される。水分センサ13は、検出した水分量検出値を通信モジュール22へ送信する。
【0024】
(5)超音波センサ14
超音波センサ14は、カカオ豆の硬さを検出するために用いられるセンサ装置である。以下、超音波センサ14によって検出されるカカオ豆の硬さを示す値は、「硬さ検出値」とも称される。超音波センサ14は、検出した硬さ検出値を通信モジュール23へ送信する。
【0025】
(6)撮像装置15
撮像装置15は、カカオ豆の画像を撮像するために用いるカメラである。撮像装置15は、撮像した画像を通信モジュール24へ送信する。
【0026】
(7)通信モジュール20~24
通信モジュール20~24は、各種センサ装置あるいはカメラから受信した情報を、ネットワークNWを用いてサーバ装置30へ送信する通信装置である。
通信モジュール20は、嗅覚センサ10から受信する臭い検出値をサーバ装置30へ送信する。また、通信モジュール20は、温度センサ11から受信する温度検出値をサーバ装置30へ送信する。
通信モジュール21は、嗅覚センサ12から受信する香り検出値をサーバ装置30へ送信する。
通信モジュール22は、水分センサ13から受信する水分量検出値をサーバ装置30へ送信する。
通信モジュール23は、超音波センサ14から受信する硬さ検出値をサーバ装置30へ送信する。
通信モジュール24は、撮像装置15から受信する画像をサーバ装置30へ送信する。
【0027】
(8)サーバ装置30
サーバ装置30は、通信モジュール20~24を介して各種センサ装置あるいはカメラから受信する情報や、ネットワークNWを介してユーザ端末40から受信する情報に基づき、カカオ豆の生産を管理する装置である。
図1に示すように、サーバ装置30は、通信部31、記憶部32、及び制御部33を備える。
【0028】
(8-1)通信部31
通信部31は、各種情報の送受信を行う機能を有する。例えば、通信部31は、通信モジュール20~24の各々から送信される情報や、ユーザ端末40から送信される情報を受信する。通信部31は、受信した情報を記憶部32に書き込んで記憶させる。
また、通信部31は、ユーザ端末40に出力させる情報をユーザ端末40へ送信する。
【0029】
(8-2)記憶部32
記憶部32は、記憶媒体、例えば、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)、フラッシュメモリ、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read Only Memory)、RAM(Random Access read/write Memory)、ROM(Read Only Memory)、またはこれらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。
【0030】
記憶部32は、各種情報を記憶する機能を有する。
ここで、
図2~
図8を参照して、記憶部32が記憶する情報のデータ構成について説明する。
図2~
図4は、記憶部32に予め記憶される対応情報のデータ構成を示す。
図5は、農園情報のデータ構成を示す。
図6は、発酵・乾燥情報のデータ構成を示す。
図7は、焙煎情報のデータ構成を示す。
図8は、評価情報のデータ構成を示す。
【0031】
(生産情報に関する対応情報)
図2は、本発明の実施形態に係る生産情報に関する対応情報のデータ構成の一例を示す図である。
図2には、カカオ豆の種類、発酵物質、及び評価値が対応付けられた対応情報が示されている。評価値として品質値、香り検出値、及び金額が対応付けられている。当該金額は、例えば、発酵物質の金額、評価値に応じたカカオ豆の取引金額等である。
【0032】
記憶部32は、
図2に示すようにカカオ豆の種類、当該カカオ豆の種類ごとに用いる発酵物質、及び当該発酵物質を用いて生産したカカオ豆の評価値が予め対応付けられた情報を、生産情報に関する対応情報として記憶する。当該対応情報を用いることで、生産したいカカオ豆の生産に必要な情報を取得することができる。
【0033】
例えば、生産情報に関する対応情報に含まれるいずれかの情報が入力された場合に、入力された情報以外の残りの情報が出力される。一例として、カカオ豆の種類と発酵物質が入力されると、入力されたカカオ豆の種類と発酵物質の組み合わせで生産されたカカオ豆の評価値が出力される。また、一例として、評価値が入力されると、入力された評価値を示すカカオ豆を生産するためのカカオ豆の種類と発酵物質の組み合わせが出力される。
【0034】
(発酵状況情報に関する対応情報)
図3は、本発明の実施形態に係る発酵状況情報に関する対応情報のデータ構成の一例を示す図である。
図3には、カカオ豆の種類、発酵物質、臭い検出値の時間履歴情報、温度検出値の時間履歴情報、及び発酵状況情報が対応付けられた対応情報が示されている。臭い検出値の時間履歴情報として、臭い検出値と時刻が対応付けられている。温度検出値の時間履歴情報として、温度検出値と時刻が対応付けられている。なお、温度検出値は、発酵の管理情報の一例でもある。
【0035】
記憶部32は、
図3に示す情報の内、カカオ豆の種類、発酵物質、臭い検出値の時間履歴情報、及び温度検出値の時間履歴情報の内の少なくともいずれかの情報と、発酵状況情報とが予め対応付けられた情報を、発酵状況情報に関する対応情報として記憶する。当該対応情報を用いることで、発酵カカオの発酵状況情報を取得することができる。発酵状況情報は、例えば、発酵工程を終了する終了時期を示す情報である。
【0036】
例えば、記憶部32は、臭い検出値、発酵カカオの発酵状況情報が予め対応付けられた発酵状況情報に関する対応情報を記憶する。当該対応情報は、臭い検出値が入力された場合に、入力された臭い検出値に対応する発酵カカオの発酵状況情報を出力する。
【0037】
また、記憶部32は、臭い検出値、温度検出値、及び発酵カカオの発酵状況情報が予め対応付けられた発酵状況情報に関する対応情報を記憶してもよい。当該対応情報は、臭い検出値及び温度検出値が入力された場合に、入力された臭い検出値及び温度検出値に対応する発酵カカオの発酵状況情報を出力する。
【0038】
また、記憶部32は、臭い検出値の時間履歴情報及び発酵カカオの発酵状況情報が予め対応付けられた発酵状況情報に関する対応情報を記憶してもよい。当該対応情報は、臭い検出値の時間履歴情報が入力された場合に、入力された臭い検出値の時間履歴情報に対応する発酵カカオの発酵状況情報を出力する。
【0039】
また、記憶部32は、温度検出値の時間履歴情報及び発酵カカオの発酵状況情報が予め対応付けられた発酵状況情報に関する対応情報を記憶してもよい。当該対応情報は、温度検出値の時間履歴情報が入力された場合に、入力された温度検出値の時間履歴情報に対応する発酵カカオの発酵状況情報を出力する。
【0040】
また、記憶部32は、発酵物質の各々に対して臭い検出値及び発酵状況情報が予め対応付けられた発酵状況情報に関する対応情報を記憶してもよい。当該対応情報は、いずれかの発酵物質に対応する臭い検出値が入力された場合に、入力された臭い検出値に対応する発酵カカオの発酵状況情報を出力する。
【0041】
記憶部32は、カカオ豆の種類と発酵物質の各々に対して臭い検出値及び発酵状況情報が予め対応付けられた発酵状況情報に関する対応情報を記憶する。当該対応情報は、カカオ豆の種類とカカオに用いる発酵物質に応じて臭い検出値が入力された場合に、入力された臭い検出値に対応する発酵カカオの発酵状況情報を出力する。
【0042】
(品質値に関する対応情報)
図4は、本発明の実施形態に係る品質値に関する対応情報のデータ構成の一例を示す図である。
図4には、カカオ豆の種類、発酵物質、臭い検出値、香り検出値、水分量検出値、硬さ検出値、食味情報、及び品質値が対応付けられた対応情報が示されている。
【0043】
記憶部32は、
図4に示す情報の内、カカオ豆の種類、発酵物質、臭い検出値、香り検出値、水分量検出値、硬さ検出値、食味情報の内の少なくともいずれかの情報と、品質値とが予め対応付けられた情報を、品質値に関する対応情報として記憶する。当該対応情報を用いることで、発酵カカオ、焙煎されたカカオ豆、製品として流通されたカカオ豆の本質値を取得することができる。
【0044】
例えば、記憶部32は、臭い検出値と発酵カカオの品質値が予め対応付けられた品質値に関する対応情報を記憶する。当該対応情報は、臭い検出値が入力された場合に、入力された臭い検出値に対応する発酵カカオの品質値を出力する。
【0045】
また、記憶部32は、香り検出値と発酵カカオの品質値が予め対応付けられた品質値に関する対応情報を記憶してもよい。当該対応情報は、香り検出値が入力された場合に、入力された香り値に対応する発酵カカオの品質値を出力する。
【0046】
また、記憶部32は、臭い検出値、水分量検出値、及び品質値が予め対応付けられた対応情報を記憶してもよい。当該対応情報は、臭い検出値及び水分量検出値が入力された場合に、入力された臭い検出値及び水分量検出値に対応する発酵カカオの品質値を出力する。
【0047】
また、記憶部32は、臭い検出値、硬さ検出値、及び品質値が予め対応付けられた品質値に関する対応情報を記憶してもよい。当該対応情報は、臭い検出値及び硬さ検出値が入力された場合に、入力された臭い検出値及び硬さ検出値に対応する発酵カカオの品質値を出力する。
【0048】
また、記憶部32は、臭い検出値、食味情報、及び品質値が予め対応付けられた品質値に関する対応情報を記憶してもよい。当該対応情報は、臭い検出値及び食味情報が入力された場合に、入力された臭い検出値及び食味情報に対応する発酵カカオの品質値を出力する。
【0049】
また、記憶部32は、発酵物質の各々に対して臭い検出値及び品質値が予め対応付けられた品質値に関する対応情報を記憶してもよい。当該対応情報は、発酵カカオに用いる発酵物質に応じた臭い検出値が入力された場合、入力された臭い検出値に対応する発酵カカオの品質値を出力する。
【0050】
また、記憶部32は、カカオ豆の種類と発酵物質の各々に対して臭い検出値及び品質値が予め対応付けられた対応情報を記憶する。当該対応情報は、カカオ豆の種類とカカオに用いる発酵物質に応じた臭い検出値が入力された場合に、入力された臭い検出値に対応する発酵カカオの品質値を出力する。
【0051】
(農園情報)
図5は、本発明の実施形態に係る農園情報のデータ構成の一例を示す図である。
図5に示すように、農園情報は、農園番号、箱番号、及び袋番号が対応付けられた情報である。
農園番号は、農園を一意に特定する識別情報である。箱番号は、各農園で管理されている箱2を一意に特定する識別情報である。袋番号は、各農園から出荷されたカカオ豆が入れられている袋を一意に特定する識別情報である。
図5より、例えば、袋AAAで出荷されたカカオ豆は、農園AAAの箱AAAで発酵された発酵カカオが焙煎されたカカオ豆であることが分かる。
【0052】
(発酵・乾燥情報)
図6は、本発明の実施形態に係る発酵・乾燥情報のデータ構成の一例を示す図である。発酵・乾燥情報には、発酵カカオの発酵工程及び乾燥工程にて取得される情報が記憶される。
図6に示すように、発酵・乾燥情報は、箱番号、カカオ豆の種類、発酵物質、臭い検出値の時間履歴情報、及び温度検出値の時間履歴情報が対応付けられた情報である。臭い検出値の時間履歴情報として、臭い検出値と時刻が対応付けられている。温度検出値の時間履歴情報として、温度検出値と時刻が対応付けられている。
図6より、例えば、箱AAAではカカオ豆AAAが麹を使って発酵されており、当該カカオ豆AAAが発酵されている最中に検出された臭い検出値の時間履歴情報及び温度検出値の時間履歴情報が分かる。
【0053】
(焙煎情報)
図7は、本発明の実施形態に係る焙煎情報のデータ構成の一例を示す図である。焙煎情報には、発酵カカオの焙煎工程にて取得される情報が記憶される。
図7に示すように、焙煎情報は、箱番号、カカオ豆の種類、発酵物質、及び香り検出値が対応付けられた情報である。
図7より、例えば、箱AAAにてカカオ豆AAAが麹を使って発酵された発酵カカオの香り検出値が分かる。
【0054】
(評価情報)
図8は、本発明の実施形態に係る評価情報のデータ構成の一例を示す図である。評価情報には、各工程にて品質評価を行うために取得される情報が記憶される。
図8に示すように、評価情報は、箱番号、袋番号、臭い検出値、香り検出値、水分量検出値、硬さ検出値、及び食味情報が対応付けられた情報である。
図8より、例えば、袋AAAで出荷された箱AAAにて発酵された発酵カカオの品質評価を行うために取得された各種情報が分かる。
【0055】
(8-3)制御部33
制御部33は、サーバ装置30の動作全般を制御する機能を有する。制御部33は、例えば、サーバ装置30がハードウェアとして備えるCPU(Central Processing Unit)にプログラムを実行させることによって実現される。
図1に示すように、制御部33は、取得部331、評価部333、算出部334、及び出力制御部335を備える。
【0056】
(8-3-1)取得部331
取得部331は、各種情報を取得する機能を有する。取得部331は、取得する情報の用途や取得する情報を用いる工程に応じた情報を取得する。
【0057】
(検出情報の取得)
取得部331は、各種センサ装置によって検出される情報を取得する。
発酵工程において、取得部331は、箱2ごとに嗅覚センサ10によって検出された臭い検出値と温度センサ11によって検出された温度検出値を取得する。この時、取得部331は、臭い検出値と温度検出値が検出された時刻を各検出値の履歴を示す時間履歴情報として取得する。発酵工程において取得部331が取得した各種情報は、発酵情報として記憶部32に記憶される。
【0058】
焙煎工程後に、取得部331は、嗅覚センサ12によって検出された香り検出値を取得する。焙煎工程後に取得部331が取得した情報は、焙煎情報として記憶部32に記憶される。
【0059】
(品質評価用情報の取得)
取得部331は、品質評価に用いる情報を取得する。
品質評価を行う場合において、取得部331は、嗅覚センサ12によって検出される臭い検出値あるいは香り検出値を取得する。例えば、ユーザが発酵カカオの品質を評価する場合、嗅覚センサ12を用いて発酵カカオの臭いを測定する。また、ユーザが発酵カカオの焙煎後の品質を評価する場合、嗅覚センサ12を用いて焙煎後の発酵カカオの香りを測定する。
【0060】
また、品質評価を行う場合において、取得部331は、水分センサ13によって検出される水分量検出値を取得してもよい。例えば、ユーザが発酵カカオの品質を評価する場合、水分センサ13を用いて発酵カカオの水分量を測定する。
【0061】
また、品質評価を行う場合において、取得部331は、超音波センサ14によって検出される硬さ検出値を取得してもよい。例えば、ユーザが発酵カカオの品質を評価するために、超音波センサ14を用いて発酵カカオの硬さを測定する。
【0062】
また、品質評価を行う場合において、取得部331は、撮像装置15によって撮像される発酵カカオの画像を取得してもよい。例えば、生産者が発酵カカオの品質を評価するために、撮像装置15を用いて発酵カカオの画像を撮像する。
【0063】
また、品質評価を行う場合において、取得部331は、ユーザによってユーザ端末40に入力される発酵カカオ、焙煎後のカカオ、市場に流通して消費者に販売されたカカオ豆等の食味を示す食味情報を取得してもよい。
品質評価を行うために取得部331が取得した情報は、品質情報として記憶部32に記憶される。
【0064】
(生産情報の取得)
取得部331は、記憶部32から生産情報に関する対応情報を取得し、当該対応情報を用いて、生産したいカカオ豆の生産に必要な情報を取得する。例えば、取得部331は、当該対応情報から、カカオ豆の種類、発酵物質、品質値、香り検出値、及び金額の内の入力された情報以外の残りの情報を取得する。
【0065】
(8-3-2)評価部333
評価部333は、各種の評価を行う機能を有する。
【0066】
(発酵評価)
評価部333は、発酵工程以降で焙煎工程前に発酵評価を行う。
例えば、評価部333は、発酵評価において取得部331によって記憶部32から取得される発酵状況情報に関する対応情報を用いて、発酵カカオの発酵状況を評価する。例えば、評価部333は、当該対応情報から、カカオ豆の種類、発酵物質、臭い検出値の時間履歴情報、及び温度検出値の時間履歴情報の内の入力された情報と対応する発酵状況情報を取得する。
【0067】
一例として、臭い検出値が入力された場合に、評価部333は、発酵状況情報に関する対応情報から入力された臭い検出値と対応する発酵カカオの発酵状況情報を取得し、出力する。
また、一例として、温度検出値及び臭い検出値が入力された場合に、評価部333は、発酵状況情報に関する対応情報から入力された温度検出値及び臭い検出値に対応する発酵カカオの発酵状況情報を取得し、出力する。
また、一例として、発酵カカオに用いる発酵物質に応じた臭い検出値が入力された場合に、評価部333は、発酵状況情報に関する対応情報から入力された臭い検出値に対応する発酵カカオの発酵状況情報を取得し、出力する。
また、一例として、カカオ豆の種類とカカオに用いる発酵物質に応じた臭い検出値が入力された場合に、評価部333は、発酵状況情報に関する対応情報から入力された臭い検出値に対応する発酵カカオの発酵状況情報を取得し、出力する。
なお、評価部333は、発酵評価において、例えば発酵状況情報として発酵工程を終了する終了時期を取得し、出力する。
【0068】
また、評価部333は、発酵評価において、入力される情報と記憶部32に記憶されている品質値に関する対応情報を用いて、発酵カカオの品質値を評価する。
一例として、臭い検出値が入力された場合に、評価部333は、品質値に関する対応情報から入力された臭い検出値に対応する発酵カカオの品質値を取得し、出力する。
【0069】
なお、発酵評価において入力される情報は、各通信モジュールを介して入力される情報であってもよいし、ユーザ端末40を介してユーザによって入力される情報であってもよい。
【0070】
(焙煎評価)
評価部333は、焙煎工程後に焙煎評価を行う。評価部333は、焙煎評価において、入力される情報と記憶部32に記憶されている品質値に関する対応情報を用いて、焙煎されたカカオ豆の品質値を評価する。入力される情報は、例えば、焙煎されたカカオ豆の香り検出値である。
一例として、香り検出値が入力された場合に、評価部333は、品質値に関する対応情報から入力された香り検出値に対応する品質値を取得し、出力する。
【0071】
(品質評価)
評価部333は、市場に流通したカカオ豆の品質評価を行う。評価部333は、品質評価において、入力される情報と記憶部32に記憶されている品質値に関する対応情報を用いて、市場に流通したカカオ豆の品質値を評価する。
一例として、水分量検出値及び臭い検出値が入力された場合に、評価部333は、品質値に関する対応情報から入力された水分量検出値及び臭い検出値に対応する品質値を取得し、出力する。
また、一例として、硬さ検出値及び臭い検出値が入力された場合に、評価部333は、品質値に関する対応情報から入力された硬さ検出値及び臭い検出値に対応する品質値を取得し、出力する。
また、一例として、食味情報及び臭い検出値が入力された場合に、評価部333は、品質値に関する対応情報から入力された食味情報及び臭い検出値に対応する品質値を取得し、出力する。
また、一例として、発酵カカオに用いる発酵物質に応じた臭い検出値が入力された場合に、評価部333は、品質値に関する対応情報から入力された臭い検出値に対応する品質値を取得し、出力する。
また、一例として、カカオ豆の種類とカカオに用いる発酵物質に応じた臭い検出値が入力された場合に、評価部333は、品質値に関する対応情報から入力された臭い検出値に対応する品質値を取得し、出力する。
具体的に、発酵カカオに用いられた発酵物質が麹であったとする。この場合、麹を用いて発酵された発酵カカオの臭い検出値が入力されると、評価部333は、品質値に関する対応情報から入力された臭い検出値に対応する、麹を用いて発酵された発酵カカオの品質値を取得し、出力する。
【0072】
なお、評価部333は、市場に流通したカカオ豆の品質評価と同様にして、発酵工程における発酵カカオや焙煎工程における焙煎されたカカオ豆の品質評価を行ってもよい。
【0073】
評価部333は、入力される情報に基づき、品質値を調整してもよい。例えば、発酵カカオを撮影した撮影画像が入力されたとする。この場合、評価部333は、当該撮影画像に基づいて検出される発酵カカオの状態に応じて、品質値を下げる。具体的に、評価部333は、撮影画像から発酵カカオの表面にカビが生じていることや発酵カカオが病気にかかっていることが分かった場合には品質値を下げる。また、評価部333は、撮影画像からカカオ豆が流通する際に入れられる袋の中に、カカオ豆以外にゴミ等の異物が混在していることが分かった場合にも品質値をさげてもよい。
【0074】
(8-3-3)算出部334
算出部334は、品質値に基づいて、取引金額を算出する機能を有する。例えば、算出部334は、評価部333が取得した品質値に応じて、カカオ豆の取引金額を算出する。一例として、品質値が高いほど取引金額を高く算出し、品質値が低いほど取引金額を低く算出する。
【0075】
(8-3-4)出力制御部335
出力制御部335は、各種情報の出力を制御する機能を有する。出力制御部335は、取得部331が取得した検出情報や品質評価用情報や生産情報等の各種の情報、評価部333が取得した発酵状況情報や品質値を、ユーザ(例えば生産者や第三者等)に対して出力する。例えば、出力制御部335は、ユーザに対して出力する情報を、通信部31からユーザ端末40へ送信し、ユーザ端末40に出力させる。
【0076】
(9)ユーザ端末40
ユーザ端末40は、ユーザが各種情報の入力や確認のために使用する端末である。ここで、ユーザは、生産者、販売者、消費者等である。ユーザ端末40は、例えば、PC(Personal Computer)、スマートフォン、タブレット端末等である。ユーザ端末40は、ネットワークNWを介して、サーバ装置30と接続されている。
【0077】
図1に示すように、ユーザ端末40は、通信部41、入力部42、出力部43、記憶部44、及び制御部45を備える。
【0078】
(9-1)通信部41
通信部41は、各種情報の送受信を行う機能を有する。例えば、通信部41は、ユーザによって入力される情報をサーバ装置30へ送信する。また、通信部41は、サーバ装置30から送信される情報を受信する。
【0079】
(9-2)入力部42
入力部42は、ユーザによる入力を受け付ける機能を有する。入力部42は、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル等の入力装置によって実現される。当該入力装置は、ユーザ端末40がハードウェアとして予め備える装置であってもよいし、ユーザ端末40に外部接続される装置であってもよい。
【0080】
(9-3)出力部43
出力部43は、各種情報を出力する機能を有する。出力部43は、例えば、ディスプレイ等の表示装置やスピーカ等の音声出力装置によって実現される。当該表示装置及び音声出力装置は、ユーザ端末40がハードウェアとして予め備える装置であってもよいし、ユーザ端末40に外部接続される装置であってもよい。出力部43は、例えば、検出情報、品質評価用情報、生産情報、発酵カカオの発酵状況情報(例えば発酵工程を終了する終了時期)、発酵カカオの品質値、焙煎されたカカオ豆の品質値、市場に流通したカカオ豆の品質値等を表示装置に出力する。
【0081】
(9-4)記憶部44
記憶部44は、各種情報を記憶する機能を有する。記憶部44は、記憶媒体、例えば、HDD、SSD、フラッシュメモリ、EEPROM、RAM、ROM、またはこれらの記憶媒体の任意の組み合わせによって構成される。
【0082】
(9-5)制御部45
制御部45は、ユーザ端末40の動作全般を制御する機能を有する。制御部45は、例えば、ユーザ端末40がハードウェアとして備えるCPUにプログラムを実行させることによって実現される。
【0083】
<2.処理の流れ>
図9を参照して、本発明の実施形態に係る処理の流れについて説明する。
図9は、本発明の実施形態に係る処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0084】
図9に示すように、まず、サーバ装置30は、対応情報を記憶する(ステップS101)。例えば、サーバ装置30は、ユーザによって入力される、予め作成された対応情報を記憶する。ここで記憶する対応情報は、例えば、
図2に示した生産情報に関する対応情報、
図3に示した発酵状況情報に関する対応情報、
図4に示した品質値に関する対応情報である。
【0085】
次いで、サーバ装置30は、検出情報を取得する(ステップS102)。例えば、情報処理システム1に含まれる各種センサ装置が検出した検出値を、それぞれのセンサ装置に対応する通信モジュールから受信する。
【0086】
次いで、サーバ装置30は、取得した検出情報を記憶する(ステップS103)。ここで記憶する検出情報は、例えば、
図6に示した発酵情報、
図7に示した焙煎情報である。
【0087】
次いで、サーバ装置30は、入力情報があるか否かを確認する(ステップS104)。ここで、入力情報は、例えばユーザが各種情報の取得のために入力する情報である。
入力情報がある場合(ステップS104/YES)、処理をステップS105へ進める。
入力情報がない場合(ステップS104/NO)、処理をステップS102から繰り返す。なお、入力情報がない場合、ステップS102からではなくステップS104の処理を繰り返すようにしてもよい。
【0088】
ステップS105へ処理がすすんだ場合、サーバ装置30は、出力情報を取得する(ステップS105)。ここで、出力情報は、ユーザが入力した情報に応じてユーザ端末40へ出力する情報である。具体的に、出力情報は、検出情報、品質評価用情報、生産情報、発酵カカオの発酵状況情報(例えば発酵工程を終了する終了時期)、発酵カカオの品質値、焙煎されたカカオ豆の品質値、市場に流通したカカオ豆の品質値等である。サーバ装置30は、取得部331や評価部333によって取得されるこれらの情報を出力情報として取得する。
【0089】
出力情報の取得後、サーバ装置30は、出力情報をユーザ端末40に出力させる(ステップS106)。例えば、サーバ装置30は、取得した出力情報を通信部31からユーザ端末40へ送信する。ユーザ端末40は、通信部41がサーバ装置30から受信した出力情報を出力部43に出力させる。
出力情報の出力後、サーバ装置30は処理を終了する。
【0090】
以上説明したように、本発明の実施形態に係る評価方法は、発酵カカオ物について、嗅覚センサによって検出された臭い検出値を取得する臭い取得過程と、臭い検出値が入力された場合に、臭い検出値と発酵カカオの品質値が予め対応付けられた対応情報を用いて、発酵カカオの品質値を出力する評価過程とを有する。
【0091】
かかる構成により、ユーザは、自身で発酵時に生じる臭いや焙煎時に生じる香りを嗅ぐことなく、カカオ豆の品質を容易に確認することができる。これにより、カカオ豆の品質の判定作業を人手を介さずに行うことができるようになるため、カカオ豆の生産性が向上する。
【0092】
よって、本発明の実施形態に係る評価方法は、農作物を固形状態で発酵させた固形発酵物の生産性を向上することを可能とする。
【0093】
<3.変形例>
以上、本発明の実施形態について説明した。続いて、本発明の実施形態の変形例について説明する。なお、以下に説明する各変形例は、単独で本発明の実施形態に適用されてもよいし、組み合わせで本発明の実施形態に適用されてもよい。また、各変形例は、本発明の実施形態で説明した構成に代えて適用されてもよいし、本発明の実施形態で説明した構成に対して追加的に適用されてもよい。
【0094】
(1)第1の変形例
上述の実施形態では、対応情報がユーザによって予め生成された情報である例について説明したが、かかる例に限定されない。対応情報は、例えば、機械学習によって生成された学習済みモデルであってもよい。
【0095】
図10は、本発明の実施形態に係る変形例を示すブロック図である。
図10には第1の変形例におけるサーバ装置30のブロック図が示されている。第1の変形例におけるサーバ装置30は、上述の実施形態にて
図1を参照して説明したサーバ装置30と比較し、学習部332をさらに備える。
【0096】
学習部332は、機械学習により学習済みモデルを生成する。学習部332は、生成した学習済みモデルを対応情報として、記憶部32に記憶させる。評価部333は、当該学習済みモデルを用いて、各種の評価を行うことができる。
【0097】
学習部332は、例えば、教師あり学習によって学習済みモデルを生成する。教師あり学習では、学習モデルに学習用のデータセットを用いた学習を行わせる。データセットは、学習時の入力となる説明変数と、当該入力データに基づき出力されるデータの正解を示す目的変数のセットである。
一例として、説明変数はカカオ豆の種類と発酵物質である。この場合の目的変数は、評価値である。即ち、生産情報に関する対応情報が学習済みモデルとして生成される。
また、説明変数はカカオ豆の種類、発酵物質、臭い検出値の時間履歴情報、温度検出値の時間履歴情報であってもよい。この場合の目的変数は、発酵状況情報である。即ち、発酵状況情報に関する対応情報が学習済みモデルとして生成される。
また、説明変数は、カカオ豆の種類、発酵物質、臭い検出値、香り検出値、水分量検出値、硬さ検出値、食味情報であってもよい。この場合の目的変数は、品質値である。即ち、品質値に関する対応情報が学習済みモデルとして生成される。
【0098】
(2)第2の変形例
市場に流通されたカカオ豆に対する評価(例えば消費者の好み、販売価格等)を各種対応情報にフィードバックしてもよい。当該フィードバックによって、対応情報が市場での評価に応じて更新されるため、より需要のあるカカオ豆を生産することができる。
【0099】
(3)第3の変形例
発酵状況の評価は、発酵カカオに含まれる成分量に応じて行われてもよい。例えば、発酵カカオに含まれるポリフェノールの量が目標値に達しているか否かに応じて、発酵を終了するか否かを判定してもよい。また、発酵カカオに含まれるポリフェノールの量が目標値に達するまでに必要な発酵期間を出力するようにしてもよい。
【0100】
以上、本発明の実施形態について説明した。なお、上述した実施形態における情報処理システム1が備える構成の一部又は全部をコンピュータで実現するようにしてもよい。その場合、この機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することによって実現してもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムを送信する場合の通信線のように、短時間の間、動的にプログラムを保持するもの、その場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリのように、一定時間プログラムを保持しているものも含んでもよい。また上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよく、さらに前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるものであってもよく、FPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルロジックデバイスを用いて実現されるものであってもよい。
【0101】
以上、図面を参照してこの発明の実施形態について詳しく説明してきたが、具体的な構成は上述のものに限られることはなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲内において様々な設計変更等をすることが可能である。
【符号の説明】
【0102】
1 情報処理システム
10 嗅覚センサ
11 温度センサ
12 嗅覚センサ
13 水分センサ
14 超音波センサ
15 撮像装置
20~24 通信モジュール
30 サーバ装置
31 通信部
32 記憶部
33 制御部
40 ユーザ端末
41 通信部
42 入力部
43 出力部
44 記憶部
45 制御部
331 取得部
332 学習部
333 評価部
334 算出部
335出力制御部
NW ネットワーク