(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157751
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】セグメント
(51)【国際特許分類】
E21D 11/08 20060101AFI20221006BHJP
E21D 11/04 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
E21D11/08
E21D11/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021062164
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000198307
【氏名又は名称】株式会社IHI建材工業
(71)【出願人】
【識別番号】000140292
【氏名又は名称】株式会社奥村組
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】橋口 彰夫
(72)【発明者】
【氏名】清水 亮一
(72)【発明者】
【氏名】阿部 義
(72)【発明者】
【氏名】吉田 英典
(72)【発明者】
【氏名】川内 大輔
(72)【発明者】
【氏名】杉村 晋之介
(72)【発明者】
【氏名】大川 俊紀
【テーマコード(参考)】
2D155
【Fターム(参考)】
2D155BA01
2D155BB01
2D155EB01
2D155KA00
2D155KB04
(57)【要約】
【課題】機械的強度を高めることができるセグメントを提供する。
【解決手段】六角形セグメント1は、外枠体11と、外枠体11に接合されたスキンプレート12と、外枠体11の内部に設けられた補強筋13と、少なくとも外枠体11の内部に充てんされたコンクリート14と、を備える。外枠体11は、間隔をおいて対向する一対の主桁板21と、一対の主桁板21の一方および他方の端部どうしをそれぞれ連結するV字状の継手板22とによって六角形状に形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
組み合わされて筒状壁体を構成するセグメントであって、
外枠体と、
前記外枠体に接合されたスキンプレートと、
前記外枠体の内部に設けられた補強筋と、
少なくとも前記外枠体の内部に充てんされたコンクリートと、
を備え、
前記外枠体は、間隔をおいて対向する一対の主桁板と、一対の前記主桁板の一方および他方の端部どうしをそれぞれ連結するV字状の継手板とによって六角形状に形成される、セグメント。
【請求項2】
前記継手板は、互いに傾斜した2つの傾斜端板が屈曲部で屈曲した形状を有し、
前記スキンプレートに、前記屈曲部から延びる補強リブが形成されている、請求項1記載のセグメント。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セグメントに関する。
【背景技術】
【0002】
筒状壁体を構築するセグメントとしては、六角形状のセグメントが用いられることがある(例えば、特許文献1を参照)。
例えば、大深度区間に設けられたシールドトンネル等では、土圧、地下水圧、建築物などの荷重がかかるため、筒状壁体を構成するセグメントに作用する外力が大きくなることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のセグメントでは、大きな外力に耐えられるように機械的強度を高めることが求められている。
【0005】
本発明の一態様は、機械的強度を高めることができるセグメントを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、組み合わされて筒状壁体を構成するセグメントであって、外枠体と、前記外枠体に接合されたスキンプレートと、前記外枠体の内部に設けられた補強筋と、少なくとも前記外枠体の内部に充てんされたコンクリートと、を備え、前記外枠体は、間隔をおいて対向する一対の主桁板と、一対の前記主桁板の一方および他方の端部どうしをそれぞれ連結するV字状の継手板とによって六角形状に形成される、セグメントを提供する。
【0007】
前記継手板は、互いに傾斜した2つの傾斜端板が屈曲部で屈曲した形状を有し、前記スキンプレートに、前記屈曲部から延びる補強リブが形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一態様によれば、機械的強度を高めることができるセグメントを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】第1実施形態のセグメントの内部構造を示す斜視図。
【
図4】第2実施形態のセグメントの内部構造を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[セグメント](第1実施形態)
図1は、第1実施形態のセグメントの内部構造を示す斜視図である。
図2は、第1実施形態のセグメントの断面図である。
図2は、
図1のI-I断面図である。
図3は、筒状壁体の斜視図である。
【0011】
図3に示すように、複数の六角形セグメント(セグメント)1は、組み合わされてトンネル覆工部分(筒状壁体)Tを構成する。
図3において、「L」は、トンネル覆工部分Tの軸線である。「F」は、トンネル覆工部分Tの軸線Lに沿う前方である。「R」は、トンネル覆工部分Tの軸線Lに沿う後方である。
【0012】
六角形セグメント1は、厚さ方向から見て六角形状とされている。六角形セグメント1は、一対の側端面1aと、一対の傾斜端面対1cとを備える。2つの側端面1aは、対向して形成されている。2つの側端面1aは、互いに平行で同一長さとされている。傾斜端面対1cは、側端面1aの両端にそれぞれ形成されている。傾斜端面対1cは、側端面1aに対する傾斜角度が異なる2つの傾斜端面1bで構成されるため、V字形状となっている。2つの傾斜端面対1cは、互いに離れる方向に凸となるV字形状とされている。傾斜端面1bは、側端面1aに対して傾斜する。
【0013】
2つの側端面1aのうち前方の側端面1aを「第1側端面1a1」という。2つの側端面1aのうち後方の側端面1aを「第2側端面1a2」という。傾斜端面対1cを構成する2つの傾斜端面1bのうち前方の傾斜端面1bを「第1傾斜端面1b1」という。傾斜端面対1cを構成する2つの傾斜端面1bのうち後方の傾斜端面1bを「第2傾斜端面1b2」という。第1傾斜端面1b1と第2傾斜端面1b2とは互いに傾斜する。六角形セグメント1は、ハニカムセグメントともいう。
【0014】
2つの傾斜端面対1cを結ぶ方向は、六角形セグメント1の長さ方向である。2つの側端面1aを結ぶ方向は、六角形セグメント1の幅方向である。六角形セグメント1は、幅方向から見て円弧形状に湾曲している。六角形セグメント1は、軸線Lを中心軸とする円筒面に沿うように湾曲する。
【0015】
六角形セグメント1は、幅方向が軸線Lに平行(または略平行)となった姿勢とされる。複数の六角形セグメント1は、ハニカム状に組み合わされる。組み立て途上のトンネル覆工部分Tの前端面には、六角形セグメント1の突出端面2(第1側端面1a1)と、等脚台形状の凹部3とがトンネル覆工部分Tの周方向に交互に並ぶ。凹部3は、六角形セグメント1の第1側端面1a1と、この六角形セグメント1に隣り合う2つの六角形セグメント1の第1傾斜端面1b1とで形成される。
【0016】
六角形セグメント1は、凹部3に嵌合するようにトンネル覆工部分Tに組み込まれる。新たに組みこまれる六角形セグメント1の第2側端面1a2は、凹部3の第1側端面1a1と突き合わされる。側端面1aどうしが突き合わされる六角形セグメント1は、軸線Lに沿って並ぶ。新たに組みこまれる六角形セグメント1の第2傾斜端面1b2は、凹部3の第1傾斜端面1b1と突き合わされる。そのため、トンネル覆工部分Tの周方向に並ぶ六角形セグメント1は、千鳥状に配列される。
【0017】
トンネル覆工部分Tは、例えば、地中に埋設される。トンネル覆工部分Tには、土砂、地下水などにより外力が加えられる。
【0018】
図1および
図2に示すように、六角形セグメント1は、外枠体11と、スキンプレート12と、補強筋13と、コンクリート14と、を備える。なお、
図1では、内部構造を説明するため、コンクリート14の一部を図示していないが、コンクリート14は、外枠体11の内部空間の長さ方向の全体に充てんされている。
【0019】
外枠体11は、一対の主桁板21と、一対の継手板22とを備える。
スキンプレート12は、厚さ方向から見て六角形状の板体である。スキンプレート12は、六角形セグメント1の幅方向から見て円弧形状に湾曲している。スキンプレート12は、例えば、スチールなどの金属製である。
【0020】
一対の主桁板21は、六角形セグメント1の幅方向に間隔をおいて対向する。主桁板21は、スキンプレート12の両側縁からそれぞれ内周側に突出する。主桁板21は、例えば、スキンプレート12に対して垂直な方向に突出する。一対の主桁板21は、互いに平行で同一長さとされている。主桁板21は、スキンプレート12に沿って円弧形状に湾曲している。
【0021】
2つの主桁板21のうち前方の主桁板21の前面、および後方の主桁板21の後面は、側端面1aである。前方の主桁板21の前面は、第1側端面1a1である。後方の主桁板21の後面は、第2側端面1a2である。
【0022】
一対の継手板22は、主桁板21の一方および他方の端部どうしをそれぞれ連結する。すなわち、一方の継手板22は、一対の主桁板21の一端部どうしを連結する。他方の継手板22は、一対の主桁板21の他端部どうしを連結する。
【0023】
継手板22は、主桁板21に対する傾斜角度が異なる2つの傾斜端板23で構成されるため、V字形状となっている。2つの継手板22は、互いに離れる方向に凸となるV字形状とされている。傾斜端板23は、主桁板21に対して傾斜する。2つの傾斜端板23は、屈曲部24で屈曲したV字形状を有する。
【0024】
傾斜端板23は、例えば、スキンプレート12に対して垂直な方向に突出する。
傾斜端板23の外面は、傾斜端面1bである。2つの傾斜端板23のうち前方の傾斜端板23の外面は、第1傾斜端面1b1である。2つの傾斜端板23のうち後方の傾斜端板23の外面は、第2傾斜端面1b2である。
外枠体11は、例えば、スチールなどの金属製である。
【0025】
スキンプレート12、主桁板21、および継手板22は、溶接などによって互いに接合されている。継手板22を構成する2つの傾斜端板23は、溶接などによって互いに接合されている。
【0026】
補強筋(鉄筋)13は、複数の主筋25と、複数の配力筋26とを備える。主筋25は、六角形セグメント1の長さ方向に延在する。主筋25は、六角形セグメント1の幅方向に間隔をおいて配置されている。配力筋26は、主筋25に対して交差する面に沿って形成されている。配力筋26は、例えば、複数の主筋25を包囲する矩形環状に形成されている。複数の配力筋26は、六角形セグメント1の長さ方向に間隔をおいて形成されている。
【0027】
コンクリート14は、少なくとも外枠体11の内部に充てんされる。詳しくは、コンクリート14は、少なくとも、外枠体11とスキンプレート12とによって区画された空間内に充てんされる。コンクリート14の厚さは、外枠体11の厚さ(六角形セグメント1の厚さ方向の寸法)より大きくてもよい。
六角形セグメント1は、外枠体11とスキンプレート12とによって区画された空間にコンクリート14が充てんされた合成セグメントである。
【0028】
六角形セグメント1を用いて構築されたトンネル覆工部分Tは、例えば、道路用トンネル、鉄道用トンネル、共同溝、下水道、上水道、地下河川、貯留管等に適用できる。
【0029】
[実施形態のセグメントが奏する効果]
六角形セグメント1は、外枠体11とスキンプレート12とによって区画された空間にコンクリート14が充てんされる構造を有するため、機械的強度を高めることができる。そのため、土圧、地下水圧、建築物などの荷重によって六角形セグメント1に大きな外力が作用した場合でも破損は起こりにくい。
六角形セグメント1は、機械的強度を高めることができるため、薄肉化および幅広化を図ることができる。よって、施工を容易にするとともに、施工コスト抑制を図ることができる。
【0030】
[セグメント](第2実施形態)
図4は、第2実施形態の六角形セグメント101の内部構造を示す斜視図である。
図1に示す第1実施形態の六角形セグメント1と同じ構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
図4に示すように、六角形セグメント101は、補強リブ31を有する点で、
図1に示す六角形セグメント1と異なる。
【0031】
補強リブ31は、スキンプレート12に対して垂直な方向に、内周側に突出する。補強リブ31は、主桁板21と平行とされている。補強リブ31は、継手板22の屈曲部24を起点として内方に延びる。「内方」は、2つの継手板22が互いに近づく方向である。補強リブ31は、スキンプレート12に接合されている。2つの継手板22から内方に延びる補強リブ31は、互いに離間している。
【0032】
[実施形態のセグメントが奏する効果]
六角形セグメント101は、継手板22の屈曲部24から延びる補強リブ31を有する。六角形セグメント101では、継手板22を補強することができる。また、トンネル覆工部分Tにおいて、補強リブ31と主桁板21とが周方向に並ぶ構造を構築することができる。そのため、トンネル覆工部分Tの機械的強度をさらに高めることができる。
【0033】
比較のため、鉄筋コンクリート製のセグメントについて説明する。
図5は、六角形セグメント201の断面図である。六角形セグメント201は、コンクリート114と、コンクリート114に埋設された補強筋113とを備える。
【0034】
六角形セグメント201は、
図1および
図2に示す六角形セグメント1とは異なり、鋼殻(外枠体およびスキンプレート)を備えていないため、機械的強度はそれほど高くない。
【0035】
本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜の変更や置換等が可能であり、これらはいずれも本発明に含まれる。
例えば、
図1に示す六角形セグメント1は、2つの主桁板21が互いに平行であるが、2つの主桁板21は互いに平行でなくてもよい。
図3に示す六角形セグメント1は、円弧形状に湾曲して形成されているが、セグメントの形状は、平板状、その他の形状であってもよい。
図4に示す六角形セグメント101では、2つ補強リブ31が離れて形成されているが、補強リブは、六角形セグメント101の全長にわたって延在していてもよい。
【符号の説明】
【0036】
1 六角形セグメント(セグメント)
11 外枠体
12 スキンプレート
13 補強筋
14 コンクリート
21 主桁板
22 継手板
24 屈曲部
31 補強リブ
T トンネル覆工部分(筒状壁体)