IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 石川島建材工業株式会社の特許一覧 ▶ 株式会社奥村組の特許一覧

<>
  • 特開-セグメントの組立構造 図1
  • 特開-セグメントの組立構造 図2
  • 特開-セグメントの組立構造 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157753
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】セグメントの組立構造
(51)【国際特許分類】
   E21D 11/04 20060101AFI20221006BHJP
   E21D 11/08 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
E21D11/04 A
E21D11/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021062166
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000198307
【氏名又は名称】株式会社IHI建材工業
(71)【出願人】
【識別番号】000140292
【氏名又は名称】株式会社奥村組
(74)【代理人】
【識別番号】100161207
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 和純
(74)【代理人】
【識別番号】100169764
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 雄一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100167553
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 久典
(74)【代理人】
【識別番号】100188891
【弁理士】
【氏名又は名称】丹野 拓人
(72)【発明者】
【氏名】橋口 彰夫
(72)【発明者】
【氏名】清水 亮一
(72)【発明者】
【氏名】阿部 義
(72)【発明者】
【氏名】吉田 英典
(72)【発明者】
【氏名】川内 大輔
(72)【発明者】
【氏名】杉村 晋之介
(72)【発明者】
【氏名】大川 俊紀
【テーマコード(参考)】
2D155
【Fターム(参考)】
2D155BA01
2D155BB01
2D155GC06
2D155KA00
(57)【要約】
【課題】六角形状のセグメントを組み付ける作業における施工者の負担を軽減できるセグメントの組立構造を提供する。
【解決手段】セグメントの組立構造は、複数の六角形状のセグメント1と、複数のセグメント1どうしを連結する締結具11と、を備える。セグメント1は、対向する一対の側端面1aと、側端面1aの両端に形成された一対のV字形状の傾斜端面対1cとを備える。筒状壁体の周方向に隣り合うセグメント1のうち一方のセグメント1に、傾斜端面1bに先端開口5cを有する挿通孔5が形成されている。締結具11は、挿通孔5に挿通されている。締結具11は、基端部11cが第1側端面1a1に比べて先端開口5cに近い位置にある。締結具11は、先端開口5cから突出した先端部11dにおいて他方のセグメント1に固定される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のセグメントが組み合わされて筒状壁体を構成するセグメントの組立構造であって、
対向する一対の側端面と、前記側端面の両端に形成された一対のV字形状の傾斜端面対とを備えた複数の六角形状の前記セグメントと、
複数の前記セグメントどうしを連結する締結具と、
を備え、
前記傾斜端面対は、互いに傾斜する2つの傾斜端面を有し、
前記筒状壁体の周方向に隣り合う前記セグメントのうち一方の前記セグメントに、前記傾斜端面に先端開口を有する挿通孔が形成され、
前記締結具は、前記挿通孔に挿通され、基端部が前記側端面に比べて前記先端開口に近い位置にあり、前記先端開口から突出した先端部において他方の前記セグメントに固定される、セグメントの組立構造。
【請求項2】
前記挿通孔の、前記先端開口とは反対の基端開口は、前記側端面に比べて前記先端開口に近い位置にある、請求項1記載のセグメントの組立構造。
【請求項3】
前記挿通孔の、前記先端開口とは反対の基端開口は、前記側端面に形成されている、請求項1記載のセグメントの組立構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セグメントの組立構造に関する。
【背景技術】
【0002】
筒状壁体を構築するセグメントとしては、六角形状のセグメントが用いられることがある(例えば、特許文献1を参照)。セグメントは、例えば、長いボルトを用いて互いに連結される。ボルトは、例えば、斜辺に平行にセグメントを貫通する挿通孔に挿通される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5-98897号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述のセグメントの組立構造では、ボルトの締結によりセグメントを互いに連結する作業における施工者の負担は大きかった。例えば、セグメントの強度確保のため太径のボルトを使用する場合においては、ボルトの重量が大きくなるため、作業の負担は大きかった。
【0005】
本発明の一態様は、六角形状のセグメントを組み付ける作業における施工者の負担を軽減できるセグメントの組立構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は、複数のセグメントが組み合わされて筒状壁体を構成するセグメントの組立構造であって、対向する一対の側端面と、前記側端面の両端に形成された一対のV字形状の傾斜端面対とを備えた複数の六角形状の前記セグメントと、複数の前記セグメントどうしを連結する締結具と、を備え、前記傾斜端面対は、互いに傾斜する2つの傾斜端面を有し、前記筒状壁体の周方向に隣り合う前記セグメントのうち一方の前記セグメントに、前記傾斜端面に先端開口を有する挿通孔が形成され、前記締結具は、前記挿通孔に挿通され、基端部が前記側端面に比べて前記先端開口に近い位置にあり、前記先端開口から突出した先端部において他方の前記セグメントに固定される、セグメントの組立構造を提供する。
【0007】
前記挿通孔の、前記先端開口とは反対の基端開口は、前記側端面に比べて前記先端開口に近い位置にあってもよい。
【0008】
前記挿通孔の、前記先端開口とは反対の基端開口は、前記側端面に形成されていてもよい。
【発明の効果】
【0009】
本発明の一態様によれば、六角形状のセグメントを組み付ける作業における施工者の負担を軽減できるセグメントの組立構造を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】第1実施形態のセグメントの組立構造を示す平面図。
図2】筒状壁体の斜視図。
図3】第2実施形態のセグメントの組立構造を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
[セグメントの組立構造](第1実施形態)
図1は、第1実施形態のセグメントの組立構造を示す平面図である。図2は、筒状壁体の斜視図である。
【0012】
図2に示すように、第1実施形態のセグメントの組立構造10は、複数の六角形セグメント(セグメント)1が組み合わされてトンネル覆工部分(筒状壁体)Tを構成する。図2において、「L」は、トンネル覆工部分Tの軸線である。「F」は、トンネル覆工部分Tの軸線Lに沿う前方である。「R」は、トンネル覆工部分Tの軸線Lに沿う後方である。
【0013】
六角形セグメント1は、厚さ方向から見て六角形状とされている。六角形セグメント1は、一対の側端面1aと、一対の傾斜端面対1cとを備える。2つの側端面1aは、対向して形成されている。2つの側端面1aは、互いに平行で同一長さとされている。傾斜端面対1cは、側端面1aの両端にそれぞれ形成されている。傾斜端面対1cは、側端面1aに対する傾斜角度が異なる2つの傾斜端面1bで構成されるため、V字形状となっている。2つの傾斜端面対1cは、互いに離れる方向に凸となるV字形状とされている。傾斜端面1bは、側端面1aに対して傾斜する。
【0014】
2つの側端面1aのうち前方の側端面1aを「第1側端面1a1」という。2つの側端面1aのうち後方の側端面1aを「第2側端面1a2」という。傾斜端面対1cを構成する2つの傾斜端面1bのうち前方の傾斜端面1bを「第1傾斜端面1b1」という。傾斜端面対1cを構成する2つの傾斜端面1bのうち後方の傾斜端面1bを「第2傾斜端面1b2」という。第1傾斜端面1b1と第2傾斜端面1b2とは互いに傾斜する。六角形セグメント1は、ハニカムセグメントともいう。
【0015】
2つの傾斜端面対1cを結ぶ方向は、六角形セグメント1の長さ方向である。2つの側端面1aを結ぶ方向は、六角形セグメント1の幅方向である。六角形セグメント1は、幅方向から見て円弧形状に湾曲している。六角形セグメント1は、軸線Lを中心軸とする円筒面に沿うように湾曲する。六角形セグメント1は、例えば、鉄筋コンクリート製であってよい。
【0016】
六角形セグメント1は、幅方向が軸線Lに平行(または略平行)となった姿勢とされる。複数の六角形セグメント1は、ハニカム状に組み合わされる。組み立て途上のトンネル覆工部分Tの前端面には、六角形セグメント1の突出端面2(第1側端面1a1)と、等脚台形状の凹部3とがトンネル覆工部分Tの周方向に交互に並ぶ。凹部3は、六角形セグメント1の第1側端面1a1と、この六角形セグメント1に隣り合う2つの六角形セグメント1の第1傾斜端面1b1とで形成される。
【0017】
六角形セグメント1は、凹部3に嵌合するようにトンネル覆工部分Tに組み込まれる。新たに組みこまれる六角形セグメント1の第2側端面1a2は、凹部3の第1側端面1a1と突き合わされる。側端面1aどうしが突き合わされる六角形セグメント1は、軸線Lに沿って並ぶ。新たに組みこまれる六角形セグメント1の第2傾斜端面1b2は、凹部3の第1傾斜端面1b1と突き合わされる。そのため、トンネル覆工部分Tの周方向に並ぶ六角形セグメント1は、千鳥状に配列される。
【0018】
トンネル覆工部分Tは、例えば、地中に埋設される。トンネル覆工部分Tには、土砂、地下水などにより外力が加えられる。
【0019】
図1に示すように、六角形セグメント1(一方のセグメント)には、ボルト(締結具)11が挿通する挿通孔5が形成されている。挿通孔5は、第1傾斜端面1b1と平行であってよい。
【0020】
挿通孔5の基端開口を第1開口8という。挿通孔5の先端開口を第2開口5cという。第1開口8は、六角形セグメント1の内周面または外周面に形成された凹部である。第1開口8は、例えば、六角形セグメント1の厚さ方向から見て矩形状とされている。第1開口8は、第1側端面1a1に比べて第2開口5cに近い位置にある。ボルト11の基端部11cは第1開口8内に位置する。第1開口8の内面の一部は、ボルト11の頭部11aが係止する係止段部となっている。第1開口8によってボルト11の頭部11aは露出し、操作しやすくなる。
【0021】
挿通孔5の第2開口5cは、第2傾斜端面1b2に形成されている。第2開口5cは、第1開口8とは反対の端にある開口である。
【0022】
挿通孔5に沿って第1側端面1a1に至る延長線を想定する。第2開口5cから、延長線が第1側端面1a1に達する位置までの長さを「L1」とする。長さL1に対する挿通孔5の長さの比は、例えば、3/4以下であってよい。これにより、短いボルト11を使用できる。長さL1に対する挿通孔5の長さの比は、1/2未満であってもよい。長さL1に対する挿通孔5の長さの比は、1/2以上であってもよい。これにより、六角形セグメント1の強度を確保しやすくなる。長さL1に対する挿通孔5の長さの比は、1/4以上であってもよい。
【0023】
第1傾斜端面1b1には、他の六角形セグメント1の挿通孔5に挿通したボルト11の先端部11dが装着される装着孔6が形成されている。装着孔6には、ボルト11の先端部11dがネジ止め等により締結されるインサートアンカー(締結受け具)7が設けられていてもよい。インサートアンカー7の内周面には、例えば、ボルト11の先端部11dの雄ネジに螺合する雌ネジが形成されている。
【0024】
挿通孔5に挿通したボルト11の先端部11dは第2開口5cから突出し、連結先の六角形セグメント1(他方のセグメント)の装着孔6に装着される。例えば、先端部11dは、装着孔6に設けられたインサートアンカー7にネジ止め等により締結される。これにより、ボルト11は、連結先の六角形セグメント1に固定される。
なお、装着孔6には、インサートアンカー7が設けられなくてもよい。その場合、ボルト11の先端部11dは、装着孔6の内周面に固定可能である。
【0025】
ボルト11は、基端部11cに設けられた頭部11aと、頭部11aから延びる軸部11bとを備える。ボルト11の頭部11aは、軸部11bの基端部に螺着されたナットであってもよい。軸部11bの外径は、頭部11aの外径より小さい。
【0026】
[セグメントの組立方法]
図2に示すように、組み立て途上のトンネル覆工部分Tの前端面には、六角形セグメント1の突出端面2(第1側端面1a1)と、等脚台形状の凹部3とがトンネル覆工部分Tの周方向に交互に並ぶ。シールドマシンを用いて、凹部3に、軸線Lと平行な方向に新たな六角形セグメント1を組み付ける。
【0027】
図1に示すように、挿通孔5に挿通したボルト11を軸周りに回転させ、軸部11bの先端部11dをインサートアンカー7に締結させる。これにより、ボルト11は、トンネル覆工部分Tの周方向に隣り合う六角形セグメント1を連結する。
【0028】
セグメントの組立構造10は、例えば、道路用トンネル、鉄道用トンネル、共同溝、下水道、上水道、地下河川、貯留管等に適用できる。
【0029】
[実施形態のセグメントの組立構造が奏する効果]
セグメントの組立構造10では、第1開口8は、第1側端面1a1に比べて第2開口5cに近い位置にある。ボルト11の基端部11cは第1開口8内に位置するため、基端部11cは第1側端面1a1に比べて第2開口5cに近い位置にある。そのため、挿通孔が第1側端面1a1から第2傾斜端面1b2にかけて六角形セグメント1を貫通して形成されている場合に比べ、短いボルト11を使用できる。ボルト11の取り扱い性が良好となるため、六角形セグメント1を組み合わせてトンネル覆工部分Tを構築する作業における施工者の負担を軽減できる。
【0030】
比較のため、挿通孔が第1側端面1a1から第2傾斜端面1b2にかけて貫通して形成されているセグメントの組立構造を想定する。この場合は、挿通孔が長いため、長いボルトを使用する必要がある。そのため、トンネル覆工部分Tを構築する作業における施工者の負担が大きくなる可能性がある。
【0031】
セグメントの組立構造10では、第1開口8が、第1側端面1a1に比べて第2開口5cに近い位置にあるため、挿通孔5の長さを短くできる。よって、六角形セグメント1の強度確保および製造しやすさの点で有利である。
【0032】
[セグメントの組立構造](第2実施形態)
図3は、第2実施形態のセグメントの組立構造を示す平面図である。第1実施形態との共通構成については、同じ符号を付して説明を省略する。
【0033】
図3に示すように、六角形セグメント101には、ボルト11が挿通する挿通孔105に連なる拡張部9が形成されている。拡張部9は、挿通孔105の延長線に沿って形成され、第1側端面1a1に達している。拡張部9は、第1傾斜端面1b1と平行であってよい。拡張部9の第1側端面1a1における開口は、第1開口5bである。第1開口5bは、挿通孔105の基端開口に相当する。拡張部9の内径は、挿通孔105の内径より大きい。
【0034】
このセグメントの組立構造では、ボルト11の基端部11cは拡張部9の最奥部に位置するため、基端部11cは第1側端面1a1に比べて第2開口5cに近い位置にある。そのため、短いボルト11を使用できる。よって、トンネル覆工部分Tを構築する作業における施工者の負担を軽減できる。
【0035】
このセグメントの組立構造では、拡張部9に挿入した締結用の器具によってボルト11を操作できるため、トンネル覆工部分Tを構築する作業が容易となる。
【0036】
本発明は、上述の実施形態に限定されることはなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜の変更や置換等が可能であり、これらはいずれも本発明に含まれる。
例えば、図1に示す六角形セグメント1は、2つの側端面1aが互いに平行であるが、2つの側端面1aは互いに平行でなくてもよい。図2に示す六角形セグメント1は、円弧形状に湾曲して形成されているが、セグメントの形状は、平板状、その他の形状であってもよい。
【符号の説明】
【0037】
1 六角形セグメント(セグメント)
1a 側端面
1b 傾斜端面
1c 傾斜端面対
5 挿通孔
5b 第1開口(基端開口)
5c 第2開口(先端開口)
8 第1開口(基端開口)
11 ボルト(締結具)
11c 基端部
11d 先端部
T トンネル覆工部分(筒状壁体)
図1
図2
図3