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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157829
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】鞍乗り型車両
(51)【国際特許分類】
   B62J 17/04 20060101AFI20221006BHJP
   B62J 23/00 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
B62J17/04
B62J23/00 F
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021062281
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】滝沢 卓
(72)【発明者】
【氏名】水田 耕司
(57)【要約】
【課題】軽量でコンパクトな形状のウインドスクリーンを備える鞍乗り型車両を提供する。
【解決手段】フロントカウル(31)にウインドスクリーン(37)を備える鞍乗り型車両において、前記フロントカウル(31)には、メーター(35)が設置されており、前記ウインドスクリーン(37)は前記メーター(35)よりも前方に設置され、前記ウインドスクリーン(37)の上辺(37E)は、下方に凹む切り欠き部(37E1)を有することを特徴とする鞍乗り型車両。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フロントカウル(31)にウインドスクリーン(37)を備える鞍乗り型車両において、
前記フロントカウル(31)には、メーター(35)が設置されており、前記ウインドスクリーン(37)は前記メーター(35)よりも前方に設置され、前記ウインドスクリーン(37)の上辺(37E)は、下方に凹む切り欠き部(37E1)を有することを特徴とする鞍乗り型車両。
【請求項2】
前記メーター(35)には、メーターバイザー(36)が設けられており、
前記メーターバイザー(36)は、正面視で、前記ウインドスクリーン(37)の前記切り欠き部(37E1)に露出するように設置されることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両。
【請求項3】
前記メーターバイザー(36)の上辺(53A1)は、前記ウインドスクリーン(37)の上辺(37E)よりも上方に位置することを特徴とする請求項2に記載の鞍乗り型車両。
【請求項4】
前記メーターバイザー(36)の上辺(53A1)は、前下がりの傾斜面(53A)に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の鞍乗り型車両。
【請求項5】
前記傾斜面(53A)は、前記ウインドスクリーン(37)の傾斜面(37A)よりも仰角(θ3)が小さいことを特徴とする請求項4に記載の鞍乗り型車両。
【請求項6】
前記ウインドスクリーン(37)には左右一対の開口(37G)が設けられ、前記開口(37G)は、前記メーターバイザー(36)よりも幅方向外側に位置することを特徴とする請求項2乃至5のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗り型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ウインドスクリーンを有する鞍乗り型車両が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載のウインドスクリーンは、車両前部に設けられる機能部品(メーター等)を覆うように設けられており、乗員への風当たりを軽減するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-165383号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ウインドスクリーンは車体に支持される部材であるため、軽量でコンパクトであることが望ましい。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、軽量でコンパクトな形状のウインドスクリーンを備える鞍乗り型車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
鞍乗り型車両は、フロントカウルにウインドスクリーンを備える鞍乗り型車両において、前記フロントカウルには、メーターが設置されており、前記ウインドスクリーンは前記メーターよりも前方に設置され、前記ウインドスクリーンの上辺は、下方に凹む切り欠き部を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
軽量でコンパクトな形状のウインドスクリーンとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両の側面図である。
図2】本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両の正面図である。
図3】本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両の要部を示す左前方からの斜視図である。
図4】ウインドスクリーンの図示を省略した鞍乗り型車両の要部を示す左前方からの斜視図である。
図5】ウインドスクリーンの図示を省略した鞍乗り型車両の要部を示す正面図である。
図6図5からアジャスターの図示を省略した図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、説明中、前後左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは車体前方を示し、符号UPは車体上方を示し、符号LHは車体左方を示す。
【0009】
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両10の側面図である。
鞍乗り型車両10は、車体フレーム11と、車体フレーム11に支持されるパワーユニット12と、前輪13を操舵自在に支持するフロントフォーク14と、後輪15を支持するスイングアーム16と、乗員用のシート17とを備える車両である。
鞍乗り型車両10は、乗員がシート17に跨るようにして着座する車両である。シート17は、車体フレーム11の後部の上方に設けられる。
【0010】
車体フレーム11は、車体フレーム11の前端部に設けられるヘッドパイプ18と、ヘッドパイプ18の後方に位置するフロントフレーム19と、フロントフレーム19の後方に位置するリアフレーム20とを備える。フロントフレーム19の前端部は、ヘッドパイプ18に接続される。
シート17は、リアフレーム20に支持される。
【0011】
フロントフォーク14は、ヘッドパイプ18によって左右に操舵自在に支持される。前輪13は、フロントフォーク14の下端部に設けられる車軸13aに支持される。乗員が把持する操舵用のハンドル21は、フロントフォーク14の上端部に取り付けられる。
【0012】
スイングアーム16は、車体フレーム11に支持されるピボット軸22に支持される。ピボット軸22は、車幅方向に水平に延びる軸である。スイングアーム16の前端部には、ピボット軸22が挿通される。スイングアーム16は、ピボット軸22を中心に上下に揺動する。
後輪15は、スイングアーム16の後端部に設けられる車軸15aに支持される。
【0013】
パワーユニット12は、前輪13と後輪15との間に配置され、車体フレーム11に支持される。
パワーユニット12は、内燃機関である。パワーユニット12は、クランクケース23と、往復運動するピストンを収容するシリンダー部24とを備える。シリンダー部24の排気ポートには、排気装置25が接続される。
パワーユニット12の出力は、パワーユニット12と後輪15とを接続する駆動力伝達部材によって後輪15に伝達される。
【0014】
また、鞍乗り型車両10は、前輪13を上方から覆うフロントフェンダー26と、後輪15を上方から覆うリアフェンダー27と、乗員が足を載せるステップ28と、パワーユニット12が使用する燃料を蓄える燃料タンク29とを備える。
フロントフェンダー26は、フロントフォーク14に取り付けられる。リアフェンダー27及びステップ28は、シート17よりも下方に設けられる。燃料タンク29は、車体フレーム11に支持される。
【0015】
本実施の形態では、フロントフレーム19は、ヘッドパイプ18から後下方に延びる左右一対のメインフレーム19aと、メインフレーム19aの後端部から下方に延びるピボットフレーム19bと、ヘッドパイプ18においてメインフレーム19aの前端の下方の位置から下方に延びるダウンフレーム19cと、ダウンフレーム19cの下端から後下方に延びた後に後方に延びてピボットフレーム19bの下端部に接続される左右一対のロアフレーム19dと、を備える。
【0016】
リアフレーム20は、左右のピボットフレーム19bの上部から後上がりに車両後端部まで延びる左右一対のシートフレーム20aと、左右のピボットフレーム19bの上下方向中間部からシートフレーム20aの後端部まで延びる左右一対のリアサブフレーム20bと、を備える。
【0017】
図2は、本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両10の正面図である。
図1図2に示すように、鞍乗り型車両10は、車体フレーム11及びパワーユニット12等によって構成される車体を覆う車体カバー30を備える。
車体カバー30は、ヘッドパイプ18及びフロントフォーク14の上部を前方及び左右側方から覆うフロントカウル31と、フロントカウル31の後方で、燃料タンク29の側面を外側方から覆う左右一対のサイドカバー32と、を備える。
【0018】
また、車体カバー30は、クランクケース23を下方から覆うアンダーカバー33と、サイドカバー32の後方でシート17の下方を側方から覆う左右一対のリアカバー34と、を備える。
【0019】
フロントカウル31の上部には、メーター35を覆うメーターバイザー36が設けられる。メーターバイザー36には、後上がりに延びる板状のウインドスクリーン37が設けられる。
フロントカウル31には、左右一対のヘッドライト38が設けられる。フロントカウル31の開口には、ラジエータ39(図2参照)が配置されている。
【0020】
図3は、本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両10の要部を示す左前方からの斜視図である。
フロントカウル31は、ヘッドライト38の上方を覆うフロントアッパーカウル41と、ヘッドライト38の下方で鞍乗り型車両10の前端部を覆うフロント前端カウル42と、ヘッドライト38から後方に延びる左右一対のフロントサイドカウル43と、フロントサイドカウル43の下方を覆う左右一対のフロントロアーカウル44と、を備える。
【0021】
図2に示すように、フロントアッパーカウル41は、略左右対称に形成されている。フロントアッパーカウル41は、正面視では、略V字の帯形状である。フロントアッパーカウル41は、側面視では後上がりに延びている(図1参照)。フロントアッパーカウル41は、上部に、その略V字状の上辺41Aによって形成される切り欠き状の開口部41Bを備える。フロントアッパーカウル41は、下辺41Cが、左右のヘッドライト38の間に配置される。フロントアッパーカウル41は、ヘッドライト38に沿った状態で配置される。
フロントアッパーカウル41の後方には、メーターバイザー36が配置される。
【0022】
図4は、ウインドスクリーン37の図示を省略した鞍乗り型車両10の要部を示す左前方からの斜視図である。図5は、ウインドスクリーン37の図示を省略した鞍乗り型車両10の要部を示す正面図である。図6は、図5からアジャスター55の図示を省略した図である。
メーターバイザー36は略左右対称に形成されている。メーターバイザー36は、フロントアッパーカウル41の内側に配置されたベース部51と、ベース部51の後部中央から上方に突出するメーターカバー部52と、メーターカバー部52の上端から後上がりに延出する庇状のバイザー部53と、を備える。
【0023】
ベース部51は、フロントアッパーカウル41の開口部41Bを閉塞するように配置される。ベース部51は、側面視において(図1参照)、後上がりの傾斜面51Aを有する。傾斜面51Aの仰角θ1は、ウインドスクリーン37のセンター面(傾斜面)37Aの仰角θ0よりも小さく形成されている。ベース部51は、フロントアッパーカウル41から後上方に連続的に延びる流線形形状を形成する。
【0024】
メーターカバー部52は、メーター35を前上方から覆う。メーターカバー部52は、側面視において(図1参照)、後上がりの傾斜面52Aを有する。傾斜面52Aは、上方に進むに連れて後方に湾曲している。傾斜面52Aの前端における仰角θ2は、ベース部51の傾斜面51Aの仰角θ1よりも大きい。また、傾斜面52Aの前端における仰角θ2は、ウインドスクリーン37の仰角θ0よりも大きい。メーターカバー部52は、ベース部51から後上方に連続的に延びる流線形形状を形成する。
【0025】
バイザー部53は、メーター35よりも後方に延出する。バイザー部53は、側面視において、後上がり(前下がり)の傾斜面53Aを有する。傾斜面53Aの前端における仰角θ3は、メーターカバー部52の傾斜面52Aの仰角θ2よりも小さい。また、傾斜面53Aの前端における仰角θ3は、ウインドスクリーン37の仰角θ0よりも小さい。バイザー部53は、メーターカバー部52から後上方に連続的に延びる流線形形状を形成する。
【0026】
図4図6に示すように、ベース部51の左右両端部には、ウイング締結部51Bが形成されている。ウイング締結部51Bの前下方には、切り欠き状のウイング差込部51Cが形成されている。ウイング差込部51Cは、フロントアッパーカウル41の上辺41Aとの間に開口を形成する。ウイング締結部51Bおよびウイング差込部51Cには、ウイング45が係合する。
【0027】
ウイング45は、板状であり、側面視では、後上がりに延出する。ウイング45には、厚み方向に貫通するL字状の貫通孔45Aが形成されている。貫通孔45Aの車幅方向内側には締結部45Bが形成されている。締結部45Bの前下方には、厚み方向下方に折れ曲がった形状の差込部45Cが形成されている。ウイング45は、締結部45Bが、メーターバイザー36のウイング締結部51Bに締結され、差込部45Cがウイング差込部51Cを通じてメーターバイザー36の下方に係合することにより、車体に固定される。
【0028】
メーターバイザー36のベース部51の車幅方向中央部には、左右一対のスライド孔51Dが形成されている。スライド孔51Dは、上下方向に延びる長孔状に形成されている。スライド孔51Dからは、スクリーンステー54(図6参照)がベース部51の上方に延出している。
【0029】
図6に示すように、スクリーンステー54は、スライド孔51Dに応じて左右一対設けられる。左右のスクリーンステー54は、左右対称に構成されている。
スクリーンステー54は、折り曲げ板状である。スクリーンステー54は、スライド孔51Dを貫通して上方に延出する板状の延出部54Aと、延出部54Aの上端で車幅方向外側に折り曲げられた板状の支持部54Bと、を備える。
【0030】
延出部54Aは、左右方向に厚みを有しスライド孔51Dに沿って延びる板状である。延出部54Aは、ベース部51の下方で図示しないスライド機構に支持されることにより、スライド孔51Dに沿ってスライド可能に支持される。
支持部54Bには、上下一対の支持孔54B1が形成されている。支持部54Bには、ウインドスクリーン37が支持される。本実施の形態では、アジャスター55(図5参照)を介して、ウインドスクリーン37がスクリーンステー54に支持される。
【0031】
アジャスター55は、スクリーンステー54にウインドスクリーン37を支持させるための支持位置の調整部材である。アジャスター55により、様々な形状のウインドスクリーン37をスクリーンステー54に支持させ易くなっている。アジャスター55は、例えば、レオナ樹脂で製造される。
【0032】
図5に示すように、アジャスター55は、支持部54Bの上面に配置される板状の本体部55Aと、本体部55Aから後下方に延びる保護部55Bとを備える。
本体部55Aには、スクリーンステー54の支持孔54B1に対応して、ボルト挿通孔55A1が形成されている。また、アジャスター55の保護部55Bは、スクリーンステー54の延出部54Aを前方から覆う。保護部55Bには、前方に凸に湾曲した断面形状の前端導風面55B1と、前端導風面55B1の車幅方向内端から後方に延びる平坦な後部導風面55B2とが形成されている。
【0033】
図2図3に示すように、ウインドスクリーン37は、左右対称形状である。ウインドスクリーン37は、前方に凸の湾曲板状である。ウインドスクリーン37の全体形状は、正面視では、下端から上方に進むに連れて車幅方向に広がり最大幅を有すると、その後、上方に進むに連れて車幅方向に狭まる形状をしている。
【0034】
詳細には、ウインドスクリーン37は、センター面37Aと、センター面37Aの左右のサイド面37Bと、を備える。
センター面37Aは、略平坦に形成されている。センター面37Aは、側面視では、後上がりに傾斜している。センター面37Aは、正面視では、上方に進むに連れて幅広となる四角状に形成されている。
サイド面37Bは、センター面37Aの側部に接続されている。サイド面37Bは、センター面37Aに対して後方に緩やかに曲がっており、車幅方向外側に進むに連れて後方に湾曲している。サイド面37Bは、正面視では、上下方向中央部が車幅方向外側に突出した略三角形状をしている。
【0035】
左右のサイド面37Bの下部には、センター面37Aに隣接して、それぞれのスクリーンステー54に締結される締結部37Cが形成されている。締結部37Cには、前方から上下一対のボルト60が挿通される。ボルト60は、アジャスター55のボルト挿通孔55A1(図5参照)およびスクリーンステー54の支持孔54B1(図6参照)に挿通され、ボルト60の軸先端部が図示しない締結部に締結される。これにより、ウインドスクリーン37がスクリーンステー54に締結され、スクリーンステー54と共にスライド孔51Dに沿ってスライド可能となる。ウインドスクリーン37は、下限位置(図2参照)と、下限位置よりも上方の図示しない上限位置との間をスライド可能に支持される。
【0036】
ウインドスクリーン37には、左側のサイド面37B、センター面37Aおよび右側のサイド面37Bの外周部として、下辺37Dと、上辺37Eと、下辺37Dおよび上辺37Eの左右をそれぞれ接続する左右一対の側辺37Fと、が形成されている。
【0037】
下辺37Dは、左側のサイド面37B、センター面37A、および右側のサイド面37Bの下縁で形成される。下辺37Dは、メーターバイザー36の左側のスライド孔51Dと右側のスライド孔51Dとの左右外端幅よりも左右方向に短く形成されている。
下辺37Dには、上方に凹んだ扁平U字形状の下側の切り欠き部37D1が形成されている。下側の切り欠き部37D1を通じて、走行風がメーターバイザー36側に進入可能となっている。メーターバイザー36側に進入した走行風は、スクリーンステー54の前端導風面55B1と後部導風面55B2とに案内されながら、メーターバイザー36の傾斜面51A、52A、53Aに沿って後方に流れ易くなっている。
【0038】
上辺37Eは、左側のサイド面37B、センター面37A、および右側のサイド面37Bの上縁で形成される。上辺37Eは、メーターバイザー36のバイザー部53の上辺53A1の左右外端幅よりも左右方向に長く形成されている。上辺37Eには、下方に凹んだ形状の上側の切り欠き部37E1が形成されている。切り欠き部37E1には、ウインドスクリーン37が下限位置に位置する場合に、正面視で、メーターバイザー36のバイザー部53の傾斜面53Aが位置する。
ウインドスクリーン37には、下辺37Dおよび上辺37Eに、切り欠き部37D1および切り欠き部37E1がそれぞれ設けられているため、上下方向にコンパクトなウインドスクリーン37とされている。よって、下辺37Dおよび上辺37Eに、切り欠き部37D1、37E1がそれぞれ設けられていない場合に比べて、軽量でコンパクトなウインドスクリーン37とすることができる。
【0039】
側辺37Fは、サイド面37Bの車幅方向外側の側縁で形成される。側辺37Fは下辺37Dの車幅方向外端から上方に延び、上方に進むに連れて後上方に延びている。そして、側辺37Fは後上端から、後方に進むに連れて前上方に延びて、上辺37Eの車幅方向外端の接続部37Hに接続される。
【0040】
ウインドスクリーン37が下限位置に位置する場合には、上側の切り欠き部37E1を通じて、前方からはバイザー部53の傾斜面53Aを視認できる(図2参照)。バイザー部53の傾斜面53Aの後縁となる上辺53A1は、ウインドスクリーン37の上辺37Eよりも上方に位置する。よって、ウインドスクリーン37の切り欠き部37E1を通じて後方に流れる走行風を、メーターバイザー36に沿って後方に流すことが可能であり、メーターバイザー36がウインドスクリーン37と併せて風防機能及び導風機能を発揮できる。
【0041】
ここで、ウインドスクリーン37とメーターバイザー36とに関し、ウインドスクリーン37が下限位置にある場合には、ウインドスクリーン37とバイザー部53の傾斜面53Aとは、全体としては、略流線形形状を形成する。また、ウインドスクリーン37が上限位置にある場合には、ベース部51の傾斜面51Aと、ウインドスクリーン37とは、全体としては、略流線形形状を形成する。すなわち、本実施の形態では、ウインドスクリーン37とメーターバイザー36とが併せて、いわゆる、スクリーンアーチ形状を形成する。
よって、本実施の形態では、ウインドスクリーン37とメーターバイザー36とにより、走行風を、走行抵抗が抑制された状態で後方に流し易くなっている。
【0042】
特に、バイザー部53の傾斜面53Aの仰角θ3(図1参照)は、ウインドスクリーン37のセンター面37Aの仰角θ1(図1参照)よりも小さいので、ウインドスクリーン37が下限位置に位置する場合には、ウインドスクリーン37とバイザー部53の傾斜面53Aとにより、走行風をなだらかに流すことができる。
【0043】
ウインドスクリーン37には、それぞれのサイド面37Bの上部に、開口37Gが設けられている。開口37Gは、サイド面37Bを厚み方向に貫通する長孔であり、車幅方向外側にやや傾斜して上方に延びる長孔である。開口37Gは、上辺37Eと側辺37Fの接続部37Hに向かって延びる。開口37Gは、正面視において、上辺37Eと側辺37Fとの接続部37Hと、車幅方向では重複する。開口37Gは、ウインドスクリーン37の上下方向半分に対して上方に設けられている。開口37Gは、正面視において、メーターバイザー36のメーターカバー部52よりも幅方向外側に形成されている。
【0044】
開口37Gの車幅方向内側には、案内面37B1が形成されている。案内面37B1は、サイド面37Bよりも後方に急傾斜する面形状をしている。案内面37B1の後端は開口37Gの車幅方向内縁を形成する。案内面37B1は走行風を開口37Gに導く。開口37Gにより、走行風の一部を、メーターバイザー36を避けて後ろに流すことができる。
【0045】
以上説明したように、本発明を適用した実施の形態によれば、フロントカウル31にウインドスクリーン37を備える鞍乗り型車両10において、フロントカウル31には、メーター35が設置されており、ウインドスクリーン37はメーター35よりも前方に設置され、ウインドスクリーン37の上辺37Eは、下方に凹む切り欠き部37E1を有する。したがって、上辺37Eに切り欠き部37E1を設けることで、切り欠き部37E1を有しない場合に比べて、軽量でコンパクトな形状のウインドスクリーン37とすることができる。
【0046】
本実施の形態では、メーター35には、メーターバイザー36が設けられており、メーターバイザー36は、正面視で、ウインドスクリーン37の切り欠き部37E1に露出する。したがって、ウインドスクリーン37の切り欠き部37E1にメーターバイザー36が設けられることでウインドスクリーン37と併せてメーターバイザー36に風防機能及び導風機能を持たせることができる。
【0047】
また、本実施の形態では、メーターバイザー36のバイザー部53の上辺53A1は、ウインドスクリーン37の上辺37Eよりも上方に位置する。したがって、ウインドスクリーン37とメーターバイザー36を併せて走行風を車両後方に流すことができる。
【0048】
また、本実施の形態では、メーターバイザー36のバイザー部53の上辺53A1は、前下がりの傾斜面53Aに設けられている。したがって、走行風をなだらかに流すことができる。
【0049】
また、本実施の形態では、傾斜面53Aは、ウインドスクリーン37のセンター面37Aの仰角θ0よりも仰角θ3が小さい。したがって、走行風をなだらかに流すことができる。
【0050】
また、本実施の形態では、ウインドスクリーン37には左右一対の開口37Gが設けられ、開口37Gは、メーターバイザー36よりも幅方向外側に位置する。したがって、走行風の一部を、メーターバイザー36を避けて後ろに流すことができる。
【0051】
[他の実施の形態]
上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
【0052】
上記実施の形態では、鞍乗り型車両10として前輪13と後輪15とを有する自動二輪車を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明は、前輪または後輪を2つ備えた3輪の鞍乗り型車両や4輪以上を備えた鞍乗り型車両に適用可能である。
【0053】
[上記実施の形態によりサポートされる構成]
上記実施の形態は、以下の構成をサポートする。
【0054】
(構成1)フロントカウルにウインドスクリーンを備える鞍乗り型車両において、前記フロントカウルには、メーターが設置されており、前記ウインドスクリーンは前記メーターよりも前方に設置され、前記ウインドスクリーンの上辺は、下方に凹む切り欠き部を有することを特徴とする鞍乗り型車両。
この構成によれば、上辺に切り欠き部を設けることで、切り欠き部を有しない場合に比べて、軽量でコンパクトな形状のウインドスクリーンとすることができる。
【0055】
(構成2)前記メーターには、メーターバイザーが設けられており、前記メーターバイザーは、正面視で、前記ウインドスクリーンの前記切り欠き部に露出するように設置されることを特徴とする構成1に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、ウインドスクリーンの切り欠き部にメーターバイザーが設けられることでウインドスクリーンと併せてメーターバイザーに風防機能及び導風機能を持たせることができる。
【0056】
(構成3)前記メーターバイザーの上辺は、前記ウインドスクリーンの上辺よりも上方に位置することを特徴とする構成2に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、ウインドスクリーンとメーターバイザーを併せて走行風を車両後方に流すことができる。
【0057】
(構成4)前記メーターバイザーの上辺は、前下がりの傾斜面に設けられていることを特徴とする構成3に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、走行風をなだらかに流すことができる。
【0058】
(構成5)前記傾斜面は、前記ウインドスクリーンの傾斜面よりも仰角が小さいことを特徴とする構成4に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、走行風をなだらかに流すことができる。
【0059】
(構成6)前記ウインドスクリーンには左右一対の開口が設けられ、前記開口は、前記メーターバイザーよりも幅方向外側に位置することを特徴とする構成2乃至5のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、走行風の一部を、メーターバイザーを避けて後ろに流すことができる。
【符号の説明】
【0060】
10 鞍乗り型車両
31 フロントカウル
35 メーター
36 メーターバイザー
37 ウインドスクリーン
37A センター面(傾斜面)
37E 上辺
37E1 切り欠き部
37G 開口
53A 傾斜面
53A1 上辺
θ3 仰角
図1
図2
図3
図4
図5
図6