(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157831
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】鞍乗り型車両
(51)【国際特許分類】
B62J 17/06 20060101AFI20221006BHJP
B62J 17/00 20200101ALI20221006BHJP
B62J 23/00 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
B62J17/06
B62J17/00
B62J23/00 C
B62J23/00 A
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021062284
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新島 瞬
(72)【発明者】
【氏名】林 敬済
(72)【発明者】
【氏名】水田 耕司
(72)【発明者】
【氏名】滝沢 卓
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 栄
(57)【要約】
【課題】エンジンの側方を覆うカウルが無い鞍乗り型車両においても、簡単に風防を設置することができ、効果的に乗員への風当たりを軽減できる鞍乗り型車両を提供する。
【解決手段】鞍乗り型車両(10)は、少なくともエンジン(12)の側面(23A)の一部が露出する鞍乗り型車両において、乗員の足前方に位置する風防(90)を備え、該風防(90)は、エンジン(12)のクランクケース(23)の側面(23A)に位置し、前記クランクケース(23)のみに支持される。
【選択図】
図14
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくともエンジン(12)の側面(23A)の一部が露出する鞍乗り型車両において、
乗員の足前方に位置する風防(90)を備え、該風防(90)は、エンジン(12)のクランクケース(23)の側面(23A)に位置し、前記クランクケース(23)のみに支持されることを特徴とする鞍乗り型車両。
【請求項2】
前記風防(90)は、前記クランクケース(23)の側面(23A)に設けられる風防ステー(100)を介して支持されることを特徴とする請求項1に記載の鞍乗り型車両。
【請求項3】
前記風防(90)は、前記風防ステー(100)に一部が着脱可能に支持されることを特徴とする請求項2に記載の鞍乗り型車両。
【請求項4】
前記風防ステー(100)には、前記風防(90)が軸部材(120)を介して着脱可能に支持される開口状の着脱孔(110)が設けられ、
前記着脱孔(110)は、装着孔(110A)と、前記装着孔(110A)と連続的な開口形状を形成し且つ前記装着孔(110A)よりも開口幅が大きい離脱孔(110B)と、を備え、
前記軸部材(120)が前記装着孔(110A)に挿通された状態で、前記軸部材(120)に、前記離脱孔(110B)を通過可能で且つ前記装着孔(110A)よりも大きい固定部材(111)が支持されることで前記風防(90)が支持されることを特徴とする請求項3に記載の鞍乗り型車両。
【請求項5】
前記固定部材(111)は、ウェルナット(111)であることを特徴とする請求項4に記載の鞍乗り型車両。
【請求項6】
フロントカウル(31)と前記フロントカウル(31)に接続されるサイドカバー(32)を備え、前記風防(90)は、前記フロントカウル(31)もしくは前記サイドカバー(32)と係合することを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鞍乗り型車両に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、エンジンの側方を覆うカウルを備える鞍乗り型車両において、該カウルに乗員の足への風当たりを軽減する風防を備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、鞍乗り型車両には、エンジンの側方にカウルが無い場合もあり、エンジンの側方を覆うカウルが無い車両において、乗員の足への風当たりを軽減する構造が望まれる。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、エンジンの側方を覆うカウルが無い鞍乗り型車両においても、簡単に風防を設置することができ、効果的に乗員への風当たりを軽減できる鞍乗り型車両を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
鞍乗り型車両は、少なくともエンジンの側面の一部が露出する鞍乗り型車両において、乗員の足前方に位置する風防を備え、該風防は、エンジンのクランクケースの側面に位置し、前記クランクケースのみに支持されることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
エンジンの側方を覆うカウルが無い鞍乗り型車両においても、簡単に風防を設置することができ、効果的に乗員への風当たりを軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両の側面図である。
【
図2】本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両の正面図である。
【
図3】本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両の左前方からの斜視図である。
【
図4】
図3からフロントサイドカウルとフロントロアーカウルとの図示を省略した図である。
【
図5】フロント前端カウルの周辺部を示す左前方から見た鞍乗り型車両の斜視図である。
【
図8】
図4から接続カバーとサイドカバーとの図示を省略した図である。
【
図9】
図8からインナーカバーの図示を省略した図である。
【
図10】エンジンのクランクケースの周辺部を示す
図1の要部拡大図である。
【
図11】エンジンのクランクケースの周辺部を示す左後方から見た鞍乗り型車両の斜視図である。
【
図12】本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両の要部の底面図である。
【
図13】
図12からフットディフレクターの図示を省略した図である。
【
図14】クランクケースの周辺部を示す鞍乗り型車両の右側面図である。
【
図15】クランクケースの周辺部を示す右後方から見た鞍乗り型車両の斜視図である。
【
図16】
図14から右側のフットディフレクターの図示を省略した図である。
【
図17】右側のフットディフレクターと風防ステーのステーとの締結部分の拡大図である。
【
図18】
図17のXVIII-XVIII線の断面に対応する模式図である。
【
図19】
図4から接続カバーが省略された場合の鞍乗り型車両の左側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、説明中、前後左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号FRは車体前方を示し、符号UPは車体上方を示し、符号LHは車体左方を示す。
【0009】
[実施の形態]
図1は、本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両10の側面図である。
鞍乗り型車両10は、車体フレーム11と、車体フレーム11に支持されるパワーユニット12と、前輪13を操舵自在に支持するフロントフォーク14と、後輪15を支持するスイングアーム16と、乗員用のシート17とを備える車両である。
鞍乗り型車両10は、乗員がシート17に跨るようにして着座する車両である。シート17は、車体フレーム11の後部の上方に設けられる。
【0010】
車体フレーム11は、車体フレーム11の前端部に設けられるヘッドパイプ18と、ヘッドパイプ18の後方に位置するフロントフレーム19と、フロントフレーム19の後方に位置するリアフレーム20とを備える。フロントフレーム19の前端部は、ヘッドパイプ18に接続される。
シート17は、リアフレーム20に支持される。
【0011】
フロントフォーク14は、ヘッドパイプ18によって左右に操舵自在に支持される。前輪13は、フロントフォーク14の下端部に設けられる車軸13aに支持される。乗員が把持する操舵用のハンドル21は、フロントフォーク14の上端部に取り付けられる。
【0012】
スイングアーム16は、車体フレーム11に支持されるピボット軸22に支持される。ピボット軸22は、車幅方向に水平に延びる軸である。スイングアーム16の前端部には、ピボット軸22が挿通される。スイングアーム16は、ピボット軸22を中心に上下に揺動する。
後輪15は、スイングアーム16の後端部に設けられる車軸15aに支持される。
【0013】
パワーユニット12は、前輪13と後輪15との間に配置され、車体フレーム11に支持される。
パワーユニット12は、内燃機関である。パワーユニット12は、クランクケース23と、往復運動するピストンを収容するシリンダー部24とを備える。シリンダー部24の排気ポートには、排気装置25が接続される。
パワーユニット12の出力は、パワーユニット12と後輪15とを接続する駆動力伝達部材によって後輪15に伝達される。
【0014】
また、鞍乗り型車両10は、前輪13を上方から覆うフロントフェンダー26と、後輪15を上方から覆うリアフェンダー27と、乗員が足を載せるステップ28と、パワーユニット12が使用する燃料を蓄える燃料タンク29とを備える。
フロントフェンダー26は、フロントフォーク14に取り付けられる。リアフェンダー27及びステップ28は、シート17よりも下方に設けられる。燃料タンク29は、車体フレーム11に支持される。
【0015】
本実施の形態では、フロントフレーム19は、ヘッドパイプ18から後下方に延びる左右一対のメインフレーム19aと、メインフレーム19aの後端部から下方に延びるピボットフレーム19bと、ヘッドパイプ18においてメインフレーム19aの前端の下方の位置から下方に延びるダウンフレーム19cと、ダウンフレーム19cの下端から後下方に延びた後に後方に延びてピボットフレーム19bの下端部に接続される左右一対のロアフレーム19dと、を備える。
【0016】
リアフレーム20は、左右のピボットフレーム19bの上部から後上がりに車両後端部まで延びる左右一対のシートフレーム20aと、左右のピボットフレーム19bの上下方向中間部からシートフレーム20aの後端部まで延びる左右一対のリアサブフレーム20bと、を備える。
【0017】
図2は、本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両10の正面図である。
図1、
図2に示すように、鞍乗り型車両10は、車体フレーム11及びパワーユニット12等によって構成される車体を覆う車体カバー(カウル)30を備える。
車体カバー30は、ヘッドパイプ18及びフロントフォーク14の上部を前方及び左右側方から覆うフロントカウル31と、フロントカウル31の後方で、燃料タンク29の側面を外側方から覆う左右一対のサイドカバー32と、を備える。
【0018】
また、車体カバー30は、クランクケース23を下方から覆うアンダーカバー33と、サイドカバー32の後方でシート17の下方を側方から覆う左右一対のリアカバー34と、を備える。
【0019】
フロントカウル31の上部には、メーター35を覆うメーターバイザー36が設けられる。メーターバイザー36には、後上がりに延びる板状のウインドスクリーン37が設けられる。
フロントカウル31には、左右一対のヘッドライト38が設けられる。フロントカウル31で覆われる空間にラジエータ39(
図2参照)が配置されている。
【0020】
図3は、本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両10の左前方からの斜視図である。
図4は、
図3からフロントサイドカウル43とフロントロアーカウル44との図示を省略した図である。
フロントカウル31は、ヘッドライト38の上方を覆うフロントアッパーカウル41と、ヘッドライト38の下方で鞍乗り型車両10の前端部を覆うフロント前端カウル42と、ヘッドライト38から後方に延びる左右一対のフロントサイドカウル43と、フロントサイドカウル43の下方を覆う左右一対のフロントロアーカウル44と、フロントアッパーカウル41、フロント前端カウル42、フロントサイドカウル43、および、フロントロアーカウル44で覆われるインナーカバー45(
図4参照)と、フロントサイドカウル43に外方が覆われてフロント前端カウル42とサイドカバー32とを接続する接続カバー46(
図4参照)と、を備える。
【0021】
図2に示すように、フロントアッパーカウル41は、略左右対称に形成されている。フロントアッパーカウル41は、正面視では、略V字状の帯形状である。フロントアッパーカウル41は、側面視では後上がりに延びる。
【0022】
図5は、フロント前端カウル42の周辺部を示す左前方から見た鞍乗り型車両10の斜視図である。
図6は、
図5のVI-VI線断面図である。
図7は、
図2のVII-VII線断面図である。
フロント前端カウル42は、左右のヘッドライト38の下方側を覆う。フロント前端カウル42は、左右のヘッドライト38の間を覆う前端インナー47と、前端インナー47の前方に配置される前端アウター48と、を備える。
前端インナー47は、正面視で、略逆U字状に形成されている(
図2参照)。前端インナー47は、左右のヘッドライト38の間に配置される中央部47Aと、中央部47Aの左右両側から後方に延びる左右一対の側部47Bとを備える。側部47Bは全体として、上下方向に厚みを有する。
【0023】
中央部47Aは、正面視では四角状に形成される(
図2参照)。中央部47Aの上部には、前後方向に貫通する上部開口47A1が形成されている。上部開口47A1は、車幅方向(左右方向)に延びている。上部開口47A1の下方には、後方に凹んだ凹部47A2が形成されている。凹部47A2は、上部開口47A1に沿って車幅方向に延びている。凹部47A2の車幅方向外端には、中央部47Aを厚み方向に貫通する下部開口47A3が形成されている。左右の下部開口47A3は、左右のヘッドライト38の前面にそれぞれ対向して開口する。
【0024】
ヘッドライト38の前面には、
図6に示すように、断面L字状のガイド壁38Aが形成されている。ガイド壁38Aの車幅方向外端38A1が下部開口47A3よりも車幅方向外側に配置される。
【0025】
凹部47A2には、
図5に示すように、前端アウター48が配置される。前端アウター48は、凹部47A2に沿って延びるブリッジ部48Aと、ブリッジ部48Aの左右両端に設けられた固定部48Bとを備える。左右の固定部48Bは、車幅方向外側に進むに連れて後方に延びる板状である。左右の固定部48Bが前端インナー47に固定され、前端アウター48が車体に支持される。前端アウター48のブリッジ部48Aは、凹部47A2よりも上下幅が狭く形成されており、凹部47A2の底面(内面)から離間している。
【0026】
よって、走行風がフロント前端カウル42に当たると、走行風は、前端アウター48と前端インナー47との間の隙間に進入し、凹部47A2の底面によって左右に導風される。凹部47A2において左右に導風された走行風は、下部開口47A3を通じて、前端インナー47よりも後方に流入する。前端インナー47の後方に流入した走行風は、ヘッドライト38のガイド壁38Aによって、車幅方向内側に案内され、その後、左右のヘッドライト38の間を通って車幅方向中央部を後方に流れる。フロント前端カウル42の下部開口47A3を通過する走行風は蛇行しながらフロントカウル31内に進入する。なお、車幅方向中央部にはヘッドパイプ18やダウンフレーム19cがある。
【0027】
前端インナー47の側部47Bの前部には、インナーカバー45(
図4参照)の前端部が係合する。また、側部47Bの前部には、フロントロアーカウル44(
図3参照)の前端部が係合する。側部47Bの後部には、吸気開口47B1(
図6参照)が形成されている。吸気開口47B1は、フロントサイドカウル43とインナーカバー45とで挟まれた空間で形成される導風路54に走行風を取り入れる。
【0028】
図8は、
図4から接続カバー46とサイドカバー32との図示を省略した図である。
図9は、
図8からインナーカバー45の図示を省略した図である。
ヘッドライト38の後方には、インナーカバー45が配置される。インナーカバー45は、フロントフォーク14を囲う。インナーカバー45は、フロントフォーク14の前上方に配置されるカバー本体部45Aと、カバー本体部45Aの下方に設けられたU字状の開口形成部45Bと、カバー本体部45Aの左右両側に形成された側部としてのカバー側部45Cと、カバー側部45Cの車幅方向外端に設けられた遮蔽部45Dと、を備える。
【0029】
開口形成部45Bは、前端側でフロント前端カウル42の前端インナー47に係合する。開口形成部45Bの車幅方向両端は、下方に延出する帯状である。カバー側部45Cは、フロントフォーク14を車幅方向外側から覆う。カバー側部45Cは、
図7に示すように、上方から見た場合には、後方に進むに連れて車幅方向外側に傾斜している。カバー側部45Cには、ラジエータ39の左右のタンク39B、39Cの位置に対応して、車幅方向内側に凹んだ凹み部45C1が設けられている。左右のカバー側部45Cは、タンク39B、39Cよりも車幅方向内側を通って後方に延びている。
図8に示すように、カバー側部45Cと、開口形成部45Bとは、L字状に切り欠かれた形状のラジエータ配置部45Eを形成する。ラジエータ配置部45Eには、ラジエータ39が配置される。
遮蔽部45Dは、車幅方向外側のフロントサイドカウル43に向けて車幅方向に延びている(
図7参照)。
【0030】
図4、
図7に示すように、インナーカバー45の左右両側には、接続カバー46が設けられている。接続カバー46は、フロント前端カウル42から延びてサイドカバー32に接続される。左側の接続カバー46の後端部には、ホースカバー部46Aが設けられている。ホースカバー部46Aはラジエータ39とラジエータホース51の接続部を車幅方向外側から覆う。
【0031】
接続カバー46は、
図7に示すように、上下方向に厚みを有する板状の仕切部46Bを備える。仕切部46Bは、インナーカバー45とフロントサイドカウル43との間に延在し、導風路54の一部を上下に仕切る。仕切部46Bの後部には、仕切部46Bを厚み方向に貫通する開口46B1が形成されている。開口46B1は、タンク39B、39Cと重複する。開口46B1の前方には、上方に延出するダクト形成部46Cが形成されている(
図4参照)。ダクト形成部46Cは、車幅方向外側に凸に湾曲しており、前方から後方に進むに連れて車幅方向外側に延びている。ダクト形成部46Cは、インナーカバー45の凹み部45C1に対向して配置される。ダクト形成部46Cは、凹み部45C1と共に、略筒状のダクト部49を形成する。
【0032】
ダクト部49の内部には、上方から吸気ダクト56(
図4参照)が延びている。吸気ダクト56は、燃料タンク29の前方に配置されたエアクリーナボックス57(
図4参照)から延びている。吸気ダクト56は左右一対配置されている。吸気ダクト56は、ダクト部49の内部で先端が開口する。
吸気ダクト56とエアクリーナボックス57の車幅方向外側は、フロントサイドカウル43(
図3参照)で覆われる。フロントサイドカウル43は、インナーカバー45との間に導風路54(
図7参照)を形成する。
【0033】
走行風は、フロント前端カウル42の吸気開口47B1からフロントカウル31内に流入する。フロントカウル31の導風路54では、接続カバー46の下方から開口46B1を通じて仕切部46Bの上方のダクト部49(
図4参照)に移動し、吸気ダクト56(
図4参照)に吸気される。
【0034】
図3、
図4に示すように、フロントサイドカウル43は、接続カバー46およびサイドカバー32に支持される。フロントサイドカウル43は、カバー排風部32Gの上部に接続される。左側のフロントサイドカウル43は、左側のラジエータホース51(
図8参照)も外側方から覆う。
【0035】
フロント前端カウル42、インナーカバー45、および、接続カバー46には、フロントロアーカウル44が接続される。フロントロアーカウル44は、フロント前端カウル42から車幅方向外側に延びている。フロントロアーカウル44は、フロントサイドカウル43の前縁に沿って延び、下方に屈曲状に曲がり、カバー排風部32Gの前端に接続されている。
【0036】
図10は、エンジン12のクランクケース23の周辺部を示す
図1の要部拡大図である。
図11は、エンジン12のクランクケース23の周辺部を示す左後方から見た鞍乗り型車両10の斜視図である。
本実施の形態のパワーユニット12は、エンジンである。以下、パワーユニット12をエンジン12という。エンジン12は、クランクケース23と、クランクケース23から右上方に延びるシリンダー部24を備える。クランクケース23の左右の側面は、車体カバー30では覆われておらず、車幅方向に露出している。シリンダー部24の上部前面には、排気装置25が接続される。
【0037】
図12は、本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両10の要部の底面図である。
図13は、
図12からフットディフレクター80、90の図示を省略した図である。
排気装置25は左右一対の排気管61、62を備える。左側の排気管61は、シリンダー部24から下方に延びた後、右方に曲がり、前後方向に延びる円筒状のキャタライザ63の前端に接続される。右側の排気管62は、シリンダー部24から下方に延びた後、右方に曲がり、左側の排気管61と同様にキャタライザ63の前端に接続される。キャタライザ63は、前後方向に延びる。キャタライザ63は、キャタライザカバー64で覆われている。キャタライザ63の後端には、第2の排気管66が接続されている。第2の排気管66は、後方に延びて、マフラー67(
図2参照)に接続される。
【0038】
図13に示すように、キャタライザ63の左側にはアンダーカバー33が配置される。アンダーカバー33は、底面視では略平皿状である。アンダーカバー33は、後下がりに延びる底壁70と、底壁70の左端から左上方に延びる左壁71と、底壁70および左壁71の前端に設けられる前壁72(
図2参照)と、を備える。
アンダーカバー33は、左側のロアフレーム19dに沿って延在しており、左側のロアフレーム19dを左下方から覆う。アンダーカバー33の右端33Aは、右側のロアフレーム19dの位置に設定されており、アンダーカバー33は、右側のロアフレーム19dの前端部のみ覆う。前壁72は、底面視で、排気管61と重複する。
【0039】
アンダーカバー33は、左右のロアフレーム19dのステー19d1に底壁70の締結部70A、70Bで締結される。また、アンダーカバー33は、左壁71の後端部の締結部71Aで、左側のロアフレーム19dに締結される。さらに、アンダーカバー33は、左前方の締結部71G1(
図13参照)で、ロアフレーム19dから延びるステー19d2(
図13参照)に締結される。これにより、アンダーカバー33は、排気管61、62を避けて車体フレーム11に固定される。
【0040】
図10に示すように、アンダーカバー33の左壁71は、側面視では、概観が、後下がりに延びる長方形形状である。左壁71は、左側のロアフレーム19dに沿って延びている。左壁71には、その長手方向に沿って延びるスリット孔71B、71Cが形成されている。
【0041】
図13に示すように、左壁71の上端には、前後一対のステー71D、71Eが形成されている。ステー71D、71Eは、車幅方向外側に突出する角筒状である。ステー71D、71Eの下側の締結面71D1、71E1には、厚み方向に貫通する着脱孔110が形成されている。前側のステー71Dの締結面71D1に対して、後側のステー71Eの締結面71E1は後方を向いており、後側のステー71Eでは、着脱孔110の貫通方向がやや前後方向に傾斜している。着脱孔110には、ボルト120が挿通さえる。ボルト120により、左側のフットディフレクター80がステー71D、71Eに支持される。
【0042】
前側のステー71Dの前方には、ステー71Dから前上方に延びる延出部71Gが形成されている。延出部71Gの後部には、左側のロアフレーム19dに固定される締結部71G1が形成されている。延出部71Gの前端には、左側のフットディフレクター(車幅方向一側の風防)80が固定される固定部71G2が形成されている。
【0043】
図11、
図12において、左側のフットディフレクター80は、アンダーカバー33の左壁71と同様に、側面視では、後下がりに延びている。フットディフレクター80は、側面視では、シリンダー部24の前方から後下がりに延びて、ステップ28の高さまで後方に延びた形状である。また、
図12に示すように、フットディフレクター80は、底面視では、フロントサイドカウル43の外端程度まで突出しており、その突出端80Aから車幅方向内側に屈曲する略L字状をしている。
【0044】
図11、
図12において、フットディフレクター80は、前後方向に沿って延びる外側面部81と、外側面部81の前端から右方に曲がる前面部82と、外側面部81の後端から車幅方向内側に曲がる後面部83とを備える。
フットディフレクター80は、アンダーカバー33の延出部71Gとステー71D、71Eを下方から覆うように配置される。
【0045】
フットディフレクター80は、前面部82の固定部82Aで、アンダーカバー33の固定部71G2に固定される。固定部82Aは、前後方向に延びるボルト130により固定部71G2に固定される。また、フットディフレクター80は、外側面部81の支持部81Aで、前側のステー71Dに着脱可能に支持される。さらに、フットディフレクター80は、後面部83の支持部83Aで、後側のステー71Eに着脱可能に支持される。支持部81A、83Aは、上下方向に延びるボルト120によりステー71D、71Eに支持される。
【0046】
フットディフレクター80は、前面部82でアンダーカバー33に強固に支持される。また、フットディフレクター80は、外側面部81、および、後面部83で着脱可能にアンダーカバー33に支持される。これにより、フットディフレクター90が外力を受けた場合に、前面部92以外がアンダーカバー33から外れ易くなっている。よって、フットディフレクター80が車体の外方から力を受けても、力を逃がし易くなっている。
【0047】
フットディフレクター80の前面部82には、前後方向に貫通する開口82B(
図2参照)が形成されている。開口82Bは、固定部82Aよりも車幅方向外側に形成されている。前面部82の上端には、サイドカバー32と係合するカバー係合部82C(
図20参照)が形成されている。左側のフットディフレクター80は、アンダーカバー33を介して車体フレーム11に支持されると共に、サイドカバー32に係合して支持される。
【0048】
図14は、クランクケース23の周辺部を示す鞍乗り型車両10の右側面図である。
図15は、クランクケース23の周辺部を示す右後方から見た鞍乗り型車両10の斜視図である。
図16は、
図14から右側のフットディフレクター90の図示を省略した図である。
エンジン12の右側下方には、右側のフットディフレクター90(車幅方向他側の風防)が配置される。右側のフットディフレクター90は、左側のフットディフレクター80に対して、略左右対称に形成される。
【0049】
右側のフットディフレクター90は、側面視では、後下がりに延びている。フットディフレクター90は、側面視では、シリンダー部24の前方から後下がりに延びて、ステップ28の高さまで後方に延びた形状である。また、フットディフレクター90は、
図12に示す底面視では、フロントサイドカウル43の外端程度まで突出しており、その突出端90Aから車幅方向内側に屈曲する略L字状をしている。
右側のフットディフレクター90は、前後方向に沿って延びる外側面部91と、外側面部91の前端から左方に曲がる前面部92と、を備える。
【0050】
右側のフットディフレクター90は、エンジン12に支持される。本実施の形態では、右側のフットディフレクター90は風防ステー100(
図16等参照)を介してエンジン12に支持される。すなわち、左側のフットディフレクター80が車体フレーム11に支持される構成であるのに対して、右側のフットディフレクター90は、車体フレーム11ではなくエンジン12に支持される。
【0051】
図16に示すように、風防ステー100は、エンジン12のクランクケース23のみに支持される。詳細には、風防ステー100は、クランクケース23が備える右側のクランクケースカバー(側面)23Aに支持される。
風防ステー100は、クランクケースカバー23Aの下側の外周縁23A1に沿って延びる被固定部101を有する。被固定部101は、クランクケースカバー23Aとラジエータホース52の接続部23A2よりも前方に配置される前部101Aと、前部101Aから接続部23A2を越えて後下がりに延びる中間部101Bと、中間部101Bの後端から後方に延びる後部101Cとを有する。
【0052】
前部101Aは、クランクケースカバー23Aに固定されたブラケット106に固定される。また、後部101Cは、クランクケース23に固定されたブラケット107に固定される。ブラケット106、107は、クランクケースカバー23Aのみに固定されており、エンジン12のみに固定される。ブラケット106、107には、風防ステー100が車幅方向に延びるボルト122(
図16参照)で固定される。
【0053】
前部101Aの前面には、フットディフレクター90が固定される固定部101A1が形成されている。
中間部101Bには、車幅方向外側に突出するステー102、103が形成されている。ステー102、103は中空の角筒状である。ステー102、103の下側の締結面102A、103Aは前下方を向いている。ステー102、103の締結面102A、103Aには着脱孔110が形成されている。
【0054】
右側のフットディフレクター90は、風防ステー100の前部101Aとステー102、103を前下方から覆うように配置される。
フットディフレクター90は、前面部92の固定部92Aで、風防ステー100の固定部101に固定される。固定部92Aは、前後方向に延びるボルト130により固定部101に固定される。また、フットディフレクター90は、外側面部91の支持部91Aで、前側のステー102に着脱可能に支持される。さらに、フットディフレクター90は、外側面部91の支持部91Bで、後側のステー103に着脱可能に支持される。支持部91A、91Bは、上下方向に延びるボルト120によりステー102、103に支持される。
【0055】
フットディフレクター90は、前面部92で風防ステー100に強固に支持される。また、フットディフレクター90は、外側面部91で着脱可能に風防ステー100に支持される。これにより、フットディフレクター90が外力を受けた場合に、前面部92以外が風防ステー100から外れ易くなっている。よって、フットディフレクター90が車体の外方から力を受けても、力を逃がし易くなっている。
【0056】
フットディフレクター90の前面部92には、前後方向に貫通する開口92B(
図2参照)が形成されている。開口92Bは、固定部92Aよりも車幅方向外側に形成されている。前面部92の上方には、ラジエータホース52が延びている(
図15参照)。右側のフットディフレクター90は、右側のサイドカバー32には係合していない。
したがって、右側のフットディフレクター90は、左側のフットディフレクター80とは異なり、エンジン12のみに支持される。
【0057】
図17は、右側のフットディフレクター90と風防ステー100のステー102との締結部分の拡大図である。
図18は、
図17のXVIII-XVIII線の断面に対応する模式図である。
ステー102の締結面102Aには、開口状の着脱孔110が形成されている。着脱孔110は、装着孔110Aと、装着孔110Aから開口が連続的に形成された離脱孔110Bとが形成されている。
本実施の形態では、装着孔110Aは円形状であり、離脱孔110Bは四角孔状である。離脱孔110Bの開口幅は装着孔110Aの開口幅よりも大きい。離脱孔110Bは、装着孔110Aよりも車幅方向内側に形成されている。
【0058】
装着孔110Aには、ウェルナット111が配置される。ウェルナット111は、ゴム筒にナットが一体とされた部材である。具体的には、ウェルナット111は、所定の軸方向に延びる筒部111Aを有する。筒部111Aには、その軸方向の一端にフランジ部111Bが形成されている。また、筒部111Aの内部には、その軸方向の他端側において、ナット111Cが支持されている。
【0059】
本実施の形態では、ウェルナット111のフランジ部111Bと、ステー102の締結面102Aとの間にワッシャ112が挟まれる。フットディフレクター90の支持部91Aの孔にボルト(軸部材)120を差し込み、そのボルト120を、ステー102に装着されたウェルナット111の筒部111Aの孔に挿入する。そして、ボルト120を締め付けると、ボルト120の回転に応じてナット111Cが、ボルト120の頭部120Aに引き寄せられ筒部111Aが軸方向に潰れて拡径した筒部(大径部分)111Aとなる。よって、フランジ部111Bと、拡径した筒部111Aとにより、ステー102の締結面102Aが挟持される。また、ボルト120の頭部120Aと、拡径した筒部111Aとにより、フットディフレクター90とステー102が挟持される。これにより、フットディフレクター90が着脱可能にステー102に支持される。拡径した筒部(大径部分)111Aは、離脱孔110Bの開口幅よりも小径となることが望ましい。
【0060】
同様に、風防ステー100のステー103や、アンダーカバー33のステー71D、71Eでも、着脱孔110には、ウェルナット111やワッシャ112、ボルト120が用いられて、フットディフレクター80、90が着脱可能に支持される。
【0061】
鞍乗り型車両10の走行時には、走行風が流れるが、本実施の形態では走行風がフットディフレクター80、90で車幅方向外側に散らされ易く、乗員の足が走行風から保護され易くなっている。
また、鞍乗り型車両10の走行時に、地面等から飛散する砂などが乗員の足に向かおうとしてもフットディフレクター80、90により、乗員の足を保護できる。
よって、本実施の形態のように、エンジン12のクランクケース23の側方を覆う車体カバー30が無い鞍乗り型車両10においても、簡単にフットディフレクター90を設置することができ、効果的に乗員への風当たりを軽減できる。
【0062】
ここで、フットディフレクター80、90が車体の外方から力を受ける場合がある。このとき、着脱孔110では、ウェルナット111が弾性変形するなどして、ボルト120の向きや着脱孔110の形状などにより、ボルト120およびウェルナット111が装着孔110Aから車体内側の離脱孔110Bに移動できる。また、ボルト120およびウェルナット111が、離脱孔110Bに移動すると、ウェルナット111が離脱孔110Bから離脱し易い。よって、フットディフレクター80、90が車体の外方から力を受けても、力を逃がし易くなっている。
【0063】
特に、本実施の形態ではワッシャ112を配置することにより、ゴム製のフランジ部111Bがステー71E、71F、102、103の締結面71E1、71F1、102A、103Aに直接接触し難くて摺動抵抗が少なくなっており、力が作用した場合にはボルト120およびウェルナット111を適切に移動させ易くなっている。なお、本実施の形態おいては、ワッシャ112を設けているが、ワッシャ112を設けずにフットディフレクター80、90を支持してもよい。
【0064】
なお、フットディフレクター80、90は、前面部82、92では固定されており、外側面部81、91で離脱しても、フットディフレクター80、90が車体に確実に保持され易くなっている。
【0065】
図19は、
図4から接続カバー46が省略された場合の鞍乗り型車両10の左側面図である。
図20は、
図19からサイドカバー32の図示を省略した図である。
ラジエータ39は、車幅方向に延びる矩形板状に形成されている。ラジエータ39は、ダウンフレーム19c(
図1参照)の前方に配置される。ラジエータ39は、左側のサイドカバー32と右側のサイドカバー32との間に位置する。ラジエータ39は、車幅方向に延びる矩形状のコア39Aと、コア39Aの左側に設けられた左側のタンク39Bと、コア39Aの右側に設けられた右側のタンク39Cと、を備える。
【0066】
冷却水は、クランクケース23に設けられたウォーターポンプ(不図示)によって圧送され、エンジン12とラジエータ39との間を循環する。エンジン12を冷却して昇温した冷却水はラジエータホース51で左側のタンク39Bに流入し、ラジエータ39のコア39Aで走行風により冷却されたる。コア39Aで冷却された冷却水は、右側のタンク39Cから流出して、ラジエータホース52(
図15参照)でエンジン12に送られ、エンジン12を冷却してラジエータ39に戻り、これを繰り返す。
【0067】
本実施の形態のラジエータ39は、ラジエータシュラウド60を介してダウンフレーム19c(
図1参照)に支持される。
ラジエータシュラウド60は、ラジエータ39のコア39Aの後方に位置して、ラジエータ39の排風を導風する部材である。
ラジエータシュラウド60は、ラジエータ39の左面を覆う左側の側壁部65と、ラジエータ39の右面を覆う右側の側壁部(不図示)と、を有する。
【0068】
側壁部65は、側面視では、後方に進むに連れて上下幅が狭くなる三角板状である。側壁部65は、ラジエータ39の側面を車幅方向外側から覆う。側壁部65は、車幅方向内側の排風ガイド部61Dから離間しており、側壁部65と排風ガイド部61Dとの間にはラジエータファン(不図示)からの排風が通過可能である。排風は排風ガイド部61Dで車幅方向外側にガイドされ、排風口61Eから排風される。
側壁部65の後部には、厚み方向に貫通するカバー係合孔65Aが形成されている。カバー係合孔65Aは、上下方向沿って延びている。カバー係合孔65Aの上下には、カバー固定孔65Bが形成されている。カバー係合孔65Aには、サイドカバー32が係合する。
【0069】
図19に示すように、サイドカバー32は、シート17から前方に向かって延出している。サイドカバー32は、燃料タンク29およびシート17の前部下方を側方から覆う。
サイドカバー32の前端部には、側面視で、略S字状に延びる突出部32Aが形成されている。突出部32Aは、上端から前下がりに延びる上部32Bと、上部32Bの下端から後下がりに延びる中間部32Cと、中間部32Cの下端から前下がりに延出する延出部32Dと、を備える。中間部32Cの下端は、側面視では、ラジエータホース51の位置まで延びている。延出部32Dは、ラジエータ39のラジエータシュラウド60の後方に沿って延びている。
【0070】
延出部32Dの前端には、上方に延びる第一接続部32Eが形成されている。第一接続部32Eは、板状の係合部32E1を備える。係合部32E1の車幅方向内面には、車幅方向内側に突出する係合部本体(不図示)が形成されている。この係合部本体は、ラジエータシュラウド60の側壁部65のカバー係合孔65Aに係合し、係合部32E1の上下が、ラジエータシュラウド60のカバー固定孔65Bに固定具132で固定される。
【0071】
サイドカバー32は、燃料タンク29の係合部29A、29Bにも係合する。また、サイドカバー32は、アンダーカバー33に支持された左側のフットディフレクター80の上端に設けられたカバー係合部82Cなどにも係合する。
サイドカバー32は、ラジエータシュラウド60、フットディフレクター80、燃料タンク29などを介して、車体フレーム11に支持される。
【0072】
第一接続部32Eの上端には、第一接続部32Eの上端と、延出部32Dの上端と、を接続する第二接続部32Fが形成されている。第一接続部32Eと、第二接続部32Fと、延出部32Dとに囲まれた開口形状によりカバー排風部32Gが形成されている。カバー排風部32Gを横切るようにして、第一接続部32Eと延出部32Dとの間には、前後方向に延びるルーバー部32Hが複数設けられている。
カバー排風部32Gは、側面視で、ラジエータ39の排風口61Eに重複している。ラジエータ39の排風口61Eからの排風は、カバー排風部32Gを通じて、車体カバー30の外側に排出される。
【0073】
サイドカバー32には、係合部32M、32Nが形成されている。係合部32M、32Nには、フロントサイドカウル43(
図3参照)が係合する。
フロントサイドカウル43は、
図3に示すように、突出部32Aの上部32B、中間部32C、そして、第二接続部32Fに沿って、サイドカバー32と接続される。
また、フロントサイドカウル43は、フロントロアーカウル44の上縁と接続される。フロントロアーカウル44は、サイドカバー32の第一接続部32Eの前方を覆う。
車体カバー30は、フロントサイドカウル43と、フロントロアーカウル44と、サイドカバー32の突出部32Aの延出部32Dとの囲み形状で、カバー排風部32Gのための開口を形成している。
【0074】
ここで、突出部32Aは、
図2、
図12に示すように、フロントサイドカウル43よりも車幅方向に突出した部位を有し、底面視で、突出部32Aはハンドル21に重複する。よって、カバー排風部32Gからの排風が突出部32Aでガイドされ易くなっている。
【0075】
以上説明したように、本発明を適用した本実施の形態によれば、エンジン12のクランクケースカバー23Aが露出する鞍乗り型車両10において、乗員の足前方に位置するフットディフレクター90を備え、該フットディフレクター90は、エンジン12のクランクケース23のクランクケースカバー23Aに位置し、クランクケース23のみに支持される。したがって、エンジン12の側方を覆う車体カバー30が無い鞍乗り型車両10においても、簡単にフットディフレクター90を設置することができ、効果的に乗員への風当たりを軽減できる。
【0076】
本実施の形態では、フットディフレクター90は、クランクケースカバー23Aに設けられる風防ステー100を介して支持される。したがって、車体カバー30を有さない鞍乗り型車両10でも簡単にフットディフレクター90を設置することができる。
【0077】
また、本実施の形態では、フットディフレクター90は、外側面部91の一部が風防ステー100に着脱可能に支持される。したがって、フットディフレクター90が外力を受けた場合にフットディフレクター90の一部を離脱させることができ、フットディフレクター90が受ける力を逃がし易くできる。
【0078】
また、本実施の形態では、風防ステー100には、フットディフレクター90がボルト120を介して着脱可能に支持される開口状の着脱孔110が設けられ、着脱孔110は、装着孔110Aと、装着孔110Aと連続的な開口形状を形成し且つ装着孔110Aよりも開口幅が大きい離脱孔110Bと、を備え、ボルト120が装着孔110Aに挿通された状態で、ボルト120に、離脱孔110Bを通過可能で且つ装着孔110Aよりも大きいウェルナット111が支持されることでフットディフレクター90が支持される。したがって、ボルト120が装着孔110Aから離脱孔110Bに移動することで、ウェルナット111が対応する固定部材が離脱孔110Bを通過可能となり、フットディフレクター90が外力を受けた場合に風防の一部を離脱させることができる。
【0079】
また、本実施の形態では、固定部材は、ウェルナット111である。したがって、固定部材を簡単に設置して組付けができるとともに、固定部材としてのウェルナット111が弾性変形可能であるため、フットディフレクター90に外力が作用した場合に、ボルト120を離脱孔110Bに移動させ易くできる。
【0080】
[他の実施の形態]
上述した実施の形態は、あくまでも本発明の一態様を示すものであり、本発明の主旨を逸脱しない範囲で任意に変形及び応用が可能である。
【0081】
上記実施の形態では、アンダーカバー33を介して車体フレーム11に支持されるフットディフレクター80が、サイドカバー32に係合する構成を説明したが、フットディフレクター80が、フロントカウル31、例えば、フロントサイドカウル43に係合してもよい。
【0082】
上記実施の形態では、風防ステー100を介してエンジン12に支持されるフットディフレクター90は、サイドカバー32に係合しない構成を説明したが、エンジン12に支持されるフットディフレクター90もサイドカバー32や、フロントカウル31に係合する構成でもよい。すなわち、フロントカウル31とフロントカウル31に接続されるサイドカバー32を備え、フットディフレクター90は、車体カバー30のフロントカウル31またはサイドカバー32と係合してもよい。この構成によれば、フットディフレクター90と車体カバー30に一体感を持たせることができる。
【0083】
上記実施の形態では、鞍乗り型車両10として前輪13と後輪15とを有する自動二輪車を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、本発明は、前輪または後輪を2つ備えた3輪の鞍乗り型車両や4輪以上を備えた鞍乗り型車両に適用可能である。
【0084】
[上記実施の形態によりサポートされる構成]
上記実施の形態は、以下の構成をサポートする。
【0085】
(構成1)少なくともエンジンの側面の一部が露出する鞍乗り型車両において、乗員の足前方に位置する風防を備え、該風防は、エンジンのクランクケースの側面に位置し、前記クランクケースのみに支持されることを特徴とする鞍乗り型車両。
この構成によれば、エンジンの側方を覆うカウルが無い鞍乗り型車両においても、簡単に風防を設置することができ、効果的に乗員への風当たりを軽減できる。
【0086】
(構成2)前記風防は、前記クランクケースの側面に設けられる風防ステーを介して支持されることを特徴とする構成1に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、カウルを有さない鞍乗り型車両でも簡単に風防を設置することができる。
【0087】
(構成3)前記風防は、前記風防ステーに一部が着脱可能に支持されることを特徴とする構成1又は2に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、風防が外力を受けた場合に風防の一部を離脱させることができ、風防が受ける力を逃がし易くできる。
【0088】
(構成4)前記風防ステーには、前記風防が軸部材を介して着脱可能に支持される開口状の着脱孔が設けられ、前記着脱孔は、装着孔と、前記装着孔と連続的な開口形状を形成し且つ前記装着孔よりも開口幅が大きい離脱孔と、を備え、前記軸部材が前記装着孔に挿通された状態で、前記軸部材に、前記離脱孔を通過可能で且つ前記装着孔よりも大きい固定部材が支持されることで前記風防が支持されることを特徴とする構成3に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、軸部材が装着孔から離脱孔に移動することで、固定部材が離脱孔を通過可能となり、風防が外力を受けた場合に風防の一部を離脱させることができる。
【0089】
(構成5)前記固定部材は、ウェルナットであることを特徴とする構成4に記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、固定部材を簡単に設置して組付けができるとともにウェルナットが弾性変形可能であるため、風防に外力が作用した場合に、軸部材を離脱孔に移動させ易くできる。
【0090】
(構成6)フロントカウルと前記フロントカウルに接続されるサイドカバーを備え、前記風防は、前記フロントカウルもしくは前記サイドカバーと係合することを特徴とする構成1乃至5のいずれかに記載の鞍乗り型車両。
この構成によれば、風防と車体カバーに一体感を持たせることができる。
【符号の説明】
【0091】
10 鞍乗り型車両
12 エンジン(パワーユニット)
23 クランクケース
23A クランクケースカバー(側面)
31 フロントカウル
32 サイドカバー
90 フットディフレクター(風防)
100 風防ステー
110 着脱孔
110A 装着孔
110B 離脱孔
111 ウェルナット(固定部材)
120 ボルト(軸部材)