(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157834
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】砂型中子および砂型中子の製造方法
(51)【国際特許分類】
B22C 9/10 20060101AFI20221006BHJP
B33Y 10/00 20150101ALI20221006BHJP
B33Y 40/20 20200101ALI20221006BHJP
【FI】
B22C9/10 C
B22C9/10 E
B33Y10/00
B33Y40/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021062289
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】ファン カンスン
(72)【発明者】
【氏名】岡田 郁生
(72)【発明者】
【氏名】久保 翔史
(72)【発明者】
【氏名】池田 宇章
(72)【発明者】
【氏名】西村 大輔
【テーマコード(参考)】
4E093
【Fターム(参考)】
4E093QA01
4E093QC02
(57)【要約】
【課題】高い強度を有し、且つ大型の鋳造品の鋳造に用いることができる砂型中子およびその砂型中子の製造方法を提供することを目的とする。
【解決手段】接合された複数の砂型中子分割体と、パイプと、鋳砂と、を備え、複数の前記砂型中子分割体はそれぞれ孔部を有し、接合された複数の前記砂型中子分割体の互いに連通する前記孔部には、内外を貫通する複数の貫通孔を有する前記パイプが挿入され、前記パイプには前記鋳砂が充填されている、砂型中子。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
接合された複数の砂型中子分割体と、パイプと、鋳砂と、を備え、
複数の前記砂型中子分割体はそれぞれ孔部を有し、
接合された複数の前記砂型中子分割体の互いに連通する前記孔部には、内外を貫通する複数の貫通孔を有する前記パイプが挿入され、
前記パイプには前記鋳砂が充填されている、砂型中子。
【請求項2】
前記孔部内面と前記パイプ外面との間に前記鋳砂が充填されている、請求項1に記載の砂型中子。
【請求項3】
前記パイプの前記貫通孔が、前記パイプの軸方向にわたって等間隔で形成されている、請求項1または2に記載の砂型中子。
【請求項4】
鋳砂を用いた積層造形によって、それぞれが孔部を有する複数の砂型中子分割体を成型する成型工程と、
複数の前記砂型中子分割体の前記孔部が連通するように、前記砂型中子分割体を接合する接合工程と、
接合された複数の前記砂型中子分割体の互いに連通する孔部に、内外を貫通する複数の貫通孔を有するパイプを挿入する挿入工程と、
前記パイプ内に鋳砂を供給する鋳砂供給工程と、を含む砂型中子の製造方法。
【請求項5】
前記鋳砂供給工程では、前記パイプ外面と前記孔部内面との間に前記鋳砂が充填されるまで、前記パイプ内に前記鋳砂を供給する、請求項4に記載の砂型中子の製造方法。
【請求項6】
前記成型工程では、鋳砂を用いた積層造形によって、それぞれが孔部、凹部および凸部を有する複数の砂型中子分割体を成型し、
前記接合工程では、前記凹部に前記凸部を挿入することで、複数の前記砂型中子分割体の前記孔部が連通するように、前記砂型中子分割体を接合する、請求項4または5に記載の砂型中子の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、砂型中子および砂型中子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
砂型中子の製造方法として、例えば、型を利用する方法および三次元造形機を用いる方法がある。型を用いる方法では、芯金を木型または発泡スチロール型にセットし、鋳砂をこれらの型に投入して固めることで砂型中子を製造する。この方法では、木型または発泡スチロール型の製作に多くの時間を要する場合がある。
【0003】
三次元造形機を用いる方法では、鋳砂と鋳砂を結着させる粘結剤とを混合した材料に、インクジェットヘッドにより結合剤溶液をかけて一層ずつ積層することで、砂型中子を積層造形する。三次元造形機を用いる方法によれば製作時間を短縮することができるが、芯金を組み込んで砂型中子を製造することができない。そのため、砂型中子の強度が不十分となる場合がある。また、三次元造形機の大きさにより、積層造形できる砂型中子の大きさに限界がある。そのため、積層造形により製造された砂型中子を大型の鋳造品の鋳造に用いることができない場合がある。
【0004】
特許文献1には、隣接する部材と嵌合可能な主型用部分型を組み合わせた主型と、隣接する部材と嵌合可能な中子造形型用部分型を組み合わせて形成されると共に、前記主型と同一形状である主型相当部と、該主型相当部の前記主型のキャビティ部に相当する領域に位置し、鋳物と同一の肉厚に形成された鋳物相当部とを有する中子造形型とを用いる鋳物の製造方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、中子の強度が十分でなく、また、より大型の鋳造品の鋳造に用いることができない。
【0007】
本開示は、上記課題を解決するためになされたものであって、高い強度を有し、且つ大型の鋳造品の鋳造に用いることができる砂型中子およびその砂型中子の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示に係る砂型中子は、接合された複数の砂型中子分割体と、パイプと、鋳砂と、を備え、複数の前記砂型中子分割体はそれぞれ孔部を有し、接合された複数の前記砂型中子分割体の互いに連通する前記孔部には、内外を貫通する複数の貫通孔を有する前記パイプが挿入され、前記パイプには前記鋳砂が充填されている。
【0009】
本開示に係る砂型中子の製造方法は、鋳砂を用いた積層造形によって、それぞれが孔部を有する複数の砂型中子分割体を成型する成型工程と、複数の前記砂型中子分割体の前記孔部が連通するように、前記砂型中子分割体を接合する接合工程と、接合された複数の前記砂型中子分割体の互いに連通する孔部に、内外を貫通する複数の貫通孔を有するパイプを挿入する挿入工程と、前記パイプ内に鋳砂を供給する鋳砂供給工程と、を含む。
【発明の効果】
【0010】
本開示の砂型中子およびその砂型中子の製造方法によれば、高い強度を有し、且つ大型の鋳造品の鋳造に用いることができる砂型中子およびその砂型中子の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の実施形態に係る砂型中子を示す図である。
【
図2a】本開示の実施形態に係る砂型中子分割体を示す図である。
【
図2b】本開示の実施形態に係る砂型中子分割体の側面図である。
【
図3】本開示の実施形態に係る砂型中子の孔部付近の拡大断面図である。
【
図4】本開示の実施形態に係る砂型中子の製造方法の挿入工程を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態に係る砂型中子および砂型中子の製造方法について、
図1~
図4を参照して説明する。まず、本開示の実施形態に係る砂型中子について説明する。
【0013】
(砂型中子10の構成)
図1に示すように、本開示の実施形態に係る砂型中子10は、複数の砂型中子分割体1と、パイプ5と、図示しない鋳砂と、を備える。
【0014】
(砂型中子分割体)
図2aおよび
図2bに示すように、複数(本実施形態では二つ)の砂型中子分割体1は、それぞれ円筒形状をなしている。これら砂型中子分割体1は、軸方向に配列されている。これら砂型中子分割体1は、それぞれの軸方向の端面同士が当接している。砂型中子分割体1は、鋳砂を用いた積層造形によって製造されている。砂型中子分割体1は、円筒形状を有し、その大きさは積層造形を行う三次元造形機の大きさに制限される。
【0015】
(孔部)
砂型中子分割体1の内部には中空部としての孔部2が形成されている。孔部2は、砂型中子分割体1の軸方向と平行な方向に、軸方向の全部にわたって形成されている。即ち、孔部2は、各砂型中子分割体1の両端面にわたって該砂型中子分割体1を軸方向に貫通するように形成されている。孔部2の直径は、後述のパイプ5を孔部2に挿入した際に、孔部2内面とパイプ5外面との間に鋳砂が供給される隙間ができる大きさとされている。
【0016】
各砂型中子分割体1には、これら砂型中子分割体1を互いに連結する構造として、凹部3及び凸部4がされている。
【0017】
(凹部)
砂型中子分割体1の凹部3は、砂型中子分割体1の一方の端面に形成される。凹部3は、周方向に間隔をあけて複数(本実施形態では3つ)が形成されている。即ち、凹部3は、砂型中子分割体1の周方向に120℃間隔で形成されている。各凹部は、砂型中子分割体1の一方の端面から円柱状に凹むように形成されている。これらの凹部3は、後述の凸部4を凹部3に挿入した場合に、複数の砂型中子分割体1の孔部2が連通する位置に形成されている。凹部3の深さおよび直径は、後述の凸部4と互いに固定される範囲に設定される。
【0018】
(凸部)
砂型中子分割体1の凸部4は、砂型中子分割体1の他方の面に、上記凹部3と同数の複数(本実施形態では3つ)が形成されている。3つの凸部4は、円柱形状を有し、砂型中子分割体1に間隔をあけて複数形成されている。即ち、各凸部4は、周方向に120℃間隔で形成されている。これらの凸部4は、凸部4を上述の凹部3に挿入した場合に、複数の砂型中子分割体1の孔部2が連通する位置に形成されている。凸部4の高さおよび直径は、上述の凹部3と互いに固定される範囲に設定されている。
【0019】
(パイプ)
図3に示すように、本開示の実施形態に係る砂型中子10のパイプ5は、互いに連結された複数の砂型中子分割体1の孔部2内で、即ち、互いに連通された複数の孔部2内で、これら複数の砂型中子分割体1の軸方向にわたって延びている。パイプ5は、軸方向にわたって中空構造とされている。
パイプ5は、内外を貫通する複数の貫通孔6を有している。各貫通孔6は、軸方向に等間隔をあけて配置されている。各貫通孔6は、さらに周方向に間隔をあけて配置されていてもよい。各貫通孔6は、軸方向を長手方向とする長孔状とされている。本実施形態では、軸方向を長手方向とする矩形状をなしている。
【0020】
(鋳砂)
鋳砂は、孔部2に挿入されたパイプ5内に充填されている。鋳砂は、自硬性を有する。パイプ5外面と孔部2内面との間にも、パイプ5の貫通孔6からあふれた鋳砂が充填されている。即ち、砂型中子分割体1の内周面(孔部2の内周面)とパイプ5の外周面との間にも鋳砂が充填されている。
【0021】
(作用効果)
上記構成の砂型中子10は、複数の砂型中子分割体1を接合して形成されているため、積層造形により製造した単独の砂型中子よりもサイズが大きい。そのため、上記構成の砂型中子10は、大型の鋳造品の鋳造に用いることができる。
【0022】
また、上記構成の砂型中子10は、複数の砂型中子分割体1の孔部2にパイプ5が挿入されており、且つパイプ5内には鋳砂が充填されているため、高い強度を有する。そのため、運搬中または鋳造中の砂型中子10が破損することを抑制することができる。
【0023】
また、上記構成の砂型中子10は、パイプ5内のみならず、パイプ5外面と孔部2内面との間にも鋳砂が充填されている。そのため、パイプ5と砂型中子分割体1との接合強度を高めることができ、砂型中子10の強度をより高めることができる。
【0024】
また、上記構成の砂型中子10は、パイプ5の貫通孔6が、パイプ5の軸方向にわたって等間隔で形成されている。そのため、パイプ5内に鋳砂を供給した際に、パイプ5外面と砂型中子分割体1の孔部2内面との間に、より均一に鋳砂を供給することができる。その結果、パイプ5と砂型中子分割体1との接合強度をより高めることができ、砂型中子10の強度をより一層高めることができる。
【0025】
(砂型中子10の製造方法)
以下、本開示の実施形態に係る砂型中子10の製造方法について説明する。
本開示の実施形態に係る砂型中子10の製造方法は、成型工程と、接合工程と、挿入工程と、鋳砂供給工程と、を含む。
【0026】
(成型工程)
成型工程では、鋳砂を用いた積層造形によって、それぞれが孔部2を有する複数の砂型中子分割体1を成型する。それぞれの砂型中子分割体1には、孔部2に加えて、凹部3および凸部4が形成される。
【0027】
(接合工程)
接合工程では、一方の砂型中子分割体1の凹部3に、他方の砂型中子分割体1の凸部4を挿入することで、複数の砂型中子分割体1の孔部2が連通するように、砂型中子分割体1を接合する。砂型中子分割体1の接合には、砂型中子分割体1の端面に接着剤を塗布する方法を用いることができる。
【0028】
(挿入工程)
挿入工程では、
図4に示すように、接合された複数の砂型中子分割体1の互いに連通する孔部2に、内外を貫通する複数の貫通孔6(
図4では不図示)を有するパイプ5を挿入する。
【0029】
(鋳砂供給工程)
鋳砂供給工程では、パイプ5内に鋳砂を供給する。パイプ5内に供給された鋳砂は、パイプ5内に充填されると共に、パイプ5に形成された貫通孔6から鋳砂があふれることで、パイプ5外面と砂型中子分割体1の孔部2内面との間にも充填される。
【0030】
(作用効果)
上記構成の砂型中子10の製造方法では、複数の砂型中子分割体1を接合して砂型中子10を製造するため、積層造形により製造した単独の砂型中子よりもサイズが大きい砂型中子10を製造することができる。そのため、大型の鋳造品の鋳造に用いることができる砂型中子10を製造することができる。
【0031】
また、上記構成の砂型中子10の製造方法は、複数の砂型中子分割体1の孔部2にパイプ5を挿入し、且つパイプ5内には鋳砂を充填するため、高い強度を有する砂型中子10を製造することができる。そのため、運搬中または鋳造中の破損が抑制された砂型中子10を製造することができる。
【0032】
また、上記構成の砂型中子10の製造方法は、鋳砂供給工程において、パイプ5内のみならず、パイプ5外面と砂型中子分割体1の孔部2内面との間にも鋳砂を供給するため、パイプ5と砂型中子分割体1との接合強度をより高めることができる。その結果、強度をより高めた砂型中子10を製造することができる。
【0033】
また、上記構成の砂型中子10の製造方法は、接合工程において、一方の砂型中子分割体1の凹部3に、他方の砂型中子分割体1の凸部4を挿入するため、容易に孔部2が連通するように砂型中子分割体1同士を接合することができる。
【0034】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施の形態に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0035】
なお、砂型中子10を構成する砂型中子分割体1の数は2に限定されず、3以上であってもよい。
【0036】
なお、砂型中子分割体1は、円筒形状でなくてもよく、例えば、多角柱形状であってもよい。また、砂型中子分割体1は、中空部としての孔部2を有する構造であればいかなる構造であってもよい。さらに、複数の砂型中子分割体1は、同形状でもあってもよいし、異なる形状であってもよい。複数の砂型中子分割体1は、それぞれに孔部2が形成されており、連結した際にこれら孔部2が連通される構造であればよい。
【0037】
なお、凹部3および凸部4の数はそれぞれ3つに限定されず、またそれらの形状は円柱形状に限定されない。即ち、凹部3及び凸部4の構造は、互いに隣り合う複数の砂型中子分割体1を連結できる構造であればいかなる構造であってもよい。
【0038】
なお、凹部3および凸部4は形成されていなくてもよい。凹部3および凸部4が形成されていない場合は、接合工程において、複数の砂型中子分割体1の孔部2が連通するように配置してから、接合すればよい。
【0039】
なお、パイプ5としては、例えば市販の配管用炭素鋼鋼管(SGP)、圧力配管用炭素鋼鋼管(STPG)、高圧配管用炭素鋼鋼管(STS)、高温配管用炭素鋼管(STPT)、配管用合金鋼鋼管(STPA)、配管用ステンレス鋼管等を用いることができる。
【0040】
なお、パイプ5の貫通孔6は、軸方向又は周方向に等間隔に形成されていなくてもよい。また、貫通孔6の形状は矩形状でなくともよく、多角形状、円形状であってもよい。さらに、貫通孔6は、軸方向に延びる長孔形状でなくともよい。
【0041】
なお、パイプ5外面と砂型中子分割体1の孔部2内面との間には、鋳砂が隙間無く充填されていなくてもよい。換言すると、パイプ5外面と砂型中子分割体1の孔部2内面との間には隙間があってもよい。
【0042】
なお、鋳砂としては、例えば樹脂、硬化剤および自硬性砂を混合したものが挙げられる。
【0043】
なお、鋳砂供給工程において、鋳砂はパイプ5の一方から供給してもよく、両方から供給してもよい。
【0044】
なお、本開示の実施形態に係る砂型中子10は、大型の鋳造品、例えば圧縮機や蒸気タービンのケーシング、ガスタービンの動翼や静翼の鋳造に好適に用いることができる。
【0045】
<付記>
各実施形態に記載の砂型中子10は、例えば以下のように把握される。
【0046】
第1の態様に係る砂型中子10は、接合された複数の砂型中子分割体1と、パイプ5と、鋳砂と、を備え、複数の前記砂型中子分割体1はそれぞれ孔部2を有し、接合された複数の前記砂型中子分割体1の互いに連通する前記孔部2には、内外を貫通する複数の貫通孔6を有する前記パイプ5が挿入され、前記パイプ5には前記鋳砂が充填されている。
【0047】
上記構成の砂型中子10は、積層造形により製造した単独の砂型中子よりもサイズが大きい。そのため、上記構成の砂型中子10は、大型の鋳造品の鋳造に用いることができる。
また、上記構成の砂型中子10は、高い強度を有するため、運搬中または鋳造中の砂型中子10が破損することを抑制することができる。
【0048】
第2の態様に係る砂型中子10は、前記孔部2内面と前記パイプ5外面との間に前記鋳砂が充填されている。
【0049】
上記構成の砂型中子10は、パイプ5と砂型中子分割体1との接合強度を高めることができ、砂型中子10の強度をより高めることができる。
【0050】
第3の態様に係る砂型中子10は、前記パイプ5の前記貫通孔6が、前記パイプ5の軸方向にわたって等間隔で形成されている。
【0051】
上記構成の砂型中子10は、パイプ5と砂型中子分割体1との接合強度をより高めることができ、砂型中子10の強度をより一層高めることができる。
【0052】
各実施形態に記載の砂型中子10の製造方法は、例えば以下のように把握される。
【0053】
第1の態様に係る砂型中子10の製造方法は、鋳砂を用いた積層造形によって、それぞれが孔部2を有する複数の砂型中子分割体1を成型する成型工程と、複数の前記砂型中子分割体1の前記孔部2が連通するように、前記砂型中子分割体1を接合する接合工程と、接合された複数の前記砂型中子分割体1の互いに連通する孔部2に、内外を貫通する複数の貫通孔6を有するパイプ5を挿入する挿入工程と、前記パイプ5内に鋳砂を供給する鋳砂供給工程と、を含む。
【0054】
上記構成の砂型中子10の製造方法では、積層造形により製造した単独の砂型中子よりもサイズが大きい砂型中子10を製造することができる。そのため、大型の鋳造品の鋳造に用いることができる砂型中子10を製造することができる。
また、上記構成の砂型中子10の製造方法は、高い強度を有する砂型中子10を製造することができる。そのため、運搬中または鋳造中の破損が抑制された砂型中子10を製造することができる。
【0055】
第2の態様に係る砂型中子10の製造方法は、前記鋳砂供給工程では、前記パイプ5外面と前記孔部2内面との間に前記鋳砂が充填されるまで、前記パイプ5内に前記鋳砂を供給する。
【0056】
上記構成の砂型中子10の製造方法は、パイプ5と砂型中子分割体1との接合強度を高めることができる。その結果、強度をより高めた砂型中子10を製造することができる。
【0057】
第3の態様に係る砂型中子10の製造方法は、前記成型工程では、鋳砂を用いた積層造形によって、それぞれが孔部2、凹部3および凸部4を有する複数の砂型中子分割体を成型し、前記接合工程では、前記凹部3に前記凸部4を挿入することで、複数の前記砂型中子分割体1の前記孔部2が連通するように、前記砂型中子分割体1を接合する。
【0058】
上記構成の砂型中子10の製造方法は、容易に孔部2が連通するように砂型中子分割体1同士を接合することができる。
【符号の説明】
【0059】
1…砂型中子分割体
2…孔部
3…凹部
4…凸部
5…パイプ
6…貫通孔
10…砂型中子