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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157871
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】内燃機関
(51)【国際特許分類】
F01P 3/02 20060101AFI20221006BHJP
【ＦＩ】
F01P3/02 T
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】ＯＬ
(21)【出願番号】P 2021062343
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】片岡 大
(72)【発明者】
【氏名】永田 渉
(72)【発明者】
【氏名】古谷 昌志
(72)【発明者】
【氏名】俵田 雄一
(72)【発明者】
【氏名】木原 照雄
(57)【要約】
【課題】燃焼室近傍を効率よく冷却できる内燃機関を提供する。
【解決手段】シリンダーブロック（２４ａ）とシリンダーヘッド（２４ｂ）からなり、シリンダーブロック（２４ａ）の側方にカムチェーン室（６６）を有する内燃機関において、前記カムチェーン室（６６）に該カムチェーン室（６６）を横切る梁部材（７７）を配置した。
【選択図】図４
【解決手段】シリンダーブロック（２４ａ）とシリンダーヘッド（２４ｂ）からなり、シリンダーブロック（２４ａ）の側方にカムチェーン室（６６）を有する内燃機関において、前記カムチェーン室（６６）に該カムチェーン室（６６）を横切る梁部材（７７）を配置した。
【選択図】図４
【特許請求の範囲】
【請求項1】
シリンダーブロック（２４ａ）とシリンダーヘッド（２４ｂ）からなり、シリンダーブロック（２４ａ）の側方にカムチェーン室（６６）を有する内燃機関において、
前記カムチェーン室（６６）に該カムチェーン室（６６）を横切る梁部材（７７）を配置したことを特徴とする内燃機関。
前記カムチェーン室（６６）に該カムチェーン室（６６）を横切る梁部材（７７）を配置したことを特徴とする内燃機関。
【請求項2】
前記梁部材（７７）が前記カムチェーン室（６６）に着脱可能に設けられることを特徴とする請求項１に記載の内燃機関。
【請求項3】
前記梁部材（７７）が側面視において前記シリンダーブロック（２４ａ）のシリンダー室（７１）と重なることを特徴とする請求項１又は２に記載の内燃機関。
【請求項4】
前記梁部材（７７）が前記シリンダーブロック（２４ａ）の断面において前記カムチェーン室（６６）と前記シリンダーブロック（２４ａ）のシリンダー室（７１）との間の薄肉になる部分（７８、７９）に設けられることを特徴とする請求項１乃至３の何れか一つに記載の内燃機関。
【請求項5】
前記梁部材（７７）が前記カムチェーン室（６６）に複数設けられることを特徴とする請求項１乃至４の何れか一つに記載の内燃機関。
【請求項6】
前記梁部材（７７）がカムチェーン（６１）の巻き掛け内に設けられることを特徴とする請求項１乃至５の何れか一つに記載の内燃機関。
【請求項7】
前記梁部材（７７）が前記カムチェーン室（６６）を往復するカムチェーンライン（Ｌ１、Ｌ２）の何れか一方寄りに設けられることを特徴とする請求項１乃至６の何れか一つに記載の内燃機関。
【請求項8】
前記梁部材（７７）がテンショナー（６３）と逆側のカムチェーンライン（Ｌ１）寄りに設けられることを特徴とする請求項７に記載の内燃機関。
【請求項9】
前記梁部材（７７）が前記シリンダーブロック（２４ａ）と前記シリンダーヘッド（２４ｂ）の合わせ面近傍に設けられることを特徴とする請求項１乃至８の何れか一つに記載の内燃機関。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内燃機関に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シリンダーブロックとシリンダーヘッドからなり、シリンダーブロックの側方にカムチェーン室を有する内燃機関が知られている（例えば、特許文献１）。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開２０１９－４３２０４号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この種の内燃機関においては、シリンダーヘッド内に形成された燃焼室近傍の高温領域における冷却性に課題がある。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、燃焼室近傍を効率よく冷却できる内燃機関を提供することを目的とする。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、燃焼室近傍を効率よく冷却できる内燃機関を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するため、本発明は、シリンダーブロックとシリンダーヘッドからなり、シリンダーブロックの側方にカムチェーン室を有する内燃機関において、前記カムチェーン室に該カムチェーン室を横切る梁部材を配置したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、カムチェーン室に該カムチェーン室を横切る梁部材を配置したから、シリンダーブロックの熱をシリンダー外部の熱で引くことができ、燃焼室近傍の高温領域の冷却を効率よく行える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。なお、説明中、前後左右および上下といった方向の記載は、特に記載がなければ車体に対する方向と同一とする。また、各図に示す符号ＦＲは車体前方を示し、符号ＵＰは車体上方を示し、符号ＬＨは車体左方を示す。
【0009】
［実施の形態］
図１は、本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両１０の側面図である。
鞍乗り型車両１０は、車体フレーム１１と、車体フレーム１１に支持されるパワーユニット１２と、前輪１３を操舵自在に支持するフロントフォーク１４と、後輪１５を支持するスイングアーム１６と、乗員用のシート１７とを備える車両である。
鞍乗り型車両１０は、乗員がシート１７に跨るようにして着座する車両である。シート１７は、車体フレーム１１の後部の上方に設けられる。
図１は、本発明の実施の形態に係る鞍乗り型車両１０の側面図である。
鞍乗り型車両１０は、車体フレーム１１と、車体フレーム１１に支持されるパワーユニット１２と、前輪１３を操舵自在に支持するフロントフォーク１４と、後輪１５を支持するスイングアーム１６と、乗員用のシート１７とを備える車両である。
鞍乗り型車両１０は、乗員がシート１７に跨るようにして着座する車両である。シート１７は、車体フレーム１１の後部の上方に設けられる。
【0010】
車体フレーム１１は、車体フレーム１１の前端部に設けられるヘッドパイプ１８と、ヘッドパイプ１８の後方に位置するフロントフレーム１９と、フロントフレーム１９の後方に位置するリアフレーム２０とを備える。フロントフレーム１９の前端部は、ヘッドパイプ１８に接続される。
シート１７は、リアフレーム２０に支持される。
シート１７は、リアフレーム２０に支持される。
【0011】
フロントフォーク１４は、ヘッドパイプ１８によって左右に操舵自在に支持される。前輪１３は、フロントフォーク１４の下端部に設けられる車軸１３ａに支持される。乗員が把持する操舵用のハンドル２１は、フロントフォーク１４の上端部に取り付けられる。
【0012】
スイングアーム１６は、車体フレーム１１に支持されるピボット軸２２に支持される。ピボット軸２２は、車幅方向に水平に延びる軸である。スイングアーム１６の前端部には、ピボット軸２２が挿通される。スイングアーム１６は、ピボット軸２２を中心に上下に揺動する。
後輪１５は、スイングアーム１６の後端部に設けられる車軸１５ａに支持される。
後輪１５は、スイングアーム１６の後端部に設けられる車軸１５ａに支持される。
【0013】
パワーユニット１２は、前輪１３と後輪１５との間に配置され、車体フレーム１１に支持される。
パワーユニット１２は、内燃機関である。パワーユニット１２は、クランクケース２３と、往復運動するピストンを収容するシリンダー部２４とを備える。シリンダー部２４の排気ポートには、排気装置２５が接続される。
パワーユニット１２の出力は、パワーユニット１２と後輪１５とを接続する駆動力伝達部材によって後輪１５に伝達される。
パワーユニット１２は、内燃機関である。パワーユニット１２は、クランクケース２３と、往復運動するピストンを収容するシリンダー部２４とを備える。シリンダー部２４の排気ポートには、排気装置２５が接続される。
パワーユニット１２の出力は、パワーユニット１２と後輪１５とを接続する駆動力伝達部材によって後輪１５に伝達される。
【0014】
また、鞍乗り型車両１０は、前輪１３を上方から覆うフロントフェンダー２６と、後輪１５を上方から覆うリアフェンダー２７と、乗員が足を載せるステップ２８と、パワーユニット１２が使用する燃料を蓄える燃料タンク２９とを備える。
フロントフェンダー２６は、フロントフォーク１４に取り付けられる。リアフェンダー２７及びステップ２８は、シート１７よりも下方に設けられる。燃料タンク２９は、車体フレーム１１に支持される。
フロントフェンダー２６は、フロントフォーク１４に取り付けられる。リアフェンダー２７及びステップ２８は、シート１７よりも下方に設けられる。燃料タンク２９は、車体フレーム１１に支持される。
【0015】
スイングアーム１６の後端には、クッション連結部１２６が設けられる、クッション連結部１２６と、リアフレーム２０の後端の連結部２０ａとの間には、リアクッション１２７が掛け渡される。
パワーユニット１２は、エアクリーナーボックス１２４と、吸気量を調整するスロットルボディ１２５とを備える。
エアクリーナーボックス１２４は、外側から取り入れた空気を浄化してスロットルボディ１２５に供給する。
パワーユニット１２は、エアクリーナーボックス１２４と、吸気量を調整するスロットルボディ１２５とを備える。
エアクリーナーボックス１２４は、外側から取り入れた空気を浄化してスロットルボディ１２５に供給する。
【0016】
図２は、パワーユニット１２の断面図である。
パワーユニット１２は、クランクケース２３とシリンダー部２４とを備える。シリンダー部２４は、シリンダーブロック２４ａとシリンダーヘッド２４ｂとを備える。シリンダーブロック２４ａの外面には、周方向に延びる複数の放熱フィン７３が設けられる。
クランクケース２３は、車幅方向（左右方向）に延びるクランク軸３０を収容するクランク室３１を備える。
クランク軸３０は、不図示のベアリングを介し、支持壁３１ａ，３１ｂに支持される。シリンダーブロック２４ａにはピストン３２が配置される。
ピストン３２は、コンロッド３３を介し、クランク軸３０のクランクピン３０ａに連結される。
パワーユニット１２は、クランクケース２３とシリンダー部２４とを備える。シリンダー部２４は、シリンダーブロック２４ａとシリンダーヘッド２４ｂとを備える。シリンダーブロック２４ａの外面には、周方向に延びる複数の放熱フィン７３が設けられる。
クランクケース２３は、車幅方向（左右方向）に延びるクランク軸３０を収容するクランク室３１を備える。
クランク軸３０は、不図示のベアリングを介し、支持壁３１ａ，３１ｂに支持される。シリンダーブロック２４ａにはピストン３２が配置される。
ピストン３２は、コンロッド３３を介し、クランク軸３０のクランクピン３０ａに連結される。
【0017】
クランク室３１の右側には発電機室３５が設けられる。発電機室３５内では、クランク軸３０に発電機３６が連結される。
クランク軸３０は発電機３６を貫通し、クランク軸３０の右端にはパワーユニット１２を空冷する送風装置８０が連結される。送風装置８０は、クランク軸３０と一体に回転する送風ファン８３と、送風ファン８３を外側から覆うファンカバー８４と、シリンダー部２４を覆うシリンダー部カバー８６とを備える。
シリンダー部カバー８６は、シリンダーブロック２４ａ及びシリンダーヘッド２４ｂを略全周に亘って覆う。
シリンダー部カバー８６とシリンダー部２４との間に形成される空間は、送風装置８０によって送られる気流Ｗが通る風路８８である。
クランク軸３０は発電機３６を貫通し、クランク軸３０の右端にはパワーユニット１２を空冷する送風装置８０が連結される。送風装置８０は、クランク軸３０と一体に回転する送風ファン８３と、送風ファン８３を外側から覆うファンカバー８４と、シリンダー部２４を覆うシリンダー部カバー８６とを備える。
シリンダー部カバー８６は、シリンダーブロック２４ａ及びシリンダーヘッド２４ｂを略全周に亘って覆う。
シリンダー部カバー８６とシリンダー部２４との間に形成される空間は、送風装置８０によって送られる気流Ｗが通る風路８８である。
【0018】
送風ファン８３は、クランク軸３０と一体に回転し、ファンカバー８４を通じて外側から空気を吸い込み、吸い込んだ空気を送風ファン８３の径方向外側に吹き出す。送風ファン８３が吹き出す気流Ｗは、風路８８を通ってシリンダーブロック２４ａ及びシリンダーヘッド２４ｂの周囲に到達し、シリンダーブロック２４ａ及びシリンダーヘッド２４ｂを強制的に冷却する。
風路８８の気流Ｗは、シリンダー部カバー８６に設けられる排出口（不図示）から外側に排出される。
風路８８の気流Ｗは、シリンダー部カバー８６に設けられる排出口（不図示）から外側に排出される。
【0019】
クランク室３１の左側には、変速機ケース部４０が設けられる。変速機ケース部４０は、クランク室３１から後輪１５の左側まで前後に延びる。
クランクケース２３の後部には、スイングアーム１６の反対側を後方に延びるサブアーム４２が接続される。後輪車軸１５ａは、スイングアーム１６及びサブアーム４２によって支持される。
クランクケース２３の後部には、スイングアーム１６の反対側を後方に延びるサブアーム４２が接続される。後輪車軸１５ａは、スイングアーム１６及びサブアーム４２によって支持される。
【0020】
変速機ケース部４０は、後輪１５の外側面に沿うように前後に延びるケース側壁部４０ａと、ケース側壁部４０ａの周縁部から車幅方向外側に延出するケース周壁部４０ｂとを備える。一方の支持壁３１ａは、ケース側壁部４０ａの前端部を構成する。ケース周壁部４０ｂによって区画される開放部４０ｃは、ケース周壁部４０ｂに固定されるケースカバー４１によって塞がれる。
スイングアーム１６は、変速機ケース部４０と ケースカバー４１とによって構成される。スイングアーム１６には、クランク軸３０の回転を変速して後輪１５側に伝達する変速機構４３と、遠心式のクラッチ機構４４と、複数のギヤで構成される減速機構４５とが設けられる。
クランク軸３０の駆動力は、変速機構４３、クラッチ機構４４、及び減速機構４５を介し、後輪１５に伝達される。
スイングアーム１６は、変速機ケース部４０と ケースカバー４１とによって構成される。スイングアーム１６には、クランク軸３０の回転を変速して後輪１５側に伝達する変速機構４３と、遠心式のクラッチ機構４４と、複数のギヤで構成される減速機構４５とが設けられる。
クランク軸３０の駆動力は、変速機構４３、クラッチ機構４４、及び減速機構４５を介し、後輪１５に伝達される。
【0021】
クランク軸３０の他端部には、変速機ケース部４０内に突出するプーリー支持軸部３０ｂが設けられる。変速機ケース部４０の後部には、プーリー支持軸部３０ｂと平行に配置される出力軸４７が設けられる。出力軸４７は、不図示のベアリングを介し、ケース側壁部４０ａに支持される。
【0022】
変速機構４３は、ベルト式の無段変速機４６と、遠心ファン４８とを備える。無段変速機４６は、プーリー支持軸部３０ｂに支持されるドライブプーリー５０、出力軸４７に支持されるドリブンプーリー５１、及び、ドライブプーリー５０とドリブンプーリー５１とを接続するＶベルト５２を備える。
ドライブプーリー５０は、円板状の固定プーリー片５０ａと、軸方向に移動可能な可動プーリー片５０ｂとを備える。
可動プーリー片５０ｂは、クランク軸３０の回転による遠心力によって移動するローラーウェイト（不図示 ）に押されて、軸方向に移動する。これにより、固定プーリー片５０ａと可動プーリー片５０ｂとの間隔が変化する。
ドライブプーリー５０は、円板状の固定プーリー片５０ａと、軸方向に移動可能な可動プーリー片５０ｂとを備える。
可動プーリー片５０ｂは、クランク軸３０の回転による遠心力によって移動するローラーウェイト（不図示 ）に押されて、軸方向に移動する。これにより、固定プーリー片５０ａと可動プーリー片５０ｂとの間隔が変化する。
【0023】
ドリブンプーリー５１は、出力軸４７の外周に回転自在に嵌合する外軸５１ａと、外軸５１ａ上に固定される固定プーリー片５１ｂと、外軸５１ａ上で軸方向に移動可能な可動プーリー片５１ｃとを備える。
可動プーリー片５１ｃは、ばね５１ｄによって固定プーリー片５１ｂ側に移動するように付勢されている。
可動プーリー片５１ｃは、ばね５１ｄによって固定プーリー片５１ｂ側に移動するように付勢されている。
【0024】
無段変速機４６の機能は、可動プーリー片５０ｂ及び可動プーリー片５１ｃが軸方向に変位することで、Ｖベルト５２に対するプーリー径が変化し、これにより、変速比が無段階で変更される。
【0025】
クラッチ機構４４は、ドリブンプーリー５１が回転すると、遠心力によって接続状態となり、ドリブンプーリー５１の回転を出力軸４７に伝達する。出力軸４７の回転は、減速機構４５を介して後輪車軸１５ａに伝達される。
遠心ファン４８は、ドライブプーリー５０の固定プーリー片５０ａの車幅方向の外側面に一体に設けられる。遠心ファン４８は、固定プーリー片５０ａの側面におけるケースカバー４１側の面に設けられる。
遠心ファン４８は、ドライブプーリー５０の固定プーリー片５０ａの車幅方向の外側面に一体に設けられる。遠心ファン４８は、固定プーリー片５０ａの側面におけるケースカバー４１側の面に設けられる。
【0026】
シリンダー部２４には、シリンダーヘッド２４ｂが配置される。シリンダーヘッド２４ｂは、ヘッドカバー２４ｃにより覆われる。ヘッドカバー２４ｃの内側には動弁室５４が形成され、動弁室５４には、動弁装置５５が設けられる。動弁装置５５は、吸気バルブ（不図示）と、排気バルブ（不図示）と、これら吸気バルブ及び排気バルブを駆動するカム軸５６とを備える。
パワーユニット１２は、クランク軸３０の回転によってカム軸５６を回転駆動する駆動力伝達構造６０を備える。
パワーユニット１２は、クランク軸３０の回転によってカム軸５６を回転駆動する駆動力伝達構造６０を備える。
【0027】
図３は、図２のＩＩＩ－ＩＩＩ断面図である。
駆動力伝達構造６０は、クランク軸３０と、カム軸５６と、各軸３０、５６の間に掛け渡される無端状のカムチェーン６１と、走行するカムチェーン６１を押圧してカムチェーン６１の張りを調整する押圧部材６２と、押圧部材６２をカムチェーン６１に押し付けるテンショナー６３とを備える。
クランク軸３０は、駆動歯車６４を備える。駆動歯車６４は、発電機室３５内においてクランク軸３０上に固定される。また、カム軸５６は、被動歯車６５を端部に備える。被動歯車６５は、駆動歯車６４よりも大径の歯車である。
カムチェーン６１は、内周部６１ａが駆動歯車６４及び被動歯車６５の歯部に噛み合う。カムチェーン６１は、無端状のベルトでもよい。
駆動力伝達構造６０は、クランク軸３０と、カム軸５６と、各軸３０、５６の間に掛け渡される無端状のカムチェーン６１と、走行するカムチェーン６１を押圧してカムチェーン６１の張りを調整する押圧部材６２と、押圧部材６２をカムチェーン６１に押し付けるテンショナー６３とを備える。
クランク軸３０は、駆動歯車６４を備える。駆動歯車６４は、発電機室３５内においてクランク軸３０上に固定される。また、カム軸５６は、被動歯車６５を端部に備える。被動歯車６５は、駆動歯車６４よりも大径の歯車である。
カムチェーン６１は、内周部６１ａが駆動歯車６４及び被動歯車６５の歯部に噛み合う。カムチェーン６１は、無端状のベルトでもよい。
【0028】
シリンダー部２４の壁内には、図２、図３に示すように、カムチェーン６１を収容するカムチェーン室６６が設けられる。
カムチェーン室６６は、発電機室３５と動弁室５４とを連通し、ピストン３２の側方を通ってシリンダー軸線２３ｄの軸方向に延びる。
カムチェーン６１は、発電機室３５で駆動歯車６４に接続され、カムチェーン室６６を通って動弁室５４に入り、動弁室５４で被動歯車６５に接続される。
カムチェーン室６６は、発電機室３５と動弁室５４とを連通し、ピストン３２の側方を通ってシリンダー軸線２３ｄの軸方向に延びる。
カムチェーン６１は、発電機室３５で駆動歯車６４に接続され、カムチェーン室６６を通って動弁室５４に入り、動弁室５４で被動歯車６５に接続される。
【0029】
パワーユニット１２の運転時において、駆動歯車６４の回転方向Ｒは、図３中の反時計回り方向である。このため、カムチェーン６１には、駆動歯車６４によって引っ張られる方向に力を受ける第１区間部６７と、被動歯車６５によって引っ張られる方向に力を受ける第２区間部６８とが存在する。
第１区間部６７は、駆動歯車６４及び被動歯車６５の下方の部分であり、 第２区間部６８は、駆動歯車６４及び被動歯車６５の上方の部分である。カムチェーン６１の走行方向Ｄは略水平方向である。
第１区間部６７は、駆動歯車６４及び被動歯車６５の下方の部分であり、 第２区間部６８は、駆動歯車６４及び被動歯車６５の上方の部分である。カムチェーン６１の走行方向Ｄは略水平方向である。
【0030】
カムチェーン室６６には、第１区間部６７をガイドするスライダー６９が設けられる。スライダー６９は、第１区間部６７においてカムチェーン６１の外周部６１ｂに摺接する。 スライダー６９は、パワーユニット１２の壁の内面に固定される。
スライダー６９には、第１区間部６７の外周部６１ｂに摺接する摺接面６９ａが設けられる。摺接面６９ａは凹状に形成され、第１区間部６７は、摺接面６９ａの凹状部にガイドされて走行する。
スライダー６９には、第１区間部６７の外周部６１ｂに摺接する摺接面６９ａが設けられる。摺接面６９ａは凹状に形成され、第１区間部６７は、摺接面６９ａの凹状部にガイドされて走行する。
【0031】
テンショナー６３は、ピン状の押圧部６３ａと、押圧部６３ａを押圧部材６２に向けて付勢するばね（不図示）とを備える。
押圧部材６２は、シリンダー軸線２３ｄに沿って前後方向に延伸し、一端部６２ａは発電機室３５に配置される。押圧部材６２の他端部６２ｂは、シリンダーヘッド２４ｂ内において被動歯車６５の近傍に位置する。
押圧部材６２は、シリンダー軸線２３ｄに沿って前後方向に延伸し、一端部６２ａは発電機室３５に配置される。押圧部材６２の他端部６２ｂは、シリンダーヘッド２４ｂ内において被動歯車６５の近傍に位置する。
【0032】
図４は、シリンダーブロック２４ａの斜視図、図５は、同平面図である。
シリンダーブロック２４ａは、ピストン３２が摺動するシリンダー室７１を備える。シリンダー室７１の側方にはカムチェーン室６６が設けられる。
カムチェーン室６６はシリンダーブロック２４ａの壁内に形成される。カムチェーン室６６は、断面視で縦長に形成される。カムチェーン室６６は、シリンダー室７１側の内壁６６Ａと、内壁６６Ａに対向する外壁６６Ｂと、内壁６６Ａと外壁６６Ｂとをつなぐ一対の端壁６６Ｃ、６６Ｄとにより囲われる。
一対の端壁６６Ｃ、６６Ｄと外壁６６Ｂとは、送風装置８０からの気流Ｗが通る風路８８（図２参照）内に位置する。
シリンダー室７１の外周面には、周方向に延びる複数の放熱フィン７３と、シリンダー軸線２３ｄの軸方向に延びる複数の放熱フィン７４と、が設けられる。
シリンダーブロック２４ａは、ピストン３２が摺動するシリンダー室７１を備える。シリンダー室７１の側方にはカムチェーン室６６が設けられる。
カムチェーン室６６はシリンダーブロック２４ａの壁内に形成される。カムチェーン室６６は、断面視で縦長に形成される。カムチェーン室６６は、シリンダー室７１側の内壁６６Ａと、内壁６６Ａに対向する外壁６６Ｂと、内壁６６Ａと外壁６６Ｂとをつなぐ一対の端壁６６Ｃ、６６Ｄとにより囲われる。
一対の端壁６６Ｃ、６６Ｄと外壁６６Ｂとは、送風装置８０からの気流Ｗが通る風路８８（図２参照）内に位置する。
シリンダー室７１の外周面には、周方向に延びる複数の放熱フィン７３と、シリンダー軸線２３ｄの軸方向に延びる複数の放熱フィン７４と、が設けられる。
【0033】
本実施の形態では、シリンダーブロック２４ａのカムチェーン室６６には、カムチェーン室６６を横切るように、梁部材７７が配置される。梁部材７７は金属製の中実板状であり、一様の幅、高さで延び、概略立方体である。
梁部材７７は伝熱部材であって、内壁６６Ａと外壁６６Ｂを熱的につなぐように、内壁６６Ａと外壁６６Ｂとの間に掛け渡される。
本実施の形態では、外壁６６Ｂが、風路８８（図２参照）内に位置するため、外壁６６Ｂが気流Ｗにより強制冷却される。したがって、カムチェーン室６６を横切る梁部材７７が、内壁６６Ａから外壁６６Ｂに熱をより引きやすくなり、シリンダーブロック２４ａの熱をシリンダー外部の熱で引くことができる。
梁部材７７は伝熱部材であって、内壁６６Ａと外壁６６Ｂを熱的につなぐように、内壁６６Ａと外壁６６Ｂとの間に掛け渡される。
本実施の形態では、外壁６６Ｂが、風路８８（図２参照）内に位置するため、外壁６６Ｂが気流Ｗにより強制冷却される。したがって、カムチェーン室６６を横切る梁部材７７が、内壁６６Ａから外壁６６Ｂに熱をより引きやすくなり、シリンダーブロック２４ａの熱をシリンダー外部の熱で引くことができる。
【0034】
梁部材７７は、シリンダーブロック２４ａの外壁６６Ｂ側からの側面視において、シリンダー室７１と重なる位置に配置される。
また、梁部材７７は、シリンダーブロック２４ａの断面において、カムチェーン室６６とシリンダー室７１との間の薄肉になる部分７８、７９に設けられる。
また、梁部材７７は、シリンダーブロック２４ａの断面において、カムチェーン室６６とシリンダー室７１との間の薄肉になる部分７８、７９に設けられる。
【0035】
無端状のカムチェーン６１は、図３に示すように、駆動歯車６４によって引っ張られる方向に力を受ける第１区間部６７と、被動歯車６５によって引っ張られる方向に力を受ける第２区間部６８とを備えて構成される。第２区間部６８には、テンショナー６３により、押圧部材６２が押し付けられる。
【0036】
カムチェーン室６６には、梁部材７７を挟んで、カムチェーン６１の第１区間部６７が位置する第１チェーン領域８１と、カムチェーン６１の第２区間部６８が位置する第２チェーン領域８２と、が形成される。
第２チェーン領域８２の側には、押圧部材６２をカムチェーン６１に押し付けるテンショナー６３が配置される。
第２チェーン領域８２の側には、押圧部材６２をカムチェーン６１に押し付けるテンショナー６３が配置される。
【0037】
板状の梁部材７７は、カムチェーン６１の巻き掛け内に設けられる。
カムチェーン６１は、カムチェーン室６６の内部を、カムチェーンラインＬ１、Ｌ２に沿うように往復する。カムチェーンラインＬ２の側には、押圧部材６２及びテンショナー６３が配置される。
板状の梁部材７７は、カムチェーン室６６を往復するカムチェーンラインＬ１、Ｌ２の何れか一方寄りに設けられる。
カムチェーン６１は、カムチェーン室６６の内部を、カムチェーンラインＬ１、Ｌ２に沿うように往復する。カムチェーンラインＬ２の側には、押圧部材６２及びテンショナー６３が配置される。
板状の梁部材７７は、カムチェーン室６６を往復するカムチェーンラインＬ１、Ｌ２の何れか一方寄りに設けられる。
【0038】
本実施の形態では、梁部材７７は、カムチェーン室６６を往復するカムチェーンラインＬ１、Ｌ２のうち、テンショナー６３が位置する側とは逆側のカムチェーンラインＬ１寄りに近づけて設けられる。
また、梁部材７７は、シリンダーヘッド２４ｂの内側に形成された燃焼室８５（図２参照。）寄りに近づけて設けられる。
また、梁部材７７は、シリンダーヘッド２４ｂの内側に形成された燃焼室８５（図２参照。）寄りに近づけて設けられる。
【0039】
本実施の形態では、カムチェーン室６６を横切る梁部材７７を有するため、シリンダーブロック２４ａの熱をシリンダー外部の熱で引くことができる。梁部材７７は、カムチェーン室６６に着脱可能に設けられる。カムチェーン６１は無端状であり、梁部材７７を着脱可能とすることで、カムチェーン６１の組付けが阻害されない。
梁部材７７が、側面視においてシリンダー室７１と重なることで、最も高温になりやすい部分を冷却することができる。
梁部材７７が、側面視においてシリンダー室７１と重なることで、最も高温になりやすい部分を冷却することができる。
【0040】
梁部材７７が、断面においてカムチェーン室６６とシリンダー室７１の間が薄肉になる部分に設けられることで、最も高温になりやすい部分を冷却できる。
梁部材７７が、カムチェーン６１の巻き掛け内に設けられることで、最も高温になりやすい部分を冷却できる。
梁部材７７が、カムチェーン６１の巻き掛け内に設けられることで、最も高温になりやすい部分を冷却できる。
【0041】
梁部材７７が、往復するカムチェーンラインＬ１、Ｌ２の何れか一方寄りに設けられることで、カムチェーン６１の回転風や、カムチェーン６１からのオイル飛沫により梁部材７７自体を冷却できる。
梁部材７７が、テンショナー６３と逆側のカムチェーンラインＬ１寄りに設けられる。カムチェーンラインＬ１は、カムチェーンラインＬ２と比較して、カムチェーンラインが一定なため、ギリギリまでカムチェーンラインＬ１に寄せることができる。
梁部材７７が、シリンダーブロック２４ａとシリンダーヘッド２４ｂの合わせ面近傍に設けられてもよい。これによれば、最も高温になりやすい部分を冷却できる。
梁部材７７が、テンショナー６３と逆側のカムチェーンラインＬ１寄りに設けられる。カムチェーンラインＬ１は、カムチェーンラインＬ２と比較して、カムチェーンラインが一定なため、ギリギリまでカムチェーンラインＬ１に寄せることができる。
梁部材７７が、シリンダーブロック２４ａとシリンダーヘッド２４ｂの合わせ面近傍に設けられてもよい。これによれば、最も高温になりやすい部分を冷却できる。
【0042】
本実施の形態では、シリンダーブロック２４ａのカムチェーン室６６に、一つの梁部材７７を設けたが、これに限定されない。
梁部材７７が、カムチェーン室６６に複数設けられてもよい。これによれば、梁部材７７の個数が増えるごとに冷却効率を向上できる。梁部材７７は、カムチェーン６１の巻き掛け内でなくても、巻き掛け外に配置されてもよい。梁部材７７が複数設けられる場合、少なくとも一つの梁部材７７が、シリンダーブロック２４ａとシリンダーヘッド２４ｂの合わせ面近傍に設けられていればよい。
梁部材７７は、カムチェーン室６６の内壁６６Ａと外壁６６Ｂとの間に斜めに掛け渡されてもよい。また、梁部材７７は短冊状でなく、幅広く形成して、内壁６６Ａと外壁６６Ｂとの間に掛け渡されてもよい。
梁部材７７が、カムチェーン室６６に複数設けられてもよい。これによれば、梁部材７７の個数が増えるごとに冷却効率を向上できる。梁部材７７は、カムチェーン６１の巻き掛け内でなくても、巻き掛け外に配置されてもよい。梁部材７７が複数設けられる場合、少なくとも一つの梁部材７７が、シリンダーブロック２４ａとシリンダーヘッド２４ｂの合わせ面近傍に設けられていればよい。
梁部材７７は、カムチェーン室６６の内壁６６Ａと外壁６６Ｂとの間に斜めに掛け渡されてもよい。また、梁部材７７は短冊状でなく、幅広く形成して、内壁６６Ａと外壁６６Ｂとの間に掛け渡されてもよい。
【0043】
上記実施の形態では、自動二輪車の内燃機関を例に挙げて説明したが、本発明はこれに限定されない。本発明は、前輪又は後輪を２つ備える３輪の車両の内燃機関、及び、４輪以上を備える車両の内燃機関にも適用可能である。
【0044】
［上記実施の形態によりサポートされる構成］
上記実施の形態は、以下の構成をサポートする。
上記実施の形態は、以下の構成をサポートする。
【0045】
（構成１）シリンダーブロックとシリンダーヘッドからなり、シリンダーブロックの側方にカムチェーン室を有する内燃機関において、
前記カムチェーン室に該カムチェーン室を横切る梁部材を配置したことを特徴とする内燃機関。
これによれば、シリンダー部の熱をシリンダー外部の熱で引くことができる。
前記カムチェーン室に該カムチェーン室を横切る梁部材を配置したことを特徴とする内燃機関。
これによれば、シリンダー部の熱をシリンダー外部の熱で引くことができる。
【0046】
（構成２）前記梁部材が前記カムチェーン室に着脱可能に設けられることを特徴とする構成１に記載の内燃機関。
これによれば、カムチェーンは無端状であり、梁部材が着脱可能とされることで、無端状部材の組付けが阻害されない。
これによれば、カムチェーンは無端状であり、梁部材が着脱可能とされることで、無端状部材の組付けが阻害されない。
【0047】
（構成３）前記梁部材が側面視において前記シリンダーブロックのシリンダー室と重なることを特徴とする構成１又は２に記載の内燃機関。
これによれば、最も高温になりやすい部分を冷却できる。
これによれば、最も高温になりやすい部分を冷却できる。
【0048】
（構成４）前記梁部材が前記シリンダーブロックの断面において前記シリンダーブロックのカムチェーン室と前記シリンダー室との間の薄肉になる部分に設けられることを特徴とする構成１乃至３の何れか一つに記載の内燃機関。
これによれば、最も高温になりやすい部分を冷却できる。
これによれば、最も高温になりやすい部分を冷却できる。
【0049】
（構成５）前記梁部材が前記カムチェーン室に複数設けられることを特徴とする構成１乃至４の何れか一つに記載の内燃機関。
これによれば、梁部材の個数が増えるごとに冷却効率を向上できる。
これによれば、梁部材の個数が増えるごとに冷却効率を向上できる。
【0050】
（構成６）前記梁部材がカムチェーンの巻き掛け内に設けられることを特徴とする構成１乃至５の何れか一つに記載の内燃機関。
これによれば、最も高温になりやすい部分を冷却できる。
これによれば、最も高温になりやすい部分を冷却できる。
【0051】
（構成７）前記梁部材が前記カムチェーン室を往復するカムチェーンラインの一方寄りに設けられることを特徴とする構成１乃至６の何れか一つに記載の内燃機関。
これによれば、カムチェーンの回転風や、カムチェーンからのオイル飛沫により梁部材自体を冷却できる。
これによれば、カムチェーンの回転風や、カムチェーンからのオイル飛沫により梁部材自体を冷却できる。
【0052】
（構成８）前記梁部材がテンショナーと逆側のカムチェーンライン寄りに設けられることを特徴とする構成７に記載の内燃機関。
これによれば、テンショナーと逆側のカムチェーンラインは、テンショナー側のカムチェーンラインと比較して、カムチェーンラインが一定なため、梁部材を一定なカムチェーンラインにギリギリまで寄せることができる。
これによれば、テンショナーと逆側のカムチェーンラインは、テンショナー側のカムチェーンラインと比較して、カムチェーンラインが一定なため、梁部材を一定なカムチェーンラインにギリギリまで寄せることができる。
【0053】
（構成９）前記梁部材が前記シリンダーブロックと前記シリンダーヘッドの合わせ面近傍に設けられることを特徴とする構成１乃至８の何れか一つに記載の内燃機関。
これによれば、最も高温になりやすい部分を冷却できる。
これによれば、最も高温になりやすい部分を冷却できる。
【符号の説明】
【0054】
１０ 鞍乗り型車両
１２ パワーユニット
２３ クランクケース
２４ シリンダー部
２４ａ シリンダーブロック
２４ｂ シリンダーヘッド
６１ カムチェーン
６３ テンショナー
６６ カムチェーン室
７１ シリンダー室
７３、７４ 放熱フィン
７７ 梁部材
７８、７９ 薄肉になる部分
８１ 第１チェーン領域
８２ 第２チェーン領域
８５ 燃焼室
Ｌ１、Ｌ２ カムチェーンライン
１２ パワーユニット
２３ クランクケース
２４ シリンダー部
２４ａ シリンダーブロック
２４ｂ シリンダーヘッド
６１ カムチェーン
６３ テンショナー
６６ カムチェーン室
７１ シリンダー室
７３、７４ 放熱フィン
７７ 梁部材
７８、７９ 薄肉になる部分
８１ 第１チェーン領域
８２ 第２チェーン領域
８５ 燃焼室
Ｌ１、Ｌ２ カムチェーンライン
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】