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  • 特開-リニアガイド装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157876
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】リニアガイド装置
(51)【国際特許分類】
   F16C 29/06 20060101AFI20221006BHJP
   F16N 3/10 20060101ALI20221006BHJP
   F16N 7/00 20060101ALI20221006BHJP
   F16C 33/66 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
F16C29/06
F16N3/10
F16N7/00
F16C33/66 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021062351
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002000
【氏名又は名称】特許業務法人栄光特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内藤 和也
【テーマコード(参考)】
3J104
3J701
【Fターム(参考)】
3J104AA03
3J104AA23
3J104AA34
3J104AA64
3J104AA74
3J104CA01
3J104CA23
3J104CA24
3J104DA05
3J104EA10
3J701AA02
3J701AA43
3J701AA64
3J701CA08
3J701CA13
3J701CA22
3J701EA01
3J701FA44
3J701GA60
(57)【要約】
【課題】給油部の構造が簡単でありスライダに給油部を容易に取り付けることができるリニアガイド装置を提供することを目的とする
【解決手段】リニアガイド装置1は、案内レール10と、案内レール10上を直進運動するスライダ20と、スライダ20の側面20aに取り付けられる給油部30とを備える。スライダ20の両端側には、開口部22が形成されたエンドキャップ21が設けられている。給油部30は、樹脂成形品であり、給油部本体31と、給油口32と、給油路33と、給油出口34とを備える。給油路33は、給油部本体31内に設けられ、給油口32及び給油出口34と連通している。給油口32から供給された潤滑剤は、給油路33を通って給油出口34からそれぞれのエンドキャップ21内に均等に流れ、エンドキャップ21から溢流して転動路41に流れ、複数の転動体40を均一に潤滑する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
案内レールと、案内レール上を直進移動するスライダとを備えるリニアガイド装置であって、
前記スライダの両側に設けられるエンドキャップと、
前記スライダの側面に取り付けられる給油部と、を備え、
前記給油部を介してそれぞれのエンドキャップに均等に潤滑剤を供給する、
リニアガイド装置。
【請求項2】
前記エンドキャップには開口部が設けられ、
前記給油部には給油出口が設けられ、
前記開口部に前記給油出口が嵌合することで、前記スライダに前記給油部が取り付けられる、
請求項1のリニアガイド装置。
【請求項3】
前記給油部は、潤滑剤を給油する給油口と、
前記潤滑剤が流れる給油路と、を有し、
前記給油路は、前記給油口と前記給油出口に連通している、
請求項2に記載のリニアガイド装置。
【請求項4】
前記給油部は、樹脂成形品である、
請求項1~3のいずれか一項に記載のリニアガイド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニアガイド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
案内レール上を直線運動するスライダに対して転動体を用いてガイドする技術が知られている(特許文献1)。
【0003】
特許文献1は、スライダ本体の案内レールの上面と対向する面に取り付け、案内レー
ルとスライダ本体との間に配置する給油路連通部材が、潤滑剤供給孔とエンドキャップ側給油路とを連通する連通部材側給油路を備える直動案内装置であり、潤滑剤供給孔から供給した潤滑剤を方向転換路へ移動させるための潤滑剤移動路を、給油路連通部材が備える連通部材側給油路により形成することが可能となり、スライダ本体に対する加工工程の増加を抑制することが可能となることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許登録第5131225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の直動案内装置において、エンドキャップに給油する給油路連通部材が、スライダ本体と案内レールとの間に配置され、スライダ本体に給油口が設けられている。案内レールとスライダ本体にとの間に給油路連通部材を取り付けるため、案内レールとスライダ本体との間に一定以上のクリアランスが必要あり、スライダ本体に油路を形成加工する手間が必要であった。さらにベアリング本体は金属であるため、給油路連通部材の位相合わせが困難であるという課題があった。
【0006】
そこで本発明は、給油部の構造が簡単でありスライダに給油部を容易に取り付けることができるリニアガイド装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、下記の構成からなる。
案内レールと、案内レール上を直進移動するスライダとを備えるリニアガイド装置であって、
前記スライダの両側に設けられるエンドキャップと、
前記スライダの側面に取り付けられる給油部と、を備え、
前記給油部を介してそれぞれのエンドキャップに均等に潤滑剤を供給する、
リニアガイド装置。
【発明の効果】
【0008】
本発明のリニアガイド装置によれば、スライダに給油部を取り付けるだけで、スライダを加工せずとも、スライダ側面からエンドキャップに均等に潤滑剤を供給することができる。特に、スライダを少ストロークで使用する場合でも、スライダ内部全体に潤滑剤を供給することが容易となる。さらに、給油部をスライダ側面に取り付けるため、後付けが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本発明に係るリニアガイド装置の構成図であって、(A)は正面図、(B)は底面図、(C)は左側面図である。
図2図2は、本発明に係る給油部の構成図であって、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は左側面図である。
図3図3は、潤滑剤の流れを示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の構成例について、図面を参照して詳細に説明する。
【0011】
図1は、本発明に係るリニアガイド装置を示す構成図であって、(A)は正面図、(B)は底面図、(C)は左側面図である。
図1に示すように、リニアガイド装置1は、案内レール10と、案内レール10上を直進運動するスライダ20と、スライダ20の側面20aに取り付けられる給油部30とを備える。スライダ20は、スライダ20の内面と案内レール10の外面との間に配置される複数の転動体40(図3参照)を介して案内レール10上をスムーズな相対移動が可能である。当該転動体40の潤滑な動きを実現するために転動体40に給油を行う必要があり、本実施形態では、給油部30を介して給油が行われる。転動体40への給油は、グリースを供給する場合と液状オイルを供給する場合がある。
【0012】
スライダ20の両端側には、エンドキャップ21が設けられている。それぞれのエンドキャップ21の側面21aには、円形状の開口部22が形成されている。開口部22はエンドキャップ21内に配置された転動体40の転動路41と連通している。
【0013】
図2は、本発明に係る給油部の構成図であって、(A)は正面図、(B)は平面図、(C)は左側面図である。
図2に示すように、給油部30は、樹脂成形品であり、直方体形状を有する給油部本体31と、給油口32と、給油路33と、給油出口34とを備える。給油部本体31は、側方側に第1面31aと、第1面31aと反対側に第2面31bを有し、給油口32は、第1面31a側の中央近傍に第1面31aから外方に突出して設けられ、給油出口34は、平面視で円形状を呈し、第2面31b側から外方に突出し、給油部本体31の両端側にそれぞれ設けられている。給油路33は、給油部本体31内に設けられ、給油口32及び給油出口34と連通している。また、給油口32と給油出口34はグリースニップルでも良い。
【0014】
給油部30は、給油部30の給油出口34とスライダ20の開口部22とが嵌合することでスライダ20の側面20aに一体的に固定される。
【0015】
図3は、潤滑剤の流れを示した説明図である。
図3に示す様に、給油口32から供給された潤滑剤は、給油路33を通って給油出口34からそれぞれのエンドキャップ21内に流れ、エンドキャップ21から溢流して転動路41に流れ、複数の転動体40を均一に潤滑する(潤滑剤の流れを矢印で示している)。
【0016】
以上説明したように、スライダ20の側面20aに給油部30を取り付ける簡単な構造で、潤滑剤が給油口32から給油路33を通り、給油出口34からスライダ20の両端側に設けられたエンドキャップ21に均等に給油できる。
【0017】
このように、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、実施形態の各構成を相互に組み合わせることや、明細書の記載、並びに周知の技術に基づいて、当業者が変更、応用することも本発明の予定するところであり、保護を求める範囲に含まれる。
【0018】
開口部22及び給油出口34を円形状としたが、四角形でもよく、特に形状を限定しない。
【0019】
給油口32と給油出口34の一例としてグリースニップルとしたが、給油部30全体がグリースニップルの形態を成していても良い。
【0020】
以上の通り、本明細書には次の事項が開示されている。
(1) 案内レールと、案内レール上を直進移動するスライダとを備えるリニアガイド装置であって、
前記スライダの両側に設けられるエンドキャップと、
前記スライダの側面に取り付けられる給油部と、を備え、
前記給油部を介してそれぞれのエンドキャップに均等に潤滑剤を供給する、
リニアガイド装置。
【0021】
このリニアガイド装置によれば、スライダに給油部を取り付けるだけで、スライダを加工せずとも、スライダ側面からエンドキャップに均等に潤滑剤を供給することができる。特に、スライダを少ストロークで使用する場合でも、スライダ内部全体に潤滑剤を供給することが容易となる。さらに、給油部をスライダ側面に取り付けるため、後付けが容易である。
【0022】
(2) 前記エンドキャップには開口部が設けられ、
前記給油部には給油出口が設けられ、
前記開口部に前記給油出口が嵌合することで、前記スライダに前記給油部が取り付けられる、(1)のリニアガイド装置。
このリニアガイド装置によれば、開口部と給油出口のみの嵌合で給油部がスライダに取り付けることができ、簡単な構造で後付けが容易である。
【0023】
(3) 前記給油部は、潤滑剤を給油する給油口と、
前記潤滑剤が流れる給油路と、を有し、
前記給油路は、前記給油口と前記給油出口に連通している、(2)に記載のリニアガイド装置。
このリニアガイド装置によれば、スライダの横から潤滑剤を給油することができ、スライダ内に給油のための配管等を設置する必要がなく、給油構成の簡素化が実現できる。
【0024】
(4) 前記給油部は、樹脂成形品である、(1)~(3)のリニアガイド装置。
このリニアガイド装置によれば、給油部とスライダの位相合わせが容易である。
【符号の説明】
【0025】
1 リニアガイド装置
10 案内レール
20 スライダ
20a スライダの側面
21 エンドキャップ
22 開口部
30 給油部
31 給油部本体
32 給油口
33 給油路
34 給油出口
図1
図2
図3