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特開2022-157885樹脂製固定具、樹脂製固定具の内側部材、樹脂製固定具の外側部材、及び建設機械
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157885
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】樹脂製固定具、樹脂製固定具の内側部材、樹脂製固定具の外側部材、及び建設機械
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/00 20060101AFI20221006BHJP
   F16B 21/07 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
E02F9/00 Z
F16B21/07 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021062363
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】502246528
【氏名又は名称】住友建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】関 琢磨
(72)【発明者】
【氏名】金田 裕治
(72)【発明者】
【氏名】花池 宏文
【テーマコード(参考)】
3J037
【Fターム(参考)】
3J037AA02
3J037BA02
3J037BB10
3J037DB01
3J037DC02
3J037FA01
(57)【要約】
【課題】取付部材の損傷を抑制できる固定具を提供すること。
【解決手段】樹脂製固定具CLは、防塵ネット80を構成する枠体83を、防塵装置50の本体を構成する中渡し板55に着脱可能に固定する。樹脂製固定具CLは、枠体83の内側にある中渡し板55に固定される内側部材91と、枠体83の外側に配置される外側部材90と、を含む。内側部材91は、中渡し板55に取り付けられ、且つ、枠体83を貫通して延びる延在部91Tを有する。外側部材90は、ラチェット機構により、枠体83を貫通して延びる延在部91Tと接触した状態において、延在部91Tの延在方向(X軸方向)に沿って枠体83に近づく方向に延在部91Tに対して移動可能で、且つ、延在部91Tの延在方向(X軸方向)に沿って枠体83から遠ざかる方向に延在部91Tに対して移動不能となるように構成されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
設置物に取付部材を着脱可能に固定する樹脂製固定具であって、
前記設置物に一方において固定される内側部材と、
前記設置物に対して前記取付部材を挟むように配置される外側部材と、を含み、
前記内側部材は、他方に向かって延びる延在部を有し、
前記外側部材は、前記延在部と接触した状態において、前記延在部の延在方向に沿って前記取付部材に近づく方向に前記延在部に対して移動可能で、且つ、前記延在部の延在方向に沿って前記取付部材から遠ざかる方向に前記延在部に対して移動不能となるように構成されている、
樹脂製固定具。
【請求項2】
前記延在部は、内側係合部を有し、
前記外側部材は、前記内側係合部とかみ合うように構成された外側係合部を有する、
請求項1記載の樹脂製固定具。
【請求項3】
前記外側部材は、前記内側係合部と前記外側係合部との間の係合を解除する係合解除部を有する、
請求項2に記載の樹脂製固定具。
【請求項4】
前記内側部材は、抜け止め部を介して前記設置物に固定される、
請求項1乃至3の何れかに記載の樹脂製固定具。
【請求項5】
前記内側部材は、前記設置物に一体化されている、
請求項1乃至4の何れかに記載の樹脂製固定具。
【請求項6】
前記外側部材は、前記取付部材に一体化されている、
請求項1乃至5の何れかに記載の樹脂製固定具。
【請求項7】
前記内側部材と前記外側部材とは連結部材を介して連結されている、
請求項1乃至6の何れかに記載の樹脂製固定具。
【請求項8】
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回可能に搭載される上部旋回体と、
前記上部旋回体に設置される設置物と、
前記設置物に取り付けられる取付部材と、
前記設置物に前記取付部材を着脱可能に固定する樹脂製固定具と、を備える建設機械であって、
前記樹脂製固定具は、内側部材と外側部材とを含み、
前記内側部材は、一方において前記設置物に取り付けられ、且つ、他方に向かって延びる延在部を有し、
前記外側部材は、前記取付部材を貫通して延びる延在部と接触した状態において、前記延在部の延在方向に沿って前記取付部材に近づく方向に移動可能で、且つ、前記延在部の延在方向に沿って前記取付部材から遠ざかる方向に移動不能となるように構成されている、
建設機械。
【請求項9】
設置物に取付部材を着脱可能に固定する樹脂製固定具の内側部材であって、
前記設置物に一方において固定され、且つ、他方に向かって延びる延在部を有し、
前記延在部と接触した状態において、前記延在部の延在方向に沿って前記取付部材に近づく方向に前記延在部に対して移動可能で、且つ、前記延在部の延在方向に沿って前記取付部材から遠ざかる方向に前記延在部に対して移動不能となるように構成されている外側部材に対し、前記設置物に対して前記取付部材を挟む、
樹脂製固定具の内側部材。
【請求項10】
設置物に取付部材を着脱可能に固定する樹脂製固定具の外側部材であって、
前記設置物に一方において固定され、かつ、他方に向かって延びる延在部を有する内側部材に対して、前記延在部と接触した状態において、前記延在部の延在方向に沿って前記取付部材に近づく方向に前記延在部に対して移動可能で、且つ、前記延在部の延在方向に沿って前記取付部材から遠ざかる方向に前記延在部に対して移動不能となるように構成され、
前記設置物に対して前記取付部材を挟むように配置される、
樹脂製固定具の外側部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂製固定具及び建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ラジエタの前側に防塵ネットを着脱可能に固定するための鉄製の固定具が知られている(特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-236693号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、鉄製の固定具を用いた場合、固定具と接触する防塵ネットの枠の表面は、固定具との金属接触により損傷してしまうおそれがある。そのため、この構成は、防塵ネットの耐久性等の品質を低下させてしまうおそれがある。
【0005】
そこで、ラジエタ等の設置物に防塵ネット等の部材を固定する固定具による防塵ネットの枠体等の取付部材の損傷を抑制することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係る樹脂製固定具は、設置物に取付部材を着脱可能に固定する樹脂製固定具であって、前記設置物に一方において固定される内側部材と、前記設置物に対して前記取付部材を挟むように配置される外側部材と、を含み、前記内側部材は、他方に向かって延びる延在部を有し、前記外側部材は、前記延在部と接触した状態において、前記延在部の延在方向に沿って前記取付部材に近づく方向に前記延在部に対して移動可能で、且つ、前記延在部の延在方向に沿って前記取付部材から遠ざかる方向に前記延在部に対して移動不能となるように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
上述の樹脂製固定具は、取付部材の損傷を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態に係るショベルの側面図である。
図2】実施形態に係るショベルのエンジン室を概略的に示す断面図である。
図3】ショベルの防塵装置及び熱交換装置を拡大して示す斜視図である。
図4】上部ガイド部材と防塵ネットとの関係を説明する部分拡大図である。
図5】樹脂製固定具の構成例を示す図である。
図6】樹脂製固定具の上面図及び断面図である。
図7】内側部材の構成例を示す図である。
図8】外側部材の別の構成例を示す図である。
図9】樹脂製固定具の別の構成例を示す図である。
図10】樹脂製固定具の更に別の構成例を示す図である。
図11】外側部材の更に別の構成例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図1は、本発明の実施形態に係る建設機械の一例であるショベルを示す側面図である。図2はエンジン室34の内部構成を示す概略構成図である。図1の一点鎖線を含むXZ平面に平行な仮想平面における断面を示す。
【0010】
ショベルは、自走可能なクローラ式の下部走行体1と、下部走行体1上に旋回機構2を介して旋回可能に搭載された上部旋回体3を有している。
【0011】
上部旋回体3には、ブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられ、アーム5の先端にはエンドアタッチメントとしてのバケット6が取り付けられている。ブーム4、アーム5、及びバケット6は、作業アタッチメントを構成している。
【0012】
ブーム4は、旋回フレーム31に俯仰動可能に取り付けられている。アーム5は、ブーム4の先端側に回動可能に取り付けられている。また、バケット6は、アーム5の先端側に回動可能に取り付けられている。
【0013】
ブームシリンダ7は、旋回フレーム31とブーム4との間に配設されている。ブームシリンダ7により、ブーム4は旋回フレーム31に対して俯仰動する。アームシリンダ8は、ブーム4とアーム5との間に配設されている。アームシリンダ8により、アーム5はブーム4に対して回動する。バケットシリンダ9は、バケット6とアーム5との間に配設されている。バケットシリンダ9により、バケット6はアーム5に対して回動する。
【0014】
上部旋回体3は、下部走行体1上に旋回機構2を介して旋回自在に設置されている。上部旋回体3には、図1及び図2に示すように、旋回フレーム31、キャブ10、カウンタウエイト32、外装カバー33、エンジン11、熱交換装置40、防塵装置50、及び排気ガス処理装置60等が配設されている。
【0015】
キャブ10は旋回フレーム31上に設けられており、その内部には運転席(図示せず)が設けられている。オペレータはキャブ10内の運転席に着座し、ショベルの運転操作を行う。
【0016】
カウンタウエイト32は、作業アタッチメントとの重量バランスをとる機能を奏する。また、外装カバー33及びエンジンフード34aは、エンジン室34内に配設されたエンジン11、熱交換装置40、防塵装置50、及び排気ガス処理装置60等を覆う。
【0017】
次に、エンジン室34内の構成について説明する。エンジン室34内には、エンジン11、熱交換装置40、防塵装置50、及び排気ガス処理装置60等が配設されている。
【0018】
エンジン11は、旋回フレーム31に配設されたエンジン取り付け座31aの上部に、マウント31bを介して支持されている。マウント31bは防振マウントであり、エンジン11で発生する振動が旋回フレーム31に伝達されるのを防止している。
【0019】
エンジン11のX1方向側(図中左側)には、冷却ファン35が配設されている。また、冷却ファン35のX1方向側には熱交換装置40が配設されている。更に、熱交換装置40のX1方向側には防塵装置50が配設されている。
【0020】
冷却ファン35は、エンジン11により回転駆動される。冷却ファン35が回転駆動されることにより、メンテナンスドア33Aに設けられた吸気口から外気が冷却風Wとしてエンジン室34内に取り込まれる。熱交換装置40は、エンジン室34に取り込まれた冷却風Wにより熱交換処理(冷却処理)を行う。
【0021】
冷却風Wは、図2に矢印で示すように左側から右側に流れる。よって、X1側が冷却風の上流側となり、X2方向が冷却風の下流側となる。また、本実施形態では、Z1側が上側となり、Z2側が下側となる。
【0022】
熱交換装置40は、ラジエタユニット40A、燃料クーラ40B、コンデンサ40C、オイルクーラ40D、及びインタークーラ40E等の各熱交換器を一体的にユニット化した構成とされている(図3参照。)。
【0023】
ラジエタユニット40Aは、エンジン11内を流れる冷却水を冷却する。燃料クーラ40Bは、図示しない燃料タンクに戻る余剰燃料を冷却する。コンデンサ40Cは、キャブ10に搭載されたエアコンで冷気を発生させるための凝縮器である。オイルクーラ40Dは、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9等の油圧アクチュエータで使用される作動油の冷却を行う。インタークーラ40Eは、エンジン11に供給される過給空気を冷却する。これらの熱交換器に流入する冷却水、作動油等の各種冷媒は、冷却風Wにより冷却される。
【0024】
エンジン11のX2側には、油圧ポンプ14が取り付けられている。油圧ポンプ14は、作業アタッチメントを駆動するブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9に作動油を供給する油圧源である。油圧ポンプ14は、エンジン11により駆動される。
【0025】
エンジン11から排出された排気ガスは、排気ガス処理装置60により浄化処理が行われる。エンジン11から排出される排気ガス中には、窒素酸化物(NOx)等の有害物質が含まれることがあり、これらを浄化するためにエンジン11には排気ガス処理装置60が接続されている。
【0026】
排気ガス処理装置60には、排気ガス中の微粒子を燃焼させる酸化触媒が配置された第1処理部61、及び、微粒子が取り除かれた排気ガス中の窒素酸化物(NOx)を選択的還元剤(例えば、尿素等)で還元除去する第2処理部としての選択還元型触媒62(SCR)等が設けられている。第1処理部61としては、排気ガス中に含まれるパティキュレートマター(PM)を捕集するディーゼルパティキュレートフィルタ(DPF)が用いられてもよい。
【0027】
排気ガス処理装置60は、支持体37及びファイヤーウォール42等を有するフレーム体36に支持されている。
【0028】
次に、図3を用いて、熱交換装置40及び防塵装置50について説明する。図3は、熱交換装置40及び防塵装置50の斜視図である。図3では、明瞭化のため、ネット部材F(図4(A)参照。)の図示が省略されている。
【0029】
熱交換装置40は、上述のように、ラジエタユニット40A、燃料クーラ40B、コンデンサ40C、オイルクーラ40D、及びインタークーラ40E等の熱交換器を有しており、これらの熱交換器はフレーム41に取り付けられている。
【0030】
フレーム41は、対向離間して設けられる第1フレーム部材41A及び第2フレーム部材41Bと、第1フレーム部材41Aの上端部と第2フレーム部材41Bの上端部とを連結する第3フレーム部材41Cと、第1フレーム部材41Aの下端部と第2フレーム部材41Bの下端部とを連結する第4フレーム部材41Dと、を有している。
【0031】
第1フレーム部材41A~第4フレーム部材41Dのそれぞれは、全体として略矩形の枠を構成する。熱交換装置40のうちラジエタユニット40A及びオイルクーラ40Dは、略矩形の枠形状とされたフレーム41の内部に取り付けられる。具体的には、図3に示すラジエタユニット40Aは、第1フレーム部材41A及び第2フレーム部材41Bに取り付けられている。また、燃料クーラ40B、コンデンサ40C、及びインタークーラ40Eは、フレーム41から延出する支持部材等に取り付けられ、冷却風Wの流れ方向において、ラジエタユニット40Aの上流側(X1側)に配置される。
【0032】
防塵装置50は、冷却風Wの流れ方向において、熱交換装置40の上流側に取り付けられる。また、エンジン室34内における防塵装置50の配設位置は、図2に示すように、外装カバー33の側部を構成するメンテナンスドア33Aの近傍に設定されている。
【0033】
防塵装置50は、ネット用ブラケット51A及びネット用ブラケット51Bと、防塵ネット80とを有している。
【0034】
ネット用ブラケット51Aは、防塵装置50のY1側に位置しており、第1フレーム部材41Aに取り付けられる。また、ネット用ブラケット51Bは、防塵装置50のY2側に位置しており、第2フレーム部材41Bに取り付けられる。このように、ネット用ブラケット51Aとネット用ブラケット51Bとは、燃料クーラ40B、コンデンサ40C、及びインタークーラ40Eを挟むようにして、熱交換装置40のフレーム41に取り付けられる。
【0035】
本実施形態では、ネット用ブラケット51Aは、ボルトを用いて第1フレーム部材41Aに固定され、ネット用ブラケット51Bは、ボルトを用いて第2フレーム部材41Bに固定されている。しかしながら、ネット用ブラケット51Aの第1フレーム部材41Aへの固定方法は特に限定されるものではなく、他の固定方法(溶接等)を用いてもよく、また着脱可能な構成としてもよい。ネット用ブラケット51Bの第2フレーム部材41Bへの固定方法についても同様である。
【0036】
ネット用ブラケット51Aは、上端部から中央部に向け漸次幅広となる傾斜部52Aと、下端部から中央部に向け漸次幅広となる傾斜部53Aとを有している。具体的には、ネット用ブラケット51Aは、上端部及び下端部に対して中央部が冷却風Wの流れ方向において上流側に突出した形状を有している。すなわち、ネット用ブラケット51Aは、側面視において上端部及び下端部に比べて中央部がX1方向に突出した形状となるように構成されている。
【0037】
同様に、ネット用ブラケット51Bは、上端部から中央部に向け漸次幅広となる傾斜部52Bと、下端部から中央部に向け漸次幅広となる傾斜部53Bとを有している。具体的には、ネット用ブラケット51Bは、上端部及び下端部に対して中央部が冷却風Wの流れ方向において上流側に突出した形状を有している。すなわち、ネット用ブラケット51Bは、側面視において上端部及び下端部に比べて中央部がX1方向に突出した形状となるように構成されている。
【0038】
ネット用ブラケット51Aの上端部と、ネット用ブラケット51Bの上端部との間には、補強板54が配設されている。また、ネット用ブラケット51Aの突出した中央部と、ネット用ブラケット51Bの突出した中央部との間には、中渡し板55が配設されている。
【0039】
防塵装置50の上端部には、開口部59が形成されている。補強板54は、開口部59に設けられている。補強板54は、ネット用ブラケット51A及びネット用ブラケット51Bのそれぞれの上部における強度を高めるものである。なお、開口部59は、エンジンフード34aが外装カバー33に装着されたときにエンジンフード34aによって覆われる。
【0040】
中渡し板55は、ネット用ブラケット51A及びネット用ブラケット51Bのそれぞれの中央部における強度を高めるものである。また、中渡し板55の中央位置には、載置部56が設けられている。
【0041】
このように、ネット用ブラケット51A及びネット用ブラケット51Bは、上端部が補強板54によって補強され、中央部が中渡し板55によって補強される。これにより、ネット用ブラケット51Aとネット用ブラケット51Bとは、所定の間隔を空けて対向配置される。
【0042】
図3の例では、補強板54の幅寸法(X軸方向における長さ)は、防塵装置50の強度を所定レベル以上に維持できる範囲で最小の幅寸法とされている。なお、補強板54については、他の部材によってネット用ブラケット51A及びネット用ブラケット51Bのそれぞれの補強を行うことができるのであれば、ネット用ブラケット51Aとネット用ブラケット51Bとの間に架設される必要はない。
【0043】
ネット用ブラケット51Aの上端近傍位置には、上部ガイド部材70Aが設けられている。また、ネット用ブラケット51Aの下端部近傍には、下部ガイド部材71Aが設けられている。同様に、ネット用ブラケット51Bの上端近傍位置には上部ガイド部材70Bが設けられており、ネット用ブラケット51Bの下端部近傍には下部ガイド部材71Bが設けられている。
【0044】
上部ガイド部材70A及び上部ガイド部材70Bは、XZ平面に関して鏡面対称となるように配置されている。同様に、下部ガイド部材71A及び下部ガイド部材71Bは、XZ平面に関して鏡面対称となるように配置されている。
【0045】
上部ガイド部材70A及び上部ガイド部材70Bのそれぞれは、X軸方向に延在する固定面70xと、Y軸方向に延出する上面としての係止面70yを有している。同様に、下部ガイド部材71A及び下部ガイド部材71Bのそれぞれは、X軸方向に延在する固定面71xと、Y軸方向に延出する上面としての係止面71yを有している。
【0046】
ここで、図4を参照し、ガイド部材としての上部ガイド部材70A及び上部ガイド部材70Bについて説明する。図4(A)は、防塵装置50の斜視図であり、図4(B)は、防塵装置50の側面図である。
【0047】
ネット用ブラケット51Aは傾斜部52Aを有している。上部ガイド部材70Aは、水平面に対して傾斜角度α1を有する傾斜部52Aの上部近傍に配設されている。同様に、ネット用ブラケット51Bは傾斜部52Bを有している。上部ガイド部材70Bは、水平面に対して傾斜角度α1を有する傾斜部52Bの上部近傍に配設されている。
【0048】
本実施形態において、この位置には、図2に示すように、メンテナンスドア33Aの上縁部33Bが近接している。本実施形態の上部ガイド部材70A、70Bは、メンテナンスドア33Aの上縁部33Bとの干渉を回避する構成を有している。以下その点を詳しく説明する。
【0049】
上部ガイド部材70Aは、防塵ネット80の取り付け方向(Z軸方向)の途中位置に切欠き70Kを有している。切欠き70Kは、具体的には係止面70yの略中間位置と固定面70xの略中間位置の一部に亘って切り欠かれている。上部ガイド部材70Bについても同様である。なお、切欠き形状はこの限りではなく適宜変更されてよい。
【0050】
本実施形態の係止面70yは、防塵ネット80の取り付け方向に対して切欠き70Kより前側(X1側)の前側部70yAと、切欠き70Kより後側(X2側)の後側部70yBを有している。
【0051】
上部ガイド部材70Aの係止面70yは、ネット用ブラケット51Aの傾斜部52Aに対して傾斜しており、係止面70yの前側部70yAと、後側部70yBとは異なる傾斜角度となるように形成されている。上部ガイド部材70Bの係止面70yについても同様である。
【0052】
前側部70yAは、図4(B)に示すように、傾斜部52Bに対して傾斜角度β1を有している。後側部70yBは、傾斜部52Bに対して傾斜角度β2を有している。よって、係止面70yの前側部70yAと傾斜部52Bとの間には、傾斜空間70Cが形成される。傾斜空間70Cの形状は、その幅(前側部70yAと傾斜部52Bとの離間距離)が下方から上方に向けて漸次狭くなる形状となっている。また、係止面70yの後側部70yBと傾斜部52Bとの間には、傾斜空間70Dが形成される。傾斜空間70Dの形状は、その幅(後側部70yBと傾斜部52Bとの離間距離)が下方から上方に向けて漸次狭くなる形状となっている。傾斜部52Aについても同様である。
【0053】
傾斜角度β1は、傾斜角度β2よりも大きくなるように設定されている。したがって、上部ガイド部材70Bの係止面70yの前側部70yAの開口角度は、係止面70yの後側部70yBの開口角度より大きくなる。また、傾斜空間70Cは、傾斜空間70Dより広い。上部ガイド部材70Aについても同様である。
【0054】
上部ガイド部材70Bの上端部(Z1側の端部)には、挿通部74が形成されている。挿通部74は、後述する上部防塵ネット81を挿通できる形状及び大きさとされている。上部ガイド部材70Aについても同様である。
【0055】
上部ガイド部材70Aと上部ガイド部材70Bの設置位置は、図2に示すように、メンテナンスドア33Aの上縁部33Bの近接位置であり、更に云うと切欠き70Kが上縁部33Bと対応する位置関係に配置される。したがって、上部ガイド部材70A及び上部ガイド部材70Bは何れも、切欠き70Kを有することにより、周辺部材であるメンテナンスドア33Aの上縁部33Bとの干渉を回避できる。
【0056】
図3に示す例では、ネット用ブラケット51Aの下端部近傍に配設された下部ガイド部材71Aは、上部ガイド部材70Aとほぼ同様の構成で上下を反転させて配置されたものである。下部ガイド部材71Bについても同様である。したがって、下部ガイド部材71A及び下部ガイド部材71Bの説明は省略する。なお、図3に示す例では、下部ガイド部材71A及び下部ガイド部材71Bは、切欠きが省略されている。但し、下部ガイド部材71Aは、上部ガイド部材70Aの切欠き70Kと同様の切欠きを有していてもよい。そして、下部ガイド部材71Aは、傾斜部53Aに対する傾斜角度が異なる前側部と後側部を有していてもよい。下部ガイド部材71Bについても同様である。
【0057】
一方、防塵装置50を構成するネット用ブラケット51A、ネット用ブラケット51B、及び補強板54の内壁面には、他の機器や装置の邪魔にならない範囲で防音材57が配設されている。図3は、防音材57の一部をドットパターンで示す。
【0058】
エンジン室34内で発生する騒音は、主に、冷却ファン35が回転することにより発生する騒音である。そして、冷却ファン35で発生した騒音の多くは、熱交換装置40及び防塵装置50がある空間を通りエンジン室34の外部に伝達される。
【0059】
本実施形態では、防音材57は、冷却ファン35から外部への騒音の伝達経路の途中にある防塵装置50の内壁面に配設されている。そのため、冷却ファン35で発生した騒音は、防塵装置50に設置された防音材57で吸収され、外部に伝わる騒音を低減できる。
【0060】
また図2に示されるように、防塵装置50は冷却ファン35に近接した位置に配設されている。このため、冷却ファン35で発生した騒音は騒音発生位置に近い位置で吸収される。そのため、防塵装置50は、騒音の低減を効率的に実現できる。
【0061】
更に、防音材57は、ネット用ブラケット51A及びネット用ブラケット51B等のそれぞれの内面に設けられているため、冷却風Wが防塵装置50を通過する際に冷却風Wの通過の妨げになるようなことはない。すなわち、防音材57が設けられていても、熱交換装置40における冷却効率が低下するようなことはない。
【0062】
次に、図3及び図4を参照し、ネット用ブラケット51A及びネット用ブラケット51Bに装着される防塵ネット80について説明する。
【0063】
本実施形態では防塵ネット80は二分割されており、上部防塵ネット81と下部防塵ネット82とにより構成されている。上部防塵ネット81及び下部防塵ネット82は何れも、矩形状の枠体83にネット部材Fが配設された構成を有する。ネット部材Fは、図4(A)に示すように、冷却風Wに含まれる塵埃を除去するフィルタであり、図3では明瞭化のため図示が省略されている。
【0064】
上部防塵ネット81の枠体83には、作業者が上部防塵ネット81をネット用ブラケット51A及びネット用ブラケット51Bから取り外す際に或いはネット用ブラケット51A及びネット用ブラケット51Bに取り付ける際に把持する把持部84が設けられている。同様に、下部防塵ネット82の枠体83には、把持部85が設けられている。
【0065】
上部防塵ネット81は、ネット用ブラケット51Aの傾斜部52Aとネット用ブラケット51Bの傾斜部52Bに着脱可能に取り付けられる。同様に、下部防塵ネット82は、ネット用ブラケット51Aの傾斜部53Aとネット用ブラケット51Bの傾斜部53Bに着脱可能に取り付けられる。
【0066】
上部防塵ネット81が傾斜部52A及び傾斜部52Bに取り付けられる際、上端部81Aはシール部材S1に当て止めされることにより固定され(図2図4(B)参照)、下端部81Bは、樹脂製固定具CLで中渡し板55に固定される。
【0067】
また、下部防塵ネット82が傾斜部53A及び傾斜部53Bに取り付けられる際、下端部82Bはシール部材S2に当て止めされることにより固定され(図2参照)、上端部82Aは樹脂製固定具CLで中渡し板55に固定される。シール部材S1及びシール部材S2としては、弾性部材或いは可撓性部材等、荷重が印加されることにより圧縮変形(弾性変形、可撓変形等を含む)するものが選定される。具体的には、例えば、ゴム部材、発泡部材、又は弾性樹脂部材等が用いられる。
【0068】
熱交換装置40及び防塵装置50は、図2に示すように、エンジン室34内の冷却風Wの流れ方向において冷却ファン35の上流側に固定される。
【0069】
旋回フレーム31における熱交換装置40及び防塵装置50の配設位置には、固定台38が形成されている。固定台38は、旋回フレーム31の床面に対して突出形成されている。そして、熱交換装置40は、固定台38上に固定されている。熱交換装置40がエンジン室34に固定された状態において、防塵装置50の上部はエンジンフード34aにより覆われる。エンジンフード34aは、外装カバー33に対して開閉可能な構成とされている。
【0070】
防塵装置50は、冷却風Wの流れ方向に対して熱交換装置40の上流側に配設されている。このため、防塵装置50は、熱交換装置40を構成するラジエタユニット40A、燃料クーラ40B、コンデンサ40C、オイルクーラ40D、及びインタークーラ40E等の各熱交換器に粉塵等の異物が侵入するのを防止でき、各熱交換器で目詰まりが発生することを防止できる。
【0071】
次に、主に図4を参照し、防塵装置50における防塵ネット80の着脱について説明する。以下の説明は、上部防塵ネット81の着脱に関するが、下部防塵ネット82の着脱についても同様に適用される。なお、図4(A)及び図4(B)は、異なる三つの時点のそれぞれにおける上部防塵ネット81の状態を示している。
【0072】
先ず、作業者が上部防塵ネット81をネット用ブラケット51A及びネット用ブラケット51Bから取り外す作業の内容について説明する。
【0073】
上部防塵ネット81をネット用ブラケット51A及びネット用ブラケット51Bから取り外す際、作業者は先ず樹脂製固定具CLを操作して、上部防塵ネット81の中渡し板55への固定を解除する。その後、作業者は把持部84を把持して、上部防塵ネット81の下端部81Bを手前下方に引く。
【0074】
ネット用ブラケット51Aの上端部近傍には、上部ガイド部材70Aが設けられ、ネット用ブラケット51Bの上端部近傍には、上部ガイド部材70Bが設けられている。上部ガイド部材70A、70Bは、その内部に形成された傾斜空間70C、70Dが下方から上方に向けて漸次狭くなる形状となっている。また、傾斜空間70Cは、傾斜空間70Dより広く、上部ガイド部材70A、70Bの係止面70yの前側部70yAの開口角度が、係止面70yの後側部70yBの開口角度より大きい。よって、作業者は上部防塵ネット81を取り外す際、手前下方に引くにしたがい、傾斜部52A、52Bに対して上部防塵ネット81を大きく傾けることができ、作業しやすい角度で取り外し作業を行うことができる。
【0075】
次に、作業者が上部防塵ネット81をネット用ブラケット51A及びネット用ブラケット51Bに取り付ける作業の内容について説明する。上部防塵ネット81をネット用ブラケット51A及びネット用ブラケット51Bに装着する際には、作業者は、把持部84を把持して上部防塵ネット81を持ち上げ、上端部81Aの左右の端部を上部ガイド部材70A、70Bに挿入する。
【0076】
上部ガイド部材70A、70Bは、固定面70xと係止面70yとを有している。係止面70yと傾斜部52A、52Bは、上部防塵ネット81の端部が傾斜空間70C、70D内に挿入されるときの前後方向(X軸方向)におけるガイドとして機能する。
【0077】
固定面70xは、上部防塵ネット81の端部が傾斜空間70C、70D内に挿入される際に、その左右の側部と係合することにより幅方向(Y軸方向)におけるガイドとして機能する。
【0078】
このように、上部防塵ネット81をネット用ブラケット51A及びネット用ブラケット51Bに取り付ける際、上部ガイド部材70A、70Bは、前後方向(X軸方向)と、前後方向に直交する幅方向(Y軸方向)との双方におけるガイドとして機能する。これにより、作業者は、上部防塵ネット81をネット用ブラケット51A及びネット用ブラケット51Bに取り付ける際に、ネット用ブラケット51A及びネット用ブラケット51Bに対する上部防塵ネット81の面倒な位置決めを省略できる。
【0079】
本実施形態の上部ガイド部材70A、70Bは、その内部に形成された傾斜空間70C、70Dが下方から上方に向けて漸次狭くなるように構成されている。更に、傾斜空間70Cは、傾斜空間70Dより広く、上部ガイド部材70A、70Bの係止面70yの前側部70yAの開口角度は、係止面70yの後側部70yBの開口角度より大きい。このため、作業者は、上部防塵ネット81の傾斜空間70C、70Dへの挿入を容易に行うことができる。
【0080】
また、ネット用ブラケット51A及びネット用ブラケット51とは、図4(B)に示すように、上端部及び下端部に比べて中央部分がX1方向に突出した形状となるように構成されている。
【0081】
したがって、作業者は、上部ガイド部材70A、70Bのそれぞれに設けられた切欠き70Kから上部防塵ネット81の上端部81Aが突き出るような傾斜角度(図4(B)の破線で表される状態)まで上部防塵ネット81を傾斜させようとしても、そのような傾斜角度まで上部防塵ネット81を傾斜させことはできない。上部防塵ネット81の下端部81Bがネット用ブラケット51A及びネット用ブラケット51Bのそれぞれの中央部分と接触するためである。
【0082】
そのため、上述の構成は、作業者が上部防塵ネット81を傾斜空間70D内に挿入する際に、上部防塵ネット81の上端部81Aが図4(B)の破線で表される状態になってしまうのを効果的に防止できる。
【0083】
ネット用ブラケット51A及びネット用ブラケット51Bの中央部分がX1方向に突出しない構成の場合には、上部防塵ネット81の挿入角度を制限する部材が別途設けられていてもよい。
【0084】
なお、上述の例では、防塵ネット80は、ネット用ブラケット51A及びネット用ブラケット51Bに取り付けられるが、第1フレーム部材41A及び第2フレーム部材41Bに取り付けられてもよい。そして、ネット用ブラケット51A及びネット用ブラケット51Bは省略されてもよい。この場合、第1フレーム部材41A及び第2フレーム部材41Bがブラケットの役割を果たす。そのため、上部ガイド部材70A、70B及び下部ガイド部材71A、71Bは、第1フレーム部材41A及び第2フレーム部材41Bに取り付けられる。
【0085】
次に、図5及び図6を参照し、樹脂製固定具CLの構成例について説明する。図5は、防塵ネット80を防塵装置50の本体に固定するための樹脂製固定具CLの斜視図である。具体的には、図5(A)は、防塵ネット80が防塵装置50の本体に固定される前における樹脂製固定具CLの分解斜視図であり、図5(B)は、防塵ネット80が防塵装置50の本体に固定された後における樹脂製固定具CLの組立斜視図である。図6は、防塵ネット80が防塵装置50の本体に固定された後における樹脂製固定具CLの状態を示す。具体的には、図6(A)は、防塵ネット80が防塵装置50の本体に固定された後における樹脂製固定具CLの上面図である。図6(B)は、図6(A)の一点鎖線L1を含むXZ平面に平行な仮想平面における樹脂製固定具CLの断面をブロック矢印BAで示すようにY1側から見たときの図である。
【0086】
樹脂製固定具CLは、第1部材に第2部材を着脱可能に固定できるように構成されている。本実施形態では、樹脂製固定具CLは、工具を用いずに第1部材に第2部材を取り付けることができ且つ第1部材から第2部材を取り外すことができるように構成されたワンタッチクリップである。第1部材は中渡し板55である。中渡し板55は、設置物としての防塵装置50の本体を構成する金属部材である。第2部材は枠体83である。枠体83は、防塵ネット80を構成する金属部材である。
【0087】
具体的には、樹脂製固定具CLは、第2部材としての枠体83の外側(前側であるX1側)に配置される外側部材90と、枠体83の内側(後側であるX2側)にある第1部材としての中渡し板55に固定される内側部材91とを有する。本実施形態では、外側部材90及び内側部材91は互いにかみ合うように構成される樹脂製部材である。外側部材90と内側部材91とは同じ樹脂材料で形成されていてもよく、異なる樹脂材料で形成されていてもよい。
【0088】
図5に示す例では、内側部材91は、延在部91T、基部91F、及び抜け止め部91Cを有する。そして、内側部材91は、抜け止め部91Cが中渡し板55に形成された貫通孔55Hに差し込まれて中渡し板55に固定される。中渡し板55の内側(後側であるX2側)には、図5(B)に示すように、ナットNTが溶接されている。
【0089】
抜け止め部91Cは、ナットNTのネジ孔に取り付けられるように構成されている。図5に示す例では、合成樹脂で形成された抜け止め部91Cは、ナットNTのネジ孔に差し込まれる。
【0090】
具体的には、抜け止め部91Cは、図7に示すように、ネジ孔に挿入されたときにネジ孔と嵌合する嵌合構造91Eを有する。図7は、内側部材91の構成例を示す図である。具体的には、図7(A)は、内側部材91の上面図であり、図7(B)は、内側部材91の左側面図である。
【0091】
嵌合構造91Eは、ネジ孔に挿入された抜け止め部91Cがネジ孔から抜けてしまうのを防止する構造であり、1又は複数の凸部を含む。図7に示す例では、嵌合構造91Eは、五つの凸部(第1凸部91E1~第5凸部91E5)を含む。第1凸部91E1~第5凸部91E5のそれぞれは、逆円錐台形状を有し、外周端がネジ孔の内壁と接触して変形するように構成されている。「逆円錐台形状」は、基部91Fに近い側の上底の半径が、基部91Fから遠い側の下底の半径より大きい形状を意味する。ネジ孔は、その直径が第1凸部91E1~第5凸部91E5のそれぞれの直径より僅かに小さくなるように形成されている。
【0092】
基部91Fは、抜け止め部91Cと延在部91Tとの間に形成される部分である。本実施形態では、基部91Fは、抜け止め部91Cがネジ孔に過度に差し込まれてしまうのを防止するストッパとしての機能を果たす。また、基部91Fは、外部から貫通孔55Hを通ってネジ孔の内部に水等の異物が侵入してしまうのを防止する栓としての機能を果たす。そのため、基部91Fは、正面視において、貫通孔55Hの開口よりも大きいサイズ(設置面積)を有するように構成されている。
【0093】
また、本実施形態では、内側部材91は、抜け止め部91Cと基部91Fとの間に括れ部91Nを有する。括れ部91Nは、基部91Fが抜け止め部91Cに関して傾斜するのを許容できるように構成されている。但し、括れ部91Nは、省略されてもよい。
【0094】
延在部91Tは、外側部材90と接触できるように構成されている。図5(B)に示す例では、延在部91Tは、中渡し板55の外側(前側であるX1側)に取り付けられた状態で、外方(X1方向)に延びるように構成されている。そして、延在部91Tは、枠体83に形成された貫通孔83Hに挿通される。具体的には、延在部91Tは、枠体83を貫通して延び、図5(B)に示すように、枠体83の外側(前側であるX1側)に突出するように構成されている。なお、貫通孔83Hは切欠きであってもよい。
【0095】
延在部91Tは、図6に示すように、内側係合部91Gを有する。内側係合部91Gは、外側部材90に形成された外側係合部90Lと係合するように構成されている。具体的には、内側係合部91Gは、図6(B)に示すように、延在部91Tの上面(Z1側の面)に形成された八つの凸部(第1凸部91G1~第8凸部91G8)を含む。
【0096】
外側部材90は、枠体83に形成された貫通孔83Hを貫通して延びる延在部91Tと接触するように構成されている。本実施形態では、外側部材90は、図5(B)に示すように、外壁部90W及び外側係合部90Lを有する。
【0097】
外壁部90Wは、図5(B)に示すように、その内面(後面であるX2側の面)が枠体83の外面(前面であるX1側の面)と接触するように構成されている。具体的には、外壁部90Wは、中渡し板55の外面に対して枠体83の内面を押し付けた状態で枠体83を固定できるように構成されている。
【0098】
外側係合部90Lは、外側部材90と内側部材91とが接触しているときに、内側部材91の延在部91Tに形成された内側係合部91Gと係合するように構成されている。
【0099】
図6に示す例では、外側部材90は、枠体83を貫通して延びる内側部材91の延在部91Tと接触した状態において、延在部91Tの延在方向(X軸方向)に沿って枠体83に近づく方向に移動可能で、且つ、延在部91Tの延在方向に沿って枠体83から遠ざかる方向に移動不能となるように構成されている。
【0100】
具体的には、外側係合部90Lと内側係合部91Gとはラチェット機構を実現できるように構成されている。図6に示す例では、外側係合部90Lは、ラチェット爪として機能し、内側係合部91Gは、ラチェット歯として機能するように構成されている。
【0101】
より具体的には、外側部材90は、外側係合部90Lと内側係合部91Gとがかみ合っているときに、延在部91Tの延在方向に沿って枠体83に近づく方向(X2方向)に移動可能で、且つ、延在部91Tの延在方向に沿って枠体83から遠ざかる方向(X1方向)に移動不能となるように構成されている。
【0102】
図6(B)に示す例では、外側係合部90Lの先端部90Tと第5凸部91G5の垂直面VSとが接触している場合には、外側部材90は、延在部91Tに対してX1方向に移動できないが、延在部91Tに対してX2方向に移動できる。先端部90Tは、第5凸部91G5の垂直面VSを超えてX1方向に移動することはできないが、第4凸部91G4の傾斜面SL上を摺動してX2方向に移動できるためである。なお、図6(B)は、先端部90Tが第4凸部91G4の傾斜面SL上を摺動してX2方向に移動した後で、第4凸部91G4の垂直面に接触しているときの樹脂製固定具CLの状態を示している。また、図6(B)の破線で表される図形90Laは、先端部90Tが第4凸部91G4の傾斜面SL上を摺動しているときの外側係合部90Lの状態を示している。また、図6(B)は、外側部材90の外壁部90Wの内面(X2側の面)が枠体83の外面(X1側の面)と接触し、且つ、枠体83を中渡し板55に押し付けているときの樹脂製固定具CLの状態を示している。この状態では、外側部材90は、先端部90Tと第4凸部91G4の垂直面との接触によってX1方向への移動が制限され、且つ、外壁部90Wの内面と枠体83の外面との接触によってX2方向への移動が制限されている。この場合、作業者は、外壁部90Wの両側をつまむことによって外側係合部90Lを弾性変形させて外側係合部90Lを上方(Z1方向)に反らせることができる。具体的には、作業者は、外壁部90WのY1側の側壁部とY2側の側壁部とを同時に内側に押し込むことによって外側係合部90Lの状態を図6(B)における図形90Laで示されるような状態にすることができる。そのため、作業者は、先端部90Tと第4凸部91G4の垂直面との係合(接触)を解除することができる。そして、作業者は、先端部90Tと第4凸部91G4の垂直面との接触を解除した状態で、外側部材90をX1方向に移動させることができる。
【0103】
この構成により、作業者は、内側部材91から外側部材90を簡単に取り外すことができるため、防塵装置50の本体から防塵ネット80を簡単に取り外すことができるようになる。また、この構成により、作業者は、防塵装置50の本体への防塵ネット80の取り付けと、防塵装置50の本体からの防塵ネット80の取り外しとを繰り返し行うことができる。
【0104】
次に、図8を参照し、外側部材90の別の構成例である外側部材90Aについて説明する。図8は、外側部材90Aの構成例を示す図である。具体的には、図8(A)は、外側部材90Aの左側面図であり、図8(B)は、外側部材90Aの正面図である。
【0105】
外側部材90Aは、係合解除部90Uを有する点で外側部材90と異なるが、その他の点で外側部材90と同じである。そのため、以下では、共通部分の説明が省略され、相違部分が詳説される。
【0106】
係合解除部90Uは、外側係合部90Lと内側係合部91Gとの間の係合を解除できるように構成されている。
【0107】
具体的には、係合解除部90Uは、外側係合部90Lの中央部から外方(X1方向)に延び、外壁部90Wの外端(X1側の端部)から外方(X1方向)に突き出るように構成されている。図8に示す例では、係合解除部90Uは、内側部材91の延在部91Tに沿って延びるように構成されたレバーである。
【0108】
作業者は、図8(A)の矢印AR1、及び、図8(B)の矢印AR2で示すように、係合解除部90Uを上方(Z1方向)に押し上げることで、外側係合部90Lと内側係合部91Gとの間の係合を解除できる。
【0109】
外側係合部90Lと内側係合部91Gとの間の係合が解除されると、外側部材90は、延在部91Tの延在方向に沿って枠体83から遠ざかる方向(X1方向)に移動可能となる。
【0110】
この構成により、作業者は、内側部材91から外側部材90を更に簡単に取り外すことができるため、防塵装置50の本体から防塵ネット80を更に簡単に取り外すことができるようになる。
【0111】
次に、図9を参照し、樹脂製固定具CLの別の構成例である樹脂製固定具CL1について説明する。図9は、樹脂製固定具CL1の構成例を示す図である。具体的には、図9は、樹脂製固定具CL1の左側面図である。
【0112】
樹脂製固定具CL1は、外側部材90Aを有する点、及び、連結部材92を有する点で、樹脂製固定具CLと異なるが、その他の点では樹脂製固定具CLと同じである。そのため、以下では、共通部分の説明が省略され、相違部分が詳説される。
【0113】
連結部材92は、外側部材90Aと内側部材91とを連結するための部材である。図9に示す例では、外側部材90A、内側部材91、及び連結部材92は、同じ一つの樹脂材料によって一体的に射出成形されている。
【0114】
具体的には、連結部材92は、その一端が外側部材90Aの外壁部90Wに連結され、且つ、その他端が内側部材91の基部91Fに連結されている。
【0115】
この構成は、内側部材91から外側部材90Aが取り外されたときの外側部材90Aの紛失を防止できる。
【0116】
上述のように、本発明の実施形態に係る樹脂製固定具CLは、設置物に取付部材を着脱可能に固定できるように構成されている。上述の実施形態では、設置物は防塵装置50であり、取付部材は、防塵ネット80の枠体83である。設置物は、セレクタバルブ、リレーボックス、又はバッテリ等であってもよい。設置物がセレクタバルブである場合、取付部材はセレクタバルブカバーであってもよい。設置物がリレーボックスの場合、取付部材は、リレーボックスカバーであってもよい。或いは、設置物がバッテリの場合、取付部材は、バッテリカバーであってもよい。なお、取付部材は、金属で形成された部材であってもよく、合成樹脂で形成された部材であってもよい。
【0117】
なお、セレクタバルブは、ショベルの操作レバーの操作方式を切り換えるための装置であり、例えば、キャブ10の後側に設置されている。リレーボックスは、ショベルの電気系統を構成するリレーが収容されるケースであり、キャブ10の後側に設置されている。バッテリは、例えば、ショベルに搭載されている各種電気機器に直流電圧を供給するための24Vのバッテリであり、外装カバー33と防塵装置50との間の空間に設置されている。
【0118】
上述の実施形態では、樹脂製固定具CLは、設置物に一方において固定される内側部材91と、設置物に対して取付部材を挟むように配置される外側部材90と、を含む。そして、内側部材91は、他方に向かって延びる延在部91Tを有し、外側部材90は、延在部91Tと接触した状態において、延在部91Tの延在方向に沿って取付部材に近づく方向に延在部91Tに対して移動可能で、且つ、延在部91Tの延在方向に沿って取付部材から遠ざかる方向に延在部91Tに対して移動不能となるように構成されている。具体的には、樹脂製固定具CLは、防塵ネット80(枠体83)の内側にある防塵装置50の本体(中渡し板55)に固定される内側部材91と、防塵ネット80(枠体83)の外側に配置される外側部材90と、を含む。そして、内側部材91は、防塵装置50の本体(中渡し板55)に取り付けられ、且つ、防塵ネット80(枠体83)を貫通して延びる延在部91Tを有する。外側部材90は、延在部91Tと接触した状態において、延在部91Tの延在方向に沿って防塵ネット80(枠体83)に近づく方向に延在部91Tに対して移動可能で、且つ、延在部91Tの延在方向に沿って防塵ネット80(枠体83)から遠ざかる方向に延在部91Tに対して移動不能となるように構成されている。
【0119】
この構成は、固定具による取付部材の損傷を抑制できるという効果をもたらす。固定具が樹脂材料で形成されているため、金属接触による取付部材の損傷を防止できるためである。同じ理由により、この構成は、例えば、取付部材としての防塵ネット80の耐久性等の品質が低下してしまうのを抑制できる。なお、金属接触による取付部材の損傷は、例えば、取付部材の塗装表面の損傷を含む。また、樹脂製固定具CLは、樹脂材料で形成されているため、錆びることもない。
【0120】
図6に示すように、延在部91Tは、内側係合部91Gを有するように構成されていてもよい。そして、外側部材90は、内側係合部91Gとかみ合うように構成された外側係合部90Lを有していてもよい。この場合、外側部材90は、内側係合部91Gと外側係合部90Lとがかみ合っているときに、延在部91Tの延在方向に沿って枠体83に近づく方向に延在部91Tに対して移動可能となり、且つ、延在部91Tの延在方向に沿って枠体83から遠ざかる方向に延在部91Tに対して移動不能となるように構成される。
【0121】
この構成は、ボルトによる締結の場合のように機械振動によって締結が緩んでしまうのを防止できる。そのため、この構成は、機械振動によって外側部材90が内側部材91から外れてしまうのを防止できる。
【0122】
外側部材90は、図8に示すように、内側係合部91Gと外側係合部90Lとの間の係合を解除する係合解除部90Uを有していてもよい。図8に示す例では、係合解除部90Uは、作業者が外側係合部90Lと内側係合部91Gとの間の係合を簡単に解除できるように構成されている。外側係合部90Lと内側係合部91Gとの間の係合が解除されると、外側部材90は、延在部91Tの延在方向に沿って基部91Fから遠ざかる方向に移動可能となる。
【0123】
この構成により、作業者は、内側部材91から外側部材90を簡単に取り外すことができるため、防塵装置50の本体から防塵ネット80を簡単に取り外すことができるようになる。
【0124】
内側部材91は、抜け止め部91Cを介して設置物に固定されていてもよい。例えば、内側部材91は、図6に示すように、抜け止め部91Cを介して防塵装置50の本体を構成する中渡し板55に固定されていてもよい。
【0125】
この構成により、作業者は、例えば、中渡し板55の裏側(後側であるX2側)の面に溶接されたナットNTのネジ孔に抜け止め部91Cを差し込むだけで内側部材91を中渡し板55に固定できる。そのため、作業者は、防塵装置50の本体に防塵ネット80を簡単に取り付けることができる。
【0126】
また、この構成により、作業者は、サインファスナーによる締結の場合に使用される特殊なリテーナ等を用いることなく、中渡し板55の裏側の面に予め溶接されたナットNTのネジ孔に抜け止め部91Cを差し込むだけで内側部材91を中渡し板55に固定できる。そのため、この構成は、特殊なリテーナが中渡し板55から外れ落ちてしまうといった問題を発生させることもない。
【0127】
内側部材91は、設置物に一体化されていてもよい。例えば、内側部材91は、中渡し板55に予め固定された状態で提供されてもよい。或いは、内側部材91が固定される設置物の部分が樹脂材料で形成される場合には、内側部材91は、設置物のその部分と一体的に成形されていてもよい。
【0128】
この構成により、作業者は、例えば、防塵装置50の本体に予め固定されている内側部材91の延在部91Tが、枠体83に形成された貫通孔83Hを貫通するように枠体83を位置付け、貫通孔83Hを貫通して伸びる延在部91Tに外側部材90を取り付けるだけで防塵ネット80を簡単に防塵装置50の本体に取り付けることができる。すなわち、作業者は、防塵装置50の本体に防塵ネット80を取り付ける際に、内側部材91を別途用意する必要はない。
【0129】
また、外側部材90は、取付部材に一体化されていてもよい。例えば、外側部材90は、枠体83に予め固定された状態で提供されてもよい。或いは、取付部材が樹脂材料で形成される場合には、外側部材90は、取付部材と一体的に成形されてもよい。
【0130】
この構成により、作業者は、枠体83に予め固定されている外側部材90を、貫通孔83Hを貫通して伸びる延在部91Tに取り付けるだけで防塵ネット80を簡単に防塵装置50の本体に取り付けることができる。すなわち、作業者は、防塵装置50の本体に防塵ネット80を取り付ける際に、外側部材90を別途用意する必要はない。
【0131】
また、外側部材90と内側部材91とは連結部材92を介して連結されていてもよい。例えば、図9に示す例では、外側部材90の一例である外側部材90Aと内側部材91とは連結部材92を介して連結されている。この構成は、内側部材91から外側部材90Aが取り外されたとき、すなわち、防塵装置50の本体から防塵ネット80が取り外されたときの外側部材90Aの紛失を防止できる。
【0132】
以上、本発明の好ましい実施形態について詳述したが、本発明は上記した特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形、変更等が可能である。
【0133】
例えば、上述の実施形態では、内側係合部91Gは、厚みの異なる様々な取付部材に対応できるように八つの凸部を有するように構成されている。しかしながら、凸部の数は、一つであってもよい。
【0134】
また、上述の実施形態では、内側係合部91Gは、延在部91Tの上面(Z1側の面)から上方(Z1方向)に突出する凸部であるが、延在部91Tの上面に形成された凹部又は溝部であってもよい。
【0135】
また、上述の実施形態では、ラチェット機構は、外側係合部90Lがラチェット爪として機能し、内側係合部91Gがラチェット歯として機能するように構成されているが、外側係合部90Lがラチェット歯として機能し、内側係合部91Gがラチェット爪として機能するように構成されていてもよい。この場合、図8に示すような係合解除部90Uは、内側部材91に設けられていてもよい。また、外側係合部90Lと内側係合部91Gとはラチェット機構以外の移動制限機構(動作方向を一方に制限する機構)を構成してもよい。
【0136】
また、図8に示す例では、外側係合部90Lは、延在部91Tの上面(Z1側の面)に形成された八つの凸部(第1凸部91G1~第8凸部91G8)と係合可能な先端部90Tを一つだけ有するように構成されている。しかしながら、外側係合部90Lは、複数の先端部90Tを有するように構成されていてもよい。図10に示す例では、外側係合部90Lは、三つの先端部90T(第1先端部90T1~第3先端部90T3)を有するように構成されている。
【0137】
図10は、防塵ネット80を防塵装置50の本体に固定するための樹脂製固定具CLの図である。具体的には、図10(A)は、防塵ネット80が防塵装置50の本体に固定された後における樹脂製固定具CLの組立斜視図であり、図5(B)に対応している。図10(B)は、樹脂製固定具CLの断面をY1側から見たときの図であり、図6(B)に対応している。なお、図10に示す内側部材91は、図7に示す内側部材91と同じである。また、図10に示す、外側部材90の別の構成例である外側部材90Bは、三つの先端部90T(第1先端部90T1~第3先端部90T3)を有する点で、図8に示す外側部材90Aと異なるが、その他の点においては図10に示す外側部材90Bと図8に示す外側部材90Aとは共通している。
【0138】
この構成は、外側部材90と内側部材91との間の係合強度を高めることができるという効果をもたらす。
【0139】
また、図8に示す例では、外側部材90Aは、内側部材91と係合するように構成され、枠体83に固定されるようには構成されていない。しかしながら、外側部材90Aは、枠体83に固定されるようには構成されていてもよい。図11に示す、外側部材90の別の構成例である外側部材90Cは、ボルトによって枠体83に締結されるように構成されている。具体的には、外側部材90Cは、外壁部90Wの下端(X2側の端部)から左方(Y1方向)及び右方(Y2方向)のそれぞれに延びるフランジ部90Fを有する。そして、フランジ部90Fの中央には、ボルトを受け入れるための貫通孔90Hが形成されている。より具体的には、フランジ部90Fは、左側フランジ部90FL及び右側フランジ部90FRを含む。そして、左側フランジ部90FLの中央には、ボルトを受け入れるための左側貫通孔90HLが形成され、右側フランジ部90FRの中央には、ボルトを受け入れるための右側貫通孔90HRが形成されている。この構成により、作業者は、防塵ネット80を防塵装置50の本体に固定する前に、外側部材90Cを防塵ネット80の枠体83に固定することができる。
【0140】
また、図8に示す例では、外側部材90Aは、左右方向(Y軸方向)に連続的に延びる先端部90Tを一つだけ有するように構成されている。しかしながら、外側部材90Aは、左右方向(Y軸方向)に断続的に並ぶ複数の先端部90Tを有するように構成されていてもよい。図11に示す例では、外側部材90Cは、左右方向(Y軸方向)に断続的に並ぶ二つの先端部90T(左側先端部90TL及び右側先端部90TR)を有するように構成されている。なお、左側先端部90TL及び右側先端部90TRのそれぞれは、図10(B)に示す例のように、前後方向(X軸方向)に並ぶ複数の先端部90Tを有していてもよい。
【0141】
この構成は、外側部材90と内側部材91との間の係合強度を更に高めることができるという効果をもたらす。
【符号の説明】
【0142】
1・・・下部走行体 2・・・旋回機構 3・・・上部旋回体 4・・・ブーム 5・・・アーム 7・・・ブームシリンダ 8・・・アームシリンダ 9・・・バケットシリンダ 10・・・キャブ 11・・・エンジン 31・・・旋回フレーム 32・・・カウンタウエイト 33・・・外装カバー 33A・・・メンテナンスドア 33B・・・上縁部 34・・・エンジン室 34a・・・エンジンフード 35・・・冷却ファン 36・・・フレーム体 37・・・支持体 38・・・固定台 39・・・上面カバー 40・・・熱交換装置 41・・・フレーム 50・・・防塵装置 51A、51B・・・ネット用ブラケット 52A、52B、53A、53B・・・傾斜部 54・・・補強板 55・・・中渡し板 55H・・・貫通孔 56・・・載置部 60・・・排気ガス処理装置 70A、70B・・・上部ガイド部材 70x・・・固定面 70y・・・係止面(上面) 70K・・・切欠き 71A、71B・・・下部ガイド部材 71x・・・固定面 71y・・・係止面 74・・・挿通部 80・・・防塵ネット 81・・・上部防塵ネット 82・・・下部防塵ネット 83・・・枠体 83H・・・貫通孔 90、90A~90C・・・外側部材 90F・・・フランジ部 90FL・・・左側フランジ部 90FR・・・右側フランジ部 90H・・・貫通孔 90HL・・・左側貫通孔 90HR・・・右側貫通孔 90L・・・外側係合部 90T・・・先端部 90T1・・・第1先端部 90T2・・・第2先端部 90T3・・・第3先端部 90TL・・・左側先端部 90TR・・・右側先端部 90U・・・係合解除部 90W・・・外壁部 91・・・内側部材 91C・・・抜け止め部 91E・・・嵌合構造 91E1・・・第1凸部 91E2・・・第2凸部 91E3・・・第3凸部 91E4・・・第4凸部 91E5・・・第5凸部 91F・・・基部 91G・・・内側係合部 91G1・・・第1凸部 91G2・・・第2凸部 91G3・・・第3凸部 91G4・・・第4凸部 91G5・・・第5凸部 91G6・・・第6凸部 91G7・・・第7凸部 91G8・・・第8凸部 91N・・・括れ部 91T・・・延在部 92・・・連結部材 CL、CL1・・・樹脂製固定具 F・・・ネット部材 NT・・・ナット S1、S2・・・シール部材 W・・・冷却風
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図10
図11