(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157886
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】電池用電極製造装置
(51)【国際特許分類】
H01M 4/04 20060101AFI20221006BHJP
H01M 4/139 20100101ALI20221006BHJP
【FI】
H01M4/04 Z
H01M4/139
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021062365
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】519100310
【氏名又は名称】APB株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002288
【氏名又は名称】三洋化成工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】堀江 英明
(72)【発明者】
【氏名】榎 健一郎
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 勇輔
【テーマコード(参考)】
5H050
【Fターム(参考)】
5H050AA19
5H050BA16
5H050BA17
5H050CA07
5H050CB07
5H050CB11
5H050GA27
5H050GA29
(57)【要約】
【課題】スリットを介したチャンバ内への空気の流入を抑制することができる電池用電極製造装置を提供する。
【解決手段】内部空間が大気圧よりも減圧されるチャンバと、前記チャンバに形成され、帯状の基材フィルムを所定単位ごとに分割して形成される基材フィルム層と当該基材フィルム層の表面に載置されるマスク層とを含む部材が複数連なった部材シートが、前記チャンバの外部空間から前記内部空間へ通過するための開口形状を有するスリットと、前記スリットを介した前記内部空間への空気の流入を抑制する流入抑制機構とを備える、電池用電極製造装置。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間が大気圧よりも減圧されるチャンバと、
前記チャンバに形成され、帯状の基材フィルムを所定単位ごとに分割して形成される基材フィルム層と当該基材フィルム層の表面に載置されるマスク層とを含む部材が複数連なった部材シートが、前記チャンバの外部空間から前記内部空間へ通過するための開口形状を有するスリットと、
前記スリットを介した前記内部空間への空気の流入を抑制する流入抑制機構と
を備える、電池用電極製造装置。
【請求項2】
前記流入抑制機構は、前記スリットを介した前記内部空間への空気の流入路を開閉可能なシャッタを含み、前記マスク層が通過する際に当該シャッタを開くように制御する、請求項1に記載の電池用電極製造装置。
【請求項3】
前記流入抑制機構は、前記マスク層を感知可能なセンサを含み、前記マスク層が前記シャッタの直前まで搬送されたことを前記センサによって感知した際に前記シャッタを開くように制御する、請求項2に記載の電池用電極製造装置。
【請求項4】
前記シャッタは、搬送される前記マスク層によって押し開かれるように構成される、請求項2に記載の電池用電極製造装置。
【請求項5】
前記流入抑制機構は、前記スリットと連続する内部空間を有する筒状スリットを含み、
前記部材シートは、前記スリット及び前記筒状スリットを介して、前記外部空間から前記内部空間に搬送される、請求項1~4のいずれか一項に記載の電池用電極製造装置。
【請求項6】
前記筒状スリットは、前記部材シートにおいて前記マスク層が配置される間隔と前記マスク層の搬送方向の寸法との差よりも、前記スリット及び前記筒状スリットにより形成される内部空間が当該搬送方向に長くなるように構成される、請求項5に記載の電池用電極製造装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池用電極製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、電池の製造工程において、基材フィルムへの活物質の供給が行われる場合がある。例えば、特許文献1及び2参照のように、集電体への活物質の供給が行われる場合がある。例えば、正極及び負極のいずれか一方の集電体上に、正極活物質、セパレータ、負極活物質、もう一方の集電体、及び、枠体を配置することで、電池用電極が製造される。なお、正極集電体、正極活物質、セパレータ、負極活物質、及び、負極集電体は、所定の順番で積層される。また、枠体は、集電体層の縁部に設けられ、セパレータや活物質層の外周を囲うように構成される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6633866号公報
【特許文献2】特開2019-207750号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、基材フィルムへの活物質の供給を、内部空間が大気圧よりも減圧されたチャンバ内で行なうという考え方がある。これにより、不純物の混入等を予防して、電池用電極の品質を向上させることができる。
【0005】
上記チャンバ内で電池用電極を製造する場合に当該製造の効率を向上させるためには、例えば、チャンバ外(常圧環境下)からチャンバ内(減圧環境下)に基材フィルムを連続的に供給する必要がある。本発明者らは、内部空間が大気圧よりも減圧されたチャンバにスリットを設け、当該スリットを介して、チャンバの外部空間から内部空間に、基材フィルムを含む部材(例えば、基材フィルム上にマスクを載置した部材)を搬送する構成を見出した。この構成とした場合、スリットを介してチャンバ内に空気が多量に流入すると、例えばチャンバ内の減圧状態に支障が生じる等の問題が生じるおそれがあるため、スリットを介した空気の流入は抑制されることが好ましい。
【0006】
本発明は、スリットを介したチャンバ内への空気の流入を抑制することができる電池用電極製造装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、内部空間が大気圧よりも減圧されるチャンバと、前記チャンバに形成され、帯状の基材フィルムを所定単位ごとに分割して形成される基材フィルム層と当該基材フィルム層の表面に載置されるマスク層とを含む部材が複数連なった部材シートが、前記チャンバの外部空間から前記内部空間へ通過するための開口形状を有するスリットと、前記スリットを介した前記内部空間への空気の流入を抑制する流入抑制機構とを備える、電池用電極製造装置である。
【発明の効果】
【0008】
本発明の電池用電極製造装置によれば、スリットを介したチャンバ内への空気の流入を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図2】
図2は、実施形態に係る電池用電極製造装置の概略構成図である。
【
図3A】
図3Aは、チャンバの内部空間への空気の流入について説明するための図である。
【
図3B】
図3Bは、チャンバの内部空間への空気の流入について説明するための図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る流入抑制機構の一例を示す図である。
【
図5A】
図5Aは、実施形態に係る流入抑制機構の一例を示す図である。
【
図5B】
図5Bは、実施形態に係る流入抑制機構の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る流入抑制機構の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態に係る流入抑制機構の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明の実施形態に係る電池用電極製造装置につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0011】
[実施形態]
図2に示す本実施形態に係る電池用電極製造装置1000は、
図1に示す単電池10に適用される電極20を製造するための電池用電極製造装置である。以下では、まず、
図1を参照して単電池10、電極20の基本的な構成について説明した後、
図2等を参照して電池用電極製造装置1000について詳細に説明する。
【0012】
<単電池>
単電池10は、本実施形態では、非水電解質二次電池の1種であるリチウムイオン二次電池である。リチウムイオン二次電池は、正極20aと負極20bとの間をリチウムイオンが移動することで充電や放電を行う二次電池である。
【0013】
なお、以下の説明において「正極20a」と「負極20b」とを特に区別して説明する必要がない場合、単に「電極20」と記載する場合がある。また、「正極集電体層21a」と「負極集電体層21b」とを特に区別して説明する必要がない場合、単に「集電体層21」と記載する場合がある。また、「正極活物質層22a」と「負極活物質層22b」とを特に区別して説明する必要がない場合、単に「活物質層22」と記載する場合がある。
【0014】
単電池10は、
図1に示すように、正極20aと、負極20bと、セパレータ30と、枠体35とを有する。正極20aは、単電池10を構成する2つの電極(電池用電極)20のうち、一方の電極20である。負極20bは、単電池10を構成する2つの電極20のうち、他方の電極20である。セパレータ30は、正極20aと負極20bとの間に配置される板状の部材である。枠体35は、セパレータ30の周縁部を囲う枠状の部材である。単電池10は、正極20a、セパレータ30、負極20bの順番で積層され、かつ、枠体35がセパレータ30の周縁部を囲う位置関係で一体化される。
【0015】
正極20aは、正極集電体層21aと、正極活物質層22aとを有し、正極集電体層21aの両面のうち、一方の面に正極活物質層22aが電気的に結合している。一方、負極20bは、負極集電体層21bと、負極活物質層22bとを有し、負極集電体層21bの両面のうち、一方の面に負極活物質層22bが電気的に結合している。本実施形態における正極20aおよび負極20bは、矩形板状に形成されている。
【0016】
セパレータ30は、正極20aと負極20bとの間の隔壁として機能し、正極活物質層22aと負極活物質層22bとが互いに接触することを抑制するものである。本実施形態におけるセパレータ30は、正極集電体層21aおよび負極集電体層21bよりも小さい矩形板状に形成されている。
【0017】
枠体35は、単電池10の骨格を形成するものである。枠体35は、正極集電体層21aとセパレータ30との間で正極活物質層22aを封止し、負極集電体層21bとセパレータ30との間で、負極活物質層22bを封止するものである。本実施形態における枠体35は、セパレータ30の外周を囲う額縁状に形成されている。
【0018】
単電池10は、正極集電体層21a、正極活物質層22a、セパレータ30、負極活物質層22b、負極集電体層21bの順番で積層される。つまり、単電池10では、正極集電体層21a及び負極集電体層21bが最外層に配置される。即ち、単電池10では、集電体層21が単電池10の外部に露出する。
【0019】
なお、
図1は、セパレータ30の一部が枠体35に入り込むように構成される場合を示している。すなわち、
図1では、セパレータ30は、枠体35に周縁部を囲まれる活物質層22と比較して、幅が若干大きくなっており、その一部が枠体35に食い込んでいる。しかしながら、実施形態はこれに限定されるものではなく、例えば、正極活物質層22a、負極活物質層22b及びセパレータ30の幅が同じになるように構成してもよい。また、
図1に示す枠体35は、一体的に製造されてもよいし、正極20a側の枠体35と負極20b側の枠体35とを別個に製造して結合させることにより製造されてもよい。
【0020】
<組電池>
単電池10は、複数組み合わせて、電圧及び容量を調節した組電池、すなわち電池パックの形態で使用することが可能である。組電池は、平板状の複数の単電池10を厚さ方向において積層して構成されている。厚さ方向において隣り合う単電池10は、互いの異なる電極20が接触、すなわち一方の正極20aと他方の負極20bとが接触するように積層される。組電池は、可撓性を有する絶縁材料で構成される外層フィルム、例えばラミネートフィルムにより、内部の単電池10が覆われている。組電池は、複数の単電池10の厚さ方向における両端に位置する正極20aおよび負極20bにそれぞれ電気的に接続される取り出し部が設けられる。取り出し部は、一部が外装フィルムの外部に露出しており、外部において電気的に接続された電気機器に電力が供給される。
【0021】
<正極集電体の具体例>
正極集電体層21aを構成する正極集電体としては、公知のリチウムイオン単電池に用いられる集電体を用いることができ、例えば、公知の金属集電体及び導電材料と樹脂とから構成されてなる樹脂集電体(特開2012-150905号公報及び国際公開第2015-005116号等に記載の樹脂集電体等)を用いることができる。正極集電体層21aを構成する正極集電体は、電池特性等の観点から、樹脂集電体であることが好ましい。
【0022】
金属集電体としては、例えば、銅、アルミニウム、チタン、ニッケル、タンタル、ニオブ、ハフニウム、ジルコニウム、亜鉛、タングステン、ビスマス、アンチモン及びこれらの金属を1種以上含む合金、並びに、ステンレス合金からなる群から選択される一種以上の金属材料が挙げられる。これらの金属材料は、薄板や金属箔等の形態で用いてもよい。また、上記金属材料以外で構成される基材表面にスパッタリング、電着、塗布等の方法により上記金属材料を形成したものを金属集電体として用いてもよい。
【0023】
樹脂集電体としては、導電性フィラーとマトリックス樹脂とを含むことが好ましい。マトリックス樹脂としては、例えば、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン(PMP)等が挙げられるが、特に限定されない。また、導電性フィラーは、導電性を有する材料から選択されれば特に限定されない。導電性フィラーは、その形状が繊維状である導電性繊維であってもよい。
【0024】
樹脂集電体は、マトリックス樹脂及び導電性フィラーのほかに、その他の成分(分散剤、架橋促進剤、架橋剤、着色剤、紫外線吸収剤、可塑剤等)を含んでいてもよい。また、複数の樹脂集電体を積層して用いてもよく、樹脂集電体と金属箔とを積層して用いても良い。
【0025】
正極集電体層21aの厚さは、特に限定されないが、5~150μmであることが好ましい。複数の樹脂集電体を積層して正極集電体層21aとして用いる場合には、積層後の全体の厚さが5~150μmであることが好ましい。正極集電体層21aは、例えば、マトリックス樹脂、導電性フィラー及び必要により用いるフィラー用分散剤を溶融混練して得られる導電性樹脂組成物を公知の方法でフィルム状に成形することにより得ることができる。
【0026】
<正極活物質の具体例>
正極活物質層22aは、正極活物質を含む混合物の非結着体であることが好ましい。ここで、非結着体とは、正極活物質層中において正極活物質の位置が固定されておらず、正極活物質同士及び正極活物質同士及び正極活物質と集電体とが不可逆的に固定されていないことを意味する。正極活物質層22aが非結着体である場合、正極活物質同士は不可逆的に固定されていないため、正極活物質同士の界面を機械的に破壊することなく分離することができ、正極活物質層22aに応力がかかった場合でも正極活物質が移動することで正極活物質層22aの破壊を防止することができ好ましい。非結着体である正極活物質層22aは、正極活物質層22aを、正極活物質と電解液とを含みかつ結着剤を含まない正極活物質層22aにする等の方法で得ることができる。なお、本明細書において、結着剤とは、正極活物質同士及び正極活物質と集電体とを可逆的に固定することができない薬剤を意味し、デンプン、ポリフッ化ビニリデン、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、テトラフルオロエチレン、スチレン-ブタジエンゴム、ポリエチレン及びポリプロピレン等の公知の溶剤乾燥型のリチウムイオン電池用結着剤等が挙げられる。これらの結着剤は、溶剤に溶解又は分散して用いられ、溶剤を揮発、留去することで表面が粘着性を示すことなく固体化するので正極活物質同士及び正極活物質と集電体とを可逆的に固定することができない。
【0027】
正極活物質としては、例えば、リチウムと遷移金属との複合酸化物、遷移金属元素が2種である複合酸化物、金属元素が3種類以上である複合酸化物等が挙げられるが、特に限定されない。
【0028】
正極活物質は、その表面の少なくとも一部が高分子化合物を含む被覆材により被覆された被覆正極活物質であってもよい。正極活物質の周囲が被覆材で被覆されていると、正極の体積変化が緩和され、正極の膨張を抑制することができる。
【0029】
被覆材を構成する高分子化合物としては、特開2017-054703号公報及び国際公開第2015-005117号等に活物質被覆用樹脂として記載されたものを好適に用いることができる。
【0030】
被覆材には、導電剤が含まれていてもよい。導電剤としては、正極集電体層21aに含まれる導電性フィラーと同様のものを好適に用いることができる。
【0031】
正極活物質層22aには、粘着性樹脂が含まれていてもよい。粘着性樹脂としては、例えば、特開2017-054703号公報に記載された非水系二次電池活物質被覆用樹脂に少量の有機溶剤を混合してそのガラス転移温度を室温以下に調節したもの、及び、特開平10-255805号公報に粘着剤として記載されたもの等を好適に用いることができる。なお、粘着性樹脂は、溶媒成分を揮発させて乾燥させても固体化せずに粘着性(水、溶剤、熱などを使用せずに僅かな圧力を加えることで接着する性質)を有する樹脂を意味する。一方、結着剤として用いられる溶液乾燥型の電極用バインダーは、溶媒成分を揮発させることで乾燥、固体化して活物質同士を強固に接着固定するものを意味する。したがって、上述した結着剤(溶液乾燥型の電極バインダー)と粘着性樹脂とは、異なる材料である。
【0032】
正極活物質層22aには、電解質と非水溶媒を含む電解液が含まれていてもよい。電解質としては、公知の電解液に用いられているもの等が使用できる。非水溶媒としては、公知の電解液に用いられているもの(例えば、リン酸エステル、ニトリル化合物等及びこれらの混合物等)等が使用できる。例えば、エチレンカーボネート(EC)とジメチルカーボネート(DMC)の混合液、又は、エチレンカーボネート(EC)とプロピレンカーボネート(PC)の混合液を用いることができる。
【0033】
正極活物質層22aには、導電助剤が含まれていてもよい。導電助剤としては、正極集電体層21aに含まれる導電性フィラーと同様の導電性材料を好適に用いることができる。
【0034】
正極活物質層22aの厚さは、特に限定されるものではないが、電池性能の観点から、150~600μmであることが好ましく、200~450μmであることがより好ましい。
【0035】
<負極集電体の具体例>
負極集電体層21bを構成する負極集電体としては、正極集電体で記載した構成と同様のものを適宜選択して用いることができ、同様の方法により得ることができる。負極集電体層21bは、電池特性等の観点から、樹脂集電体であることが好ましい。負極集電体層21bの厚さは、特に限定されないが、5~150μmであることが好ましい。
【0036】
<負極活物質の具体例>
負極活物質層22bは、負極活物質を含む混合物の非結着体であることが好ましい。負極活物質層が非結着体であることが好ましい理由、及び非結着体である負極活物質層22bを得る方法等は、正極活物質層22aが非結着体であることが好ましい理由、及び非結着体である正極活物質層22aを得る方法と同様である。
【0037】
負極活物質としては、例えば、炭素系材料、珪素系材料及びこれらの混合物などを用いることができるが、特に限定されない。
【0038】
負極活物質は、その表面の少なくとも一部が高分子化合物を含む被覆材により被覆された被覆負極活物質であってもよい。負極活物質の周囲が被覆材で被覆されていると、負極の体積変化が緩和され、負極の膨張を抑制することができる。
【0039】
被覆材としては、被覆正極活物質を構成する被覆材と同様のものを好適に用いることができる。
【0040】
負極活物質層22bは、電解質と非水溶媒を含む電解液を含有する。電解液の組成は、正極活物質層22aに含まれる電解液と同様の電解液を好適に用いることができる。
【0041】
負極活物質層22bには、導電助剤が含まれていてもよい。導電助剤としては、正極活物質層22aに含まれる導電性フィラーと同様の導電性材料を好適に用いることができる。
【0042】
負極活物質層22bには、粘着性樹脂が含まれていてもよい。粘着性樹脂としては、正極活物質層22aの任意成分である粘着性樹脂と同様のものを好適に用いることができる。
【0043】
負極活物質層22bの厚さは、特に限定されるものではないが、電池性能の観点から、150~600μmであることが好ましく、200~450μmであることがより好ましい。
【0044】
<セパレータの具体例>
セパレータ30に保持される電解質としては、例えば、電解液又はゲルポリマー電解質などが挙げられる。セパレータ30は、これらの電解質を用いることで、高いリチウムイオン伝導性が確保される。セパレータ30の形態としては、例えば、ポリエチレン又はポリプロピレン製の多孔性フィルム等が挙げられるが、特に限定されない。
【0045】
<枠体の具体例>
枠体35としては、電解液に対して耐久性のある材料であれば特に限定されないが、例えば、高分子材料が好ましく、熱硬化性高分子材料がより好ましい。枠体35を構成する材料としては、絶縁性、シール性(液密性)、電池動作温度下での耐熱性等を有するものであればよく、樹脂材料が好適に採用される。より具体的には、枠体35としては、例えば、エポキシ系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリウレタン系樹脂及びポリフッ化ビニリデン樹脂等が挙げられ、耐久性が高く取り扱いが容易であることからエポキシ系樹脂が好ましい。
【0046】
<製造装置>
次に、電池用電極製造装置1000について説明する。
図2は、電池用電極製造装置1000の概略図である。例えば、電池用電極製造装置1000は、チャンバ100、枠体供給装置200、活物質供給装置300、ロールプレス400、及び、流入抑制機構500を含む。
【0047】
なお、以下では、基材フィルムが帯状の集電体21Bである場合を一例として説明する。即ち、以下では、電池用電極製造装置1000として、集電体への活物質の供給を行なう装置について説明する。但し、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、基材フィルムは、集電体、セパレータ、転写用のフィルムのいずれでもよい。基材フィルムがセパレータや転写用のフィルムである場合でも、以下で説明する実施形態は同様に適用が可能である。
【0048】
また、以下では、集電体層21と枠体35とを含む部材が複数連なった部材シートがチャンバ100の内部に搬送される場合について説明する。即ち、以下では、基材フィルムと、当該基材フィルムの表面に載置される枠体35とを含む部材が複数連なった部材シートがチャンバ100の内部に搬送される場合について説明する。しかしながら実施形態はこれに限定されるものではなく、基材フィルムと、当該基材フィルムの表面に載置されるマスク層とを含む部材が複数連なった部材シートがチャンバ100の内部に搬送される場合であれば同様に適用が可能である。
【0049】
マスク層は、マスク、枠体35のいずれでもよく、基材フィルムが例えば集電体21Bである場合は枠体35(枠体付き集電体)が用いられ、基材フィルムが例えば転写用のフィルムである場合は、マスク(マスク付き基材フィルム)が用いられる。基材フィルム層の表面にマスク層が載置された部材シートを用いる場合には、部材シート上に形成した活物質層(電極組成物層)を、集電体もしくは枠付き集電体へ転写して使用することができ、これにより、リチウムイオン電池用電極を得ることができる。
【0050】
チャンバ100は、内部空間が大気圧よりも減圧される。具体的には、チャンバ100の内部空間は、図示しない減圧ポンプにより大気圧よりも減圧される。なお、標準大気圧は、約1013hPa(約105Pa)である。また、チャンバ100は、内部空間と外部空間とを連通するスリット101を有する。
【0051】
例えば、チャンバ100の外部に集電体ロール21Rが配置され、集電体ロール21Rからは帯状の集電体21Bが引き出される。なお、集電体21Bは、集電体層21が所定の形状に切り出される前のものである。即ち、集電体21Bを所定単位ごとに分割することで、
図1に示した集電体層21が形成される。集電体21Bは、ベルトコンベア等の搬送装置により、搬送方向Dに沿って所定の速度で搬送される。以下では、集電体21Bが搬送される方向を下流側D1、その反対方向を上流側D2として説明する。
【0052】
枠体供給装置200は、搬送される集電体21Bに対して枠体35を供給する。例えば、枠体供給装置200は、ロボットアームを有し、事前に製造された枠体35を、搬送される集電体21B上の所定の位置に配置する。なお、枠体35を集電体21Bに配置した後、集電体21B及び枠体35を挟み込むようにロールプレスで圧縮することとしてもよい。
【0053】
なお、枠体35を製造する方法については特に限定されるものではない。例えば、枠体35は、高分子材料等の所定の材料から成るシート乃至ブロックに対する切削加工によって、所定の形状に形成することができる。一例を挙げると、枠体35は、所定の材料から成る素材シートから打ち抜くことで得られる。
【0054】
また、例えば、枠体35は、射出成形等の枠型を用いた手法によって、所定の形状に形成することができる。一例を挙げると、所定の形状の内部空間を有する金型が事前に作製され、当該金型に対する射出成形を行なうことにより、枠体35を所定の形状に形成することができる。
【0055】
また、例えば、枠体35は、基材上に所定の材料を吐出したり塗布したりすることで、所定の形状に形成することができる。一例を挙げると、枠体35は、ディスペンサーによって所定の形状に形成することができる。即ち、ディスペンサーによる制御の下、ノズルから基材に対して所定の材料を所定の量だけ吐出させることにより、枠体35を形成することができる。別の例を挙げると、スクリーン印刷機等のコーターによって、基材上に所定の材料を所定の形状に塗布することで、枠体35を形成することができる。
【0056】
より具体的には、枠体35は、ディスペンサーやコーター等によって、基材上に、所定の材料を所定の形状となるように吐出又は塗布し、乾燥後に基材から剥離させることで形成することができる。或いは、枠体35は、ディスペンサーやコーター等によって、基材上に、2液硬化樹脂やUV硬化用樹脂といった所定の材料を所定の形状となるように吐出又は塗布し、硬化後に基材から剥離させることで形成することができる。
【0057】
その他、枠体35は、種々の手法によって所定の形状に形成することが可能である。例えば、所定の形状となるように、所定の材料から成るシート乃至ブロックを組むことによって、枠体35を所定の形状に形成してもよい。また、例えば、所定の材料から成るシートを基材の長手方向に配置し、垂直方向に当該材料を吐出又は塗布することで、枠体35を所定の形状に形成してもよい。或いは、枠体35は、任意方式の3Dプリンタによって製造することもできる。
【0058】
また、予め製造された枠体35を集電体21B上に置くものとして説明したが、実施形態はこれに限定されるものではない。例えば、枠体35は、集電体21Bの上で製造されてもよい。一例を挙げると、集電体21Bを基材とし、ディスペンサーやコーター等によって集電体21B上に所定の材料を所定の形状に吐出又は塗布することで、集電体21B上に枠体35を形成することができる。
【0059】
図2に示すように、集電体ロール21R及び枠体供給装置200は、チャンバ100の外部空間に配置されている。集電体ロール21R及び枠体供給装置200が配置される空間は、常圧であってもよいし、チャンバ100と異なるチャンバによって減圧されていてもよい。
【0060】
図2に示すように、集電体21B及び枠体35は、スリット101を介して、チャンバ100の内部空間に搬送される。即ち、集電体21B及び枠体35は、集電体層21と枠体35とを含む部材が複数連なった部材シートの形態で、チャンバ100の内部空間に搬送される。スリット101は、当該部材シートが、チャンバ100の外部空間から内部空間へ通過するための開口形状を有する。
【0061】
ここで、集電体21B及び枠体35がスリット101を介してチャンバ100の内部空間に搬送される際には、スリット101を介して、チャンバ100の内部空間に空気が流入してしまう場合がある。例えば
図3Aに示すように、集電体21B上に配置された複数の枠体35の間に隙間がある場合、当該隙間がスリット101に位置している間、当該隙間を通った空気がチャンバ100の内部空間に流入してしまう場合がある。また、枠体35は、後に活物質層22が形成されることとなる内部空間35aを有した部材である。そして、例えば
図3Bに示すように、枠体35の内部空間35aがスリット101に位置している間、枠体35の内部空間35aを通った空気がチャンバ100の内部空間に流入してしまう場合がある。
【0062】
そこで、実施形態に係る電池用電極製造装置1000は、
図2に示すように、流入抑制機構500を更に備える。流入抑制機構500は、集電体21B及び枠体35がチャンバ100の内部空間に搬送される際に、スリット101を介した空気の流入を抑制する。流入抑制機構500の具体例については後述する。
【0063】
活物質供給装置300は、チャンバ100の内部空間に配置され、搬送される集電体21B上に粉体状の活物質22cを供給する。なお、活物質22cは、電極活物質及び導電助剤を含む、複数の電極用造粒粒子のことを意味する。
【0064】
例えば、活物質供給装置300は、スクリューコンベアやホッパ、シャッタ等を備える。この場合、活物質22cは、スクリューコンベアによって運搬され、ホッパの内部に収容される。また、ホッパは開口を有し、当該開口はシャッタによって開閉される。例えば、活物質供給装置300は、ホッパの開口の下方に枠体35の内部空間35aが位置する時にシャッタを制御して開口を開くことにより、集電体21B上であって枠体35の内部空間35aの位置に、活物質22cを供給することができる。
【0065】
ロールプレス400は、集電体21B上に供給された活物質22cを圧縮する。例えば、ロールプレス400は、一対の圧縮ローラと駆動部とを有する。一対の圧縮ローラの間には、集電体21B、枠体35、及び活物質22cが挟まれる。ロールプレス400は、第1の厚さの活物質22cを、第1の厚さよりも薄い第2の厚さに圧縮する。例えば、第2の厚さは、枠体35の厚さである。これにより、
図1に示した活物質層22が形成される。
【0066】
上述した各種工程の後、帯状の集電体21Bを所定単位ごとに分割することで、集電体層21及び活物質層22を含んだ電極20が製造される。また、一対の電極20(すなわち、正極20a及び負極20b)を、セパレータ30を介して互いに向かい合わせに積層するなどして、単電池10が製造される。また、複数の単電池10を厚さ方向に積層し、複数の単電池10を外装体でシーリングするなどして、組電池が製造される。
【0067】
次に、流入抑制機構500の具体例について説明する。まず、
図4を用いて、流入抑制機構510について説明する。流入抑制機構510は、
図2に示した流入抑制機構500の一例であり、チャンバ100の内部空間への空気の流入路を開閉可能なシャッタ512を含む。流入抑制機構510は、枠体35が通過する際に当該シャッタ512を開くように制御する。
【0068】
より具体的には、流入抑制機構510は、筒状スリット511と、シャッタ512と、アクチュエータ513と、センサ514とを含む。筒状スリット511は、チャンバ100のスリット101と連続する内部空間を有する。即ち、
図4に示す場合、集電体21B及び枠体35は、チャンバ100のスリット101及び筒状スリット511を介して、チャンバ100の内部空間に搬送される。更に、筒状スリット511は、シャッタ512が差し込まれるスリットを有する。シャッタ512は、筒状スリット511の内部空間に差し込まれ、また、搬送方向Dと交差する方向に移動可能に構成される。例えば、
図4に示す場合、シャッタ512は、アクチュエータ513によって上下方向に移動される。なお、アクチュエータ513は、例えばモータと駆動機構を有し、シャッタ512を
図4に示す上下方向に移動させる。センサ514は、例えば光学センサであり、枠体35を感知する。より具体的には、センサ514は、シャッタ512に対する枠体35の位置を感知する。なお、筒状スリット511やシャッタ512の材質については特に限定されるものではなく、金属や樹脂などの任意の材料を選択することができる。
【0069】
例えば、流入抑制機構510は、センサ514による感知結果に応じて、シャッタ512に対する枠体35の位置を判定する。そして、流入抑制機構510は、枠体35が通過する際にシャッタ512を開くように制御する。
【0070】
より具体的には、
図4に示す場合、シャッタ512の位置には、枠体35の間の隙間が位置している。この場合、流入抑制機構510は、アクチュエータ513の動作を制御してシャッタ512を
図4に示す下方向に移動させることにより、シャッタ512を閉じる。これにより、枠体35の間の隙間を通った空気がチャンバ100の内部空間に流入してしまうことが回避される。なお、シャッタ512の下方向への移動は、アクチュエータ513でなく、自由落下により実現されてもよい。一方で、枠体35がシャッタ512の直前まで搬送されたことをセンサ514によって感知した場合、流入抑制機構510は、アクチュエータ513の動作を制御してシャッタ512を
図4に示す上方向に移動させることにより、シャッタ512を開く。
【0071】
このように、流入抑制機構510は、枠体35が通過する際にシャッタ512を開くように制御することで、チャンバ100の内部空間への空気の流入を抑制する。即ち、流入抑制機構510は、チャンバ100の内部空間への空気の流入路を、枠体35が通過する間は開き、枠体35が通過しない間は閉じることで、チャンバ100の内部空間への空気の流入を抑制することができる。
【0072】
次に、
図5A及び
図5Bを用いて、流入抑制機構520について説明する。流入抑制機構520は、
図2に示した流入抑制機構500の一例であり、チャンバ100の内部空間への空気の流入路を開閉可能なシャッタ522を含む。流入抑制機構510は、枠体35が通過する際に当該シャッタ522を開くように制御する。なお、
図5A及び
図5Bでは、枠体35が集電体21B上に隙間なく配置される場合を示すが、枠体35の間に隙間が設けられる場合であっても同様に適用が可能である。
【0073】
より具体的には、流入抑制機構520は、筒状スリット521と、シャッタ522とを含む。筒状スリット521は、チャンバ100のスリット101と連続する内部空間を有する。即ち、
図5A及び
図5Bに示す場合、集電体21B及び枠体35は、チャンバ100のスリット101及び筒状スリット521を介して、チャンバ100の内部空間に搬送される。
【0074】
なお、
図5A及び
図5Bには、集電体21B及び枠体35を挟み込むように配置されたローラを示している。当該ローラは、集電体21Bを下流側D1に搬送させるための搬送機構であってもよいし、集電体21Bが縒れないようにテンションを付加するテンションローラであってもよいし、集電体21Bと枠体35とを圧着させるための圧縮ローラであってもよい。スリット101の近傍にはこのようなローラが配置される場合があるところ、筒状スリット521の形状は、ローラの位置やサイズを考慮して適宜変更することができる。図示は省略したが、
図4の筒状スリット511についても同様である。
【0075】
シャッタ522は、筒状スリット521の内部空間に配置され、回転移動できるように構成される。
図5A及び
図5Bに示す場合、シャッタ522は、奥行き方向を回転軸として回転可能に構成される。なお、筒状スリット521やシャッタ522の材質については特に限定されるものではなく、金属や樹脂などの任意の材料を選択することができる。
【0076】
流入抑制機構520は、枠体35が通過する際にシャッタ522を開くように制御する。より具体的には、
図5Aに示す場合、シャッタ522の位置には枠体35の内部空間35aが位置しており、シャッタ522は、当該内部空間35aを遮蔽する。これにより、内部空間35aを通った空気がチャンバ100の内部空間に流入してしまうことが回避される。また、
図5Bに示ように、シャッタ522の位置まで枠体35が搬送された場合、シャッタ522は、当該枠体35によって押し開かれる。
【0077】
このように、流入抑制機構520は、枠体35が通過する際にシャッタ522を開くように制御することで、チャンバ100の内部空間への空気の流入を抑制する。即ち、流入抑制機構520は、チャンバ100の内部空間への空気の流入路を、枠体35が通過する間は開き、枠体35が通過しない間は閉じることで、チャンバ100の内部空間への空気の流入を抑制することができる。
【0078】
次に、
図6を用いて、筒状スリット530について説明する。筒状スリット530は、
図2に示した流入抑制機構500の一例である。筒状スリット530は、チャンバ100のスリット101と連続する内部空間を有する。即ち、
図6に示す場合、集電体21B及び枠体35は、チャンバ100のスリット101及び筒状スリット530を介して、チャンバ100の内部空間に搬送される。なお、筒状スリット530の材質については特に限定されるものではなく、金属や樹脂などの任意の材料を選択することができる。
【0079】
筒状スリット530は、搬送される枠体35の少なくとも1つが、常時、スリット101及び筒状スリット530により形成される内部空間に位置するように、搬送方向Dの長さが調整される。具体的には、筒状スリット530は、集電体21B及び枠体35を含む部材シートにおいて、枠体35が配置される間隔と、枠体35の搬送方向Dの寸法との差よりも、スリット101及び筒状スリット530により形成される内部空間が搬送方向Dに長くなるように構成される。これにより、スリット101及び筒状スリット530により形成される内部空間から1つの枠体35が下流側D1に排出されるよりも前に、他の枠体35が上流側D2から当該内部空間に搬入され、少なくとも1つの枠体35が常時当該内部空間に位置することとなる。即ち、スリット101及び筒状スリット530により形成される内部空間は、少なくとも1つの枠体35によって常時閉じられた状態となる。このように、筒状スリット530は、チャンバ100の内部空間への空気の流入を抑制することができる。
【0080】
図7は、スリット101の近傍にローラが配置される場合を示す。この場合、電池用電極製造装置1000は、筒状スリット540によって、筒状スリット530と同様にチャンバ100の内部空間への空気の流入を抑制することができる。即ち、筒状スリット540は、搬送される枠体35の少なくとも1つが、常時、スリット101及び筒状スリット540により形成される内部空間に位置するように、搬送方向Dの長さが調整される。
なお、
図7に示すローラは、集電体21Bを下流側D1に搬送させるための搬送機構であってもよいし、集電体21Bが縒れないようにテンションを付加するテンションローラであってもよいし、集電体21Bと枠体35とを圧着させるための圧縮ローラであってもよい。また、筒状スリット540の材質については特に限定されるものではなく、金属や樹脂などの任意の材料を選択することができる。
【0081】
以上説明したように、実施形態の電池用電極製造装置1000は、チャンバ100と、スリット101と、流入抑制機構500とを少なくとも備える。チャンバ100は、内部空間が大気圧よりも減圧される。スリット101は、チャンバ100に形成され、帯状の集電体21Bを所定単位ごとに分割して形成される集電体層21と当該集電体層21の表面に載置される枠体35とを含む部材が複数連なった部材シートが、チャンバ100の外部空間から内部空間へ通過するための開口形状を有する。流入抑制機構500は、スリット101を介したチャンバ100の内部空間への空気の流入を抑制する。これにより、スリット101を介したチャンバ100内への空気の流入を抑制し、チャンバ100内の減圧状態を維持することができる。ひいては、電池用電極製造装置1000により製造される電極20の品質を向上させることができる。
【0082】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の構成の変更、組み合わせ、削除等も含まれる。更に、各実施形態で示した構成のそれぞれを適宜組み合わせて利用できることは言うまでもない。
【符号の説明】
【0083】
21B 集電体
22c 活物質
35 枠体
100 チャンバ
101 スリット
200 枠体供給装置
300 活物質供給装置
400 ロールプレス
500 流入抑制機構
510 流入抑制機構
511 筒状スリット
512 シャッタ
513 アクチュエータ
514 センサ
520 流入抑制機構
521 筒状スリット
522 シャッタ
530 筒状スリット
540 筒状スリット
1000 電池用電極製造装置
D 搬送方向
D1 下流側
D2 上流側