(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157893
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】エンジン制御装置、方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
F02D 45/00 20060101AFI20221006BHJP
G05B 23/02 20060101ALI20221006BHJP
F02D 28/00 20060101ALI20221006BHJP
G01M 15/02 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
F02D45/00 372
G05B23/02 R
F02D28/00 C
G01M15/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021062376
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】391008559
【氏名又は名称】株式会社トランストロン
(71)【出願人】
【識別番号】899000068
【氏名又は名称】学校法人早稲田大学
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小川 雅俊
(72)【発明者】
【氏名】出川 拓真
(72)【発明者】
【氏名】草鹿 仁
(72)【発明者】
【氏名】山口 恭平
(72)【発明者】
【氏名】朝河 理雄
【テーマコード(参考)】
2G087
3C223
3G092
3G384
【Fターム(参考)】
2G087AA26
2G087BB40
2G087CC40
2G087DD09
2G087EE22
2G087EE23
3C223AA16
3C223AA18
3C223BA01
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3C223GG01
3G092BA01
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3G384FA11Z
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3G384FA48Z
3G384FA56Z
(57)【要約】
【課題】エンジン制御シミュレーションやエンジン実機により各操作変数に対する被制御量の時系列データに基づいて各操作変数の操作量を予測するモデル予測制御器と等価な制御器の構築では、モデル予測制御器に対する各重み係数を固定値で与えている。そのため、最適化のために各重み係数を変更する場合は、エンジン試験をやり直す必要があり、試験工数を要してしまう。
【解決手段】エンジン制御装置は、エンジン運転条件、エンジン制御目標値、エンジンの操作変数に対する被制御量および過去の操作量、エンジン制御目標値に対する被制御量の追従性のための第1の重み係数、ならびに操作変数に対する操作量の変化幅の抑制のための第2の重み係数を取得する取得部と、エンジン運転条件、エンジン制御目標値、被制御量、過去の操作量、第1の重み係数、および第2の重み係数に基づいて、操作変数に対する操作量を算出する算出部とを有する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジン運転条件、エンジン制御目標値、エンジンの操作変数に対する被制御量および過去の操作量、前記エンジン制御目標値に対する前記被制御量の追従性のための第1の重み係数、ならびに前記操作変数に対する操作量の変化幅の抑制のための第2の重み係数を取得する取得部と、
前記エンジン運転条件、前記エンジン制御目標値、前記被制御量、前記過去の操作量、前記第1の重み係数、および前記第2の重み係数に基づいて、前記操作変数に対する操作量を算出する算出部と
を有することを特徴とするエンジン制御装置。
【請求項2】
前記算出部は、前記操作変数の第1の時系列データを入力、および前記操作変数と前記操作変数に対する被制御量との第2の時系列データを正解とする教師データを機械学習して構築されたエンジンモデルを用いて、前記操作量を算出することを特徴とする請求項1に記載のエンジン制御装置。
【請求項3】
前記算出部は、前記操作変数に対する前記操作量と前記被制御量とを対応付けて格納したデータテーブルを用いて、前記操作量を算出することを特徴とする請求項1に記載のエンジン制御装置。
【請求項4】
エンジン試験に用いる複数の前記操作変数が時系列に沿って変化する前記第1の時系列データを試験パターンとして生成する生成部と、
前記操作変数の取りうる第1の空間の第1の網羅率と前記操作変数の変化速度値の取りうる第2の空間の第2の網羅率とに基づいて前記試験パターンを修正する修正部と、
前記修正された試験パターンを入力、および前記第2の時系列データを正解とする教師データを機械学習して前記エンジンモデルを構築する構築部と
をさらに有し、前記取得部はさらに、前記修正された試験パターンによる前記エンジン試験を実施して前記第2の時系列データを取得することを特徴とする請求項2に記載のエンジン制御装置。
【請求項5】
前記生成部は、前記試験パターンとして、前記操作変数の時系列変化を示すChirp信号またはAPRBS(Amplitude-modulated Pseudo Random Binary Sequences)信号を生成することを特徴とする請求項4に記載のエンジン制御装置。
【請求項6】
前記構築部は、前記エンジンモデルとして、中間層を2層以上有する、RNN(Recurrent Neural Network)またはLSTM(Long Short Term Memory)による機械学習モデルを構築することを特徴とする請求項4に記載のエンジン制御装置。
【請求項7】
前記取得部はさらに、エンジン回転数、燃料噴射量、EGR率、タービン開度、および吸気スロットル開度の少なくとも1つを含む前記エンジン運転条件、ならびに前記第1の重み係数および前記第2の重み係数を対応付けて格納したデータテーブルに基づいて、前記エンジン運転条件から、前記第1の重み係数および前記第2の重み係数を取得することを特徴とする請求項1に記載のエンジン制御装置。
【請求項8】
前記エンジン運転条件、前記エンジン制御目標値、前記第1の重み係数、および前記第2の重み係数が時系列に沿って変化する第3の時系列データを制御シミュレーションパターンとして生成する生成部をさらに有し、
前記取得部はさらに、前記エンジンモデルを用いて前記制御シミュレーションパターンによるエンジン試験を実施して前記操作変数に対する前記被制御量の第4の時系列データを取得することを特徴とする請求項2に記載のエンジン制御装置。
【請求項9】
前記エンジン運転条件、前記エンジン制御目標値、前記第1の重み係数、および前記第2の重み係数が時系列に沿って変化する第3の時系列データを制御シミュレーションパターンとして生成する生成部をさらに有し、
前記取得部はさらに、エンジン実機を用いて前記制御シミュレーションパターンによるエンジン試験を実施して前記操作変数に対する前記被制御量の第4の時系列データを取得することを特徴とする請求項1または2に記載のエンジン制御装置。
【請求項10】
前記生成部は、前記制御シミュレーションパターンとして、前記操作変数の時系列変化を示すChirp信号またはAPRBS(Amplitude-modulated Pseudo Random Binary Sequences)信号を生成することを特徴とする請求項8または9に記載のエンジン制御装置。
【請求項11】
前記修正部はさらに、
前記第1の空間から、前記操作変数のとってはいけない領域を除外する処理と、
前記第2の空間から、前記変化速度値のとってはいけない領域を除外する処理と
の少なくとも1つの処理を実行することを特徴とする請求項4に記載のエンジン制御装置。
【請求項12】
前記修正部はさらに、空気過剰率に基づいて前記試験パターンを修正することを特徴とする請求項4に記載のエンジン制御装置。
【請求項13】
コンピュータが、
エンジン運転条件、エンジン制御目標値、エンジンの操作変数に対する被制御量および過去の操作量、前記エンジン制御目標値に対する前記被制御量の追従性のための第1の重み係数、ならびに前記操作変数に対する操作量の変化幅の抑制のための第2の重み係数を取得し、
前記エンジン運転条件、前記エンジン制御目標値、前記被制御量、前記過去の操作量、前記第1の重み係数、および前記第2の重み係数に基づいて、前記操作変数に対する操作量を算出する
処理を実行することを特徴とする方法。
【請求項14】
コンピュータに、
エンジン運転条件、エンジン制御目標値、エンジンの操作変数に対する被制御量および過去の操作量、前記エンジン制御目標値に対する前記被制御量の追従性のための第1の重み係数、ならびに前記操作変数に対する操作量の変化幅の抑制のための第2の重み係数を取得し、
前記エンジン運転条件、前記エンジン制御目標値、前記被制御量、前記過去の操作量、前記第1の重み係数、および前記第2の重み係数に基づいて、前記操作変数に対する操作量を算出する
処理を実行させることを特徴とするプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エンジン制御装置、方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車のエンジン試験において、より少ない工数で試験を実施するために、機械学習モデルであるエンジンモデルを用いてエンジン制御が行われている。エンジンモデルを用いたエンジン制御は、逐次最適化により燃料噴射量やタービン開度などの各操作変数の操作量を算出するため、実時間での操作量の算出やエンジン制御が実質的に困難である。
【0003】
そこで、エンジン試験や制御シミュレーションにより、各操作変数の操作量と各操作変数に対する被制御量との時系列データを取得し、当該時系列データに基づいて各操作変数の操作量を逐次最適化により決定するモデル予測制御器を作成する。そして、当該予測制御器と等価な制御器をニューラルネットワークやデータテーブルにより構築することで、高速演算可能な制御器を構築できる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、等価な制御器の構築にあたり、モデル予測制御器に対して、エンジン制御目標値に対する被制御量の追従性のための重み係数、および操作変数に対する操作量の変化幅の抑制のための重み係数を固定値で与えている。そのため、エンジン運転条件に応じた制御器の最適化を図るために各重み係数を変更する場合は、再度、エンジン試験をやり直す必要があり、その分、試験工数を要してしまう。また、より高精度なエンジン試験を実施するためには、各重み係数の調整は必要である。
【0005】
一つの側面では、より少ない試験工数でエンジン試験を実施できるエンジン制御装置、方法、およびプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
第1の案では、エンジン制御装置は、エンジン運転条件、エンジン制御目標値、エンジンの操作変数に対する被制御量および過去の操作量、エンジン制御目標値に対する被制御量の追従性のための第1の重み係数、ならびに操作変数に対する操作量の変化幅の抑制のための第2の重み係数を取得する取得部と、エンジン運転条件、エンジン制御目標値、被制御量、過去の操作量、第1の重み係数、および第2の重み係数に基づいて、操作変数に対する操作量を算出する算出部とを有する。
【発明の効果】
【0007】
一つの側面では、より少ない試験工数でエンジン試験を実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施例1にかかる制御装置100の機能構成を示す機能ブロック図である。
【
図2】
図2は、実施例1にかかるChirp信号を用いたエンジン試験の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、実施例1にかかる網羅率に基づく信号修正の一例を示す図である。
【
図4】
図4は、実施例1にかかる空気過剰率に基づく信号修正の一例を示す図である。
【
図5】
図5は、実施例1にかかるオンラインモデル予測制御器の作成の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施例1にかかるエンジンモデルの一例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施例1にかかるオンラインモデル予測制御器を用いた制御シミュレーションの一例を示す図である。
【
図8】
図8は、実施例1にかかるオフラインモデル予測制御器の作成の一例を示す図である。
【
図9】
図9は、実施例1にかかるオフラインモデル予測制御器の作成処理の流れを示すフローチャートである。
【
図12】
図12は、Chirp信号修正部のブロック図である。
【
図13】
図13は、第1Chirp信号修正部のブロック図である。
【
図14】
図14は、第2Chirp信号修正部のブロック図である。
【
図15】
図15は、エンジンモデル構築部のブロック図である。
【
図16】
図16は、オンラインモデル予測制御器構築部のブロック図である。
【
図17】
図17は、オフラインモデル予測制御器構築部のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本願の開示するエンジン制御装置、方法、およびプログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。また、各実施例は、矛盾のない範囲内で適宜組み合わせることができる。
【0010】
[制御装置100の機能構成]
まず、本願の開示するエンジン制御方法を実施する制御装置100の機能構成について説明する。
図1は、実施例1にかかる制御装置100の機能構成を示す機能ブロック図である。
図1に示すように、制御装置100は、通信部110、記憶部120、および制御部130を有する。
【0011】
通信部110は、他の装置との間の通信を制御する処理部であり、例えば、通信インタフェースである。
【0012】
記憶部120は、各種データや、制御部130が実行するプログラムを記憶する記憶装置の一例であり、例えば、メモリやハードディスクなどである。記憶部120は、操作変数マスタ121、制御パターンテーブル122、運転条件マスタ123、およびエンジンモデルDB124を記憶する。
【0013】
操作変数マスタ121は、エンジン試験や制御シミュレーションに用いる操作変数に関する情報を記憶するマスタである。操作変数とは、具体的には、エンジン回転数、燃料噴射量、EGR(Exhaust Gas Recirculation:排気ガス再循環)率、タービン開度、ITH(Intake THrottle:吸気スロットル)開度などである。また、本明細書では、操作変数を単に変数と表現する場合がある。操作変数マスタ121は、例えば、エンジン試験や制御シミュレーションごとに、用いる操作変数、操作変数の取りうる値の範囲、および操作変数の網羅率などを対応付けて記憶できる。
【0014】
制御パターンテーブル122は、制御装置100によって試験パターンや制御シミュレーションパターンとして生成および修正されるChirp信号やAPRBS(Amplitude-modulated Pseudo Random Binary Sequences)信号に関する情報を記憶するテーブルである。制御パターンテーブル122は、例えば、エンジン試験や制御シミュレーションごとに、生成および修正されたChirp信号やAPRBS信号などを対応付けて記憶できる。
【0015】
運転条件マスタ123は、エンジン試験や制御シミュレーションを実施する際のエンジンの運転条件に関する情報を記憶するマスタである。運転条件マスタ123は、エンジン試験や制御シミュレーションごとに、エンジン回転数、燃料噴射量、EGR率、タービン開度、吸気スロットル開度、重み係数などを対応付けて記憶できる。なお、重み係数とは、例えば、エンジン制御目標値に対する被制御量の追従性のための重み係数や、操作変数に対する操作量の変化幅の抑制のための重み係数である。また、運転条件マスタ123は、例えば、エンジン試験ごとに、とってはいけない操作変数の組み合わせの範囲、および操作変数の変化速度値などを対応付けて記憶できる。
【0016】
エンジンモデルDB124は、制御装置100によって構築されるニューラルネットワークである、エンジンモデルおよび設計用モデルに関する情報を記憶するDB(データベース)である。ここで、設計用モデルとは、エンジンの各操作変数の操作量を決定するモデル予測制御器上でエンジンモデルを動作させるために、当該エンジンモデルを変換して作成される第2のエンジンモデルである。なお、エンジンモデルDB124には、エンジンモデルや設計用モデルを構築するためのモデルパラメータを記憶できる。
【0017】
なお、記憶部120には、上記はあくまで一例であり、上記テーブルおよびマスタ以外にも様々な情報を記憶できる。
【0018】
制御部130は、制御装置100全体を司る処理部であり、例えば、プロセッサなどである。制御部130は、生成部131、修正部132、取得部133、構築部134、および算出部135を備える。なお、各処理部は、プロセッサが有する電子回路の一例やプロセッサが実行するプロセスの一例である。
【0019】
制御部130は、生成部131、修正部132、取得部133、構築部134、算出部135などを制御して、より少ない試験工数でエンジン試験を実施するためのエンジンモデルやモデル予測制御器を構築する。
【0020】
まず、Chirp信号を用いたエンジン試験について説明する。
図2は、実施例1にかかるChirp信号を用いたエンジン試験の一例を示す図である。エンジン試験に用いるChirp信号は、エンジン試験に用いる操作変数の時系列変化を示すデータ、すなわち、試験パターンである。このようなChirp信号は、操作変数ごとに存在する。なお、Chirp信号の代わりに、APRBS信号など別の信号を用いてもよい。
【0021】
図2の例では、まず、操作変数1~n(nは任意の整数)ごとに、Chirp信号10-1~10-nが生成される。例えば、エンジン試験に用いる操作変数が5つの場合は、Chirp信号10-1~10-5が生成されることになる。
【0022】
次に、生成されたChirp信号10-1~10-nは、操作変数1~nの取りうる空間と操作変数1~nの変化速度値の取りうる空間との双方の網羅率を最大化するように、Chirp信号20-1~20-nに修正される。操作変数の変化速度値とは、操作変数を変化させる速度を示す値である。操作変数によっては、例えば、エンジン試験中に急激に変化させると危険な状態を招く場合もありうる。網羅率に基づくChirp信号の修正処理の詳細については後述する。
【0023】
次に、修正されたChirp信号20-1~20-nを用いてエンジン試験を行ない、操作変数1~nの操作量と当該操作変数1~nに対する被制御量1~nとの時系列データ50-1~50-nが取得される。
【0024】
そして、制御装置100は、エンジン試験に用いられた試験パターンであるChirp信号20-1~20-nを入力、および取得された時系列データ50-1~50-nを正解とする教師データを機械学習することでエンジンモデルを構築する。このようなエンジンモデルを用いて、操作変数を時系列変化させたときの当該操作変数に対する被制御量の時系列データを予測できる。
【0025】
なお、
図2の例では、Chirp信号10-1~10-nや修正後のChirp信号20-1~20-nなどを同一の波形で示しているが、これらはあくまでもイメージであり、実際には、Chirp信号ごとに異なる波形を示しうる。また、Chirp信号の生成および修正、ならびにエンジン試験の実施のすべての処理を制御装置100が実行する必要はなく、処理ごとに別装置を用いて実行してもよい。
【0026】
生成部131は、エンジン試験に用いる複数の操作変数が時系列に沿って変化する試験パターンを生成する。具体的には、生成部131は、例えば、操作変数マスタ121に記憶された、操作変数、および操作変数の取りうる値の範囲に基づいて、操作変数1~nごとに、各操作変数を時系列に沿って変化させるChirp信号10-1~10-nを生成する。
【0027】
修正部132は、操作変数の取りうる第1の空間の第1の網羅率と操作変数の変化速度値の取りうる第2の空間の第2の網羅率とに基づいて、生成部131によって生成された試験パターンを修正する。
図3は、実施例1にかかる網羅率に基づく信号修正の一例を示す図である。
図3に示すように、修正部132は、生成部131によって生成されたChirp信号10-1~10-nを、操作変数1~nの取りうる空間と、操作変数1~nの変化速度値の取りうる空間との双方の網羅率を最大化するように、修正する。
【0028】
操作変数1~nの取りうる空間とは、例えば、
図3に示すように、各操作変数の組み合わせが取りうる座標空間である。当該座標空間について、操作変数1と操作変数2との組み合わせが取りうる座標空間を例として説明する。操作変数1と操作変数2との組み合わせが、当該座標空間を、それぞれの操作変数の時系列変化を示すChirp信号によって、満遍なく網羅するほど網羅率は高くなる。このように、操作変数の取りうる空間の網羅率がより高くなるように、Chirp信号が修正される。
【0029】
操作変数の取りうる空間の網羅率は、例えば、
図3に示すように、座標空間を複数の領域に分割し、各領域に対する、操作変数の組み合わせの有無の割合によって算出される。
【0030】
また、
図3の領域に×印で示されるように、操作変数の組み合わせによっては、とってはいけない領域が存在する場合がある。そのため、修正部132は、座標空間からこのような領域を除外した上で、当該領域に操作変数の組み合わせが含まれないようにChirp信号を修正する。
【0031】
操作変数1~nの変化速度値の取りうる空間については、操作変数1~nの取りうる空間の上記説明と同様である。以上のように、修正部132は、Chirp信号10-1~10-nを、各操作変数の取りうる空間と、各操作変数の変化速度値の取りうる空間との双方の網羅率を最大化するように、Chirp信号20-1~20-nに修正する。
【0032】
また、修正部132は、空気過剰率に基づいて試験パターンをさらに修正できる。
図4は、実施例1にかかる空気過剰率に基づく信号修正の一例を示す図である。
図4に示すように、修正部132は、Chirp信号20-1~20-nを、空気過剰率が所定の閾値を下回らないように、修正する。
【0033】
空気過剰率は、例えば、エンジンに吸入された空気質量を、供給された燃料を完全燃焼させる理論空気質量で除算することにより、取得される。空気過剰率は、例えば、1.0など所定の閾値を下回ると、不完全燃焼を引き起こし、一酸化炭素や黒煙が増加する異常な状態でエンジンが運転されることになる。また、空気過剰率は、燃料噴射量、EGR率、タービン開度、吸気スロットル開度などの操作変数による影響を受ける。そのため、修正部132は、空気過剰率が所定の閾値を下回らないように下限を設け、各操作変数、すなわちChirp信号20-1~20-nを、Chirp信号20’-1~20’-nに修正する。
【0034】
なお、空気過剰率は、所定の閾値を上回ると、必要以上に空気が供給されていることになるため排ガス熱損失が増加する。そのため、修正部132はさらに、空気過剰率に対する上限を設け、空気過剰率が所定の範囲内を保つように、Chirp信号を修正してもよい。
【0035】
また、修正部132は、HC(炭化水素)、CO(一酸化炭素)、およびNOx(窒素酸化物)などの排気ガス成分の規制値に基づいて、各成分の濃度が各規制値を上回らないように、Chirp信号を修正できる。排気ガス成分の規制値に基づくChirp信号の修正は、空気過剰率に基づくChirp信号の修正と併せて、または代えて実行されてよい。
【0036】
網羅率に基づいて修正されたChirp信号20-1~20-nを、空気過剰率や排気ガス成分の規制値に基づいてさらに修正したChirp信号をChirp信号20’-1~20’-nとして表現する。また、以下のエンジンモデル構築などの説明の中で、Chirp信号20-1~20-nとしている部分は、Chirp信号をChirp信号20’-1~20’-nに置き換えられてもよい。
【0037】
取得部133は、修正した試験パターンによるエンジン試験を実施して、操作変数1~nの操作量と、操作変数1~nに対する被制御量との時系列データ50-1~50-nを取得する。なお、実施されるエンジン試験は、エンジン実機を用いた試験であってもよいし、バーチャルエンジンを用いた仮想試験であってもよい。
【0038】
また、取得部133は、運転条件マスタ123などから、エンジン運転条件、エンジン制御目標値、エンジン制御目標値に対する被制御量の追従性のための重み係数、操作変数に対する操作量の変化幅の抑制のための重み係数を取得する。また、取得部133は、後述するオンラインモデル予測制御器から算出される操作量や、エンジンモデルやエンジン実機から出力される被制御量を取得する。
【0039】
構築部134は、修正された試験パターンを入力、および時系列データを正解とする教師データを機械学習してエンジンモデルを構築する。さらに、構築部134は、構築されたエンジンモデルを用いて、エンジンの各操作変数の操作量を決定するモデル予測制御器を作成する。構築部134は、2つのモデル予測制御器を作成する。2つのモデル予測制御器を区別するために、本明細書では、各々、オンラインモデル予測制御器、オフラインモデル予測制御器と表現する。
【0040】
各モデル予測制御器の詳細については後述するが、オンラインモデル予測制御器は、エンジン制御目標値に対する被制御量の追従性と操作変数に対する操作量の変化幅の抑制とを考慮した最適化器を有し、逐次最適化しながら操作量を算出する。
【0041】
一方、オフラインモデル予測制御器は、オンラインモデル予測制御器に対する各入力値を入力、算出された操作量を正解とする教師データを機械学習して構築された制御器モデルである。オフラインモデル予測制御器は、最適化器を有さないが、オンラインモデル予測制御器を用いた制御シミュレーションやエンジン実機により取得される、各入力値や算出された操作量の時系列データを学習してオンラインモデル予測制御器と等価になるように構築される。そのため、エンジン試験の際、オフラインモデル予測制御器を用いてエンジンを制御することで、エンジン運転条件に応じた制御器の最適化により発生する試験工数を削減できる。
【0042】
まず、オンラインモデル予測制御器について、より詳細に説明する。
図5は、実施例1にかかるオンラインモデル予測制御器の作成の一例を示す図である。
図5に示すように、修正部132によって修正された試験パターンであるChirp信号20-1~20-n、および取得部133によって取得された時系列データ50-1~50-nに基づいて、エンジンモデル80が構築される。これにより、エンジンモデル80は、操作変数にChirp信号を入力すると、Chirp信号によってエンジンを運転した場合の、当該操作変数に対する被制御量の時系列データを予測し、出力できる。
【0043】
エンジンモデル80は、例えば、中間層(隠れ層)を2層以上有する、RNN(Recurrent Neural Network)またはLSTM(Long Short Term Memory)による機械学習モデルである。
図6は、実施例1にかかるエンジンモデルの一例を示す図である。
図6の例は、LSTMモデルの構造を示すものである。LSTMは、RNNの中間層のユニットをLSTM Blockと呼ばれるメモリと3つのゲートとに置き換えることにより、短期依存に加え、長期依存を学習でき、エンジン試験における各操作変数に対する被制御量をより高精度に予測できる。
【0044】
図6における各パラメータは、以下の式(1)~(6)を用いて算出される。
【0045】
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
【0050】
【数6】
ここで、sはシグモイド関数、bはバイアス、Wは入力重み、Uは回帰重み、fおよびgは双曲線正接関数(tanh)をそれぞれ示す。
【0051】
このようなエンジンモデル80を用いて、操作変数の時系列変化を示すChirp信号から、Chirp信号によってエンジンを運転した場合の、当該操作変数に対する被制御量の時系列データを予測できる。そのため、エンジン試験にエンジンモデル80を用いて、モデル出力値の被制御量が制御目標値に追従するようモデル入力値の操作変数の操作量を決定し制御することにより、より少ない試験工数で網羅性の高いエンジン試験を実施できる。
【0052】
図5の説明に戻り、構築部134は、オンラインモデル予測制御器上でエンジンモデル80を動作させるために、エンジンモデル80を用いて別のモデルである設計用モデル81を作成する。設計用モデル81は、例えば、エンジンモデル80のモデルパラメータをキャリブレーションするための物理法則に基づく数式を用いて作成される。また、設計用モデル81は、エンジンモデル80を線形化して作成されてもよい。設計用モデル81も、エンジンモデル80同様、RNNまたはLSTMによる機械学習モデルである。
【0053】
そして、構築部134は、設計用モデル81と、エンジン制御目標値に対する被制御量の追従性と操作変数に対する操作量の変化幅の抑制とを考慮した最適化器79とを用いて、オンラインモデル予測制御器200を作成する。
【0054】
算出部135は、取得部133によって取得された、エンジン運転条件、エンジン制御目標値、各重み係数、過去の操作量、および被制御量に基づいて、操作変数に対する操作量を算出する。
図7は、実施例1にかかるオンラインモデル予測制御器を用いた制御シミュレーションの一例を示す図である。
【0055】
図7に示すように、算出部135は、オンラインモデル予測制御器200を用いて、エンジンの各操作変数1~nの操作量90-1~90-nを算出する。オンラインモデル予測制御器200は、設計用モデル81、および設計用モデル81と通信可能に接続された最適化器79を有する。操作量90-1~90-nは、エンジンモデル80やエンジン実機(図示せず)の制御に用いられる。
【0056】
算出部135は、操作量90-1~90-nを算出するために、オンラインモデル予測制御器200に、エンジン運転条件70、エンジン制御目標値71、被制御量の追従性のための重み係数72、操作量の変化幅の抑制のための重み係数73を入力する。エンジン運転条件70、エンジン制御目標値71、ならびに各重み係数72および73は、それぞれの値を時系列変化させるためにChirp信号やAPRBS信号によって生成される。
【0057】
また、算出部135は、オンラインモデル予測制御器200に、オンラインモデル予測制御器200によって算出された操作量90-1~90-nを、過去の操作量として入力、次ステップ以降の操作量90-1~90-nを算出する。また、算出部135は、算出された操作量90-1~90-nを用いてエンジンモデル80やエンジン実機を制御し、出力される各操作変数1~nの被制御量51-1~51-nを、オンラインモデル予測制御器200に入力する。
【0058】
また、オンラインモデル予測制御器200は、設計用モデル81に各操作変数の操作量を入力することで各操作変数に対する被制御量が出力されるので、最適化器79を用いて操作コストが最小となるような操作量を算出する。操作コストは、以下の式(7)を用いて算出できる。
【0059】
【数7】
ここで、pは予測を考慮する未来の一定期間、Qは被制御量の追従性のための重み係数72、R
Δuは操作量の変化幅の抑制のための重み係数73、uは操作量90-1~90-n、Δuは操作量90-1~90-nの変化量、rはエンジン制御目標値71、yは被制御量51-1~51-nである。
【0060】
なお、オンラインモデル予測制御器200は、設計用モデル81の代わりに、操作変数に対する操作量と被制御量とを対応付けて格納したデータテーブルを用いて、各操作変数の操作量から被制御量を取得してもよい。
【0061】
オンラインモデル予測制御器200に入力された、エンジン運転条件70、エンジン制御目標値71、各重み係数72および73、過去の操作量90-1~90-n、被制御量51-1~51-nは、オフラインモデル予測制御器の作成のために取得される。また、オンラインモデル予測制御器200から出力された操作量90-1~90-nも取得される。過去と現在から未来の操作量90-1~90-nを区別するため、以降、過去の操作量を操作量90´-1~90´-nと表現する。それぞれ取得されるデータは、時系列に沿って変化するデータである。
【0062】
図8は、実施例1にかかるオフラインモデル予測制御器の作成の一例を示す図である。オフラインモデル予測制御器201は、設計用モデル82を有する。設計用モデル82は、オンラインモデル予測制御器200を用いた制御シミュレーションによって取得された、オンラインモデル予測制御器200に対する各入力値を入力、出力値を正解とする教師データを機械学習して構築される。
【0063】
オンラインモデル予測制御器200に対する各入力値は、
図8に示すように、エンジン運転条件70、エンジン制御目標値71、各重み係数72および73、過去の操作量90´-1~90´-n、被制御量51-1~51-nである。一方、出力値は、各入力値をオンラインモデル予測制御器200に入力することにより算出された操作量90-1~90-nである。なお、
図8では便宜上、過去の操作量90´-1~90´-n、被制御量51-1~51-n、および現在から未来の操作量90-1~90-nを、それぞれ、まとめて過去の操作量90´、被制御量51、および現在から未来の操作量90と表現している。
【0064】
なお、上述したように、オンラインモデル予測制御器200から取得され、オフラインモデル予測制御器201の教師データとして用いられる各データは、時系列に沿って変化するデータである。そのため、オフラインモデル予測制御器201は、最適化器を有さないが、エンジン制御目標値に対する被制御量の追従性と操作変数に対する操作量の変化幅の抑制とを考慮したオンラインモデル予測制御器200と等価に作成される。このようなオフラインモデル予測制御器201をエンジン試験に用いることで、オンラインモデル予測制御器200と同等の高精度な操作量予測を行いつつ、エンジン運転条件に応じた制御器の最適化により発生する試験工数を削減できる。
【0065】
[処理の流れ]
次に、オフラインモデル予測制御器の作成処理の流れを説明する。
図9は、実施例1にかかるオフラインモデル予測制御器の作成処理の流れを示すフローチャートである。
【0066】
まず、
図9に示すように、制御装置100の生成部131は、エンジン試験に用いる複数の操作変数が時系列に沿って変化する試験パターンとして、操作変数ごとのChirp信号を生成する(ステップS101)。
【0067】
次に、制御装置100の修正部132は、操作変数の取りうる空間の網羅率と操作変数の変化速度値の取りうる空間の網羅率とに基づいて、ステップS101で生成されたChirp信号を修正する(ステップS102)。また、修正部132は、空気過剰率や排気ガス成分の規制値に基づいて、Chirp信号をさらに修正することもできる。
【0068】
次に、制御装置100の取得部133は、ステップS102で修正されたChirp信号を用いてエンジン試験を実施して(ステップS103)、操作変数の操作量と、操作変数に対する被制御量との時系列データを取得する(ステップS104)。
【0069】
次に、制御装置100の構築部134は、ステップS102で修正されたChirp信号を入力、およびステップS104で取得された時系列データを正解とする教師データを機械学習してエンジンモデル80を構築する(ステップS105)。
【0070】
次に、構築部134は、ステップ105で構築されたエンジンモデル80を用いてオンラインモデル予測制御器200を作成する(ステップS106)。より具体的には、構築部134は、ステップ105で構築されたエンジンモデル80を変換して、オンラインモデル予測制御器200上で動作させるための設計用モデル81を作成する。また、構築部134は、設計用モデル81に最適化器79を通信可能に接続することでオンラインモデル予測制御器200を作成する。
【0071】
次に、制御装置100の算出部135は、ステップS106で作成されたオンラインモデル予測制御器200を用いて制御シミュレーションを実行する(ステップS107)。
【0072】
制御シミュレーションは、オンラインモデル予測制御器200によって算出される各操作変数の操作量を用いて、エンジンモデル80を制御し、被制御量を取得する。また、制御シミュレーションではなくエンジン実機を制御し、各操作変数の操作量に対数する被制御量を取得してもよい。この際、オンラインモデル予測制御器200には、エンジン運転条件70、エンジン制御目標値71、被制御量の追従性のための重み係数72、操作量の変化幅の抑制のための重み係数73の時系列データを入力される。また、オンラインモデル予測制御器200によって算出され、エンジンモデル80などの制御に用いられた操作量や、その際に取得された被制御量は、オンラインモデル予測制御器200に入力される。
【0073】
次に、構築部134は、ステップS107で実行された制御シミュレーションの結果を用いて、オフラインモデル予測制御器201を作成する(ステップS108)。制御シミュレーションの結果とは、オンラインモデル予測制御器200に入力されたエンジン運転条件70などの各入力値、エンジンモデル80などの制御に用いられた操作量や、その際に取得された被制御量の時系列データである。構築部134は、オンラインモデル予測制御器200に対する各入力値を入力、オンラインモデル予測制御器200から出力される操作量を正解とする教師データを機械学習して、オフラインモデル予測制御器201を作成する。
【0074】
ステップS108の実行後、
図9に示す処理は終了するが、ステップS108で作成されたオフラインモデル予測制御器201を用いてエンジン試験を行うことにより、最適化により発生する試験工数を削減できる。
【0075】
[効果]
上述したように、制御装置100は、取得部133および算出部135を有する。取得部133は、エンジン運転条件、エンジン制御目標値、エンジンの操作変数に対する被制御量および過去の操作量、エンジン制御目標値に対する被制御量の追従性のための第1の重み係数、ならびに操作変数に対する操作量の変化幅の抑制のための第2の重み係数を取得する。算出部135は、エンジン運転条件、エンジン制御目標値、被制御量、過去の操作量、第1の重み係数、および第2の重み係数に基づいて、操作変数に対する操作量を算出する。
【0076】
これにより、エンジン運転条件、エンジン制御目標値、被制御量、操作量、第1の重み係数、および第2の重み係数の時系列データを取得し、オフラインモデル予測制御器201を作成できる。オフラインモデル予測制御器201を用いてエンジン試験を行うことにより、最適化により発生する試験工数を削減し、より少ない試験工数でエンジン試験を実施できる。
【0077】
また、算出部135は、操作変数の第1の時系列データを入力、および操作変数に対する被制御量との第2の時系列データを正解とする教師データを機械学習して構築されたエンジンモデル80を用いて、操作量を算出する。
【0078】
このように、Chirp信号などを用いた網羅性の高いエンジン試験を実施するためのエンジンモデル80を用いることで、各操作変数の操作量をより高精度に算出できる。
【0079】
また、算出部135は、操作変数に対する操作量と被制御量とを対応付けて格納したデータテーブルを用いて、操作量を算出する。
【0080】
これにより、各操作変数の操作量をより短時間で算出でき、より少ない試験工数でエンジン試験を実施できる。
【0081】
また、制御装置100は、生成部131、修正部132、および構築部134をさらに有する。生成部131は、エンジン試験に用いる複数の操作変数が時系列に沿って変化する第1の時系列データを試験パターンとして生成する。修正部132は、操作変数の取りうる第1の空間の第1の網羅率と操作変数の変化速度値の取りうる第2の空間の第2の網羅率とに基づいて試験パターンを修正する。構築部134は、修正された試験パターンを入力、および第2の時系列データを正解とする教師データを機械学習してエンジンモデル80を構築する。また、取得部133はさらに、修正された試験パターンによるエンジン試験を実施して第2の時系列データを取得する。
【0082】
これにより、Chirp信号などを用いた網羅性の高いエンジン試験を実施するためのエンジンモデル80を構築でき、各操作変数の操作量をより高精度に算出できる。
【0083】
また、生成部131は、試験パターンとして、操作変数の時系列変化を示すChirp信号またはAPRBS信号を生成する。
【0084】
これにより、網羅性の高いエンジン試験を実施するためのエンジンモデル80を構築でき、各操作変数の操作量をより高精度に算出できる。
【0085】
また、構築部134は、エンジンモデル80として、中間層を2層以上有する、RNNまたはLSTMによる機械学習モデルを構築する。
【0086】
これにより、エンジンモデル80を用いて、各操作変数の操作量をより高精度に算出できる。
【0087】
また、取得部133はさらに、エンジン回転数、燃料噴射量、EGR率、タービン開度、および吸気スロットル開度の少なくとも1つを含むエンジン運転条件、ならびに第1の重み係数および第2の重み係数を対応付けて格納したデータテーブルに基づいて、エンジン運転条件から、第1の重み係数および第2の重み係数を取得する。
【0088】
これにより、各重み係数を固定値ではなく、エンジン運転条件に応じて変更できる。
【0089】
また、生成部131は、エンジン運転条件、エンジン制御目標値、第1の重み係数、および第2の重み係数が時系列に沿って変化する第3の時系列データを制御シミュレーションパターンとして生成する。取得部133はさらに、エンジンモデル80を用いて制御シミュレーションパターンによるエンジン試験を実施して操作変数に対する被制御量の第4の時系列データを取得する。
【0090】
これにより、最適化により発生する試験工数を削減できるオフラインモデル予測制御器201を作成するための時系列データを取得できる。
【0091】
また、生成部131は、エンジン運転条件、エンジン制御目標値、第1の重み係数、および第2の重み係数が時系列に沿って変化する第3の時系列データを制御シミュレーションパターンとして生成する。取得部133はさらに、エンジン実機を用いて制御シミュレーションパターンによるエンジン試験を実施して操作変数に対する被制御量の第4の時系列データを取得する。
【0092】
これにより、最適化により発生する試験工数を削減できるオフラインモデル予測制御器201を作成するための時系列データを取得できる。
【0093】
また、生成部131は、制御シミュレーションパターンとして、操作変数の時系列変化を示すChirp信号またはAPRBS信号を生成する。
【0094】
これにより、網羅性の高い制御シミュレーションを実施でき、最適化により発生する試験工数を削減できるオフラインモデル予測制御器201を作成するための時系列データを取得できる。
【0095】
また、修正部132はさらに、第1の空間から、操作変数のとってはいけない領域を除外する処理と、第2の空間から、変化速度値のとってはいけない領域を除外する処理との少なくとも1つの処理を実行する。
【0096】
これにより、異常な状態を引き起こさないように修正された試験パターンを教師データとして学習して構築されたエンジンモデル80を用いて、より安全な各操作変数の操作量を算出できる。
【0097】
また、修正部132はさらに、空気過剰率に基づいて試験パターンを修正する。
【0098】
これにより、異常な状態を引き起こさないようにさらに修正された試験パターンを教師データとして学習して構築されたエンジンモデル80を用いて、より安全な各操作変数の操作量を算出できる。
【0099】
[システム]
上記文書中や図面中で示した処理手順、制御手順、具体的名称、各種のデータやパラメータを含む情報については、特記する場合を除いて任意に変更できる。また、実施例で説明した具体例、分布、数値などは、あくまで一例であり、任意に変更できる。
【0100】
また、図示した各装置の各構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られない。つまり、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成できる。例えば、制御装置100の生成部131と修正部132とを統合できる。
【0101】
さらに、各装置にて行なわれる各処理機能は、その全部または任意の一部が、CPUおよび当該CPUにて解析実行されるプログラムにて実現され、あるいは、ワイヤードロジックによるハードウェアとして実現されうる。
【0102】
[ハードウェア]
上述した制御装置100のハードウェア構成について説明する。
図10は、ハードウェア構成例を示す図である。
図10に示すように、制御装置100は、通信部100a、HDD(Hard Disk Drive)100b、メモリ100c、およびプロセッサ100dを有する。また、
図10に示した各部は、バスなどで相互に接続される。
【0103】
通信部100aは、ネットワークインタフェースカードなどであり、他のサーバとの通信を行う。HDD100bは、
図1に示した機能を動作させるプログラムやDBを記憶する。
【0104】
プロセッサ100dは、
図1に示した各処理部と同様の処理を実行するプログラムをHDD100bなどから読み出してメモリ100cに展開することで、
図1で説明した各機能を実行するプロセスを動作させる。例えば、このプロセスは、制御装置100が有する各処理部と同様の機能を実行する。具体的には、例えば、プロセッサ100dは、生成部131や修正部132などと同様の機能を有するプログラムをHDD100bなどから読み出す。そして、プロセッサ100dは、生成部131や修正部132などと同様の処理を実行するプロセスを実行する。
【0105】
このように、制御装置100は、プログラムを読み出して実行することで各処理を実行する情報処理装置として動作する。また、制御装置100は、媒体読取装置によって記録媒体から上記プログラムを読み出し、読み出された上記プログラムを実行することで上記した実施例と同様の機能を実現することもできる。なお、この他の実施例でいうプログラムは、制御装置100によって実行されることに限定されるものではない。例えば、他のコンピュータまたはサーバがプログラムを実行する場合や、これらが協働してプログラムを実行するような場合にも、本発明を同様に適用できる。
【0106】
なお、このプログラムは、インターネットなどのネットワークを介して配布できる。また、このプログラムは、ハードディスク、フレキシブルディスク(FD)、CD-ROM、MO(Magneto-Optical disk)、DVD(Digital Versatile Disc)などのコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録され、コンピュータによって記録媒体から読み出されることによって実行できる。
【0107】
図11は、エンジンモデル構築のブロック図である。
図11におけるChirp信号生成部、およびChirp信号修正部は、それぞれ、制御装置100の生成部131、および修正部132の一例である。
図11におけるエンジンモデル構築部、オンラインモデル予測制御器構築部、オフラインモデル予測制御器構築部は、制御装置100の構築部134の一例である。また、
図11における実エンジンシステムは、エンジン実機、またはエンジン実機を用いて生成された機械学習モデルであるエンジンモデルであってよい。また、
図11における仮想エンジンシステムは、バーチャルエンジンであってよい。
【0108】
図12は、Chirp信号修正部のブロック図である。
図11のChirp信号修正部は、
図12に示すように、第1Chirp信号修正部と第2Chirp信号修正部とにより構成されてよい。
【0109】
図13は、第1Chirp信号修正部のブロック図である。
図12の第1Chirp信号修正部は、
図13に示すように、網羅率最適化部、網羅率算出部、ならびに変数の取りうる空間検出部および変数の変化速度値の取りうる空間検出部により構成されてよい。
【0110】
図14は、第2Chirp信号修正部のブロック図である。
図12の第2Chirp信号修正部は、
図14に示すように、空気過剰率検出部により構成されてよい。
【0111】
図15は、エンジンモデル構築部のブロック図である。
図11のエンジンモデル構築部は、
図12にモデル構築部として示すように、モデル構造決定部、操作量検出部、および被制御量検出部により構成されてよい。
【0112】
図16は、オンラインモデル予測制御器構築部のブロック図である。
図11のオンラインモデル予測制御器構築部は、
図16に示すように、エンジンモデル、最適化器構築部、最適化ソルバー決定部、および操作コスト関数構築部により構成されてよい。
【0113】
図17は、オフラインモデル予測制御器構築部のブロック図である。
図11のオフラインモデル予測制御器構築部は、
図17に示すように、モデル構造決定部、エンジン運転条件検出部、操作量検出部、制御目標値検出部、被制御量検出部、重み係数検出部により構成されてよい。
【0114】
また、以上の実施形態に関し、さらに以下の付記を開示する。
【0115】
(付記1)エンジン運転条件、エンジン制御目標値、エンジンの操作変数に対する被制御量および過去の操作量、エンジン制御目標値に対する被制御量の追従性のための第1の重み係数、ならびに操作変数に対する操作量の変化幅の抑制のための第2の重み係数を取得する取得部と、
エンジン運転条件、エンジン制御目標値、被制御量、過去の操作量、第1の重み係数、および第2の重み係数に基づいて、操作変数に対する操作量を算出する算出部と
を有することを特徴とするエンジン制御装置。
【0116】
(付記2)算出部は、操作変数の第1の時系列データを入力、および操作変数に対する被制御量との第2の時系列データを正解とする教師データを機械学習して構築されたエンジンモデルを用いて、操作量を算出することを特徴とする付記1に記載のエンジン制御装置。
【0117】
(付記3)算出部は、操作変数に対する操作量と被制御量とを対応付けて格納したデータテーブルを用いて、操作量を算出することを特徴とする付記1に記載のエンジン制御装置。
【0118】
(付記4)エンジン試験に用いる複数の操作変数が時系列に沿って変化する第1の時系列データを試験パターンとして生成する生成部と、
操作変数の取りうる第1の空間の第1の網羅率と操作変数の変化速度値の取りうる第2の空間の第2の網羅率とに基づいて試験パターンを修正する修正部と、
修正された試験パターンを入力、および第2の時系列データを正解とする教師データを学習してエンジンモデルを構築する構築部と
をさらに有し、取得部はさらに、修正された試験パターンによるエンジン試験を実施して第2の時系列データを取得することを特徴とする付記2に記載のエンジン制御装置。
【0119】
(付記5)生成部131は、試験パターンとして、操作変数の時系列変化を示すChirp信号またはAPRBS信号を生成することを特徴とする付記4に記載のエンジン制御装置。
【0120】
(付記6)構築部は、エンジンモデルとして、中間層を2層以上有する、RNNまたはLSTMによる学習モデルを構築することを特徴とする付記4に記載のエンジン制御装置。
【0121】
(付記7)取得部はさらに、エンジン回転数、燃料噴射量、EGR率、タービン開度、および吸気スロットル開度の少なくとも1つを含むエンジン運転条件、ならびに第1の重み係数および第2の重み係数を対応付けて格納したデータテーブルに基づいて、エンジン運転条件から、第1の重み係数および第2の重み係数を取得することを特徴とする付記1に記載のエンジン制御装置。
【0122】
(付記8)エンジン運転条件、エンジン制御、第1の重み係数、および第2の重み係数が時系列に沿って変化する第3の時系列データを制御シミュレーションパターンとして生成する生成部をさらに有し、
取得部はさらに、エンジンモデルを用いて制御シミュレーションパターンによるエンジン試験を実施して操作変数に対する被制御量の第4の時系列データを取得することを特徴とする付記2に記載のエンジン制御装置。
【0123】
(付記9)エンジン運転条件、エンジン制御、第1の重み係数、および第2の重み係数が時系列に沿って変化する第3の時系列データを制御シミュレーションパターンとして生成する生成部をさらに有し、
取得部はさらに、エンジン実機を用いて制御シミュレーションパターンによるエンジン試験を実施して操作変数に対する被制御量の第4の時系列データを取得することを特徴とする付記1または2に記載のエンジン制御装置。
【0124】
(付記10)生成部は、制御シミュレーションパターンとして、操作変数の時系列変化を示すChirp信号またはAPRBS信号を生成することを特徴とする付記8または9に記載のエンジン制御装置。
【0125】
(付記11)修正部はさらに、
第1の空間から、操作変数のとってはいけない領域を除外する処理と、
第2の空間から、変化速度値のとってはいけない領域を除外する処理と
の少なくとも1つの処理を実行することを特徴とする付記4に記載のエンジン制御装置。
【0126】
(付記12)修正部はさらに、空気過剰率に基づいて試験パターンを修正することを特徴とする付記4に記載のエンジン制御装置。
【0127】
(付記13)コンピュータが、
エンジン運転条件、エンジン制御目標値、エンジンの操作変数に対する被制御量および過去の操作量、エンジン制御目標値に対する被制御量の追従性のための第1の重み係数、ならびに操作変数に対する操作量の変化幅の抑制のための第2の重み係数を取得し、
エンジン運転条件、エンジン制御目標値、被制御量、過去の操作量、第1の重み係数、および第2の重み係数に基づいて、操作変数に対する操作量を算出する
処理を実行することを特徴とする方法。
【0128】
(付記14)操作変数に対する操作量を算出することは、操作変数の第1の時系列データを入力、および操作変数と操作変数に対する被制御量との第2の時系列データを正解とする教師データを機械学習して構築されたエンジンモデルを用いて、操作量を算出することを含むことを特徴とする付記13に記載の方法。
【0129】
(付記15)操作変数に対する操作量を算出することは、操作変数に対する操作量と被制御量とを対応付けて格納したデータテーブルを用いて、操作量を算出することを含むことを特徴とする付記13に記載の方法。
【0130】
(付記16)コンピュータが、
エンジン試験に用いる複数の操作変数が時系列に沿って変化する第1の時系列データを試験パターンとして生成し、
操作変数の取りうる第1の空間の第1の網羅率と操作変数の変化速度値の取りうる第2の空間の第2の網羅率とに基づいて試験パターンを修正し、
修正された試験パターンを入力、および第2の時系列データを正解とする教師データを機械学習してエンジンモデルを構築し、
修正された試験パターンによるエンジン試験を実施して第2の時系列データを取得する
処理をさらに実行することを特徴とする付記14に記載の方法。
【0131】
(付記17)第1の時系列データを試験パターンとして生成することは、操作変数の時系列変化を示すChirp信号またはAPRBS信号を生成することを含むことを特徴とする付記16に記載の方法。
【0132】
(付記18)エンジンモデルを構築することは、エンジンモデルとして、中間層を2層以上有する、RNNまたはLSTMによる学習モデルを構築することを含むことを特徴とする付記16に記載の方法。
【0133】
(付記19)コンピュータが、エンジン回転数、燃料噴射量、EGR率、タービン開度、および吸気スロットル開度の少なくとも1つを含むエンジン運転条件、ならびに第1の重み係数および第2の重み係数を対応付けて格納したデータテーブルに基づいて、エンジン運転条件から、第1の重み係数および第2の重み係数を取得する処理をさらに実行することを特徴とする付記13に記載の方法。
【0134】
(付記20)コンピュータが、
エンジン運転条件、エンジン制御、第1の重み係数、および第2の重み係数が時系列に沿って変化する第3の時系列データを制御シミュレーションパターンとして生成し、
エンジンモデルを用いて制御シミュレーションパターンによるエンジン試験を実施して操作変数に対する被制御量の第4の時系列データを取得する
処理をさらに実行することを特徴とする付記14に記載の方法。
【0135】
(付記21)コンピュータが、
エンジン運転条件、エンジン制御、第1の重み係数、および第2の重み係数が時系列に沿って変化する第3の時系列データを制御シミュレーションパターンとして生成し、
エンジン実機を用いて制御シミュレーションパターンによるエンジン試験を実施して操作変数に対する被制御量の第4の時系列データを取得する
処理をさらに実行することを特徴とする付記13または14に記載の方法。
【0136】
(付記22)第3の時系列データを制御シミュレーションパターンとして生成することは、制御シミュレーションパターンとして、操作変数の時系列変化を示すChirp信号またはAPRBS信号を生成することを含むことを特徴とする付記20または21に記載の方法。
【0137】
(付記23)コンピュータが、
第1の空間から、操作変数のとってはいけない領域を除外する処理と、
第2の空間から、変化速度値のとってはいけない領域を除外する処理と
の少なくとも1つの処理をさらに実行することを特徴とする付記16に記載の方法。
【0138】
(付記24)コンピュータが、空気過剰率に基づいて試験パターンを修正する処理をさらに実行することを特徴とする付記16に記載の方法。
【0139】
(付記25)コンピュータに、
エンジン運転条件、エンジン制御目標値、エンジンの操作変数に対する被制御量および過去の操作量、エンジン制御目標値に対する被制御量の追従性のための第1の重み係数、ならびに操作変数に対する操作量の変化幅の抑制のための第2の重み係数を取得し、
エンジン運転条件、エンジン制御目標値、被制御量、過去の操作量、第1の重み係数、および第2の重み係数に基づいて、操作変数に対する操作量を算出する
処理を実行させることを特徴とするプログラム。
【0140】
(付記26)操作変数に対する操作量を算出することは、操作変数の第1の時系列データを入力、および操作変数と操作変数に対する被制御量との第2の時系列データを正解とする教師データを機械学習して構築されたエンジンモデルを用いて、操作量を算出することを含むことを特徴とする付記25に記載のプログラム。
【0141】
(付記27)操作変数に対する操作量を算出することは、操作変数に対する操作量と被制御量とを対応付けて格納したデータテーブルを用いて、操作量を算出することを含むことを特徴とする付記25に記載のプログラム。
【0142】
(付記28)コンピュータに、
エンジン試験に用いる複数の操作変数が時系列に沿って変化する第1の時系列データを試験パターンとして生成し、
操作変数の取りうる第1の空間の第1の網羅率と操作変数の変化速度値の取りうる第2の空間の第2の網羅率とに基づいて試験パターンを修正し、
修正された試験パターンを入力、および第2の時系列データを正解とする教師データを機械学習してエンジンモデルを構築し、
修正された試験パターンによるエンジン試験を実施して第2の時系列データを取得する
処理をさらに実行させることを特徴とする付記26に記載のプログラム。
【0143】
(付記29)第1の時系列データを試験パターンとして生成することは、操作変数の時系列変化を示すChirp信号またはAPRBS信号を生成することを含むことを特徴とする付記28に記載のプログラム。
【0144】
(付記30)エンジンモデルを構築することは、エンジンモデルとして、中間層を2層以上有する、RNNまたはLSTMによる学習モデルを構築することを含むことを特徴とする付記28に記載のプログラム。
【0145】
(付記31)コンピュータに、エンジン回転数、燃料噴射量、EGR率、タービン開度、および吸気スロットル開度の少なくとも1つを含むエンジン運転条件、ならびに第1の重み係数および第2の重み係数を対応付けて格納したデータテーブルに基づいて、エンジン運転条件から、第1の重み係数および第2の重み係数を取得する処理をさらに実行させることを特徴とする付記25に記載のプログラム。
【0146】
(付記32)コンピュータに、
エンジン運転条件、エンジン制御、第1の重み係数、および第2の重み係数が時系列に沿って変化する第3の時系列データを制御シミュレーションパターンとして生成し、
エンジンモデルを用いて制御シミュレーションパターンによるエンジン試験を実施して操作変数に対する被制御量の第4の時系列データを取得する
処理をさらに実行させることを特徴とする付記26に記載のプログラム。
【0147】
(付記33)コンピュータに、
エンジン運転条件、エンジン制御、第1の重み係数、および第2の重み係数が時系列に沿って変化する第3の時系列データを制御シミュレーションパターンとして生成し、
エンジン実機を用いて制御シミュレーションパターンによるエンジン試験を実施して操作変数に対する被制御量の第4の時系列データを取得する
処理をさらに実行させることを特徴とする付記25または26に記載のプログラム。
【0148】
(付記34)第3の時系列データを制御シミュレーションパターンとして生成することは、制御シミュレーションパターンとして、操作変数の時系列変化を示すChirp信号またはAPRBS信号を生成することを含むことを特徴とする付記32または33に記載のプログラム。
【0149】
(付記35)コンピュータに、
第1の空間から、操作変数のとってはいけない領域を除外する処理と、
第2の空間から、変化速度値のとってはいけない領域を除外する処理と
の少なくとも1つの処理をさらに実行させることを特徴とする付記28に記載のプログラム。
【0150】
(付記36)コンピュータに、空気過剰率に基づいて試験パターンを修正する処理をさらに実行させることを特徴とする付記28に記載のプログラム。
【0151】
(付記37)プロセッサと、
プロセッサに動作可能に接続されたメモリと
を備えた装置であって、プロセッサは、
エンジン運転条件、エンジン制御目標値、エンジンの操作変数に対する被制御量および過去の操作量、エンジン制御目標値に対する被制御量の追従性のための第1の重み係数、ならびに操作変数に対する操作量の変化幅の抑制のための第2の重み係数を取得する取得部と、
エンジン運転条件、エンジン制御目標値、被制御量、過去の操作量、第1の重み係数、および第2の重み係数に基づいて、操作変数に対する操作量を算出する算出部と
を有することを特徴とする装置。
【符号の説明】
【0152】
10-1~10-n、20-1~20-n、20‘-1~20’-n Chirp信号
50-1~50-n 時系列データ
51-1~51-n 被制御量
70 エンジン運転条件
71 エンジン制御目標値
72 被制御量の追従性のための重み係数
73 操作量の変化幅の抑制のための重み係数
79 最適化器
80 エンジンモデル
81、82 設計用モデル
90-1~90-n 操作量
90´ 過去の操作量
100 制御装置
100a 通信部
100b HDD
100c メモリ
100d プロセッサ
110 通信部
120 記憶部
121 操作変数マスタ
122 制御パターンテーブル
123 運転条件マスタ
124 エンジンモデルDB
130 制御部
131 生成部
132 修正部
133 取得部
134 構築部
135 算出部
200 オンラインモデル予測制御器
201 オフラインモデル予測制御器