(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157898
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】光学フィルム積層体、偏光板付光学フィルム積層体及びディスプレイ
(51)【国際特許分類】
G02B 5/30 20060101AFI20221006BHJP
G02B 5/02 20060101ALI20221006BHJP
G02F 1/1335 20060101ALI20221006BHJP
G09F 9/00 20060101ALI20221006BHJP
G09F 9/30 20060101ALI20221006BHJP
B32B 7/023 20190101ALI20221006BHJP
B32B 27/36 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
G02B5/30
G02B5/02 C
G02F1/1335 510
G09F9/00 313
G09F9/30 349E
G09F9/30 349D
G09F9/30 349Z
B32B7/023
B32B27/36
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021062388
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】000153591
【氏名又は名称】株式会社巴川製紙所
(74)【代理人】
【識別番号】100105315
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 温
(72)【発明者】
【氏名】杉山 仁英
【テーマコード(参考)】
2H042
2H149
2H291
4F100
5C094
5G435
【Fターム(参考)】
2H042BA02
2H042BA04
2H042BA12
2H042BA13
2H042BA15
2H042BA20
2H149AA02
2H149AA18
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2H291FA25X
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2H291FA30X
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2H291PA44
2H291PA85
4F100AA08C
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5C094BA23
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5G435BB04
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5G435FF03
5G435FF05
5G435FF06
5G435GG43
5G435HH05
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ディスプイレイが白色又は淡色系の色の周辺環境であっても、光の透過率が高く、視認性が阻害されず、ボケが生じにくい、シームレスなディスプレイとすることが可能な光学フィルム積層体を提供する。
【解決手段】表示パネルデバイスよりも視認側の偏光板に、直接又は間接的に積層される、ディスプレイ用の光学フィルム積層体であって、反射軸を有し、偏光板の透過軸に平行な方向に振動する光を透過し、且つ、透過軸に直交する偏光を反射する反射偏光子と、拡散軸を有し、偏光板の透過軸に平行な方向に振動する光を透過し、且つ、透過軸に直交する偏光を拡散する拡散偏光子と、を少なくとも有し、拡散偏光子は、直接又は他の層(a)を介して反射偏光子に積層され、光学フィルム積層体は反射偏光子の反射軸と拡散偏光子の拡散軸との角度差が30°以内となるよう配置して積層されている、光学フィルム積層体。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネルデバイスよりも視認側の偏光板に、直接又は間接的に積層される、ディスプレイ用の光学フィルム積層体であって、
反射軸を有し、前記偏光板の透過軸に平行な方向に振動する光を透過し、且つ、前記透過軸に直交する偏光を反射する反射偏光子と、
拡散軸を有し、前記偏光板の透過軸に平行な方向に振動する光を透過し、且つ、前記透過軸に直交する偏光を拡散する拡散偏光子と、を少なくとも有し、
前記拡散偏光子は、直接又は他の層(a)を介して、前記反射偏光子に積層され、
前記光学フィルム積層体は、前記反射偏光子の反射軸と、前記拡散偏光子の拡散軸との角度差が30°以内の関係となるよう配置して積層されている
ことを特徴とする、光学フィルム積層体。
【請求項2】
前記反射偏光子は、第1のポリマー層と、第2のポリマー層と、を含み、
前記第1のポリマー層又は前記第2のポリマー層のいずれかが、ナフタレート系ポリマーであることを特徴とする、請求項1に記載の光学フィルム積層体。
【請求項3】
前記拡散偏光子のヘイズ値が50%~95%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の光学フィルム積層体。
【請求項4】
前記拡散偏光子の全光線透過率が50%~90%であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学フィルム積層体。
【請求項5】
前記拡散偏光子は、針状微粒子が同一方向に配向して分散された拡散フィルム又は拡散粘着剤層、繊維が同一方向に配向した不織布、表面に線状の凹凸形状を有する凹凸形状拡散フィルム、透明性のある樹脂内部に板状に屈折率の異なる相分離構造を有する拡散樹脂層、のいずれかであることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載の光学フィルム積層体。
【請求項6】
前記針状微粒子の長径方向の屈折率と、前記針状微粒子の短径方向の屈折率との差が、0.03以上であることを特徴とする請求項5に記載の光学フィルム積層体。
【請求項7】
前記拡散フィルム又は拡散粘着剤層の樹脂の屈折率と、前記針状微粒子の長径方向の屈折率との差が、0.03以下であることを特徴とする請求項5又は6に記載の光学フィルム積層体。
【請求項8】
前記針状微粒子は、長径が1μm~50μm、短径が0.1μm~5μm、アスペクト比が5以上であることを特徴とする、請求項6又は7に記載の光学フィルム積層体。
【請求項9】
前記光学フィルム積層体は、
前記反射偏光子側から入射したC光源の光が、前記光学フィルム積層体を透過して前記拡散偏光子側に出射した透過光(T1)を、JIS Z8722:2009規格に従い、2°視野で測定後、C光源にて算出した透過Y1値が30~50であり、
前記拡散偏光子側から入射したC光源の光が、前記光学フィルム積層体で反射して前記拡散偏光子側に出射した反射光(R1)を、JIS Z8722:2009規格に従い、2°視野で測定後、C光源にて算出した反射Y1値が30~90であることを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載の光学フィルム積層体。
【請求項10】
前記光学フィルム積層体は、ASTM E313-73規格に従い、分光測色計におけるD65光源の正反射光除去方式(SCE)での白色度WI値が50~95であることを特徴とする、請求項1~9のいずれか一項に記載の光学フィルム積層体。
【請求項11】
請求項1~10いずれか一項に記載の光学フィルム積層体と、偏光板(A)とを含む偏光板付光学フィルム積層体であって、
前記偏光板(A)は、前記光学フィルム積層体の反射偏光子側に、直接又は他の層(b)を介して積層され、
前記偏光板(A)の透過軸は、前記反射偏光子の反射軸に対して90°±30°の関係となる配置であり、
前記反射偏光子の反射軸と前記拡散偏光子の拡散軸との角度差の最小値と、前記偏光板(A)の透過軸に直交する方向と前記反射偏光子の反射軸との角度差の最小値と、の合計が30°以内であることを特徴とする、偏光板付光学フィルム積層体。
【請求項12】
前記偏光板付光学フィルム積層体は、ASTM E313-73規格に従い、分光測色計におけるD65光源の正反射光除去方式(SCE)での白色度WI値が50~95であることを特徴とする、請求項11に記載の偏光板付光学フィルム積層体。
【請求項13】
前記偏光板付光学フィルム積層体は、
前記偏光板(A)側から入射したC光源の光が、前記偏光板付光学フィルム積層体を透過して前記拡散偏光子側に出射した透過光(T2)を、JIS Z8722:2009規格に従い、2°視野で測定後、C光源にて算出した透過Y2値が、15~40であり、
前記拡散偏光子側から入射したC光源の光が、前記偏光板付光学フィルム積層体で反射して前記拡散偏光子側に出射した反射光(R2)を、JIS Z8722:2009規格に従い、2°視野で測定後、C光源にて算出した反射Y2値が、40~90であることを特徴とする、請求項11又は12に記載の偏光板付光学フィルム積層体。
【請求項14】
視認側より順に、請求項1~10のいずれか一項に記載の光学フィルム積層体と、偏光板(B)と、表示パネルデバイスと、を少なくとも含む積層構造を有するディスプレイ(D1)であって、
前記偏光板(B)は、表示パネルデバイスの視認側に、直接又は他の層(c)を介して積層され、
前記光学フィルム積層体は、前記光学フィルム積層体の反射偏光子が、前記偏光板(B)の視認側に、直接又は他の層(d)を介して積層され、
前記偏光板(B)の透過軸は、前記反射偏光子の反射軸に対して90°±30°の関係となる配置であり、
前記反射偏光子の反射軸と前記拡散偏光子の拡散軸との角度差の最小値と、前記偏光板(B)の透過軸に直交する方向と前記反射偏光子の反射軸との角度差の最小値と、の合計が30°以内であることを特徴とする、ディスプレイ(D1)。
【請求項15】
視認側より順に、請求項11~13のいずれか一項に記載の偏光板付光学フィルム積層体と、表示パネルデバイスと、を少なくとも含む積層構造を有するディスプレイ(D2)であって、
前記偏光板付光学フィルム積層体は、前記偏光板付光学フィルム積層体の偏光板(A)が、表示パネルデバイスの視認側に、前記偏光板(A)の透過軸に平行な方向に振動する光を透過するよう、直接又は前記他の層(c)を介して積層されていることを特徴とする、ディスプレイ(D2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
光学フィルム積層体、偏光板付光学フィルム積層体及びディスプレイに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の薄型ディスプレイは、その普及にともない、様々な態様で用いられてきた。
近年、自動車における、インスツルメントパネルの主要部である集合ユニットパネル、即ち、メータークラスターパネルの一部の表示系やパネル全体を薄型ディスプレイとしたり、センター・インフォメーション・ディスプレイ(CID)を薄型ディスプレイとしたりする商品開発が進んでいる。
自動車の内装は、外交反射を防ぐため、主に黒色系(暗色系)の内装が用いられているが、デザイン性の観点から薄型ディスプレイの画像表示部の最表面にあたる前面板と、前面板周辺の素材(内装など)との境界を見え難く、かつ、前面板の存在を認識し難くするシームレス化(ニュートラルグレー化)が行われている。黒色系の配色の自動車の内装に対しては、薄型ディスプレイの前面板を黒色で補正して、薄型ディスプレイの境界を目立たなくするシームレス化が行われている(特許文献1)。
【0003】
また、テレビやモニター以外の様々な家電製品に薄型ディスプレイが埋め込まれるケースが増えており、さらに将来、家具に薄型ディスプレイが埋め込まれるケース、建築物の壁、床、天井などに埋め込まれるケースが増えることが予想されている。家電製品、家具、建築物の壁、床、天井などは、黒色系(暗色系)の配色に限られず、白色系や淡色系に配色されたデザインのものが数多く存在している。
また、自動車においても、自動運転技術の開発が進むなか、車内空間の利用方法について様々な検討がなされている。なかには、人による運転割合が減少していくと、車内空間は、住宅におけるリビングルームのような空間となる可能性が挙げられており、車内の内装色は、住宅における、壁、床、天井等のように、白色系や淡色系の色のような明るい色の使用が検討されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に提案されているシームレス化は、薄型ディスプレイの前面板に、黒色系顔料又は染料で色味を調整して行うため、薄型ディスプレイから出射される光の透過率が低下し、ディスプレイ点灯時の視認性が低下してしまう。このため、ディスプレイのバックライト出力を上げる等の対策を行い、視認性を確保する必要がある。
【0006】
また、自動車や住宅で白や淡色系の色を使用した環境に液晶ディスプレイや有機ELディスプレイを埋め込む場合や配置する場合、従来のこれらディスプレイの前面板表面は、消灯時には黒色であることから、ディスプレイの周辺素材に対するシームレス化が難しい。特許文献1の発明のように、黒色系のシームレス化と同様に、前面板を白色系顔料又は染料で色味調整を行うと、ディスプレイから出射される光の透過率が低下し、点灯時の視認性が低下してしまうという問題もある。加えて、白色化すると、ディスプレイ内での光の拡散性及び反射性が高くなるため、画像にボケが生じてしまうという問題がある。
【0007】
そこで、本発明は、ディスプイレイが白色又は淡色系の色の周辺環境であっても、光の透過率が高く、視認性が阻害されず、ボケが生じにくい、シームレスなディスプレイとすることが可能な光学フィルム積層体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、鋭意研究の結果、反射偏光子と拡散偏光子を有する光学フィルム積層体によって上記課題を解決可能なことを見出した。即ち、本発明は下記の通りである。
【0009】
本発明は、
表示パネルデバイスよりも視認側の偏光板に、直接又は間接的に積層される、ディスプレイ用の光学フィルム積層体であって、
反射軸を有し、前記偏光板の透過軸に平行な方向に振動する光を透過し、且つ、前記透過軸に直交する偏光を反射する反射偏光子と、
拡散軸を有し、前記偏光板の透過軸に平行な方向に振動する光を透過し、且つ、前記透過軸に直交する偏光を拡散する拡散偏光子と、を少なくとも有し、
前記拡散偏光子は、直接又は他の層(a)を介して、前記反射偏光子に積層され、
前記光学フィルム積層体は、前記反射偏光子の反射軸と、前記拡散偏光子の拡散軸との角度差が30°以内の関係となるよう配置して積層されていることを特徴とする、光学フィルム積層体である。
【0010】
前記反射偏光子は、第1のポリマー層と、第2のポリマー層と、を含み、
前記第1のポリマー層又は前記第2のポリマー層のいずれかが、ナフタレート系ポリマーであることが好ましい。
前記拡散偏光子のヘイズ値が50%~95%であることが好ましい。
前記拡散偏光子の全光線透過率が50%~90%であることが好ましい。
前記拡散偏光子は、針状微粒子が同一方向に配向して分散された拡散フィルム又は拡散粘着剤層、繊維が同一方向に配向した不織布、表面に線状の凹凸形状を有する凹凸形状拡散フィルム、透明性のある樹脂内部に板状に屈折率の異なる相分離構造を有する拡散樹脂層、のいずれかであることが好ましい。
前記針状微粒子の長径方向の屈折率と、前記針状微粒子の短径方向の屈折率との差が、0.03以上であることが好ましい。
前記拡散フィルム又は拡散粘着剤層の樹脂の屈折率と、前記針状微粒子の長径方向の屈折率との差が、0.03以下であることが好ましい。
前記針状微粒子は、長径が1μm~50μm、短径が0.1μm~5μm、アスペクト比が5以上であることが好ましい。
前記光学フィルム積層体は、
前記反射偏光子側から入射したC光源の光が、前記光学フィルム積層体を透過して前記拡散偏光子側に出射した透過光(T1)を、JIS Z8722:2009規格に従い、2°視野で測定後、C光源にて算出した透過Y1値が30~50であり、
前記拡散偏光子側から入射したC光源の光が、前記光学フィルム積層体で反射して前記拡散偏光子側に出射した反射光(R1)を、JIS Z8722:2009規格に従い、2°視野で測定後、C光源にて算出した反射Y1値が30~90であることが好ましい。
前記光学フィルム積層体は、ASTM E313-73規格に従い、分光測色計におけるD65光源の正反射光除去方式(SCE)での白色度WI値が50~95であることが好ましい。
【0011】
また、本発明は、
前記光学フィルム積層体と、偏光板(A)とを含む偏光板付光学フィルム積層体であって、
前記偏光板(A)は、前記光学フィルム積層体の反射偏光子側に、直接又は他の層(b)を介して積層され、
前記偏光板(A)の透過軸は、前記反射偏光子の反射軸に対して90°±30°の関係となる配置であり、
前記反射偏光子の反射軸と、前記拡散偏光子の拡散軸との角度差の最小値と、前記偏光板(A)の透過軸に直交する方向と、前記反射偏光子の反射軸との角度差の最小値と、の合計が30°以内であることを特徴とする、偏光板付光学フィルム積層体である。
【0012】
前記偏光板付光学フィルム積層体は、ASTM E313-73規格に従い、分光測色計におけるD65光源の正反射光除去方式(SCE)での白色度WI値が50~95であることが好ましい。
前記偏光板付光学フィルム積層体は、
前記偏光板(A)側から入射したC光源の光が、前記偏光板付光学フィルム積層体を透過して前記拡散偏光子側に出射した透過光(T2)を、JIS Z8722:2009規格に従い、2°視野で測定後、C光源にて算出した透過Y2値が、15~40であり、
前記拡散偏光子側から入射したC光源の光が、前記偏光板付光学フィルム積層体で反射して前記拡散偏光子側に出射した反射光(R2)を、JIS Z8722:2009規格に従い、2°視野で測定後、C光源にて算出した反射Y2値が、40~90であることが好ましい。
【0013】
また、本発明は、
視認側より順に、前記光学フィルム積層体と、偏光板(B)と、表示パネルデバイスと、を少なくとも含む積層構造を有するディスプレイ(D1)であって、
前記偏光板(B)は、表示パネルデバイスの視認側に、直接又は他の層(c)を介して積層され、
前記光学フィルム積層体は、前記光学フィルム積層体の反射偏光子が、前記偏光板(B)の視認側に、直接又は他の層(d)を介して積層され、
前記偏光板(B)の透過軸は、前記反射偏光子の反射軸に対して90°±30°の関係となる配置であり、
前記反射偏光子の反射軸と前記拡散偏光子の拡散軸との角度差の最小値と、前記偏光板(B)の透過軸に直交する方向と前記反射偏光子の反射軸との角度差の最小値と、の合計が30°以内であることを特徴とする、ディスプレイ(D1)である。
【0014】
また、本発明は、
視認側より順に、前記偏光板付光学フィルム積層体と、表示パネルデバイスと、を少なくとも含む積層構造を有するディスプレイ(D2)であって、
前記偏光板付光学フィルム積層体は、前記偏光板付光学フィルム積層体の偏光板(A)が、表示パネルデバイスの視認側に、前記偏光板(A)の透過軸に平行な方向に振動する光を透過するよう、直接又は前記他の層(c)を介して積層されていることを特徴とする、ディスプレイ(D2)である。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ディスプイレイが白色又は淡色系の色の周辺環境であっても、光の透過率が高く、視認性が阻害されず、ボケが生じにくい、シームレスなディスプレイとすることが可能な光学フィルム積層体を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、ディスプレイ内表示パネルデバイス視認側上に偏光板が含まれている場合での、本発明の光学フィルム積層体と、ディスプレイの積層構造の配置の一例を説明する模式図である。
【
図2】
図2はディスプレイ内表示パネルデバイス視認側上に偏光板が含まれていない場合での、本発明の偏光板付光学フィルム積層体と、ディスプレイの積層構造の配置の一例を説明する模式図である。
【
図3】
図3は、本発明の光学フィルム積層体の透過及び反射Y値の測定を説明する模式図である。
【
図4】
図4は、本発明の偏光板付光学フィルム積層体の透過及び反射Y値の測定を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明において、単に化合物名を示した場合には、そのすべての異性体を含むものとする。
【0018】
本発明において、表示パネルデバイスとは、液晶ディスプレイパネル、有機ELパネル、マイクロLEDパネルなどの映像を表示するための、駆動パネルをいうものとする。
また、本発明において、液晶ディスプレイパネルの駆動パネルとは、液晶セル、バックライト、カラーフィルタ等の表示に必要な素子を含むものを言い、かつ、本発明では、表示パネルデバイスは、視認側に偏光板のありなしを含むものとする。
さらに駆動パネルとは、液晶セルのように、液晶の偏光を制御して、光の透過と遮断(シャッターの開閉)を行うものや、有機ELパネルやマイクロLEDパネルのように、発光素子の発光のON/OFFを行い、映像を形成するものとする。
【0019】
液晶セルとは、透明電極が組み込まれた2枚のガラス基板の間に液晶分子が挟まれたもの、又は、さらにカラーフィルタを含んだものをいい、光源、偏光板などの光学フィルム等は含まないものとする。
有機ELパネルとは、金属等の陰電極/電子注入層/電子輸送層/発光層/正孔輸送層/正孔注入層/ITO等の陽電極そしてガラス板や透明のプラスチック板などの基板よりなり、偏光板やカラーフィルタなどの光学フィルム等は含まないものとする。一般に、有機ELディスプレイには、偏光板は用いられないが、内部反射防止のため、有機ELパネルよりも視認側に偏光板が設けられているものもある。
マイクロLEDパネルとは、マイクロLEDが構成された基板をいうものとし、内部反射防止等の目的で偏光板が用いられる場合が考えられる。
【0020】
本発明において、視認側とは、ディスプレイの視認者に近い側を示すものとする。従って、表示パネルデバイスの視認側等とした場合には、表示パネルデバイスの視認者側の方向を示す。
【0021】
<<<光学フィルム積層体>>>
本発明の光学フィルム積層体は、反射偏光子と、拡散偏光子とを含む。反射偏光子と、拡散偏光子とは、直接又は他の層(a)を介して積層されている。
【0022】
本発明の光学フィルム積層体は、ディスプレイに含まれる表示パネルデバイスの視認側に配置された偏光板に、直接又は間接的に積層されて用いられる(
図1)。
【0023】
本発明の光学フィルム積層体は、光学フィルム積層体の拡散偏光子が、光学フィルム積層体の反射偏光子よりも視認側に配置されるように用いられる(
図1)。
【0024】
本発明の光学フィルム積層体は、偏光板(本発明においては、以降、偏光板(A)と称す場合がある)よりも視認側となるよう、偏光板と直接又は他の層(本発明においては、以降、他の層(b)と称す場合がある)を介して光学フィルム積層体の反射偏光子側で積層される(
図2)。
【0025】
光学フィルム積層体の厚みは、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、特に限定されないが、例えば、10μm~200μmとすることが好ましく、薄膜化の観点から、より好ましくは10μm~150μmであり、さらに好ましくは15μm~100μmである。
【0026】
<<光学フィルム積層体の構造>>
<反射偏光子>
反射偏光子は、偏光板の透過軸に直交する偏光を反射する機能を有する。より具体的には、反射偏光子は、反射軸を有し、偏光板の透過軸に平行な方向に振動する偏光の大半を透過し、且つ、偏光板の透過軸に直交する方向に振動する偏光の大半を反射する機能を有する。
【0027】
反射偏光子の厚みとしては、例えば10μm~100μmとすることが好ましく、薄膜化の観点から10μm~50μmがより好ましく、10μm~30μmがさらに好ましい。
【0028】
反射偏光子は、公知のものを使用でき、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、特に限定されない。
この反射偏光子としては、例えば、
反射偏光子(1)として、延伸した際に延伸方向の屈折率が異なる2種類の樹脂(例えば、第1のポリマー層としてポリエチレンナフタレート、第2のポリマー層としてポリエチレンナフタレート共重合体)を、押し出し成形の技術により複数層交互に積層し、これを延伸した構成のもの(具体的には3M社製のDBEFなどであり、特開平4-268505号公報等を参照);
反射偏光子(2)として、コレステリック液晶ポリマー層と1/4波長板とを積層したもので、コレステリック液晶ポリマー層側から入射した光を互いに逆向きの2つの円偏光に分離し、一方を透過、他方を反射し、透過する円偏光を1/4波長板により直線偏光に変換させるもの(具体的には、日東電工社製ニポックス、メルク社製トランマックスなどであり、特開平11-231130号公報等を参照);
反射偏光子(3)として、金属に微細加工を施して可視光領域でも反射偏光を出射するような金属格子反射偏光子(米国特許第6288840号明細書等を参照)、金属微粒子を高分子マトリックス中に添加して延伸したフィルム(特開平8-184701号公報等を参照)、金属ナノワイヤにより内部にワイヤーグリッドを形成した樹脂フィルム(具体的には、旭化成社製WGFであり、特開2017-173832号公報等を参照)等の反射グリッド偏光子;
等を挙げることができる。
【0029】
これらのうち、生産性、加工性が優れることから反射偏光子(1)が好ましく用いられる。
【0030】
ここで、好ましい反射偏光子である、少なくとも第1のポリマー層と第2のポリマー層とを含む、反射偏光子(1)の形態について詳述する。
【0031】
第1のポリマー層及び第2のポリマー層の材質は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、特に限定されないが、ポリマーを延伸した際に分子配向しやすく生産性の観点で、第1のポリマー層又は第2のポリマー層のいずれかがナフタレート系ポリマーであることが望ましい。また、第1のポリマー層及び第2のポリマー層は、両方が、ナフタレート系ポリマーであってもよい。ここで、ナフタレート系ポリマーとは、分子構造内にナフタレート官能基を含むポリマーのことを示す。
【0032】
ナフタレート系ポリマーは、このナフタレート系モノマーを重合させることによって得ることができる。ナフタレート系ポリマーを形成するために用いることのできるナフタレート系モノマーは、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、特に限定されないが、例えば、2,6-、1,4-、1,5-、2,7-及び2,3-ナフタレン・ジカルボン酸のようなナフタレート及びそのエステルを挙げることができる。
【0033】
ナフタレート系モノマーは、モノマーをジオール、例えばアルカン・グリコール及びシクロアルカン・グリコールと重合させることによってポリエステルを形成することができ、2,6-、1,4-、1,5-、2,7-及び/又は2,3-ナフタレン・ジカルボン酸及びエチレングリコールのコポリマーであるポリエチレンナフタレートとすることができる。
【0034】
また、2,6-、1,4-、1,5-、2,7-又は2,3-ナフタレン・ジカルボン酸、テレフタル酸、及びエチレングリコールの共重合体とすることもできる。この共重合体は、一般にcoPENと呼ばれる。
【0035】
第1のポリマー層及び第2のポリマー層の各々の厚みは、特に限定されない。
反射偏光子は、第1のポリマー層と第2のポリマー層を積層したものを、さらに複数積層し、延伸し、所望の厚みとなるまで当該作業を繰り返して得られる。第1のポリマー層と第2のポリマー層を積層したものは、一般に100層程度まで積層されるため、通常、反射偏光子における第1のポリマー層及び第2のポリマーの厚みを個別に測定することは困難である。
【0036】
反射偏光子の全光線透過率は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されない。反射偏光子の全光線透過率としては、例えば、30%~70%とすることが好ましく、40%~60%がより好ましい。反射偏光子の全光線透過率がかかる範囲にある場合には、ディスプレイからの出射光を低下させることなく、高い白色度を得ることができる。即ち、視認性に優れ、白色又は淡色系の色が用いられたディスプレイの周辺素材に対し、シームレス化することができるディスプレイを得ることができる。
【0037】
反射偏光子の全光線透過率の測定は、JIS K7361-1:1997 「プラスチック-透明材料の全光線透過率の試験方法」に記載の方法で測定することができる。ただし、測定器の光源が少なからず偏光していることから、所定の配置で測定した数値と、その配置より測定器に対して90°回転させた配置で測定した数値の平均値で算出することで、光源の偏光性の影響を受けない測定値を得ることができるため、本発明においてはこれら2つの全光線透過率の平均値を全光線透過率として示す。
【0038】
<拡散偏光子>
拡散偏光子は、拡散軸を有し、偏光板の透過軸に直交する方向に振動する偏光の大半を拡散する機能を有する。
【0039】
拡散偏光子の厚みとしては、本発明の効果が阻害されない限りにおいて、特に限定されないが、1μm~100μmとすることが好ましく、15μm~50μmがより好ましい。
【0040】
拡散偏光子は、反射偏光子の反射軸と、拡散偏光子の拡散軸との角度差が、30°以内、好ましくは10°以内、さらに好ましくは5°以内となるよう配置して積層されている。換言すれば、反射偏光子の反射軸は、拡散偏光子の拡散軸に対して、0°±30°(より好ましくは、0°±10°、さらに好ましくは0°±5°)の関係となるよう配置して積層されている。
反射偏光子の反射軸と拡散偏光子の拡散軸との角度差が0°となることがより効果的であるが、反射偏光子の反射軸と、拡散偏光子の拡散軸との差が上記範囲内にあれば、ディスプレイと、白色又は淡色系のディスプレイ周辺部材とのシームレス化を容易に調整できる。
【0041】
なお、ここで示す「反射偏光子の反射軸と、拡散偏光子の拡散軸との角度差」とは、光学フィルム積層体の表面に対して垂直な方向から光学フィルム積層体を観察した際の、反射偏光子の反射軸と、拡散偏光子の拡散軸とが成す角度、と表現することもできる。
【0042】
更に、本発明に係る光学フィルム積層体をディスプレイに用いる際、拡散偏光子の拡散軸と、偏光板の透過軸に直交する方向との角度差が、30°以内(より好ましくは10°以内、さらに好ましくは5°以内)となるよう配置されることが好ましい。換言すれば、拡散偏光子の拡散軸は、偏光板の透過軸に直交する方向に対して、0°±30°(より好ましくは、0°±10°、さらに好ましくは0°±5°)の関係となるように配置されることが好ましい。
拡散偏光子の拡散軸と偏光板の透過軸に直交する方向との角度差が、0°となることがより効果的であるが、拡散偏光子の拡散軸と偏光板の透過軸に直交する方向との差が、上記範囲内にあれば、ディスプレイと、白色又は淡色系のディスプレイ周辺部材とのシームレス化を容易に調整できる。
【0043】
なお、ここで示す「拡散偏光子の拡散軸と、偏光板の透過軸に直交する方向との角度差」とは、偏光板に光学フィルム積層体を貼付した際に、光学フィルム積層体の表面に対して垂直な方向から光学フィルム積層体を観察した際の、拡散偏光子の拡散軸と偏光板の透過軸に直交する方向とが成す角度、と表現することもできる。
【0044】
拡散偏光子のヘイズは本発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されないが、50%~95%が好ましく、60%~95%がより好ましい。
ヘイズがかかる範囲にある場合には拡散性が高くなるため白色度が高くなり、またディスプレイの画像をより鮮明にすることができる。拡散偏光子のヘイズは、JIS K7136:2000「プラスチック-透明材料のヘイズの求め方」に記載の方法で求める。
【0045】
拡散偏光子の全光線透過率は、本発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されないが、50%~90%が好ましく、50%~70%がより好ましい。
全光線透過率がかかる範囲にある場合には、ディスプレイの画像の鮮明性が高く、また拡散性に優れるため白色度が高くなりシームレスを実現することが可能となる。
【0046】
拡散偏光子は、偏光性と拡散性とを有する部材であれば公知のものを使用でき、本発明の効果を阻害しない限りにおいて、特に限定されない。
拡散偏光子としては、例えば、
拡散偏光子(1)として、針状微粒子が同一方向に配向して分散された拡散フィルム又は拡散粘着剤層;
拡散偏光子(2)として、繊維が同一方向に配向した不織布;
拡散偏光子(3)として、表面に線状の凹凸形状を有する凹凸形状拡散フィルム;
拡散偏光子(4)として、透明性を有する樹脂内部に板状に屈折率の異なる相分離構造を有する拡散樹脂層;
等を挙げることができる。
【0047】
ここで、「同一方向に配向」するとは、完全に同一の方向に配向している場合のみに限らず、同一方向に配向していると技術的に判断される程度(即ち、所定の性質が奏される程度)の配向性を有する状態も含まれるものとする。
【0048】
また、「透明性を有する樹脂」とは、完全に透明な樹脂に限定されず、本発明の効果を阻害しない範囲で透明性を有する樹脂であればよい。
【0049】
拡散偏光子(1)は、粘着剤、接着剤、樹脂、ガラス、不織布等の母材中に、母材とは屈折率の異なる針状微粒子が同一方向に配向するよう、分散したものである。
これらは、必要とされる光の拡散性の性能を考慮し適宜組み合わせることができる。
【0050】
拡散偏光子(1)の母材の材質としては、例えば、アクリル粘着剤;シリコーン粘着剤;ウレタン粘着剤;ゴム系粘着剤;エポキシ接着剤;オレフィン接着剤;ポリカーボネート樹脂;(メタ)アクリル樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、テレブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂;各種ガラス;等を挙げることができる。
【0051】
拡散偏光子(1)の針状微粒子の材質としては、本発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されず、例えば、シリカ、炭酸カルシウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、クレー、タルク、二酸化チタン等の無機系白色顔料;粘着剤とは異なる屈折率を有するシリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリスチレン樹脂、スチレン-アクリル共重合体樹脂、ポリエチレン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂微粒子などを挙げることができる。これらは、単独で、又は、複数を組み合わせて用いることができる。
【0052】
針状微粒子は、長径方向の屈折率と短径方向の屈折率との差が、0.01超であることが好ましく、0.03超であることがより好ましく、0.05超であることがさらに好ましい。
また、拡散偏光子(1)の樹脂(樹脂成分)の屈折率と針状微粒子の長径方向の屈折率との差が、1.5以下であることが好ましく、1.0以下であることがより好ましく、0.03以下であることがさらに好ましい。
針状微粒子の長径は、1μm~50μmであることが好ましく、5μm~25μmであることがより好ましい。
針状微粒子の短径は、0.1μm~5μmであることが好ましく、0.1μm~2μmであることがより好ましい。
針状微粒子のアスペクト比(長径/短径)は、5以上であることが好ましい。
【0053】
このような針状微粒子を用いることで、拡散偏光子の拡散性と偏光性とが十分なものとなりやすい。
【0054】
針状微粒子の添加量は、必要とされる光の拡散性の性能等を考慮して適宜設計可能であるが、一例として、拡散偏光子(1)全体を100質量%とした場合に、1質量%~50質量%とすることができる。
【0055】
拡散偏光子(2)は、繊維が同一方向に配向した不織布である。
【0056】
不織布としては、ガラス繊維製不織布、ポリプロピレン繊維などのポリオレフィン樹脂繊維製不織布等を例示できる。
【0057】
不織布を構成する繊維の繊維径や密度(通気度)等は、本発明を阻害しない範囲で適宜設定可能であり、特に限定されない。
【0058】
不織布は、バインダー等によって結着されていてもよい。
【0059】
拡散偏光子(3)は、樹脂、ガラス等の透光性を有する材質の表面に線状の凹凸構造を設けたものである。
【0060】
拡散偏光子(3)の材質としては、本発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されないが、例えば、ポリカーボネート樹脂;アクリル樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、テレブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂;各種ガラス等を挙げることができる。
【0061】
拡散偏光子(3)の凹凸構造は表面に線状の凹部及び/又は凸部を有していればよく、凹凸構造の幅、大きさ、数量、分布、密度等は、本発明を阻害しない範囲で適宜設定可能であり、特に限定されない。また、凹凸の断面形状についても、半円形状、多角形形状、波型など、適宜変更可能である。
【0062】
拡散偏光子(4)は、透明性を有する樹脂内部に板状に屈折率の異なる相分離構造を有する拡散樹脂層である。
【0063】
拡散偏光子(4)の材質としては、本発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されないが、例えば、ポリカーボネート樹脂;アクリル樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリオレフィン樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレート、テレブチレンテレフタレートなどのポリエステル樹脂;等とすることができる。
【0064】
樹脂部の屈折率、板状部の屈折率、板状部の幅、密度(個数)等は、本発明を阻害しない範囲で適宜設定可能であり、特に限定されない。
【0065】
拡散偏光子(4)は、例えば、特開2015-127819号公報に開示されている構造体等を用いることができる。
【0066】
拡散偏光子は、白色又はその他の色の顔料又は染料を用いて、着色することができる。このようにすることで、ディスプレイと、白色又は淡色系のディスプレイ周辺部材との、シームレス化を容易に調整できるものとすることができる。
【0067】
<他の層(a)>
本発明の光学フィルム積層体は、他の層(a)を含むことができる。反射偏光子と拡散偏光子とは、直接積層されていてもよいし、他の層(a)を介して積層されてもよい。
【0068】
他の層(a)としては、特に限定されるものではないが、粘着剤層;接着剤層;空隙層、位相差フィルム、カラーフィルタ、柄や模様を印刷した層やそれら印刷を含むフィルム等を用いることができる。ここで空隙層とは、一定の間隔を空けた空隙を示す。また、他の層(a)は白色又はその他の色の顔料又は染料を用いて、着色することができる。このようにすることで、ディスプレイと、白色又は淡色系のディスプレイ周辺部材との、シームレス化を容易に調整できる。また、柄や模様を付すことでディスプレイ周辺部材とのシームレス化を容易に調整できる。
【0069】
<視認側の表面層>
光学フィルム積層体をディスプレイに使用したとき、視認側である光学フィルム積層体の拡散偏光子表面上に、機能性フィルムやガラス、印刷層等の表面層を使用しても良い。
表面層の積層方法は特に限定されるものではないが、光学フィルム積層体の拡散偏光子が粘着系の拡散偏光子である場合には、直接表面層を積層させることができる。また、粘着系拡散偏光子でない場合には、他の粘着剤層等を介して表面層を積層させればよい。
【0070】
機能性フィルムとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ハードコートフィルムや防眩フィルム等の機能層を用いることができ、印刷層としては、特に限定されるものではないが、例えば、柄や模様を印刷した層やそれら印刷を含むフィルム等を用いることができる。また、これらは、単独で、又は複数種を組み合わせて積層しても良い。光学フィルム積層体が使用されたディスプレイを自動車や住宅等の白や淡色系の色を使用した素材に埋め込んだ際、表面層がディスプレイの周辺素材と同色や同模様であれば、シームレス化をより高めることができる。
【0071】
<<光学フィルム積層体の特性>>
光学フィルム積層体の反射偏光子側から入射したC光源の光が、光学フィルム積層体を透過して光学フィルム積層体の拡散偏光子側に出射した透過光(T1)を、JIS Z8722:2009規格に従い測定した後、C光源にて算出した透過Y値(透過Y1値)は、本発明の効果が阻害しない限りにおいて特に限定されず、30~50であることが好ましい(
図3(a))。
T1の透過Y1値がかかる範囲にある場合には、明るさ(視認性)に優れ、また、十分な白色度が得られるため、白色又は淡色系のディスプレイ周辺部材との、シームレス化が実現できるディスプレイを得ることができる。
【0072】
光学フィルム積層体の拡散偏光子側から入射したC光源の光が、光学フィルム積層体で反射して拡散偏光子側に出射した反射光(R1)を、JIS Z8722:2009規格に従い測定した後、C光源にて算出した反射Y値(反射Y1値)は、本発明の効果が阻害しない限りにおいて特に限定されず、30~90であることが好ましい(
図3(b))。
R1の反射Y1値がかかる範囲にある場合には、適度な拡散性が得られるため画面の鮮明性に優れ、十分な白色度が得られるため、白色又は淡色系のディスプレイ周辺部材との、シームレス化が実現できるディスプレイを得ることができる。
【0073】
ここでこれらY値は、視感反射率(又は視感透過率)を示し、JIS Z8722:2009「色の測定方法-反射及び透過物体色」に記載された方法で測定した後、C光源にて算出する。C光源とは、JIS Z8720:2012「測色用の標準イルミナント(標準の光)及び標準光源」に規定されている補助イルミナントCを示す。
【0074】
本発明の光学フィルム積層体は、分光測色計におけるD65光源の正反射光除去方式(SCE)での白色度WI値が、50~95であることが好ましく、50~90であることがより好ましく、50~80であることがさらに好ましい。
ここで、D65光源とは、JIS Z8720:2012「測色用の標準イルミナント(標準の光)及び標準光源」に規定されている標準イルミナントD65を示す。また、正反射光除去方式(SCE)とは、反射光に含まれる拡散光のみを計測する方法を示す。白色度WI値はASTM E313-73に規定された数値を示し、白さの度合を示す数値である。
光学フィルム積層体の白色度WI値がかかる範囲にある場合には、適度な拡散性を有するため視認性に優れ、また、十分な白色度が得られるため、白色又は淡色系のディスプレイ周辺部材との、シームレス化が実現できるディスプレイを得ることができる。
【0075】
本発明の光学フィルム積層体の白色度WIの測定は、ASTM E313-73に記載の方法で求めることができる。本発明においては、分光測色計(コニカミノルタ社製CM-700D)において、D65光源の正反射成分を含めないSCEによって測定した白色度WIを用いた。
【0076】
<<光学フィルム積層体の製造方法>>
本発明の光学フィルム積層体は、反射偏光子と拡散偏光子を、直接又は他の層(本発明においては、以降、他の層(a)と称す場合がある)を介して積層することで製造することができる。例えば、他の層(a)として、粘着剤層を用いる場合には、予め、粘着剤を剥離フィルム上に塗工して、粘着剤層を形成し、反射偏光子に、粘着剤層を重ね、積層する。得られた積層体の剥離フィルムを取り外したのち、その粘着剤層に拡散偏光子を重ね、積層することで、光学フィルム積層体を得ることができる。
【0077】
<<光学フィルム積層体の用途>>
本発明の光学フィルム積層体は、ディスプレイ用の光学フィルム積層体であり、偏光板と直接又は間接的に積層されて用いられる。
【0078】
本発明にかかるディスプレイは、特に、自動車の表示パネル類、家電製品の表示パネル類、家具や建築物の壁、床、天井などに埋め込まれる液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、マイクロLEDディスプレイ等のディスプレイに用いられる。
【0079】
本発明にかかるディスプレイは、ディスプレイ内表示パネルデバイス視認側上に偏光板(本発明においては、以降、偏光板(B)と称す場合がある)を含んでいてもよいし(本発明において、このディスプレイを、以降、ディスプレイ(D1)と称す場合がある)、含まなくてもよい(本発明において、このディスプレイを、以降、ディスプレイ(D2)と称す場合がある)。
【0080】
<偏光板>
偏光板は、特定の方向に偏光した光だけに限って通過させる板である。偏光板は、公知の偏光板を用いることができ、本発明の効果を阻害しない限りにおいて特に限定されない。一般にディスプレイに用いられているものが使用可能である。
【0081】
偏光板は、ディスプレイ内表示パネルデバイスの視認側に配置される。
【0082】
ここで偏光板は、
(I)ディスプレイ内表示パネルデバイスの視認側上に対面して積層されて用いることができ(即ち、偏光板がディスプレイに含まれる場合)、
(II)偏光板がディスプレイ内表示パネルデバイスの視認側上に含まれず、ディスプレイの視認側に積層され用いることができ、
(III)偏光板がディスプレイ内表示パネルデバイスの視認側上に含まれず、本発明の光学フィル積層体に積層され、偏光板付光学フィルム積層体として用いることができる。
前記(I)~(III)の場合、視認性に優れ、白色又は淡色系の色が用いられたディスプレイの周辺素材に対し、シームレス化することができるディスプレイを得ることができる。
【0083】
(I)及び(II)の場合、偏光板の透過軸は、反射偏光子の反射軸に対して90°±30°の関係となる配置とすることが好ましい。またこの場合、反射偏光子の反射軸と拡散偏光子の拡散軸との角度差の最小値と、偏光板の透過軸に直交する方向と反射偏光子の反射軸との角度差の最小値と、の合計が30°以内であることが好ましい。
【0084】
また、(III)の場合、偏光板付光学フィルム積層体の偏光板(偏光板(A))が、表示パネルデバイスの視認側に、偏光板の透過軸に平行な方向に振動する光を透過するよう、直接又は他の層を介して積層される。
【0085】
上記(I)~(III)の場合には、偏光板は、積層される際に、直接又は他の層を介して積層されて用いられる。ここで、他の層としては、特に限定されるものではないが、粘着剤層や接着剤層等を用いることができる。また、他の層は、白色又はその他の色の顔料又は染料を用いて、着色することができる。このようにすることで、ディスプレイと、白色又は淡色系のディスプレイ周辺部材との、シームレス化の調整を容易なものとすることができる。
【0086】
<光学フィルム積層体の配置>
本発明の光学フィルム積層体は、ディスプレイにおける表示パネルデバイス視認側偏光板のさらに視認側に直接又は他の層を介して配置される(
図1及び
図2)。その際、光学フィルム積層体の拡散偏光子が、反射偏光子よりも視認側となるように配置される(
図1及び
図2)。ここで、他の層としては、特に限定されるものではないが、粘着剤層、位相差フィルム、カラーフィルタ等を用いることができる。また、他の層は、白色又はその他の色の顔料又は染料を用いて、着色することができる。このようにすることで、ディスプレイと、白色又は淡色系のディスプレイ周辺部材との、シームレス化の調整を容易なものとすることができる。
【0087】
本発明の光学フィルム積層体を配置する際、光学フィルム積層体の反射偏光子の反射軸は、偏光板の透過軸に対して、90°±30°となるように配置される。また、偏光板(A)の透過軸と直交する偏光は、反射偏光子により反射される。
【0088】
光学フィルム積層体を上述したように配置することで、以下のような効果を得ることが可能となる。
表示パネルデバイス視認側偏光板から視認側に発生する光は、透過軸からの偏光となっているので、反射偏光子において、表示パネルデバイス視認側偏光板から出射する光の透過率低下を抑えて光を透過することができる。
更に、反射偏光子は、外光及び拡散偏光子からの拡散光を効率よく反射することで、白色輝度を高めることができ、より白色のシームレスが実現できる。加えて、拡散偏光子において、反射偏光子の反射軸は、拡散偏光子の拡散軸に対して、0°±30°の関係であるため、表示パネルデバイス視認側偏光板から出射する光の透過率低下を抑えるだけでなく、外光及び反射偏光子で反射した反射光を効率よく拡散するので、反射偏光子からの高い白色輝度を維持しながら、ディスプレイの画面ボケを生じにくくすることができる。
以上のようにして、白色又は淡色系の色の周辺環境であっても、光の透過率が高く、視認性が阻害されず、ボケが生じにくい、シームレスなディスプレイとすることができるものと考えられる。
【0089】
<上記(III)の場合における偏光板付光学フィルム積層体>
上述したように本発明の光学フィルム積層体は、偏光板(偏光板(A))と積層することで、偏光板付光学フィルム積層体として用いることが可能である(
図2)。
【0090】
偏光板付光学フィルム積層体は、光学フィルム積層体の反射偏光子に対し、光学フィルム積層体の拡散偏光子とは反対側(光学フィルム積層体の反射偏光子側)に、直接又は他の層(b)を介して、積層される(
図2)。
【0091】
偏光板付光学フィルム積層体は、偏光板(A)の透過軸が、反射偏光子の反射軸に対して、90°±30°の関係となるように配置される。
【0092】
また、反射偏光子の反射軸と拡散偏光子の拡散軸との角度差の最小値と、偏光板(A)の透過軸に直交する方向と反射偏光子の反射軸との角度差の最小値と、の合計が、30°以内となるように配置されることが好ましい。
【0093】
偏光板付光学フィルム積層体の偏光板(A)側から入射したC光源の光が、偏光板付光学フィルム積層体を透過して拡散偏光子側に出射した透過光(T2)を、JIS Z8722:2009規格に従い、2°視野で測定した後、C光源にて算出した透過Y値(透過Y2値)は、本発明の効果が阻害しない限りにおいて特に限定されず、15~40が好ましい(
図4(a))。
T2の透過Y2値がかかる範囲にある場合には、明るさ(視認性)に優れ、また、十分な白色度が得られるため、白色又は淡色系のディスプレイ周辺部材との、シームレス化が実現できるディスプレイを得ることができる。
【0094】
偏光板付光学フィルム積層体の拡散偏光子側から入射したC光源の光が、偏光板付光学フィルム積層体で反射して拡散偏光子側に出射した反射光(R2)を、JIS Z8722:2009規格に従い、2°視野で測定した後、C光源にて算出した反射Y値(反射Y2値)は、本発明の効果が阻害しない限りにおいて特に限定されず、40~90であることが好ましい(
図4(b))。
R2の反射Y2値がかかる範囲にある場合には、適度な拡散性が得られるため画面の鮮明性に優れ、十分な白色度が得られるため、白色又は淡色系のディスプレイ周辺部材との、シームレス化が実現できるディスプレイを得ることができる。
【0095】
ここでこれらY値は、視感反射率(又は視感透過率)を示し、JIS Z8722:2009「色の測定方法-反射及び透過物体色」に記載された方法で測定した後、C光源にて算出する。C光源とは、JIS Z8720:2012「測色用の標準イルミナント(標準の光)及び標準光源」に規定されている補助イルミナントCを示す。
【0096】
本発明の偏光板付光学フィルム積層体は、分光測色計におけるD65光源の正反射光除去方式(SCE)での白色度WI値が、50~95であることが好ましく、50~90であることがより好ましく、50~80であることがさらに好ましい。
ここで、D65光源とは、JIS Z8720:2012「測色用の標準イルミナント(標準の光)及び標準光源」に規定されている標準イルミナントD65を示す。また、正反射光除去方式(SCE)とは、反射光に含まれる拡散光のみを計測する方法を示す。白色度WI値はASTM E313-73に規定された数値を示し、白さの度合を示す数値である。
偏光板付光学フィルム積層体の白色度WI値がかかる範囲にある場合には、適度な拡散性を有するため視認性に優れ、また、十分な白色度が得られるため、白色又は淡色系のディスプレイ周辺部材との、シームレス化が実現できるディスプレイを得ることができる。
【0097】
本発明の偏光板付光学フィルム積層体の白色度WIの測定は、ASTM E313-73に記載の方法で求めることができる。本発明においては、分光測色計(コニカミノルタ社製CM-700D)において、D65光源の正反射成分を含めないSCEによって測定した白色度WIを用いた。
【0098】
本発明の偏光板付光学フィルム積層体は、光学フィルム積層体と、直接又は他の層(b)を介して積層することで製造することができる。ここで、他の層(b)としては、特に限定されるものではないが、粘着剤層、位相差フィルム、カラーフィルタ等を用いることができる。また、他の層(b)は、白色又はその他の色の顔料又は染料を用いて、着色することができる。このようにすることで、ディスプレイと、白色又は淡色系のディスプレイ周辺部材との、シームレス化の調整を容易なものとすることができる。例えば、他の層(b)として、粘着剤層を用いる場合には、予め、粘着剤を剥離フィルム上に塗工して、粘着剤層を形成し、光学フィルム積層体に、粘着剤層を重ね、積層する。得られた積層体の剥離フィルムを取り外したのち、その粘着剤層に偏光板(A)を重ね、積層することで、偏光板付光学フィルム積層体を得ることができる。
【実施例0099】
次に、本発明を、実施例及び比較例により、さらに具体的に説明するが、本発明は、これらの例によって何ら限定されるものではない。
【0100】
<光学フィルム積層体、拡散偏光子及び反射偏光子の作製>
(実施例1~3)
針状フィラーである酸化チタン微粒子(長径1μm~10μm、短径0.1μm~1.5μm、長径屈折率2.69、短径屈折率2.72)を、屈折率1.52のアクリル樹脂(A)中に分散させた塗料を、厚さ100μmの透明PETフィルム(東洋紡社製、コスモシャイン A4301)の処理面上に塗布、乾燥して、表1に記載のヘイズ値及び全光線透過率を有する、PETフィルム付の拡散偏光子1~3を得た。
なお、当該ヘイズ値及び全光線透過率は、酸化チタン微粒子の配合量と、拡散偏光子の厚さとにより調整した。
続いて、PETフィルム付の拡散偏光子1~3のPETフィルムとは反対側の面に対し、厚さ25μmのアクリル系透明粘着剤(巴川製紙所社製、TD06A)を介して、多層ポリマー延伸フィルムからなる全光線透過率が46%の反射偏光子(3M社製、APF-V3)を積層することにより、実施例1~3の光学フィルム積層体1~3を得た。ただし、このとき、拡散偏光子の拡散軸と、反射偏光子の反射軸との角度差が、0°となるようにして、積層させた。
【0101】
(実施例4~6)
針状フィラーである炭酸カルシウム微粒子(長径10μm~20μm、短径0.5μm~1.0μm、長径屈折率1.53、短径屈折率1.68)を、屈折率1.52のアクリル樹脂(A)中に分散させた塗料を、厚さ100μmの透明PETフィルム(東洋紡社製、コスモシャイン A4301)の処理面上に塗布、乾燥して、表1に記載のヘイズ値及び全光線透過率を有する、PETフィルム付の拡散偏光子4~6を得た。
なお、当該ヘイズ値及び全光線透過率は、炭酸カルシウム微粒子の配合量と、拡散偏光子の厚さとにより調整した。
続いて、PETフィルム付の拡散偏光子4~6のPETフィルムとは反対側の面に対し、厚さ25μmのアクリル系透明粘着剤(巴川製紙所社製、TD06A)を介して、拡散偏光子4~5は、多層ポリマー延伸フィルムからなる全光線透過率が46%の反射偏光子(3M社製、APF-V3)を、拡散偏光子6は、金属ナノワイヤーグリッドからなる反射偏光子(旭化成社製、WGF)を積層することにより、実施例4~6の光学フィルム積層体4~6を得た。ただし、このとき、拡散偏光子の拡散軸と、反射偏光子の反射軸との角度差が、0°となるようにして、積層させた。
【0102】
(実施例7及び8)
針状フィラーである水酸化アルミニウム-炭酸ソーダ微粒子(長径5μm~15μm、短径0.5μm~0.8μm、長径屈折率1.46、短径屈折率1.59)を、屈折率1.52のアクリル樹脂(A)中に分散させた塗料を、厚さ100μmの透明PETフィルム(東洋紡社製、コスモシャイン A4301)の処理面上に塗布、乾燥して、表1に記載のヘイズ値及び全光線透過率を有する、PETフィルム付の拡散偏光子7及び8を得た。
なお、当該ヘイズ値及び全光線透過率は、水酸化アルミニウム-炭酸ソーダ微粒子の配合量と、拡散偏光子の厚さとにより調整した。
続いて、PETフィルム付の拡散偏光子7及び8のPETフィルムとは反対側の面に対し、厚さ25μmのアクリル系透明粘着剤(巴川製紙所社製、TD06A)を介して、多層ポリマー延伸フィルムからなる全光線透過率が46%の反射偏光子(3M社製、APF-V3)を積層することにより、実施例7及び8の光学フィルム積層体7及び8を得た。ただし、このとき、拡散偏光子の拡散軸と、反射偏光子の反射軸との角度差が、0°となるようにして、積層させた。
【0103】
(実施例9及び10)
針状フィラーである炭酸カルシウム微粒子(長径10μm~20μm、短径0.5μm~1.0μm、長径屈折率1.53、短径屈折率1.68)を、屈折率1.48のアクリル樹脂(B)中に分散させた塗料を、厚さ100μmの透明PETフィルム(東洋紡社製、コスモシャイン A4301)の処理面上に塗布、乾燥して、表1に記載のヘイズ値及び全光線透過率を有する、PETフィルム付の拡散偏光子9及び10を得た。
なお、当該ヘイズ値及び全光線透過率は、炭酸カルシウム微粒子の配合量と、拡散偏光子の厚さとにより調整した。
続いて、PETフィルム付の拡散偏光子9及び10のPETフィルムとは反対側の面に対し、厚さ25μmのアクリル系透明粘着剤(巴川製紙所社製、TD06A)を介して、多層ポリマー延伸フィルムからなる全光線透過率が46%の反射偏光子(3M社製、APF-V3)を積層することにより、実施例9及び10の光学フィルム積層体9及び10を得た。ただし、このとき、拡散偏光子の拡散軸と、反射偏光子の反射軸との角度差が、0°となるようにして、積層させた。
【0104】
(実施例11)
針状フィラーである炭酸カルシウム微粒子(長径10μm~20μm、短径0.5μm~1.0μm、長径屈折率1.53、短径屈折率1.68)を分散させた、屈折率が1.48、厚さが25μm、ヘイズ値が87%、全光線透過率が60%のアクリル系粘着剤(巴川製紙所社製、TD06D92)を表1に記載のヘイズ値及び全光線透過率を有する、拡散偏光子11とし、当該拡散偏光子11を介して、多層ポリマー延伸フィルムからなる全光線透過率が46%の反射偏光子(3M社製、APF-V3)と、厚さ100μmの透明PETフィルム(東洋紡社製、コスモシャイン A4301)の処理面側とを積層することにより、実施例11の光学フィルム積層体11を得た。ただし、このとき、拡散偏光子の拡散軸と、反射偏光子の反射軸との角度差が、0°となるようにして、積層させた。
【0105】
(実施例12)
実施例9で用いた炭酸カルシウム微粒子を分散させた塗料を、多層ポリマー延伸フィルムからなる全光線透過率が46%の反射偏光子(3M社製、APF-V3)表面上に塗布、乾燥して、反射偏光子の表面に拡散偏光子12を設けた実施例12の光学フィルム積層体12を得た。ただし、このとき、拡散偏光子の拡散軸と、反射偏光子の反射軸との角度差が、0°となるようにして、積層させた。
当該拡散偏光子12の光学特性を確認するため、当該塗料を、厚さ100μmの透明PETフィルム(東洋紡社製、コスモシャイン A4301)の処理面上に塗布、乾燥して、PETフィルム付の拡散偏光子12を得た後、ヘイズ値及び全光線透過率を測定したところ、表1に記載のように、ヘイズ値が90%、全光線透過率が60%であった。
【0106】
<比較例の光学フィルム積層体、等方性拡散素子及び反射偏光子の作製>
(比較例1)
球状フィラーであるシリコーン微粒子(平均粒径3μm~7μm、屈折率1.42)を、屈折率1.52のアクリル樹脂(A)中に分散させた塗料を、厚さ100μmの透明PETフィルム(東洋紡社製、コスモシャイン A4301)の処理面上に塗布、乾燥して、表1に記載のヘイズ値及び全光線透過率を有する、比較例1のPETフィルム付の等方性拡散素子aを得た。
【0107】
(比較例2~4)
不定形フィラーである酸化チタン微粒子(平均粒径5μm~15μm、屈折率2.74)を、屈折率1.52のアクリル樹脂(A)中に分散させた塗料を、厚さ100μmの透明PETフィルム(東洋紡社製、コスモシャイン A4301)の処理面上に塗布、乾燥して、表1に記載のヘイズ値及び全光線透過率を有する、比較例2及び3のPETフィルム付の等方性拡散素子b及びcと、PETフィルム付の等方性拡散素子dとを得た。
なお、当該ヘイズ値及び全光線透過率は、酸化チタン微粒子の配合量と、等方性拡散素子の厚さとにより調整した。
続いて、PETフィルム付の等方性拡散素子dのPETフィルムとは反対側の面に対し、厚さ25μmのアクリル系透明粘着剤(巴川製紙所社製、TD06A)を介して、全光線透過率が50%のAl蒸着PETフィルムを積層することにより、比較例4の光学フィルム積層体dを得た。
【0108】
(比較例5)
不定形フィラーである酸化チタン微粒子(平均粒径5μm~15μm、屈折率2.74)を、屈折率1.52のアクリル樹脂(A)中に分散させた塗料を、厚さ100μmの透明PETフィルム(東洋紡社製、コスモシャイン A4301)の処理面上に塗布、乾燥して、表1に記載のヘイズ値及び全光線透過率を有する、PETフィルム付の等方性拡散素子eを得た。
なお、当該ヘイズ値及び全光線透過率は、酸化チタン微粒子の配合量と、等方性拡散素子の厚さとにより調整した。
続いて、PETフィルム付の等方性拡散素子eのPETフィルムとは反対側の面に対し、厚さ25μmのアクリル系透明粘着剤(巴川製紙所社製、TD06A)を介して、多層ポリマー延伸フィルムからなる全光線透過率が46%の反射偏光子(3M社製、APF-V3)を積層することにより、比較例5の光学フィルム積層体eを得た。
【0109】
(比較例6)
多層ポリマー延伸フィルムからなる表1に記載の全光線透過率が46%の反射偏光子(3M社製、APF-V3)を、比較例6の反射偏光子V3とした。
【0110】
実施例1~12及び比較例1~6を表1にまとめた。
【0111】
【0112】
<偏光板付光学フィルム積層体の作製>
(実施例13)
実施例9で得られた拡散偏光子9を、25μmの厚さのアクリル系透明粘着剤(巴川製紙所社製、TD06A)を介し、多層ポリマー延伸フィルムからなる全光線透過率が43%の反射偏光子(3M社製、APF-V3)と積層することにより、実施例13の光学フィルム積層体13を得た。ただし、このとき、拡散偏光子9の拡散軸と、反射偏光子の反射軸との角度差が、15°となるようにして、積層させた。
続いて、光学フィルム積層体13の反射偏光子側表面に対し、25μmのアクリル系透明粘着剤(巴川製紙所社製、TD06A)を介して偏光板(偏光度99.9%、透過率42%)を積層し、実施例13の偏光板付光学フィルム積層体Aを得た。偏光板との積層は、反射偏光子の反射軸に対し、偏光板の透過軸を90°ずらした構成とした。
【0113】
(実施例14)
実施例9で得られた拡散偏光子層9を、25μmの厚さのアクリル系透明粘着剤(巴川製紙所社製、TD06A)を介し、多層ポリマー延伸フィルムからなる全光線透過率が43%の反射偏光子(3M社製、APF-V3)と積層することにより、実施例14の光学フィルム積層体14を得た。ただし、このとき、拡散偏光子9の拡散軸と、反射偏光子の反射軸との角度差が、30°となるようにして、積層させた。
続いて、光学フィルム積層体13の反射偏光子側表面に対し、25μmのアクリル系透明粘着剤(巴川製紙所社製、TD06A)を介して偏光板(偏光度99.9%、透過率42%)を積層し、実施例14の偏光板付光学フィルム積層体Bを得た。偏光板との積層は、反射偏光子の反射軸に対し、偏光板の透過軸を90°ずらした構成とした。
【0114】
(実施例15)
実施例9で作製した光学フィルム積層体9の反射偏光子側表面に対し、25μmの厚さのアクリル系透明粘着剤(巴川製紙所社製、TD06A)を介して偏光板(偏光度99.9%、透過率42%)を積層し、実施例15の偏光板付光学フィルム積層体Cを得た。偏光板との積層は、反射偏光子の反射軸に対し、偏光板の透過軸を75°ずらした構成とした。
【0115】
(実施例16)
偏光板との積層を、反射偏光子の反射軸に対し、偏光板の透過軸を60°ずらした構成とした他は、実施例14と同様に行い、実施例16の偏光板付光学フィルム積層体Dを得た。
【0116】
(比較例7)
実施例9で得られた拡散偏光子9を、25μmの厚さのアクリル系透明粘着剤(巴川製紙所社製、TD06A)を介し、多層ポリマー延伸フィルムからなる全光線透過率が43%の反射偏光子(3M社製、APF-V3)と積層することにより、比較例7の光学フィルム積層体gを得た。ただし、このとき、拡散偏光子9の拡散軸と、反射偏光子の反射軸との角度差が、45°となるようにして、積層させた。
続いて、光学フィルム積層体gの反射偏光子側表面に対し、25μmのアクリル系透明粘着剤(巴川製紙所社製、TD06A)を介して偏光板(偏光度99.9%、透過率42%)を積層し、比較例7の偏光板付光学フィルム積層体Eを得た。偏光板との積層は、反射偏光子の反射軸に対し、偏光板の透過軸を90°ずらした構成とした。
【0117】
(比較例8)
実施例9で得られた拡散偏光子9を、25μmの厚さのアクリル系透明粘着剤(巴川製紙所社製、TD06A)を介し、多層ポリマー延伸フィルムからなる全光線透過率が43%の反射偏光子(3M社製、APF-V3)と積層することにより、比較例8の光学フィルム積層体hを得た。ただし、このとき、拡散偏光子9の拡散軸と、反射偏光子の反射軸との角度差が、45°となるようにして、積層させた。
続いて、光学フィルム積層体hの反射偏光子側表面に対し、25μmのアクリル系透明粘着剤(巴川製紙所社製、TD06A)を介して偏光板(偏光度99.9%、透過率42%)を積層し、比較例8の偏光板付光学フィルム積層体Fを得た。偏光板との積層は、反射偏光子の反射軸に対し、偏光板の透過軸を45°ずらした構成とした。
【0118】
(比較例9)
偏光板との積層を、光学フィルム積層体gの拡散偏光子側表面とした他は、比較例7と同様に行い、比較例9の偏光板付光学フィルム積層体Gを得た。
【0119】
実施例13~16及び比較例7~9で得られた偏光板付光学フィルム積層体について、表2にまとめた。
【0120】
【0121】
<測定>
(ヘイズ値及び全光線透過率の測定)
拡散偏光子及び等方性拡散素子のヘイズ値測定は、拡散偏光子又は等方性拡散素子の一方の面に、透明PETフィルム(東洋紡社製、コスモシャイン A4301)を有した状態で、ヘーズメーター(日本電色社社製、NDH-2000)を使用して、JIS K7136:2000に準拠し、透明PETフィルム側より、光を照射することにて、測定した。
拡散偏光子、等方性拡散素子及び反射偏光子の全光線透過率は、ヘーズメーター(日本電色社製、NDH-2000)を使用して、JIS K7361-1:1997に準拠して測定した。このとき、所定の配置で測定した数値と、その配置より測定器に対して90°回転させた配置で測定した数値の平均値を算出することで、全光線透過率とした。
【0122】
(光学フィルム積層体、等方性拡散素子及び反射偏光子の透過Y値と反射Y値に係る測定)
実施例1~12並びに比較例4及び5の各光学フィルム積層体と、比較例1~3の各等方性拡散素子と、比較例6の反射偏光子の透過Y値と反射Y値に関する測定を、分光光度計(島津製作所社製、UV-2500)で2°視野にて行った。
【0123】
透過Y値は、光学フィルム積層体の場合には、光学フィルム積層体の反射偏光子側から入射したC光源の光が、光学フィルム積層体の拡散偏光子又は等方性拡散素子側に、光学フィルム積層体を透過して出射した透過光を、等方性拡散素子の場合には、等方性拡散素子の一方の面側から入射したC光源の光が、等方性拡散素子内を透過して他方の面側から出射した透過光を、反射偏光子の場合には、反射偏光子の一方の面側から入射したC光源の光が、反射偏光子内を透過して他方の面側から出射した透過光を、JIS Z8722:2009規格に従い測定した後、C光源にて算出した値を透過Y値とした。
ただし、本透過Y値の測定は、1回目の測定では、各測定サンプルが有する各軸((拡散軸及び反射軸、光学フィルム積層体の場合には反射軸)配置、等方性拡散素子では任意の配置を「0°」として測定した後、当該0°が「90°」となるよう、各測定サンプルの配置を右回りで回転させてから2回目を測定し、それらの平均値を透過Y値とするものとした。
【0124】
反射Y値は、光学フィルム積層体の場合には、光学フィルム積層体の拡散偏光子側から入射したC光源の光が、光学フィルム積層体の反射偏光子で反射して拡散偏光子又は等方性拡散素子側に、光学フィルム積層体を透過して出射した反射光を、又は等方性拡散素子の場合には、又は等方性拡散素子の一方の面側から入射したC光源の光が、又は等方性拡散素子内で反射して、又は等方性拡散素子の一方の面側に出射した反射光を、反射偏光子の場合には、反射偏光子の一方の面側から入射したC光源の光が、反射偏光子内で反射して、反射偏光子の一方の面側に出射した反射光を、JIS Z8722:2009規格に従い測定した後、C光源にて算出した値を反射Y値とした。
ただし、本反射Y値の測定は、1回目の測定では、各測定サンプルが有する各軸(拡散軸及び反射軸、光学フィルム積層体の場合には反射軸)配置、等方性拡散素子では任意の配置を「0°」として測定した後、当該0°が「90°」となるよう、各測定サンプルの配置を右回りで回転させてから2回目を測定し、それらの平均値を反射Y値とするものとした。
【0125】
(偏光板付積層体の透過Y値と反射Y値に係る測定)
実施例1~12、比較例4及び5の各光学フィルム積層体と、比較例1~3の各等方性拡散素子と、比較例6の反射偏光子とを、光学フィルム積層体は反射偏光子側表面、等方性拡散素子及び反射偏光子は一方の表面に対し、25μmの厚さのアクリル系透明粘着剤(巴川製紙所社製、TD06A)を介して偏光板(偏光度99.9%、透過率42%)を積層した、各偏光板付光学フィルム積層体、偏光板付等方性拡散素子、偏光板付反射偏光子と、実施例13~16及び比較例7~9の透過Y値と反射Y値に関する測定を、分光光度計(島津製作所社製、UV-2500)で2°視野にて行った。偏光板との貼り合わせは、反射偏光子が使用されたサンプルの場合、反射偏光子の反射軸と、偏光板の透過軸とのずれが、90°となるよう配置した。
【0126】
透過Y値は、偏光板付光学フィルム積層体の場合には、偏光板付光学フィルム積層体の偏光板側から入射したC光源の光が、偏光板付光学フィルム積層体の拡散偏光子又は等方性拡散素子側に、偏光板付光学フィルム積層体を透過して出射した透過光を、偏光板付等方性拡散素子の場合には、偏光板付等方性拡散素子の偏光板側から入射したC光源の光が、偏光板付等方性拡散素子内を透過して等方性拡散素子側から出射した透過光を、偏光板付反射偏光子の場合には、偏光板付反射偏光子の偏光板側から入射したC光源の光が、偏光板付反射偏光子内を透過して反射偏光子側から出射した透過光を、JIS Z8722:2009規格に従い測定した後、C光源にて算出した値を透過Y値とした。
ただし、本透過Y値の測定は、1回目の測定では、各測定サンプルが有する偏光板の透過軸配置を「0°」として測定した後、当該0°が「90°」となるよう、各測定サンプルの配置を右回りで回転させてから2回目を測定し、それらの平均値を透過Y値とするものとした。
【0127】
反射Y値は、偏光板付光学フィルム積層体の場合には、偏光板付光学フィルム積層体の拡散偏光子又は等方性拡散素子側から入射したC光源の光が、偏光板付光学フィルム積層体の反射偏光子で反射して拡散偏光子又は等方性拡散素子側に、偏光板付光学フィルム積層体を透過して出射した反射光を、偏光板付等方性拡散素子の場合には、偏光板付等方性拡散素子の等方性拡散素子側から入射したC光源の光が、偏光板付等方性拡散素子内で反射して、等方性拡散素子側に、偏光板付等方性拡散素子を透過して出射した反射光を、偏光板付反射偏光子の場合には、偏光板付反射偏光子の反射偏光子側から入射したC光源の光が、偏光板付反射偏光子内で反射して、反射偏光子側に、偏光板付き反射偏光子を透過して出射した反射光を、JIS Z8722:2009規格に従い測定した後、C光源にて算出した値を反射Y値とした。
ただし、本反射Y値の測定は、1回目の測定では、各測定サンプルが有する偏光板の透過軸配置を「0°」として測定した後、当該0°が「90°」となるよう、各測定サンプルの配置を右回りで回転させてから2回目を測定し、それらの平均値を反射Y値とするものとした。
【0128】
(白色度(WI)の測定)
実施例1~12、比較例4及び5の各光学フィルム積層体と、比較例1~3の各等方性拡散素子と、比較例6の反射偏光子と、実施例13~16、比較例7~9の偏光板付光学フィルム積層体とを、光学フィルム積層体は反射偏光子側表面、等方性拡散素子及び反射偏光子は一方の表面、偏光板付光学フィルム積層体は偏光板側表面に対し、25μmの厚さのアクリル系透明粘着剤(巴川製紙所社製、TD06A)を介して黒色PETフィルム(透過率が0%)を積層した、各黒色PETフィルム付光学フィルム積層体、黒色PETフィルム付等方性拡散素子、黒色PETフィルム付反射偏光子、黒色PETフィルム付偏光板付光学フィルム積層体の、黒色PETフィルム付光学フィルム積層体、黒色PETフィルム付等方性拡散素子、黒色PETフィルム付偏光板付光学フィルム積層体、では拡散偏光子層側、黒色PETフィルム付反射偏光子では反射偏光子側の白色度を測定した。測定は、分光測色計(コニカミノルタ社製、CM-700D)にて、SCEモード、D65光源で白色度:WI(ASTM E313-73規格に準拠する)を求めた。
ただし、本白色度の測定は、1回目の測定では、各測定サンプルが有する各軸(拡散軸及び反射軸、光学フィルム積層体の場合には反射軸)配置、等方性拡散素子では任意の配置を「0°」として測定した後、当該0°が「90°」となるよう、各測定サンプルの配置を右回りで回転させてから2回目を測定し、それらの平均値を白色度とするものとした。
【0129】
(ボケ感の評価)
実施例1~16及び比較例1~8の、各光学フィルム積層体、拡散偏光子層、反射偏光子、偏光板付光学フィルム積層体に対し、液晶ディスプレイ表面に積層し、画像を表示させた時のボケ感を、目視にて評価した。評価基準は、○:ボケ感がない、△:ややボケ感がある、×:強いボケ感がある、の3段階にて、評価した。
【0130】
各実施例及び比較例で測定した、透過Y値、反射Y値、白色度及びボケ感を表3にまとめた。
【0131】
【0132】
表3結果より、実施例1~12の光学フィルム積層体と、実施例13~16の偏光板付光学フィルム積層体は、共に偏光板を有しているとき、ディスプレイの明るさの指標である透過Y値が20以上、かつ、シームレスの指標である反射Y値が45以上と高い値を得ることができた。
更に、実施例1~4、6、7、9、11、12の光学フィルム積層体の透過Y値は、偏光板のありなしで、30以上の高い値であり、表示をより明るく鮮明とすることができることを示しており、実施例3、5、8~12の光学フィルム積層体の反射Y値は、偏光板のありなしで、60以上の高い値であり、実施例13~16の偏光板付光学フィルム積層体の反射Y値も、60以上の高い値であり、表示をよりシームレスとすることができることを示していたが、中でも、実施例3、5、8、9、11、12の光学フィルム積層体は、透過Y値が、偏光板のありなしで、30以上の高い値であり、かつ、反射Y値が、偏光板のありなしで、60以上の高い値であることから、表示をより明るく鮮明とし、かつ、表示をよりシームレスとすることができることを示していた。
【0133】
白色度は、実施例1~12の光学フィルム積層体と、実施例13~16の偏光板付光学フィルム積層体では50以上の値を得ることができた。特に実施例3、5~16においては、60以上のより高い数値を得ることができており、更に、実施例3、5、8~16においては、70以上の更に高い数値を得ることができた。
【0134】
ボケ感は、実施例1~12の光学フィルム積層体と、実施例13~16の偏光板付光学フィルム積層体では、実施例10の光学フィルム積層体及び16の偏光板付光学フィルム積層体にややボケ感はあったものの、それ以外ではボケ感がなく、鮮明な画像を認識することができることを示していた。
【0135】
ディスプレイに本発明の光学フィルム積層体が使用される場合、光学フィルム積層体を、偏光板と組み合わせた場合の透過Y値と反射Y値が、ディスプレイの表示特性やシームレス化の優劣を左右するものと考えられる。従って、本発明実施例の光学フィルム積層体と、偏光板付光学フィルム積層体は、ディスプレイで使用されたとき、透過Y値が十分に高い為、ディスプレイの点灯時の視認性において、明るさや鮮明さを阻害することが少なく、かつ、反射Y値が十分に高い為、ディスプレイの消灯時には、白色又は淡色のシームレスを実現することが可能となる為、ディスプレイの表示とシームレス化をバランス良くすることができ、加えて、ボケ感も少なくできるものと考えられる。特に、実施例3、5、8、9、11、12の光学フィルム積層体は、これら特性の値がより高い値であっただけでなく、ボケ感も優れていたことから、より優れた表示特性及びシームレス化とすることができるものと考えられる。
【0136】
比較例1は、等方性拡散素子であるが、白色度が19.6と、実施例の50以上に対して低い値となり、灰色を示してしまった。
【0137】
比較例2及び3の等方性拡散素子と、比較例2と同特性の等方性拡散素子に反射偏光子を積層した比較例4の光学フィルム積層体は、偏光板ありでの透過Y値がとても低いため、ディスプレイの表示を十分視認することができない。加えて、比較例3の等方性拡散素子及び比較例4の光学フィルム積層体は、ディスプレイにしたときのボケ感が強く、鮮明に視認できるものではなかった。
【0138】
比較例5の光学フィルム積層体は、偏光板ありでの透過Y値が低く、ボケ感もややあり、視認性で見劣りするものであった。
【0139】
比較例6の反射偏光子は、白色度が2.1と最も低く、金属光沢を有し、鏡のように反射してしまい、白色又は淡色のシームレス化を実現できるものではなかった。
【0140】
比較例7及び8の偏光板付光学フィルム積層体は、偏光板ありでの透過Y値が低く、ボケ感が強く、鮮明に視認できるものではなかった。
【0141】
比較例9の偏光板付光学フィルム積層体は、偏光板の積層関係より、反射偏光子が視認者側に配置されることとなる為、白色度が2.4と、とても低く、金属光沢を有し、鏡のように反射してしまい、白色又は淡色のシームレス化を実現できるものではなかった。
【0142】
なお、本発明においては、その効果として、白色度に着目しているが、あえて本発明光学フィルム積層体又は偏光板付光学フィルム積層体を着色して、周囲の色相に近づけたり、柄や模様を印刷して、周囲の柄や模様に近づけることも可能である。その場合、本発明は、白色度自体には何ら依存しないものとする。