IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ライナス有限会社の特許一覧

<>
  • 特開-衣服および衣服の装着方法 図1
  • 特開-衣服および衣服の装着方法 図2
  • 特開-衣服および衣服の装着方法 図3
  • 特開-衣服および衣服の装着方法 図4
  • 特開-衣服および衣服の装着方法 図5
  • 特開-衣服および衣服の装着方法 図6
  • 特開-衣服および衣服の装着方法 図7
  • 特開-衣服および衣服の装着方法 図8
  • 特開-衣服および衣服の装着方法 図9
  • 特開-衣服および衣服の装着方法 図10
  • 特開-衣服および衣服の装着方法 図11
  • 特開-衣服および衣服の装着方法 図12
  • 特開-衣服および衣服の装着方法 図13
  • 特開-衣服および衣服の装着方法 図14
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157902
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】衣服および衣服の装着方法
(51)【国際特許分類】
   A41D 1/00 20180101AFI20221006BHJP
   A41B 9/00 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
A41D1/00 101D
A41B9/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021062399
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】516312475
【氏名又は名称】ライナス有限会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145861
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 薫
(72)【発明者】
【氏名】古川 眞理
【テーマコード(参考)】
3B030
3B128
【Fターム(参考)】
3B030BB01
3B030BC02
3B030BC07
3B128AA04
(57)【要約】
【課題】下部の縁部が隠れるように装着することを可能とすることができる衣服および衣服の装着方法を提供することを目的とする。
下端部の縁部が隠れるように装着することを可能とすることができる衣服および衣服の装着方法を提供する。
【解決手段】衣服1は、人体Aの腰部A1から下肢部A2に至る部位を覆う覆い部10を有する衣服1であって、覆い部10は、人体Aの腰部A1から下肢部A2にかけて覆うようにかつ巻き回して重ね合わせるように人体Aに装着されるとともに、覆い部10の上端部の縁部10aの位置を腰部A1の位置に固定するための固定部材20を設け、固定部材20による固定は、巻き回して重ね合わせた状態で、覆い部10の上端部の縁部10aの一の隅部10a´を腰部A1の位置に固定されないフリーな状態としながら行うこと構成とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
人体の腰部から下方側を覆う覆い部を有する衣服であって、
前記覆い部は、重ね合わせるように前記人体に装着されるとともに、
前記覆い部の上部の縁部の位置を前記腰部の位置に固定するための固定部材を設け、
前記固定部材による固定は、前記重ね合わせた状態で、前記覆い部の上部の縁部の一の端部を前記腰部の位置に固定されないフリーな状態とすることを特徴とする衣服。
【請求項2】
人体の腰部から下方側を覆う覆い部を有する衣服であって、
前記覆い部は、前後に重ね合わせるように前記人体に装着されるとともに、
前記覆い部の上部の縁部の位置を前記腰部の位置に固定するための固定部材を設け、
前記固定部材による固定は、前記重ね合わせた状態で、前記覆い部の上部の縁部の一の端部を後位置として前記一の端部を前記腰部の位置に固定されないフリーな状態としながら、前記覆い部の他の端部を前位置として行う構成とすることを特徴とする衣服。
【請求項3】
前記固定部材により前記重ね合わせた状態で固定したときに、前記後位置にある前記覆い部の上部の縁部の一の端部を上方に引き上げることにより、前記後位置にある前記覆い部の下部の縁部を引き上げるように装着する構成とすることを特徴とする請求項2に記載の衣服。
【請求項4】
前記固定部材による固定は、前記重ね合わせた状態で、前記覆い部の上部の縁部の左右方向の中間位置と前記他の端部とを固定して行うことを特徴とする請求項2に記載の衣服。
【請求項5】
前記覆い部は、前記重ね合わせられる部分の対向する相互間を粗面とする生地を用いて構成することを特徴とする請求項1に記載の衣服。
【請求項6】
前記覆い部は、前記重ね合わせられる部分の少なくとも一方に前記粗面とする生地および平滑面とする生地を用いて構成することを特徴とする請求項1に記載の衣服。
【請求項7】
前記覆い部は、表面側を粗面とする生地を用いて構成するとともに、前記覆い部の他の側部の縁部の裏面側であって前記前位置となる他の端部の裏面側において上下方向に帯状に延びるように粗面とする生地を設けて構成し、更に前記覆い部の裏面側において前記粗面とする生地以外の他の部分を平滑面とする生地を用いて構成して、前記重ね合わせたときに、前記重ね合わせられる部分の前記前位置の覆い部の裏面側において前記粗面とする生地と前記平滑面とする生地が左右方向に並行して並ぶように配置されるとともに、前記重ね合わせられる部分の前記後位置の覆い部の表面側において前記粗面とする生地が配置されることを特徴とする請求項1に記載の衣服。
【請求項8】
前記覆い部は、タックを設けることを特徴とする請求項1に記載の衣服。
【請求項9】
前記タックは、前記覆い部の表面側の粗面となる生地と前記裏面側の平滑面となる生地との間に前記粗面となる生地および前記平滑面となる生地を挿入しつつ重ね合わせて折り込むことにより、前記表面側において前記挿入した粗面となる生地と前記挿入された粗面となる生地を重ね合わせて折り込み、前記裏面側において前記挿入した平滑面となる生地と前記挿入された平滑面となる生地を重ね合わせて折り込んで形成されることを特徴とする請求項8に記載の衣服。
【請求項10】
前記覆い部の重ね合わせられる部分に設けられるタックは、前記折り込むことにより内側および外側に折り目が形成され、前記外側の折り目の先端部が、前記一の端部側を向くように設けられることを特徴とする請求項9に記載の衣服。
【請求項11】
請求項1に記載の衣服において、
前記覆い部を、前記重ね合わるように前記人体に装着するとともに、
前記固定部材により前記重ね合わせた状態で固定したときに、前記覆い部の上部の縁部の一の端部を上方に引き上げることにより、前記覆い部の下部の縁部を引き上げて装着することを特徴とする衣服の装着方法。
【請求項12】
請求項3に記載の衣服において、
前記覆い部を、前記重ね合わるように前記人体に装着するとともに、
前記固定部材により前記重ね合わせた状態で固定したときに、前記後位置にある前記覆い部の上部の縁部の一の端部を引き上げることにより、前記後位置にある前記覆い部の下部の縁部を引き上げて装着することを特徴とする衣服の装着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、衣服および衣服の装着方法に関し、特に人体の腰部から下肢部に至る部位を覆う覆い部を有する衣服および衣服の装着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年は、着物の需要が非常に多くなっているが、着物の着付けは一般に難しく、例えば特許文献1に開示されるように、簡単に着付けをすることができる和服が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007-16372号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上述した従来の着物にあっては、下肢部を覆う着物の下部側において前側で重なり合う下部の縁部のうち後位置の下部の縁部が前位置にある下部の縁部により隠れるように装着することが好ましいく、このような着物の装着が簡易にかつ確実に行うことができる着物の開発が望まれていた。
【0005】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、下部の縁部が隠れるように装着することを可能とすることができる衣服および衣服の装着方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る衣服は、人体の腰部から下方側を覆う覆い部を有する衣服であって、前記覆い部は、重ね合わせるように前記人体に装着されるとともに、前記覆い部の上部の縁部の位置を前記腰部の位置に固定するための固定部材を設け、前記固定部材による固定は、前記重ね合わせた状態で、前記覆い部の上部の縁部の一の端部を前記腰部の位置に固定されないフリーな状態としながら行うこと構成とすることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、上記構成とすることとしたので、前記覆い部の上部の縁部の一の端部を上方に引き上げることが可能となる。これにより、覆い部の下部の縁部が隠れるように装着することが可能となる。
【0008】
上記目的を達成するため、本発明に係る衣服は、人体の腰部から下方側を覆う覆い部を有する衣服であって、前記覆い部は、重ね合わせるように前記人体に装着されるとともに、前記覆い部の上部の縁部の位置を前記腰部の位置に固定するための固定部材を設け、前記固定部材による固定は、前記重ね合わせた状態で、前記覆い部の上部の縁部の一の端部を後位置として前記一の端部を前記腰部の位置に固定されないフリーな状態としながら、前記覆い部の他の端部を前位置として行う構成とすることを特徴とする。
本発明によれば、上記構成とすることとしたので、後位置にある覆い部の上部の縁部の一の端部を上方に引き上げることが可能となる。これにより、後位置の覆い部の下部の縁部が前位置に覆い部の下部の縁部に隠れるように装着することができる。
【0009】
すなわち、前記固定部材により前記重ね合わせた状態で固定したときに、前記後位置にある前記覆い部の上部の縁部の一の端部を上方に引き上げることにより、前記後位置にある前記覆い部の下部の縁部を引き上げるように装着する構成とすることができる。
【0010】
前記固定部材による固定は、前記重ね合わせた状態で、前記覆い部の上部の縁部の左右方向の中間位置と前記他の端部とを固定して行うことができる。
【0011】
前記覆い部は、前記重ね合わせられる部分の対向する相互間を粗面とする生地を用いて構成することとすれば、重ね合わせられる部分の対向する相互間において所定の摩擦力が生じて、前記覆い部の上部の縁部の一の端部を引き上げた状態を保持することが可能となる。
【0012】
前記覆い部は、前記重ね合わせられる部分の少なくとも一方に前記粗面とする生地および平滑面とする生地を用いて構成することとすれば、粗面となる生地が作用して重ね合わせられる部分の対向する相互間において所定の摩擦力が生じて、前記覆い部の上部の縁部の一の端部を引き上げた状態を保持することを可能となるとともに、平滑面となる生地が作用して前記覆い部の上部の縁部の一の端部を引き上げ易くすることも可能となる。
【0013】
より詳しくは、前記覆い部は、表面側を粗面とする生地を用いて構成するとともに、前記覆い部の他の側部の縁部の裏面側であって前記前位置となる他の端部の裏面側において上下方向に帯状に延びるように粗面とする生地を設けて構成し、更に前記覆い部の裏面側において前記粗面とする生地以外の他の部分を平滑面とする生地を用いて構成して、前記重ね合わせたときに、前記重ね合わせられる部分の前記前位置の覆い部の裏面側において前記粗面とする生地と前記平滑面とする生地が左右方向に並行して並ぶように配置されるとともに、前記重ね合わせられる部分の前記後位置の覆い部の表面側において前記粗面とする生地が配置される。
【0014】
前記覆い部は、タックを設けることとすれば、覆い部の上部の縁部の下方側に膨らみを持たせることができ、装着時に人体との間に余裕ができる等、衣服の寸法に余裕を持たせることができる。
【0015】
前記タックは、前記覆い部の表面側の粗面となる生地と前記裏面側の平滑面となる生地との間に前記粗面となる生地および前記平滑面となる生地を挿入しつつ重ね合わせて折り込むことにより、前記表面側において前記挿入した粗面となる生地と前記挿入された粗面となる生地を重ね合わせて折り込み、前記裏面側において前記挿入した平滑面となる生地と前記挿入された平滑面となる生地を重ね合わせて折り込んで形成されることができる。
【0016】
前記覆い部の重ね合わせられる部分に設けられるタックは、前記折り込むことにより内側および外側に折り目が形成され、前記外側の折り目の先端部が、前記一の端部側を向くように設けられることとすれば、フリーな状態の一の端部側が他の端部側に引き寄せられることを阻止するように作用し、衣服の安定した装着状態を保持することが可能となる。
【0017】
上記目的を達成するため、本発明に係る衣服の装着方法は、上記の衣服において、前記覆い部を、重ね合わるように前記人体に装着するとともに、前記固定部材により前記重ね合わせた状態で固定したときに、前記覆い部の上部の縁部の一の端部を上方に引き上げることにより、前記覆い部の下部の縁部を引き上げて装着することを特徴とする。
【0018】
上記目的を達成するため、本発明に係る衣服の装着方法は、上記の衣服において、前記覆い部を、重ね合わるように前記人体に装着するとともに、前記固定部材により前記重ね合わせた状態で固定したときに、前記後位置にある前記覆い部の上部の縁部の一の端部を上方に引き上げることにより、前記後位置にある前記覆い部の下部の縁部を引き上げて装着することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明によれば、下部の縁部が隠れるように装着することを可能とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施形態に係る衣服の構成を示す正面図である。
図2】同衣服の覆い部の構成を示す正面図である。
図3】同覆い部の構成を示す背面図である。
図4】同覆い部の構成を模式的に示す平面図である。
図5】同覆い部の展開した状態の構成を示す正面図である。
図6】同覆い部の展開した状態の構成を示す背面図である。
図7】同覆い部のタックの形成方法を示す図である。
図8】同覆い部のタックの形成方法を示す図7に続く図である。
図9】同覆い部のタックの形成方法を示す図8に続く図である。
図10】同覆い部のタックの技術的効果を示す図である。
図11】同覆い部の装着方法を示す図である。
図12】同覆い部の装着方法を示す図11に続く図である。
図13】同覆い部の装着方法を示す図12に続く図である。
図14】本発明の変形例の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は、本発明の実施形態に係る衣服の構成を示す正面図、図2は、同衣服の覆い部の構成を示す正面図、図3は、同覆い部の構成を示す背面図、図4は、同覆い部の構成を模式的に示す平面図、図5は、同覆い部の展開した状態の構成を示す正面図、図6は、同衣服の展開した状態の構成を示す背面図である。なお、以下の説明においては、人体Aの上側を上方、下側を下方、右側を右方(側方)、左側を左方(側方)、前側を前方、後側を後方として、各方向を図において明示するものとする。
【0022】
図1図6に示すように、衣服1は、覆い部10を有しており、覆い部10は、人体Aの腰部A1から下方側より詳しくは人体Aの腰部A1から下肢部A2に至る部位を覆うことができる。覆い部10は、略矩形状の一枚の布材料となっている。覆い部10は、人体Aの腰部A1から下肢部A2にかけて覆うようにかつ人体Aの側方から巻き回して側部を前側において前後に重ね合わせるように人体Aに装着することができる。衣服1は、着物(和服)とすることができ、覆い部10は、着物(和服)の下肢部A2側とすることができる。すなわち、着物(和服)は上衣2と帯3と下衣10を有する二部式の着物(和服)とすることができ、覆い部10は、二部式の着物(和服)の下衣10(二部式の着物(和服)の下肢部A2側)とすることができる。覆い部10は、下肢部A2の下端部つまり下肢部A2の甲付近まで覆うことができる。
【0023】
覆い部10は、固定部材20を覆い部10の上端部の縁部10aに設けている。固定部材20は、覆い部10の上端部の縁部10aの位置を腰部A1の位置に固定するためのものである。覆い部10の上端部の縁部10aは、人体Aの腰部A1を覆う腰天部10aである。
【0024】
固定部材20は、相互に連結して固定される第1の固定部材21および第2の固定部材22を有している。第1の固定部材21および第2の固定部材22は、相互に係合して連結し覆い部10の上端部の縁部10aを腰部A1に固定することができる。第1の固定部材21および第2の固定部材22は相互に係合する雌雄の面ファスナーとすることができる。第1の固定部材21は、雌雄の面ファスナーのいずれか一方とし、第2の固定部材22は、雌雄面ファスナーのいずれか他方とすることができる。
【0025】
固定部材20は、第1の固定部材21を、略矩形状の覆い部10の上端部の縁部10aの一の端部10a´より詳しくは一の隅部10a´(以下、一の端部10a´は一の隅部10a´とする)から所定の距離X離間した左右方向の中間位置10a1´に設けている。また、固定部材20は、第2の固定部材22を、覆い部10の上端部の縁部10aの他の端部10a´´より詳しくは他の隅部10a´´に設けている。第1の固定部材21は、覆い部10の表面10´側、第2の固定部材22は、覆い部10の裏面10´´側に設けられている。
【0026】
固定部材20は、覆い部10の上端部の縁部10aの一の隅部10a´を固定されないフリーな状態として覆い部10を腰部A1に固定することができる。
すなわち、固定部材20による覆い部10の腰部A1への固定は、覆い部10を人体Aに巻き回して前側で重ね合わせた状態で、第1の固定部材21と一の隅部10a´を前側の後位置(以下、前側の後位置は単に後位置とする)として行う。
【0027】
そして、固定部材20による覆い部10の腰部A1への固定は、覆い部10の上端部の縁部10aの一の隅部10a´を腰部A1の位置に固定されないフリーな状態としながら、第2の固定部材22と他の端部10a´´より詳しくは他の隅部10a´´(他の隅部10a´´は、一の隅部10a´と覆い部10の上端部において反対側の隅部となる、以下、他の端部10a´´は他の隅部10a´´とする)を前側の前位置(以下、前側の前位置は単に前位置とする)として行う。これにより、固定部材20による覆い部10の腰部A1への固定は、第1の固定部材21と第2の固定部材22を前側において前後するように相互に連結して行う構成とすることができる。
【0028】
覆い部10は、第1の固定部材21と第2の固定部材22を連結して固定したときに、後位置にあるフリーな状態の一の隅部10a´を上方に引き上げることにより、一の隅部10a´と上下方向において対応した位置にある後位置の覆い部10の下端部の縁部10b1を引き上げて後位置の覆い部10の下端部の縁部10b1が前位置の覆い部10の下端部の縁部10b2により隠れるように装着することが可能となる。
【0029】
ここで、覆い部10は、重ね合わせられる部分10Aの対向する相互間を粗面とする生地B1を用いて構成することができる。
覆い部10は、重ね合わせられる部分10Aの少なくとも一方に粗面とする生地B1および平滑面とする生地B2を用いて構成することができる。
【0030】
より詳しくは、覆い部10は、表面10´側および裏面10´´側をポリエステルとする生地で構成することができる。そして、覆い部10は、表面10´側の全面を粗面とする生地B1を用いて構成することができる。また、覆い部10は、第2の固定部材22が設けられる前位置となる他の隅部10a´´の裏面10´´側(覆い部10の他の側端部の縁部10dの裏面10´´側)において粗面とする生地B1を設けて構成することができる。他の隅部10a´´の裏面側10´´側の粗面とする生地B1は、覆い部10の下端部の縁部10bに達するように上下方向に帯状に延びるように設けることができる。覆い部10は、覆い部10の裏面10´´側の上端部の縁部10a(腰天部10aの裏面10´´側)にも左右方向に延びるように粗面となる生地B1が設けられている。更に、覆い部10は、覆い部10の裏面10´´側において粗面とする生地B1以外の他の部分を平滑面とする生地B2を用いて構成することができる。
【0031】
つまり、覆い部10は、覆い部10を人体Aに巻き回して重ね合わせたときに、重ね合わせられる部分10Aの前位置の覆い部10の裏面10´´側において粗面とする生地B1と平滑面とする生地B2が左右方向に並行して並ぶように構成されている。より詳しくは、覆い部10は、平滑面となる生地B2が上端部の縁部10aの左右方向に延びる粗面となる生地B1と他の隅部10aの裏面側10´´側の上下方向に帯状に延びる粗面とする生地B1に囲まれるように配置される構成となっている。重ね合わせられる部分10Aは、このような生地構成の前位置の覆い部10の裏面10´´側と平滑面となる生地B2により形成される後位置の覆い部10の表面10´側とが相互に対向して配置される構成となっている。
【0032】
ここで、覆い部10は、上端部の縁部10aの下方側にタック30を設けることができる。
タック30は、覆い部10の上端部の縁部10aの下方側(縁部10aの下端付近)の裏面10´´側が平滑面となる生地B2が設けられる領域15に設けられている。
【0033】
そして、タック30は、図7図9に示すように、覆い部10の表面10´側の粗面となる生地B1と裏面10´´側の平滑面となる生地B2との間に粗面となる生地B1および平滑面となる生地B2を押し込むように挿入しつつ重ね合わせて折り込むことにより形成される。より詳しくは、タック30a,30bは、表面10´側において挿入した粗面となる生地B1と挿入された粗面となる生地B1を重ね合わせて折り込み、裏面10´´側において挿入した平滑面となる生地B2と挿入された平滑面となる生地B2を重ね合わせて折り込んで形成することができる。
【0034】
タック30aは、覆い部10の巻き回して重ね合わせられる部分10Aに設けられている。また、タック30bは、覆い部10の重ね合わせられる部分10A以外の部分に設けられている。
【0035】
すなわち、タック30a,30bは、折り込むことにより内側および外側に折り目31a,31bが形成されるように設けられている。
【0036】
より詳しくは、タック30a,30bは、表面10´側の粗面となる生地B1および裏面10´´側の平滑面となる生地B2を押し込むように挿入することにより表面10´側および裏面10´´側において内側および外側に折り目31a,31bを形成しながら設けられる。
【0037】
更に、タック30a,30bは、表面10´側の外側の折り目31bが表面10´側に表出し、裏面10´´側の外側の折り目31bが裏面10´´側に表出している。
タック30a,30bのうち少なくとも覆い部10の巻き回して重ね合わせられる部分10Aに設けられるタック30aは、外側の折り目31bの先端部31b´が、一の隅部10a´側を向くように設けられている。
【0038】
このような構成のタック30を設けることで、覆い部10の上部10aの縁部10a1の下方側に膨らみを持たせることができ、装着時に人体Aとの間に余裕ができる等、衣服1の寸法に余裕を持たせることができる。
【0039】
また、覆い部10を重ね合わせたときに、図10に示すように、表出するタック30aが後位置の覆い部10に食い込むように設けられ、一の隅部10a´が固定されないフリーな状態にあっても覆い部10の固定された状態を確保することが可能となる。
【0040】
更に、タック30aの外側の折り目31bの先端部31b´が、一の隅部10a´側を向くように設けられているため、フリーな状態の一の隅部10a´側が他の隅部10a´´側に引き寄せられること(固定を解除すること)を阻止するように作用し、衣服の安定した装着状態を保持することが可能となる。
【0041】
以上の構成された本実施形態の衣服1は、次のように人体Aに装着することができる。
すなわち、まず図11に示すように、第1の固定部材21が人体Aの腰部A1の前部側に配置されるように覆い部10を一の側端部の縁部10c側を巻き付ける。次いで、図12に示すように、第2の固定部材22が第1の固定部材21と連結するように他の側端部の縁部10d側を人体Aの側方から巻き回して側部を前側において前後に重ね合わせるように人体Aに装着する。この装着は、一の隅部10a´を腰部A1の位置に固定されないフリーな状態としながら、第1の固定部材21と一の隅部10a´を後位置とし、第2の固定部材22と他の隅部10a´´を前位置として、第1の固定部材21と第2の固定部材22を相互に係合して連結し固定する。
【0042】
続いて、図13に示すように、後位置にあるフリーな状態の一の隅部10a´を上方に引き上げる。
【0043】
これにより、後位置にある覆い部10の下端部の縁部10b1が引き上げられて後位置の覆い部10の下端部の縁部10b1が前位置の覆い部10の下端部の縁部10b2により隠れるように装着することが可能となる。また、後位置にあるフリーな状態の一の隅部10a´を上方に引き上げることにより、覆い部10の下部側が窄まるように装着することができる。
【0044】
また、覆い部10は、重ね合わせられる部分10Aの対向する相互間を粗面とする生地B1を用いて構成することとしたので、重ね合わせられる部分10Aの対向する相互間において所定の摩擦力が生じて、覆い部10の上部の縁部10aの一の隅部10a´を引き上げた状態を保持することが可能となる。
【0045】
更に、覆い部10は、重ね合わせられる部分10Aの少なくとも一方に粗面とする生地B1および平滑面とする生地B2を用いて構成することとしたので、平滑面となる生地B2が作用して覆い部10の上部の縁部10aの一の隅部10a´を引き上げ易くすることも可能となる。
【0046】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることなく種々の変形実施、応用実施が可能であることは勿論である。
例えば、上述した実施形態にあっては、衣服1は、二部式の着物とし、覆い部10は、二部式の着物の下衣側(下肢部A2側)とすることとしているが、このような着物に限定されず例えば一部式の長襦袢やスカート等人体Aの腰部A1から下肢部A2に至る部位を覆う覆い部10(覆う部分)を有する衣服1が含まれるものとする。ただし、機能性等を考慮すると、衣服1を二部式の着物とし、覆い部10を二部式の着物の下衣側(下肢部A2側)とすることがより好ましい実施形態となる。
【0047】
また、上述した実施形態にあっては、固定部材20は、係合して連結し固定するものとして、面ファスナーとすることとしているが、このような固定部材20に限定されず覆い部10の上端部の縁部10aの位置を腰部A1に固定するものであれば挟んで固定するクリップ状の部材や釦その他の部材を含むものとする。ただし、固定の容易さ等を考慮すると、固定部材20を面ファスナーとすることがより好ましい実施形態となる。
【0048】
更に、上述した実施形態にあっては、一の端部10a´および他の端部10a´´を矩形状の一の隅部10a´および他の隅部10a´´として、他の隅部10a´´を覆い部10の上端部の縁部10aの左右方向の中間位置10a1´と固定しかつ一の隅部10a´を腰部A1の位置に固定されないフリーな状態としながら、一の隅部10a´を上方に引き上げることにより、一の隅部10a´と上下方向において対応した位置にある覆い部10の後位置の下部の縁部10b1を引き上げることとしているが、図14に示すように、各隅部10a´,10a´´から側方に延びる延出部11,12を設け、延出部11,12の端部11a,11bを一の端部11aおよび他の端部11bとして上記のような装着を行うこととしても所要の効果を奏する。ただし、一の端部10a´および他の端部10a´´を矩形状の一の隅部10a´および他の隅部10a´´として装着を行う方が、延出部11,12の端部11a,11bを一の端部11aおよび他の端部11bとして装着を行うよりも、確実な覆い部10の固定とスムーズな一の端部10a´の引き上げを行うことができより好ましい実施形態となる。
【符号の説明】
【0049】
A:人体
A1:腰部
A2:下肢部
B1:粗面とする生地
B2:平滑面とする生地
X:距離
1:衣服
2:上衣
3:帯
10:覆い部(下衣)
10´:表面
10´´:裏面
10a:上端部の縁部(腰天部)
10a´:一の隅部
10a´´:他の隅部
10b:下端部の縁部
10b1:下端部の縁部(後位置)
10b2:下端部の縁部(前位置)
10A:重ね合わせられる部分
10c:一の側端部の縁部
10d:他の側端部の縁部
11,12:延出部
11a,11b:端部
15:領域
20:固定部材
21:第1の固定部材
22:第2の固定部材
30,30a,30b:タック
31a:内側の折り目
31b:外側の折り目
31b´:先端部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14