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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157912
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】ショベル
(51)【国際特許分類】
   E02F 9/20 20060101AFI20221006BHJP
   E02F 9/00 20060101ALI20221006BHJP
   E02F 9/08 20060101ALI20221006BHJP
   B60K 11/04 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
E02F9/20 C
E02F9/00 C
E02F9/08
B60K11/04 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021062422
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】502246528
【氏名又は名称】住友建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】山本 正明
(72)【発明者】
【氏名】中田 薫
【テーマコード(参考)】
2D003
3D038
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB07
2D003AC06
2D003BA02
2D003CA02
2D003CA10
2D003DA04
2D003DB05
2D003FA02
3D038AA10
3D038AB09
3D038AC02
3D038AC14
3D038AC22
(57)【要約】
【課題】電動式のショベルにおいて、上部旋回体に蓄電装置を効率的に配置可能な技術を提供する。
【解決手段】本開示の一実施形態に係るショベル100は、下部走行体1と、下部走行体1に旋回自在に搭載される上部旋回体3と、下部走行体1及び上部旋回体3を含む被駆動部を駆動する油圧アクチュエータと、油圧アクチュエータに作動油を供給するメインポンプ14と、メインポンプ14を駆動するポンプ用電動機12と、ポンプ用電動機12に電力を供給する蓄電装置19と、を備え、蓄電装置19は、上部旋回体3の右側前部に搭載され、メインポンプ14及びポンプ用電動機12は、上部旋回体3の後部に搭載される。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回自在に搭載される上部旋回体と、
前記下部走行体及び前記上部旋回体を含む被駆動部を駆動する油圧アクチュエータと、
前記油圧アクチュエータに作動油を供給する油圧ポンプと、
前記油圧ポンプを駆動する電動機と、
前記電動機に電力を供給する蓄電装置と、を備え、
前記蓄電装置は、前記上部旋回体の右側前部に搭載され、
前記油圧ポンプ及び前記電動機は、前記上部旋回体の後部に搭載される、
ショベル。
【請求項2】
前記下部走行体の全幅の半分に対する前記上部旋回体の後部の旋回半径の比率が120パーセント以下の後方超小旋回形である、
請求項1に記載のショベル。
【請求項3】
前記上部旋回体は、上面視で、後部の形状が旋回中心を基準とする略円弧形状である、
請求項1又は2の何れか一項に記載のショベル。
【請求項4】
前記油圧ポンプから供給される作動油を用いて、前記油圧アクチュエータを駆動する油圧制御装置を備え、
前記油圧制御装置は、前記油圧ポンプ及び前記電動機の少なくとも一方の上に配置される、
請求項1乃至3の何れか一項に記載のショベル。
【請求項5】
前記上部旋回体に搭載され、作動油を貯蔵する作動油タンクを備え、
前記油圧ポンプは、前記作動油タンク内の作動油の液面より下方に配置される、
請求項1乃至4の何れか一項に記載のショベル。
【請求項6】
前記上部旋回体に搭載され、作動油を貯蔵する作動油タンクを備え、
前記蓄電装置は、前記上部旋回体の右側の前部から前後中央部に亘る範囲に配置され、
前記油圧ポンプは、前記蓄電装置の後方に配置され、
前記電動機は、前記油圧ポンプを機械駆動可能なように前記油圧ポンプの左方に配置される、
請求項1乃至5の何れか一項に記載のショベル。
【請求項7】
前記作動油タンクは、前記電動機の前方且つ前記蓄電装置の左方に配置される、
請求項6に記載のショベル。
【請求項8】
前記電動機及び前記蓄電装置を冷却する冷却装置を備え、
前記冷却装置は、冷媒を前記電動機及び前記蓄電装置を通過させながら循環させるための循環回路と、前記循環回路の冷媒を冷却するラジエータとを含み、
前記ラジエータは、前記電動機の左方に配置される、
請求項6又は7に記載のショベル。
【請求項9】
前記上部旋回体におけるハウス部の後部には、前記上部旋回体に搭載される構成要素にアクセス可能なドアが設けられる、
請求項1乃至8の何れか一項に記載のショベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ショベルに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、バッテリ等の蓄電装置をエネルギ源として稼働する電動式のショベルが知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10-266272号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、電動式のショベルは、通常、相対的にサイズが小さい場合が多く、上部旋回体の後部のスペースが相対的に小さくなる傾向にある。また、相対的にサイズが小さいショベルでは、狭い現場での作業性を要求されることから、上部旋回体の後部の旋回半径が相対的に小さくなるように構成される場合もあり、更に、上部旋回体の後部のスペースが小さくなる可能性がある。そのため、特許文献1のように、上部旋回体の後部に蓄電装置(バッテリ)が搭載される場合、例えば、ユーザの利用形態等に合わせて、必要な容量の蓄電装置を上部旋回体に搭載できない可能性がある。
【0005】
そこで、上記課題に鑑み、電動式のショベルにおいて、上部旋回体に蓄電装置を効率的に配置可能な技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本開示の一実施形態では、
下部走行体と、
前記下部走行体に旋回自在に搭載される上部旋回体と、
前記下部走行体及び前記上部旋回体を含む被駆動部を駆動する油圧アクチュエータと、
前記油圧アクチュエータに作動油を供給する油圧ポンプと、
前記油圧ポンプを駆動する電動機と、
前記電動機に電力を供給する蓄電装置と、を備え、
前記蓄電装置は、前記上部旋回体の右側前部に搭載され、
前記油圧ポンプ及び前記電動機は、前記上部旋回体の後部に搭載される、
ショベルが提供される。
【発明の効果】
【0007】
上述の実施形態によれば、電動式のショベルにおいて、上部旋回体に蓄電装置を効率的に配置することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】ショベルの側面図である。
図2】ショベルの構成の一例を概略的に示すブロック図である。
図3】ショベルの構成の他の例を概略的に示すブロック図である。
図4】油圧駆動系の動作制限に関する構成の一例を示す図である。
図5】油圧制御系の動作制限に関する構成の他の例を示す図である。
図6】冷却装置の構成の一例を示す図である。
図7】空調装置のヒートポンプサイクルの一例を示す図である。
図8】上部旋回体の各種機器の配置構造の一例を示す上面図である。
図9】上部旋回体のメンテナンスドアの一例を示す斜視図である。
図10】蓄電装置の一例を示す斜視図である。
図11】蓄電装置の他の例を示す斜視図である。
図12】蓄電モジュールの構成の一例を示す分解図である。
図13】蓄電モジュール同士の連結構造の一例を示す断面図である。
図14】DC-DCコンバータの動作・停止の切換方法を説明する図である。
図15】DC-DCコンバータの変換効率を示す図である。
図16】DC-DCコンバータからの電力供給の制限時における制御処理の第1例を概略的に示すフローチャートである。
図17】DC-DCコンバータからの電力供給の制限時におけるバッテリの電圧の変化の一例を示す図である。
図18】DC-DCコンバータからの電力供給の制限時における制御処理の第2例を概略的に示すフローチャートである。
図19】DC-DCコンバータからの電力供給の制限時における制御処理の第3例を概略的に示すフローチャートである。
図20】DC-DCコンバータからの電力供給の制限時における制御処理の第4例を概略的に示すフローチャートである。
図21】ショベルの運転モードの立ち上げ及び立ち下げに関する制御処理の一例を概略的に示すフローチャートである。
図22】ショベルの緊急停止処理の一例を概略的に示すフローチャートである。
図23】ショベルの充電モードの立ち上げ及び立ち下げに関する制御処理の一例を概略的に示すフローチャートである。
図24】充電モードの強制終了処理の一例を概略的に示すフローチャートである。
図25】蓄電装置の充電中における空調装置の使用に関する制御処理の第1例を概略的に示すフローチャートである。
図26】蓄電装置の充電中における空調装置の使用に関する制御処理の第2例を概略的に示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して発明を実施するための形態について説明する。
【0010】
[ショベルの概要]
まず、図1を参照して、作業機械の一例としてのショベル100の概要を説明する。
【0011】
図1は、本実施形態に係るショベル100の一例を示す側面図である。
【0012】
ショベル100は、下部走行体1と、旋回機構2を介して旋回可能に下部走行体1に搭載される上部旋回体3と、アタッチメントATと、オペレータが搭乗するキャビン10とを備える。
【0013】
尚、後述の如く、ショベル100が遠隔操作される場合や完全自動運転で動作する場合、キャビン10は省略されてもよい。
【0014】
下部走行体1は、例えば、左右一対のクローラ1C(被駆動部の一例)を含む。下部走行体1は、それぞれのクローラ1Cが走行油圧モータ1A,1B(図2図3参照)で油圧駆動されることにより、自走する。
【0015】
上部旋回体3(被駆動部の一例)は、旋回機構2を通じて、旋回油圧モータ2Aにより油圧駆動される(図2図3参照)。
【0016】
アタッチメントATは、ブーム4と、アーム5と、バケット6とを含む。
【0017】
ブーム4(被駆動部の一例)は、上部旋回体3の前部中央に俯仰可能に取り付けられ、ブーム4の先端には、アーム5(被駆動部の一例)が上下回動可能に取り付けられ、アーム5の先端には、バケット6(被駆動部の一例)が上下回動可能に取り付けられる。ブーム4、アーム5、及びバケット6は、それぞれ、油圧アクチュエータとしてのブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9により油圧駆動される。
【0018】
バケット6は、エンドアタッチメントの一例であり、掘削作業や転圧作業等に用いられる。
【0019】
尚、アーム5の先端には、作業内容等に応じて、バケット6の代わりに、他のエンドアタッチメントが取り付けられてもよい。他のエンドアタッチメントは、例えば、法面用バケット、浚渫用バケット等のバケット6と異なる種類のバケットであってよい。また、他のエンドアタッチメントは、例えば、ブレーカ、攪拌機、グラップラ等のバケットと異なる種類のエンドアタッチメントであってもよい。また、バケット6を含むエンドアタッチメントとアーム5との間の連結部には、例えば、クイックカップリングやチルトローテータ等の補助アタッチメントが設けられてもよい。
【0020】
本例では、ショベル100は、後述の如く、ポンプ用電動機12を動力源とするメインポンプ14(図2参照)から供給される作動油で全ての被駆動部が油圧駆動される。つまり、本例では、ショベル100は、いわゆる油圧ショベルの原動機(エンジン)をポンプ用電動機12に置換した構成に相当する。
【0021】
尚、ショベル100の被駆動部の一部又は全部が電気駆動されてもよい。例えば、上部旋回体3は、旋回機構2を通じて、旋回用電動機で電気駆動されることにより、下部走行体1に対して旋回してもよい。
【0022】
キャビン10は、例えば、上部旋回体3の前部左側に搭載され、その内部には、オペレータが着座する操縦席や後述する操作装置26等が設けられる。
【0023】
尚、後述の如く、ショベル100が遠隔操作される場合や完全自動運転で動作する場合、キャビン10は省略されてもよい。
【0024】
ショベル100は、キャビン10に搭乗するオペレータの操作に応じて、下部走行体1(左右のクローラ1C)、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動部を動作させる。
【0025】
また、ショベル100は、キャビン10に搭乗するオペレータによって操作可能に構成されるのに代えて、或いは、加えて、ショベル100の外部から遠隔操作(リモート操作)が可能に構成されてもよい。ショベル100が遠隔操作される場合、キャビン10の内部は、無人状態であってもよい。以下、オペレータの操作には、キャビン10のオペレータの操作装置26に対する操作、及び外部のオペレータの遠隔操作の少なくとも一方が含まれる前提で説明を進める。
【0026】
遠隔操作には、例えば、所定の外部装置で行われるショベル100のアクチュエータに関する操作入力によって、ショベル100が操作される態様が含まれる。外部装置は、例えば、ショベル100に関する管理を行う管理装置やショベル100のユーザが利用する端末装置(ユーザ端末)等を含む。以下、後述の遠隔監視の場合も同様であってよい。この場合、ショベル100は、外部装置と通信可能な通信装置を搭載し、例えば、後述の周辺情報取得装置40に含まれる撮像装置が出力する画像情報(撮像画像)に基づくショベル100の周辺の様子を表す画像(以下、「周辺画像」)を外部装置に送信してよい。そして、外部装置は、外部装置に設けられる表示装置(以下、「遠隔操作用表示装置」)に受信される、ショベル100の周辺画像を表示させてよい。また、ショベル100のキャビン10の内部の出力装置50(表示装置)に表示される各種の情報画像(情報画面)は、同様に、外部装置の遠隔操作用表示装置にも表示されてよい。これにより、外部装置のオペレータは、例えば、遠隔操作用表示装置に表示されるショベル100の周辺画像や情報画面等の表示内容を確認しながら、ショベル100を遠隔操作することができる。そして、ショベル100は、通信装置により外部装置から受信される、遠隔操作の内容を表す遠隔操作信号に応じて、アクチュエータを動作させ、下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動部を駆動してよい。
【0027】
また、遠隔操作には、例えば、ショベル100の周囲の人(例えば、作業者)のショベル100に対する外部からの音声入力やジェスチャ入力等によって、ショベル100が操作される態様が含まれてよい。具体的には、ショベル100は、ショベル100(自機)に搭載される音声入力装置(例えば、マイクロフォン)やジェスチャ入力装置(例えば、撮像装置)等を通じて、周囲の作業者等により発話される音声や作業者等により行われるジェスチャ等を認識する。そして、ショベル100は、認識した音声やジェスチャ等の内容に応じて、アクチュエータを動作させ、下部走行体、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動部を駆動してもよい。
【0028】
また、ショベル100は、オペレータの操作の内容に依らず、自動でアクチュエータを動作させてもよい。これにより、ショベル100は、下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動部の少なくとも一部を自動で動作させる機能(いわゆる「自動運転機能」或いは「MC(Machine Control:マシンコントロール)機能」)を実現する。
【0029】
自動運転機能には、オペレータの操作装置26に対する操作や遠隔操作に応じて、操作対象の被駆動部(アクチュエータ)以外の被駆動部(アクチュエータ)を自動で動作させる機能(いわゆる「半自動運機能」或いは「操作支援型のMC機能」)が含まれてよい。また、自動運転機能には、オペレータの操作装置26に対する操作や遠隔操作がない前提で、複数の被駆動部(アクチュエータ)の少なくとも一部を自動で動作させる機能(いわゆる「完全自動運転機能」或いは「全自動型のMC機能」)が含まれてよい。ショベル100において、完全自動運転機能が有効な場合、キャビン10の内部は無人状態であってよい。また、半自動運転機能や完全自動運転機能等には、自動運転の対象の被駆動部(アクチュエータ)の動作内容が予め規定されるルールに従って自動的に決定される態様が含まれてよい。また、半自動運転機能や完全自動運転機能等には、ショベル100が自律的に各種の判断を行い、その判断結果に沿って、自律的に自動運転の対象の被駆動部(アクチュエータ)の動作内容が決定される態様(いわゆる「自律運転機能」)が含まれてもよい。
【0030】
また、ショベル100が自動運転機能(特に、完全自動運転機能)で動作する場合、ショベル100による作業状況がショベル100の外部から遠隔監視されてもよい。
【0031】
遠隔監視が行われる場合、ショベル100は、外部装置と通信可能な通信装置を搭載し、例えば、後述の周辺情報取得装置40に含まれる撮像装置が出力する画像情報に基づくショベル100の周辺の様子を表す画像(周辺画像)を外部装置に送信してよい。そして、外部装置は、外部装置に設けられる表示装置(以下、「遠隔監視用表示装置」)に受信される画像情報(撮像画像)を表示させてよい。また、ショベル100のキャビン10の内部の出力装置50(表示装置)に表示される各種の情報画像(情報画面)は、同様に、外部装置の遠隔監視用表示装置にも表示されてよい。これにより、外部装置の監視者は、例えば、遠隔監視用表示装置に表示されるショベル100の周辺画像や情報画面等の表示内容を確認しながら、ショベル100の作業状況を遠隔監視することができる。また、外部装置の監視者は、例えば、ショベル100の作業状況に何らかの問題が生じている場合、外部装置に対して所定の入力を行うことにより、ショベル100の動作を非常停止させたり、ショベル100の介入操作を行ったりすることが可能であってもよい。この場合、ショベル100は、通信装置を通じて外部装置から受信される、非常停止を示す信号に応じて、アクチュエータを停止させることで、下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動部を非常停止させてよい。また、ショベル100は、通信装置を通じて外部装置から受信される、介入操作の内容を表す信号に応じて、アクチュエータを動作させることで、下部走行体1、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動部の介入操作を実現してよい。
【0032】
[ショベルの構成]
次に、図1に加えて、図2図7を参照して、本実施形態に係るショベル100の構成について説明する。
【0033】
図2図3は、本実施形態に係るショベル100の構成の一例及び他の例を概略的に示すブロック図である。図4は、油圧駆動系の動作制限に関する構成の一例を示す図である。図5は、油圧駆動系の動作制限に関する構成の他の例を示す図である。図6は、本実施形態に係るショベル100に搭載される冷却装置60の一例を示す図である。図7は、本実施形態に係るショベル100に搭載される空調装置80のヒートポンプサイクル82の一例を示す図である。
【0034】
尚、図2図3にて、機械的動力の伝達系統は二重線、相対的に高い油圧の伝達系統、即ち、油圧駆動系の作動油ラインは太い実線、パイロット圧の伝達系統、即ち、操作系の作動油ラインは破線、及び電力及び電気信号の伝達系統は細い実線でそれぞれ示される。
【0035】
ショベル100は、油圧駆動系、電気駆動系、電源系、操作系、冷却系、ユーザインタフェース系、快適装備系、及び制御系等のそれぞれの構成要素を含む。
【0036】
<油圧駆動系>
ショベル100の油圧駆動系は、被駆動部の油圧駆動に関する構成要素群である。
【0037】
ショベル100の油圧駆動系は、下部走行体1、ブーム4、アーム5、及びバケット6等の被駆動部のそれぞれを油圧駆動する走行油圧モータ1A,1B、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9等の油圧アクチュエータを含む。また、ショベル100の油圧駆動系は、ポンプ用電動機12と、メインポンプ14と、コントロールバルブ17とを含む。
【0038】
ポンプ用電動機12(電動機の一例)は、油圧駆動系の動力源である。ポンプ用電動機12は、例えば、IPM(Interior Permanent Magnet)モータである。ポンプ用電動機12は、インバータ18を介して蓄電装置19と接続される。ポンプ用電動機12は、インバータ18を介して蓄電装置19から供給される三相交流電力で力行運転し、メインポンプ14及びパイロットポンプ15を駆動する。ポンプ用電動機12の駆動制御は、後述するコントローラ30Bの制御下で、インバータ18により実行されてよい。
【0039】
メインポンプ14(油圧ポンプの一例)は、作動油タンクTから作動油を吸い込み、高圧油圧ライン16に吐出することにより、高圧油圧ライン16を通じてコントロールバルブ17に作動油を供給する。メインポンプ14は、上述の如く、ポンプ用電動機12により駆動される。メインポンプ14は、例えば、可変容量式油圧ポンプであり、後述するコントローラ30Aの制御下で、レギュレータ(不図示)が斜板の角度(傾転角)を制御する。これにより、メインポンプ14は、ピストンのストローク長を調整し、吐出流量(吐出圧)を調整することができる。
【0040】
コントロールバルブ17(油圧制御装置の一例)は、オペレータの操作や自動運転機能に対応する操作指令に応じて、油圧駆動系の制御を行う。コントロールバルブ17は、上述の如く、高圧油圧ライン16を介してメインポンプ14と接続され、メインポンプ14から供給される作動油を、複数の油圧アクチュエータに対して選択的に供給可能に構成される。例えば、コントロールバルブ17は、メインポンプ14から油圧アクチュエータのそれぞれに供給される作動油の流量と流れる方向とを制御する複数の制御弁(方向切換弁)を含むバルブユニットである。メインポンプ14から供給され、コントロールバルブ17や油圧アクチュエータを通流した作動油は、コントロールバルブ17から作動油タンクTに排出される。
【0041】
<電気駆動系>
ショベル100の電気駆動系は、ショベル100の原動機(動力源)や被駆動部の電気駆動に関する構成要素群である。
【0042】
図2図3に示すように、ショベル100の電気駆動系は、ポンプ用電動機12と、センサ12sと、インバータ18とを含む。
【0043】
尚、ショベル100の電気駆動系は、上述の如く、被駆動部の一部又は全部が電気駆動される場合、被駆動部を駆動する電動アクチュエータや電動アクチュエータを駆動するインバータ等を含んでよい。
【0044】
センサ12sは、電流センサ12s1と、電圧センサ12s2と、回転状態センサ12s3とを含む。
【0045】
電流センサ12s1は、ポンプ用電動機12の三相(U相、V相、及びW相)のそれぞれの電流を検出する。電流センサ12s1は、例えば、ポンプ用電動機12とインバータ18の間の電力経路に設けられる。電流センサ12s1により検出されるポンプ用電動機12の三相それぞれの電流に対応する検出信号は、通信線を通じて、直接的に、インバータ18に取り込まれる。また、当該検出信号は、通信線を通じて、コントローラ30Bに取り込まれ、コントローラ30B経由で、インバータ18に入力されてもよい。
【0046】
電圧センサ12s2は、ポンプ用電動機12の三相のそれぞれの印加電圧を検出する。電圧センサ12s2は、例えば、ポンプ用電動機12とインバータ18の間の電力経路に設けられる。電圧センサ12s2により検出されるポンプ用電動機12の三相それぞれの印加電圧に対応する検出信号は、通信線を通じて、直接的に、インバータ18に取り込まれる。また、当該検出信号は、通信線を通じて、コントローラ30Bに取り込まれ、コントローラ30B経由で、インバータ18に入力されてもよい。
【0047】
回転状態センサ12s3は、ポンプ用電動機12の回転状態を検出する。ポンプ用電動機12の回転状態には、例えば、回転位置(回転角)、回転速度等が含まれる。回転状態センサ12s3は、例えば、ロータリエンコーダやレゾルバである。回転状態センサ12s3により検出されるポンプ用電動機12の回転状態に対応する検出信号は、通信線を通じて、直接的に、インバータ18に取り込まれる。また、当該検出信号は、通信線を通じて、コントローラ30Bに取り込まれ、コントローラ30B経由で、インバータ18に入力されてもよい。
【0048】
インバータ18は、コントローラ30Bの制御下で、ポンプ用電動機12を駆動制御する。インバータ18は、例えば、直流電力を三相交流電力に変換したり、三相交流電力を直流電力に変換したりする変換回路と、変換回路をスイッチ駆動する駆動回路と、駆動回路の動作を規定する制御信号を出力する制御回路とを含む。制御信号は、例えば、PWM(Pulse Width Modulation)信号である。
【0049】
インバータ18の制御回路は、ポンプ用電動機12の動作状態を把握しながら、ポンプ用電動機12の駆動制御を行う。例えば、インバータ18の制御回路は、回転状態センサ12s3の検出信号に基づき、ポンプ用電動機12の動作状態を把握する。また、インバータ18の制御回路は、電流センサ12s1の検出信号及び電圧センサ12s2の検出信号(或いは制御過程で生成する電圧指令値)に基づき、逐次、ポンプ用電動機12の回転軸の回転角等を推定することにより、ポンプ用電動機12の動作状態を把握してもよい。
【0050】
尚、インバータ18の駆動回路及び制御回路の少なくとも一方は、インバータ18の外部に設けられてもよい。
【0051】
<電源系>
ショベル100の電源系は、各種電気機器に電力を供給するための構成要素群である。
【0052】
図2図3に示すように、ショベル100の電源系は、蓄電装置19と、DC-DCコンバータ44と、バッテリ46と、車載充電器70と、充電口72とを含む。
【0053】
蓄電装置19は、ショベル100のアクチュエータを駆動するためのエネルギ源である。蓄電装置19は、外部の商用電源と所定のケーブル(以下、「充電ケーブル」)で接続されることにより充電(蓄電)されると共に、充電(蓄電)された電力をポンプ用電動機12に供給する。蓄電装置19は、例えば、リチウムイオンバッテリであり、相対的に高い出力電圧(例えば、数百ボルト)を有する。
【0054】
尚、蓄電装置19とポンプ用電動機12との間には、蓄電装置19の出力電圧を昇圧してポンプ用電動機12に印加するための電力変換装置が設けられてもよい。また、上述の如く、被駆動部の一部又は全部が電気駆動される場合、ポンプ用電動機12に代えて、或いは、加えて、被駆動部を電気駆動する電動アクチュエータに蓄電装置19の電力が供給される。
【0055】
DC-DCコンバータ44は、例えば、上部旋回体3に設けられ、蓄電装置19から出力される非常に高い電圧の直流電力を所定の電圧(例えば、約24ボルト)に降圧し出力する。DC-DCコンバータ44の出力電力は、バッテリ46に供給され、充電(蓄電)されたり、バッテリ46の電力で駆動される電気機器(以下、「低電圧機器」)に供給されたりする。低電圧機器には、例えば、制御装置30に含まれる各種コントローラ(コントローラ30A~30E等)が含まれる。また、低電圧機器には、例えば、後述のウォータポンプ64、空調装置80、ファン90等が含まれる。
【0056】
例えば、図2に示すように、ショベル100には、1つのDC-DCコンバータ44が搭載される。
【0057】
また、例えば、図3に示すように、DC-DCコンバータ44は、並列接続される複数のDC-DCコンバータ(本例では、2つのDC-DCコンバータ44A,44B)を含んでもよい。これにより、複数のDC-DCコンバータ44A,44Bは、低電圧機器で必要とされる電流を分担して出力することができる。また、複数のDC-DCコンバータ44A,44Bは、それぞれ、電流容量、即ち、出力可能な電流の最大値が相対的に小さくなることから、外形サイズも相対的に小さくなる。そのため、上部旋回体3に搭載する場合の配置自由度を向上させることができる。また、複数のDC-DCコンバータ44A,44Bのうちの何れか一方が異常等により電力供給できなくなっても、他方からの電力供給を継続させることができる。
【0058】
尚、DC-DCコンバータ44は、オルタネータに置換されてもよい。この場合、オルタネータは、上部旋回体3に設けられ、ポンプ用電動機12の動力により発電を行ってよい。オルタネータの発電電力は、DC-DCコンバータ44の場合と同様、バッテリ46に供給され、バッテリ46に充電(蓄電)されたり、コントローラ30A~30E等の低電圧機器に供給されたりする。
【0059】
バッテリ46は、上部旋回体3に設けられ、相対的に低い出力電圧(例えば、24ボルト)を有する。バッテリ46は、相対的に高い電力を要する電気駆動系以外の低電圧機器に電力を供給する。バッテリ46は、例えば、鉛蓄電池やリチウムイオンバッテリ等であり、上述の如く、DC-DCコンバータ44の出力電力で充電される。
【0060】
車載充電器70は、後述の充電口72Aを通じて、外部電源から供給される相対的に低い電圧(例えば、100ボルトや200ボルト)の単相交流電力を直流電力に変換し蓄電装置19に出力することにより、蓄電装置19の充電を行う。
【0061】
充電口72は、例えば、上部旋回体3の側面等に設けられ、外部電源から延びる充電ケーブルの先端が差し込まれることにより接続される。充電口72は、充電口72A,72Bを含む。
【0062】
充電口72Aには、例えば、相対的に低い電圧の単相交流電力を供給可能な外部電源(例えば、商用電源)から延びる充電ケーブルが接続可能に構成される。充電口72Aは、車載充電器70と電力線(ワイヤハーネス)で接続され、外部電源から供給される電力を、車載充電器70を通じて蓄電装置19に供給する。これにより、蓄電装置19のいわゆる普通充電が実現される。
【0063】
充電口72Bには、例えば、相対的に高い電圧(例えば、400ボルト)の直流電力を供給可能な外部電源から延びる充電ケーブルが接続される。充電口72Bは、蓄電装置19と電力線(ワイヤハーネス)で直接接続され、外部電源から供給される直流電力を蓄電装置19に直接供給する。これにより、蓄電装置19のいわゆる急速充電が実現される。
【0064】
<操作系>
ショベル100の操作系は、被駆動部の操作に関する構成要素群である。
【0065】
図2図3に示すように、ショベル100の操作系は、パイロットポンプ15と、操作装置26と、油圧制御弁31とを含む。また、図4に示すように、ショベル100の操作系は、ゲートロック弁25V1と、ゲートロックスイッチ25SWと、リレー25Rとを含む。また、図5に示すように、ショベル100の操作系は、リレー25Rに加えて、切換弁25V2を含んでもよい。
【0066】
パイロットポンプ15は、パイロットライン25を介してショベル100に搭載される各種油圧機器(例えば、油圧制御弁31)にパイロット圧を供給する。これにより、油圧制御弁31は、コントローラ30Aの制御下で、操作装置26の操作内容(例えば、操作量や操作方向)に応じたパイロット圧をコントロールバルブ17に供給することができる。そのため、コントローラ30A及び油圧制御弁31は、オペレータの操作装置26に対する操作内容に応じた被駆動部(油圧アクチュエータ)の動作を実現することができる。また、油圧制御弁31は、コントローラ30Aの制御下で、遠隔操作信号で指定される遠隔操作の内容に応じたパイロット圧をコントロールバルブ17に供給することができる。また、油圧制御弁31は、コントローラ30Aの制御下で、自動運転機能に対応する操作指令に応じたパイロット圧をコントロールバルブ17に供給することができる。パイロットポンプ15は、例えば、固定容量式油圧ポンプであり、上述の如く、ポンプ用電動機12により駆動される。
【0067】
尚、パイロットポンプ15は、省略されてもよい。この場合、油圧制御弁31等の各種油圧機器には、メインポンプ14から吐出され、減圧弁等を介して所定のパイロット圧に減圧された作動油が供給されてよい。
【0068】
操作装置26は、キャビン10の操縦席のオペレータから手の届く範囲に設けられ、オペレータがそれぞれの被駆動部(即ち、下部走行体1の左右のクローラ1C、上部旋回体3、ブーム4、アーム5、及びバケット6等)の操作を行うために用いられる。換言すれば、操作装置26は、オペレータがそれぞれの被駆動部を駆動するアクチュエータ(例えば、走行油圧モータ1A,1B、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9等)の操作を行うために用いられる。例えば、図2図3に示すように、操作装置26は、電気式であり、オペレータによる操作内容に応じた電気信号(以下、「操作信号」)を出力する。操作装置26から出力される操作信号は、コントローラ30Aに取り込まれる。これにより、コントローラ30Aを含む制御装置30は、油圧制御弁31等を制御し、オペレータの操作内容や自動運転機能に対応する操作指令等に合わせて、ショベル100の被駆動部(アクチュエータ)の動作を制御することができる。
【0069】
操作装置26は、例えば、レバー26A~26Cを含む。レバー26Aは、例えば、前後方向及び左右方向の操作に応じて、アーム5(アームシリンダ8)及び上部旋回体3(旋回動作)のそれぞれに関する操作を受け付け可能に構成されてよい。レバー26Bは、例えば、前後方向及び左右方向の操作に応じて、ブーム4(ブームシリンダ7)及びバケット6(バケットシリンダ9)のそれぞれに関する操作を受け付け可能に構成されてよい。レバー26Cは、例えば、下部走行体1(クローラ1C)の操作を受け付け可能に構成されてよい。
【0070】
尚、コントロールバルブ17が電磁パイロット式の油圧制御弁(方向切換弁)で構成される場合、電気式の操作装置26の操作信号は、コントロールバルブ17に直接入力され、それぞれの油圧制御弁が操作装置26の操作内容に応じた動作を行う態様であってもよい。また、操作装置26は、操作内容に応じたパイロット圧を出力する油圧パイロット式であってもよい。この場合、操作内容に応じたパイロット圧は、コントロールバルブ17に供給される。
【0071】
油圧制御弁31は、コントローラ30Aの制御下で、パイロットポンプ15からパイロットライン25を通じて供給される作動油を用いて、所定のパイロット圧を出力する。油圧制御弁31の二次側のパイロットラインは、コントロールバルブ17に接続され、油圧制御弁31から出力されるパイロット圧は、コントロールバルブ17に供給される。
【0072】
ゲートロック弁25V1は、パイロットライン25に設けられる切換弁である。ゲートロック弁25V1は、例えば、電磁ソレノイド弁である。ゲートロック弁25V1は、非通電状態(図4図5の状態)では、弾性力によりスプールを図中の右側の位置に維持させ、パイロットライン25を非連通状態とする。この場合、ゲートロック弁25V1は、下流側のパイロットライン25の作動油を作動油タンクTに排出する。一方、ゲートロック弁25V1は、通電状態では、電磁ソレノイドの作用で、スプールが弾性力に抗して左方向に移動し、パイロットライン25を連通状態にする。この場合、ゲートロック弁25V1は、パイロットポンプ15の作動油を下流側に供給する。
【0073】
ゲートロックスイッチ25SWは、バッテリ46とゲートロック弁25V1(電磁ソレノイド)との間の電力線に設けられる。ゲートロックスイッチ25SWは、オフ状態の場合、電力線を開放し、ゲートロック弁25V1を非通電状態にし、オン状態の場合、電力線を閉成し、ゲートロック弁25V1を通電状態にする。
【0074】
ゲートロックスイッチ25SWは、キャビン10の内部のゲートロックレバーの操作状態に応じてオンオフされる。ゲートロックスイッチ25SWは、例えば、ゲートロックレバーの操作と連動するリミットスイッチである。
【0075】
ゲートロックスイッチ25SWは、ゲートロックレバーがゲートバーの引き上げられた状態、即ち、キャビン10の操縦席が乗降可能に開放された状態に対応する操作状態にある場合に、オフ状態になる。これにより、ゲートバーの引き上げられた状態では、ゲートロック弁25V1がパイロットライン25を非連通状態に維持する。そのため、ゲートロックスイッチ25SWは、キャビン10のオペレータに操縦の意思がない状況やキャビン10にオペレータが不在の状況等に合わせて、油圧制御弁31にパイロット圧が供給されないようにゲートロック弁25V1を動作させることができる。一方、ゲートロックスイッチ25SWは、ゲートバーが下げられた状態、即ち、キャビン10の操縦席が乗降不可能なように閉じられた状態に対応する操作状態にある場合に、オン状態になる。これにより、ゲートロックスイッチ25SWは、キャビン10のオペレータに操縦の意思がある状況に合わせて、油圧制御弁31にパイロット圧が供給されるようにゲートロック弁25V1を動作させることができる。
【0076】
リレー25Rは、ゲートロックレバーの操作状態、即ち、ゲートロックスイッチ25SWの状態に依らず、パイロットライン25を遮断(非連通)にするために用いられる。
【0077】
リレー25Rは、常閉(ノーマリークローズ)型であり、コントローラ30Aから入力される制御電流により通電されると、開放される。
【0078】
例えば、図4に示すように、リレー25Rは、バッテリ46とゲートロック弁25V1(電磁ソレノイド)との間の電力線に配置される。この場合、リレー25Rは、常閉(ノーマリークローズ)型であり、コントローラ30Aから入力される制御電流により通電されると、開放される。これにより、コントローラ30Aは、リレー25Rに通電し、リレー25Rを開放させることで、ゲートロックスイッチ25SWがオン状態であっても、ゲートロック弁25V1を非通電状態にし、パイロットライン25を非連通状態に移行させることができる。そのため、制御装置30(コントローラ30A)は、被駆動部(油圧アクチュエータ)の動作を停止させることができる。
【0079】
また、例えば、図5に示すように、リレー25Rは、バッテリ46と切換弁25V2(電磁ソレノイド)との間の電力線に設けられてもよい。この場合、リレー25Rは、常開(ノーマリーオープン)型であり、コントローラ30Aから入力される制御電流により通電されると、閉じられる。
【0080】
切換弁25V2は、パイロットライン25に設けられる。例えば、図5に示すように、切換弁25V2は、パイロットライン25のゲートロック弁25V1の下流に設けられてもよいし、ゲートロック弁25V1の上流に設けられてもよい。切換弁25V2は、例えば、電磁ソレノイド弁である。切換弁25V2は、ゲートロック弁25V1と同様、非通電状態(図5の状態)では、弾性力によりスプールを図中の右側の位置に維持させ、パイロットライン25を連通状態とする。一方、切換弁25V2は、通電状態では、電磁ソレノイドの作用で、スプールが弾性力に抗して左方向に移動し、パイロットライン25を非連通状態にする。
【0081】
リレー25Rのコイルが非通電の状態では、リレー25Rが開放されるため、切換弁25V2は、パイロットライン25を連通状態に維持する。一方、コントローラ30Aによってリレー25Rのコイルが通電される状態では、リレー25Rが閉じられるため、切換弁25V2は、パイロットライン25を非連通状態に維持する。これにより、制御装置30(コントローラ30A)は、ゲートロック弁25V1が連通状態であっても、切換弁25V2を非連通状態に移行させることができる。そのため、制御装置30(コントローラ30A)は、被駆動部(油圧アクチュエータ)の動作を停止させることができる。
【0082】
尚、リレー25Rや切換弁25V2は、省略されてもよい。この場合、制御装置30は、例えば、油圧制御弁31から出力されるパイロット圧を制御することにより、被駆動部(油圧アクチュエータ)の動作を制限してよい。
【0083】
<冷却系>
ショベル100の冷却系は、ショベル100の稼働に伴い発熱する構成要素を冷却するための構成要素群である。
【0084】
図6に示すように、ショベル100の冷却系は、冷却装置60と、ファン90とを含む。
【0085】
冷却装置60は、ショベル100における電気駆動系の機器や相対的に高い電圧の電源系の機器等を冷却する。例えば、図6に示すように、冷却装置60による冷却対象の機器には、ポンプ用電動機12、インバータ18、蓄電装置19、DC-DCコンバータ44、車載充電器70等が含まれる。
【0086】
尚、複数の冷却対象ごとの必要な冷却性能に関する条件が満足する限りにおいて、冷媒回路66によりその周囲或いは内部に冷媒が通過可能に構成される冷却対象の冷媒回路66における接続態様は任意であってよい。即ち、複数の冷却対象ごとの必要な冷却性能に関する条件が満足する限りにおいて、冷媒回路66により冷却される複数の冷却対象は、その一部又は全部が直列接続されてもよいし、その一部又は全部が並列接続されてもよい。また、複数の冷却対象ごとの必要な冷却性能に関する条件が満足する限りにおいて、冷媒回路66におけるラジエータ62を起点とする複数の冷却対象の配置の順番は任意であってよい。
【0087】
冷却装置60は、ラジエータ62と、ウォータポンプ64と、冷媒回路66とを含む。
【0088】
ラジエータ62は、冷媒回路66内の冷媒(例えば、冷却水)を冷却する。具体的には、ラジエータ62は、周囲の空気と冷媒との間で熱交換を行わせ、冷媒を冷却する。
【0089】
ウォータポンプ64は、冷媒回路66内で冷媒を循環させる。ウォータポンプ64は、例えば、DC-DCコンバータ44やバッテリ46から供給される電力で稼働する。
【0090】
冷媒回路66(循環回路の一例)は、冷媒流路66A,66B,66C,66C1,66C2,66D,66D1,66D2,66E,66Fを含む。
【0091】
冷媒流路66Aは、ウォータポンプ64と蓄電装置19との間を接続し、ウォータポンプ64から吐出される冷媒を蓄電装置19の内部或いは周囲の冷媒流路に流入させる。これにより、冷却装置60は、蓄電装置19を冷媒で冷却することができる。蓄電装置19の内部或いは周囲の冷媒流路を通流した冷媒は、冷媒流路66Bに流出する。
【0092】
冷媒流路66B,66B1,66B2は、蓄電装置19と、インバータ18及びDC-DCコンバータ44との間を接続する。冷媒流路66B,66B1,66B2は、蓄電装置19の内部或いは周囲の冷媒流路から流出する冷媒をインバータ18及びDC-DCコンバータ44の内部或いは周囲の冷媒流路に流入させる。具体的には、蓄電装置19にその一端が接続される冷媒流路66Bは、他端で冷媒流路66B1,66B2に分岐し、それぞれ、インバータ18及びDC-DCコンバータ44に接続される。そして、冷媒流路66B1,66B2は、インバータ18及びDC-DCコンバータ44の内部或いは周囲の冷媒流路に冷媒を流入させる。これにより、冷却装置60は、インバータ18及びDC-DCコンバータ44を冷媒で冷却することができる。インバータ18の内部或いは周囲の冷媒流路を通流した冷媒は、冷媒流路66C1に流出する。また、DC-DCコンバータ44の内部或いは周囲の冷媒流路を通流した冷媒は、冷媒流路66C2に流出する。
【0093】
冷媒流路66C,66C1,66C2は、インバータ18及びDC-DCコンバータ44とポンプ用電動機12との間を接続する。冷媒流路66C,66C1,66C2は、インバータ18及びDC-DCコンバータ44の内部或いは周囲の冷媒流路から流出する冷媒をポンプ用電動機12の内部或いは周囲の冷媒流路に流入させる。具体的には、一端がそれぞれにインバータ18及びDC-DCコンバータ44に接続される冷媒流路66C1,66C2は、冷媒流路66Cの一端に合流し、冷媒流路66Cの他端がポンプ用電動機12に接続される。これにより、冷却装置60は、ポンプ用電動機12を冷媒で冷却することができる。ポンプ用電動機12の内部或いは周囲の冷媒流路を通流した冷媒は、冷媒流路66Dに流出する。
【0094】
尚、蓄電装置19とポンプ用電動機12との間に電力変換装置が設けられる場合、当該電力変換装置が冷却装置60により冷却されてもよい。この場合、電力変換装置は、例えば、冷媒回路66において、インバータ18及びDC-DCコンバータ44と並列に配置され、蓄電装置19から流出する冷媒によって冷却される態様であってよい。また、DC-DCコンバータ44は、空冷されてもよい。この場合、冷媒流路66B2,66C2は省略される。また、インバータ18及びDC-DCコンバータ44等の少なくとも一部は、冷媒回路66において、直列に配置されてもよい。
【0095】
冷媒流路66Dは、ポンプ用電動機12と車載充電器70との間を接続し、ポンプ用電動機12の内部或いは周囲の冷媒流路から流出する冷媒を車載充電器70の内部或いは周囲の冷媒流路に流入させる。これにより、冷却装置60は、車載充電器70を冷媒で冷却することができる。車載充電器70の内部或いは周囲の冷媒流路を通流した冷媒は、冷媒流路66Eに流出する。
【0096】
冷媒流路66Eは、車載充電器70とラジエータ62との間を接続し、車載充電器70の内部或いは周囲の冷媒流路から流出する冷媒をラジエータ62に供給する。これにより、冷媒回路66は、電気駆動系や電源系の各種機器を冷却することで、温度が上昇した冷媒をラジエータ62で冷却させて、再度、電気駆動系や電源系の各種機器を冷却可能な状態に戻すことができる。
【0097】
冷媒流路66Fは、ラジエータ62とウォータポンプ64との間を接続し、ラジエータ62により冷却された冷媒をウォータポンプ64に供給する。これにより、ウォータポンプ64は、ラジエータ62により冷却された冷媒を冷媒流路66Aに吐出し、冷媒回路66で循環させることができる。
【0098】
ファン90は、制御装置30(例えば、コントローラ30A)の制御下で稼働し、空気との間で熱交換を行う所定の機器(以下、「熱交換機器」)に向けて送風する。ファン90は、例えば、DC-DCコンバータ44やバッテリ46から供給される電力で稼働する。
【0099】
ファン90は、例えば、図6に示すように、ラジエータ62に向けて送風し、ラジエータ62を冷却してよい。これにより、ラジエータ62の周囲には、内部を通流する冷媒との間で熱交換を行うことが可能な空気が逐次供給されることになり、ラジエータ62による冷媒の冷却度合いを高めることができる。
【0100】
ファン90は、一つであってもよいし、後述の如く、複数であってもよい。つまり、ファン90は、熱交換機器に必要な熱交換度合い(冷却度合い或いは加熱度合い)を確保可能であれば、任意の数で構成されてよい。
【0101】
尚、ショベル100の冷却系は、油圧駆動系(高圧油圧ライン)や操作系(パイロットライン)で利用される作動油を冷却するオイルクーラを含んでもよい。オイルクーラは、例えば、コントロールバルブ17と作動油タンクTとの間の戻り油路に設けられ、周囲の空気と内部を通流する作動油との間で熱交換を行い、作動油を冷却してよい。この場合、ファン90は、オイルクーラに向けて送風し、オイルクーラを冷却してもよい。これにより、オイルクーラの周囲には、内部を通流する作動油との間で熱交換を行うことが可能な空気が逐次供給されることになり、オイルクーラによる作動油の冷却度合いを高めることができる。この場合、ファン90は、ラジエータ62に対する送風を行うファン90と、オイルクーラに対する送風を行うファン90とは共通、即ち、同じファン90であってもよいし、異なるファン90であってもよい。
【0102】
<ユーザインタフェース系>
ショベル100のユーザインタフェース系は、ユーザとの間の情報のやり取りに関する構成要素群である。
【0103】
図2図3に示すように、ユーザインタフェース系は、出力装置50と、入力装置52とを含む。
【0104】
出力装置50は、制御装置30(例えば、コントローラ30A)の制御下で、ユーザに向けて各種情報を出力する。例えば、出力装置50は、キャビン10の内部に設けられ、キャビン10の内部のユーザ(例えば、オペレータ)に向けて各種情報を出力する出力装置を含む。また、例えば、出力装置50は、キャビン10の外部に設けられ、ショベル100の周辺のユーザ(例えば、ショベル100の周辺の作業者や監督者等)に向けて各種情報を出力する出力装置を含んでもよい。
【0105】
出力装置50は、例えば、視覚的な方法で情報をユーザに出力(通知)する表示装置や照明装置等を含む。表示装置は、コントローラ30Aの制御下で、各種情報画像を表示してよい。表示装置は、例えば、液晶ディスプレイや有機EL(Electroluminescence)ディスプレイ等である。照明装置は、例えば、警告灯等である。
【0106】
また、出力装置50は、例えば、ユーザに対して聴覚的な方法で情報を出力する音出力装置を含む。音出力装置は、例えば、ブザーやスピーカ等である。
【0107】
入力装置52は、ユーザからの各種入力を受け付ける。例えば、入力装置52は、キャビン10の内部に設けられ、キャビン10の内部のユーザ(例えば、オペレータ)からの各種入力を受け付ける入力装置を含む。また、例えば、入力装置52は、キャビン10の外部に設けられ、キャビン10の外部のユーザ(例えば、ショベル100の周辺の作業者や監督者等)からの各種入力を受け付ける入力装置を含んでもよい。
【0108】
入力装置52は、例えば、ユーザの操作入力を受け付ける操作入力装置を含んでよい。操作入力装置は、例えば、ボタン、トグル、レバー、タッチパネル、タッチパッド等を含む。また、入力装置52は、例えば、オペレータからの音声入力を受け付ける音声入力装置やオペレータからのジェスチャ入力を受け付けるジェスチャ入力装置を含んでもよい。音声入力装置は、例えば、ユーザの音声を取得するマイクロフォンを含む。また、ジェスチャ入力装置は、例えば、ユーザのジェスチャの様子を撮像可能なカメラを含む。入力装置52で受け付けられるオペレータからの入力に対応する信号は、制御装置30(例えば、コントローラ30A)に取り込まれる。
【0109】
<快適装備系>
ショベル100の快適装備系は、キャビン10の内部のユーザ(オペレータ)の快適装備に関する構成要素群である。
【0110】
図7に示すように、ショベル100の快適装備系は、空調装置80を含む。また、図7に示すように、ショベル100の快適装備系は、ファン90を含む。
【0111】
空調装置80は、キャビン10の室内の空気の状態、具体的には、空気の温度や湿度等を調整する。空調装置80は、例えば、DC-DCコンバータ44やバッテリ46から供給される電力で稼働する。空調装置80は、例えば、冷暖兼用のヒートポンプ式であり、ヒートポンプサイクル82を含む。
【0112】
尚、空調装置80は、例えば、ヒートポンプサイクル82に代えて、冷凍サイクルと、暖房用のヒータとを含んでもよい。暖房用のヒータは、例えば、PTC(Positive Temperature Coefficient)ヒータや燃焼式ヒータ等である。
【0113】
図7に示すように、ヒートポンプサイクル82は、コンプレッサ82Aと、コンデンサ82Bと、膨張弁82Cと、エバポレータ82Dとを含む。
【0114】
尚、図7の矢印は、空調装置80の冷房運転時の冷媒の流れを表し、空調装置80の暖房運転時の冷媒の流れは逆向きになる。
【0115】
コンプレッサ82Aは、ヒートポンプサイクル82の冷媒を圧縮する。コンプレッサ82Aは、例えば、内蔵の電動機と、電動機を駆動するインバータ回路等を含み、バッテリ46やDC-DCコンバータ44から供給される電力により電気駆動される。コンプレッサ82Aで圧縮された冷媒は、空調装置80の冷房運転時において、コンデンサ82Bに送られ、空調装置80の暖房運転時において、エバポレータ82Dに送られる。
【0116】
尚、コンプレッサ82Aは、蓄電装置19から直接供給される電力で駆動される構成であってもよい。また、コンプレッサ82Aは、ポンプ用電動機12により機械的に駆動される構成であってもよい。
【0117】
コンデンサ82Bは、空調装置80の冷房運転時において、コンプレッサ82Aにより圧縮され、相対的に高い温度の上昇した気体状態の冷媒を冷却する。具体的には、コンデンサ82Bは、内部を通流する冷媒と外気との間の熱交換によって、冷媒の熱を外気に放熱し、冷媒を冷却する。コンデンサ82Bで冷却された冷媒は、液体状態に変化する。
【0118】
また、コンデンサ82Bは、空調装置80の暖房運転時において、内部を通流する冷媒と外気との間の熱交換によって、外気から熱を奪い、膨張弁82Cを通じて減圧され相対的に低い温度に低下した冷媒の温度を上昇させる。
【0119】
膨張弁82Cは、通流する冷媒の圧力を急激に低下させ、冷媒の温度を低下させる。膨張弁82Cは、空調装置80の冷房運転時において、コンデンサ82Bから送られる液体状態且つ高圧状態の冷媒の圧力を急激に低下させ、温度を低下させる。また、膨張弁82Cは、空調装置80の暖房運転時において、エバポレータ82Dから送られる液体状態且つ高圧状態の冷媒の圧力を急激に低下させ、温度を低下させる。
【0120】
エバポレータ82Dは、内部に通流する冷媒と、空調装置80からキャビン10内に送出される空気との間で熱交換を行う。エバポレータ82Dは、空調装置80の冷房運転時において、膨張弁82Cから送られる相対的に低い温度の冷媒(気液混合状態)が空気から熱を奪う形で、キャビン10内に送出される空気を冷やす。また、エバポレータ82Dは、空調装置80の暖房運転時において、コンプレッサ82Aから送られる相対的に高い温度の冷媒(気体状態)から空気が熱を奪う形で、キャビン10内に送出される空気を温める。
【0121】
ファン90は、例えば、図7に示すように、コンデンサ82Bに向けて送風し、コンデンサ82Bを冷却したり加熱したりしてよい。これにより、コンデンサ82Bの周囲には、内部を通流する冷媒との間で熱交換を行うことが可能な空気が逐次供給されることになり、コンデンサ82Bによる冷媒の冷却度合いや加熱度合いを高めることができる。
【0122】
<制御系>
ショベル100の制御系は、ショベル100の各種制御に関する構成要素群である。
【0123】
図2図3に示すように、ショベル100の制御系は、制御装置30を含む。また、ショベル100の制御系は、周辺情報取得装置40と、センサ48と、温度センサ54,56とを含む。
【0124】
制御装置30は、コントローラ30A~30Eを含む。
【0125】
尚、コントローラ30B~30Eの機能は、コントローラ30Aに統合されてもよい。即ち、制御装置30により実現される各種機能は、一つのコントローラにより実現されてもよいし、適宜設定される2以上の数のコントローラにより分散して実現されてもよい。
【0126】
コントローラ30A~30Eは、それぞれの機能が任意のハードウェア、或いは、任意のハードウェア及びソフトウェアの組み合わせにより実現されてよい。例えば、コントローラ30A~30Eは、それぞれ、CPU(Central Processing Unit)、RAM(Random Access Memory)等のメモリ装置、ROM(Read Only Memory)等の補助記憶装置、及び外部との間のインタフェース装置等を含むコンピュータを中心に構成される。コントローラ30A~30Eは、例えば、補助記憶装置にインストールされるプログラムをメモリ装置にロードしCPU上で実行することにより各種機能をそれぞれ実現する。
【0127】
コントローラ30Aは、コントローラ30B~30Eを含む制御装置30を構成する各種コントローラと連携し、ショベル100の駆動制御を行う。
【0128】
コントローラ30Aは、例えば、操作装置26から入力される操作信号に応じて、油圧制御弁31に制御指令を出力し、油圧制御弁31から操作装置26の操作内容に応じたパイロット圧を出力させる。これにより、コントローラ30Aは、電気式の操作装置26の操作内容に対応するショベル100の被駆動部(油圧アクチュエータ)の動作を実現させることができる。
【0129】
また、ショベル100が遠隔操作される場合、コントローラ30Aは、例えば、遠隔操作に関する制御を行ってもよい。具体的には、コントローラ30Aは、油圧制御弁31に制御指令を出力し、油圧制御弁31から遠隔操作の内容に応じたパイロット圧を出力させてよい。これにより、コントローラ30Aは、遠隔操作の内容に対応するショベル100の被駆動部(油圧アクチュエータ)の動作を実現させることができる。
【0130】
また、コントローラ30Aは、例えば、自動運転機能に関する制御を行ってもよい。具体的には、コントローラ30Aは、油圧制御弁31に制御指令を出力し、自動運転機能に対応する操作指令に応じたパイロット圧を油圧制御弁31からコントロールバルブ17に作用させてよい。これにより、コントローラ30Aは、自動運転機能に対応するショベル100の被駆動部(油圧アクチュエータ)の動作を実現させることができる。
【0131】
また、コントローラ30Aは、例えば、コントローラ30B~30E等の各種コントローラとの双方向通信に基づき、ショベル100全体(ショベル100に搭載される各種機器)の動作を統合的に制御してよい。
【0132】
コントローラ30Bは、コントローラ30Aから入力される各種情報(例えば、操作装置26の操作信号を含む制御指令等)に基づき、電気駆動系に関する制御を行う。
【0133】
コントローラ30Bは、例えば、インバータ18に制御指令を出力し、ポンプ用電動機12の駆動制御を行う。
【0134】
尚、上述の如く、蓄電装置19とポンプ用電動機12との間に電力変換装置が設けられる場合、コントローラ30Bは、例えば、電力変換装置に制御指令を出力し、電力変換装置の動作に関する制御を行ってよい。
【0135】
コントローラ30Cは、ショベル100の周辺監視機能に関する制御を行う。
【0136】
コントローラ30Cは、例えば、周辺情報取得装置40から取り込まれる、ショベル100の周囲の三次元空間の状況に関するデータに基づき、ショベル100の周辺の所定の物体(以下、「監視物体」)を検知したり、その監視物体の位置を推定したりする。監視物体には、例えば、人が含まれる。また、監視物体には、例えば、他の作業車両や他の作業機械等が含まれる。また、監視物体には、例えば、電柱、パイロン、柵、現場の資材等が含まれてもよい。ショベル100の周囲の三次元空間の状況に関するデータには、例えば、ショベル100の周辺の物体やその位置に関する検出データが含まれる。
【0137】
また、コントローラ30Cは、例えば、所定の監視範囲内で監視物体を検出した場合、出力装置50(例えば、表示装置や音出力装置等)を通じて、キャビン10のユーザやショベル100の周囲に対して警報を出力する。監視範囲は、例えば、ショベル100の周辺のショベル100からの距離が相対的に近い範囲として適宜設定される。
【0138】
また、コントローラ30Cは、例えば、所定の監視範囲内で監視物体を検出した場合、ショベル100の被駆動部(アクチュエータ)の動作を制限してよい。
【0139】
被駆動部の動作の制限には、例えば、被駆動部の動作の停止が含まれる。コントローラ30Cは、例えば、コントローラ30Aに要求信号を出力し、上述のリレー25Rを開放させることで、被駆動部(油圧アクチュエータ)の動作を強制的に停止させてよい。また、コントローラ30Cは、コントローラ30Aに要求信号を出力し、オペレータの操作や操作指令を無効にすることで、被駆動部(油圧アクチュエータ)の動作を強制的に停止させてよい。
【0140】
また、被駆動部の動作の制限には、例えば、被駆動部の動作の減速が含まれる。コントローラ30Cは、例えば、コントローラ30Aに要求信号を出力し、油圧制御弁31からコントロールバルブ17に出力されるパイロット圧を相対的に小さくし、オペレータの操作や操作指令に対する被駆動部(油圧アクチュエータ)の動作を減速させてよい。
【0141】
コントローラ30Dは、蓄電装置19に関する制御を行う。
【0142】
コントローラ30Dは、例えば、蓄電装置19の充電に関する制御を行う。
【0143】
コントローラ30Dは、例えば、蓄電装置19に内蔵される各種センサの出力に基づき、蓄電装置19の各種状態(例えば、電流状態、電圧状態、温度状態、充電状態、劣化状態、異常の有無等)を監視する。
【0144】
コントローラ30Eは、DC-DCコンバータ44に関する制御を行う。
【0145】
コントローラ30Eは、例えば、DC-DCコンバータ44の動作に関する制御を行う。
【0146】
コントローラ30Eは、例えば、DC-DCコンバータ44の各種状態(例えば、電流状態、電圧状態、温度状態等)を監視する。
【0147】
周辺情報取得装置40は、ショベル100の周囲の三次元空間の状況に関する情報を出力する。周辺情報取得装置40は、例えば、超音波センサ、ミリ波レーダ、単眼カメラ、ステレオカメラ、デプスカメラ、LIDAR(Light Detection and Ranging)、距離画像センサ、赤外線センサ等を含んでよい。周辺情報取得装置40の出力情報は、コントローラ30Cに取り込まれる。
【0148】
尚、ショベル100の周辺監視機能は、省略されてもよい。この場合、コントローラ30Cや周辺情報取得装置40は省略されてよい。
【0149】
センサ48は、DC-DCコンバータ44やバッテリ46から低電圧負荷に供給される電力の状態を測定する。例えば、センサ48は、DC-DCコンバータ44やバッテリ46から低電圧負荷に供給される電流を計測する電流センサや電圧を計測する電圧センサを含んでよい。
【0150】
温度センサ54は、後述の冷却装置60の冷却対象の電気駆動系の機器の温度を測定(検出)する。温度センサ54は、例えば、ポンプ用電動機12の温度を検出する温度センサを含む。また、温度センサ54は、インバータ18の温度を検出する温度センサを含む。また、温度センサ54は、例えば、蓄電装置19の温度を検出する温度センサを含む。また、温度センサ54は、例えば、DC-DCコンバータ44の温度を検出する温度センサを含む。また、温度センサ54は、例えば、車載充電器70の温度を検出する温度センサを含む。温度センサ54の検出信号は、例えば、コントローラ30Aに取り込まれる。これにより、コントローラ30Aは、電気駆動系の機器の温度状態を把握することができる。
【0151】
尚、蓄電装置19とポンプ用電動機12との間に電力変換装置が設けられる場合、温度センサは、当該電力変換装置の温度状態を把握する温度センサを含んでよい。
【0152】
温度センサ56は、キャビン10の室内温度を測定(検出)する。温度センサ56の検出信号は、例えば、コントローラ30Aに取り込まれる。これにより、コントローラ30Aは、キャビン10の室内の温度状態を把握することができる。
【0153】
[上部旋回体における各種機器の配置構造]
次に、図8を参照して、上部旋回体3における各種機器の配置構造について説明する。
【0154】
図8は、上部旋回体3の各種機器の配置構造の一例を示す上面図である。図9は、上部旋回体3のメンテナンスドア3Dの一例を示す斜視図である。図8では、上部旋回体3の各種機器を露出させるため、上部旋回体3のハウス部3H(図9参照)が省略されている。
【0155】
図8に示すように、本例では、蓄電装置19は、上部旋回体3の右側の前後方向の前部から中央部に亘る範囲に搭載される。
【0156】
上部旋回体3の後部の左右方向の中央部から右端部に亘る範囲には、ポンプ用電動機12、メインポンプ14、パイロットポンプ15、コントロールバルブ17、及びインバータ18が設けられる。
【0157】
ポンプ用電動機12及びインバータ18は、上部旋回体3の後部の左右方向の中央部に一体として配置される。ポンプ用電動機12及びインバータ18は、また、ポンプ用電動機12は、回転軸が左右方向に沿い、且つ、出力軸が右向きに延び出すように配置される。例えば、ポンプ用電動機12は、マウント部材を介して、上部旋回体3の底部3B(旋回フレーム)に搭載される。具体的には、ポンプ用電動機12は、機械駆動可能な態様で連結されるメインポンプ14及びパイロットポンプ15の位置が極力低くなるように、相対的に底部3Bと近接する位置に配置されてよい。これにより、メインポンプ14の位置を作動油タンクTの内部の液面よりも低く配置させることができる。そのため、メインポンプ14におけるエア噛みの発生を抑制することができる。
【0158】
メインポンプ14及びパイロットポンプ15は、その入力軸がポンプ用電動機12の出力軸に連結される態様で、ポンプ用電動機12の右側に隣接して配置される。メインポンプ14及びパイロットポンプ15は、例えば、ポンプ用電動機12に連結されることにより、ポンプ用電動機12を介して、底部3Bに搭載される。
【0159】
コントロールバルブ17は、上部旋回体3の後部の左右方向の中央部で、且つ、ポンプ用電動機12の上に配置される。例えば、ポンプ用電動機12及びメインポンプ14は、上部旋回体3の底部3Bとハウス部3Hとの間の空間の相対的に低い位置に配置され、コントロールバルブ17は、その空間の相対的に高い位置に配置される。具体的には、ポンプ用電動機12を前後方向で跨ぐように設けられる架台17MTが底部3Bに取り付けられる。そして、コントロールバルブ17は、架台17MTの上に取り付けられることにより、架台17MTを介して、底部3Bに搭載される。
【0160】
尚、コントロールバルブ17は、メインポンプ14やパイロットポンプの上に配置されてもよい。また、コントロールバルブ17は、左右方向で、ポンプ用電動機12とメインポンプ14やパイロットポンプ15との間に跨がるように配置されてもよい。
【0161】
上部旋回体3の中央部には、旋回油圧モータ2Aが搭載される。
【0162】
旋回油圧モータ2Aとポンプ用電動機12及びコントロールバルブ17との間の前後方向の空間には、作動油タンクTが配置される。作動油タンクTは、直接或いはブラケット等を介して、底部3Bに搭載される。
【0163】
上部旋回体3の後部の左側、即ち、ポンプ用電動機12、メインポンプ14、及びコントロールバルブ17の左方には、ラジエータ62、コンデンサ82B、及びファン90が配置される。
【0164】
ラジエータ62は、前後方向が略長手方向(幅方向)となり、左右方向が略短手方向(厚み方向)となるように、底部3Bに対して略垂直に立てた状態で配置される。「略」は、例えば、ショベル100やショベル100に搭載される機器の製造誤差を許容する意図である。以下、同様の意図で用いる。これにより、ラジエータ62は、コアのフィンの間に空気を導入し、左右方向(短手方向)に空気を通過させることで、熱交換を行うことができる。ラジエータ62は、例えば、マウント部材を介して、底部3Bに取り付けられる。
【0165】
コンデンサ82Bは、ラジエータ62の左側に隣り合うように配置される。コンデンサ82Bは、空気の流れに対して、ラジエータ62と直列に配置される。即ち、コンデンサ82Bは、ラジエータ62と同様、前後方向が略長手方向(幅方向)となり、左右方向が短手方向(厚み方向)となるように、底部3Bに対して略垂直に立てた状態で配置される。コンデンサ82Bは、例えば、直接或いはブラケット等を介して、ラジエータ62に取り付けられることにより、ラジエータ62を介して、底部3Bに搭載される。
【0166】
尚、ラジエータ62及びコンデンサ82Bに隣り合う態様で、他の熱交換機器が配置されてもよい。例えば、ラジエータ62の左側且つコンデンサ82Bの上或いは下に隣り合うように、オイルクーラが配置されてもよい。コンデンサ82Bの上下方向の寸法は、通常、ラジエータ62よりもある程度小さいからである。
【0167】
ファン90は、ラジエータ62の右側に隣り合うように配置される。ファン90は、例えば、樹脂製のファンシュラウドを介して、ラジエータ62に取り付けられることにより、ラジエータ62を介して、底部3Bに搭載される。ファン90は、例えば、ラジエータ62の長手方向(前後方向)に2列、及び高さ方向(上下方向)に2段の態様で配置される。ファン90は、ラジエータ62側(左側)から右側に空気を吸い出す態様で、ラジエータ62及びコンデンサ82B等に対する送風を行う。
【0168】
尚、ファン90は、コンデンサ82B及びラジエータ62等の左側に隣り合うように配置されてもよい。この場合、ファン90は、左側からコンデンサ82B及びラジエータ62側(右側)に空気を押し出す態様で、ラジエータ62及びコンデンサ82B等に対する送風を行う。
【0169】
上部旋回体3の後部の左端部、即ち、ラジエータ62、コンデンサ82B、及びファン90の左方には、バッテリ46及びコンプレッサ82Aが配置される。
【0170】
バッテリ46は、例えば、ブラケット等を介して、底部3Bに取り付けられる。
【0171】
コンプレッサ82Aは、例えば、底部3Bから立ち上がる架台に搭載されることにより、バッテリ46の上に配置される。
【0172】
上部旋回体3のキャビン10の側面には、充電口72が設けられる。充電口72A,72は、例えば、前後に並べて配置される。また、キャビン10の内部には、DC-DCコンバータ44及び車載充電器70が配置される。
【0173】
例えば、図9に示すように、上部旋回体3(ハウス部3H)の後部には、メンテナンスドア3D(ドアの一例)が設けられる。
【0174】
本例では、上述の如く、相対的にサイズが大きい蓄電装置19が上部旋回体3の右側前部に配置され、相対的にサイズが小さい部品群が上部旋回体3の後部に集約される。そのため、作業者は、メンテナンスドア3Dを介して、これらの部品群に容易にアクセスすることができる。
【0175】
メンテナンスドア3Dは、メンテナンスドア3D1~3D3を含む。
【0176】
メンテナンスドア3D1は、ハウス部3Hの後部の左右中央部に設けられ、ハウス部3Hの上面の左右方向の軸を支点にして上方向に開くことが可能である。これにより、作業者は、メンテナンスドア3D1の開口を通じて、ポンプ用電動機12、コントロールバルブ17、インバータ18、及び作動油タンクT等にアクセスし、各種メンテナンスを行うことができる。特に、作業者は、メンテナンスの必要性や頻度が相対的に高い作動油タンクTのオイルフィルタ等の油圧機器のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0177】
メンテナンスドア3D2は、ハウス部3Hの後部の左端の側面に設けられ、ハウス部3Hの側面の上下方向の軸を支点にして、左方向に開くことが可能である。これにより、作業者は、メンテナンスドア3D2の開口を通じて、バッテリ46、コンプレッサ82A、コンデンサ82B、及びラジエータ62等にアクセスし、各種メンテナンスを行うことができる。
【0178】
メンテナンスドア3D3は、ハウス部3Hの後部の右端の側面に設けられ、ハウス部3Hの側面の上下方向の軸を支点にして、左方向に開くことが可能である。これにより、作業者は、メンテナンスドア3D3の開口を通じて、メインポンプ14やパイロットポンプ15やその近傍の部品等にアクセスし、各種メンテナンスを行うことができる。特に、作業者は、メンテナンスの必要性や頻度が相対的に高い、メインポンプ14の近傍に配置されるフィルタ類のメンテナンスを容易に行うことができる。
【0179】
本例では、上部旋回体3の後部が上面視で旋回中心(軸心)3Xを中心として略円弧形状になるように構成されている。これにより、上部旋回体3の後部の旋回半径を相対的に小さくすることができる。上部旋回体3の後部の旋回半径とは、上部旋回体3が旋回するときに上部旋回体3の後部が描く軌跡(外縁)の旋回中心3Xを中心とする半径を意味する。ショベル100は、例えば、後方超小旋回形ショベルに該当する。後方超小旋回形ショベルとは、クローラ1Cの全幅の半分(1/2)に対する上部旋回体3の後部の旋回半径の比率が120パーセント以内であるショベルを意味する。これにより、ショベル100は、狭小な作業現場での作業性を向上させることができる。
【0180】
一方、後方超小旋回形ショベルの場合、上部旋回体3の後部のスペース、特に、左右の端部のスペースが削られ、相対的に小さくなる。また、小型機を中心に電動化が進む傾向にあることから、後方超小旋回ショベルでない場合であっても、電動式のショベル100は、そもそも、上部旋回体3の後部のスペースは、限定的であり、相対的に小さくなる傾向にある。そのため、仮に、相対的に大きな部品を上部旋回体3の後部に配置すると、デッドスペース増加し、効率的な構成要素の配置構造を実現できない可能性がある。
【0181】
これに対して、本例では、上部旋回体3に搭載される最も大きな構成要素の一つである蓄電装置19は、上部旋回体3の右側前部に配置される。そして、ポンプ用電動機12及びメインポンプ14は、上部旋回体3の後部に搭載される。
【0182】
これにより、ショベル100は、相対的にサイズが小さいポンプ用電動機12やメインポンプ14等が上部旋回体3の後部に配置されることで、デッドスペースを相対的に小さくすることができる。そして、ショベル100は、蓄電装置19のために、上面視で前後方向に亘って左右位置の変化が小さい上部旋回体3の右側面に沿って相対的に大きな配置スペースを確保することができる。そのため、ショベル100は、蓄電装置19を含む上部旋回体3の構成要素の効率的な配置構造を実現することができる。
【0183】
また、本例では、ショベル100は、下部走行体1の全幅の半分に対する上部旋回体3の後部の旋回半径の比率が120パーセント以下の後方超小旋回形ショベルであってよい。具体的には、上部旋回体3は、上面視で、後部の形状が旋回中心3Xを基準とする略円弧形状であってよい。
【0184】
これにより、ショベル100は、蓄電装置19を含む効率的な配置構造によって、上部旋回体3の後部における相対的に小さい旋回半径を実現することができる。そのため、ショベル100は、狭小な作業現場での作業効率を向上させることができる。
【0185】
また、本例では、コントロールバルブ17は、メインポンプ14及びポンプ用電動機12の少なくとも一方の上に配置される。
【0186】
これにより、ショベル100は、相対的に高さ方向の寸法が小さいメインポンプ14やポンプ用電動機12の上の空間をコントロールバルブ17の配置スペースとして確保することができる。また、ショベル100は、メインポンプ14から供給されるコントロールバルブ17がメインポンプ14の相対的に近い位置に配置されることで、作動油の配管を相対的に短くすることができる。そのため、ショベル100は、上部旋回体3におけるより効率的な構成要素の配置構造を実現することができる。
【0187】
また、本例では、メインポンプ14は、作動油タンクT内の作動油の液面より下方に配置されてよい。
【0188】
これにより、ショベル100は、メインポンプ14におけるエア噛みの発生を抑制することができる。
【0189】
また、本例では、蓄電装置19は、上部旋回体3の右側の前部から右側の前後中央部に亘る範囲に配置されてよい。また、メインポンプ14は、蓄電装置19の後方に配置されてよい。そして、ポンプ用電動機12は、メインポンプ14を機械駆動可能なようにメインポンプ14の左方に配置されてよい。
【0190】
これにより、ショベル100は、蓄電装置19の容量を相対的に大きく確保しつつ、蓄電装置19の後方に相対的にサイズが小さいメインポンプ14が配置されることで、上部旋回体3の後部の右隅(右端部)における前後方向の寸法を小さく抑制できる。そのため、ショベル100は、蓄電装置19の容量確保と、上部旋回体3の後部の旋回半径の小径化とを両立させることができる。
【0191】
また、本例では、作動油タンクTは、ポンプ用電動機12の前方且つ蓄電装置19の左方に配置されてよい。
【0192】
これにより、ポンプ用電動機12の前方且つ蓄電装置19の空間を利用して、作動油タンクTを具体的に配置し、その容量を確保することができる。
【0193】
また、本例では、ラジエータ62は、ポンプ用電動機12の左方に配置されてよい。
【0194】
これにより、上部旋回体3の後部の左側のスペースを利用して、ラジエータ62を具体的に配置することができる。
【0195】
また、本例では、上部旋回体3におけるハウス部3Hの後部には、上部旋回体3に搭載される構成要素にアクセス可能なメンテナンスドア3Dが設けられてよい。
【0196】
これにより、作業者は、上述の如く、上部旋回体3の後部に集約して配置される、蓄電装置19に比して相対的に小さい部品群に対して、容易にアクセスすることができる。
【0197】
[蓄電装置の詳細]
次に、図10図13を参照して、蓄電装置19の詳細について説明する。
【0198】
図10図11は、蓄電装置の一例及び他の例を示す斜視図である。図12は、蓄電モジュール19MDの構成の一例を示す分解図である。図13は、蓄電モジュール同士の連結構造の一例を示す。
【0199】
図10図11に示すように、蓄電装置19は、複数の蓄電モジュール19MDが上下方向に積み重ねられ、上下で隣接する蓄電モジュール同士がワイヤハーネス19Cで接続されることにより構成される。本例では、複数の蓄電モジュール19MDが直列接続されており、上下に隣接する蓄電モジュール19MDの一方の正側端子と、他方の負側端子とが1本のワイヤハーネス19Cで接続される。
【0200】
尚、複数の蓄電モジュール19MDの少なくとも一部が並列接続される場合、並列接続の対象の上下に隣接する蓄電モジュール19MDは、互いの正側端子同士及び負側端子同士を接続する2本のワイヤハーネス19Cで接続されてよい。
【0201】
また、蓄電装置19は、最下層の蓄電モジュール19MDに取り付けられるマウント部材19MTを介して、上部旋回体3の底部3B(旋回フレーム)に搭載される。
【0202】
図12に示すように、蓄電モジュール19MDは、複数(本例では、8個)のバッテリモジュールBMDと、バッテリマネジメントユニット19MUと、筐体19Hと、サービスプラグ設置部19SHと、カバー19CVとを含む。
【0203】
バッテリモジュールBMDは、複数のバッテリセルが直列接続されることにより構成される組立体である。
【0204】
バッテリマネジメントユニットBMUは、蓄電モジュール19MDに内蔵される各種センサと通信を行い、その検出データを逐次取得すると共に、上位のコントローラ30Dと通信を行い、その検出データをコントローラ30Dに送信する。各種センサは、電圧センサ、電流センサ、温度センサ等である。これにより、コントローラ30Dは、バッテリモジュールBMDの状態やバッテリモジュールBMDに含まれる各バッテリセルの状態を監視することができる。
【0205】
筐体19Hは、複数のバッテリモジュールBMDやバッテリマネジメントユニットBMU等の蓄電モジュール19MDの構成要素を内部に収容する。筐体19Hは、例えば、アルミ合金や鉄等の金属で構成される。筐体19Hは、構成要素を収容する収容部19H1と、収容部19H1の上部の開口を密閉する蓋部19H2とを含む。蓋部19H2は、収容部19H1の開口の外縁に設けられるフランジFL(図13参照)に対して、ボルトBLT1(図13参照)によって上下方向で締結される。
【0206】
複数の蓄電モジュール19MDは、それぞれ、略同じ形状の筐体19Hを有する。これにより、上面視で略同じ形状を有することで、容易に、複数の蓄電モジュール19MDを上下方向で積み重ねることができる。
【0207】
尚、複数の蓄電モジュール19MDの筐体19Hは、鍛造や鋳造で製造される基本形状が略同じであって、追加で行われる加工に多少の相違が存在していてもよい。例えば、複数の蓄電モジュール19MDのうちの最下層の蓄電モジュール19MDは、マウント部材19MTとの連結のための専用の加工が施されていてもよい。また、複数の蓄電モジュール19MDの一部の筐体19Hには、上部旋回体3に搭載されたときの他の部品の支持用のブラケットを取り付けるための専用の加工が施されていてもよい。
【0208】
サービスプラグ設置部19SH(孔部の一例)は、蓄電モジュール19MDに含まれる複数のバッテリモジュールBMDの電気的な接続状態を遮断するためのサービスプラグを設置するための孔部である。サービスプラグ設置部19SHは、筐体19H(収容部19H1に)の側面に設けられる。これにより、図10図11に示すように、複数の蓄電モジュール19MDが上下方向で積み重ねられた上部旋回体3への搭載状態において、作業者は、カバー19CVを取り外すだけで、各蓄電モジュール19MDのサービスプラグにアクセスできる。
【0209】
尚、サービスプラグ設置部19SHにサービスプラグが取り付けられる(例えば、嵌合される)ことにより、筐体19Hの密閉構造が実現される。
【0210】
カバー19CVは、サービスプラグ設置部19SH、即ち、サービスプラグを覆うように、筐体19H(収容部19H1)の側面に着脱可能な態様で取り付けられる。これにより、カバー19CVは、サービスプラグを保護することができる。また、カバー19CVは、サービスプラグがサービスプラグ設置部19SHに完全に取り付けられていない状態(例えば、半嵌合状態)では、筐体19H(収容部19H1)に取り付けられないような構造を有する。これにより、人為的なミスで、サービスプラグが正しく装着されない状態でカバー19CVが閉じられてしまうような事態を防止することができる。
【0211】
また、複数の蓄電モジュール19MDには、蓄電装置19の関連装置が分散して内蔵されてもよい。関連装置には、例えば、コントローラ30Dやジャンクションボックス等が含まれる。ジャンクションボックスは、蓄電装置19と複数の他の装置(例えば、インバータ18、DC-DCコンバータ44、車載充電器70、充電口72B等)との間の電力の中継を行う。例えば、複数の蓄電モジュール19MDのうちの任意の一つの蓄電モジュール19MDの筐体19Hの中には、コントローラ30Dが収容され、他の一つの蓄電モジュール19MDの筐体19Hの中には、ジャンクションボックスが収容されてよい。これにより、複数の蓄電モジュール19MDのそれぞれの空きスペースを利用して、蓄電装置19の関連装置を収容することができる。
【0212】
図13に示すように、上下に隣接する蓄電モジュール19MDの筐体19H同士は、上下方向で直接連結される。
【0213】
収容部19H1の側面の下端部には、上面視で外縁に沿って延びるように循環するリブRB1が設けられる。また、収容部19H1の側面における下端部のリブRB1と上端部のフランジFLとの間に亘る高さ方向の範囲には、上面視で外縁に沿って所定の間隔ごとにリブRB2が設けられる。
【0214】
収容部19H1のフランジFLにおけるリブRB2が接続する箇所には、締結孔FH11が設けられ、上面視の蓋部19H2の対応する位置には、締結孔FH12が設けられる。これにより、締結孔FH1,FH12が位置合わせされた状態で、ボルトBLT1が締結孔FH1,FH12に挿入され締結されることで、収容部19H1に蓋部19H2を取り付け、収容部19H1を蓋部19H2によって密閉することができる。
【0215】
尚、蓋部19H2の裏面と収容部19H1のフランジFLとの間には、密閉性を確保するためのシール部材が設けられる。
【0216】
また、収容部19H1のリブRB1の下面には、凹部RCが設けられる。凹部RCは、筐体19H(収容部19H1)を下に隣接する蓄電モジュール19MDの筐体19H(蓋部19H2)の上に積み重ねられたときに、BLT1の頭部を収容可能なように、ボルトBLT1の数と同数だけ配置される。これにより、蓄電モジュール19MD同士が上下方向で積み重ねられる場合に、下側の蓄電モジュール19MDの筐体19Hの上面のボルトBLT1の頭部が上側の蓄電モジュール19MDの筐体19H(収容部19H1)の下面に当接しないようにすることができる。そのため、ボルトBLT1が破損したり、ボルトBLT1の頭部の分だけ蓄電装置19の高さ方向の寸法が大きくなったりするような自体を回避することができる。
【0217】
収容部19H1のリブRB1には、上面から下面に亘って貫通する締結孔FH21が複数設けられる。複数の締結孔FH21は、上面視で収容部19H1の外縁における隣接する2つのリブRB2の間に配置される。
【0218】
収容部19H1のフランジFLには、上面から下面に亘って貫通する締結孔FH22が複数設けられる。複数の締結孔FH22は、上面視で締結孔FH21と略同じ位置に設けられる。
【0219】
蓋部19H2には、上面から下面に亘って貫通する締結孔FH23が複数設けられる。複数の締結孔FH23は、収容部19H1と蓋部19H2とが連結される状態において、上面視で、締結孔FH21,FH22と略同じ位置に設けられる。
【0220】
これにより、上側の蓄電モジュール19MD(筐体19H)の締結孔FH21、及び下側の蓄電モジュール19MD(筐体19H)の締結孔FH22,FH23にボルトBLT2が上から挿入され締結されることで、2つの蓄電モジュール19MDを連結することができる。
【0221】
例えば、上部旋回体3の底部3Bの上に架台を設置し、架台に蓄電モジュール19MDを取り付ける形で、上下方向に積み重ねることも可能である。しかしながら、例えば、ショベル100の仕様ごとに、蓄電モジュール19MDの数を変更したい場合、架台を変更する必要が生じ、コストの上昇を招く可能性がある。一方、想定される蓄電モジュール19MDの最大値に合わせて、相対的に大きな架台を設定することも可能であるが、例えば、搭載される蓄電モジュール19MDが相対的に少ない場合、架台が他の装置のレイアウトの制約になる可能性がある。また、例えば、相対的に大きな架台によってコストの上昇を招いたり、相対的に大きな架台の重量がエネルギ消費効率の低下を招いたりする可能性もある。
【0222】
これに対して、本例では、蓄電装置19は、複数の蓄電モジュール19MDが上下に積み重ねられることにより構成される。そして、複数の蓄電モジュール19MDは、上下に隣接する蓄電モジュール19MDの筐体19H同士が連結される。
【0223】
これにより、上下に隣接する蓄電モジュール19MDの筐体19H同士を連結するだけで、最下層の蓄電モジュール19MDを介して、複数の蓄電モジュール19MDを上部旋回体3に搭載することができる。そのため、例えば、図10図11の場合のように、ショベル100の仕様等に合わせて、蓄電モジュール19MDの数を変化させる場合、容易に、蓄電モジュール19MDの数を変更することができる。よって、蓄電装置19の容量を容易に変更することができる。
【0224】
また、本例では、複数の蓄電モジュール19MDは、それぞれ、他の全ての蓄電モジュール19MDの下部の連結構造(例えば、締結孔FH1)と適合するように、上部の連結構造(例えば、締結孔FH22,FH23)が構成されてよい。
【0225】
同様に、複数の蓄電モジュール19MDは、それぞれ、他の全ての蓄電モジュール19MDの上部の連結構造(例えば、締結孔FH22,FH23)と適合するように、下部の連結構造(例えば、締結孔FH21)が構成されてよい。
【0226】
これにより、例えば、複数の蓄電モジュール19MDを任意の順序で積み重ねて連結させることができることから、より容易に、複数の蓄電モジュール19MDを積み重ねて、上部旋回体3に搭載することができる。そのため、より容易に、蓄電モジュール19MDの数を変更することができる。
【0227】
また、本例では、複数の蓄電モジュール19MDは、互いに上面視の形状が略同じであってよい。
【0228】
これにより、例えば、複数の蓄電モジュール19MDを任意の順序で積み重ねることができることから、より容易に、複数の蓄電モジュール19MDを積み重ねて、上部旋回体3に搭載することができる。そのため、より容易に、蓄電モジュール19MDの数を変更することができる。
【0229】
また、本例では、複数の蓄電モジュール19MDのうちの少なくとも2以上の蓄電モジュール19MDは、筐体19Hの外形形状が互いに略同じであってよい。
【0230】
これにより、例えば、複数の蓄電モジュール19MDを任意の順序で積み重ねることができることから、より容易に、複数の蓄電モジュール19MDを積み重ねて、上部旋回体3に搭載することができる。そのため、より容易に、蓄電モジュール19MDの数を変更することができる。
【0231】
また、本例では、複数の蓄電モジュール19MDの筐体19Hの中には、蓄電装置19の関連装置が分散して内蔵されてよい。
【0232】
これにより、複数の蓄電モジュール19MDの筐体19Hごとの空きスペースを有効活用することができる。
【0233】
また、本例では、関連装置には、蓄電装置19に関する制御を行うコントローラ30D、及び蓄電装置19と複数の他の装置との間の電力の中継を行うジャンクションボックスの少なくとも一方を含まれてよい。
【0234】
これにより、具体的に、コントローラ30Dやジャンクションボックスを複数の蓄電モジュール19MDの筐体19Hに分散して内蔵させることができる。
【0235】
また、本例では、複数の蓄電モジュール19MDは、それぞれ、筐体19Hの側面に電力経路を遮断するサービスプラグが着脱可能に取り付けられるサービスプラグ設置部19SHと、サービスプラグ設置部19SHを覆うカバー19CVとを有してよい。
【0236】
これにより、複数の蓄電モジュール19MDが上下方向で積み重ねられた状態であっても、作業者は、例えば、蓄電装置19のメンテナンスの際に、筐体19Hの側面のカバー19CVを取り外してサービスプラグにアクセスすることができる。そのため、蓄電装置19のメンテナンスの際の電力経路の遮断を容易に実現することができる。
【0237】
また、本例では、筐体19Hは、バッテリモジュールBMDを収容し上部が開放される収容部19H1と、収容部19H1の開放される上部を閉じる蓋部19H2と、蓋部19H2を収容部19H1に対して上下方向で締結する複数のボルトBLT1とを含んでよい。また、上下に隣接する蓄電モジュール19MDの筐体19H同士は、上下方向に締結される複数のボルトBLT2により連結されてよい。そして、筐体19Hにおいて、隣接する2つのボルトBLT1が締結される締結孔FH11,FH12の間に、ボルトBLT2を締結する締結孔FH21,FH22,FH23が設けられてよい。
【0238】
これにより、例えば、筐体19Hの収容部19H1及び蓋部19H2の連結構造の近くに、上下で隣接する蓄電モジュール19MDの筐体19H同士を連結する連結構造が配置され、上面視で筐体19Hの外縁が外側に張り出すような状況を回避することができる。そのため、筐体19Hの収容部19H1及び蓋部19H2の連結構造と、上下で隣接する蓄電モジュール19MDの筐体19H同士を連結する連結構造とをより小さいスペースで両立させることができる。
【0239】
また、本例では、筐体19Hは、その下面において、他の蓄電モジュール19MDの筐体19Hの上に積み重ねられたときの当該筐体19HのボルトBLT1と略同じ位置に凹部RCを有してよい。
【0240】
これにより、筐体19Hの上の他の蓄電モジュール19MDの筐体19Hが積み重ねられる場合、凹部RCにボルトBLT1の頭部を収容させることができる。そのため、下側の筐体19HのボルトBLT1の頭部と上側の筐体19Hの下面とが当接するような事態を回避することができる。よって、ボルトBLT1の頭部の破損やボルトBLT1の頭部による蓄電装置19の上下方向の寸法の増大等の発生を抑制することができる。
【0241】
[DC-DCコンバータの動作・停止の切換方法]
次に、図14図15を参照して、DC-DCコンバータ44A,44Bの動作・停止の切換方法について説明する。
【0242】
図14は、DC-DCコンバータ44A,44Bの動作・停止の切換方法を説明する図である。図15は、DC-DCコンバータ44の変換効率を示す図である。
【0243】
尚、図14では、消費電流の目盛りの間隔に意味はなく、閾値I1,I2及び最大値Imaxの大小関係を模擬的に表しているだけである。
【0244】
本例では、DC-DCコンバータ44A,44Bは、互いに電流容量、即ち、出力可能な電流の最大値が異なる。具体的には、DC-DCコンバータ44Aは、相対的に電流容量が小さく、DC-DCコンバータ44Bは、相対的に電流が大きくなるように構成される。
【0245】
図14に示すように、本例では、コントローラ30Eは、低電圧機器の全体が必要とする電流、つまり、低電圧機器の全体の消費電流に合わせて、DC-DCコンバータ44A,44Bの動作・停止を切り換える。コントローラ30Eは、センサ48の出力に基づき、低電圧機器の全体の消費電流を取得することができる。
【0246】
具体的には、コントローラ30Eは、低電圧機器の全体の消費電流が閾値I1(>0)以下の場合、DC-DCコンバータ44Aを動作させ、DC-DCコンバータ44Bを停止させる。閾値I1は、DC-DCコンバータ44Aの出力可能な電流の最大値よりもある程度小さい値として設定される。即ち、コントローラ30Eは、低電圧機器全体の消費電流が閾値I1以下の範囲では、相対的に電流容量が小さいDC-DCコンバータ44Aのみでバッテリ46や低電圧機器に電力を供給させる。
【0247】
また、コントローラ30Eは、低電圧機器の全体の消費電流が閾値I1より大きく且つ閾値I2(>I1)以下の場合、DC-DCコンバータ44Aを停止させ、DC-DCコンバータ44Bを動作させる。閾値I2は、DC-DCコンバータ44Bの出力可能な電流の最大値よりもある程度小さい値として設定される。即ち、コントローラ30Eは、低電圧機器全体の消費電流が閾値I1より大きく且つ閾値I2以下の範囲では、相対的に電流容量が大きいDC-DCコンバータ44Bのみで、バッテリ46や低電圧機器に電力を供給させる。
【0248】
尚、低電圧機器の全体の消費電流が閾値I1以下の状況から閾値I1より大きい状況に変化する場合やその逆の場合に、瞬間的に、DC-DCコンバータ44A,44Bの双方が停止するような状況も生じうる。しかし、バッテリ46がバッファとして機能することから、低電圧機器への電力供給の瞬断等の問題は生じない。
【0249】
また、コントローラ30Eは、低電圧機器の全体の消費電流が閾値I2より大きく且つその最大値Imax以下の場合、DC-DCコンバータ44A,44Bを共に動作させる。即ち、コントローラ30Eは、低電圧機器全体の消費電流が閾値I2より大きい範囲では、DC-DCコンバータ44A,44Bの双方で、バッテリ46や低電圧機器に電力を供給させる。
【0250】
尚、低電圧機器全体の消費電流が上昇する場合と、下降する場合とで、DC-DCコンバータ44A,44Bの動作・停止の切換方法にヒステリシスが設けられ、閾値I1,閾値I2は、それぞれの場合で異なる値が設定されてもよい。
【0251】
図15に示すように、出力電流が閾値I1以下の範囲において、DC-DCコンバータ44Aの変換効率(グラフ1501参照)は、DC-DCコンバータ44Bの変換効率(グラフ1502A)よりも高くなる。電流容量が小さいほど、出力電流の増加に対する変換効率の立ち上がりが良くなる傾向にあるからである。そのため、低電圧機器全体の消費電流が閾値I1以下の範囲では、DC-DCコンバータ44Aのみを動作させることで、DC-DCコンバータ44全体の変換効率を相対的に高くすることができる。
【0252】
また、出力電流が閾値I1より大きく且つ閾値I2以下の範囲において、DC-DCコンバータ44Bの変換効率は、相対的に高い状態を維持している(グラフ1502参照)。一方、出力電流が閾値I1を超えると、DC-DCコンバータ44Aの変換効率は、出力電流の上限に近いことから若干低下する(グラフ1501A参照)。そのため、低電圧機器全体の消費電流が閾値I1より大きく且つ閾値I2以下の範囲では、DC-DCコンバータ44Bのみを動作させることで、DC-DCコンバータ44全体の変換効率を相対的に高くすることができる。
【0253】
また、低電圧機器全体の消費電流が閾値I2をある程度超えると、DC-DCコンバータ44Bだけでは、低電圧機器全体の消費電流を賄うことができない。そのため、低電圧機器全体の消費電流が閾値I2より大きい範囲では、DC-DCコンバータ44Bに加えて、DC-DCコンバータ44Aを動作させることで、低電圧機器全体の消費電流を賄うことができる。この場合、DC-DCコンバータ44Bの出力電流は、相対的に高い状態に維持されることから、DC-DCコンバータ44Bの変換効率は、相対的に高く維持される(グラフ1503参照)。また、DC-DCコンバータ44Aは、出力電流が適宜制御されることで、相対的に低い変換効率の領域(グラフ1504A)を外して、相対的に高い変換効率に維持される(グラフ1504参照)。これにより、DC-DCコンバータ44全体の変換効率を相対的に高くすることができる。
【0254】
このように、本例では、ショベル100は、並列接続される複数のDC-DCコンバータ44A,44Bを用いて、低電圧機器やバッテリ46に電力供給を行う。
【0255】
これにより、DC-DCコンバータ44A,44Bの個々の出力電流の立ち上がりを相対的に速くすることができる。そのため、DC-DCコンバータ44全体の変換効率を相対的に高くすることができる。よって、蓄電装置19の電力消費を抑制し、ショベル100の稼働時間を相対的に長くすることができる。
【0256】
また、本例では、DC-DCコンバータ44A,44Bの電流容量が互いに異なるように設定される。
【0257】
これにより、低電圧機器全体の消費電流に合わせて、DC-DCコンバータ44Aだけを動作させる場合、DC-DCコンバータ44Bだけを動作させる場合、及びDC-DCコンバータ44A,44Bの双方を動作させる場合を切り換えることができる。そのため、DC-DCコンバータ44全体の変換効率を更に高くすることができる。よって、蓄電装置19の電力消費を更に抑制し、ショベル100の稼働時間を更に長くすることができる。
【0258】
また、本例では、コントローラ30Eは、低電圧機器全体の消費電流に合わせて、DC-DCコンバータ44A,44Bの動作・停止を切り換える。
【0259】
これにより、具体的に、低電圧機器全体の消費電流に合わせて、DC-DCコンバータ44Aだけを動作させる場合、DC-DCコンバータ44Bだけを動作させる場合、及びDC-DCコンバータ44A,44Bの双方を動作させる場合を切り換えることができる。
【0260】
[DC-DCコンバータからの電力供給の制限時の制御方法]
次に、図16図20を参照して、DC-DCコンバータ44からバッテリ46や低電圧機器への電力供給の制限時の制御装置30による制御方法について説明する。
【0261】
DC-DCコンバータ44からバッテリ46や低電圧機器への電力供給の制限には、例えば、電力供給の停止が含まれる。また、DC-DCコンバータ44からバッテリ46や低電圧機器への電力供給の制限には、例えば、DC-DC44A,44Bのうちの何れか一方からバッテリ46や低電圧機器への電力供給の停止、即ち、DC-DCコンバータ44全体の供給可能な電流の制限が含まれる。DC-DCコンバータ44からバッテリ46や低電圧機器への電力供給の停止には、例えば、DC-DCコンバータ44の異常による電力供給の停止が含まれる。DC-DCコンバータ44の異常には、例えば、蓄電装置19からの入力電圧が所定範囲を超える(上回る)入力過電圧や入力電圧が所定範囲を下回る入力低電圧が含まれる。また、DC-DCコンバータ44の異常には、例えば、バッテリ46や低電圧機器への出力電圧が所定範囲を超える(上回る)出力過電圧や出力電圧が所定範囲を下回る出力低電圧が含まれる。また、DC-DCコンバータ44の異常には、例えば、DC-DCコンバータ44の回路の短絡が含まれる。また、DC-DCコンバータ44の異常には、例えば、過電流が含まれる。また、DC-DCコンバータ44の異常には、例えば、その所定部位の温度が所定範囲を超える(上回る)過熱が含まれる。また、DC-DCコンバータ44の異常には、コントローラ30E等の外部との通信異常が含まれる。また、DC-DCコンバータ44の異常には、例えば、DC-DCコンバータ44の電源電圧が所定範囲を超える(上回る)電源電圧過大や電源電圧が所定範囲を下回る電源電圧不足が含まれる。また、DC-DCコンバータ44からバッテリ46や低電圧機器への電力供給の停止には、例えば、DC-DCコンバータ44の保護モードへの移行による一時的な出力制限等が含まれる。
【0262】
<制御方法の第1例>
図16は、DC-DCコンバータ44からの電力供給の制限時における制御処理の第1例を概略的に示すフローチャートである。図17は、DC-DCコンバータ44からの電力供給の制限時におけるバッテリ46の電圧の変化の一例を示す図である。
【0263】
本フローチャートは、DC-DCコンバータ44からバッテリ46や低電圧機器への電力供給が制限されると、開始される。具体的には、コントローラ30Eは、DC-DCコンバータ44からの電力供給を制限させている場合や異常等によりDC-DCコンバータ44からの電力供給が制限されている場合、その旨を示す信号をコントローラ30Aに送信してよい。そして、コントローラ30Aは、当該信号を受信すると、本フローチャートを開始させてよい。以下、後述の図18図20のフローチャートについても同様であってよい。
【0264】
図16に示すように、ステップS102にて、コントローラ30Aは、低電圧機器の動作制限を行うことにより、低電圧機器の消費電流を下げる。これにより、DC-DCコンバータ44からバッテリ46や低電圧機器への電力供給が制限されている状況で、低電圧機器の消費電流を抑制し、バッテリ46の電力だけでコントローラ30A~30Eが作動可能な時間を相対的に長くすることができる。その結果、コントローラ30Aは、動作制限の対象の低電圧機器以外のショベル100の各種機器の作動可能な時間を相対的に長くし、ショベル100の動作可能な時間を相対的に長くすることができる。
【0265】
また、コントローラ30Aは、ステップS102の処理の後、出力装置50を通じて、低電圧機器の動作制限が行われている旨をユーザに通知してもよい。また、コントローラ30Aは、ショベル100の遠隔操作や遠隔監視が行われる場合、通信装置を通じて、外部装置に低電圧機器の動作制限が行われている旨の通知信号を送信してもよい。
【0266】
低電圧機器の動作制限には、例えば、低電圧機器の動作停止が含まれる。これにより、対象の低電圧機器の消費電流を略ゼロまで下げることができる。また、低電圧機器の動作制限には、低電圧機器の性能が相対的に低い運転状況で動作を継続する状態(以下、「性能制限状態」)が含まれる。これにより、対象の低電圧機器の性能が相対的高い運転状況の場合よりも対象の低電圧機器の消費電流を下げることができる。
【0267】
消費電流を下げる対象の低電圧機器は、消費電流が相対的に大きい低電圧機器である。対象の低電圧機器は、例えば、ウォータポンプ64を含む。ウォータポンプ64の性能制限状態は、例えば、ウォータポンプ64の吐出流量が通常よりも相対的に小さく(低く)なるように制限された状態を含む。また、対象の低電圧機器は、例えば、ファン90を含む。ファン90の性能制限状態は、例えば、ファン90の回転数が通常よりも相対的に小さく(低く)なるように制限された状態を含む。また、対象の低電圧機器は、例えば、空調装置80を含む。空調装置80の性能制限状態は、例えば、空調装置80の設定温度が外気温より低い状況(例えば、夏)において、設定温度が相対的に高くなるように制限された運転状態を含む。また、空調装置80の性能制限状態は、例えば、空調装置80の設定温度が外気温より高い状況(例えば、冬)において、設定温度が相対的に低くなるように制限された運転状態を含む。
【0268】
尚、冷媒回路66には、相対的に大きな容量の冷媒が充満している。そのため、ウォータポンプ64やファン90の動作制限が行われている状態であっても、冷媒回路66に冷却対象の熱は移動する。そのため、冷却性能は低下するものの、冷却装置60は、ウォータポンプ64やファン90の動作制限が行われている状態でも、冷却対象の冷却を継続することができる。
【0269】
ステップS102にて、コントローラ30Aは、対象の低電圧機器の動作を停止させてもよいし、対象の低電圧機器の動作を性能制限状態に移行させてもよいし、対象の低電圧機器の動作の停止と性能制限状態への移行とを使い分けても良い。
【0270】
例えば、コントローラ30Aは、バッテリ46の電圧に応じて、対象の低電圧機器の動作を停止させるか、性能制限状態とするかを決定してよい。バッテリ46の電圧は、センサ48の出力に基づき把握されうる。具体的には、コントローラ30Aは、バッテリ46の電圧が相対的に高い場合、対象の低電圧機器の動作を性能制限状態とし、バッテリ46の電圧が相対的に低い場合、対象の低電圧機器の動作を停止状態としてよい。
【0271】
また、ステップS102にて、コントローラ30Aは、ウォータポンプ64、ファン90、及び空調装置80等の全ての対象の低電圧機器の動作制限を行ってもよいし、これらの一部の動作制限を行ってもよい。また、ステップS102にて、コントローラ30Aは、ウォータポンプ64、ファン90、及び空調装置80等の全ての対象の低電圧機器の動作制限を行う場合と、一部の対象の低電圧機器の動作制限を行う場合とを使い分けてもよい。
【0272】
例えば、コントローラ30Aは、バッテリ46の電圧に応じて、動作制限を行う対象の低電圧機器の数を変化させてもよい。具体的には、コントローラ30Aは、バッテリ46の電圧が下がるほど、動作制限を行う対象の低電圧機器の数を多くしてよい。この場合、コントローラ30Aは、空調装置80よりもウォータポンプ64やファン90に対する動作制限を優先的に行ってよい。また、コンデンサ82Bの送風用のファン90と、ラジエータ62の送風用のファン90が別に設けられる場合、コントローラ30Aは、前者のファン90よりも後者のファン90に対する動作制限を優先的に行ってもよい。
【0273】
以下、後述の図18図20の場合についても、上述した対象の低電圧機器の動作制限の様々な態様が適宜採用されてよい。
【0274】
コントローラ30Aは、ステップS102の処理が完了すると、ステップS104に進む。
【0275】
ステップS104にて、コントローラ30Aは、DC-DCコンバータ44が動作制限の状態から通常の動作状態に復帰したか否かを判定する。コントローラ30Aは、DC-DCコンバータ44が通常の動作状態に復帰している場合、ステップS106に進み、復帰していない場合、通常の動作状態に復帰するまで、本ステップの処理を繰り返す。
【0276】
ステップS106にて、コントローラ30Aは、対象の低電圧機器の動作制限を解除する。
【0277】
尚、コントローラ30Aは、対象の低電圧機器の動作制限を解除するのに併せて、出力装置50を通じて、対象の低電圧機器の動作制限を解除する旨をユーザに通知してもよい。また、コントローラ30Aは、ショベル100の遠隔操作や遠隔監視が行われる場合、通信装置を通じて、外部装置に対象の低電圧機器の動作制限を解除する旨の通知信号を送信してもよい。以下、後述の第2例(図18)のステップS204、第3例(図19)のステップS302、第4例(図20)のステップS402の場合についても同様であってよい。
【0278】
コントローラ30Aは、ステップS106の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0279】
尚、DC-DCコンバータ44の異常による動作制限の場合等のように、DC-DCコンバータ44の動作制限が解除される見込みが非常に小さい場合、ステップS104,S106の処理は省略されてもよい。
【0280】
例えば、図17に示すように、DC-DCコンバータ44からバッテリ46への電力供給が制限され、バッテリ46からの電力の持ち出しで低電圧機器を作動させる場合、バッテリ46の電圧が低下する。特に、電動式のショベル100では、通常の油圧ショベルに比して、電気駆動系や電源系のコントローラ30B,30D等の消費電力やウォータポンプ64、ファン90等の冷却系の消費電力が相対的に増加し、内部抵抗分による電圧降下が著しくなる。そのため、DC-DCコンバータ44の動作制限が解除されない状況では、低電圧機器の動作制限が行われない場合、バッテリ46の電圧が急降下する。そして、制御装置30に含まれるコントローラ30A~30E等の各種コントローラの制御電源の下限値に直ぐに到達し、各種コントローラが停止する(図中の破線参照)。その結果、ショベル100が強制的に停止してしまう。よって、DC-DCコンバータ44からバッテリ46や低電圧機器への電力供給が制限されると、場合によっては、ショベル100を安全な場所に退避させたり、ショベル100を修理のために移動させたりすることができなくなる可能性がある。
【0281】
これに対して、本例では、コントローラ30Aは、低電圧機器の動作制限を行う。そのため、低電圧機器の消費電流が低下することから内部抵抗による電圧降下分が減少し、電圧が回復すると共に、消費電流の低下により、バッテリ46の電圧降下も緩やかになる(図中の実線参照)。その結果、バッテリ46の電圧が各種コントローラの制御電源の下限値に到達し、ショベル100が強制的に停止するまでの時間を相対的に長く確保することができる。よって、ユーザは、ショベル100を操作し、ショベル100を安全な場所に退避させたり、ショベル100を修理のために移動させたりすることができる。また、ショベル100が完全自動運転機能で動作する場合、ショベル100は、例えば、所定の退避モード等によって、ショベル100を安全な場所に自動で退避させたり、ショベル100を修理のために自動で移動させたりすることができる。
【0282】
このように、本例では、コントローラ30Aは、DC-DCコンバータ44からバッテリ46への電力供給が制限される場合、対象の低電圧負荷の動作を制限し、消費電力を低減させる。
【0283】
これにより、コントローラ30Aは、DC-DCコンバータ44からの電力供給の制限時において、バッテリ46の電圧降下を抑制し、各種コントローラの停止までの時間を相対的に長く確保することができる。そのため、ショベル100は、オペレータの操作や自動運転機能によって、ショベル100(自機)を安全な場所に退避させたり、ショベル100(自機)を修理のために移動させたりすることができる。
【0284】
また、本例では、DC-DCコンバータ44からバッテリ46への電力供給が制限される場合には、DC-DCコンバータ44に異常が生じている場合が含まれてよい。具体的には、DC-DCコンバータ44の異常には、入力過電圧、入力低電圧、出力過電圧、出力低電圧、短絡、過電流、過熱、電源電圧過大、電源電圧不足、及び通信異常の少なくとも一つが含まれてよい。
【0285】
これにより、コントローラ30Aは、DC-DCコンバータ44に異常が生じている場合に、バッテリ46の電圧降下を抑制し、各種コントローラの停止までの時間を相対的に長く確保することができる。
【0286】
また、本例では、DC-DCコンバータ44からバッテリ46への電力供給が制限される場合には、複数のDC-DCコンバータ44A,44Bのうちの少なくとも一つからバッテリ46への電力供給が停止される場合が含まれてよい。
【0287】
これにより、コントローラ30Aは、例えば、DC-DCコンバータ44A,44Bのうちの一方からの電力供給が停止されている場合に、バッテリ46の電圧降下を抑制し、各種コントローラの停止までの時間を相対的に長く確保することができる。
【0288】
また、本例では、動作制限の対象の低電圧負荷は、ウォータポンプ64及びファン90の少なくとも一方を含んでよい。
【0289】
これにより、コントローラ30Aは、相対的に消費電流が大きいウォータポンプ64やファン90の動作制限を行い、具体的に、低電圧機器の消費電流を低下させることができる。
【0290】
また、本例では、動作制限の対象の低電圧負荷は、空調装置80を含んでよい。
【0291】
これにより、コントローラ30Aは、相対的に消費電流が大きい空調装置80の動作制限を行い、具体的に、低電圧機器全体の消費電流を低下させることができる。
【0292】
また、本例では、コントローラ30Aは、ウォータポンプ64及びファン90の動作を空調装置80の動作よりも優先的に制限してよい。
【0293】
これにより、コントローラ30Aは、例えば、キャビン10のユーザ(オペレータ)の快適性や健康面を考慮しつつ、低電圧機器全体の消費電流を低下させることができる。
【0294】
<制御方法の第2例>
図18は、DC-DCコンバータ44からの電力供給の制限時における制御処理の第2例を概略的に示すフローチャートである。
【0295】
図18に示すように、ステップS202にて、コントローラ30Aは、コントローラ30Bに制御指令を出力し、ポンプ用電動機12の出力を制限する。具体的には、コントローラ30Aは、図示しないレギュレータを制御し、可変容量式のメインポンプ14の容量を小さくし負荷を軽減することにより、ポンプ用電動機12の出力を制限してよい。また、コントローラ30Aは、ポンプ用電動機12の回転数を下げることにより、ポンプ用電動機12の出力を制限してよい。また、コントローラ30Aは、これらの双方を実施することにより、ポンプ用電動機12の出力を制限してもよい。これにより、電気駆動系や電源系の機器の発熱を抑制し、冷却装置60の負荷を低減させることができる。
【0296】
コントローラ30Aは、ステップS202の処理が完了すると、ステップS204に進む。
【0297】
ステップS204にて、コントローラ30Aは、ウォータポンプ64やファン90を含む低電圧機器の動作制限を行うことにより、低電圧機器の消費電流を下げる。これにより、コントローラ30Aは、上述の第1例の場合と同様、バッテリ46の電力だけでコントローラ30A~30E等が作動可能な時間を相対的に長くすることができる。
【0298】
ステップS206,S208の処理は、図16のステップS104,S106と同じであるため、説明を省略する。
【0299】
コントローラ30Aは、ステップS208の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0300】
このように、本例では、コントローラ30Aは、ウォータポンプ64及びファン90の少なくとも一方の動作を制限する場合、ポンプ用電動機12の出力を制限する。
【0301】
これにより、コントローラ30Aは、ポンプ用電動機12の出力制限によって、電気駆動系や電源系からの発熱を抑制することができる。そのため、コントローラ30Aは、ウォータポンプ64やファン90の動作制限が行われている状態であっても、冷却装置60の冷却対象の機器の温度上昇(オーバーヒート)の発生を抑制することができる。
【0302】
尚、コントローラ30Aは、温度センサ54の出力に基づき、冷却対象の機器の温度状態を把握し、冷却装置60による冷却対象の機器の温度状態に応じて、ポンプ用電動機12の出力を制限してもよい。具体的には、コントローラ30Aは、冷却装置60による冷却対象の機器の温度が所定閾値を超えると、ポンプ用電動機12の出力を制限してもよい。
【0303】
<制御方法の第3例>
図19は、DC-DCコンバータ44からの電力供給の制限時における制御処理の第3例を概略的に示すフローチャートである。
【0304】
図19に示すように、ステップS302にて、コントローラ30Aは、ウォータポンプ64及びファン90の少なくとも一方の動作制限を行う。これにより、低電圧機器全体の消費電流を低下させることができる。
【0305】
コントローラ30Aは、ステップS302の処理が完了すると、ステップS304に進む。
【0306】
ステップS304にて、コントローラ30Aは、DC-DCコンバータ44が動作制限の状態から通常の動作状態に復帰したか否かを判定する。コントローラ30Aは、DC-DCコンバータ44が通常の動作状態に復帰していない場合、ステップS306に進み、復帰している場合、ステップS316に進む。
【0307】
一方、ステップS306にて、コントローラ30Aは、温度センサ54の出力に基づき、冷却装置60による冷却対象の機器の温度が閾値T11th(>0)を超えているか否かを判定する。コントローラ30Aは、冷却対象の機器の温度が閾値T11thを超えている場合、ステップS308に進み、それ以外の場合、ステップS304に戻る。
【0308】
ステップS308にて、コントローラ30Aは、ステップS302で動作制限を行ったウォータポンプ64やファン90の動作制限を一時的に解除する。これにより、冷却装置60の冷却性能を高め、冷却対象の機器の温度上昇を抑制することができる。
【0309】
コントローラ30Aは、ステップS308の処理が完了すると、ステップS310に進む。
【0310】
ステップS310にて、コントローラ30Aは、DC-DCコンバータ44が動作制限の状態から通常の動作状態に復帰したか否かを判定する。コントローラ30Aは、DC-DCコンバータ44が通常の動作状態に復帰している場合、ステップS316に進み、復帰していない場合、ステップS312に進む。
【0311】
ステップS312にて、コントローラ30Aは、冷却装置60による冷却対象の機器の温度が閾値T12th(<T11th)以下であるか否かを判定する。コントローラ30Aは、冷却対象の機器の温度が閾値T12th以下である場合、ステップS314に進み、それ以外の場合、ステップS310に戻る。
【0312】
ステップS314にて、コントローラ30Aは、ステップS308で一時的に解除したウォータポンプ64やファン90の動作制限を再開させる。
【0313】
コントローラ30Aは、ステップS314の処理が完了すると、ステップS304に戻る。
【0314】
一方、ステップS316にて、コントローラ30Aは、対象の低電圧機器の動作制限を解除する。
【0315】
コントローラ30Aは、ステップS316の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0316】
このように、本例では、コントローラ30Aは、ウォータポンプ64やファン90の動作制限を行っている状態で、冷却装置60による冷却対象の機器の温度が相対的に高くなった場合、ウォータポンプ64やファン90の動作制限を一時的に解除する。
【0317】
これにより、コントローラ30Aは、低電圧機器全体の消費電流の抑制しつつ、冷却対象の機器の温度上昇を抑制することができる。
【0318】
<制御方法の第4例>
図20は、DC-DCコンバータ44からの電力供給の制限時における制御処理の第4例を概略的に示すフローチャートである。
【0319】
尚、本例では、空調装置80の設定温度が外気温より低い状況(例えば、夏場)での制御処理を表す。
【0320】
図20に示すように、ステップS402にて、コントローラ30Aは、空調装置80の動作制限を行う。これにより、低電圧機器全体の消費電流を低下させることができる。
【0321】
コントローラ30Aは、ステップS402の処理が完了すると、ステップS404に進む。
【0322】
ステップS404にて、コントローラ30Aは、DC-DCコンバータ44が動作制限の状態から通常の動作状態に復帰したか否かを判定する。コントローラ30Aは、DC-DCコンバータ44が通常の動作状態に復帰していない場合、ステップS406に進み、復帰している場合、ステップS416に進む。
【0323】
一方、ステップS406にて、コントローラ30Aは、温度センサ56の出力に基づき、キャビン10の室内温度が閾値T21th(>0)を超えているか否かを判定する。コントローラ30Aは、冷却対象の機器の温度が閾値T21thを超えている場合、ステップS408に進み、それ以外の場合、ステップS404に戻る。
【0324】
尚、空調装置80の設定温度が外気温より高い状況での制御処理の場合、キャビン10の室内温度が所定閾値を下回っているか否かを判定してよい。
【0325】
ステップS408にて、コントローラ30Aは、ステップS402で動作制限を行った空調装置80の動作制限を一時的に解除する。これにより、空調装置80の性能を高め、キャビン10の室内温度の上昇を抑制することができる。
【0326】
コントローラ30Aは、ステップS408の処理が完了すると、ステップS410に進む。
【0327】
ステップS410にて、コントローラ30Aは、DC-DCコンバータ44が動作制限の状態から通常の動作状態に復帰したか否かを判定する。コントローラ30Aは、DC-DCコンバータ44が通常の動作状態に復帰している場合、ステップS416に進み、復帰していない場合、ステップS412に進む。
【0328】
ステップS412にて、コントローラ30Aは、キャビン10の室内温度が閾値T22th(<T11th)以下であるか否かを判定する。コントローラ30Aは、冷却対象の機器の温度が閾値T22th以下である場合、ステップS414に進み、それ以外の場合、ステップS410に戻る。
【0329】
尚、空調装置80の設定温度が外気温より高い状況での制御処理の場合、キャビン10の室内温度が所定閾値以上であるか否かを判定してよい。
【0330】
ステップS414にて、コントローラ30Aは、ステップS408で一時的に解除した空調装置80の動作制限を再開させる。
【0331】
コントローラ30Aは、ステップS414の処理が完了すると、ステップS404に戻る。
【0332】
一方、ステップS416にて、コントローラ30Aは、対象の低電圧機器の動作制限を解除する。
【0333】
コントローラ30Aは、ステップS416の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0334】
このように、本例では、コントローラ30Aは、空調装置80の動作制限を行っている状態で、キャビン10の室内温度が空調装置80の設定温度から乖離する方向に閾値を超える場合、空調装置80の動作制限を一時的に解除する。
【0335】
これにより、コントローラ30Aは、低電圧機器全体の消費電流の抑制しつつ、キャビン10の室内温度が夏場に暑くなりすぎたり、冬場に寒くなりすぎたりするような事態を抑制することができる。
【0336】
[運転モードの立ち上げ及び立ち下げに関する制御処理]
次に、図21図22を参照して、ショベル100の運転モードの立ち上げ及び立ち下げに関する制御処理について説明する。
【0337】
図21は、ショベル100の運転モードの立ち上げ及び立ち下げに関する制御処理を概略的に示すフローチャートである。図22は、ショベル100の緊急停止処理の一例を概略的に示すフローチャートである。
【0338】
図21のフローチャートは、入力装置52を通じたユーザからの所定の入力に応じてキースイッチがオンされると開始される。キースイッチは、バッテリ46とコントローラ30A~30E等の各種コントローラとの間の電力系統に設けられる。
【0339】
図21に示すように、ステップS502にて、コントローラ30Aは、ショベル100の起動時の初期処理に相当する、運転モードの立ち上げ処理を行う。運転モードは、オペレータの操作や自動運転機能に対応する操作指令に応じてアクチュエータを動作させて、通常の作業を行うためのショベル100の稼働時(運転中)におけるデフォルトの制御モードである。
【0340】
コントローラ30Aは、ステップS502の処理が完了すると、ステップS504に進む。
【0341】
ステップS504にて、コントローラ30Aは、ショベル100の通常の運転中に相当する運転モードに移行する。
【0342】
コントローラ30Aは、ステップS504の処理が完了すると、ステップS506に進む。
【0343】
ステップS506にて、コントローラ30Aは、キースイッチがオンされたか否かを判定する。コントローラ30Aは、キースイッチがオンされた場合、ステップS508に進み、キースイッチがオンされていない場合、ステップS510に進む。
【0344】
ステップS508にて、コントローラ30Aは、ショベル100の停止時の終了処理に相当する運転モードの立ち下げ処理を行う。
【0345】
コントローラ30Aは、ステップS508の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0346】
一方、ステップS510にて、コントローラ30Aは、充電口72に外部電源から延びる充電ケーブルが接続されたか否かを判定する。例えば、車載充電器70は、充電口72Aに充電ケーブルが接続されると、コントローラ30Dに充電口72Aに充電ケーブルが接続される旨を表す信号を送信する。これにより、コントローラ30Aは、コントローラ30Dを通じて、車載充電器70からの信号の受信を把握することで、充電口72Aに充電ケーブルが接続されたことを把握することができる。また、例えば、充電口72Bに充電ケーブルが接続されると、コントローラ30Dは、接点検知や電力線通信による充電スタンド側との通信等によって、充電口72Bに充電ケーブルが接続された状態を把握する。これにより、コントローラ30Aは、コントローラ30Dを通じて、充電口72Bに充電ケーブルが接続されたことを把握することができる。コントローラ30Aは、充電口72に外部電源から延びる充電ケーブルが接続された場合、ステップS512に進み、充電ケーブルが接続されていない場合、ステップS506に戻る。
【0347】
ステップS512にて、ショベル100の緊急停止処理を行う。具体的には、図22のフローチャートに移行する。
【0348】
尚、図22は、充電口72Aに充電ケーブルが接続された場合の緊急停止処理のフローチャートである。
【0349】
図22に示すように、ステップS602にて、コントローラ30Aは、出力装置50を通じて、ショベル100が緊急停止される旨を理由と併せてユーザに通知する。また、コントローラ30Aは、ショベル100の緊急停止状態から復帰するためには、一度、キースイッチをオフする必要があること(ステップS620参照)を併せて通知してもよい。また、コントローラ30Aは、ショベル100が遠隔操作される場合や遠隔監視される場合、通信装置を通じて、ショベル100が緊急停止される旨等を表す信号を外部装置に送信してもよい。
【0350】
コントローラ30Aは、ステップS602の処理が完了し一定時間が経過すると、ステップS604に進む。
【0351】
ステップS604にて、コントローラ30Aは、油圧駆動系を停止させる。例えば、コントローラ30Aは、リレー25Rを通電させて、リレー25Rを開放させることにより、切換弁25V2を通じて、パイロットライン25を遮断する。これにより、油圧制御弁31へのパイロット圧の供給が遮断(停止)され、操作装置26が操作されても、油圧アクチュエータが動作することがなくなり、油圧駆動系が停止される。
【0352】
コントローラ30Aは、ステップS604の処理が完了すると、ステップS606に進む。
【0353】
ステップS606にて、コントローラ30Aは、コントローラ30Bを通じて、ポンプ用電動機12を停止させる。
【0354】
コントローラ30Aは、コントローラ30Bを通じて、ポンプ用電動機12が停止されたことが確認すると、ステップS608に進む。例えば、コントローラ30Aは、コントローラ30Bを通じて、インバータ18から出力されるポンプ用電動機の回転速度に関する信号を受信し、ポンプ用電動機12の回転が停止されたことを把握する。
【0355】
ステップS608にて、コントローラ30Aは、コントローラ30Bを通じて、インバータ18を停止させる。
【0356】
コントローラ30Aは、インバータ18の停止を確認すると、ステップS610に進む。例えば、コントローラ30Aは、コントローラ30Bを通じて、インバータ18から出力される運転停止を表す信号を受信し、インバータ18が停止されたことを把握する。
【0357】
ステップS610にて、ウォータポンプ64、ファン90、及び空調装置80を停止させる。
【0358】
コントローラ30Aは、ステップS610の処理が完了すると、ステップS612に進む。
【0359】
ステップS612にて、コントローラ30Aは、コントローラ30Eを通じて、DC-DCコンバータ44を停止させる。
【0360】
コントローラ30Aは、DC-DCコンバータ44の停止を確認すると、ステップS614に進む。コントローラ30Eを通じて、DC-DCコンバータ44から出力される運転停止を表す信号を受信し、DC-DCコンバータ44が停止されたことを把握する。
【0361】
ステップS614にて、コントローラ30Aは、コントローラ30Dを通じて、車載充電器70に対して蓄電装置19の充電禁止指令を出力する。
【0362】
尚、充電口72Bに充電ケーブルが接続されている場合、本ステップでは、コントローラ30Aは、外部電源(充電スタンド)側に蓄電装置19の充電の禁止(中止)を要求する信号を出力してよい。
【0363】
コントローラ30Aは、車載充電器70に充電禁止が反映されたことを確認すると、ステップS616に進む。例えば、コントローラ30Aは、コントローラ30Dを通じて、車載充電器70から出力される充電禁止状態を表す信号を受信することにより、車載充電器70の充電禁止状態を把握する。
【0364】
ステップS616にて、コントローラ30Aは、コントローラ30Dを通じて、システムメインリレーを遮断し、蓄電装置19の電力供給系統から切り離す。
【0365】
コントローラ30Aは、蓄電装置19が電力供給系統から切り離されたことを確認すると、ステップS618に進む。例えば、コントローラ30Aは、コントローラ30Dを通じて、蓄電装置19から入力される蓄電装置19の電圧の測定結果を示す信号を受信することにより、蓄電装置19が電力供給系統から切り離された状態であることを把握する。
【0366】
ステップS618にて、コントローラ30Aは、制御装置30の全ての制御処理を停止させる。
【0367】
コントローラ30Aは、ステップS618の処理が完了すると、ステップS620に進む。
【0368】
ステップS620にて、コントローラ30Aは、キースイッチがオフされたか否かを判定する。キースイッチがオフされていない場合、キースイッチがオフされるまで本ステップの処理を繰り返し、キースイッチがオフされた場合、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0369】
尚、緊急停止処理では、油圧駆動系の停止、並びに電気駆動系及び蓄電系の停止のうちの何れか一方だけが実施されてもよい。油圧駆動系の停止だけが行われる場合、ステップS604~ステップS618の処理が省略されてよい。また、電気駆動系及び蓄電系の停止だけが行われる場合、ステップS602の処理が省略される。
【0370】
図21に戻り、コントローラ30Aは、ステップS512の処理、即ち、図22のフローチャートが終了すると、ステップS508に進む。
【0371】
このように、本例では、コントローラ30Aは、ショベル100の稼働中に充電ケーブルが充電口72に接続された場合、油圧アクチュエータを動作不可の状態に移行させる。
【0372】
これにより、コントローラ30Aは、充電ケーブルが充電口に接続された状態でのショベル100の作業の継続を実質的に禁止することができる。そのため、例えば、ショベル100の稼働中に、第三者が充電口72に充電ケーブルを接続し、キャビン10のユーザ(オペレータ)が気づいていないような場合に、ショベル100が作業を継続してしまうような状況を回避させることができる。よって、例えば、ショベル100が作業を継続し、充電ケーブルが破断したり、充電ケーブルが引きずられてショベル100の周辺に影響を及ぼしたりするような事態を回避し、電動式のショベル100の安全性を向上させることができる。
【0373】
また、本例では、コントローラ30Aは、ショベル100の稼働中に充電ケーブルが充電口72に接続された場合、ポンプ用電動機12を停止させてよい。
【0374】
これにより、ショベル100は、メインポンプ14を停止させ、具体的に、油圧アクチュエータの動作を動作不可の状態に移行させることができる。
【0375】
また、コントローラ30Aは、ショベル100の稼働中に所定のケーブルが充電口72に接続された場合、パイロットポンプ15(パイロットポンプ15が省略される場合は、メインポンプ14)から油圧制御弁31への作動油の供給を遮断してよい。
【0376】
これにより、ショベル100は、パイロットポンプ15やメインポンプ14から油圧制御弁31へのパイロット圧の供給が停止させ、具体的に、油圧アクチュエータの動作を動作不可の状態に移行させることができる。
【0377】
出力装置50は、コントローラ30Aの制御下で、油圧アクチュエータが動作不可の状態に移行する理由をユーザに通知してよい。
【0378】
これにより、ショベル100は、ユーザに対して、充電ケーブルが接続されたことにより、油圧アクチュエータが動作不可の状態に移行することを認識させることができる。
【0379】
[充電モードの立ち上げ及び立ち下げに関する制御処理]
次に、図23図24を参照して、充電モードの立ち上げ及び立ち下げに関する制御処理について説明する。
【0380】
図23は、ショベル100の充電モードの立ち上げ及び立ち下げに関する制御処理の一例を概略的に示すフローチャートである。図24は、充電モードの強制終了処理の一例を概略的に示すフローチャートである。
【0381】
尚、図23図24は、充電口72Aに充電ケーブルが接続された場合の緊急停止処理のフローチャートである。
【0382】
図23のフローチャートは、例えば、ショベル100の停止中、即ち、キースイッチがオフ状態で、充電ケーブルが充電口72に接続されると開始される。また、図23のフローチャートは、例えば、キースイッチがオフ状態、且つ、アクセサリスイッチがオフ状態で、充電ケーブルが充電口72に接続されると開始されてもよい。アクセサリスイッチは、制御装置30以外の所定の低電圧機器とバッテリ46との間の電力経路に設けられ、オンされることで、ショベル100の停止中における低電圧機器へのバッテリ46やDC-DCコンバータ44からの電力供給を可能にする。
【0383】
図23に示すように、ステップS702にて、コントローラ30Aは、ショベル100の充電モードの立ち上げ処理を開始する。ショベル100の充電モードは、充電ケーブルを通じて、蓄電装置19の充電を行うための制御モードである。
【0384】
コントローラ30Aは、ステップS702の処理が完了すると、ステップS704に進む。
【0385】
ステップS704にて、コントローラ30Aは、充電モードの立ち上げ処理が完了したか否かを判定する。コントローラ30Aは、充電モードの立ち上げ処理が完了していない場合、ステップS706に進み、完了している場合、ステップS708に進む。
【0386】
ステップS706にて、コントローラ30Aは、充電モードの立ち上げを中止する条件(以下、「立ち上げ中止条件」)が成立しているか否かを判定する。立ち上げ中止条件は、例えば、コントローラ30Dを通じて、車載充電器70から異常を表す信号を受信していることを含む。コントローラ30Aは、立ち上げ中止条件が成立していない場合、ステップS704に戻り、立ち上げ中止条件が成立している場合、ステップS732に進む。
【0387】
尚、充電口72Bに充電ケーブルが接続されている場合、本ステップの立ち上げ中止条件は、例えば、コントローラ30Dを通じて、外部電源(充電スタンド)側から異常を表す信号を受信していることを含んでよい。
【0388】
一方、ステップS708にて、コントローラ30Aは、充電モードに移行する。
【0389】
コントローラ30Aは、ステップS708の処理が完了すると、ステップS710に進む。
【0390】
ステップS710にて、コントローラ30Aは、車載充電器70の異常があるか否かを判定する。具体的には、コントローラ30Aは、コントローラ30Dを通じて、車載充電器70から出力される異常を表す信号が受信しているか否かを判定してよい。コントローラ30Aは、車載充電器70の異常がない場合、ステップS712に進み、車載充電器に異常がある場合、ステップS732に進む。
【0391】
尚、充電口72Bに充電ケーブルが接続されている場合、本ステップでは、コントローラ30Aは、コントローラ30Dを通じて、外部電源(充電スタンド)側からの異常を表す信号を受信しているか否かを判定してよい。
【0392】
ステップS712にて、コントローラ30Aは、キースイッチがオフ状態か否かを判定する。コントローラ30Aは、キースイッチがオフ状態の場合、ステップS714に進み、キースイッチがオン状態の場合、ステップS732に進む。
【0393】
ステップS714にて、コントローラ30Aは、充電開始準備を行う。具体的には、コントローラ30Aは、コントローラ30Dを通じて、システムメインリレーを接続状態に移行させてよい。また、コントローラ30Aは、出力装置50を通じて、ユーザに充電が開始される旨の通知を行ってよい。
【0394】
コントローラ30Aは、ステップS714の処理が完了すると、ステップS716に進む。
【0395】
ステップS716にて、コントローラ30Aは、充電開始条件が成立しているか否かを判定する。充電開始条件には、例えば、キースイッチがオフ状態であることが含まれる。また、充電開始条件には、例えば、車載充電器70がスタンバイ状態であることが含まれる。例えば、コントローラ30Aは、コントローラ30Dを通じて、車載充電器70からの現在の状態を表す信号を受信することにより、車載充電器70の状態を把握する。また、充電開始条件には、DC-DCコンバータ44からバッテリ46への充電が完了し、バッテリ46が満充電であることが含まれる。例えば、コントローラ30Aは、コントローラ30Eを通じて、センサ48の出力を受信することにより、バッテリ46の電圧状態を把握する。また、充電開始条件には、蓄電装置19のシステムメインリレーが接続されていることが含まれる。例えば、コントローラ30Aは、コントローラ30Dを通じて、システムメインリレーを経路内に含む蓄電装置19の電圧の測定結果を表す信号を受信することにより、システムメインリレーの接続状態を把握することができる。コントローラ30Aは、充電開始条件が成立している場合、ステップS718に進み、成立していない場合、ステップS732に進む。
【0396】
尚、充電口72Bに充電ケーブルが接続されている場合、充電開始条件には、車載充電器70に関する条件に代えて、外部電源(充電スタンド側)の状態に関する条件が含まれてよい。
【0397】
ステップS718にて、コントローラ30Aは、蓄電装置19の充電を開始させる。具体的には、コントローラ30Aは、コントローラ30Dを通じて、車載充電器70に充電開始の指令を出力する。また、コントローラ30Aは、ウォータポンプ64及びファン90を作動させる。これにより、蓄電装置19及び車載充電器70の発熱による温度上昇を抑制することができる。
【0398】
尚、コントローラ30Aは、蓄電装置19の充電中において、温度センサ54の出力に基づき、冷却対象の機器(蓄電装置19や車載充電器70等)の温度状態を把握しながら、ウォータポンプ64やファン90の作動・停止を切り換えてよい。
【0399】
コントローラ30Aは、ステップS718の処理が完了すると、ステップS720に進む。
【0400】
ステップS720にて、コントローラ30Aは、充電中止条件が成立しているか否かを判定する。例えば、充電中止条件には、キースイッチがオン状態であることが含まれる。また、例えば、充電中止条件には、他のコントローラ(コントローラ30B~30E等)。の異常を表す信号を受信したことが含まれる。コントローラ30Aは、充電中止条件が成立していない場合、ステップS722に進み、充電中止条件が成立している場合、ステップS732に進む。
【0401】
ステップS722にて、コントローラ30Aは、充電終了条件が成立しているか否かを判定する。例えば、充電終了条件には、蓄電装置19の充電状態(SOC:State Of Charge)が予め規定される目標値(目標充電量)に到達したことが含まれる。目標充電量は、例えば、満充電を表す100パーセントであってもよいし、手動或いは自動で適宜設定される満充電よりも低い充電量(例えば、80パーセント)であってもよい。例えば、コントローラ30Aは、コントローラ30Dから蓄電装置19の電圧の計測結果に基づく充電状態の演算結果を表す信号を受信することにより、蓄電装置19の充電状態を把握する。また、充電終了条件には、例えば、充電ケーブルが充電口72から取り外されたことが含まれてもよい。コントローラ30Aは、充電終了条件が成立している場合、ステップS724に進み、成立していない場合、ステップS720に戻る。
【0402】
ステップS724にて、コントローラ30Aは、ウォータポンプ64、ファン90、及び空調装置80を停止させる。
【0403】
コントローラ30Aは、ステップS724の処理が完了すると、ステップS726に進む。
【0404】
ステップS726にて、コントローラ30Aは、蓄電装置19の充電終了の準備を行う。具体的には、コントローラ30Aは、車載充電器70にスタンバイ状態への移行の制御指令を出力してよい。また、コントローラ30Aは、DC-DCコンバータ44に動作停止の制御指令を出力してよい。
【0405】
コントローラ30Aは、車載充電器70がスタンバイ状態への移行、及びDC-DCコンバータ44の動作停止を確認すると、ステップS728に進む。
【0406】
ステップS728にて、コントローラ30Aは、コントローラ30Dを通じて、システムメインリレーを遮断し、蓄電装置19の電力供給系統から切り離す。
【0407】
コントローラ30Aは、蓄電装置19が電力供給系統から切り離されたことを確認すると、ステップS730に進む。
【0408】
ステップS730にて、コントローラ30Aは、蓄電装置19のコントローラ30Dを停止させる。
【0409】
コントローラ30Aは、ステップS730の処理が完了すると、ステップS734に進む。
【0410】
一方、ステップS732にて、コントローラ30Aは、充電モードの強制終了処理を行う。具体的には、図24のフローチャートに移行する。
【0411】
図24に示すように、ステップS802にて、コントローラ30Aは、出力装置50を通じて、ショベル100の充電モードが強制終了される旨を理由と併せてユーザに通知する。また、コントローラ30Aは、充電モードの強制終了から復帰するためには、一度、キースイッチをオフする必要があること(ステップS812参照)を併せて通知してもよい。また、コントローラ30Aは、ショベル100が遠隔操作される場合や遠隔監視される場合、通信装置を通じて、ショベル100が緊急停止される旨等を表す信号を外部装置に送信してもよい。
【0412】
コントローラ30Aは、ステップS802の処理が完了し一定時間が経過すると、ステップS804に進む。
【0413】
ステップS804にて、ウォータポンプ64、ファン90、及び空調装置80を停止させる。
【0414】
コントローラ30Aは、ステップS804の処理が完了すると、ステップS806に進む。
【0415】
ステップS806にて、コントローラ30Aは、コントローラ30D,30Eを通じて、車載充電器70及びDC-DCコンバータ44に対して蓄電装置19及びバッテリ46の充電禁止指令を出力する。
【0416】
尚、充電口72Bに充電ケーブルが接続されている場合、本ステップでは、コントローラ30Aは、外部電源(充電スタンド)側に蓄電装置19の充電の禁止(中止)を要求する信号を出力してよい。
【0417】
コントローラ30Aは、車載充電器70に充電禁止が反映されたことを確認すると、ステップS808に進む。
【0418】
ステップS808にて、コントローラ30Aは、コントローラ30Dを通じて、システムメインリレーを遮断し、蓄電装置19の電力供給系統から切り離す。
【0419】
コントローラ30Aは、蓄電装置19が電力供給系統から切り離されたことを確認すると、ステップS810に進む。
【0420】
ステップS810にて、コントローラ30Aは、蓄電装置19のコントローラ30Dを停止させる。
【0421】
コントローラ30Aは、ステップS810の処理が完了すると、ステップS812に進む。
【0422】
ステップS812にて、コントローラ30Aは、キースイッチがオフされたか否かを判定する。キースイッチがオフされていない場合、キースイッチがオフされるまで本ステップの処理を繰り返し、キースイッチがオフされた場合、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0423】
図23に戻り、コントローラ30Aは、ステップS732の処理、即ち、図24のフローチャートが終了すると、ステップS734に進む。
【0424】
ステップS734にて、コントローラ30Aは、充電モードの立ち下げ処理を行う。
【0425】
コントローラ30Aは、ステップS734の処理が完了すると、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0426】
このように、本例では、コントローラ30Aは、充電ケーブルが充電口72に接続されている場合、ユーザからポンプ用電動機12を起動させる入力(例えば、キースイッチをオンさせる入力)が受け付けられても、ポンプ用電動機12を起動させない。
【0427】
これにより、例えば、充電中にショベル100が作業を開始し、充電ケーブルが破断したり、充電ケーブルが引きずられてショベル100の周辺に影響を及ぼしたりするような事態を回避し、電動式のショベル100の安全性を向上させることができる。
【0428】
また、本例では、コントローラ30Aは、ポンプ用電動機12を起動させる入力が解除され、且つ、充電ケーブルが充電口72に接続された状態が解除された後に、充電ケーブルが充電口72に再接続される場合に、蓄電装置19の充電を開始させてよい。
【0429】
これにより、コントローラ30Aは、例えば、ユーザがキースイッチをオン操作してしまった場合に、再度、キースイッチのオフ操作及び充電口72への充電ケーブルの再接続を課すことで、ユーザの蓄電装置19への充電に対する意思を再確認することができる。そのため、コントローラ30Aは、より安全に蓄電装置19の充電を再開させることができる。
【0430】
出力装置50は、ユーザからのポンプ用電動機12を起動させる入力(例えば、キースイッチをオンさせる入力)に対して、ポンプ用電動機12が起動しない理由をユーザに通知してよい。
【0431】
これにより、ショベル100は、ユーザに対して、充電口72に充電ケーブルが接続されていることによって、ポンプ用電動機12が起動しないことを認識させることができる。
【0432】
また、本例では、コントローラ30Aは、アクセサリスイッチがオンの状態で、充電ケーブルが充電口72に接続される場合、蓄電装置19の充電を開始させてよい。
【0433】
これにより、コントローラ30Aは、蓄電装置19の充電開始時に、ショベル100の低電圧機器(例えば、後述の空調装置80やラジオ等)を作動させることができる。
【0434】
[蓄電装置の充電中における空調装置の使用に関する制御処理]
次に、図25図26を参照して、蓄電装置19の充電中における空調装置の使用に関する制御処理について説明する。
【0435】
<制御処理の第1例>
図25は、蓄電装置19の充電中における空調装置80の使用に関する制御処理の第1例を概略的に示すフローチャートである。
【0436】
本フローチャートは、蓄電装置19が充電中で、且つ、アクセサリスイッチがオンされている場合に実施される。アクセサリスイッチは、蓄電装置19が充電中になる前の状態からオンされている場合であってもよいし、蓄電装置19が充電中になった後に、オンされた場合であってもよい。以下、後述の図26のフローチャートについても同様である。
【0437】
図25に示すように、ステップS902にて、コントローラ30Aは、空調装置80の電源をオンする。これにより、空調装置80は、キャビン10のユーザ(オペレータ)からの入力に応じて動作することができる。
【0438】
コントローラ30Aは、ステップS902の処理が完了すると、ステップS904に進む。
【0439】
ステップS904にて、コントローラ30Aは、アクセサリスイッチがオフされたか否かを判定する。コントローラ30Aは、アクセサリスイッチがオフされていない場合、ステップS906に進み、オフされた場合、ステップS908に進む。
【0440】
ステップS906にて、コントローラ30Aは、蓄電装置19の充電が完了したか否かを判定する。コントローラ30Aは、蓄電装置19の充電が完了している場合、今回のフローチャートの処理を終了し、完了していない場合、ステップS904に進む。
【0441】
一方、ステップS908にて、コントローラ30Aは、空調装置80の電源をオフする。
【0442】
コントローラ30Aは、ステップS908の処理が完了すると、今回のフローチャートを終了する。
【0443】
このように、本例では、コントローラ30Aは、充電ケーブルが充電口に接続されている場合、ユーザからの入力に応じて、空調装置80を動作させる。具体的には、コントローラ30Aは、アクセサリスイッチがオンの状態で、所定のケーブルが充電口に接続されている場合、ユーザからの入力に応じて、空調装置を動作させてよい。
【0444】
これにより、蓄電装置19の充電中に、キャビン10内で過ごすユーザの快適性や利便性を向上させることができる。
【0445】
<制御処理の第2例>
図26は、蓄電装置19の充電中における空調装置80の使用に関する制御処理の第2例を概略的に示すフローチャートである。
【0446】
図26に示すように、ステップS1002,S1004,S1006の処理は、図25のステップS902,S904,S906と同じであるため、説明を省略する。
【0447】
ステップS1004にて、コントローラ30Aは、アクセサリスイッチがオフ状態でない場合、ステップS1006に進み、オフ状態である場合、ステップS1020に進む。
【0448】
ステップS1006にて、コントローラ30Aは、蓄電装置19が充電完了していない場合、ステップS1008に進み、充電完了している場合、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0449】
ステップS1008にて、コントローラ30Aは、蓄電装置19の充電量(SOC)が減少しているか否かを判定する。例えば、コントローラ30Aは、コントローラ30Dを通じて、蓄電装置19の電圧の計測結果から演算される充電量(SOC)を逐次受信することにより、蓄電装置19の充電量の変化を把握する。コントローラ30Aは、蓄電装置19の充電量が減少している場合、ステップS1010に進み、充電量が減少していない場合、ステップS1004に戻る。
【0450】
ステップS1010にて、コントローラ30Aは、空調装置80の動作制限を行う。これにより、蓄電装置19からDC-DCコンバータ44を通じて空調装置80に供給される電力を減少させることができる。
【0451】
コントローラ30Aは、ステップS1010の処理が完了すると、ステップS1012に進む。
【0452】
ステップS1012にて、コントローラ30Aは、アクセサリスイッチがオフ状態であるか否かを判定する。コントローラ30Aは、アクセサリスイッチがオフ状態でない場合、ステップS1014に進み、アクセサリスイッチがオフ状態である場合、ステップS1020に進む。
【0453】
ステップS1014にて、コントローラ30Aは、蓄電装置19が充電完了したか否かを判定する。コントローラ30Aは、蓄電装置19が充電完了していない場合、ステップS1016に進み、充電完了している場合、今回のフローチャートの処理を終了する。
【0454】
ステップS1016にて、コントローラ30Aは、蓄電装置19の充電量(SOC)が所定基準を超える速度で増加しているか否かを判定する。コントローラ30Aは、蓄電装置19の充電量が所定基準を超える速度で増加している場合、ステップS1018に進み、それ以外の場合、ステップS1012に戻る。
【0455】
ステップS1018にて、コントローラ30Aは、空調装置80の動作制限を解除する。
【0456】
コントローラ30Aは、ステップS1018の処理が完了すると、ステップS1004に戻る。
【0457】
一方、ステップS1020は、図25のステップS908の処理と同じであるため、説明を省略する。
【0458】
このように、本例では、コントローラ30Aは、蓄電装置19の充電中に空調装置80が稼働している状態で、蓄電装置19の充電量が減少する場合、空調装置80の動作制限を行う。
【0459】
これにより、コントローラ30Aは、空調装置80の消費電流が相対的に大きく、充電中にも関わらず、蓄電装置19の充電量が減少する状況で、空調装置80の動作制限によって、蓄電装置19の充電量を減少から増加に転じることができる。そのため、コントローラ30Aは、蓄電装置19の充電と、蓄電装置19の充電中における空調装置80の利用との両立をより適切に実現することができる。
【0460】
以上、実施形態について詳述したが、本開示はかかる特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。
【符号の説明】
【0461】
1 下部走行体(被駆動部)
1A,1B 走行油圧モータ(油圧アクチュエータ)
2A 旋回油圧モータ(油圧アクチュエータ)
3 上部旋回体(被駆動部)
3B 底部
3D,3D1,3D2,3D3 メンテナンスドア(ドア)
3H ハウス部
4 ブーム(被駆動部)
5 アーム(被駆動部)
6 バケット(被駆動部)
7 ブームシリンダ(油圧アクチュエータ)
8 アームシリンダ(油圧アクチュエータ)
9 バケットシリンダ(油圧アクチュエータ)
12 ポンプ用電動機(電動機)
14 メインポンプ(油圧ポンプ)
15 パイロットポンプ
17 コントロールバルブ(油圧制御装置)
18 インバータ
19 蓄電装置
19C ワイヤハーネス
19CV カバー
19H 筐体
19H1 収容部
19H2 蓋部
19SH サービスプラグ設置部
26 操作装置
30 制御装置
30A コントローラ
30B コントローラ
30C コントローラ
30D コントローラ
30E コントローラ
31 油圧制御弁
44 DC-DCコンバータ
46 バッテリ
50 出力装置
54 温度センサ
56 温度センサ
60 冷却装置
62 ラジエータ
64 ウォータポンプ
66 冷媒回路(循環回路)
70 車載充電器
72,72A,72B 充電口
80 空調装置
82 ヒートポンプサイクル
82A コンプレッサ
82B コンデンサ
82C 膨張弁
82D エバポレータ
90 ファン
BLT1 ボルト
BLT2 ボルト
BMD バッテリモジュール
BMU バッテリマネジメントユニット
FH11,FH12 締結孔
FH21,FH22,FH23 締結孔
T 作動油タンク
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図10
図11
図12
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図14
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図16
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図19
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