(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157913
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】ボビン糸駒保持具及びボビン糸駒保持配列方法
(51)【国際特許分類】
D05B 91/14 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
D05B91/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021062424
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】504020832
【氏名又は名称】八千代工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101605
【弁理士】
【氏名又は名称】盛田 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】野村 理恵
【テーマコード(参考)】
3B150
【Fターム(参考)】
3B150CE23
(57)【要約】
【課題】ボビンと糸駒とを連結した連結体を立てた状態で、種々の場所に配列して保持することができるとともに、ミシンによる縫合作業のガイドとしても利用できる糸駒ボビン保持具を提供する。
【解決手段】ボビン2と糸駒3とを連結して保持できるボビン糸駒保持具1であって、上記ボビンと上記糸駒とを連結した状態で、少なくとも平坦面に配置できる基部4と、この基部に立設されるとともに、上記ボビンと糸駒の中心穴に係入されて、これら部材を着脱可能に保持できる保持バー5とを備え、上記ボビンと上記糸駒を一体的に連結した状態で、これらを立設して保持できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボビンと糸駒とを連結して保持できるボビン糸駒保持具であって、
上記ボビンと上記糸駒とを連結した状態で、少なくとも平坦面に載置できる基部と、
この基部に立設されるとともに、上記ボビンと糸駒の中心穴に係入されて、これら部材を着脱可能に保持できる保持バーとを備え、
上記ボビンと上記糸駒を一体的に連結した状態で、上記基部を介してこれらを立設して保持できるボビン糸駒保持具。
【請求項2】
複数の上記糸駒保持具に係る上記複数の基部を隣接して平坦面に載置した状態で、隣接する基部に保持されたボビン及び糸駒が互いに干渉しないように上記基部が構成されている、請求項1又は請求項2に記載のボビン糸駒保持具。
【請求項3】
上記基部に、磁性を有する部材又は部位に吸着させる磁石を設けた、請求項1又は請求項2に記載のボビン糸駒保持具。
【請求項4】
上記磁石は、隣接して載置される基部同士を磁力によって吸着して連結保持できるように構成されている、請求項3に記載のボビン糸駒保持具。
【請求項5】
上記基部は、上記磁石によって、ミシンの針板又はその近傍に吸着できるように構成されているとともに、
上記針板上を移動する縫合対象物の縁部を案内できるガイド部を備える、請求項3又は請求項4に記載のボビン糸駒保持具。
【請求項6】
上記磁石は、上下面に異なる磁極が付与されている、請求項3から請求項5のいずれか1項に記載のボビン糸駒保持具。
【請求項7】
上記磁石は、周方向に、1組又は複数組の異なる磁極が付与されている、請求項3から請求項5のいずれか1項に記載のボビン糸駒保持具。
【請求項8】
2以上のボビン糸駒保持具を隣接して位置させた場合、所定長さで互いに対接する対接部が設けられているとともに、
上記対接部に沿って、円柱状の磁石が径方向に回転可能に保持されており、
上記磁石は、径方向に相対して両磁極が付与されている、請求項3から請求項5のいずれか1項に記載のボビン糸駒保持具。
【請求項9】
上記ガイド部は、上記ミシンの針板面から所定高さで立ち上がるガイド面を備えて構成されている、請求項5に記載のボビン糸駒保持具。
【請求項10】
2以上のボビン糸駒保持具を隣接して位置させた場合、隣接して位置させられる上記基部に、互いに嵌合して位置決めできる位置決め連結部が形成されている、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載のボビン糸駒保持具。
【請求項11】
上記保持バーの先端部近傍に、上記ボビン又は糸駒の中心穴の内周部に弾性的に当接して、これら部材の脱落を阻止する保持部が形成されている、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載のボビン糸駒保持具。
【請求項12】
ボビンと糸駒とを連結して保持するとともに、これらを規則的に配列する方法であって、
少なくとも平坦面に載置できる基部と、この基部に立設されるとともに上記ボビンと糸駒の中心穴に係入されて、これら部材を着脱可能に保持できる保持バーとを備えるボビン糸駒保持具に、上記ボビンと上記糸駒とを連結した状態で保持するとともに、
上記ボビンと上記糸駒とを立設して保持するとともに、
上記基部を隣接させることにより、上記基部を介して複数の糸駒保持具を配列する、ボビン糸駒保持配列方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願発明は、ミシンに使用されるボビン及び糸駒を保持できる、ボビン糸駒保持具に関する。詳しくは、上記ボビン及び糸駒を連結して一体的に保持できるとともに、立設して整理保管することができ、また、ミシンの針板に止着して、針板上を移動する縫合対象物をガイドすることができる、ボビン糸駒保持具及びボビン糸駒保持配列方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ミシンを用いて布を縫合する場合、上糸を繰り出す糸駒と、下糸を繰り出すボビンとが用いられる。上記ボビンは、上記糸駒の糸の一部を巻き取って保持するとともに、針板の下方の内釜に装着されて下糸を繰り出す。一方、糸駒は、ミシンのアーム上部に設けられた糸立棒に装着されて、ミシン針に上糸を供給する。上記内釜と上記ミシン針によって、上記上糸と上記下糸が、布等を挟んで係合されることにより、縫合作業が行われる。
【0003】
通常、上記上糸と上記下糸は同一の糸が用いられ、所定の糸駒から一部の糸が上記ボビンに巻き取られて用いられる。このため、所定の糸が巻回された糸駒と、この糸駒の糸を巻き取ったボビンとを別々に保管すると、上記所定の糸を用いたミシン作業を行う際、上記所定の糸に係る糸駒とボビンとを識別して取り出すのが困難になる場合があった。
【0004】
また、上記ボビンには、糸の端部を保持する機能がなく、ボビンに巻回された糸が不用意に繰り出されるという不都合もあった。
【0005】
上記不都合を回避するため、糸駒とボビンとを一体的に連結保持できる糸駒とボビンの連結保持具が提供されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記引用文献1に記載された連結保持具は、糸駒とボビンとを単に連結して保持するだけのピン状のものであり、連結した状態では全体として複雑な形態となる。また、糸駒のフランジ部分を基準に配列することも可能であるが、糸駒の寸法はメーカーによって若干異なるため、糸駒を規則的に配列して整理するのが困難であった。
【0008】
また、色や太さが異なる多種類の糸を揃えると、糸駒とボビンの数も多くなり、整列して整理する必要性が高くなるが、一体的に連結された上記形態の連結体の数が多くなると、収納や整理に支障が生じる場合があった。
【0009】
さらに、糸駒とボビンとをミシンに装着すると、これらを連結していた上記連結具は、単にピン状の形態となり、サイズも小さいため、所定の置き場所を確保しないと、紛失する恐れも高かった。
【0010】
本願発明は、ボビンと糸駒とを連結した連結体を立てた状態で、種々の場所に配列して保持することができるとともに、ミシンによる縫合作業のガイドとしても利用できる糸駒ボビン保持具を提供することを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明は、ボビンと糸駒とを連結して保持できるボビン糸駒保持具であって、上記ボビンと上記糸駒とを連結した状態で、少なくとも平坦面に載置できる基部と、この基部に立設されるとともに、上記ボビンと糸駒の中心穴に係入されて、これら部材を着脱可能に保持できる保持バーとを備え、上記ボビンと上記糸駒を一体的に連結するとともに、上記基部を介してこれらを立設して保持できるように構成される。
【0012】
上記保持バーにボビンと糸駒とを一体的に保持できるため、これら部材が離散することはない。また、同じ糸のボビンと糸駒とを一体的に管理することが可能となる。しかも、本願発明に係るボビン糸駒保持具は、少なくとも平坦面に載置できる基部を備えて構成される。上記基部には、上記ボビンと糸駒の中心穴に係入されて、これら部材を着脱可能に保持できる保持バーが立設されている。上記構成によって、上記ボビンと糸駒とを、平坦面に立設して保持することが可能となり、保管が容易になるとともに、保持スペースを削減できる。また、ミシンでボビンと糸駒とを使用している際にも、ボビン糸駒保持具自体を平坦面に立設できるため紛失するのを防止できる。
【0013】
複数のボビン糸駒保持具の基部を隣接して平坦面に載置した状態で、隣接する基部に保持されたボビン及び糸駒が互いに干渉しないように構成するのが好ましい。すなわち、平坦面に載置した複数の基部を接触させても、隣接して保持される糸駒やボビンが接触することがないように、上記基部の外形形態を上記糸駒及びボビンの外形形態より大きく構成するのが好ましい。この構成により、糸駒の大きさが多少異なっても、上記糸駒の外形ではなく、上記基部の形態を基準としてボビン及び糸駒を規則的に整列して整理することが可能となる。たとえば、基部を正方形板状に形成して、各辺を接触するように構成すると、ボビン及び糸駒を縦横に配列して整理できる。この構成によって、糸駒の寸法が異なっても、糸の色や太さに応じて各ボビン及び糸駒を整列させて管理することが可能となる。
【0014】
また、上記基部を、平坦面以外の部位あるいは部材に連結保持できるように構成することもできる。たとえば、上記基部の形態に対応するとともにこれを収容保持できる凹部が形成された部材に、上記ボビンと糸駒を保持した状態、あるいはこれら部材を保持しない状態で立設して、整列保持するように構成することもできる。上記構成を採用することにより、ボビン及び糸駒を保持させた、あるいは保持していない多数の保持具を、配列保持することが可能となる。しかも、上記配列して整理された状態から、一のボビン糸駒保持具を分離しても、上記ボビンと上記糸駒とは一体的に連結されているため、保管場所がミシン作業を行う場所から離れていても、上記ボビンと上記糸駒を一体的に取り出して搬送し、また、もとの配列位置に戻すこともできる。このため、ボビン及び糸駒の管理がきわめて容易になる。
【0015】
上記基部の形態は特に限定されることはないが、上記ボビンと糸駒を保持した状態で、平坦面上に規則的に配列できるように構成するのが望ましい。たとえば、平面視正方形や正三角形、正六角形等の板状形態を採用するのが望ましい。
【0016】
上記保持バーの形態も限定されることはない。少なくとも、上記ボビンと上記糸駒の中心穴に係入して保持できるように構成されていればよい。また、一本の部材から構成する必要もなく、たとえば、所定の隙間を開けて対向するように立設された複数の棒状部材から上記保持バーを構成し、これらバーの間隔を狭めるように弾性変形させて、上記ボビン及び糸駒の中心穴に通挿するように構成することもできる。
【0017】
上記基部に、磁性を有する部材又は部位に吸着させる磁石を設けることができる。上記磁石を設けることにより、上記基部を所定の部位に着脱可能に配列して保持させることが可能となる。たとえば、ホワイトボードのような磁性を有する板材に保持させることができる。また、フレームが金属製のミシンであれば、ボビンと糸駒を使用している際に、ミシンの適部に吸着保持させることもできる。
【0018】
さらに、上記磁石を、隣接して載置される基部同士を磁力によって吸着して連結保持できるように構成することができる。すなわち、平坦面上で隣接させた上記基部自体が吸着し合うように構成することにより、複数のボビン糸駒保持具を一体的に連結して管理することが可能となり、整理保管を極めて容易に行うことができる。
【0019】
布の縁部を縫合する場合、縁から一定の間隔で縫い目を形成するためのガイド部材が提供されている。本願発明に係るボビン糸駒保持具の上記基部を、上記磁石によって、ミシンの針板又はその近傍に吸着できるように構成するとともに、上記針板上を移動する縫合対象物の縁部を案内できるガイド部を設けることができる。
【0020】
上記構成を採用すると、ボビンと糸駒の使用中に、ボビン糸駒保持具を上記ガイド部材として使用することが可能になる。また、ボビンと糸駒が装着されていないボビン糸駒保持具の保管場所を考慮する必要がなくなり、利便性が格段に高まる。
【0021】
上記ガイド部は、上記ミシン針板面から所定高さで立ち上がるガイド面を備えて構成するのが好ましい。上記ガイド面を設けることにより、縫合対象物の縁部を上記ガイド面にガイドさせながら縫合することが可能となり、見栄えのよい縫い目を形成できる。
【0022】
上記磁石の形態や磁力の付与形態は特に限定されることはない。たとえば、上記磁石を、円板状に形成するとともに、上下面に異なる極性が付与されたものを採用できる。また、上記磁石を、周方向に、1組又は複数組の異なる極性が付与されたものを採用できる。
【0023】
上記磁石を採用することにより、磁性を有する載置面に対して上記基部を吸着させ、ボビン及び糸駒を立設した状態で保持することが可能となる。また、磁力によっ吸着されるため、傾斜面や垂直面に保持させることも可能となる。
【0024】
一方、隣接する基部を互いに吸着させるには、対接する部分において異なる磁極を相対向するように載置する必要がある。基部に対して磁石の磁極を固定した場合、対接させる縁部の組み合わせを考慮する必要がある。たとえば、板状磁石の上下面に異なる磁極を付与した場合、基部に対して上下を同じ磁極に設定した基部同士は、磁力によって反発しあって互いに吸着することはない。この場合、上下で異なる磁極を有するように磁石を配置した複数の基部を準備することができる。同様に、周方向に異なる磁極を付与した場合も、対向する部分において基部が互いに吸着する基部を備えるボビン糸駒保持具が提供される。
【0025】
基部をいずれの対接部においても吸着させるために、2以上のボビン糸駒保持具を隣接して位置させた場合、所定長さで互いに対接する対接部を設け、上記対接部に沿って、円柱状の磁石を径方向に回転可能に保持し、上記磁石に、径方向に相対して両磁極を付与したものを採用することができる。
【0026】
上記構成を採用すると、上記円筒状の磁石が基部内で回転できるため、互いに吸着し合う磁極が自動的に設定される。この構成によって、隣接する基部を、いずれの方向からも吸着し合うように構成することができる。また、上記円柱状の磁石は、載置面に対しても磁力を及ぼすため、磁極体の載置面に対する吸着力を確保することもできる。
【0027】
2以上のボビン糸駒保持具を隣接して位置させた場合、隣接して位置させられる上記基部に、互いに嵌合して位置決めできる位置決め連結部を形成することができる。たとえば、互いに嵌合する凹凸を設けて上記位置決め連結部を構成できる。上記構成を採用することにより、隣接する基部同士を互いに規則的に連結することが可能となり、複数のボビン糸駒保持具を一体的に管理することができる。なお、上記位置決め連結部を磁石によって連結保持するように構成することもできるし、弾性等によって機械的に連結するように構成することもできる。
【0028】
上記保持バーの先端部近傍に、上記ボビン又は糸駒の中心穴の内周部に弾性的に当接して、これら部材の脱落を阻止する保持部を形成するのが望ましい。たとえば、上記ボビン及び糸駒の中心穴の内周部に弾性的に当接できる弾性部材を設けることができる。また、上記保持バーの先端部分に、ゴム等の容易に弾性変形する材料から形成された保持部を設けることができる。また、上記保持バーの先端部分を曲折して上記ボビン又は糸駒の中心穴の内周部に弾性的に当接する保持部を構成できる。たとえば、上記中心穴に通挿される複数の棒状部材から上記保持バーを構成し、上記棒状部材の先端部分を外方に膨出させて、上記ボビン及び糸駒の内周面に弾性的に当接するように構成できる。
【発明の効果】
【0029】
ボビンと糸駒とを連結した連結体を立てた状態で保持することができるとともに、糸駒の大きさが多少異なっても規則的に配列して整理することができる。また、ミシン使用時において、上記ボビンと糸駒が取り外された連結保持具を、ミシン作業における縫合物の縫い目のガイドとして利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本願発明の一実施形態に係るボビン糸駒保持具の使用状態を示す分解斜視図である。
【
図2】ボビンと糸駒を装着したボビン糸駒保持具の正面図である。
【
図7】周方向に異なる磁極を付与した磁石の斜視図である。
【
図8】周方向に異なる磁極を付与した磁石の斜視図である。
【
図9】上下面で異なる磁極を付与した磁石の斜視図である。本願発明に係るホビン糸駒保持具に採用できる磁石の磁極を示す斜視図である。
【
図10】本願発明に係るボビン糸駒保持具をミシンのガイド部材として使用する状態を示す斜視図である。
【
図11】本願発明の第1の実施形態に係るボビン糸駒保持具の分解斜視図である。
【
図12】複数のボビン糸駒保持具を連結した状態を示す斜視図である。
【
図13】本願の他の実施形態に係るボビン糸駒保持具の使用状態を示す分解斜視図である。
【
図14】
図13に示すボビン糸駒保持具にボビンと糸駒を装着した状態を示す斜視図である。
【
図20】
図13に示すホビン糸駒保持具に装着した磁石の機能を示すXXーXXに沿う断面図である。
【
図21】
図13に示すボビン糸駒保持具を複数連結した状態を示す斜視図である。
【
図22】本願発明に係るボビン糸駒保持具を専用の収容ケースに配列した状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
以下、本願発明に係るボビン糸駒保持具を具体的に説明する。
【0032】
図1に示すように、本願発明に係るボビン糸駒保持具1は、板状の基部4と、この基部4の中央から立ち上がる保持バー5とを備えて構成されている。上記保持バー5を、ボビン2及び糸駒3の中心穴2a,3aに連通挿することにより、
図2に示すように、上記ボビン2と上記糸駒3とを、一体的に連結した状態で保持できるように構成されている。
【0033】
図3から
図6に示すように、上記基部4は、所定の厚みを有する四角形板状に形成されている。側部には、平坦面からなる一対のガイド部9,9と、凹凸が形成された一対の位置決め連結部8,8とを備える。
【0034】
上記一対のガイド部9,9は、底面から直角に立ち上がる平坦面状に形成されている。
図10に示すように、ミシン作業においては、上記糸駒3をミシンアーム部31の上方に設けられた糸立棒に回転可能に装着する一方、上記ボビン2は、針板34の下部に設けられた内釜に装着される。上記糸駒から針35に上糸が供給されるとともに、上記ボビン2から下糸が供給され、上記上糸と上記下糸が、布等を挟んで針35によって係合されることにより、縫合作業が行われる。
【0035】
上記位置決め連結部8,8は、互いに嵌合して相対位置を保持できる凹凸8a,8bを備えて形成されている。上記凹凸8a,8bを嵌合させることにより、
図12に示すように、複数のボビン糸駒保持具1を整列して載置できるように構成されている。
【0036】
上記保持バー5は、上記基部4の中央部から対向して立ち上がる一対の棒状部5a,5bから形成されている。上記棒状部5a,5bは、先端部分6a,6bが所定の隙間を開けて対向するように構成される一方、基端部側が直線状に接触する形態を備えている。上記保持バーは、先端部分6a,6bがボビン及び糸駒の内周面に当接させられて、上記隙間が減少するように弾性変形できるように構成されている。上記構成によって、先端部分6a,6bの外面を上記ボビンと上記糸駒の中央穴の内周部に弾性的に当接させ、上記保持バー5から、これら部材が脱落するのを阻止できるように構成されている。
【0037】
また、
図1及び
図2に示すように、本実施形態に係るボビン糸駒保持具1においては、上記中央穴2a,3aに、これらから繰り出される糸の先端部分を挿入した状態で上記保持バーに保持させることができる。これにより、糸が不用意に繰り出されるのを阻止することができる。このため、上記ボビン及び糸駒の管理がより容易になる。
【0038】
図11に示すように、上記基部4は、上記保持バー5が一体形成された天板部4aと、中空状に形成された底板部4bから形成されており、上記底板部4bには、円盤状の磁石10が収容されている。上記底板部4bには、磁力が低下するのを緩和するため、円形の穴44が形成されている。上記磁石10の底面には、載置面が傷つくのを防止するシート11が貼着されている。
【0039】
磁石10の着磁形態は特に限定されることはない。たとえば、
図7に示す円盤状磁石10Aにおいて、円盤を軸に沿う平面を境にして一組の磁極S,Nを形成することができる。また、
図8に示す磁石10Bのように、円盤を周方向に4分割して、2組の磁極S,Nを交互に形成してもよい。また、
図9に示す磁石10Cのように、円盤の厚み方向に分割して上下に一組の磁極S,Nを形成することもできる。
【0040】
上記構成の磁石を採用すると、磁性体からなる平坦面に上記基部を吸着保持することが可能となる。また、磁性を有する面であれば、傾斜面や垂直面にも上記ボビン糸駒保持具を保持させることができる。特に、ミシンのフレーム等に鉄等の磁性体が採用されている場合は、上記フレームの適部に上記基4を吸着保持させることができる。これにより、ミシン作業の利便性が高まる。また、多数のボビン及び糸駒を管理するのも容易になる。
【0041】
さらに、隣接する基部同士が吸着するように磁極を設定し、基部同士を連結して保持するように構成することがでる。たとえば、
図7に示す磁石を
図1に示す実施形態に適用すると、複数のボビン糸駒保持具を直線状に整列して一体的に保持できる。また、
図8に示す形態に磁極を設定すると、複数のボビン糸駒保持具を縦横に整列して保持することができる。また、
図9に磁石を採用した場合、上下の磁極が異なるように設定した基部同士を吸着させて保持することが可能となる。多数のボビン糸駒保持具を整列させて保持することにより、整理や管理を容易に行うことができる。
【0042】
【0043】
本実施形態では、基部24に、2以上のボビン糸駒保持具を隣接して位置させた場合、所定長さで互いに対接する対接部29を設けるとともに、上記対接部29に沿って、円柱状の磁石20を径方向に回転可能に保持し、この磁石20に、径方向に相対して両磁極を付与する構成を採用している。
【0044】
本実施形態では、上記基部24は、平面視正方形状の板状に形成されており、上記基部24方の側面が、上記対接部29とガイド部とを兼用できるように構成している。なお、保持バー5の構成は、上記実施形態と同様であるので説明は省略する。
【0045】
図15に示すように、上記基部24は、上記保持バー5が形成された天板部24aと、上記磁石20が保持される基板部24bとを備えて構成される。上記天板部24aは、正方形板状に形成されており、上面中央部から上記保持バー5が一体的に立設成形されている。
【0046】
上記基板部24bは、所定の厚みを有する中空の正方形板状に形成されており、各辺の中央部に、上記磁石20を保持する凹部22が形成されている。上記凹部22は、上記磁石20が軸周りに回転できるように、上記磁石20の寸法より若干大きく形成されている。
【0047】
図15及び
図20に示すように、本実施形態に係る磁石20は、円柱状に形成されており、軸を含む平面の両側に、径方向に相対する磁極S,Nが形成されている。上記磁石20を上記凹部22に収容するとともに、連結しようとする対接部29,29を近接させると、磁石20,20が、磁極が吸着する方向に回転させられる。この構成によって、
図21に示すように、いずれの対接部を近接させても、磁力による吸引力が作用して複数のボビン糸駒保持具101を縦横に整列した状態で連結保持することが可能となる。したがって、整列方向が規制されたり、磁極が異なる複数の基部を設定する必要がなくなる。
【0048】
また、複数のボビン糸駒保持具を縦横に規則的に整列して保持することが可能となり、多数のボビン糸駒保持具の整理及び管理を容易に行うことができる。
【0049】
また、本実施形態では、上記基部24を正方形状に形成して四方の辺に対接部29を設けるとともに、これら対接部29を
図10に示す実施形態と同様に、ガイド部としても利用できるように構成している。
【0050】
図22に、上述した実施形態に係るボビン糸駒保持具を、より確実に整理して保持できる保持ケース31を示す。
【0051】
上記保持ケース31は、上述した実施形態の基部4,24を収容できる枠状の収容凹部32が、板状部材の片面に形成されている。実施形態では、正方形枠によって上記収容凹部32が配列されており、上記収容凹部32に基部4,24を挿入することにより、ボビン糸駒保持具1.101を規則的に配列して整理することができる。また、ボビン2と糸駒3を保持していないボビン糸駒保持具1,101を収容することもできる。
【0052】
上記構成によって、複数のボビン糸駒保持具を配列して整理することができるとももに、一体的に搬送することができるため、ボビン及び糸駒の管理をより容易に行うことができる。また、上記保持ケース31を傾斜した状態や、垂直面に沿って保持することもできるため、多数のボビン及び糸駒を、利用形態に応じて管理することができる。
【0053】
なお、上記保持ケース31は、上記凹部32の形態によって、基部4,24を保持できるように構成することもできるし、底面に鉄板等を内蔵して磁石の吸引力によって保持するように構成することもできる。
【0054】
また、基部の形態も特に限定されることはなく、種々の形態の基部を収容できる凹部を設けることができる。
【0055】
本願発明は、上述の実施例に限定されることはない。実施例では、円盤状、あるいは円柱状の磁石を採用したが、他の形態の磁石を採用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本願発明に係るボビン糸駒保持具によって、多数のボビン及び糸駒を整列して保持することが可能となり、これらボビン及び糸駒の整理及び管理を容易に行うことができる。
【符号の説明】
【0057】
2 ボビン
3 糸駒
1 ボビン糸駒保持具
4 基部
5 保持バー