(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157922
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】冷凍・冷蔵宅配物の配送方法
(51)【国際特許分類】
B65G 61/00 20060101AFI20221006BHJP
F25D 3/00 20060101ALI20221006BHJP
B65D 81/18 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
B65G61/00 530
F25D3/00 D
B65D81/18 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021062443
(22)【出願日】2021-03-31
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.ロックアイス
(71)【出願人】
【識別番号】518014298
【氏名又は名称】岡山 克彦
(71)【出願人】
【識別番号】518014302
【氏名又は名称】岡山 裕大
(71)【出願人】
【識別番号】521142302
【氏名又は名称】澤田 雄二
(74)【代理人】
【識別番号】100143546
【弁理士】
【氏名又は名称】押久保 政彦
(72)【発明者】
【氏名】岡山 克彦
(72)【発明者】
【氏名】岡山 裕大
(72)【発明者】
【氏名】澤田 雄二
【テーマコード(参考)】
3E067
3L044
【Fターム(参考)】
3E067AB01
3E067AB81
3E067AC03
3E067BA12A
3E067BB12A
3E067BB14A
3E067EA24
3E067FC01
3E067GA02
3E067GD01
3L044AA04
3L044BA01
3L044CA11
3L044DC01
3L044KA01
3L044KA04
(57)【要約】 (修正有)
【課題】冷凍・チルド冷蔵設備なしで宅配等の単距離物流を可能とする宅配保冷箱及びそれを用いた宅配サービス方法を提供する。
【解決手段】保存剤1の氷と食塩の濃度は2.0%~23.3%であり、保存剤1の温度がマイナス15℃以下で、外気温が30℃であるときに当該温度帯が1時間~11時間維持し、気温20℃であるときに当該温度帯が9時間~19時間維持する。一方、保存剤1の温度がマイナス15℃以上プラス5℃以下の範囲内であり、外気温30℃のときに当該温度帯が10時間~26時間維持し、外気温20℃のときに当該温度帯が10時間~40時間維持する。本実施形態の宅配物の配送方法は、氷と塩を所定の割合で配合した保存剤1を容器6内に収納し、その中に内容物4を入れ、更に箱に収納するものである。本実施形態では、容器6としてはビニール袋やアルミパウチ容器を使用している。また箱7は段ボール箱又は発泡スチロール箱が好ましい。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷凍商品又は冷蔵商品を配送する方法であって、
氷と塩を混合してなる保存剤を使用したことを特徴とする配送方法。
【請求項2】
請求項1記載の配送方法であって、
前記保存剤の容器が袋であることを特徴とする配送方法。
【請求項3】
請求項1ないし請求項2に記載の配送方法であって、
前記保存剤の濃度が2.0~23.3%であることを特徴とする配送方法。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3記載の配送方法であって、
前記保存剤の温度がマイナス15℃以下であり、外気温が30℃のときに当該温度帯が1時間~11時間維持することを特徴とする配送方法。
【請求項5】
請求項1ないし請求項3記載の配送方法であって、
前記保存剤の温度がマイナス15℃以下であり、外気温が20℃のときに当該温度帯が9時間~19時間維持することを特徴とする配送方法。
【請求項6】
請求項1ないし請求項3記載の配送方法であって、
前記保存剤の温度がマイナス5℃以上プラス5℃以下の範囲内であり、外気温30℃のときに当該温度帯が10時間~26時間維持することを特徴とする配送方法。
【請求項7】
請求項1ないし請求項3記載の配送方法であって、
前記保存剤の温度がマイナス5℃以上プラス5℃以下の範囲内であり、外気温20℃のときに当該温度帯が10時間~40時間維持することを特徴とする配送方法。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれか1項に記載の配送方法であって、
前記容器が袋状又は箱状であることを特徴とする配送方法。
【請求項9】
請求項1ないし請求項8のいずれか1項に記載の配送方法であって、
前記容器は、複数の前記容器を収納可能な袋状又は箱状の容器をさらに備えていることを特徴とする配送方法。
【請求項10】
請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の配送方法であって、
前記容器は車両に積載することを特徴とする配送方法。
【請求項11】
請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の配送方法であって、
前記容器は二輪車に積載することを特徴とする配送方法。
【請求項12】
請求項1ないし請求項9のいずれか1項に記載の配送方法であって、
前記容器はドローンに積載することを特徴とする配送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、宅配業者が宅配する生鮮食品等の宅配物について冷凍・冷蔵設備なしで単距離間の物流を可能とする冷凍・冷蔵宅配物の配送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、冷凍食品等の配送方法には、工場から卸業者(物流センター)等への大口配送、卸業者からスーパーマーケットやコンビニエンスストア等への小口配送、或いは宅配業者から購入者への個人配送が存在する。
【0003】
冷凍商品等の小口配送や個人配送においては、従来より、保冷容器としては、発砲ポリスチレンや硬質発泡ウレタンフォーム等の簡易な断熱材を用い、チャックや面ファスナ等を用いて蓋の密閉を行うものが多用されている。また、保冷容器としての保冷効果や断熱効果を高めるために、保冷容器内に予め断熱パネルが設けられているものもある。
【0004】
冷凍商品等の小口配送や個人配送においては、従来より、冷凍車、冷蔵車(チルド車)、保冷車及び常温車といった車両が使用される。配送車の中には、一台の車両に冷凍庫と冷蔵庫の双方を備えた冷凍・冷蔵車があり、一つの収納庫の温度を冷凍用や冷蔵用に切り替え可能とすることで、冷凍食品、冷蔵食品、常温食品の全ての商品について配送できるものもある。しかし、このような複合的な配送車は一般的では無く、主に冷凍食品を配送する際には、蓄冷剤の挿入された保冷容器に冷凍食品を収納した上で、この保冷容器については冷凍車を用いて配送されるのが通例である。
【0005】
このような配送方法の実態に鑑み、従来より、省コスト化の観点から、保冷を要する冷凍商品について真空断熱材を用いて構成される保冷容器の内部に収納し、保冷容器を冷凍車以外の冷蔵車、保冷車又は常温車に積載して配送することが行われている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
物流市場においては、配送や保管時に指定される三温度帯が使用され、顧客はどの温度帯で配送するか選べる。三温度帯とは、常温10℃~15℃、冷蔵マイナス5℃~プラス5℃、冷凍マイナス15℃以下の三種類の温度帯を指す。
上記特許文献1のように、冷凍商品の小口配送における省コスト化を目的とすると、そもそも冷凍車を用いるのではなく、常温の車両を用いて冷凍商品や冷蔵商品を一緒に配送することがコストメリットは一層高い。
【0008】
一方で、食品の流通過程においては、商品の品質保持に努めなければならない。冷凍商品や冷蔵商品は、冷凍車や冷蔵車で配送する場合は、荷物の積み降ろしのためドア開閉を頻繁に行うため、冷凍車や冷蔵車の車内の温度変化が大きく、商品の品質保持に影響を与えるため、上記特許文献1の配送方法では対応できないおそれがある。そもそも、冷凍商品と冷蔵商品を一緒に常温の車両で配送できることができれば、冷凍車や冷蔵車の設備も必要がなく、コストメリットは更に大きくなる。
【0009】
さらに、冷凍商品及び冷蔵商品おいては、小口配送や個人配送の際、顧客が不在の場合には再配達となってしまい更にコスト高になるという不都合がある。顧客が不在であっても玄関先等に荷物を一定時間置くことができれば、コストメリットは更に大きい。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するために、宅配業者が宅配する生鮮食品等の宅配物について冷凍・冷蔵設備なしで単距離間の物流を可能とする冷凍・冷蔵宅配物の配送方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明の配送方法は、冷凍商品又は冷蔵商品を配送する方法であって、氷と塩を混合してなる保存剤を使用したことを特徴とする。当該配送方法によれば、従来の冷凍車や冷蔵車(チルド車)によることなく、常温車を用いて冷凍商品と冷蔵商品を一緒に配送ができる。
【0012】
また、本発明の配送方法に使用する保存剤においては、前記氷と食塩を混合してなる保存剤の濃度が2.0~23.3%であり、前記食塩は、前記保存剤全体として1.9~18.9質量%であり、前記氷は、前記保存剤全体として81.1~98.1質量%であることが好ましい。
【0013】
また、本発明の配送方法に使用する保存剤においては、当該保存剤の温度がマイナス15℃以下、又はマイナス5℃以上プラス5℃以内の温度帯となることを特徴とする。当該配送方法によれば、従来の冷凍車や冷蔵車におけるドア開閉による温度変化の影響を受けずに一定時間、一定温度が保たれる。
【0014】
本発明の配送方法に使用する保存剤の温度帯がマイナス15℃以下であるとき、外気温が30℃であったとしても当該温度帯が1時間~11時間維持することを特徴とする。また、外気温が20℃のときに当該温度帯が9時間~19時間維持することを特徴とする。
【0015】
また、本発明の配送方法に使用する保存剤の温度帯がマイナス5℃以上プラス5℃以下の範囲内であって、外気温30℃のときにでも、当該温度帯が10時間~26時間維持することを特徴とする。また、外気温20℃のときに当該温度帯が10時間~40時間維持することを特徴とする。
【0016】
また、本発明の配送方法は、氷と食塩に代えて、氷と水と食塩を混合してなる保存剤を使用してもよい。
【0017】
本発明の配送方法においては、前記保存剤全体として水と食塩の食塩水の濃度が0.3~2.5%であり、前記保存剤全体として30~50質量%であり、前記氷は、前記保存剤全体として50~70質量%であることが好ましい。
【0018】
また本発明の配送方法においては、食塩水の濃度が0.3%未満の場合、及び保存剤全体として30質量%未満である場合は、食品のドリップが増加して風味が低下するおそれがある。食塩水の濃度が2.5%を超える場合、及び保存剤全体として50重量%を超える場合は、食材の味への影響が大きくなり、風味が低下するおそれがある。
【0019】
また、保存剤全体として氷の質量%が50%未満の場合、食塩水の割合が多くなるため、食材の味への影響が大きくなり、風味が低下するおそれがある。一方で、保存剤全体として氷の質量%が70%を超える場合は、食塩水の割合が少なくなるため、食品のドリップが増加して風味が低下するおそれがある。
【0020】
本発明の配送方法は、容器内に収納された氷と塩とを混合してなる保存剤中に、または氷と水と食塩を混合してなる保存剤中に、食品を収納又は浸漬してなることを特徴とする。当該配送方法によれば、従来の配送方法と比較して、一定時間、所定の温度を維持しながら冷凍・冷蔵宅配物の個別配送、個人配送が実現できる。
【0021】
また、本発明の配送方法においては、前記容器がビニール袋、アルミパウチ容器のような袋状や箱状の容器であることが好ましい。当該構成によれば、簡易に食品を包装して搬送及び保存が可能となり、内容物に対する外部からの影響を抑えることができる。特に、前記容器は、複数の前記容器を収納可能な段ボール箱や発泡スチロールの箱をさらに備えることにより、搬送及び保存がいっそう容易になる。
【0022】
また、本発明の配送方法においては、保存剤と冷凍商品又は冷蔵商品を入れた箱を乗用車、二輪車又はドローンに積載、配送可能とすることにより、小口配送や個人配送の幅が広がり、多様な顧客ニーズへの対応も可能となる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によれば、宅配業者が宅配する宅配物について冷凍・冷蔵設備なしで単距離間の物流を可能とする冷凍・冷蔵宅配物の配送方法を提供することができる。
【0024】
また、本発明によれば、従来の冷凍車や冷蔵車(チルド車)によることなく、冷凍・製造設備がない乗用車等の常温の車両を用いて冷凍商品と冷蔵商品を一緒に配送ができる。また、冷蔵・冷凍設備がある車両で配送する場合であっても、従来の冷凍車や冷蔵車におけるドア開閉による温度変化の影響を受けずに一定時間、一定温度が保たれる。また、冷凍商品と常温商品、冷蔵商品と常温商品を一緒に配送することもできる。
【0025】
加えて、所定温度が一定時間維持することから、宅配物を玄関先に置いたままにして配達するいわゆる置配にも対応可能となる。
【0026】
また、本発明によれば、物流に要するコストの更なる低減も実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の実施形態における各構成を示す説明図。
【
図2】本発明の実施形態1の30℃の一定温度の環境下における冷凍商品を入れた発泡スチロール製の箱を使用した保存方法の温度変化検査の結果を示すグラフ。
【
図3】本発明の実施形態1の20℃の一定温度の環境下における冷凍商品を入れた発泡スチロール製の箱を使用した保存方法の温度変化検査の結果を示すグラフ。
【
図4】本発明の実施形態1の30℃の一定温度の環境下における冷蔵商品を入れた発泡スチロール製の箱を使用した保存方法の温度変化検査の結果を示すグラフ。
【
図5】本発明の実施形態1の20℃の一定温度の環境下における冷蔵商品を入れた発泡スチロール製の箱を使用した保存方法の温度変化検査の結果を示すグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0028】
次に、本発明の実施形態の一例である配送方法に使用する保存剤について、実施形態は
図1~
図5を参照して説明する。本実施形態1の保存剤1は、氷と食塩塩とを混合したものである。
【0029】
本発明の実施形態の配送方法に使用する保存剤は、塩と氷を混合するが、塩は食塩であり、氷は、ブロック状のロックアイスを用いる。
【0030】
氷と食塩の濃度は2.0~23.3%になるよう、実施例1及び実施例2では、氷2000gに食塩40gを混合し、実施例3及び実施例4では、氷2000gに食塩466gを混合する。本実施例では食塩と氷の質量%を合計すると100%となるよう割合を調整している。前記食塩は、前記保存剤全体として1.9~18.9質量%であり、前記氷は、前記保存剤全体として81.1~98.1質量%であることが好ましい。
【0031】
本実施形態の保存剤を適用するものは、冷凍商品又は冷蔵商品である。本実施例では食品を内容物として実験を行っているが、本発明の冷凍商品および冷蔵商品は食品に限定するものではなく、たとえば、血液、医薬、ワクチン等の医療向け商品も可能である。
【0032】
本実施形態は、本発明の配送方法に使用する保存剤として、氷と食塩を所定の量で混合した保存剤と、温度変化を測定するロガーと、冷凍商品又は冷蔵商品を入れた箱を、外気温が一定の環境の中で放置し、その温度変化に係る時間を検査するものである。
【0033】
本実施形態1の温度変化検査にした分析装置は、低温恒温恒湿装置(エスペック株式会社製、型番PSL-4J)であり、分析条件は温度30℃・湿度60%を48時間保持する条件と、温度20度・湿度60%を72時間保持する条件を満たす公設試験機関(栃木県産業技術センター)の分析装置を使用している。なお、本実験環境については、当該公設試験機関より証明書を得ている。
【0034】
また、本実施形態の温度変化検査に使用した冷凍商品は、内部に温度測定用のロガーを設置した冷凍食品についてその全体を塩466gを加えたロックアイス2kgで包んだ状態でアルミパウチに封入し、そのアルミパウチ2袋が内部に置かれた状態でガムテープにより密閉した発泡スチロール製の箱(内寸:350mm×265mm×232mm 外寸:400mm×314mm×280mm)を使用した。また、又は発泡スチロール製の箱に代えて段ボール箱(内寸:370mm×253mm×270mm 外寸:388mm×263mm×285mm)を使用した。
【0035】
また、本実施形態の温度変化検査に使用した冷蔵商品は、内部に温度測定用のロガーを設置した冷蔵商品についてその全体を塩40gを加えたロックアイス2kgで包んだ状態でアルミパウチに封入し、そのアルミパウチ2袋が内部に置かれた状態でガムテープにより密閉した発泡スチロール製の箱(内寸:350mm×265mm×232mm 外寸:400mm×314mm×280mm)を使用した。また、又は発泡スチロール製の箱に代えて段ボール箱(内寸:370mm×253mm×270mm 外寸:388mm×263mm×285mm)を使用した。
【0036】
以上のように、冷凍食品及び冷蔵食品について発泡スチロール製の箱と段ボール箱に分け、30℃と20℃の一定温度の環境において、段ボール箱と発泡スチロールの箱に収納した内容物の温度変化の測定を行った。なお、本実験に係る冷凍食品については、20℃での提出品をA、Bとし、30℃での提出品をE、Fとする。一方、本実験に係る冷蔵食品については、20℃での提出品をC、Dとし、30℃での提出品をG、Hとする。
【0037】
図2は、本発明の実施形態の30℃、湿度60%、48時間の一定温度の環境下における冷凍商品を入れた発泡スチロール製の箱を使用した保存方法の温度変化検査の結果を示すグラフである。内部に温度測定用のロガーを設置した冷凍食品についてその全体を塩466gを加えたロックアイス2kgで包んだ状態でアルミパウチに封入し、そのアルミパウチ2袋が内部に置かれた状態でガムテープにより密閉した発泡スチロール製の箱(内寸:350mm×265mm×232mm 外寸:400mm×314mm×280mm)を使用した。
【0038】
図3は、本発明の実施形態の20℃、湿度60%、72時間の一定温度の環境下における冷凍商品を入れた発泡スチロール製の箱を使用した保存方法の温度変化検査の結果を示すグラフである。内部に温度測定用のロガーを設置した冷凍食品についてその全体を塩466gを加えたロックアイス2kgで包んだ状態でアルミパウチに封入し、そのアルミパウチ2袋が内部に置かれた状態でガムテープにより密閉した発泡スチロール製の箱(内寸:350mm×265mm×232mm 外寸:400mm×314mm×280mm)を使用した。
【0039】
図4は、本発明の実施形態の30℃、湿度60%、48時間の一定温度の環境下における冷蔵商品を入れた発泡スチロール製の箱を使用した保存方法の温度変化検査の結果を示すグラフである。内部に温度測定用のロガーを設置した冷蔵商品についてその全体を塩40gを加えたロックアイス2kgで包んだ状態でアルミパウチに封入し、そのアルミパウチ2袋が内部に置かれた状態でガムテープにより密閉した発泡スチロール製の箱(内寸:350mm×265mm×232mm 外寸:400mm×314mm×280mm)を使用した。
【0040】
図5は、本発明の実施形態の20℃、湿度60%、72時間の一定温度の環境下における冷蔵商品を入れた発泡スチロール製の箱を使用した保存方法の温度変化検査の結果を示すグラフである。内部に温度測定用のロガーを設置した冷蔵商品についてその全体を塩40gを加えたロックアイス2kgで包んだ状態でアルミパウチに封入し、そのアルミパウチ2袋が内部に置かれた状態でガムテープにより密閉した発泡スチロール製の箱(内寸:350mm×265mm×232mm 外寸:400mm×314mm×280mm)を使用した。
【0041】
本実施形態の冷凍食品については、内部温度がマイナス15℃以下を保持する時間帯を計測したところ、30℃の環境下では、発砲スチロール製の箱の場合は、最長11時間20分間、マイナス15℃以下の温度を保持する結果を得た。また、20℃の環境下では、同様に発泡スチロール製の箱の場合は、最長19時間20分間、マイナス15℃以下の温度を保持する結果を得た。
【0042】
本実施形態の冷蔵商品については、内部温度がマイナス5℃以上プラス5℃以下を保持する時間帯を計測したところ、30℃の環境下では、発砲スチロール製の箱の場合は、最長14時間30分間、マイナス5℃以上プラス5℃以下の温度帯を保持する結果を得た。また、20℃の環境下では、同様に発泡スチロール製の箱の場合は、最長40時間40分間、マイナス5℃以上プラス5℃以下の温度帯を保持する結果を得た。
【0043】
同様に、30℃の環境下、20℃の環境下において、段ボール箱に入れた冷凍商品や冷蔵商品の温度保持に関する実験を行い、気温30℃のときには最低10時間~最大26時間、マイナス15℃以下の温度帯を保持し、気温20℃のときは、最低10時間~最大40時間、マイナス5℃~プラス5℃の温度帯を保持する結果を得た。
【0044】
冷凍食品又は冷蔵食品に係る所定温度に係る温度保持の累計時間の表を示す。提出物A,Bが冷凍品、提出品C,Dが冷蔵品であり、20℃、湿度60%の温度環境の下、72時間放置した場合において、マイナス15℃以下の温度帯を保持した時間の結果である。提物物E,Fは冷凍品、G,Hは冷蔵品であり、マイナス5℃~プラス5℃の温度帯を保持した時間の結果である。提出物1つに対し温度測定用のロガーを4個使用して温度保持時間の測定を行っている。
【0045】
【0046】
【0047】
本実施形態においては、一定時間、所定温度が保持されることから、本発明の配送方法は、冷凍・冷蔵の宅配物の配送が好ましい。
【0048】
冷蔵の宅配物については、例えば、精肉、鮮魚、肉製品、加工水産物、乳製品、加工野菜、加工果物等の食品が好ましい。但し、本発明は上記食品に限定されるものではなく、マイナス5℃以上プラス5℃以内の温度帯での配送・保管が求められる商品について広く対応できるものである。
【0049】
冷凍の宅配物については、例えば、ぎょうざ、チャーハン、からあげ等の一般的な冷凍食品が好ましい。本発明は上記食品に限定されるものではなく、マイナス15℃以下の温度帯での配送・保管が求められる商品について広く対応できるものである。
【0050】
本発明については、氷と塩の量や濃度を変更することにより、所定の温度を一定時間保持することが可能となるため、温度帯も前記温度帯に限らない。
【0051】
以上のように、本発明の各実施例によれば、冷凍の内容物4を、30℃の温度環境下において、少なくとも10時間~26時間の間、マイナス15℃以下の温度帯を保持でき、20℃の温度環境下においては、10時間~40時間の間、マイナス5℃~プラス5℃の温度帯を保持できる結果を得た。また、冷蔵の内容物4を、少なくとも1時間~11時間の間、マイナス15℃以下の温度帯を保持でき、20℃の温度環境下においては、9時間~19時間の間、マイナス5℃~プラス5℃の温度帯を保持できる結果を得た。これらの結果に鑑みると、物流市場におけるラストワンマイルの物流、すなわち短距離間の小口配送や個人配送に十分対応可能な温度保持時間の結果を得た。また、本発明の実施例では、容器6がアルミパウチ容器、又はこれに加えて段ボール箱7や発泡スチロールの箱7による包装となるため、包装材が簡易で汎用的であり、包装及び流通過程におけるコストを低減させることができる。
【0052】
なお、上記各実施形態において、保存剤1は氷と食塩から形成されているが、他に、水を加えても良い。また、内容物4としては、上記実施形態のみならず、牛肉、豚肉、鶏肉、馬肉、魚介類等、幅広い食材はもとより、血液、医薬、ワクチン等の医療向け商品も可能である。また、容器6については、上記実施形態のようにビニール袋やアルミパウチ容器が好ましいが、他の合成樹脂製の袋や、ある程度の剛性を有する蓋付きの合成樹脂製容器でもよい。また、上記に限らず、袋状や箱状の容器も可能である。
【符号の説明】
【0053】
1…保存剤、2…リン酸緩衝生理食塩水(PBS)、3…氷又クラッシュアイス、4…食品、5…ミートペーパー、6…容器、7…箱。