(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157924
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】ショベル
(51)【国際特許分類】
E02F 9/22 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
E02F9/22 E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021062447
(22)【出願日】2021-03-31
(71)【出願人】
【識別番号】502246528
【氏名又は名称】住友建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】三崎 陽二
【テーマコード(参考)】
2D003
【Fターム(参考)】
2D003AA01
2D003AB03
2D003AC02
2D003BA02
2D003BA03
2D003BA05
2D003CA02
2D003DA04
2D003DB02
(57)【要約】
【課題】揺れを防止するショベルを提供する。
【解決手段】操作装置と、作動油を供給する油圧ポンプと、前記操作装置の操作量に対して駆動する油圧アクチュエータと、前記油圧ポンプから前記油圧アクチュエータに流れる作動油を制御する制御弁と、前記制御弁のスプールの移動量を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、ならし作業における前記油圧アクチュエータの状態に応じて、前記操作装置の前記操作量に対応する前記油圧アクチュエータの動作を補正する、ショベル。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作装置と、
作動油を供給する油圧ポンプと、
前記操作装置の操作量に対して駆動する油圧アクチュエータと、
前記油圧ポンプから前記油圧アクチュエータに流れる作動油を制御する制御弁と、
前記制御弁のスプールの移動量を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
ならし作業における前記油圧アクチュエータの状態に応じて、前記操作装置の前記操作量に対応する前記油圧アクチュエータの動作を補正する、
ショベル。
【請求項2】
操作装置と、
作動油を供給する油圧ポンプと、
前記操作装置の操作量に対して駆動する油圧アクチュエータと、
前記油圧ポンプから前記油圧アクチュエータに流れる作動油を制御する制御弁と、
前記制御弁のスプールの移動量を制御する制御装置と、を備え、
前記制御装置は、
前記油圧アクチュエータの状態に応じて、前記油圧アクチュエータに対応する前記制御弁の前記スプールの移動量を、前記操作装置の前記操作量に対応するスプールの移動量よりも大きくする、
ショベル。
【請求項3】
前記制御装置は、
前記油圧アクチュエータのボトム圧又はロッド圧が所定の値を超えたとき、前記ボトム圧又は前記ロッド圧に応じて前記スプールの移動量を算出する、
請求項1または請求項2に記載のショベル。
【請求項4】
前記油圧アクチュエータは、アームシリンダであって、
前記制御装置は、
前記アームシリンダのボトム圧又はロッド圧が所定の値を超えたとき、前記アームシリンダに対応する前記制御弁の前記スプールの移動量を、前記操作装置の操作量に対応するスプールの移動量よりも大きくする、
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載のショベル。
【請求項5】
前記制御装置は、
一方方向への前記油圧アクチュエータの駆動中に、前記油圧アクチュエータに対応する前記制御弁の前記スプールを、前記一方方向とは異なる他方方向への前記油圧アクチュエータの駆動中に対応する方向に移動させる、
請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載のショベル。
【請求項6】
前記油圧アクチュエータは、アームシリンダであって、
前記制御装置は、
アーム開き方向又はアーム閉じ方向の駆動中に、前記アームシリンダのボトム圧又はロッド圧が所定の値を超えたとき、
前記アームシリンダに対応する前記制御弁の前記スプールを、前記アームシリンダの駆動方向とは逆方向に対応する方向に移動させる、
請求項1乃至請求項5のいずれか1項に記載のショベル。
【請求項7】
前記制御装置は、
所定の動作が行われていない場合、前記スプールを中立位置に移動させる、
請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載のショベル。
【請求項8】
前記油圧アクチュエータは、旋回油圧モータであり、
前記制御装置は、
前記旋回油圧モータの一方の圧力又は他方の圧力が所定の値を超えたとき、前記一方の圧力又は前記他方の圧力に応じて前記スプールの移動量を算出する、
請求項1または請求項2に記載のショベル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ショベルに関する。
【背景技術】
【0002】
下部走行体と、下部走行体に対し旋回可能な上部旋回体と、上部旋回体に取り付けられるアタッチメントと、上部旋回体を旋回させる旋回油圧モータと、アタッチメントを駆動する油圧アクチュエータと、を備える作業機械が知られている。特許文献1には、油圧式作業機械用の操作装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開2018/164238号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ショベルは、アームを開閉することで、バケットで土砂等をならすならし作業が行われる。このならし作業において、ショベル本体に揺れが発生するおそれがある。
【0005】
そこで、本発明は、揺れを防止するショベルを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の実施形態に係るショベルは、操作装置と、作動油を供給する油圧ポンプと、前記操作装置の操作量に対して駆動する油圧アクチュエータと、前記油圧ポンプから前記油圧アクチュエータに流れる作動油を制御する制御弁と、前記制御弁のスプールの移動量を制御する制御装置と、を備え、前記制御装置は、ならし作業における前記油圧アクチュエータの状態に応じて、前記操作装置の前記操作量に対応する前記油圧アクチュエータの動作を補正する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、揺れを防止するショベルを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施形態に係るショベルの側面図である。
【
図3】
図1のショベルに搭載される油圧システムの構成例を示す図である。
【
図4】アームシリンダの操作に関する油圧システムの一部の図である。
【
図5】第1実施形態に係るショベルのならし作業における制御を説明するフローチャートである。
【
図6】参考例に係るショベル及び第1実施形態に係るショベルのならし作業における制御を説明するタイムチャートである。
【
図7】第2実施形態に係るショベルのならし作業における制御を説明するフローチャートである。
【
図8】参考例に係るショベル及び第2実施形態に係るショベルのならし作業における制御を説明するタイムチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
最初に、
図1及び
図2を参照して、本発明の実施形態に係る掘削機としてのショベル100について説明する。
図1はショベル100の側面図であり、
図2はショベル100の上面図である。
【0010】
本実施形態では、ショベル100の下部走行体1はクローラ1Cを含む。クローラ1Cは、下部走行体1に搭載されている走行アクチュエータとしての走行油圧モータ2Mによって駆動される。具体的には、クローラ1Cは左クローラ1CL及び右クローラ1CRを含む。左クローラ1CLは左走行油圧モータ2MLによって駆動され、右クローラ1CRは右走行油圧モータ2MRによって駆動される。
【0011】
下部走行体1には旋回機構2を介して上部旋回体3が旋回可能に搭載されている。旋回機構2は、上部旋回体3に搭載されている旋回アクチュエータとしての旋回油圧モータ2Aによって駆動される。但し、旋回アクチュエータは、電動アクチュエータとしての旋回電動発電機であってもよい。
【0012】
上部旋回体3にはブーム4が取り付けられている。ブーム4の先端にはアーム5が取り付けられ、アーム5の先端にはエンドアタッチメントとしてのバケット6が取り付けられている。ブーム4、アーム5及びバケット6は、アタッチメントの一例であるアタッチメントATを構成する。ブーム4はブームシリンダ7で駆動され、アーム5はアームシリンダ8で駆動され、バケット6はバケットシリンダ9で駆動される。ブームシリンダ7、アームシリンダ8、及びバケットシリンダ9は、アタッチメントアクチュエータを構成している。
図1及び
図2に示す例では、バケット6は、掘削バケットであるが、スケルトンバケット又は(除礫バケット)であってもよい。また、バケット6は、バケットチルト機構を備えていてもよい。
【0013】
上部旋回体3には、運転室としてのキャビン10が設けられ、且つ、エンジン11等の動力源が搭載されている。キャビン10の内部には、操作装置26、コントローラ30、及び操作方式切換装置SD等が設けられている。また、上部旋回体3には、空間認識装置70等が取り付けられている。なお、本書では、便宜上、上部旋回体3における、アタッチメントATが取り付けられている側を前方とし、カウンタウェイトが取り付けられている側を後方とする。
【0014】
空間認識装置70は、ショベル100の周囲の三次元空間に存在する物体を認識するように構成されている。また、空間認識装置70は、空間認識装置70又はショベル100から認識された物体までの距離を算出するように構成されていてもよい。空間認識装置70は、例えば、超音波センサ、ミリ波レーダ、撮像装置、LIDAR、距離画像センサ、赤外線センサ等、又はそれらの任意の組み合わせを含む。撮像装置は、例えば、単眼カメラ又はステレオカメラ等である。本実施形態では、空間認識装置70は、キャビン10の上面前端に取り付けられた前方センサ70F、上部旋回体3の上面後端に取り付けられた後方センサ70B、上部旋回体3の上面左端に取り付けられた左方センサ70L、及び、上部旋回体3の上面右端に取り付けられた右方センサ70Rを含む。上部旋回体3の上方の空間に存在する物体を認識する上方センサがショベル100に取り付けられていてもよい。
【0015】
操作装置26は、操作者がアクチュエータの操作のために用いる装置である。操作装置26は、例えば、操作レバー及び操作ペダルを含む。アクチュエータは、油圧アクチュエータ及び電動アクチュエータの少なくとも1つを含む。
【0016】
操作方式切換装置SDは、操作レバーの操作方式を切り換えることができるように構成される。例えば、操作方式切換装置SDは、キャビン10内の右側コンソールに設けられた押しボタンスイッチを含み、押しボタンスイッチが押される度に、第1操作方式と第2操作方式との間で操作レバーの操作方式を切り換えることができるように構成される。例えば、第1操作方式は、左操作レバー26L(
図3参照。)が前方に倒されたときにアーム5が開かれ、左操作レバー26Lが後方に倒されたときにアーム5が閉じられ、左操作レバー26Lが左方に倒されたときに左旋回が実行され、且つ、左操作レバー26Lが右方に倒されたときに右旋回が実行されるように構成されている。また、第1操作方式は、右操作レバー26R(
図3参照。)が前方に倒されたときにブーム4が下げられ、右操作レバー26Rが後方に倒されたときにブーム4が上げられ、右操作レバー26Rが左方に倒されたときにバケット6が閉じられ、且つ、右操作レバー26Rが右方に倒されたときにバケット6が開かれるように構成されている。一方で、第2操作方式は、左操作レバー26L(
図3参照。)が前方に倒されたときに右旋回が実行され、左操作レバー26Lが後方に倒されたときに左旋回が実行され、左操作レバー26Lが左方に倒されたときにアーム5が開かれ、且つ、左操作レバー26Lが右方に倒されたときにアーム5が閉じられるように構成されている。
【0017】
ショベル100の操作者は、例えば、掘削バケットを用いて掘削作業を行う場合に第1操作方式を選択し、スケルトンバケット(除礫バケット)を用いて除礫作業を行う場合に第2操作方式を選択してもよい。
【0018】
コントローラ30は、ショベル100を制御するための制御装置である。本実施形態では、コントローラ30は、CPU、揮発性記憶装置、及び不揮発性記憶装置等を備えたコンピュータで構成されている。そして、コントローラ30は、各機能に対応するプログラムを不揮発性記憶装置から読み出して揮発性記憶装置にロードし、対応する処理をCPUに実行させる。各機能は、例えば、操作者によるショベル100の手動操作をガイド(案内)するマシンガイダンス機能、及び、操作者によるショベル100の手動操作を支援したり或いはショベル100を自動的或いは自律的に動作させたりするマシンコントロール機能を含む。コントローラ30は、ショベル100の周囲の監視範囲内に存在する物体とショベル100との接触を回避するためにショベル100を自動的或いは自律的に動作させたり或いは停止させたりする接触回避機能を含んでいてもよい。ショベル100の周囲の物体の監視は、監視範囲内だけでなく監視範囲外に対しても実行される。
【0019】
次に、
図3を参照し、ショベル100に搭載される油圧システムの構成例について説明する。
図3は、ショベル100に搭載される油圧システムの構成例を示す図である。
図3は、機械的動力伝達系、作動油ライン、パイロットライン及び電気制御系を、それぞれ、二重線、実線、破線及び点線で示している。
【0020】
ショベル100の油圧システムは、主に、エンジン11、レギュレータ13、メインポンプ14、パイロットポンプ15、コントロールバルブユニット17、操作装置26、吐出圧センサ28、操作センサ29、及びコントローラ30等を含む。
【0021】
図3において、油圧システムは、エンジン11によって駆動されるメインポンプ14から、センターバイパス管路40又はパラレル管路42を経て作動油タンクまで作動油を循環させることができるように構成されている。
【0022】
エンジン11は、ショベル100の駆動源である。本実施形態では、エンジン11は、例えば、所定の回転数を維持するように動作するディーゼルエンジンである。エンジン11の出力軸は、メインポンプ14及びパイロットポンプ15のそれぞれの入力軸に連結されている。
【0023】
メインポンプ14は、作動油ラインを介して作動油をコントロールバルブユニット17に供給できるように構成されている。本実施形態では、メインポンプ14は、斜板式可変容量型油圧ポンプである。
【0024】
レギュレータ13は、メインポンプ14の吐出量を制御できるように構成されている。本実施形態では、レギュレータ13は、コントローラ30からの制御指令に応じてメインポンプ14の斜板傾転角を調節することによってメインポンプ14の吐出量を制御する。
【0025】
パイロットポンプ15は、パイロット圧生成装置の一例であり、パイロットラインを介して油圧制御機器に作動油を供給できるように構成されている。本実施形態では、パイロットポンプ15は、固定容量型油圧ポンプである。但し、パイロット圧生成装置は、メインポンプ14によって実現されてもよい。すなわち、メインポンプ14は、作動油ラインを介して作動油をコントロールバルブユニット17に供給する機能に加え、パイロットラインを介して各種油圧制御機器に作動油を供給する機能を備えていてもよい。この場合、パイロットポンプ15は、省略されてもよい。
【0026】
コントロールバルブユニット17は、ショベル100における油圧システムを制御する油圧制御装置である。本実施形態では、コントロールバルブユニット17は、制御弁171~176を含む。制御弁175は制御弁175L及び制御弁175Rを含み、制御弁176は制御弁176L及び制御弁176Rを含む。コントロールバルブユニット17は、制御弁171~176を通じ、メインポンプ14が吐出する作動油を1又は複数の油圧アクチュエータに選択的に供給できるように構成されている。制御弁171~176は、例えば、メインポンプ14から油圧アクチュエータに流れる作動油の流量、及び、油圧アクチュエータから作動油タンクに流れる作動油の流量を制御する。油圧アクチュエータは、ブームシリンダ7、アームシリンダ8、バケットシリンダ9、左走行油圧モータ2ML、右走行油圧モータ2MR及び旋回油圧モータ2Aを含む。
【0027】
操作装置26は、操作者がアクチュエータを操作できるように構成されている。本実施形態では、操作装置26は、操作者が油圧アクチュエータを操作できるように構成された油圧アクチュエータ操作装置を含む。具体的には、油圧アクチュエータ操作装置は、パイロットラインを介して、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、コントロールバルブユニット17内の対応する制御弁のパイロットポートに供給できるように構成されている。パイロットポートのそれぞれに供給される作動油の圧力(パイロット圧)は、油圧アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置26の操作方向及び操作量に応じた圧力である。
【0028】
吐出圧センサ28は、メインポンプ14の吐出圧を検出できるように構成されている。本実施形態では、吐出圧センサ28は、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0029】
操作センサ29は、操作者による操作装置26の操作の内容を検出できるように構成されている。本実施形態では、操作センサ29は、アクチュエータのそれぞれに対応する操作装置26の操作方向及び操作量を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0030】
メインポンプ14は、左メインポンプ14L及び右メインポンプ14Rを含む。そして、左メインポンプ14Lは、左センターバイパス管路40L又は左パラレル管路42Lを経て作動油タンクまで作動油を循環させ、右メインポンプ14Rは、右センターバイパス管路40R又は右パラレル管路42Rを経て作動油タンクまで作動油を循環させる。
【0031】
左センターバイパス管路40Lは、コントロールバルブユニット17内に配置された制御弁171、173、175L及び176Lを通る作動油ラインである。右センターバイパス管路40Rは、コントロールバルブユニット17内に配置された制御弁172、174、175R及び176Rを通る作動油ラインである。
【0032】
制御弁171は、左メインポンプ14Lが吐出する作動油を左走行油圧モータ2MLへ供給し、且つ、左走行油圧モータ2MLが吐出する作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0033】
制御弁172は、右メインポンプ14Rが吐出する作動油を右走行油圧モータ2MRへ供給し、且つ、右走行油圧モータ2MRが吐出する作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0034】
制御弁173は、左メインポンプ14Lが吐出する作動油を旋回油圧モータ2Aへ供給し、且つ、旋回油圧モータ2Aが吐出する作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0035】
制御弁174は、右メインポンプ14Rが吐出する作動油をバケットシリンダ9へ供給し、且つ、バケットシリンダ9内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0036】
制御弁175Lは、左メインポンプ14Lが吐出する作動油をブームシリンダ7へ供給するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。制御弁175Rは、右メインポンプ14Rが吐出する作動油をブームシリンダ7へ供給し、且つ、ブームシリンダ7内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0037】
制御弁176Lは、左メインポンプ14Lが吐出する作動油をアームシリンダ8へ供給し、且つ、アームシリンダ8内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0038】
制御弁176Rは、右メインポンプ14Rが吐出する作動油をアームシリンダ8へ供給し、且つ、アームシリンダ8内の作動油を作動油タンクへ排出するために作動油の流れを切り換えるスプール弁である。
【0039】
左パラレル管路42Lは、左センターバイパス管路40Lに並行する作動油ラインである。左パラレル管路42Lは、制御弁171、173、及び175Lの何れかによって左センターバイパス管路40Lを通る作動油の流れが制限或いは遮断された場合に、より下流の制御弁に作動油を供給できる。右パラレル管路42Rは、右センターバイパス管路40Rに並行する作動油ラインである。右パラレル管路42Rは、制御弁172、174、及び175Rの何れかによって右センターバイパス管路40Rを通る作動油の流れが制限或いは遮断された場合に、より下流の制御弁に作動油を供給できる。
【0040】
レギュレータ13は、左レギュレータ13L及び右レギュレータ13Rを含む。左レギュレータ13Lは、左メインポンプ14Lの吐出圧に応じて左メインポンプ14Lの斜板傾転角を調節することによって、左メインポンプ14Lの吐出量を制御する。具体的には、左レギュレータ13Lは、例えば、左メインポンプ14Lの吐出圧の増大に応じて左メインポンプ14Lの斜板傾転角を調節して吐出量を減少させる。右レギュレータ13Rについても同様である。吐出圧と吐出量との積で表されるメインポンプ14の吸収パワー(吸収馬力)がエンジン11の出力パワー(出力馬力)を超えないようにするためである。
【0041】
操作装置26は、左操作レバー26L、右操作レバー26R及び走行レバー26Dを含む。走行レバー26Dは、左走行レバー26DL及び右走行レバー26DRを含む。
【0042】
左操作レバー26Lは、旋回操作とアーム5の操作に用いられる。左操作レバー26Lは、前後方向に操作されると、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁176のパイロットポートに導入させる。また、左右方向に操作されると、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁173のパイロットポートに導入させる。
【0043】
具体的には、左操作レバー26Lは、アーム閉じ方向に操作された場合に、制御弁176Lの右側パイロットポートに作動油を導入させ、且つ、制御弁176Rの左側パイロットポートに作動油を導入させる。また、左操作レバー26Lは、アーム開き方向に操作された場合には、制御弁176Lの左側パイロットポートに作動油を導入させ、且つ、制御弁176Rの右側パイロットポートに作動油を導入させる。また、左操作レバー26Lは、左旋回方向に操作された場合に、制御弁173の左側パイロットポートに作動油を導入させ、右旋回方向に操作された場合に、制御弁173の右側パイロットポートに作動油を導入させる。
【0044】
図3に示す例では、左操作レバー26Lは、前後方向に操作されたときにアーム操作レバーとして機能し、左右方向に操作されたときに旋回操作レバーとして機能する。
【0045】
右操作レバー26Rは、ブーム4の操作とバケット6の操作に用いられる。右操作レバー26Rは、前後方向に操作されると、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁175のパイロットポートに導入させる。また、左右方向に操作されると、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁174のパイロットポートに導入させる。
【0046】
具体的には、右操作レバー26Rは、ブーム下げ方向に操作された場合に、制御弁175Rの左側パイロットポートに作動油を導入させる。また、右操作レバー26Rは、ブーム上げ方向に操作された場合には、制御弁175Lの右側パイロットポートに作動油を導入させ、且つ、制御弁175Rの左側パイロットポートに作動油を導入させる。また、右操作レバー26Rは、バケット閉じ方向に操作された場合に、制御弁174の右側パイロットポートに作動油を導入させ、バケット開き方向に操作された場合に、制御弁174の左側パイロットポートに作動油を導入させる。
【0047】
図3に示す例では、右操作レバー26Rは、前後方向に操作されたときにブーム操作レバーとして機能し、左右方向に操作されたときにバケット操作レバーとして機能する。
【0048】
走行レバー26Dは、クローラ1Cの操作に用いられる。具体的には、左走行レバー26DLは、左クローラ1CLの操作に用いられる。左走行ペダルと連動するように構成されていてもよい。左走行レバー26DLは、前後方向に操作されると、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁171のパイロットポートに導入させる。右走行レバー26DRは、右クローラ1CRの操作に用いられる。右走行ペダルと連動するように構成されていてもよい。右走行レバー26DRは、前後方向に操作されると、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、レバー操作量に応じた制御圧を制御弁172のパイロットポートに導入させる。
【0049】
吐出圧センサ28は、吐出圧センサ28L及び吐出圧センサ28Rを含む。吐出圧センサ28Lは、左メインポンプ14Lの吐出圧を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。吐出圧センサ28Rについても同様である。
【0050】
操作センサ29は、操作センサ29LA、29LB、29RA、29RB、29DL、29DRを含む。操作センサ29LAは、操作者による左操作レバー26Lに対する前後方向への操作の内容を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作の内容は、例えば、レバー操作方向、レバー操作量(レバー操作角度)等である。
【0051】
同様に、操作センサ29LBは、操作者による左操作レバー26Lに対する左右方向への操作の内容を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作センサ29RAは、操作者による右操作レバー26Rに対する前後方向への操作の内容を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作センサ29RBは、操作者による右操作レバー26Rに対する左右方向への操作の内容を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作センサ29DLは、操作者による左走行レバー26DLに対する前後方向への操作の内容を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。操作センサ29DRは、操作者による右走行レバー26DRに対する前後方向への操作の内容を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0052】
コントローラ30は、操作センサ29の出力を受信し、必要に応じてレギュレータ13に対して制御指令を出力し、メインポンプ14の吐出量を変化させる。また、コントローラ30は、絞り18の上流に設けられた制御圧センサ19の出力を受信し、必要に応じてレギュレータ13に対して制御指令を出力し、メインポンプ14の吐出量を変化させる。絞り18は左絞り18L及び右絞り18Rを含み、制御圧センサ19は左制御圧センサ19L及び右制御圧センサ19Rを含む。
【0053】
左センターバイパス管路40Lには、最も下流にある制御弁176Lと作動油タンクとの間に左絞り18Lが配置されている。そのため、左メインポンプ14Lが吐出した作動油の流れは、左絞り18Lで制限される。そして、左絞り18Lは、左レギュレータ13Lを制御するための制御圧を発生させる。左制御圧センサ19Lは、この制御圧を検出するためのセンサであり、検出した値をコントローラ30に対して出力する。コントローラ30は、この制御圧に応じて左メインポンプ14Lの斜板傾転角を調節することによって、左メインポンプ14Lの吐出量を制御する。コントローラ30は、この制御圧が大きいほど左メインポンプ14Lの吐出量を減少させ、この制御圧が小さいほど左メインポンプ14Lの吐出量を増大させる。右メインポンプ14Rの吐出量も同様に制御される。
【0054】
具体的には、
図3で示されるようにショベル100における油圧アクチュエータが何れも操作されていない待機状態の場合、左メインポンプ14Lが吐出する作動油は、左センターバイパス管路40Lを通って左絞り18Lに至る。そして、左メインポンプ14Lが吐出する作動油の流れは、左絞り18Lの上流で発生する制御圧を増大させる。その結果、コントローラ30は、左メインポンプ14Lの吐出量を許容最小吐出量まで減少させ、吐出した作動油が左センターバイパス管路40Lを通過する際の圧力損失(ポンピングロス)を抑制する。一方、何れかの油圧アクチュエータが操作された場合、左メインポンプ14Lが吐出する作動油は、操作対象の油圧アクチュエータに対応する制御弁を介して、操作対象の油圧アクチュエータに流れ込む。そして、左メインポンプ14Lが吐出する作動油の流れは、左絞り18Lに至る量を減少或いは消失させ、左絞り18Lの上流で発生する制御圧を低下させる。その結果、コントローラ30は、左メインポンプ14Lの吐出量を増大させ、操作対象の油圧アクチュエータに十分な作動油を循環させ、操作対象の油圧アクチュエータの駆動を確かなものとする。なお、コントローラ30は、右メインポンプ14Rの吐出量も同様に制御する。
【0055】
上述のような構成により、
図3の油圧システムは、待機状態においては、メインポンプ14における無駄なエネルギ消費を抑制できる。無駄なエネルギ消費は、メインポンプ14が吐出する作動油がセンターバイパス管路40で発生させるポンピングロスを含む。また、
図3の油圧システムは、油圧アクチュエータを作動させる場合には、メインポンプ14から必要十分な作動油を作動対象の油圧アクチュエータに確実に供給できる。
【0056】
また、ブームシリンダ7にはブームロッド圧センサS7R及びブームボトム圧センサS7Bが取り付けられている。アームシリンダ8にはアームロッド圧センサS8R及びアームボトム圧センサS8Bが取り付けられている。バケットシリンダ9にはバケットロッド圧センサS9R及びバケットボトム圧センサS9Bが取り付けられている。ブームロッド圧センサS7R、ブームボトム圧センサS7B、アームロッド圧センサS8R、アームボトム圧センサS8B、バケットロッド圧センサS9R及びバケットボトム圧センサS9Bは、集合的に「シリンダ圧センサ」とも称される。また、旋回油圧モータ2Aには左旋回圧センサS10L及び右旋回圧センサS10Rが取り付けられている。
【0057】
ブームロッド圧センサS7Rはブームシリンダ7のロッド側油室の圧力(以下、「ブームロッド圧」とする。)を検出し、ブームボトム圧センサS7Bはブームシリンダ7のボトム側油室の圧力(以下、「ブームボトム圧」とする。)を検出する。アームロッド圧センサS8Rはアームシリンダ8のロッド側油室の圧力(以下、「アームロッド圧」とする。)を検出し、アームボトム圧センサS8Bはアームシリンダ8のボトム側油室の圧力(以下、「アームボトム圧」とする。)を検出する。バケットロッド圧センサS9Rはバケットシリンダ9のロッド側油室の圧力(以下、「バケットロッド圧」とする。)を検出し、バケットボトム圧センサS9Bはバケットシリンダ9のボトム側油室の圧力(以下、「バケットボトム圧」とする。)を検出する。左旋回圧センサS10Lは、旋回油圧モータ2Aの左側ポートにおける作動油の圧力を検出する。右旋回圧センサS10Rは、旋回油圧モータ2Aの右側ポートにおける作動油の圧力を検出する。各センサで検出された値は、コントローラ30に送信される。
【0058】
次に、
図4を参照し、コントローラ30がマシンコントロール機能によってアクチュエータを動作させるための構成について説明する。
図4は、アームシリンダ8の操作に関する油圧システム部分を抜き出した図である。
【0059】
図4に示すように、油圧システムは、比例弁31を含む。比例弁31は、比例弁31AL,31ARを含む。
【0060】
比例弁31は、マシンコントロール用制御弁として機能する。比例弁31は、パイロットポンプ15とコントロールバルブユニット17内の対応する制御弁のパイロットポートとを接続する管路に配置され、その管路の流路面積を変更できるように構成されている。本実施形態では、比例弁31は、コントローラ30が出力する制御指令に応じて動作する。そのため、コントローラ30は、操作者による操作装置26の操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31を介し、コントロールバルブユニット17内の対応する制御弁のパイロットポートに供給できる。そして、コントローラ30は、比例弁31が生成するパイロット圧を、対応する制御弁のパイロットポートに作用させることができる。
【0061】
この構成により、コントローラ30は、特定の操作装置26に対する操作が行われていない場合であっても、その特定の操作装置26に対応する油圧アクチュエータを動作させることができる。また、コントローラ30は、特定の操作装置26に対する操作が行われている場合であっても、その特定の操作装置26に対応する油圧アクチュエータの動作を強制的に停止させることができる。
【0062】
例えば、
図4に示すように、左操作レバー26Lは、アーム5を操作するために用いられる。具体的には、左操作レバー26Lは、パイロットポンプ15が吐出する作動油を利用し、前後方向への操作に応じたパイロット圧を制御弁176のパイロットポートに作用させる。より具体的には、左操作レバー26Lは、アーム閉じ方向(後方向)に操作された場合に、操作量に応じたパイロット圧を制御弁176Lの右側パイロットポートと制御弁176Rの左側パイロットポートに作用させる。また、左操作レバー26Lは、アーム開き方向(前方向)に操作された場合には、操作量に応じたパイロット圧を制御弁176Lの左側パイロットポートと制御弁176Rの右側パイロットポートに作用させる。
【0063】
左操作レバー26LにはスイッチNSが設けられている。本実施形態では、スイッチNSは、左操作レバー26Lの先端に設けられた押しボタンスイッチである。操作者は、スイッチNSを押しながら左操作レバー26Lを操作できる。スイッチNSは、右操作レバー26Rに設けられていてもよく、キャビン10内の他の位置に設けられていてもよい。
【0064】
操作センサ29LAは、操作者による左操作レバー26Lに対する前後方向への操作の内容を検出し、検出した値をコントローラ30に対して出力する。
【0065】
比例弁31ALは、コントローラ30が出力する制御指令(電流指令)に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から比例弁31ALを介して制御弁176Lの右側パイロットポート及び制御弁176Rの左側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31ARは、コントローラ30が出力する制御指令(電流指令)に応じて動作する。そして、パイロットポンプ15から比例弁31ARを介して制御弁176Lの左側パイロットポート及び制御弁176Rの右側パイロットポートに導入される作動油によるパイロット圧を調整する。比例弁31ALは、制御弁176L及び制御弁176Rを任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。同様に、比例弁31ARは、制御弁176L及び制御弁176Rを任意の弁位置で停止できるようにパイロット圧を調整可能である。
【0066】
この構成により、コントローラ30は、操作者によるアーム閉じ操作に応じ、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31ALを介し、制御弁176Lの右側パイロットポート及び制御弁176Rの左側パイロットポートに供給できる。また、コントローラ30は、操作者によるアーム閉じ操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31ALを介し、制御弁176Lの右側パイロットポート及び制御弁176Rの左側パイロットポートに供給できる。すなわち、コントローラ30は、操作者によるアーム閉じ操作に応じ、或いは、操作者によるアーム閉じ操作とは無関係に、アーム5を閉じることができる。
【0067】
また、コントローラ30は、操作者によるアーム開き操作に応じ、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31ARを介し、制御弁176Lの左側パイロットポート及び制御弁176Rの右側パイロットポートに供給できる。また、コントローラ30は、操作者によるアーム開き操作とは無関係に、パイロットポンプ15が吐出する作動油を、比例弁31ARを介し、制御弁176Lの左側パイロットポート及び制御弁176Rの右側パイロットポートに供給できる。すなわち、コントローラ30は、操作者によるアーム開き操作に応じ、或いは、操作者によるアーム開き操作とは無関係に、アーム5を開くことができる。
【0068】
また、この構成により、コントローラ30は、操作者によるアーム閉じ操作が行われている場合であっても、必要に応じて、制御弁176の閉じ側のパイロットポート(制御弁176Lの左側パイロットポート及び制御弁176Rの右側パイロットポート)に作用するパイロット圧を減圧し、アーム5の閉じ動作を強制的に停止させることができる。操作者によるアーム開き操作が行われているときにアーム5の開き動作を強制的に停止させる場合についても同様である。
【0069】
或いは、コントローラ30は、操作者によるアーム閉じ操作が行われている場合であっても、必要に応じて、比例弁31ARを制御し、制御弁176の閉じ側のパイロットポートの反対側にある、制御弁176の開き側のパイロットポート(制御弁176Lの右側パイロットポート及び制御弁176Rの左側パイロットポート)に作用するパイロット圧を増大させ、制御弁176を強制的に中立位置に戻すことで、アーム5の閉じ動作を強制的に停止させてもよい。操作者によるアーム開き操作が行われている場合にアーム5の開き動作を強制的に停止させる場合についても同様である。
【0070】
また、ショベル100は、
図4示すアームシリンダ8の操作に関する油圧システムと同様に、ブームシリンダ7の操作に関する油圧システム、バケットシリンダ9の操作に関する油圧システム、旋回油圧モータ2Aの操作に関する油圧システム、を備えている。また、ショベル100は、下部走行体1を自動的に前進・後進させる構成を備えていてもよい。この場合、左走行油圧モータ2MLの操作に関する油圧システム部分、及び、右走行油圧モータ2MRの操作に関する油圧システム部分は、ブームシリンダ7の操作に関する油圧システム部分等と同じように構成されてもよい。
【0071】
また、操作装置26の形態として電気式操作レバーに関する説明を記載したが、電気式操作レバーではなく油圧式操作レバーが採用されてもよい。この場合、油圧式操作レバーのレバー操作量は、圧力センサによって圧力の形で検出されてコントローラ30へ入力されてもよい。また、油圧式操作レバーとしての操作装置26と各制御弁のパイロットポートとの間には電磁弁が配置されてもよい。電磁弁は、コントローラ30からの電気信号に応じて動作するように構成される。この構成により、油圧式操作レバーとしての操作装置26を用いた手動操作が行われると、操作装置26は、レバー操作量に応じてパイロット圧を増減させることで各制御弁を移動させることができる。また、各制御弁は電磁スプール弁で構成されていてもよい。この場合、電磁スプール弁は、電気式操作レバーのレバー操作量に対応するコントローラ30からの電気信号に応じて動作する。
【0072】
次に、ショベル100のならし作業におけるコントローラ30の制御の一例について、
図5を用いて説明する。
図5は、第1実施形態に係るショベル100のならし作業における制御を説明するフローチャートである。なお、ショベル100のならし作業では、アーム5の開閉を繰り返すことで、バケット6で土砂等を押し出して地面をならす。
【0073】
ステップS101において、コントローラ30は、アーム5の開き動作が行われたか否かを判定する。例えば、コントローラ30は、アーム5のブーム4に対する回動角度(以下、「アーム角度」)を検出するアーム角度センサ(図示せず)の検出値に基づいて、アーム開き動作が行われた否かを判定してもよい。アーム開き動作が行われていない場合(S101・No)、コントローラ30の処理は、ステップS101を繰り返す。アーム開き動作が行われた場合(S101・Yes)、コントローラ30の処理は、ステップS102に進む。なお、
図5に示すコントローラ30の制御において、ステップS101は省略してもよい。
【0074】
ステップS102において、コントローラ30は、アーム閉じ操作が行われた否かを判定する。例えば、コントローラ30は、操作センサ29LAの検出値に基づいて、アーム閉じ操作が行われた否かを判定してもよい。アーム閉じ操作が行われていない場合(S102・No)、コントローラ30の処理は、ステップS101に戻る。アーム閉じ操作が行われた場合(S102・Yes)、コントローラ30の処理は、ステップS103に進む。
【0075】
ステップS103において、コントローラ30は、アームシリンダ8のボトム側油室にコモリ圧があるか否かを判定する。ここで、ならし作業では、アーム5の開き動作から、アーム5の開き方向の動作速度を減速し、次にアーム5の閉じ動作を行う。アーム5の開き方向の動作速度を減速する際、アームシリンダ8のボトム側油室が高圧(コモリ圧)となる。このため、アーム5の閉じ動作が開始される時点でアームシリンダ8のボトム側油室にコモリ圧が生じていることがある。コントローラ30は、アームボトム圧センサS8Bで検出するアームボトム圧が所定の閾値以上である場合、アームシリンダ8のボトム側油室にコモリ圧があると判定する。
【0076】
アームシリンダ8のボトム側油室にコモリ圧がないと判定した場合(S103・No)、コントローラ30の処理は、後述するステップS110に進む。ステップS110において、コントローラ30は、通常の制御を行う。即ち、コントローラ30は、操作センサ29LAで検出した操作量に基づいて、比例弁31AL,31ARを制御し、制御弁176(176L,176R)のスプールの移動量を制御する。
【0077】
アームシリンダ8のボトム側油室にコモリ圧があると判定した場合(S103・Yes)、コントローラ30の処理はステップS104に進む。
【0078】
ステップS104において、コントローラ30は、コモリ圧に基づいて、コモリ圧によるアームシリンダ8の推力を推定する。
【0079】
ステップS105において、コントローラ30は、ステップS104で推定したコモリ圧による推力に基づいて、コモリ圧によるアーム5の閉じ速度を算出する。
【0080】
ステップS106において、コントローラ30は、ステップS105で算出したコモリ圧によるアーム5の閉じ速度を実現する制御弁176(176L,176R)のスプールの移動量M1を算出する。
【0081】
ステップS107において、コントローラ30は、操作センサ29LAで検出した操作量に基づいて、制御弁176(176L,176R)のスプールの移動量M2を算出する。
【0082】
ステップS108において、コントローラ30は、ステップS107で算出した操作量に対応するスプールの移動量M2が、ステップS106で算出したコモリ圧に対応するスプールの移動量M1が以下であるか否かを判定する。
【0083】
操作量に対応するスプールの移動量M2がコモリ圧に対応するスプールの移動量M1以下である場合(S108・Yes)、コントローラ30の処理はステップS109に進む。
【0084】
ステップS109において、コントローラ30は、ステップS106で算出したコモリ圧に対応するスプールの移動量M1に基づいて、比例弁31AL,31ARを制御し、制御弁176(176L,176R)のスプールの移動量を制御する。換言すれば、コントローラ30は、制御弁176(176L,176R)のスプールの移動量をステップS107で算出した操作量に対応するスプールの移動量M2よりも大きいステップS106で算出したコモリ圧に対応するスプールの移動量M1とする。なお、ステップS109の後において、ステップS107で算出した操作量に対応するスプールの移動量M2が、ステップS106で算出したアームボトム圧に対応するスプールの移動量M1が以下となった場合、
図5に示す制御を停止させる。また、ステップS109の後において、アーム閉じ操作の操作量が所定値以下である場合、
図5に示す制御を停止させる。
【0085】
以上のように、第1実施形態に係るショベル100によれば、ならし作業におけるアームシリンダ8(油圧アクチュエータ)の状態に応じて、左操作レバー26L(操作装置26)の操作量に対応するアームシリンダ8(油圧アクチュエータ)の動作を補正する。即ち、第1実施形態に係るショベル100によれば、アームシリンダ8(油圧アクチュエータ)のアームボトム圧が所定の閾値を超えたとき(S103・Yes)、アームシリンダ8に対応する制御弁176のスプールの移動量を、左操作レバー26L(操作装置26)の操作量に対応するスプールの移動量M2よりも大きいスプールの移動量M1で制御する(S109参照)。また、スプールの移動量M1は、アームシリンダ8のアームボトム圧に応じて算出される(S104~S106参照)。
【0086】
一方、操作量に対応するスプールの移動量M2がコモリ圧に対応するスプールの移動量M1以下でない場合(S108・No)、コントローラ30の処理はステップS110に進む。
【0087】
ステップS110において、コントローラ30は、通常の制御を行う。即ち、コントローラ30は、操作センサ29LAで検出した操作量に基づいて、比例弁31AL,31ARを制御し、制御弁176(176L,176R)のスプールの移動量を制御する。換言すれば、コントローラ30は、ステップS107で算出した操作量に対応するスプールの移動量M2に基づいて、比例弁31AL,31ARを制御し、制御弁176(176L,176R)のスプールの移動量を制御する。
【0088】
なお、
図5では、アーム5の開き動作からアーム5の閉じ動作に切り替わる際の制御について説明したが、アーム5の閉じ動作からアーム5の開き動作に切り替わる際の制御についても適用することができる。なお、アーム閉じ速度の減速時におけるコモリ圧は、アームシリンダ8のロッド側油室に生じる。
【0089】
また、ステップS109でコントローラ30がスプールの移動量M1で制御弁176を制御した後、所定の動作が行われていない場合、コントローラ30は制御弁176のスプールを中立位置に移動させてもよい。これにより、例えば、操作者による操作装置26の操作が終了している場合、アーム5が閉じ動作し続けることを防止することができる。
【0090】
次に、参考例に係るショベルと対比しつつ、第1実施形態に係るショベル100のならし作業における制御について、
図6を用いて説明する。
図6は、参考例に係るショベル及び第1実施形態に係るショベル100のならし作業における制御を説明するタイムチャートである。
【0091】
参考例のショベルでは、通常制御(S110参照)を行う。
図6(a)は、参考例に係るショベルにおけるアームシリンダ8の推力、アームシリンダ8のボトム圧(アームボトム圧センサS8Bの検出値)、アームシリンダ8のロッド圧(アームロッド圧センサS8Rの検出値)、ポンプ圧(吐出圧センサ28の検出値)を示す。
図6(b)は、参考例に係るショベルにおける左操作レバー26Lの操作量(操作センサ29LAの検出値)を示す。また、横軸は時間であり、アーム5の閉じ操作がされたタイミング(S102・Yes)を時間T0とする。
【0092】
参考例のショベルにおいて、アーム5の閉じ動作が開始される時点でアームシリンダ8のボトム側油室にコモリ圧が生じている。このため、少ない操作量であってもアームシリンダ8の推力を確保することができている。
【0093】
そして、アームシリンダ8のボトム側油室のコモリ圧が消費されることにより、操作量が同じであっても、アームシリンダ8の推力が減少する。このため、操作者は操作量を増加させる。これにより、ポンプ圧が増加し、アームシリンダ8の推力も増加する。
【0094】
このように、参考例のショベルにおいては、アームシリンダ8の推力の減少と増加が生じる。この推力の増減によって、ショベル本体に振動が生じる。
【0095】
第1実施形態に係るショベル100では、
図5に示す制御を行う。
図6(c)は、第1実施形態に係るショベル100におけるアームシリンダ8の推力、アームシリンダ8のボトム圧(アームボトム圧センサS8Bの検出値)、アームシリンダ8のロッド圧(アームロッド圧センサS8Rの検出値)、ポンプ圧(吐出圧センサ28の検出値)を示す。
図6(d)は、第1実施形態に係るショベル100における左操作レバー26Lの操作量(操作センサ29LAの検出値)を示す。また、横軸は時間であり、アーム5の閉じ操作がされたタイミング(S102・Yes)を時間T0とする。
【0096】
第1実施形態に係るショベル100において、アーム5の閉じ動作が開始される時点でアームシリンダ8のボトム側油室にコモリ圧が生じている。このため、少ない操作量であってもアームシリンダ8の推力を確保することができている。
【0097】
コントローラ30は、コモリ圧に対応するスプールの移動量M1に基づいて、制御弁176を制御する。なお、
図6(d)において、スプールの移動量M1に対応する操作量を破線で模式的に示す。これにより、ポンプ圧が増加し、アームシリンダ8の推力も増加する。
【0098】
これにより、アームシリンダ8のボトム側油室のコモリ圧が消費され、ボトム圧が減少する前に、作動油をアームシリンダ8のボトム側油室に供給することができる。したがって、第1実施形態に係るショベル100によれば、アームシリンダ8の推力の変動を抑制することができる。これにより、ショベル100本体に振動が生じることを抑制することができる。
【0099】
次に、
図7は、第2実施形態に係るショベル100のならし作業における制御を説明するフローチャートである。
図5に示す制御においては、コントローラ30は、アーム閉じ操作が行われた後に制御弁176(176L,176R)のスプールの移動量を制御する。これに対し、
図6に示す制御においては、コントローラ30は、アーム閉じ操作が行われる前のアーム開き動作の減速時に制御弁176(176L,176R)のスプールの移動量の制御を開始する。
【0100】
ステップS201において、コントローラ30は、アーム5の開き動作が行われているか否かを判定する。アーム開き動作が行われていない場合(S201・No)、コントローラ30の処理は、ステップS201を繰り返す。アーム開き動作が行われている場合(S201・Yes)、コントローラ30の処理は、ステップS202に進む。
【0101】
ステップS202において、コントローラ30は、アーム5の開き動作が減速しているか否かを判定する。アーム開き動作が減速していない場合(S202・No)、コントローラ30の処理は、ステップS201に戻る。アーム開き動作が減速している場合(S202・Yes)、コントローラ30の処理は、ステップS203に進む。
【0102】
ステップS203において、コントローラ30は、アームボトム圧センサS8Bでアームシリンダ8のボトム側油室の圧力(アームボトム圧)を検出する。
【0103】
ステップS204において、コントローラ30は、アームボトム圧が所定の閾値以上であるか否かを判定する。ここで、閾値は、例えばアームシリンダ8に設けられたリリーフ弁(図示せず)のリリーフ圧である。アームボトム圧が所定の閾値以上でない場合(S204・No)、コントローラ30の処理は、ステップS201に戻る。アームボトム圧が所定の閾値以上である場合(S204・Yes)、コントローラ30の処理は、ステップS205に進む。
【0104】
ステップS205において、コントローラ30は、制御弁176(176L,176R)をアーム5の閉じ動作側に切り替えて制御する。
【0105】
このように、第2実施形態に係るショベル100によれば、アームシリンダ8(油圧アクチュエータ)が開き方向(一方方向)に駆動中に、アームシリンダ8に対応する制御弁176のスプールを、閉じ方向(他方方向)のアームシリンダ8の駆動に対応する方向に移動させる。また、第2実施形態に係るショベル100によれば、アームボトム圧が所定の閾値を超えると、制御弁176のスプールを、閉じ方向(他方方向)のアームシリンダ8の駆動に対応する方向に移動させる。
【0106】
ステップS206において、コントローラ30は、アームボトム圧に基づいて、アームボトム圧によるアームシリンダ8の推力を推定する。
【0107】
ステップS207において、コントローラ30は、ステップS206で推定したアームボトム圧による推力に基づいて、アームボトム圧によるアーム5の閉じ速度を算出する。
【0108】
ステップS208において、コントローラ30は、ステップS207で算出したアームボトム圧によるアーム5の閉じ速度を実現する制御弁176(176L,176R)のスプールの移動量M1を算出する。
【0109】
ステップS209において、コントローラ30は、操作センサ29LAで検出した操作量に基づいて、制御弁176(176L,176R)のスプールの移動量M2を算出する。
【0110】
ステップS210において、コントローラ30は、ステップS209で算出した操作量に対応するスプールの移動量M2が、ステップS208で算出したアームボトム圧に対応するスプールの移動量M1が以下であるか否かを判定する。
【0111】
操作量に対応するスプールの移動量M2がアームボトム圧に対応するスプールの移動量M1以下である場合(S108・Yes)、コントローラ30の処理はステップS211に進む。
【0112】
ステップS211において、コントローラ30は、ステップS208で算出したアームボトム圧に対応するスプールの移動量M1に基づいて、比例弁31AL,31ARを制御し、制御弁176(176L,176R)のスプールの移動量を制御する。換言すれば、コントローラ30は、制御弁176(176L,176R)のスプールの移動量をステップS209で算出した操作量に対応するスプールの移動量M2よりも大きいステップS208で算出したアームボトム圧に対応するスプールの移動量M1とする。なお、ステップS211の後において、ステップS209で算出した操作量に対応するスプールの移動量M2が、ステップS208で算出したアームボトム圧に対応するスプールの移動量M1が以下となった場合、
図7に示す制御を停止させる。また、ステップS211の後において、アーム閉じ操作の操作量が所定値以下である場合、
図7に示す制御を停止させる。
【0113】
以上のように、第2実施形態に係るショベル100によれば、ならし作業におけるアームシリンダ8(油圧アクチュエータ)の状態に応じて、左操作レバー26L(操作装置26)の操作量に対応するアームシリンダ8(油圧アクチュエータ)の動作を補正する。即ち、第2実施形態に係るショベル100によれば、アームシリンダ8(油圧アクチュエータ)のアームボトム圧が所定の閾値を超えたとき(S204・Yes)、アームシリンダ8に対応する制御弁176のスプールの移動量を、左操作レバー26L(操作装置26)の操作量に対応するスプールの移動量M2よりも大きいスプールの移動量M1で制御する(S211参照)。また、スプールの移動量M1は、アームシリンダ8のアームボトム圧に応じて算出される(S206~S2086参照)。
【0114】
一方、操作量に対応するスプールの移動量M2がアームボトム圧に対応するスプールの移動量M1以下でない場合(S108・No)、コントローラ30の処理はステップS212に進む。
【0115】
ステップS212において、コントローラ30は、通常の制御を行う。即ち、コントローラ30は、操作センサ29LAで検出した操作量に基づいて、比例弁31AL,31ARを制御し、制御弁176(176L,176R)のスプールの移動量を制御する。換言すれば、コントローラ30は、ステップS209で算出した操作量に対応するスプールの移動量M2に基づいて、比例弁31AL,31ARを制御し、制御弁176(176L,176R)のスプールの移動量を制御する。
【0116】
なお、
図7では、アーム5の開き動作からアーム5の閉じ動作に切り替わる際の制御について説明したが、アーム5の閉じ動作からアーム5の開き動作に切り替わる際の制御についても適用することができる。この場合、ステップS203において、アームシリンダ8のロッド側油室のアームロッド圧を検出する。
【0117】
次に、参考例に係るショベルと対比しつつ、第2実施形態に係るショベル100のならし作業における制御について、
図8を用いて説明する。
図8は、参考例に係るショベル及び第2実施形態に係るショベル100のならし作業における制御を説明するタイムチャートである。
【0118】
参考例のショベルでは、通常制御(S110参照)を行う。
図8(a)は、参考例に係るショベルにおけるアームシリンダ8の推力、アームシリンダ8のボトム圧(アームボトム圧センサS8Bの検出値)、アームシリンダ8のロッド圧(アームロッド圧センサS8Rの検出値)、ポンプ圧(吐出圧センサ28の検出値)を示す。
図8(b)は、参考例に係るショベルにおける左操作レバー26Lの操作量(操作センサ29LAの検出値)を示す。また、横軸は時間であり、アーム5の閉じ操作がされたタイミングを時間T0とする。
【0119】
参考例のショベルにおいて、時間T1でアーム開き動作の減速を開始する。アーム開き動作の減速時にアームボトム圧が上昇する。なお、アームボトム圧がリリーフ圧を超えると、作動油がリリーフ弁を介して作動油タンクにリリーフされる。そして、アーム5の閉じ動作が開始される時点でアームシリンダ8のボトム側油室にコモリ圧が生じている。このため、少ない操作量であってもアームシリンダ8の推力を確保することができている。
【0120】
そして、アームシリンダ8のボトム側油室のコモリ圧が消費されることにより、操作量が同じであっても、アームシリンダ8の推力が減少する。このため、操作者は操作量を増加させる。これにより、ポンプ圧が増加し、アームシリンダ8の推力も増加する。
【0121】
このように、参考例のショベルにおいては、アームシリンダ8の推力の減少と増加が生じる。この推力の増減によって、ショベル本体に振動が生じる。
【0122】
第2実施形態に係るショベル100では、
図7に示す制御を行う。
図8(c)は、第2実施形態に係るショベル100におけるアームシリンダ8の推力、アームシリンダ8のボトム圧(アームボトム圧センサS8Bの検出値)、アームシリンダ8のロッド圧(アームロッド圧センサS8Rの検出値)、ポンプ圧(吐出圧センサ28の検出値)を示す。
図8(d)は、第2実施形態に係るショベル100における左操作レバー26Lの操作量(操作センサ29LAの検出値)を示す。また、横軸は時間であり、アーム5の閉じ操作がされたタイミング(S102・Yes)を時間T0とする。
【0123】
第2実施形態に係るショベル100において、時間T1でアーム開き動作の減速を開始する。アーム開き動作の減速時にアームボトム圧が上昇する。時間T2でアームボトム圧が所定の閾値以上となると、コントローラ30は、制御弁176(176L,176R)をアーム5の閉じ動作側に切り替えて制御する。なお、
図8(d)において、コントローラ30によって制御されるスプールの移動量に対応する操作量を破線で模式的に示す。
以降、コントローラ30の制御(S206~S212)は、第1実施形態に係るショベル100のコントローラ30の制御(S104~S110)と同様に制御する。
【0124】
第2実施形態に係るショベル100によれば、アーム開き動作の減速に生じたアームボトム圧をアーム閉じ動作に利用することができるので、ショベル100の燃費を向上させることができる。
【0125】
また、第2実施形態に係るショベル100によれば、アームシリンダ8の推力の変動を抑制することができる。これにより、ショベル100本体に振動が生じることを抑制することができる。
【0126】
なお、第1及び第2実施形態に係るショベル100において、アーム5の開閉動作を繰り返すならし作業を例に説明したが、これに限られるものではない。ブーム4の上下動作を繰り返す作業に適用してもよく、バケット6の開閉動作を繰り返す作業に適用してもよい。
【0127】
また、上部旋回体3を旋回させる旋回油圧モータ2Aの制御に適用してもよい。例えば、一の回転方向に旋回する上部旋回体3が回転を停止する際、上部旋回体3が慣性力によって回転することで、旋回油圧モータ2Aが油圧ポンプとして機能し、旋回油圧モータ2Aの一のポートにコモリ圧が生じる。そして、一の回転方向とは異なる他の回転方向に上部旋回体3を回転させる際、コモリ圧によって、上部旋回体3が速く旋回し、ショベル本体に振動が生じる。
【0128】
コントローラ30は、左旋回圧センサS10L又は右旋回圧センサS10Rで検出する旋回油圧モータ2Aの一方のポートの圧力又は他方のポートの圧力が所定の値を超えたとき(S103,S204参照)、一方のポートの圧力又は他方のポートの圧力に応じて、制御弁173のスプールの移動量を算出する(S104~S106,S206~S208参照)。そして、コントローラ30は、算出したスプールの移動量と左操作レバー26Lの操作量に対応するスプールの移動量とに基づいて、スプールの移動量を制御する(S107~S110,S209~S212参照)。これにより、ショベル100本体に振動が生じることを抑制することができる。
【符号の説明】
【0129】
100 ショベル
1 下部走行体
2 旋回機構
2A 旋回油圧モータ(油圧アクチュエータ)
3 上部旋回体
4 ブーム
5 アーム
6 バケット
7 ブームシリンダ(油圧アクチュエータ)
8 アームシリンダ(油圧アクチュエータ)
9 バケットシリンダ(油圧アクチュエータ)
14 メインポンプ(油圧ポンプ)
17 コントロールバルブユニット
171~176 制御弁
26 操作装置
28 吐出圧センサ
29 操作センサ
30 コントローラ(制御装置)
31 比例弁
S8R アームロッド圧センサ
S8B アームボトム圧センサ
S10L 左旋回圧センサ
S10R 右旋回圧センサ