(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157940
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】電子ミラーシステム
(51)【国際特許分類】
B60R 1/00 20220101AFI20221006BHJP
B60R 11/02 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
B60R1/00 A
B60R11/02 C
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021062487
(22)【出願日】2021-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000000170
【氏名又は名称】いすゞ自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100124084
【弁理士】
【氏名又は名称】黒岩 久人
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】星野 健太
(72)【発明者】
【氏名】榊 和彦
(72)【発明者】
【氏名】大河原 琢真
(72)【発明者】
【氏名】大沢 隆之
【テーマコード(参考)】
3D020
【Fターム(参考)】
3D020BA04
3D020BA05
3D020BB01
3D020BC16
3D020BD09
(57)【要約】
【課題】電子ミラーシステムに異常が発生しても運転者が車両後方を容易に確認できる。
【解決手段】電子ミラーシステムは、車両の側面よりも車幅方向において突出している突出体20に取り付けられ、後方を撮像する撮像部3と、撮像部3が撮像した撮像画像を表示部に表示させる制御部と、突出体20において撮像部3の取付位置とは異なる位置に取り付けられた鏡面部25と、撮像部3が後方を臨む第1位置と、鏡面部25が後方を臨む第2位置との間で、車幅方向に沿った軸周りに突出体20を回動させる回動機構27とを備える。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の側面よりも車幅方向において突出している突出体に取り付けられ、後方を撮像する撮像部と、
前記撮像部が撮像した撮像画像を表示部に表示させる制御部と、
前記突出体において前記撮像部の取付位置とは異なる位置に取り付けられた鏡面部と、
前記撮像部が後方を臨む第1位置と、前記鏡面部が後方を臨む第2位置との間で、前記車幅方向に沿った軸周りに前記突出体を回動させる回動機構と、
を備える、電子ミラーシステム。
【請求項2】
前記鏡面部が臨む方向は、前記撮像部が臨む方向と直交している、
請求項1に記載の電子ミラーシステム。
【請求項3】
前記突出体が前記第1位置に位置する際に、前記鏡面部は鉛直下方を臨む、
請求項1又は2に記載の電子ミラーシステム。
【請求項4】
前記制御部は、前記第1位置に位置する前記突出体の前記第2位置への回動が検知されると、前記撮像部及び前記表示部をオフにする、
請求項1から3のいずれか1項に記載の電子ミラーシステム。
【請求項5】
前記制御部は、システムの異常が検知されると、前記回動機構によって前記突出体を前記第2位置へ回動させる、
請求項1から3のいずれか1項に記載の電子ミラーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子ミラーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、サイドミラーの代わりに、車両の後方を撮像部に撮像させ、撮像画像を車室内の表示部に表示させる電子ミラーシステムが提案されている(下記の特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子ミラーシステムでは、電子デバイスを用いているため、システムに異常が発生するおそれがある。システムの異常が発生すると、表示部に撮像画像が適切に表示されなくなるので、運転者は後方を確認することが困難となる。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、電子ミラーシステムに異常が発生しても運転者が車両後方を容易に確認できることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一の態様においては、車両の側面よりも車幅方向において突出している突出体に取り付けられ、後方を撮像する撮像部と、前記撮像部が撮像した撮像画像を表示部に表示させる制御部と、前記突出体において前記撮像部の取付位置とは異なる位置に取り付けられた鏡面部と、前記撮像部が後方を臨む第1位置と、前記鏡面部が後方を臨む第2位置との間で、前記車幅方向に沿った軸周りに前記突出体を回動させる回動機構と、を備える、電子ミラーシステムを提供する。
【0007】
また、前記鏡面部が臨む方向は、前記撮像部が臨む方向と直交していることとしてもよい。
【0008】
また、前記突出体が前記第1位置に位置する際に、前記鏡面部は鉛直下方を臨むこととしてもよい。
【0009】
また、前記制御部は、前記第1位置に位置する前記突出体の前記第2位置への回動が検知されると、前記撮像部及び前記表示部をオフにすることとしてもよい。
【0010】
また、前記制御部は、システムの異常が検知されると、前記回動機構によって前記突出体を前記第2位置へ回動させることとしてもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、電子ミラーシステムに異常が発生しても運転者が車両後方を容易に確認できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】一の実施形態に係る電子ミラーシステム1の構成を説明するための模式図である。
【
図2】撮像部3、4の取付位置を説明するための模式図である。
【
図3】突出体20の構成を説明するための模式図である。
【
図4】突出体20の構成を説明するための模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
<電子ミラーシステムの構成>
一の実施形態に係る電子ミラーシステムの構成について、
図1及び
図2を参照しながら説明する。
【0014】
図1は、一の実施形態に係る電子ミラーシステム1の構成を説明するための模式図である。電子ミラーシステム1は、車両に搭載されており、サイドミラーの代用品として利用される。電子ミラーシステム1は、車両の後方を撮像し、撮像した撮像画像を表示部に表示させる。これにより、車両の運転者は、運転中や降車時に、死角となる車両後方を確認できる。電子ミラーシステム1は、
図1に示すように、複数の撮像部3、4と、複数の表示部5、6と、検知部8と、制御装置10を有する。
【0015】
撮像部3、4は、車両の両側に設けられており、車両の後方を撮像する。撮像部3、4は、例えば広角カメラであり、撮像素子を含む。撮像部3、4は、撮像した撮像画像を制御装置10に出力する。
【0016】
図2は、撮像部3、4の取付位置を説明するための模式図である。撮像部3は、
図2に示すように車両100の左側面に取り付けられており、車両100の左後方を撮像する。具体的には、撮像部3は、車両100の左側面より車幅方向において突出している突出体20に取り付けられている。撮像部4は、車両100の右側面に取り付けられており、車両100の右後方を撮像する。具体的には、撮像部4は、車両100の右側面より車幅方向において突出している突出体30に取り付けられている。なお、突出体20、30の詳細構成については、後述する。
【0017】
表示部5、6は、車両の内部に設けられており、撮像部3、4が撮像した撮像画像を表示する。例えば、表示部5は撮像部3の撮像画像を表示し、表示部6は撮像部4の撮像画像を表示する。表示部5、6は、例えば液晶ディスプレイである。表示部5は車両内において撮像部3の近くに配置され、表示部6は撮像部4の近くに配置されている。
【0018】
検知部8は、電子ミラーシステム1の状態を検知する。例えば、検知部8は、撮像部3、4と、表示部5、6と、制御装置10と、これらの間を接続するハーネスの状態を検知することで、システムの異常の有無を検知可能である。検知部8は、検知結果を制御装置10に出力する。
【0019】
制御装置10は、電子ミラーシステム1の動作を制御する。すなわち、制御装置10は、撮像部3、4に撮像を行わせ、撮像画像を表示部5、6に表示させる。制御装置10は、記憶部12と、制御部14とを有する。
【0020】
記憶部12は、例えばROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含む。記憶部12は、制御部14が実行するためのプログラムや各種データを記憶する。
【0021】
制御部14は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。制御部14は、記憶部12に記憶されたプログラムを実行することにより、電子ミラーシステム1の動作を制御する。例えば、制御部14は、撮像部3、4が撮像した撮像画像を表示部5、6に表示させる。
【0022】
ところで、電子ミラーシステム1では、撮像部3、4や表示部5、6等の電子デバイスを用いているため、システムに異常が発生するおそれがある。システムの異常が発生すると、表示部5、6に撮像画像が適切に表示されなくなるので、運転者は後方を確認することが困難となる。
これに対して、本実施形態では、詳細は後述するが、突出体20、30に撮像部3、4に加えて鏡面部が設けられており、システム異常が発生した場合には、鏡面部が後方を臨むように突出体20、30を回動できる構成となっている。突出体20、30は、
図2に示す回転軸Cを中心に回動する。これにより、システム異常が発生した場合には、車両の運転者は、後方を臨む鏡面部に写される像を見ることで、車両の後方を容易に確認できる。
【0023】
<突出体の詳細構成>
突出体20、30の詳細構成について、
図3及び
図4を参照しながら説明する。突出体20、30は同一の構成であるので、以下では、撮像部3が取り付けられた突出体20を例に挙げて説明する。
【0024】
図3及び
図4は、突出体20の構成を説明するための模式図である。
図3には、第1位置に位置する突出体20が示され、
図4には、第2位置に位置する突出体20が示されている。突出体20は、車両のミラーが設置される位置に配置されている。突出体20は、
図3に示すように、筐体22と、鏡面部25と、回動機構27とを有する。
【0025】
筐体22は、突出体20の骨格を成す部分であり、ここでは直方形状を成している。筐体22の内部には、撮像部3が配置されている。筐体22は、
図3に示す第1位置と、
図4に示す第2位置との間で、回動可能である。筐体22は、第1位置から
図3に示す矢印方向に回動することで、第2位置に位置する。
【0026】
第1位置は、筐体22の背面23aが上下方向と平行になる位置である。背面23aには、撮像部3が後方を撮像できるように、開口が形成されている。第2位置は、筐体22の底面23bが上下方向と平行になる位置である。電子ミラーシステム1が正常に動作している場合には筐体22が第1位置に位置し、システムに異常が発生した場合には筐体22が第2位置に位置する。
【0027】
鏡面部25は、平板状に形成されている。鏡面部25は、突出体20において撮像部3の取付位置とは異なる位置に取り付けられている。具体的には、鏡面部25は、筐体22の底面23bに取り付けられている。
【0028】
鏡面部25は、突出体20が第1位置に位置する際に、
図3に示すように鉛直下方を臨む。この場合、鏡面部25に光が入射しても路面に反射されるので、反射光が、周囲の車両や歩行者等に悪影響を及ぼすことを防止できる。突出体20が第1位置に位置する際に、撮像部3は車両の後方を臨む。このため、突出体20が第1位置に位置する際に、鏡面部25が臨む方向は、撮像部3が臨む方向と直交している。
【0029】
一方で、鏡面部25は、突出体20が第2位置に位置する際には、
図4に示すように車両の後方を臨む。このため、突出体20が第2位置に位置する際には、車両の後方の状況が鏡面部25に写される。これにより、車両の運転者は、突出体20が第2位置に位置する際には、鏡面部25を見ることで車両の後方を確認できる。
【0030】
鏡面部25は、ここでは底面23bのほぼ全領域に亘って設けられている。この場合、広い面積の鏡面部25を配置できるので、突出体20が第2位置に位置する際に、鏡面部25によって車両の後方の広い範囲を確認できる。なお、上記に限定されず、鏡面部25は、底面23bの一部の領域に設けられていてもよい。
【0031】
回動機構27は、車幅方向に沿った軸(すなわち、
図1に示す回転軸C)周りに突出体20を回動させる機構である。本実施形態では、回動機構27は、撮像部3が後方を臨む第1位置と、鏡面部25が後方を臨む第2位置との間で、突出体20を回動させる。ここでは、車両の運転者が、手動で、突出体20を第1位置と第2位置との間で回動させる。
【0032】
回動機構27は、突出体20が第1位置から90度以上回動することを規制する回動規制部を有してもよい。一例として、回転規制部は、突出体20が第1位置から90度回動した位置でロックさせるロック機構を有する。これにより、運転者が手動で突出体20を回動する際に90度以上回動することを防止できる。この結果、手動で突出体20を回動した際に、突出体20が第1位置から90度回動した第2位置に位置しやすくなり、運転者は鏡面部25によって後方を確認しやすくなる。
【0033】
制御装置10の制御部14は、突出体20、30の位置に応じて、撮像部3、4及び表示部5、6の動作を制御してもよい。例えば、制御部14は、第1位置に位置する突出体20の第2位置への回動が検知されると、撮像部3及び表示部5をオフにする。すなわち、制御部14は、鏡面部25によって後方を確認する状況では、撮像部3及び表示部5をオフにする。この際、制御部14は、撮像部3及び表示部5だけでなく、撮像部4及び表示部6もオフにする。なお、突出体20の第2位置への回動は、検知部8によって検知される。
【0034】
上記では、鏡面部25が、筐体22の底面23bに取り付けられていることとしたが、これに限定されない。例えば、鏡面部25は、筐体22の上面に取り付けられていてもよい。
【0035】
また、上記では、車両の運転者が、手動で突出体20を第2位置へ回動させることとしたが、これに限定されず、突出体20が自動で第2位置へ回動してもよい。例えば、制御部14は、回動機構27に設けられたモータを駆動させて、突出体20を第2位置へ回動させる。具体的には、制御部14は、検知部8によってシステムの異常が検知されると、回動機構27によって突出体20を第2位置へ回動させる。これにより、システムの異常が発生すると直ぐに突出体20が第2位置へ回動するので、運転中の運転者が車両から降りて突出体20を回動させる必要がなくなる。
なお、制御部14は、突出体20を回動させる際には、突出体30も一緒に回動させる。
【0036】
<本実施形態における効果>
上述した実施形態の電子ミラーシステム1は、突出体20において撮像部3の取付位置とは異なる位置に取り付けられた鏡面部25と、撮像部3が後方を臨む第1位置と、鏡面部25が後方を臨む第2位置との間で、突出体20を回動させる回動機構27とを有する。
これにより、システム異常が発生した場合には、鏡面部25が後方を臨むように突出体20を第2位置へ回動できる。このため、システム異常が発生した場合には、車両の運転者は、鏡面部25に写る像を見ることで、車両の後方を容易に確認できる。この結果、運転者は、システム異常が発生しても鏡面部25によって後方を確認することで、車両の走行を継続できる。
【0037】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0038】
1 電子ミラーシステム
3、4 撮像部
5、6 表示部
14 制御部
20 突出体
25 鏡面部
27 回動機構