(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157962
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】容器貯蔵装置
(51)【国際特許分類】
F25D 13/04 20060101AFI20221006BHJP
F25D 11/00 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
F25D13/04
F25D11/00 101B
F25D11/00 101W
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021062519
(22)【出願日】2021-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】594119298
【氏名又は名称】株式会社メイコー
(74)【代理人】
【識別番号】100166006
【弁理士】
【氏名又は名称】泉 通博
(74)【代理人】
【識別番号】100188156
【弁理士】
【氏名又は名称】望月 義時
(74)【代理人】
【識別番号】100154070
【弁理士】
【氏名又は名称】久恒 京範
(74)【代理人】
【識別番号】100153280
【弁理士】
【氏名又は名称】寺川 賢祐
(72)【発明者】
【氏名】米山 詩麻夫
【テーマコード(参考)】
3L045
【Fターム(参考)】
3L045AA02
3L045CA02
3L045DA04
3L045LA08
3L045LA12
3L045MA02
3L045MA12
3L045PA02
3L045PA04
(57)【要約】
【課題】容器貯蔵装置において、飲料が収容された容器の温度を個別に一本ずつ管理することができるようにする。
【解決手段】容器貯蔵装置Sは、飲料が収容された容器を容器毎に貯蔵する複数の容器貯蔵ユニットと、複数の容器貯蔵ユニットを制御する制御ユニット5と、を備え、容器貯蔵ユニット1は、容器を収容する収容部11と、収容部11に設けられており、収容部11に容器が収容された状態で収容部11の内部の空気を加熱又は冷却することで、収容部11に収容された容器内の飲料の温度を調節する温度調節部12と、を有し、制御ユニット5は、複数の容器貯蔵ユニット毎に容器の温度を検出する容器温度検出部512と、複数の容器貯蔵ユニット毎に容器内の飲料に対して設定された温度を特定する設定温度特定部514と、複数の容器貯蔵ユニット毎に検出温度と設定温度との差が閾値以内になるように温度調節部を制御する温度制御部519と、を有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
飲料が収容された容器を前記容器毎に貯蔵する複数の容器貯蔵ユニットと、
前記複数の容器貯蔵ユニットを制御する制御ユニットと、
を備え、
前記容器貯蔵ユニットは、
前記容器を収容する収容部と、
前記収容部に設けられており、前記収容部に前記容器が収容された状態で前記収容部の内部の空気を加熱又は冷却することで、前記収容部に収容された前記容器内の前記飲料の温度を調節する温度調節部と、
を有し、
前記制御ユニットは、
前記複数の容器貯蔵ユニット毎に前記容器の温度を検出する容器温度検出部と、
前記複数の容器貯蔵ユニット毎に前記容器内の前記飲料に対して設定された温度を特定する設定温度特定部と、
前記複数の容器貯蔵ユニット毎に前記容器温度検出部が検出した検出温度と前記設定温度特定部が特定した設定温度との差が閾値以内になるように前記温度調節部を制御する温度制御部と、
を有する容器貯蔵装置。
【請求項2】
前記制御ユニットは、前記複数の容器貯蔵ユニット毎に前記容器に対して設定された時刻を特定する設定時刻特定部をさらに有し、
前記温度制御部は、前記複数の容器貯蔵ユニット毎に前記設定時刻特定部が特定した設定時刻に前記容器温度検出部が検出した前記検出温度と前記設定温度特定部が特定した前記設定温度との差が前記閾値以内になるように前記温度調節部を制御する、
請求項1に記載の容器貯蔵装置。
【請求項3】
前記制御ユニットは、前記複数の容器貯蔵ユニット毎に前記容器温度検出部が前記容器の温度を検出した時刻を特定する容器温度検出時刻特定部をさらに有し、
前記温度制御部は、前記複数の容器貯蔵ユニット毎に前記設定時刻特定部が特定した前記設定時刻と前記容器温度検出時刻特定部が特定した容器温度検出時刻との間隔に基づいて、前記容器内の前記飲料の昇温速度又は降温速度を調節するように前記温度調節部を制御する、
請求項2に記載の容器貯蔵装置。
【請求項4】
前記温度調節部を作動する電力を蓄電する蓄電部をさらに有し、
前記温度調節部は、
熱を発生又は吸収することで前記収容部に前記容器が収容された状態で前記収容部の内部の空気を加熱又は冷却するペルチェ素子と、
前記ペルチェ素子を冷却するためのファン部と、
を有し、
前記温度制御部は、停電時に前記蓄電部に蓄電された電力によって前記ファン部を作動させることで前記ペルチェ素子を冷却する、
請求項1から3のいずれか一項に記載の容器貯蔵装置。
【請求項5】
前記制御ユニットは、前記温度調節部を第1消費電力で作動する第1モード、及び前記温度調節部を前記第1消費電力よりも小さい第2消費電力で作動する第2モードのうちの設定された作動モードを特定する作動モード特定部をさらに有し、
前記温度制御部は、前記作動モード特定部が特定した作動モードで前記温度調節部を作動する、
請求項1から4のいずれか一項に記載の容器貯蔵装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器貯蔵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、容器貯蔵装置が知られている。特許文献1には、複数のワインボトルの収納が可能な保存室の温度管理が可能なワインセラーが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ワインごとに適した温度が異なるが、特許文献1に示すワインセラーの場合、複数本のワインボトルが同じ温度になってしまうため、ワインごとに適した温度で管理することが困難であるという問題が生じていた。
【0005】
そこで、本発明はこれらの点に鑑みてなされたものであり、飲料が収容された容器の温度を個別に一本ずつ管理することができる容器貯蔵装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の態様においては、飲料が収容された容器を前記容器毎に貯蔵する複数の容器貯蔵ユニットと、前記複数の容器貯蔵ユニットを制御する制御ユニットと、を備え、前記容器貯蔵ユニットは、前記容器を収容する収容部と、前記収容部に設けられており、前記収容部に前記容器が収容された状態で前記収容部の内部の空気を加熱又は冷却することで、前記収容部に収容された前記容器内の前記飲料の温度を調節する温度調節部と、を有し、前記制御ユニットは、前記複数の容器貯蔵ユニット毎に前記容器の温度を検出する容器温度検出部と、前記複数の容器貯蔵ユニット毎に前記容器内の前記飲料に対して設定された温度を特定する設定温度特定部と、前記複数の容器貯蔵ユニット毎に前記容器温度検出部が検出した検出温度と前記設定温度特定部が特定した設定温度との差が閾値以内になるように前記温度調節部を制御する温度制御部と、を有する容器貯蔵装置を提供する。
【0007】
また、前記制御ユニットは、前記複数の容器貯蔵ユニット毎に前記容器に対して設定された時刻を特定する設定時刻特定部をさらに有し、前記温度制御部は、前記複数の容器貯蔵ユニット毎に前記設定時刻特定部が特定した設定時刻に前記容器温度検出部が検出した前記検出温度と前記設定温度特定部が特定した前記設定温度との差が前記閾値以内になるように前記温度調節部を制御してもよい。
【0008】
また、前記制御ユニットは、前記複数の容器貯蔵ユニット毎に前記容器温度検出部が前記容器の温度を検出した時刻を特定する容器温度検出時刻特定部をさらに有し、前記温度制御部は、前記複数の容器貯蔵ユニット毎に前記設定時刻特定部が特定した前記設定時刻と前記容器温度検出時刻特定部が特定した容器温度検出時刻との間隔に基づいて、前記容器内の前記飲料の昇温速度又は降温速度を調節するように前記温度調節部を制御してもよい。
【0009】
また、前記温度調節部を作動する電力を蓄電する蓄電部をさらに有し、前記温度調節部は、熱を発生又は吸収することで前記収容部に前記容器が収容された状態で前記収容部の内部の空気を加熱又は冷却するペルチェ素子と、前記ペルチェ素子を冷却するためのファン部と、を有し、前記温度制御部は、停電時に前記蓄電部に蓄電された電力によって前記ファン部を作動させることで前記ペルチェ素子を冷却してもよい。
【0010】
また、前記制御ユニットは、前記温度調節部を第1消費電力で作動する第1モード、及び前記温度調節部を前記第1消費電力よりも小さい第2消費電力で作動する第2モードのうちの設定された作動モードを特定する作動モード特定部をさらに有し、前記温度制御部は、前記作動モード特定部が特定した作動モードで前記温度調節部を作動してもよい。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、容器貯蔵装置において、飲料が収容された容器の温度を個別に一本ずつ管理することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本実施形態に係る容器貯蔵装置を有する容器貯蔵システムの構成を示す。
【
図2】複数の容器貯蔵ユニットが支持部に支持されている状態を示す。
【
図3】本実施形態に係る容器貯蔵装置の構成を示す。
【
図4】容器貯蔵ユニットの蓋部が開かれた状態を示す。
【
図5】容器貯蔵ユニットの温度調節部付近の構造を示す。
【
図7】無線通信端末における入力画面の一例を示す。
【
図8】無線通信端末における情報出力画面の一例を示す。
【
図11】変形例としての容器貯蔵装置を有する容器貯蔵システムの構成を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
[容器貯蔵システムAの概要]
図1は、本実施形態に係る容器貯蔵装置Sを有する容器貯蔵システムAの構成を示す図である。
容器貯蔵システムAは、容器貯蔵装置S、及び無線通信端末Tを有する。容器貯蔵装置Sは、飲料が収容された複数の容器を容器毎に貯蔵する装置である。飲料は、例えばワインを含む。容器貯蔵装置Sは、複数の容器貯蔵ユニット1~1e、及び制御ユニット5を有する。複数の容器貯蔵ユニット1~1eは、飲料が収容された容器を容器毎に貯蔵する。複数の容器貯蔵ユニット1~1eは、同一の構造を有する。容器貯蔵ユニット1の詳細は後述する。
【0014】
制御ユニット5は、複数の容器貯蔵ユニット1~1eを制御する。制御ユニット5の詳細は後述する。なお、容器貯蔵装置Sは、例えば、6つの容器貯蔵ユニット1~1eを有しており、制御ユニット5は、6つの容器貯蔵ユニット1~1eを制御する例を示したが、これに限定されない。容器貯蔵装置Sが有する容器貯蔵ユニットの数、及び制御ユニット5が制御する容器貯蔵ユニットの数は任意である。
【0015】
無線通信端末Tは、容器貯蔵装置Sと通信する機器である。無線通信端末Tは、例えばタッチパネル式のタブレットを含む。無線通信端末Tは、容器貯蔵装置Sの作動を操作したり、容器貯蔵装置Sが有する情報を表示したりすることができる。無線通信端末Tの詳細は後述する。
【0016】
[容器貯蔵装置Sの構成]
図2は、複数の容器貯蔵ユニット1~1bが支持部22に支持されている状態を示す図である。
図3は、本実施形態に係る容器貯蔵装置Sの構成を示す図である。なお、
図3において、容器貯蔵ユニット1c~1eは省略する。
【0017】
容器貯蔵装置Sは、筐体21、支持部22、及び蓄電部4を有する。筐体21は、複数の容器貯蔵ユニット1~1e、支持部22、蓄電部4、及び制御ユニット5を収容する。支持部22は、複数の容器貯蔵ユニットを支持するための部材である。
図2に示すように、支持部22は、複数の容器貯蔵ユニット1~1bを容器貯蔵装置Sの高さ方向において縦列に並べて配置した状態で支持する。
【0018】
蓄電部4は、停電時において、後述する温度調節部12~12bを作動する電力を蓄電する。
【0019】
[容器貯蔵ユニット1の構成]
図4は、容器貯蔵ユニット1の蓋部116が開かれた状態を示す図である。
図5は、容器貯蔵ユニット1の温度調節部12付近の構造を示す図である。
【0020】
容器貯蔵ユニット1は、収容部11、温度調節部12、容器検知センサ13、及び容器温度検出センサ14を有する。収容部11は、容器Bを収容する。収容部11は、例えば、ワイン用容器Bの場合は、支持部22に支持された状態で、容器貯蔵装置Sの高さ方向において収容部11の蓋部116が設けられている側が収容部11の蓋部116が設けられている側とは反対側よりも上方に位置するように水平方向に対して4°~15°傾斜している。
【0021】
収容部11がこのように傾斜して設けられていることで、飲料が収容された容器Bの底が収容部11の奥側に向けられた状態で、容器Bの先端が容器Bの底よりも上方に位置するように容器Bを水平方向に対して4°~15°傾斜させて収容部11に収容することができる。容器Bがこのように収容部11に収容されることで、容器Bの先端に設けられているコルクが乾くのを防ぐとともに、容器B内の飲料の滓が容器Bの底に留まるようにすることができる。
【0022】
収容部11は、収容部本体111、設置部114、容器ストッパー部115、及び蓋部116を有する。収容部本体111は、容器Bを収容する。収容部本体111は、内側円筒部112、及び外側円筒部113を有する。内側円筒部112は、容器Bを収容する。内側円筒部112は、例えば銅又はアルミニウム等の熱伝導の良い金属で製造されている。収容部11がこのような内側円筒部112を有することで、収容部11内を均一の温度に保ち易くなる。外側円筒部113は、内側円筒部112の径方向における外側に設けられている。外側円筒部113は、断熱材で製造されている。
【0023】
設置部114は、容器Bが収容部11に収容された状態で設置される部品である。設置部114は、収容部11の長手方向において延伸している。複数の設置部114が、内側円筒部112の内周面における容器貯蔵装置Sの高さ方向における下方側に並べて配置されている。収容部11には、このように設置部114が設けられていることで、容器Bは収容部11に収容された状態で設置部114に設置されるため、容器Bが内側円筒部112の内周面に接触するのを防ぐことができる。
【0024】
容器ストッパー部115は、容器Bが収容部11に収容された状態で、後述する温調板122に接触するのを防ぐための部品である。容器ストッパー部115は、後述する温調板122の収容部11の内側の空間側の面に設けられている。収容部11には、このように容器ストッパー部115が設けられていることで、収容部11に収容された容器Bの底が容器ストッパー部115に接するため、容器Bの底が温調板122に接触するのを防ぐことができる。
【0025】
蓋部116は、収容部本体111の内側の空間を覆う部品である。蓋部116は、収容部本体111に開閉可能な状態で設けられている。
【0026】
温度調節部12は、収容部11に設けられている。温度調節部12は、収容部11の長手方向における蓋部116が設けられている側とは反対側の端部に設けられている。温度調節部12は、収容部11に容器Bが収容された状態で収容部11の内部の空気を加熱又は冷却することで、収容部11に収容された容器B内の飲料の温度を調節する。温度調節部12は、ペルチェ素子121、温調板122、ヒートシンク123、ファン部124、及び抑え板125を有する。
【0027】
ペルチェ素子121は、熱を発生又は吸収することで収容部11に容器Bが収容された状態で収容部11の内部の空気を加熱又は冷却する。ペルチェ素子121は、電流を流すことにより一方の側の面で熱を発生し、他方の側の面で熱を吸収する。ペルチェ素子121は、電流の極性を変更することで熱を発生する面と熱を吸収する面とを変更したり、電流の大きさを変更することで発生及び吸収する熱量を変更したりすることができる。容器貯蔵装置Sにおいては、ペルチェ素子121に流す電流を制御することで、収容部11の内部の空気を加熱又は冷却したり、加熱度合い又は冷却度合いを調節したりすることができる。
【0028】
温調板122は、例えば銅又はアルミニウムで製造されている。温調板122は、内側円筒部112の長手方向における蓋部116が設けられている側とは反対側に設けられており、内側円筒部112と熱伝導的に接続している。即ち、内側円筒部112内の空気は熱伝導的に接続された金属に覆われている。温調板122の収容部11の外側の面にはペルチェ素子121が接している。温調板122のペルチェ素子121が接している側の面とは反対側の面は、内側円筒部112の内側の空間に露出する領域を有する。ペルチェ素子121は、温調板122を介して収容部11の内部の空気を加熱又は冷却する。
【0029】
ヒートシンク123は、例えば放熱フィンを含む。ヒートシンク123は、ペルチェ素子121を冷却するための部品である。ヒートシンク123は、ペルチェ素子121よりも収容部11から離れた位置に設けられている。ヒートシンク123は、ペルチェ素子121から伝わる熱を容器貯蔵ユニット1の外部の空気と熱交換することで放熱する。
【0030】
ファン部124は、ペルチェ素子121を冷却するための部品である。ファン部124は、ヒートシンク123よりも収容部11から離れた位置に設けられている。ファン部124は、空気を流すための気流を発生するためのファンを有する。ファン部124は、ヒートシンク123に空気を流してヒートシンク123の放熱性能を向上させることでペルチェ素子121を冷却する。
【0031】
抑え板125は、ペルチェ素子121を温調板122に押し付けるための部品である。ペルチェ素子121には、ビス等の締結部品を挿入するための穴が形成されていないため、ペルチェ素子121は、抑え板125によって温調板122に押し付けられることで温調板122に固定されている。抑え板125は、ペルチェ素子121とヒートシンク123との間に設けられている。
【0032】
容器検知センサ13は、収容部11に容器Bが収容されているか否かを検知する。容器検知センサ13は、検知した収容部11に容器Bが収容されているか否かを示す情報を後述する容器検知部511に通知する。容器検知センサ13は、容器検知センサ13の一部が収容部11の内側に突出するようにして収容部11に設けられている。
【0033】
容器温度検出センサ14は、収容部11に収容された容器Bの温度を検出する。容器温度検出センサ14は、検出した収容部11に収容された容器Bの温度を示す情報を後述する容器温度検出部512に通知する。容器温度検出センサ14は、収容部11の内側に設けられている。容器温度検出センサ14は、例えば、設置部114の容器Bが接触する側の面に設けられていてもよい。
【0034】
[制御ユニット5の構成]
図6は、制御ユニット5の構成を示す図である。なお、
図6において、容器貯蔵ユニット1c~1eは省略する。
【0035】
制御ユニット5は、制御部51、記憶部53、操作部54、表示部55、及び通信部56を有する。制御部51は、例えばCPU(Central Processing Unit)であり、記憶部53に記憶されたプログラムを実行することにより、容器検知部511、容器温度検出部512、設定温度特定部514、設定時刻特定部515、容器温度検出時刻特定部516、停電検知部517、作動モード特定部518、温度制御部519、ペルチェ素子制御部520、ファン部制御部521、及び蓄電部制御部522を機能させる。制御部51の詳細については後述する。
【0036】
記憶部53は、ROM(Read Only Memory)及びRAM(Random Access Memory)を含んでいる。記憶部53は、制御部51が実行するプログラムを記憶している。記憶部53は、制御部51が容器貯蔵装置Sを制御するために用いる各種データを記憶している。
【0037】
記憶部53には、例えば、容器貯蔵装置Sに貯蔵される容器内の飲料の保存温度、容器貯蔵装置Sに貯蔵される複数の容器内の飲料の種類と、それぞれの飲料の飲み頃温度が対応付けられたデータが記憶されている。また、記憶部53には、例えばワインの種類毎にワインの銘柄を含むワインの各種情報が記憶されている。これらの記憶部53に記憶されている情報は、新たな種類の飲料が容器貯蔵装置Sに貯蔵される度に、操作部54から入力されてもよい。
【0038】
操作部54は、後述する設定温度、及び設定時刻を入力する。また、操作部54は、操作部54で入力された設定温度を示す情報を後述する設定温度特定部514に通知する。また、操作部54は、操作部54で入力された設定時刻を示す情報を後述する設定時刻特定部515に通知する。操作部54から入力される項目は、記憶部53に銘柄ごとに対応付けられたデータが事前に記憶されている場合は、一部省略することができる。
【0039】
表示部55は、後述する容器検知部511が検知した収容部11に容器Bが収容されているか否かを示す情報、後述する容器温度検出部512が検出した容器温度、後述する設定温度特定部514が特定した設定温度、後述する設定時刻特定部515が特定した設定時刻、後述する容器温度検出時刻特定部516が特定した容器温度検出時刻、後述する作動モード特定部518が特定した作動モードを示す情報を表示する。
【0040】
通信部56は、無線通信端末T又は他システムと通信してもよい。通信部56は、後述する容器温度検出部512が検出した容器温度を示す情報、後述する設定温度特定部514が特定した設定温度を示す情報、及び後述する設定時刻特定部515が特定した設定時刻を示す情報を無線通信端末Tに送信してもよい。また、通信部56は、記憶部53に記憶されている、例えばワインの銘柄を含むワインの各種情報を無線通信端末Tに送信してもよい。また、通信部56は、無線通信端末Tから無線通信端末Tで入力した後述する設定温度を示す情報、及び設定時刻を示す情報を受信してもよい。この場合、通信部56は、受信した設定温度を示す情報、及び設定時刻を示す情報を、それぞれ設定温度特定部514、及び設定時刻特定部515に通知する。
【0041】
容器検知部511は、複数の容器貯蔵ユニット1~1b毎に収容部11~11bに容器B~Bbが収容されているか否かを検知する。容器検知部511は、容器検知センサ13~13bから収容部11~11bに容器B~Bbが収容されているか否かを示す情報を取得する。そして、容器検知部511は、当該取得された収容部11~11bに容器B~Bbが収容されているか否かを示す情報を温度制御部519に通知する。
【0042】
容器温度検出部512は、複数の容器貯蔵ユニット1~1b毎に容器B~Bbの温度を検出する。容器温度検出部512は、容器温度検出センサ14~14bから容器温度を示す情報を取得する。そして、容器温度検出部512は、当該取得された容器温度を示す情報を温度制御部519に通知する。
【0043】
設定温度特定部514は、複数の容器貯蔵ユニット1~1b毎に容器B~Bb内の飲料に対して設定された温度を特定する。設定温度特定部514は、操作部54から設定温度を示す情報を取得する。そして、設定温度特定部514は、当該取得された設定温度を示す情報を温度制御部519に通知する。
【0044】
設定時刻特定部515は、複数の容器貯蔵ユニット1~1b毎に容器B~Bbに対して設定された時刻を特定する。設定時刻特定部515は、操作部54から設定時刻を示す情報を取得する。そして、設定時刻特定部515は、当該取得された設定時刻を示す情報を温度制御部519に通知する。
【0045】
容器温度検出時刻特定部516は、複数の容器貯蔵ユニット1~1b毎に容器温度検出部512が容器B~Bbの温度を検出した時刻を特定する。容器温度検出時刻特定部516は、容器温度検出センサ14~14bから容器温度検出時刻を示す情報を取得する。そして、容器温度検出時刻特定部516は、当該取得された容器温度検出時刻を示す情報を温度制御部519に通知する。
【0046】
停電検知部517は、停電が発生しているか否かを検知する。停電検知部517は、例えば、制御ユニット5に電源が供給されているか否かを判定することで、停電が発生しているか否かを検知する。停電検知部517は、当該検知した停電情報を温度制御部519に通知する。
【0047】
作動モード特定部518は、温度調節部12~12bを第1消費電力で作動する第1モード、及び温度調節部12~12bを第2消費電力で作動する第2モードのうちの設定された作動モードを特定する。第2消費電力は、第1消費電力よりも小さい。作動モード特定部518は、停電検知部517より温度制御部519を介して停電・給電情報を取得し、設定作動モードを選択する。そして、作動モード特定部518は、当該選択した設定作動モードを示す情報を温度制御部519に通知する。
【0048】
温度制御部519は、複数の容器貯蔵ユニット1~1b毎に容器温度検出部512が検出した検出温度と設定温度特定部514が特定した設定温度との差が閾値以内になるように温度調節部12~12bを制御する。温度制御部519は、容器温度検出部512から検出温度を示す情報を取得するとともに、設定温度特定部514から設定温度を示す情報を取得する。そして、温度制御部519は、当該取得された検出温度と設定温度との差が閾値以内になるようにする指令値を生成する。そして、温度制御部519は、生成した指令値を後述するペルチェ素子制御部520、及びファン部制御部521に通知する。
【0049】
容器貯蔵装置Sにおいては、前述したように温度制御部519が温度調節部12~12bを制御することで、複数の容器貯蔵ユニット1~1b毎に収容部11~11bに収容された容器B~Bbの温度を調節することができる。
【0050】
具体的には、容器貯蔵装置Sにおいては、例えば、複数の容器貯蔵ユニット1~1b毎に収容部11~11bに収容されたワインボトル内のワインの温度を後述する保存温度に調節したり、後述するワインの種類に応じたワインの飲み頃温度に調節したりすることができる。なお、容器貯蔵装置Sにおいては、容器B~Bb内の飲料の温度を直接検出することが困難であるため、容器温度検出部512によって容器B~Bbの温度を検出することで容器B~Bb内の飲料の温度を温度制御部519を介して調節している。
【0051】
温度制御部519は、複数の容器貯蔵ユニット1~1b毎に設定時刻特定部515が特定した設定時刻に容器温度検出部512が検出した検出温度と設定温度特定部514が特定した設定温度との差が閾値以内になるように温度調節部12~12bを制御する。温度制御部519は、設定時刻特定部515から設定時刻を示す情報を取得し、容器温度検出部512から検出温度を示す情報を取得し、設定温度特定部514から設定温度を示す情報を取得する。そして、温度制御部519は、当該取得された設定時刻に検出温度と設定温度との差が閾値以内になるようにする指令値を生成する。そして、温度制御部519は、生成した指令値を後述するペルチェ素子制御部520、及びファン部制御部521に通知する。
【0052】
その結果、具体的には、容器貯蔵装置Sにおいては、例えば、来店する顧客毎に、顧客がワインを飲む時間に合わせて、ワインの温度を後述するワインの種類に応じたワインの飲み頃温度に調節することができる。
【0053】
温度制御部519は、複数の容器貯蔵ユニット1~1b毎に設定時刻特定部515が特定した設定時刻と容器温度検出時刻特定部516が特定した容器温度検出時刻との間隔に基づいて、容器B~Bb内の飲料の昇温速度又は降温速度を調節するように温度調節部12~12bを制御する。温度制御部519の制御方法の詳細については後述する。温度制御部519は、設定時刻特定部515から設定時刻を示す情報を取得し、容器温度検出時刻特定部516から容器温度検出時刻を示す情報を取得する。そして、温度制御部519は、当該取得された設定時刻と容器温度検出時刻との間隔に基づいて、容器B~Bb内の飲料の昇温速度又は降温速度を調節する指令値を生成する。そして、温度制御部519は、生成した指令値を後述するペルチェ素子制御部520、及びファン部制御部521に通知する。
【0054】
その結果、具体的には、容器貯蔵装置Sにおいては、例えば、来店する顧客毎に、容器温度検出時刻と顧客がワインを飲む時間との間隔が短い場合でも、ワインの温度を後述するワインの種類に応じたワインの飲み頃温度に調節し易くすることができる。
【0055】
前述した温度制御部519の制御パターンは一例であり、温度制御部519は容器温度検出時容器温度と設定温度の差、容器温度検出時刻と設定時刻の差、及び設定温度閾値を相互に組み合わせて、容器収容部毎に個別に温度制御する。
【0056】
温度制御部519は、停電時に蓄電部4に蓄電された電力によってファン部124~124bを作動させることでペルチェ素子121~121bを冷却する。温度制御部519は、停電検知部517から停電情報を取得し、当該情報を作動モード特定部518に転送し、作動モード特定部518が選択した作動モードを示す情報を取得する。そして、温度制御部519は、当該取得された作動モードを示す情報に基づいて指令値を生成し、生成した指令値を後述するペルチェ素子制御部520、ファン部制御部521、及び蓄電部制御部522に通知する。容器貯蔵装置Sにおいては、前述したように停電時にペルチェ素子121~121bを冷却することで、停電時に収容部11~11bに収容された容器B~Bb内の飲料の温度変化を緩和することができる。
【0057】
温度制御部519は、作動モード特定部518が選択した作動モードで温度調節部12~12bを作動させる。温度制御部519は、作動モード特定部518から作動モードを示す情報を取得する。そして、温度制御部519は、当該取得された作動モードを示す情報に基づいて指令値を生成する。そして、温度制御部519は、生成した指令値を後述するペルチェ素子制御部520、及びファン部制御部521に通知する。容器貯蔵装置Sにおいては、前述したように温度調節部12~12bを作動することで、電力の消費を抑えることができる。
【0058】
例えば、第2モードにおいては、夏場に停電した場合、蓄電部4によりペルチェ素子121を最大稼働時の15%~35%で稼働させ、ファン部124を通常よりやや弱めに稼働させても良い。また、第2モードにおいて、蓄電部4によりペルチェ素子121、及びファン部124をどのように稼働させるのかは、停電時の季節によって変えても良い。また、長期保存若しくは設定時刻を入力していない場合は、温度制御部519は、容器Bの温度を特定の温度閾値内で制御する指令値を生成し、生成した指令値を後述するペルチェ素子制御部520、及びファン部制御部521に通知してもよい。
【0059】
ペルチェ素子制御部520は、ペルチェ素子121~121bを制御する。ペルチェ素子制御部520は、温度制御部519から取得した指令値に対応する駆動信号を生成してペルチェ素子121~121bに供給する。
【0060】
ファン部制御部521は、ファン部124~124bを制御する。ファン部制御部521は、温度制御部519から取得した指令値に対応する駆動信号を生成してファン部124~124bに供給する。
【0061】
蓄電部制御部522は、蓄電部4を制御する。蓄電部制御部522は、温度制御部519から取得した指令値に対応する駆動信号を生成して蓄電部4に供給する。
【0062】
[無線通信端末Tの構成]
図7は、無線通信端末Tにおける入力画面の一例を示す図である。
図8は、無線通信端末Tにおける情報出力画面の一例を示す図である。
【0063】
図7に示すように、無線通信端末Tの入力画面においては、容器貯蔵装置Sに貯蔵される飲料が収容された容器に対して、例えば、銘柄、温調モード、サーブ時刻、及び推奨飲み頃温度を入力することができる。また、
図8に示すように、無線通信端末Tの出力画面においては、容器貯蔵装置Sに貯蔵されている飲料が収容された容器について、例えば、銘柄、温調モード、現在の温度、サーブ時刻、推奨飲み頃温度が表示される。また、入力画面及び出力画面において、例えばワインの各種情報が表示される。無線通信端末Tにおいて、このような情報が出力されることで、店側は顧客に対してワインに合うお勧め料理を推薦し易くなる。
【0064】
[容器貯蔵装置Sの性能試験]
容器貯蔵装置Sの性能試験においては、3種類の試験(1.高温下における冷却性能試験、2.常温時における温調試験、3.低温下における温調試験)を行うことで、容器貯蔵装置Sの性能を確認した。
【0065】
1.高温下における冷却性能試験
高温下における冷却性能試験では、容器貯蔵装置Sの外部の空気の温度が30~35℃において、容器貯蔵装置Sで容器貯蔵装置S内の飲料が収容された容器を冷却した。
2.常温時における温調試験
常温時における温調試験では、容器貯蔵装置Sの外部の空気の温度が28℃において、容器貯蔵装置Sで容器貯蔵装置S内の飲料が収容された容器を温調した。
3.低温下における温調試験
低温下における温調試験では、容器貯蔵装置Sの外部の空気の温度が2~32℃において、容器貯蔵装置Sで容器貯蔵装置S内の飲料が収容された容器を温調した。
【0066】
表1は、ワインの保存温度、及び飲み頃温度を示す。
【表1】
【0067】
ワインの保存温度は、12.7℃が最適である。保存温度が14℃以上であるとワインの酸化が速すぎてしまう。一方、保存温度が11℃以下であるとワインの酸化がほとんど止まってしまう。ワインは、一旦、大型保管庫より直近の使用量に応じて蔵出しされ、容器貯蔵装置Sにおいて、当該保存温度で保存される。
【0068】
ワインの飲み頃温度は、ワインの種類によって異なる。熟成赤は、例えば一例として、16~18℃である。ソフトな渋みのふくよかな赤は、13~16℃である。軽い味わいの赤は、10~14℃である。コクがあってまろやかな白は、12~14℃である。さわやかな辛口の白は、6~11℃である。ロゼは、8~10℃である。シャンパンは、6~8℃である。スパークリングワインは、4~5℃である。
【0069】
図9は、容器貯蔵装置Sの性能試験の結果を示す図である。
図9(a)は、高温下における冷却性能試験の結果を示す図である。
図9(b)は、常温時における温調試験の結果を示す図である。
図9(c)は、低温下における温調試験の結果を示す図である。なお、横軸は、経過時間[h]を示し、縦軸は、温度[℃]を示す。
【0070】
図9(a)に示すように、容器貯蔵装置Sの外部の空気の温度が30~35℃において、容器貯蔵装置S内の飲料が収容された容器(23℃~24℃)を5℃まで冷却するのには、約8時間を要した。この結果から、容器貯蔵装置Sの外部の空気の温度が30~35℃において、容器貯蔵装置Sは、容器貯蔵装置S内の飲料が収容された容器の温度を、表1で示すワインの飲み頃温度のうちの最低温度である5℃まで冷却可能であることが実証された。
【0071】
図9(b)に示すように、容器貯蔵装置Sの外部の空気の温度が28℃において、設定1として、容器貯蔵装置S内の飲料が収容された容器の温度を28.3℃から12.7℃に調節した。容器貯蔵装置S内の飲料が収容された容器の温度が28.3℃から12.7℃になるのには、2時間10分を要した。その後、設定2として、容器貯蔵装置S内の飲料が収容された容器の温度を12.7℃で1時間保持した。その後、設定3として、容器貯蔵装置S内の飲料が収容された容器の温度を12.7℃から18℃に調節した。容器貯蔵装置S内の飲料が収容された容器の温度が12.7℃から18℃になるのには、45分を要した。
【0072】
この結果から、容器貯蔵装置Sの外部の空気の温度が28℃において、容器貯蔵装置Sは、容器貯蔵装置S内の飲料が収容された容器の温度を、表1で示すワインの保存温度である12.7℃に保持し、飲み頃温度のうちの最高温度である18℃まで加熱可能であることが実証された。
【0073】
図9(c)に示すように、容器貯蔵装置Sの外部の空気の温度が2~32℃において、容器貯蔵装置S内の飲料が収容された容器を26℃から5℃まで冷却した。そして、容器貯蔵装置S内の飲料が収容された容器を5℃から18℃まで加熱した。容器貯蔵装置S内の飲料が収容された容器が5℃から18℃になるのには、56分を要した。この結果から、容器貯蔵装置Sの外部の空気の温度が2~32℃において、容器貯蔵装置Sは、容器貯蔵装置S内の飲料が収容された容器の温度を、表1で示すワインの飲み頃温度のうちの最低温度である5℃まで冷却可能であり、飲み頃温度のうちの最高温度である18℃まで加熱可能であることが実証された。
【0074】
このように3種類の試験を行うことで、容器貯蔵装置Sが、容器貯蔵装置Sの外部の空気の温度によらず、例えば、夏又は冬においても、表1に示す容器内の飲料の保存温度、各種の飲料の飲み頃温度の範囲において正常に作動することを実証することができた。
【0075】
[温度制御部519の制御方法]
図10は、温度制御部519の制御方法の一例を示す図である。
温度制御部519は、前述したように、設定時刻特定部515が特定した設定時刻と容器温度検出時刻特定部516が特定した容器温度検出時刻との間隔に基づいて、容器B~Bb内の飲料の昇温速度又は降温速度を調節するように温度調節部12~12bを制御する。
【0076】
図10に示す温度制御部519の制御方法の一例について説明する。温度制御部519による温度調節部12~12bの制御には、容器検出温度(Td)、容器温度検出時刻、提供時刻、飲み頃温度(Tоd)、及び保存温度(Th)が用いられる。容器検出温度(Td)は、容器温度検出部512が検出した容器の温度である。容器温度検出時刻は、容器温度検出時刻特定部516が特定した時刻である。提供時刻は、ワインを提供する時刻である。提供時刻は、設定時刻特定部515が特定した時刻である。飲み頃温度(Tоd)、及び保存温度(Th)は、表1に示すワインの飲み頃温度、及び保存温度である。
【0077】
温度制御を決定するための条件として、提供時刻設定の有無、飲み頃温度(Tоd)と保存温度(Th)の関係、及び容器検出温度(Td)と保存温度(Th)の関係が用いられる。提供時刻設定の有無は、提供時刻が設定されている場合と提供時刻が設定されていない場合である。飲み頃温度(Tоd)と保存温度(Th)の関係には、飲み頃温度(Tоd)が保存温度(Th)よりも高い場合(例えば、表1における熟成赤、ソフトな渋みのふくよかな赤、軽い味わいの赤、及びコクがあってまろやかな白)、及び飲み頃温度(Tоd)が保存温度(Th)よりも低い場合(例えば、表1におけるさわやかな辛口の白、ロゼ、シャンパン、スパークリングワイン)がある。
【0078】
容器検出温度(Td)と保存温度(Th)の関係には、容器検出温度(Td)が保存温度(Th)よりも高い場合、容器検出温度(Td)が保存温度(Th)の近傍の場合(ワイン蔵から容器貯蔵ユニット1にワインを移した場合が想定される)、容器検出温度(Td)が保存温度(Th)よりも低い場合がある。
【0079】
容器貯蔵装置Sの運転方式として、通常運転1、通常運転2、及び停電時運転がある。通常運転1は、提供時刻まで余裕がある場合(Xt1より以前の場合)である。Xt1は、提供時刻までの時間(概ね3時間~4時間)である。Xt1は、例えば、ワインの銘柄に応じて決定される。通常運転1では、保存温度(Th)に向けて運転する場合と、飲み頃温度(Tоd)に向けて運転する場合がある。また、通常運転2は、提供時刻まで余裕がない場合(容器温度検出時刻がXt1を経過した場合(Xt1より短い場合)、例えば急な予約に対応する場合)である。停電時運転は、停電中の場合と停電から復旧時の場合がある。
【0080】
図10に示すように、通常運転1における飲み頃温度(Tоd)に向けて運転する場合と、通常運転2の場合には、温度制御を決定するための各条件に基づいて、(飲み頃温度(Tоd)-容器検出温度(Td))/(提供時刻-容器温度検出時刻)により徐々に提供温度に上昇又は下降させる。または、例えば、容器温度検出時刻と提供時刻との時間間隔が一定時間以上ある場合は、一旦保存温度(Th)にしても良い。通常運転1における保存温度(Th)に向けて運転する場合、温度制御を決定するための各条件に基づいて、ペルチェ素子121をフル運転で温度降下させる、又は保存温度(Th)になるまで、ペルチェ素子121、及びファン部124は停止し、温度検出する運転をする。
【0081】
その後、容器温度検出時刻が、提供時刻より一定時間前を経過した場合は、
図10に示すように、飲み頃温度(Tоd)が保存温度(Th)よりも高い場合は、提供時刻に向かって飲み頃温度(Tоd)に向けて温度上昇運転をする。
【0082】
温度制御を決定するための条件として、提供時刻が設定されていない場合は、容器温度検出時より、Xt時間、保存温度(Th)に向けて容器温度を上昇又は下降させる。Xtは、提供時刻が設定されていない時に、容器温度を保存温度(Th)近傍へ移行する時間である。Xtは、例えば、ワインの銘柄に応じて決定される。上昇又は下降の温度制御は、(飲み頃温度(Tоd)-容器検出温度(Td))/(提供時刻-容器温度検出時刻)により徐々に温度を上昇又は下降させる。その後、保存温度(Th)を維持する。
【0083】
停電時運転では、停電中の場合、停電モードで蓄電部4により、容器検出温度(Td)を同一近傍に維持する。このとき、最も消費電力が大きいペルチェ素子121を低稼働させる。また、停電からの復旧時には、通常運転に戻る。
【0084】
温度制御部519が、保存温度(Th)、容器検出温度(Td)、提供時刻、提供時刻前一定時刻(Xt1)、容器温度検出時刻、設置時刻、停電の有無等により、容器が貯蔵された容器貯蔵ユニット毎に運転方式を決定する。なお、容器温度検出は、一定時刻間隔で行われる。
【0085】
[変形例1]
上記実施形態においては、容器貯蔵装置Sにおいては、容器内の飲料の温度を直接検出することが困難であるため、容器温度検出部512によって容器の温度を検出することで容器内の飲料の温度を調節している例を示したが、これに限定されない。
【0086】
容器貯蔵装置Sは、例えば、容器の温度と容器内の飲料の温度との差を予め測定しておき補正値として設定できる機能を有していてもよい。これにより、容器温度検出部512が検出した容器の温度と当該補正値から、より実温に近い容器内の飲料の温度を算出することができる。そして、温度制御部519は、複数の容器貯蔵ユニット毎に当該算出した容器内の飲料の温度と設定温度特定部514が特定した設定温度との差が閾値以内になるように温度調節部を制御するようにしてもよい。この場合、容器温度検出部512が検出した容器の温度、又は当該算出した容器内の飲料の温度を切り換え可能に表示部55に表示するようにしてもよい。
【0087】
[変形例2]
上記実施形態においては、設定温度特定部514が特定した設定温度、設定時刻特定部515が特定した設定時刻、及び記憶部53に記憶されている各種情報は、操作部54から入力される例を示したが、これに限定されない。容器貯蔵装置Sは、例えば容器貯蔵装置Sが設置される店の店内管理システムと接続されており、設定温度、設定時刻、記憶部53に記憶されている各種情報は、当該店内管理システムが管理している情報が入力されるようにしてもよい。例えば、顧客の予約来店時間、予約メニュー等を店内管理システムに入力すると、容器貯蔵装置Sにおいて、設定時刻、設定温度として入力されるようにしてもよい。容器貯蔵装置Sがこのような構成を有することで、例えば、顧客の来店に合わせて、飲み頃の温度にして、ワインを提供することができる。
【0088】
[変形例3]
図11は、変形例としての容器貯蔵装置Saを有する容器貯蔵システムAaの構成を示す図である。
図12は、制御装置7の構成を示す図である。
複数の容器貯蔵装置Sを同時に制御したい場合に有用である。制御装置7は、共通の記憶部72、操作部73、表示部74及び複数の容器貯蔵装置または他システムと通信する通信部75を有しており、個別の容器貯蔵装置Sは独自の制御ユニットを有する。個々の制御ユニット5内の各部の記憶部53、操作部54、表示部55、通信部56を記憶部72、操作部73、表示部74、通信部75と読み替えればよい。当然ながら、用度・設置環境により、例えば、制御装置7の記憶部72は全銘柄に紐付けられた情報を有し、容器貯蔵装置Sの記憶部53には保管中の銘柄に紐付けられた情報を分散配置しても良い。操作部54と操作部73が共存しても良い。
【0089】
[本実施形態に係る容器貯蔵装置Sによる効果]
容器貯蔵装置Sは、前述したように容器を容器毎に貯蔵する複数の容器貯蔵ユニット1~1eと、複数の容器貯蔵ユニット1~1eを制御する制御ユニット5と、を備え、容器貯蔵ユニット1は、温度調節部12を有し、制御ユニット5は、複数の容器貯蔵ユニット1~1e毎に容器温度検出部512が検出した検出温度と設定温度特定部514が特定した設定温度との差が閾値以内になるように温度調節部を制御する温度制御部519を有する。
【0090】
したがって、容器貯蔵装置Sにおいては、複数の容器貯蔵ユニット1~1e毎に収容部に収容された容器の温度を調節することができる。よって、容器貯蔵装置Sにおいては、飲料の種類、銘柄に応じて、設定時刻に飲み頃温度の状態にするよう、飲料が収容された容器の温度を個別に一本ずつ管理することができる。
【0091】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は上記実施の形態に記載の範囲には限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形及び変更が可能である。例えば、装置の全部又は一部は、任意の単位で機能的又は物理的に分散・統合して構成することができる。また、複数の実施の形態の任意の組み合わせによって生じる新たな実施の形態も、本発明の実施の形態に含まれる。組み合わせによって生じる新たな実施の形態の効果は、もとの実施の形態の効果を併せ持つ。
【符号の説明】
【0092】
A、Aa・・・容器貯蔵システム
S、Sa・・・容器貯蔵装置
1、1a、1b、1c、1d、1e・・・容器貯蔵ユニット
11、11a、11b・・・収容部
111、111a、111b・・・収容部本体
112・・・内側円筒部
113・・・外側円筒部
114・・・設置部
115・・・容器ストッパー部
116、116a、116b・・・蓋部
12、12a、12b・・・温度調節部
121、121a、121b・・・ペルチェ素子
122・・・温調板
123・・・ヒートシンク
124、124a、124b・・・ファン部
125・・・抑え板
13、13a、13b・・・容器検知センサ
14、14a、14b・・・容器温度検出センサ
21・・・筐体
22・・・支持部
4・・・蓄電部
5・・・制御ユニット
51・・・制御部
511・・・容器検知部
512・・・容器温度検出部
514・・・設定温度特定部
515・・・設定時刻特定部
516・・・容器温度検出時刻特定部
517・・・停電検知部
518・・・作動モード特定部
519・・・温度制御部
520・・・ペルチェ素子制御部
521・・・ファン部制御部
522・・・蓄電部制御部
53・・・記憶部
54・・・操作部
55・・・表示部
56・・・通信部
T・・・無線通信端末
6・・・通信部
7・・・制御装置
71・・・制御部
711・・・温度データ受信部
712・・・容器温度検出部
713・・・設定温度特定部
714・・・制御データ送信部
72・・・記憶部
73・・・操作部
74・・・表示部
75・・・通信部
B、Ba、Bb・・・容器