IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ブラザー工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-インクジェット記録装置 図1
  • 特開-インクジェット記録装置 図2
  • 特開-インクジェット記録装置 図3
  • 特開-インクジェット記録装置 図4
  • 特開-インクジェット記録装置 図5
  • 特開-インクジェット記録装置 図6
  • 特開-インクジェット記録装置 図7
  • 特開-インクジェット記録装置 図8
  • 特開-インクジェット記録装置 図9
  • 特開-インクジェット記録装置 図10
  • 特開-インクジェット記録装置 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157967
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20221006BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20221006BHJP
   B41J 2/17 20060101ALI20221006BHJP
   B41J 2/165 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/175 301
B41J2/17 203
B41J2/165 211
B41J2/175 113
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021062534
(22)【出願日】2021-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】吉宗 秀晃
(72)【発明者】
【氏名】田村 光
(72)【発明者】
【氏名】石部 陽雅
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA23
2C056EB52
2C056EC57
2C056FA10
2C056HA29
2C056HA38
2C056HA60
2C056JA02
2C056JA04
2C056JA13
2C056JC13
2C056KC02
2C056KC16
(57)【要約】
【課題】より小型のインクジェット記録装置を提供すること。
【解決手段】プリンタ100において、基板99は、前後方向Yおよび左右方向Xに拡がっており、上下方向Zにおいて占める範囲が、残量センサ93および廃液センサ98が上下方向Zにおいて占める範囲と重複する。そのため、コントローラ99Aから残量センサ93および廃液センサ98の各々への上下距離が短くなり、コントローラ99Aと、残量センサ93および廃液センサ98の各々とをより短い信号線で接続できる。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部空間を有する筐体を備えており、
上記筐体の内部空間に、
インクの吐出口を有する記録ヘッドと、
上記記録ヘッドに供給されるインクを貯留するインク貯留部を収容する収容体と、
上記インク貯留部に貯留されたインクを検知するための第1センサと、
上記記録ヘッドの吐出口からインクを排出させるメンテナンスユニットと、
上記メンテナンスユニットにより排出されたインクを貯留する廃液ユニットと、
上記廃液ユニットにおいてインクを検知するための第2センサと、
上記第1センサおよび上記第2センサから出力される信号を受信するコントローラが実装された基板と、が位置しており、
上記基板は、前後方向および左右方向に拡がる平面を有しており、上記前後方向および上記左右方向と直交する上下方向において占める範囲が、上記第1センサおよび上記第2センサが上下方向において占める範囲と重複するインクジェット記録装置。
【請求項2】
上記記録ヘッドおよび上記メンテナンスユニットは、上記前後方向において上記廃液ユニットより後方に位置しており、
上記基板および上記収容体は、上記前後方向において上記記録ヘッドよりも前方に位置しており、
上記第2センサは、上記廃液ユニットの前端部に位置する請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
上記筐体の内部空間に、少なくとも一部が上記前後方向に沿って延びるシートの搬送路が形成されており、
上記記録ヘッドは、上記搬送路の上方に位置しており、
上記廃液ユニットおよび上記基板の少なくとも一方は、上記上下方向において上記搬送路の上方に位置する請求項1または2に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
上記記録ヘッドを搭載するキャリッジをさらに備え、
上記キャリッジは、上記筐体の内部空間において、上記左右方向に沿って移動し、
上記収容体は、複数であり、
上記収容体の各々は、上記前後方向において上記記録ヘッドよりも前方に位置しており、且つ、上記左右方向において上記キャリッジの移動範囲内であって、シートの搬送路に対して上記左右方向の両側に分かれて位置する請求項1から3のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項5】
上記左右方向において、上記メンテナンスユニットが占める範囲は、上記キャリッジの移動範囲と重複しており、
上記メンテナンスユニットおよび上記廃液ユニットは、上記左右方向において、上記基板に対して同じ向きに位置しており、
上記第2センサは、上記左右方向において上記基板と上記収容体との間に位置する請求項4に記載のインクジェット記録装置。
【請求項6】
上記収容体および上記廃液ユニットは、上記前後方向および上記上下方向においてそれぞれが占める範囲が重なっており、
上記第1センサは、上記インク貯留部の上方に位置しており、
上記第2センサは、上記廃液ユニットの上方に位置する請求項1から5のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【請求項7】
上記第1センサおよび上記第2センサは、上記基板に実装されている請求項1から6のいずれかに記載のインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置では、基板に実装された制御部が各部を制御する。制御部は、画像記録時、記録ヘッドのノズルからシートへのインク吐出を制御する。記録ヘッドには、画像記録によるインク消費に応じてインク貯留部からインクが供給される。
【0003】
制御部は、メンテナンス時にはメンテナンス部を制御する。メンテナンス部において、ポンプは、記録ヘッドからインクを廃液として吸引し、廃液チューブを通じて廃液貯留部に送る。廃液貯留部は、廃液貯留部の筐体内に廃液の吸収体を有し、筐体の外側に廃液検知部を有している。廃液検知部は、電線により制御部と電気的に接続されており、吸収体に貯留された廃液の量を示す信号を電線を通じて制御部に出力する。制御部は、廃液検知部の出力信号に基づいて、廃液吸収体の交換タイミング等をユーザに報知する(特許文献1を参照)。
【0004】
インク貯留部は、一般に、筐体の外側に残量検知部を有している。残量検知部は、筐体内のインクの量を示す信号を制御部に出力する。制御部は、残量検知部の出力信号に基づいて、インク貯留部の交換タイミングやインクの補充タイミング等をユーザに報知する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2013-56503号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
基板、廃液検知部および残量検知部の各々の高さが互いに異なると、制御部と、廃液検知部および残量検知部の各々とを接続する各配線が大きなスペースを占有することになる。その結果、インクジェット記録装置が大型化してしまう。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、インクジェット記録装置を小型化することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のインクジェット記録装置は、内部空間を有する筐体を備えている。上記筐体の内部空間には、インクの吐出口を有する記録ヘッドと、上記記録ヘッドに供給されるインクを貯留するインク貯留部を収容する収容体と、上記インク貯留部に貯留されたインクを検知するための第1センサと、上記記録ヘッドの吐出口からインクを排出させるメンテナンスユニットと、上記メンテナンスユニットにより排出されたインクを貯留する廃液ユニットと、上記廃液ユニットにおいてインクを検知するための第2センサと、上記第1センサおよび上記第2センサから出力される信号を受信するコントローラが実装された基板と、が位置している。上記基板は、前後方向および左右方向に拡がる平面を有しており、上記前後方向および上記左右方向と直交する上下方向において占める範囲が、上記第1センサおよび上記第2センサが上下方向において占める範囲と重複する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、インクジェット記録装置を小型にできる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】プリンタ100の外観斜視図。
図2】プリンタ100の筐体1内の構成を示す模式図。
図3】筐体1内の要部のレイアウトを示す斜視図。
図4】筐体1内の要部のレイアウトを示す平面図。
図5図4に示す要部から、ガイドレール81B,81F等を取り外した状態を示す平面図。
図6】(A)は、CTGケース91Rの正面図、(B)は、同図(A)の線VIB-VIBに沿う縦断面を左方から見たときの図。
図7】(A)は、CTG92の外観斜視図であり、(B)は、CTG92の内部構成を示す断面図。
図8】CTGケース91と、CTGケース91に装着されたCTG92とを示す断面図。
図9】メンテナンスユニット95を示す模式図。
図10】(A)は、実施形態の基板99と、残量センサ93および廃液センサ98との位置関係を示す模式図、(B)は、変形例の基板99を示す模式図。
図11】変形例に係るメンテナンスユニット95の構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係るプリンタ100について詳説する。実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、実施形態を適宜変更可能である。
【0012】
[用語の定義]
以下では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。
【0013】
各図および以下の説明において、上下方向Zは、プリンタ100が使用可能に設置された状態(図1の状態)を基準として定義される。前後方向Yは、プリンタ100において開口13が設けられている側の前側として定義される。プリンタ100を前方から見て左右方向Xが定義される。
【0014】
以下の説明で、「範囲内」または「内包」は、第一に、プリンタ100を構成するある部材の特定方向における両端が、プリンタ100を構成する別部材の同方向における両端の内側に存在することを意味する。「範囲内」または「内包」は、第二に、プリンタ100を構成するある部材の特定方向における両端が、プリンタ100における空間の同方向における両端の内側に存在することを意味する。例えば、図5に示すように、左右方向Xにおいて、ポンプ95Bが占める範囲は、キャップ95Aと廃液ユニット96との間のスペースが占める範囲に内包される。この場合、ポンプ95Bの右端は、キャップ95Aの右端より左方に位置し、ポンプ95Bの左端は、廃液ユニット96の左端より右方に位置する。
【0015】
[プリンタ100]
図1において、プリンタ100は、画像記録装置の一例であって、印刷機能を有する。プリンタ100は、用紙やOHPシート等のシートS(図2参照)に、画像をインクジェット方式で記録する。プリンタ100は、概ね直方体の筐体1を備える。画像記録装置は、プリンタ100ではなく、印刷機能の他、スキャン機能やFAX機能を有する複合機であってもよい。
【0016】
[筐体1]
図1において、筐体1は、プリンタ100の内部空間11(図2等を参照)を、複数の外壁12により外部から区画する。複数の外壁12は、底壁12A、上壁12T、前壁12F、後壁12B、左壁12Lおよび右壁12Rを含む。図3図5では、筐体1の外形線は、破線で示されている。
【0017】
底壁12Aおよび上壁12Tは、上下方向Zに互いに離間する。底壁12Aおよび上壁12Tの各々は、平面視で概ね矩形であり、前後左右に拡がる。
【0018】
前壁12Fは、上下左右に拡がり、底壁12Aおよび上壁12Tの各前端と繋がる。前壁12Fの下端付近は、前方を向く開口13になっている。開口13の左端および右端は、左壁12Lおよび右壁12Rよりも左右中心の方(即ち、内側)に位置する。開口13の形状は、正面視で左右方向Xに長い矩形である。
【0019】
前壁12Fにおいて開口13の上方には、操作パネルが配置されてもよい。操作パネルは、複数の操作ボタンやディスプレイを含み、ユーザにより操作される。
【0020】
後壁12B、左壁12Lおよび右壁12Rの各々は、筐体1の後端、左端および右端をそれぞれ塞ぐ。
【0021】
図2において、内部空間11には、プリンタ100の主要構成として、供給トレイ21、排出トレイ22、給送機構30、搬送路40、搬送ローラ対50、排出ローラ対60、記録ユニット70、およびプラテン71が位置する。
【0022】
[供給トレイ21、排出トレイ22]
図1図2において、供給トレイ21は、開口13を通じて内部空間11に位置する。供給トレイ21は、上下方向Zに薄い箱状である。供給トレイ21は、自身の底壁上で複数のシートSを積層した状態で支持する。
【0023】
排出トレイ22は、供給トレイ21の上方且つ排出ローラ対60の前方に位置し、画像が記録されたシートSを印刷物として支持する。ユーザは、開口13を通じて、排出トレイ22上の印刷物を取り出す。
【0024】
[給送機構30]
図2において、給送機構30は、上下方向Zにおいて供給トレイ21およびプラテン71の間に位置する。給送機構30は、給送ローラ31と、給送アーム32とを備える。給送ローラ31は、自身の軸心周り回転可能に給送アーム32の先端部に支持される。給送アーム32の基端部は、自身の先端部より上方且つ前方に位置する。給送アーム32は、基端部に支軸33を有する。給送アーム32は、支軸33の周方向に回動可能に筐体1(図1参照)に支持される。給送ローラ31は、供給トレイ21に支持された最上層のシートSに当接する。給送ローラ31は、モータ53(図3図5を参照)からの動力により回転する。これにより、最上層のシートSには後方への搬送力が加わり、このシートSは、搬送路40の上流端へと導入される。
【0025】
[搬送路40]
図2において、搬送路40は、所謂Uターンパスであり、湾曲部41および直線部42を有する。湾曲部41は、供給トレイ21の後端から湾曲しつつ上方へと延びる。湾曲部41は、上壁12T(図1参照)付近で前方に向かう。湾曲部41は、外側のガイド部材43および内側のガイド部材44により区画される。直線部42は、湾曲部41の下流端と連続し、湾曲部41の下流端から前後左右に拡がり、前方に概ね直線的に延びる。直線部42は、排出トレイ22の後端に至る。直線部42の上側は、記録ユニット70の下面により区画される。直線部42の下側は、プラテン71の上面により区画される。
【0026】
シートSは、搬送路40において、一点鎖線の矢印で示す搬送向きaに搬送される。特に、湾曲部41では、シートSは、主にガイド部材43によりガイドされつつ、搬送ローラ対50へと搬送される。シートSは、直線部42において、プラテン71に支持されつつ、回転する搬送ローラ対50および排出ローラ対60により搬送される。
【0027】
[搬送ローラ対50、排出ローラ対60]
図2において、搬送ローラ対50および排出ローラ対60は、搬送路40でシートSを搬送向きaに搬送する。搬送向きaは、搬送ローラ対50より下流では前向きである。
【0028】
搬送ローラ対50は、湾曲部41の下流端に位置し、駆動ローラ51よびピンチローラ52を備える。駆動ローラ51およびピンチローラ52の各々は、後壁12Bおよび上壁12T(図1参照)寄りの位置で左右に延びる。駆動ローラ51およびピンチローラ52は、搬送路40の上側および下側で搬送路40に沿い、上下方向Zにおいて当接し合う。駆動ローラ51は、モータ53からの動力により回転する。ピンチローラ52は、駆動ローラ51の回転に従動して回転する。シートSは、回転する搬送ローラ対50にニップされて搬送向きaに搬送される。
【0029】
図2において、排出ローラ対60は、駆動ローラ61および複数の拍車62を備える。駆動ローラ61は、前後方向Yにおいて、搬送ローラ対50より前方であって且つ筐体1(図1参照)の前後方向Yにおける中央付近に位置する。駆動ローラ61は、上下方向Zにおいて、直線部42の下側に位置する。駆動ローラ61は、搬送路40に沿って左右に延び、モータ53(図3等を参照)からの動力により回転する。複数の拍車62は、互いに間隔をあけて左右に並んでおり、駆動ローラ61に上方から当接する。各拍車62は、駆動ローラ61の回転に従動して回転する。シートSは、回転する排出ローラ対60にニップされて搬送向きaに搬送され、排出トレイ22に排出される。
【0030】
実施形態では、駆動ローラ51,61と、給送ローラ31とは、モータ53の動力で回転する。しかし、これに限らず、駆動ローラ51,61および給送ローラ31は、相異なるモータの動力で回転してもよい。他にも、駆動ローラ51,61および給送ローラ31の少なくとも2つが同一モータの動力で回転してもよい。
【0031】
[記録ユニット70、プラテン71]
図2において、記録ユニット70およびプラテン71の各々は、前後方向Yにおいて搬送ローラ対50および排出ローラ対60の間に位置する。プラテン71は、上下方向Zにおいて直線部42の直下で前後左右に拡がるシートSの支持面を有する。記録ユニット70は、搬送路40の上方に位置しており、キャリッジ72および記録ヘッド73を備える。キャリッジ72は、プラテン71よりも上方で、CR搬送機構80(図3図5参照)により与えられる動力により、左右方向Xに往復移動可能である。キャリッジ72は、自身の下面側に記録ヘッド73を搭載している。記録ヘッド73は、自身の下面に複数の吐出口74を有する。
【0032】
記録ヘッド73は、コントローラ99A(図4参照)の制御下でキャリッジ72が移動する過程で、内部に貯留するインクを複数の吐出口74から吐出する。これにより、シートSに画像が記録される。
【0033】
[キャリッジ搬送機構80]
図3図5において、プリンタ100は、筐体1内に、キャリッジ搬送機構(以下、「CR搬送機構」とも称す)80をさらに備える。CR搬送機構80は、2本のガイドレール(以下、単に「レール」とも称す)81B,81F、2個のプーリ82L,82R、無端ベルト83およびキャリッジモータ(以下、「CRモータ」とも称す)84を含む。図3では、プーリ82Rは、キャリッジ72により隠れている。図4では、プーリ82RおよびCRモータ84は、キャリッジ72により隠れている。図5では、レール81B,81Fの図示は省略されている。
【0034】
図4において、レール81Bは、プラテン71より上方且つ後方で左右に延びる。レール81Fは、プラテン71より上方且つ前方で左右に延びる。レール81B,81Fは、前後方向Yにおいてプラテン71を挟んで互いに離間する。図3図4において、レール81B,81Fの各左右両端は、搬送ローラ対50の左右両端よりも外側に位置する。キャリッジ72は、レール81B,81Fの間に架け渡される。
【0035】
図5において、プーリ82L,82Rの各々は、前後方向Yにおいてレール81Fが占める範囲内(図4参照)の間に位置する。プーリ82L,82Rは、左右方向Xにおいて直線部42の左端および右端よりも外側にそれぞれ位置する。プーリ82L,82Rは、レール81Fの上面から上方に突出するように設けられ、上下方向Zに沿う回転軸の周方向に回転可能である。
【0036】
図5において、無端ベルト83は、プーリ82L,82Rに巻き掛けられる。図3図5から明らかなように、無端ベルト83においてプーリ82L,82Rの間の位置には、キャリッジ72が固定される。
【0037】
CRモータ84は、図3に示すように、左右方向Xにおいてレール81Fの右端付近であって、右壁12Rより若干左方に離れて位置し、上下方向Zにおいてレール81Fより下方に位置する。CRモータ84は、図5に示すように、前後方向Yにおいてキャップ95Aよりも若干前方であって、カートリッジケース91Rよりも後方に位置する。
【0038】
図5において、CRモータ84は、ブラシ付きDCモータ等であり、プーリ82Rの回転軸に直接連結された出力軸を有する。CRモータ84の出力軸は、上下方向Zに平行である。CRモータ84は、コントローラ99Aの制御下で回転し、プーリ82Rを回転させるための動力を出力軸に発生する。これにより、無端ベルト83は、プーリ82L,82R間で左右に走行し、キャリッジ72は、筐体1の右壁12Rおよび左壁12Lの間の範囲内で左右方向Xに往復移動する。図4図5において、キャリッジ72の移動範囲72aには、搬送路40の直線部42から右方に外れた位置が被キャップ位置P1として定義されている。キャリッジ72は、被キャップ位置P1において、キャップ95Aによりキャップされる。
【0039】
[筐体1の内部構成]
図3図5において、内部空間11には、2つのカートリッジケース(以下、「CTGケース」とも称す)91、4つのインクカートリッジ(以下、「CTG」とも称す)92、4つの残量センサ93、および4本のインクチューブ94が位置する。なお、図3図5では、インクチューブ94は一点鎖線で示されている。
【0040】
[CTGケース91(収容体の一例)]
2つのCTGケース91は、収容体の一例であり、4つのCTG92を収容する。実施形態では、2つのCTGケース91は、CTGケース91L,91Rである。図3において、各CTGケース91は、前後方向Yにおいて、前壁12Fの直ぐ後方から、レール81Fや記録ユニット70より前方に離れた位置までの範囲内に位置する。各CTGケース91は、上下方向Zにおいて底壁12A付近から上壁12T付近まで範囲内に位置する。CTGケース91Rは、左右方向Xにおいて、供給トレイ21、排出トレイ22および搬送路40よりも右側に位置する。CTGケース91Rの右端位置は、キャリッジ72の移動範囲の右端位置と同じか、これよりも左右中心寄りに位置する。
【0041】
図1図6において、CTGケース91Rは、複数の内壁911を有する箱体である。複数の内壁911は、底壁911A、上壁911T、後壁911B、左壁911L、右壁911Rおよび2つの隔壁911P,911Qを含む。
【0042】
底壁911Aおよび上壁911Tは、上下方向Zに互いに離間し、前後左右に拡がる。後壁911Bは、上下左右に拡がり、底壁911Aおよび上壁911Tの各後端と繋がる。左壁911Lおよび右壁911Rは、左右方向Xに互いに離間し、前後上下に拡がる。隔壁911P,911Qは、左壁911Lおよび右壁911Rの間に概ね等間隔をあけて前後上下に拡がる。各内壁911により、CTGケース91Rは、3つの内部空間912に区画される。各内部空間912の前端は、前方を向く開口になっている。各内部空間912には、開口を通じて、1つのCTG92(具体的には、後述のCTG92B)が装着され、収容される。
【0043】
図6において、CTGケース91Rは、各内部空間912にインクニードル(以下、単に「ニードル」とも称す)913を1つずつ有する。各ニードル913は、後壁911Bにおける下端付近で左右中央の位置から前方へと延出している。ニードル913は、細長い管体であり、インク流路913Aを有する。なお、図6(B)には、3つの内部空間912のうち、最も右側の内部空間912が例示されている。
【0044】
図3において、CTGケース91Lは、大略的には、下記3つの相違点を除き、CTGケース91Rと同様の構成を有する。第1相違点は、CTGケース91Lが、左右方向Xにおいて、供給トレイ21、排出トレイ22および搬送路40よりも左側に位置することである。第2相違点は、CTGケース91Lの左端が左右方向Xにおいてキャリッジ72の移動範囲の左端と同じ位置か、左端より左右中心寄りに位置することである。第3相違点は、内部空間912には、1つのCTG92が装着され、収容されることである。
【0045】
図4に示すように、CTGケース91R,91Lは、左右方向Xにおいてキャリッジ72の移動範囲72a内であって、搬送路40に対して左右方向Xの両側に分かれて位置する。
【0046】
図1において、前壁12Fには、各CTGケース91に対応するカバー14が設けられる。カバー14は、カバー14L,14Rである。カバー14Lは、CTGケース91Lの開口を塞ぐ第1閉位置(図1(A)参照)と、この開口を開放する第1開位置(図1(B)参照)との間で、ユーザ操作により、左右方向Xに平行な回転軸15Lの周方向に回転可能である。カバー14Rは、CTGケース91Rの開口を塞ぐ第2閉位置(図1(A)参照)と、この開口を開放する第2開位置(図1(B)参照)との間で、ユーザ操作により、左右方向Xに平行な回転軸15Rの周方向に回転可能である。
【0047】
[残量センサ93(第1センサの一例)]
図6において、残量センサ93は、第1センサの一例であって、発光素子および受光素子を有するフォトインタラプタである。残量センサ93は、各内部空間912に1つずつ取り付けられている。詳細には、各残量センサ93は、周辺回路とともに基板931(図6(B)参照)に実装されている。基板931は、各内部空間912の上壁911Tに取り付けられる。これにより、各残量センサ93において発光素子および受光素子は、内部空間912の上端付近から下方に向かって突出する。各残量センサ93の発光素子および受光素子は、左右に間隔をあけて対向する。各発光素子は、対向する受光素子に向けて光を出射する。受光素子は、受光光量を示す信号をコントローラ99Aに出力する。詳細には、発光素子および受光素子の間に光路を遮るものがない場合、発光素子の出射光を受光したことに応じて、受光素子は、ハイレベルの信号を出力する。発光素子および受光素子の間に光路を遮るものがあり、発光素子の出射光を受光できない場合には、受光素子は、ローレベルの信号を出力する。
【0048】
[CTG92(インク貯留部一例)]
図1において、4つのCTG92は、インク貯留部の一例であり、記録ユニット70に供給されるインクを貯留する。インク色は、例えば、イエロ(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)である。実施形態では、YMC色用のCTG92は、CTGケース91Rに装着され、K色用のCTG92は、CTGケース91Lに装着される。図7図8の各々には、CTG92は、CTGケース91に装着される時の姿勢で示されている。以下の説明では、便宜上、装着姿勢のCTG92について説明する。
【0049】
図7において、各CTG92は、複数の外壁921、インク貯留室922(図7(B)参照)、大気連通孔923、インク導出部924および被検知部925を備える。
【0050】
複数の外壁921は、例えば透明樹脂等の透光性材料で作製されており、インク貯留室922を外部から区画する。インク貯留室922は、インクを貯留する。複数の外壁921は、底壁921A、上壁921T、前壁921F、後壁921B、左壁921Lおよび右壁921Rを含む。
【0051】
底壁921Aおよび上壁921Tは、上下方向Zに互いに離間し、前後左右に拡がる。前壁921Fは、上下左右に拡がり、底壁921Aおよび上壁921Tの各前端と繋がる。後壁921Bは、上下左右に拡がり、底壁921Aおよび上壁921Tの各後端と繋がる。左壁921Lおよび右壁921Rは、前後上下に拡がり、インク貯留室922の左側部および右側部をそれぞれ閉止する。
【0052】
図7(B)において、大気連通孔923は、後壁921Bの上端付近に形成され、後壁921Bを前後に貫く孔である。CTG92がCTGケース91に装着されてインク貯留室922内のインクがCTG92の外部へ送り出されたことに応じて、外気が大気連通孔923を通じてインク貯留室922内に導入される。
【0053】
インク導出部924は、後壁921Bの下端付近に形成された孔924Aを通じてインク貯留室922からCTG91の外部へインクを導出させる。詳細には、図7(B)において、インク導出部924は、バルブ924Bを有する。バルブ924Bは、孔924Aを開放する第3開位置(図8参照)、および孔924Aを閉塞する第3閉位置(図7(B)参照)に移動可能である。バルブ924Bは、バネ等の付勢部材924Cにより、孔924Aを閉塞する向きに付勢されている。
【0054】
図6(B)に示すように、CTG92は、対応する内部空間912の開口を通じて後方へとユーザにより移動させられ、内部空間912に装着される。この過程で、内部空間912内のニードル913がバルブ924Bにそれぞれ当たる。ニードル913は、付勢部材924Cの付勢力に抗して、バルブ924Bを付勢力とは逆向きの前方への力を加える。これにより、バルブ924Bは、第3閉位置(図6(B)参照)から第3開位置(図8参照)へと移動する。これにより、インク貯留室922内のインクは、記録ユニット70によりインクが消費されたことに応じて、孔924AからCTG92の外部へと導出される。
【0055】
図3において、4つのCTG92の形状や寸法は、互いに同じでもよいし、互いに異なっていてもよい。また、4つのCTG92のうち、1つまたは複数のCTG92の形状や寸法は、他のCTG92の形状や寸法と異なっていてもよい。例えば、K用のCTG92の左右寸法は、YMC用のCTG92の左右寸法と異なっていてもよい。
【0056】
[被検知部925]
図7において、被検知部925は、凸部925A、被検知部材925Bおよびフロート925Cを有する。
【0057】
凸部925Aは、透光性材料からなる上壁921Tと一体であり、上壁921Tから上方へと突出する。凸部925Aには、インク貯留室922と連続する空間が形成されている。図8において、凸部925Aは、CTG92がCTGケース91に装着されたときに、残量センサ93における発光素子および受光素子の間に位置する。即ち、残量センサ93は、CTG92のインク貯留室922の上方に位置することになる。
【0058】
被検知部材925Bは、インク貯留室922の下寄りの位置で左右方向Xに延びる回転軸925Dに支持される。被検知部材925Bの上端部は、凸部925Aの空間内に進入している。被検知部材925Bは、回転軸925Dの周方向に回転可能である。フロート925Cは、被検知部材925Bの下端に取り付けられており、インク貯留室922内のインクより小さい比重を有する。したがって、フロート925Cは、インク貯留室922でインク中に存在する状態で浮力を生じさせる。
【0059】
インク貯留室922がインクでほぼ満たされている状態では、フロート925Cの浮力によって、被検知部材925Bの上端部は、回転軸925Dの周方向において、図7(B)における反時計回りに回動し、その結果、凸部925Aの後壁に当接する。これにより、被検知部材925Bの姿勢が維持される。この状態において、被検知部材925Bの上端部は、残量センサ93における発光素子および受光素子の間の光路を遮断する。
【0060】
インク貯留室922でインク液面が下降することに応じて、フロート925Cの上下位置も下降する。これにより、被検知部材925Bの上端部は、回転軸925Dの周方向において、図7(B)の時計回りに回動し、その結果、残量センサ93における発光素子および受光素子の間の光路から外れる。
【0061】
[インクチューブ94(インク流路の一例)]
図4図6において、4本のインクチューブ94は、各々の一方端において4つのニードル913の後方側に接続されている。4本のインクチューブ94の他方端は、記録ユニット70に接続されている。4つのCTG92が2つのCTGケース91に装着されると、4つのニードル913がインク導出部924の孔924Aに挿入される。これにより、各CTG92のインク貯留室922から、孔924A、ニードル913のインク流路913Aおよびインクチューブ94と連続するインク流路が形成される。このインク流路を通じて、インク貯留室922に貯留されたインクが記録ユニット70へ供給される。
【0062】
詳細には、図4に示すように、3本のインクチューブ94は、CTGケース91Rが有する3つのニードル913(図6(B)参照)の後ろ側から筐体1の左右中央の方へ向かって左方に延びる。残る1本のインクチューブ94は、CTGケース91Lのニードル913の後ろ側から筐体1の左右中央に向かって右方に延びる。4本のインクチューブ94は、筐体1内の固定位置P2で4本に束ねられて筐体1に固定される。固定位置P2の前後位置は、4つのCTG92と記録ユニット70との間である。固定位置P2の左右位置は、筐体1の中央付近である。固定位置P2の上下位置は、供給トレイ21より上方である。4本のインクチューブ94において固定位置P2と記録ユニット70との間の部分は、キャリッジ72の左右方向Xへの移動に追従して移動する。
【0063】
[筐体1の内部構成(メンテナンスユニット95等)]
図5図9において、内部空間11には、メンテナンスユニット95、廃液ユニット96、廃液チューブ97、および廃液センサ98が位置する。
【0064】
メンテナンスユニット95は、パージ機構であって、コントローラ99Aの制御下で、記録ユニット70の吐出口74からインクとともに気泡や異物を吸引除去するパージを実行する。メンテナンスユニット95は、キャップ95A、ポンプ95Bおよび昇降機構95Cを有する。
【0065】
[キャップ95A]
キャップ95Aは、ゴムなどの弾性材料により作製され、昇降機構95Cにより記録ヘッド73の下面に密着して、複数の吐出口74を覆う。キャップ95Aの底部には、吸気口95Dが形成されている。吸気口95Dには、上流側チューブ97Aの一方端が接続される。
【0066】
キャップ95Aは、左右方向Xにおいて、キャリッジ72の移動範囲72a内であって搬送路40の直線部42から右方に外れた位置であって、被キャップ位置P1(図4参照)の下方の位置に配置される。詳細には、キャップ95Aの左端は、基板99の右端より右方に位置する。キャップ95Aは、前後方向Yにおいてキャリッジ72の移動範囲72aと概ね同じ位置に配置され、上下方向Zにおいてキャリッジ72よりも下方に位置する。
【0067】
[ポンプ95B]
図5において、ポンプ95Bは、例えばロータリ式のチューブポンプである。ポンプ95Bは、左右方向Xにおいて、キャリッジ72の移動範囲72a内において、CRモータ84より左方であって、直線部42より右方に位置する。詳細には、ポンプ95Bの左端も、キャップ95Aの左端と同様、基板99の右端より右方に位置する。図9において、ポンプ95Bは、上下方向Zにおいてレール81F(図4参照)より下方であって、CTGケース91の底壁911Aより上方に位置する。ポンプ95Bは、前後方向Yにおいて、キャップ95Aより前方であって、CTGケース91より後方に位置する。
【0068】
図9において、ポンプ95Bは、吸込口95Eおよび吐出口95Fを有している。吸込口95Eには、上流側チューブ97Aの他方端が接続される。吐出口95Fには、下流側チューブ97Bの一方端が接続される。ポンプ95Bは、上流側チューブ97Aを介してキャップ95Aに連通する。ポンプ95Bは、コントローラ99Aによる制御下で駆動されて、内部のインクを吐出口95Fから下流側チューブ97Bへと押し出す。
【0069】
[昇降機構95C]
図9において、昇降機構95Cは、左右方向Xおよび前後方向Yにおいてキャリッジ72の移動範囲内であってキャップ95Aと同じ位置に設けられている。昇降機構95Cは、上下方向Zにおいてキャップ95Aより下方に位置する。
【0070】
キャップ95Aを、キャップ位置P3と、キャップ位置P3より下方の離間位置P4との間で上下方向Zに移動させる。キャップ位置P3は、被キャップ位置P1の記録ユニット70の下面にキャップ95Aの上端が密着して、キャップ95Aが吐出口74を覆う位置である。離間位置P4は、被キャップ位置P1の記録ユニット70の下面からキャップ95Aの上端が離れた位置である。昇降機構95Cとしては、例えば、キャリッジ72が被キャップ位置P1(図4参照)に移動した後、モータからの動力によりキャップ95Aをキャップ位置P3へと上昇させる機構を採用可能である。しかし、昇降機構95Cとしては、上記に限らず、他の公知の機構が採用されてもよい。
【0071】
上記より、左右方向Xにおいて、メンテナンスユニット95が占める範囲は、キャリッジ72の移動範囲と重複している。
【0072】
「メンテナンスユニット95の動作の概要」
パージを実行するタイミングが到来すると、CR搬送機構80は、キャリッジ72を被キャップ位置P1に移動させる。昇降機構95Cは、キャップ95Aを、キャップ位置P3に移動させる。その後、ポンプ95Bが駆動することで、記録ユニット70に密着するキャップ95A内の気圧が低下し、記録ユニット70からインクがキャップ95Aへと廃液として排出される。廃液は、キャップ95Aの吸気口95Dから上流側チューブ97Aへと流入し、ポンプ95Bから下流側チューブ97Bを通じて廃液ユニット96に流入する。廃液は、廃液ユニット96に貯留される。
【0073】
[廃液ユニット96]
図3図5において、廃液ユニット96は、メンテナンスユニット95により記録ユニット70から排出されたインクを貯留する。
【0074】
廃液ユニット96は、左右方向Xにおいて、CTGケース91Rの左端から、後述の基板99の右端までの範囲内に位置する。即ち、廃液ユニット96の右端位置は、CTGケース91Rの左端位置より左方である。廃液ユニット96の左端位置は、メンテナンスユニット95と同様、基板99の右端位置より右方である。図3図4において、廃液ユニット96は、前後方向Yにおいて、前壁12Fの直ぐ後方から、レール81Fの前端までの範囲内に位置する。図3に示すように、廃液ユニット96よりも後方に、記録ユニット70およびメンテナンスユニット95は位置する。即ち、記録ユニット70およびメンテナンスユニット95の各前端位置は、廃液ユニット96の後端位置よりも後方に位置する。図10(A)に示すように、廃液ユニット96は、上下方向Zにおいて、搬送路40の直線部42と、上壁12Tとの間の範囲内に位置する。即ち、廃液ユニット96は、搬送路40よりも上方に位置する。
【0075】
図9に示すように、前後方向Yおよび上下方向Zの各々において、廃液ユニット96が占める範囲は、CTGケース91が占める範囲と重複している。
【0076】
図4において、廃液ユニット96は、平面視で概ね矩形のケース96Aと、ケース96A内に取り付けられたインク吸収部材96Bとを有する。ケース96Aは、樹脂等で作製され、上方が開放された箱体である。インク吸収部材96Bは、発泡ポリウレタン等のように、多孔質で電気絶縁性を有する材料で作製され、インクを吸収する。
【0077】
[廃液チューブ97(廃液流路の一例)]
図9において、廃液チューブ97は、上流側チューブ97Aと、下流側チューブ97Bとを含んでいる。上流側チューブ97Aの一方端および他方端は、キャップ95Aの吸気口95Dに接続およびポンプ95Bの吸込口95Eにそれぞれ接続される。下流側チューブ97Bの一方端は、ポンプ95Bの吐出口95Fに接続される。下流側チューブ97Bの他方端は、ケース96Aの後端に設けられた連結部96Cに接続される。また、図5において、下流側チューブ97Bは、連結部96Cよりも若干後方の位置で、CTGケース91Rから延びるインクチューブ94と上下方向7において立体的に交差する。
【0078】
[廃液センサ98(第2センサの一例)]
図3において、廃液センサ98は、第2センサの一例であって、インク吸収部材96Bの上方からインク吸収部材96Bの前端部と接触する複数の電極98Aを有する。前端部は、インク吸収部材96Bの前端および前端付近を含む概念である。廃液センサ98は、廃液ユニット96と同様、左右方向Xにおいて、CTGケース91Rの左端から、後述の基板99の右端までの範囲内に位置する。
【0079】
複数の電極98Aは、図示しない周辺回路とともに基板98Bに実装されている。廃液センサ98は、複数の電極98Aにインクが到達したことに応じて、ハイレベルの信号をコントローラ99Aに出力する。廃液センサ98は、複数の電極98Aにインクが到達していない場合には、ローレベルの信号をコントローラ99Aに出力する。
【0080】
[基板99(基板の一例)]
図3図5において、内部空間11には、基板99が位置する。基板99には、プリンタ100の構成各部を制御するためのコントローラ99Aが実装されている。コントローラ99Aは、各種電子部品として、CPU、ROM、RAM,EEPROM、ASICおよびコネクタを含む。各種電子部品は、内部バスや基板上に形成された配線等により相互に接続される。
【0081】
基板99は、左右方向Xにおいて、廃液ユニット96の左端から、CTGケース91Lの右端までの範囲内に位置する。換言すると、基板99の右端位置は、廃液ユニット96の左端位置より左方であり、基板99の左端位置は、廃液ユニット96の右端位置より右方である。基板99は、前後方向Yにおいて、前壁12Fの直ぐ後方から、固定位置P2までの範囲内に位置する。即ち、基板99の全体は、固定位置P2よりも前方に位置する。基板99は、上下方向Zにおいて、搬送路40の直線部42と、上壁12Tとの間の範囲内に位置する。即ち、基板99の全体は、搬送路40よりも上方に位置し、基板99の下端は、搬送路40の上端より下方に位置しない。
【0082】
図10(A)に示すように、基板99が上下方向Zに占める範囲は、残量センサ93および廃液センサ98のそれと重複している。具体的には、基板99におけるコントローラ99Aの実装面、基板931における残量センサ93の実装面、および基板98Bにおける電極98Aの実装面の各上下位置は互いに揃っていることが好ましい。この位置で、基板99は、前後方向Yおよび左右方向Xに拡がっている。
【0083】
図3に示すように、基板99は、記録ユニット70よりも前方に位置し、メンテナンスユニット95および廃液ユニット96よりも左方に位置する。詳細には、基板99の後端は、記録ユニット70の前端より前方に位置する。基板99の右端は、メンテナンスユニット95および廃液ユニット96の各左端より左方に位置する。
【0084】
コントローラ99Aは、残量センサ93の出力信号や廃液センサ98の出力信号を受信する。コントローラ99Aは、残量センサ93の出力信号がローレベルからハイレベルに遷移したことに応じて、対応するCTG92の交換を促すための画面をディスプレイに表示させる。また、コントローラ99Aは、廃液センサ98の出力信号がローレベルからハイレベルに遷移したことに応じて、廃液ユニット96の交換を促すための画面をディスプレイに表示させる。
【0085】
[実施形態の作用効果]
実施形態では、基板99は、前後方向Yおよび左右方向Xに拡がっており、上下方向Zにおいて占める範囲が、残量センサ93および廃液センサ98が上下方向Zにおいて占める範囲と重複する。そのため、コントローラ99Aから残量センサ93および廃液センサ98の各々への上下距離が短くなり、コントローラ99Aと、残量センサ93および廃液センサ98の各々とをより短い信号線で接続できる。これにより、筐体1内のスペースを有効利用できるため、プリンタ100を小型化できる。
【0086】
実施形態では、記録ユニット70およびメンテナンスユニット95は廃液ユニット96より後方に位置し、基板99および各CTGケース91は記録ユニット70よりも前方に、廃液センサ98は廃液ユニット96の前端または前端付近に位置する。この構成により、廃液センサ98が廃液ユニット96の後端寄りに位置する場合と比べて、メンテナンスユニット95から廃液ユニット96への前後距離が短くなり、メンテナンスユニット95および廃液ユニット96をより短い廃液チューブ97で接続できる。
【0087】
実施形態では、図2に示すように、シートSの直線部42は、前後方向Yに沿って延び、記録ユニット70は、上下方向Zにおいて搬送路40よりも上方に位置する。図10(A)に示すように、廃液ユニット96および基板99は、内部空間11において、記録ユニット70の前方で排出トレイ22の上方のスペースにレイアウトされる。即ち、廃液ユニット96および基板99は、上下方向Zにおいて搬送路40よりも上方に、印刷物の排出を阻害しないように位置する。このように、実施形態では、記録ユニット70の前方にあるスペースが有効利用されるため、プリンタ100の前後サイズや左右サイズを小型化できる。
【0088】
実施形態では、CTGケース91L,91Rが左右方向Xにおいてキャリッジ72の移動範囲内であって、シートSの搬送路40に対して左右両側に分かれて位置するため、プリンタ100の左右寸法を小型化できる。
【0089】
実施形態では、メンテナンスユニット95および廃液ユニット96は、左右方向Xにおいて、基板99に対して同じ向き(詳細には右方)に位置する。これにより、メンテナンスユニット95および廃液ユニット96をより短い廃液チューブ97で接続できる。廃液センサ98は、左右方向Xにおいて基板99とCTGケース91Lとの間に位置する。これにより、コントローラ99Aおよび廃液センサ98をより短い信号線で接続できる。
【0090】
実施形態では、各CTGケース91が前後方向Yおよび上下方向Zの双方向において占める範囲と、廃液ユニット96の前後方向Yおよび左右方向Xの双方向において占める範囲とが互いに重なっている。また、各残量センサ93および廃液センサ98は、各CTG92および廃液ユニット96の上方に位置する。これにより、プリンタ100の前後寸法を小型化できる。
【0091】
[変形例]
実施形態では、残量センサ93および廃液センサ98は、基板99とは異なる基板931および基板98Bに実装されていた。しかし、これに限らず、図10(B)に示すように、残量センサ93および廃液センサ98は、コントローラ99Aとともに基板99に実装されてもよい。これにより、プリンタ100の修理時や保守時に、残量センサ93、廃液センサ98およびコントローラ99Aを取り外すための工数が減る。この変形例において、基板99の平面形状は、矩形であっても良いし、T字形状や逆T字形状等の異形であってもよい。
【0092】
実施形態では、廃液ユニット96および基板99が搬送路40よりも上方に位置していた。しかし、これに限らず、廃液ユニット96および基板99の少なくとも一方が搬送路40よりも上方に位置していればよい。
【0093】
実施形態では、内部空間11において、供給トレイ21の左右両側に、2つのCTGケース91L,91Rが分けて配置されていた。しかし、これに限らず、左右方向Xにおいて供給トレイ21の片側に、単一のCTGケース91が配置されてもよい。プリンタ100がフルカラー印刷に対応している場合、単一のCTGケース91は、4つのCTG92を収容可能である。また、プリンタ100がモノクロ印刷のみ対応する場合、単一のCTGケース91は、1つのCTG92を収容可能であればよい。
【0094】
実施形態では、メンテナンスユニット95および廃液ユニット96の各々は、基板99の右方に位置していた。しかし、これに限らず、メンテナンスユニット95および廃液ユニット96の各々は、基板99の左方に位置していてもよい。
【0095】
実施形態では、各残量センサ93および廃液センサ98は、各CTG92および廃液ユニット96の上方に位置していた。しかし、これに限らず、各残量センサ93または廃液センサ98は、各CTG92または廃液ユニット96の上方以外(例えば前方)に位置してもよい。
【0096】
実施形態では、廃液ユニット96は、パージ機構を構成するポンプ95Bと下流側チューブ97Bにより接続されていた。しかし、廃液ユニット96は、所謂フラッシングに用いられるインク受けとも別の廃液チューブにより接続されてもよい。
【0097】
実施形態では、インク貯留部の例示として、CTGケース91に着脱可能なCTG92が挙げられていた。しかし、これに限らず、インク貯留部は、筐体1内の収容体に据え付けられるインクタンクであってもよい。
【0098】
実施形態では、残量センサ93は、フロート925Cを有する被検知部925の位置をフォトインタラプタで検知していた。しかし、これに限らず、残量センサ93は、公知の液面レベルセンサを適用可能である。
【0099】
実施形態では、搬送路40は、内部空間11の下方から上方へと後方に膨らみながら延びる湾曲部41と、湾曲部41の下流端から前方に延びる直線部42とを有していた。しかし、これに限らず、搬送路40は、内部空間11の下方から上方へと右方に膨らみながら延びる湾曲部と、湾曲部の下流端から左方に延びる直線部とを有していてもよい。
【0100】
実施形態では、廃液ユニット96の左右両端は、搬送路40の左右両端の内側に位置していた。しかし、これに限らず、廃液ユニット96の左端および右端の一方は、搬送路40の左端および右端の一方より外側に位置していてもよい。
【0101】
実施形態では、廃液ユニット96の平面形状は、前後方向Yに長い矩形であった。しかし、これに限らず、廃液ユニット96の平面形状は、逆L字形状や逆T字形状等の異形であってもよい。
【0102】
実施形態では、メンテナンスユニット95は、記録ユニット70内のインクを吐出口74からキャップ75Aへと吐出させて廃液ユニット96へと導く吸引パージを実行するように構成されていた。しかし、これに限らず、メンテナンスユニット95は、排気パージを実行可能に構成されてもよい。この場合、図11に示すように、記録ユニット70には、インク流路75から分岐した排気流路76が形成されている。排気流路76は、記録ユニット70の下面で排気口77(吐出口の他の一例)になっている。記録ユニット70には、排気口77の開閉を行う排気弁78が設けられている。図11において、メンテナンスユニット95は、キャップ95Aとは別に、排気口77を覆う排気キャップ95Jを有する。排気キャップ95Jの底部には、排気口95Kが形成されている。排気口95Kには、排気チューブ97Cの一方端が接続される。排気チューブ97Cの他方端は、上流側チューブ97Aに合流する。
【符号の説明】
【0103】
100・・・プリンタ
1・・・筐体
11・・・内部空間
40・・・搬送路
70・・・記録ユニット
72・・・キャリッジ
73・・・記録ヘッド
74・・・吐出口
91・・・カートリッジケース(CTGケース)
92・・・インクカートリッジ(CTG)
93・・・残量センサ
94・・・インクチューブ
95・・・メンテナンスユニット
96・・・廃液ユニット
97・・・廃液チューブ
98・・・廃液センサ
99・・・基板
99A・・・コントローラ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11