(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157986
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】ケーブルコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/58 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
H01R13/58
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021062556
(22)【出願日】2021-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100094569
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 伸一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100103610
【弁理士】
【氏名又は名称】▲吉▼田 和彦
(74)【代理人】
【識別番号】100109070
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 洋之
(74)【代理人】
【識別番号】100067013
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 文昭
(74)【代理人】
【識別番号】100086771
【弁理士】
【氏名又は名称】西島 孝喜
(74)【代理人】
【識別番号】100109335
【弁理士】
【氏名又は名称】上杉 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120525
【弁理士】
【氏名又は名称】近藤 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100139712
【弁理士】
【氏名又は名称】那須 威夫
(74)【代理人】
【識別番号】100170209
【弁理士】
【氏名又は名称】林 陽和
(72)【発明者】
【氏名】三浦 達也
【テーマコード(参考)】
5E021
【Fターム(参考)】
5E021FB13
5E021FC02
5E021FC21
5E021GA05
5E021GB02
5E021LA20
5E021LA21
(57)【要約】
【課題】様々な径の電気ケーブルの保持およびグランドへの接続を効率的に実現することが可能な新規な構造のケーブルコネクタを提供する。
【解決手段】本開示にかかるケーブルコネクタは、端部において編組が露出している電気ケーブルの編組を支持するとともにグランドに電気的に接続される少なくとも内面が導電性を有するケーブル支持部を含み、端部から突出する内部配線に接続される端子部を収容するハウジングと、編組との接触に応じて弾性変形することでハウジングに対して編組を保持するとともに、ケーブル支持部の内面に接触することで編組をケーブル支持部の内面に電気的に接続する弾性導電性部材と、を備える。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
端部において編組が露出している電気ケーブルの前記編組を支持するとともにグランドに電気的に接続される少なくとも内面が導電性のケーブル支持部を含み、前記端部から突出する内部配線に接続される端子部を収容するハウジングと、
前記編組との接触に応じて弾性変形することで前記ケーブル支持部に対して前記編組を保持するとともに、前記ケーブル支持部の内面に接触することで前記編組を前記ケーブル支持部の内面に電気的に接続する弾性導電性部材と、
を備える、ケーブルコネクタ。
【請求項2】
前記弾性導電性部材は、弾性および導電性を有する板状部材が逆U字形状に屈曲されることで構成されたケーブル収容部を含む、
請求項1に記載のケーブルコネクタ。
【請求項3】
前記ケーブル収容部は、第1板部と、当該第1板部に面する第2板部と、前記第1板部と前記第2板部とを接続する屈曲部と、を有しており、
前記編組は、前記第1板部と前記第2板部との間に弾性的に挟み込まれることで保持されている、
請求項2に記載のケーブルコネクタ。
【請求項4】
前記弾性導電性部材は、前記第1板部と前記第2板部との間に前記編組が弾性的に挟み込まれることより発生する弾性変形に応じて前記ハウジング内に付勢されて接触する被付勢部をさらに含む、
請求項3に記載のケーブルコネクタ。
【請求項5】
前記弾性導電性部材は、前記ケーブル支持部に係止される爪部をさらに含む、
請求項2~4のうちいずれか1項に記載のケーブルコネクタ。
【請求項6】
前記ケーブル支持部は、前記編組の外周の一部のみを前記内面で支持する断面略円弧状の部分を含む、
請求項1~5のうちいずれか1項に記載のケーブルコネクタ。
【請求項7】
前記電気ケーブルは、2本の電気ケーブルを含み、
前記ケーブル支持部は、前記2本の電気ケーブルの各々の前記編組を隔てるとともに前記グランドに電気的に接続される壁部を含む、
請求項1~6のうちいずれか1項に記載のケーブルコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ケーブルコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気ケーブルの端部に接続される端子部を収容するハウジングを備えたケーブルコネクタが知られている。このような従来のケーブルコネクタにおいては、電気ケーブルの外形に沿った円弧状の部分を含む固定の寸法の蓋部材を、電気ケーブルのハウジングから露出した部分を覆うようにハウジングに取り付けることで、ハウジングに対する電気ケーブルの保持と、ハウジングを介した電気ケーブルのグランドへの接続と、が実現されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような従来の技術では、電気ケーブルの保持およびグランドへの接続を実現するための蓋部材が固定の寸法であるため、径が異なる他の電気ケーブルに流用することができない。つまり、径が異なる他の電気ケーブルを用いたケーブルコネクタを構成する場合、当該他の電気ケーブルの外形に沿った寸法の新たな蓋部材を別途用意する必要があるため、効率的ではない。
【0005】
そこで、本開示が解決しようとする課題の一つは、様々な径の電気ケーブルの保持およびグランドへの接続を効率的に実現することが可能な新規な構造のケーブルコネクタを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示にかかるケーブルコネクタは、端部において編組が露出している電気ケーブルの編組を支持するとともにグランドに電気的に接続される少なくとも内面が導電性を有するケーブル支持部を含み、端部から突出する内部配線に接続される端子部を収容するハウジングと、編組との接触に応じて弾性変形することでハウジングに対して編組を保持するとともに、ケーブル支持部の内面に接触することで編組をケーブル支持部の内面に電気的に接続する弾性導電性部材と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示にかかるケーブルコネクタによれば、様々な径の電気ケーブルの保持およびグランドへの接続を効率的に実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、実施形態にかかるコネクタ装置を示した斜視図である。
【
図2】
図2は、実施形態にかかるコネクタ装置が分離した状態を示した斜視図である。
【
図3】
図3は、実施形態にかかるプラグコネクタの分解斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1に示されるプラグコネクタのA-A切断線に沿った断面図である。
【
図5】
図5は、
図4からハウジングを抽出して示した断面図である。
【
図6】
図6は、
図1に示されるプラグコネクタのB-B切断線に沿った断面図である。
【
図7】
図7は、実施形態にかかるプラグコネクタの製造工程において電気ケーブルがハウジング内を直線状に貫通した状態を示した部分断面図である。
【
図8】
図8は、実施形態にかかるプラグコネクタの製造工程における弾性導電性部材の取付を説明するための斜視図である。
【
図9】
図9は、変形例にかかる弾性導電性部材を示した断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<実施形態>
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて説明する。以下に記載する実施形態の構成、ならびに当該構成によってもたらされる作用および効果は、あくまで一例であって、以下の記載内容に制限されるものではない。
【0010】
また、本開示において、「第1」、「第2」などの序数は、部品または部位などを区別するために便宜上付与されており、特定の優先順位を示すものではない。
【0011】
また、本開示の各図において、X方向は、プラグコネクタ100の前後方向(プラグコネクタ100のカバー130内で電気ケーブル300が延びる方向)に対応する。また、Y方向およびZ方向は、それぞれ、プラグコネクタ100の左右方向(幅方向)および上下方向(厚み方向)に対応する。
【0012】
図1は、実施形態にかかるコネクタ装置を示した斜視図であり、
図2は、実施形態にかかるコネクタ装置が分離した状態を示した斜視図である。実施形態にかかるコネクタ装置は、たとえばモータのような電気機器との間の電気信号の入出力を実現するために用いられる。
【0013】
図1および
図2に示されるように、実施形態にかかるコネクタ装置は、本開示の「ケーブルコネクタ」の一例としてのプラグコネクタ100と、レセプタクルコネクタ200と、を備える。プラグコネクタ100は、電気ケーブル300に接続された状態で使用され、レセプタクルコネクタ200は、電気機器の筐体の表面に設置された状態で使用される。なお、実施形態において、電気ケーブル300は、2本設けられており、2本の電気ケーブル300は、たとえば、制御信号などのデータを伝送する用の第1電気ケーブルと、電力信号を伝送する用の第2電気ケーブルと、に分類される。
【0014】
プラグコネクタ100およびレセプタクルコネクタ200は、互いに嵌合することで、電気ケーブル300を介した電気機器への電気信号の入力、または電気ケーブル300を介した電気機器からの電気信号の出力を実現する。
図1には、プラグコネクタ100およびレセプタクルコネクタ200が互いに嵌合した状態が示されており、
図2には、
図1には、プラグコネクタ100およびレセプタクルコネクタ200の嵌合が解除されることで両者が分離した状態が示されている。
【0015】
ここで、プラグコネクタ100およびレセプタクルコネクタ200が互いに嵌合した状態(
図1参照)と、プラグコネクタ100およびレセプタクルコネクタ200の嵌合が解除された状態(
図2参照)とは、プラグコネクタ100に取り付けられる操作レバー120によって切り替え可能である。
【0016】
操作レバー120は、プラグコネクタ100(より具体的には後述するハウジング110)の一方の側面から他方の側面まで延びる略U字の帯形状を有し、ハウジング110の側面に設けられる回動軸部121周りに所定角度(たとえば90度)回動可能に構成されている。操作レバー120がハウジング110の正面の位置(
図1参照)に回動すると、プラグコネクタ100およびレセプタクルコネクタ200の嵌合が維持され、操作レバー120がハウジング110の上面の位置(
図2参照)に回動すると、プラグコネクタ100およびレセプタクルコネクタ200の嵌合が解除される。
【0017】
なお、
図2に示されるように、レセプタクルコネクタ200は、プラグコネクタ100側の後述する端子部410(
図3など参照)が挿入される端子穴211および212が設けられる接続部210と、プラグコネクタ100およびレセプタクルコネクタ200が互いに嵌合した際にハウジング110に引っかかることでハウジング110を固定する爪部220と、を含む。なお、端子穴211および212は、接続部210にレセプタクルコネクタ200側の端子部(不図示)が装着されることにより形成される。
【0018】
また、
図1および
図2に示されるように、プラグコネクタ100は、上記の操作レバー120のほか、カバー130と、シール部材140と、キャップ部材150と、を含む。以下、
図3~
図6を参照して、プラグコネクタ100のこれらの構成についてより詳細に説明する。
【0019】
図3は、実施形態にかかるプラグコネクタ100の分解斜視図である。また、
図4は、
図1に示されるプラグコネクタ100のA-A切断線に沿った断面図である。また、
図5は、
図4からハウジング110を抽出して示した断面図である。また、
図6は、
図1に示されるプラグコネクタ100のB-B切断線に沿った断面図である。
【0020】
図3に示されるように、プラグコネクタ100は、操作レバー120が取り付けられたハウジング110と、シール部材140を挟んでねじ500によってハウジング110に結合されるカバー130と、カバー130の背面側にガスケット151およびクランプ152を介して結合されるキャップ部材150と、ハウジング110内に収容される端子411およびケース412からなる端子部410と、の組み合わせとして構成されている。なお、
図3では、簡単化のため、電気ケーブル300の図示が省略されている。
【0021】
また、
図4に示されるように、ハウジング110は、端部において編組320が露出している電気ケーブル300の端部から突出する内部配線310に接続された端子部410の全体を収容するように構成されている。実施形態では、ハウジング110とカバー130とが結合することで、結合されたハウジング110およびカバー130の内側に、側面視で略L字状の内部空間が構成される。
【0022】
また、
図5に示されるように、ハウジング110は、電気ケーブル300が挿入される第1開口113が一端側に設けられるとともに、第1開口113から挿入された電気ケーブル300の端部に接続された端子部410を露出させる第2開口114が他端側に設けられた、側面視において略L字状の外形を有する筒状に構成されている。なお、実施形態において、第1開口113は、第1開口113に沿った平面を構成することが可能なように平面状に設けられており、第2開口114も、第2開口114に沿った平面を構成することが可能なように平面状に設けられている。
【0023】
ここで、
図5に示されるように、実施形態では、第1開口113を通る電気ケーブル300(
図4も参照のこと)に沿った側面視におけるハウジング110の断面において、第1開口113に沿った第1線P1は、第2開口114に沿った第2線P2および第1線P1と第2線P2との交点を通って第2線P2と直交する方向に延びる第3線P3に対して傾斜している。これにより、実施形態では、第1開口113および第2開口114の両方を通ってハウジング110内を電気ケーブル300が直線状に近づけて貫通することが可能になっている。
【0024】
より具体的に、第1線P1は、第2線P2と直交する第1方向としてのZ方向に沿って第2線P2から離れるほど第2線P2と平行な第2方向としてのX方向に沿って第3線P3から離れるように(つまりハウジング110内に収容された電気ケーブル300の端部に近づくように)、直線状に傾斜している。また、第1開口113と第2開口114とは、第1方向としてのZ方向の視線で互いに重ならないように設けられている。
【0025】
また、実施形態において、ハウジング110は、金属または金属めっきされた樹脂などのような導電性材料により構成されており、基準電位点としてのグランド(またはアース)に電気的に接続されている。
【0026】
図6に示されるように、ハウジング110は、電気ケーブル300の露出した編組320を支持するとともにグランドに電気的に接続される少なくとも内面が導電性のケーブル支持部111を含んでいる。このケーブル支持部111は、電気ケーブル300の露出した編組320の外周の一部を内面で下方から支持する断面略円弧状の部分111Aを含んでおり、ケーブル支持部111の内面で支持された編組320は、弾性導電性部材160によってハウジング110に対して固定されている。
【0027】
弾性導電性部材160は、弾性および導電性を有する板状部材(たとえば板状の金属部材)により構成されている。弾性導電性部材160は、編組320との接触に応じて弾性変形することでハウジング110に対して編組320を保持するとともに、ケーブル支持部111の内面に接触することで編組320をケーブル支持部111(ひいてはグランド)に電気的に接続するように構成されている。
【0028】
実施形態において、弾性導電性部材160は、ケーブル支持部111に向けて開放された大きさが略同じ逆U字状の部分がY方向に2つ連結された形状としての線対称なM字形状に板状の金属部材が屈曲されることで構成されている(
図3も参照のこと)。より具体的に、弾性導電性部材160は、板部161と、当該板部161に面する板部162と、当該板部162に面する板部163と、当該板部163に面する板部164と、板部161と板部162とを接続する屈曲部165と、板部162と板部163とを接続する屈曲部166と、板部163と板部164とを接続する屈曲部167と、板部161の屈曲部165とは反対側の端部に設けられた爪部168と、板部164の屈曲部167とは反対側の端部に設けられた爪部169と、を有している。実施形態では、一例として、板部161と板部162と屈曲部165とにより構成される逆U字状の部分が、電気ケーブル300の編組320を収容するケーブル収容部を構成する。
【0029】
ここで、実施形態において、板部161と板部162との間の間隔は、編組320の径よりも小さい。これにより、編組320は、板部161と板部162との間に弾性的に挟み込まれることで保持される。
【0030】
また、実施形態において、ケーブル支持部111は、2本の電気ケーブル300の各々の編組320を隔てるとともにグランドに電気的に接続される壁部112を含む。これにより、弾性導電性部材160の板部164は、板部161と板部162との間に編組320が挟み込まれることにより発生する弾性変形に応じてハウジング110の壁部112に付勢される。
【0031】
また、実施形態では、板部161と板部162との間に編組320が上記のように挟み込まれたとき、板部164の屈曲部167とは反対側の端部に設けられた爪部169は、ハウジング110の壁部112に係止される。これにより、弾性導電性部材160がハウジング110に対して固定され、結果として電気ケーブル300の保持およびグランドへの接続が維持される。
【0032】
また、
図3および
図4に示されるように、実施形態では、ハウジング110の背面側にカバー130が取り付けられている。カバー130は、ハウジング110の第1開口113(
図5参照)を覆うように、シール部材140を挟んでねじ500によってハウジング110に結合されている。ねじ500は、カバー130およびシール部材140にそれぞれ設けられる貫通穴131および141(
図3参照)を貫通し、ハウジング110に設けられるねじ穴(
図6参照)の内周面に螺合する。
【0033】
ここで、
図3に示されるように、実施形態において、ハウジング110とカバー130との間に挟まれるシール部材140は、第1開口113(
図5参照)の縁に沿った略矩形の枠状に構成されている。シール部材140は、たとえばゴムによって構成される。また、シール部材140は、第1開口の縁に面するようにシール部材140の表面から立ち上がる略矩形の枠状の壁としての第1リブ142と、貫通穴141の周囲に設けられる円筒状の壁としての第2リブ143と、を有する。なお、第1リブ142は、シール部材140のハウジング110側の表面のみならず、カバー130側の裏面にも設けられうる。
【0034】
なお、実施形態では、カバー130は、その背面側に、ハウジング110内から延びる電気ケーブル300を貫通させる筒状部分132を有している。そして、筒状部分132には、環状のガスケット151およびクランプ152を介して筒状のキャップ部材150が結合される。これにより、筒状部分132を貫通してカバー130の外に露出した電気ケーブル300が、ガスケット151、クランプ152、およびキャップ部材150によって固定される。
【0035】
以下、
図7および
図8を主に参照して、実施形態にかかるプラグコネクタ100の製造工程について説明する。
【0036】
図7は、実施形態にかかるプラグコネクタ100の製造工程において電気ケーブル300がハウジング110内を直線状に貫通した状態を示した部分断面図であり、
図8は、実施形態にかかるプラグコネクタ100の製造工程における弾性導電性部材160の取付を説明するための斜視図である。
【0037】
実施形態では、プラグコネクタ100の製造にあたり、まず、キャップ部材150、ガスケット151、クランプ152、カバー130、およびシール部材140内に電気ケーブル300が通され、その後、当該電気ケーブル300が、ハウジング110の第1開口113および第2開口114に挿入される。そして、実施形態では、
図7に示されるように、ハウジング110を貫通して第2開口114から露出した電気ケーブル300の端部の内部配線310に端子部410が接続される。なお、
図7では、簡単化のため、シール部材140の図示が省略されている。
【0038】
上記で既に言及したが、実施形態では、電気ケーブル300がハウジング110内を直線状に貫通することが可能な位置関係で第1開口113および第2開口114が配置されている。このため、実施形態では、電気ケーブル300の端部への端子部410の取付にあたり電気ケーブル300をハウジング110内に挿入する工程、および電気ケーブル300の端部に取り付けられた端子部410の全体をハウジング110内に収容するために電気ケーブル300を引き戻す工程を、電気ケーブル300の外周面が第1開口113および第2開口114の内面と擦れるのを抑制しながら簡単に行うことができる。
【0039】
実施形態では、電気ケーブル300の引き戻しが完了すると、端子部410の全体がハウジング110内に収容される。その結果、実施形態では、
図8に示されるように、電気ケーブル300の編組320がハウジング110の外に露出する。そして、実施形態では、この編組320をケーブル支持部111に対して保持するとともにケーブル支持部111の壁部112を介してグランドに接続するように、弾性導電性部材160の取付が実施される。なお、弾性導電性部材160の取付に伴う弾性変形については、
図6を参照して既に説明したため、ここでは説明を省略する。
【0040】
なお、実施形態では、弾性導電性部材160の取付が完了すると、電気ケーブル300が予め通されたシール部材140およびカバー130が、ねじ500によってハウジング110に結合され、その後、カバー130とキャップ部材150とがガスケット151およびクランプ152を介して結合される。このようにして、実施形態にかかるプラグコネクタ100が製造される。
【0041】
以上説明したように、実施形態にかかるプラグコネクタ100は、ハウジング110と、弾性導電性部材160と、を備える。ハウジング110は、端部において編組320が露出している電気ケーブル300の編組320を支持するとともにグランドに電気的に接続される少なくとも内面が導電性のケーブル支持部111を含む。また、ハウジング110は、電気ケーブル300の端部から突出する内部配線310に接続される端子部410を収容する。弾性導電性部材160は、編組320との接触に応じて弾性変形することでハウジング110に対して編組320を保持するとともに、ケーブル支持部111の内面に接触することで編組320をケーブル支持部111の内面に電気的に接続する。
【0042】
上記のような構成によれば、電気ケーブル300が小径化または大径化された場合であっても、弾性変形する弾性導電性部材160によって、電気ケーブル300の保持およびグランドへの接続を容易に確保することができる。したがって、様々な径の電気ケーブルの保持およびグランドへの接続を効率的に実現することができる。
【0043】
また、実施形態において、弾性導電性部材160は、弾性および導電性を有する板状部材が逆U字形状に屈曲されることで構成されたケーブル収容部を含む。より具体的に、弾性導電性部材160は、第1板部としての板部161と、当該板部161に面する第2板部としての板部162と、板部161と板部162とを接続する屈曲部165と、を有するケーブル収容部を含み、編組320は、板部161と板部162との間に弾性的に挟み込まれることで保持されている。
【0044】
上記のような構成によれば、弾性および導電性を有する板状部材を逆U字状に屈曲するだけで、電気ケーブル300を容易に収容および保持することが可能な弾性導電性部材160を簡単に構成することができる。
【0045】
また、実施形態において、弾性導電性部材160は、板部161と板部162との間に編組320が弾性的に挟み込まれることより発生する弾性変形に応じてハウジング110内に付勢されて接触する被付勢部としての板部164をさらに含む。
【0046】
上記のような構成によれば、弾性変形により発生する弾性力を利用した板部164のハウジング110内への付勢により、電気ケーブル300のグランドへの接続を容易に実現することができる。
【0047】
また、実施形態において、弾性導電性部材160は、ハウジング110内に係止される爪部169をさらに含む。
【0048】
上記のような構成によれば、弾性導電性部材160とハウジング110とが爪部169によって固定されるので、電気ケーブル300の保持およびグランドへの接続を維持することができる。
【0049】
また、実施形態において、弾性導電性部材160は、逆U字状のケーブル収容部が連続したM字状に形成されている。
【0050】
上記のような構成によれば、弾性導電性部材160が線対称なM字状に形成されているので、弾性導電性部材160を対称軸に対して反転させても反転前の弾性導電性部材160と同等になる。その結果、弾性導電性部材160の取り扱いを簡単にすることができる。
【0051】
また、実施形態において、ケーブル支持部111は、編組320の外周の一部のみを内面で支持する断面略円弧状の部分111Aを有する。
【0052】
上記のような構成によれば、ケーブル支持部111により、弾性導電性部材160の取付のための編組320の露出を維持しながら編組320を支持することができる。
【0053】
また、実施形態において、電気ケーブル300は、2本設けられており、ハウジング110は、2本の電気ケーブル300の各々の編組320を隔てるとともにグランドに電気的に接続される壁部112を含む。
【0054】
このような構成によれば、壁部112を利用して、2本の電気ケーブルのグランドへの接続を容易に実現することができる。
【0055】
<変形例>
なお、上述した実施形態では、電気ケーブル300が2本設けられた構成が例示されている。しかしながら、本開示の技術は、電気ケーブル300が1本だけ設けられた構成にも、電気ケーブル300が3本以上設けられた構成にも適用可能である。
【0056】
また、上述した実施形態では、大きさが略同じ2つの逆U字状の部分がY方向に2つ連結された形状としてのY方向に対称なM字形状を有する弾性導電性部材160を用いた構成が例示されている。しかしながら、変形例として、たとえば横S字状、または一方の自由端にさらに複数回の折り返しが形成された、Y方向に非対称な形状の弾性導電性部材を用いた構成も考えられる。Y方向に非対称な形状の他の例としては、大きさまたは形状が異なる2つの逆U字状の部分がY方向に2つ連結された形状としてのY方向に非対称なM字形状などが考えられる。これらの変形例のようなY方向に非対称な弾性導電性部材によって2本の電気ケーブルを保持する場合、2つの弾性導電性部材をY方向の向きを逆にして使用する必要がある。
【0057】
ここで、
図9を参照して、Y方向に非対称なM字形状の弾性導電性部材の一例を変形例としてより具体的に説明する。
図9は、変形例にかかる弾性導電性部材1160を示した断面図である。
【0058】
図9に示される変形例において、弾性導電性部材1160は、形状が異なる2つの逆U字状の部分がY方向に2つ連結された形状としてのY方向に非対称なM字形状を有している。より具体的に、弾性導電性部材1160は、板部1161と、当該板部1161に面する板部1162と、当該板部1162に面する板部1163と、当該板部1163に面する板部1164と、板部1161と板部1162とを接続する屈曲部1165と、板部1162と板部1163とを接続する屈曲部1166と、板部1163と板部1164とを接続する屈曲部1167と、板部1161の屈曲部1165とは反対側の端部に設けられた爪部1168と、板部1164の屈曲部1167とは反対側の端部に設けられた爪部1169と、を有するように屈曲された板状の金属部材により構成されている。なお、板部1162は、板部1161と略対向するように屈曲部165に接続される板部1162Aと、板部1162Aの屈曲部165とは反対側の端部から屈曲部1166に向かって板部1161から離れるように直線状に延びる板部1162Bと、を有している。
【0059】
図9に示される変形例では、板部1161と板部1162と屈曲部165とにより構成される一方側の逆U字状の部分が、電気ケーブル300を収容する(かつケーブル支持部111に押し付ける)ケーブル収容部を構成し、板部1163と板部1164と屈曲部1167とにより構成される他方側の逆U字状の部分(特に板部1164)が、ハウジング110の壁部112(
図6参照)に付勢される被付勢部を構成する。なお、爪部1168および1169の役割は、上述した実施形態にかかる弾性導電性部材160の爪部168および160の役割と同様である。
【0060】
また、上述した実施形態では、電気ケーブル300が挿入される第1開口113が平面状に設けられた構成が例示されている。しかしながら、変形例として、第1開口が曲面状に設けられた構成も考えられる。このような変形例として、たとえば、ハウジングの上面の一部のみが切りかかれた構成が考えられる。この構成においては、ハウジングの上面のカバー側の端部は、Y方向に直線状に延びておらず、電気ケーブルの出し入れの際に電気ケーブルと干渉する部分においてハウジングの正面側に部分的に切りかかれている。このような構成によっても、第1開口を通る電気ケーブルに沿った側面視における断面で見れば、上述した実施形態と同様に、第1開口および第2開口の両方を通ってハウジング内を電気ケーブルが略直線状に貫通することが可能になる。
【0061】
以上、本発明の実施形態および変形例を説明したが、これらの実施形態および変形例は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これらの新規な実施形態および変形例は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これらの実施形態および変形例は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0062】
100 プラグコネクタ(ケーブルコネクタ)
110 ハウジング
111 ケーブル支持部
111A 断面略円弧状の部分
112 壁部
160 弾性導電性部材
161 板部(第1板部、ケーブル収容部)
162 板部(第2板部、ケーブル収容部)
164 板部(被付勢部)
165 屈曲部(ケーブル収容部)
169 爪部(係止部)
300 電気ケーブル
310 内部配線
410 端子部