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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022157998
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】ポンプ
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/64 20060101AFI20221006BHJP
   F04D 13/12 20060101ALI20221006BHJP
   F04D 29/58 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
F04D29/64 A
F04D13/12 Z
F04D29/58 D
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021062575
(22)【出願日】2021-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000151058
【氏名又は名称】株式会社電業社機械製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100120396
【弁理士】
【氏名又は名称】杉浦 秀幸
(72)【発明者】
【氏名】根岸 道明
【テーマコード(参考)】
3H130
【Fターム(参考)】
3H130AA03
3H130AB22
3H130AB52
3H130AB62
3H130AB66
3H130AB68
3H130AC10
3H130BA32C
3H130BA32G
3H130BA91C
3H130BA91J
3H130BA97C
3H130BA97J
3H130BA98C
3H130CB00
3H130DA02Z
3H130DD06X
3H130DG01Z
3H130DG09Z
(57)【要約】
【課題】 減速機や二重構造の主軸を用いずに二重反転式の羽根車を回転駆動できると共に、管理や設備を簡易化すること。
【解決手段】 第1の羽根車4Aが取り付けられこれを回転駆動する第1の水圧モータ3Aと、第2の羽根車4Bが取り付けられこれを回転駆動する第2の水圧モータ3Bと、原水を吸い上げる吸水口2aを端部に有したケーシング2と、第1の水圧モータ及び第2の水圧モータに循環水を送る循環水流路5と、ケーシングの外部に設置され循環水流路を介して加圧した循環水を第1の水圧モータ及び第2の水圧モータに送る循環水供給部6とを備え、第1の羽根車と第2の羽根車とが、互いに同一軸心上の前後2段に配設されていると共に捻れ方向が互いに逆の羽根4aを有し、第1の水圧モータと第2の水圧モータとが、第1の羽根車と第2の羽根車とを互いに逆方向に回転駆動する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の羽根車が取り付けられ前記第1の羽根車を回転駆動する第1の水圧モータと、
第2の羽根車が取り付けられ前記第2の羽根車を回転駆動する第2の水圧モータと、
内部に前記第1の羽根車及び前記第2の羽根車を回転可能に前記第1の水圧モータ及び前記第2の水圧モータを支持すると共に原水を吸い上げる吸水口を端部に有したケーシングと、
前記第1の水圧モータ及び前記第2の水圧モータに循環水を送る循環水流路と、
前記ケーシングの外部に設置され前記循環水流路を介して加圧した前記循環水を前記第1の水圧モータ及び前記第2の水圧モータに送る循環水供給部とを備え、
前記第1の羽根車と前記第2の羽根車とが、互いに同一軸心上の前後2段に配設されていると共に捻れ方向が互いに逆の羽根を有し、
前記第1の水圧モータと前記第2の水圧モータとが、前記第1の羽根車と前記第2の羽根車とを互いに逆方向に回転駆動することを特徴とするポンプ。
【請求項2】
請求項1に記載のポンプにおいて、
前記循環水流路が、前記第1の水圧モータに供給する前記循環水の流量を制御する第1の流量調整弁と、前記第2の水圧モータに供給する前記循環水の流量を制御する第2の流量調整弁とを備えていることを特徴とするポンプ。
【請求項3】
請求項1又は2に記載のポンプにおいて、
前記循環水流路中の前記循環水を冷却する循環水冷却機構を備えていることを特徴とするポンプ。
【請求項4】
請求項3に記載のポンプにおいて、
前記循環水流路が、前記第1の水圧モータ及び前記第2の水圧モータに前記循環水供給部から加圧した前記循環水を送る高圧水管と、
前記第1の水圧モータ及び前記第2の水圧モータから前記循環水供給部に前記循環水を戻す低圧水管とを備え、
前記循環水冷却機構が、前記吸水口から吸い上げる前又は吸い上げる途中の前記原水に前記高圧水管及び前記低圧水管の少なくとも一部が接触可能に配された冷却用配管部を有していることを特徴とするポンプ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、救急排水用のポンプや土木仮設工事排水用あるいは農業用給排水用等のポンプに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、異常気象による大雨や台風などの水災害時の救急排水用の立軸ポンプや土木仮設工事排水用あるいは農業用給排水用等のポンプでは、いわゆる二重反転式の羽根車を用いた立軸軸流ポンプが提案されている。
【0003】
例えば、特許文献1では、図2及び図3に示すように、ポンプケーシング102内に、内側ポンプ軸103aと外側ポンプ軸103bとからなる二重のポンプ軸103を配設し、内側ポンプ軸103aと外側ポンプ軸103bの一端側に互いに羽根車羽根104aの捻れ方向が逆の軸流羽根車104A,104Bをそれぞれ配設して前後2段となし、歯車減速機105で1つの入力軸106の回転駆動により内側ポンプ軸103aと外側ポンプ軸103bとを互いに反対方向に回転駆動するように歯車列を設定し、しかも前後2段の軸流羽根車104A,104Bの回転数比を所望の値に歯車列により設定するように構成した軸流ポンプ100が記載されている。
【0004】
なお、上記軸流ポンプ100のポンプ軸103は、ポンプケーシング102の途中で水中軸受107を介して回転可能に支持されている。
また、ポンプケーシング102の下端は原水の吸水口102aとなっていると共に、ポンプケーシング102の上部には、吐出エルボ108が接続されている。
さらに、上記軸流ポンプ100は、吸込水槽の上部の据付床109に形成された据付孔109aに取り付けられたポンプベース110(ベースプレート)(図示略)にポンプケーシング102上部が固定されて吊り下げ設置されている。
【0005】
この二重反転式の羽根車104A,104Bを用いたポンプ100では、単段の羽根車の場合にケーシング内に設けた整流用の案内羽根が不要になると共に、旋回流を整流する部分でのエネルギー損失が無いために高い揚程が得られる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005-163682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記従来の技術において、以下の課題が残されている。
従来の二重反転式の立軸軸流ポンプでは、電動機の動力を減速機105を介して、主軸(ポンプ軸103)が中空の二重構造とされた2つの羽根車104A,104Bに伝達し、2つの羽根車104A,104Bを互いに反対方向に回転させる構造を採用しているため、潤滑機構やシール機構が複雑になり、コスト高になる不都合があった。また、減速機105を搭載しているために水没対策には不向きな構造であった。さらに、電動機の動力電源は、発電機用ディーゼルエンジンから配電盤に内蔵した減電圧始動装置(リアクトルコンドルファ)を介して電動機電源を供給して駆動しているため、配電盤を収納するための建屋の設備も必要であった。
【0008】
本発明は、上記従来の問題に鑑みてなされたもので、減速機や二重構造の主軸を用いずに二重反転式の羽根車を回転駆動できると共に、管理や設備を簡易化することが可能なポンプを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、前記課題を解決するために以下の構成を採用した。すなわち、第1の発明に係るポンプは、第1の羽根車が取り付けられ前記第1の羽根車を回転駆動する第1の水圧モータと、第2の羽根車が取り付けられ前記第2の羽根車を回転駆動する第2の水圧モータと、内部に前記第1の羽根車及び前記第2の羽根車を回転可能に前記第1の水圧モータ及び前記第2の水圧モータを支持すると共に原水を吸い上げる吸水口を端部に有したケーシングと、前記第1の水圧モータ及び前記第2の水圧モータに循環水を送る循環水流路と、前記ケーシングの外部に設置され前記循環水流路を介して加圧した前記循環水を前記第1の水圧モータ及び前記第2の水圧モータに送る循環水供給部とを備え、前記第1の羽根車と前記第2の羽根車とが、互いに同一軸心上の前後2段に配設されていると共に捻れ方向が互いに逆の羽根を有し、前記第1の水圧モータと前記第2の水圧モータとが、前記第1の羽根車と前記第2の羽根車とを互いに逆方向に回転駆動することを特徴とする。
【0010】
このポンプでは、第1の水圧モータと第2の水圧モータとが、第1の羽根車と第2の羽根車とを互いに逆方向に回転駆動するので、電気機器ではなく管理や設備が簡易な第1の水圧モータ及び第2の水圧モータで第1の羽根車及び第2の羽根車を駆動すると共に、循環水冷却機構により循環水を冷却して第1の水圧モータ及び第2の水圧モータの過熱を抑制することができる。また、第1の羽根車と第2の羽根車とを別々に第1の水圧モータと第2の水圧モータで回転駆動するので、減速機や二重構造の主軸などが不要になり、潤滑機構やシール機構も簡易になって低コスト化することが可能になる。
【0011】
第2の発明に係るポンプにおいて、第1の発明において、前記循環水流路が、前記第1の水圧モータに供給する前記循環水の流量を制御する第1の流量調整弁と、前記第2の水圧モータに供給する前記循環水の流量を制御する第2の流量調整弁とを備えていることを特徴とする。
すなわち、このポンプでは、循環水流路が、第1の水圧モータに供給する循環水の流量を制御する第1の流量調整弁と、第2の水圧モータに供給する循環水の流量を制御する第2の流量調整弁とを備えているので、第1の流量調整弁と第2の流量調整弁とにより第1の水圧モータの回転と第2の水圧モータの回転とを個別に制御することが容易になる。したがって、第1の流量調整弁及び第2の流量調整弁による第1の水圧モータ及び第2の水圧モータに対する循環水の流量をそれぞれ変えることで、第1の水圧モータと第2の水圧モータとを互いに異なる回転数に設定することができ、1つのポンプの適用範囲を大幅に拡大することができる。
【0012】
第3の発明に係るポンプにおいて、第1又は第2の発明において、前記循環水流路中の前記循環水を冷却する循環水冷却機構を備えていることを特徴とする。
すなわち、このポンプでは、循環水流路中の循環水を冷却する循環水冷却機構を備えているので、循環水冷却機構により循環水を冷却して第1の水圧モータ及び第2の水圧モータの過熱を抑制することができる。
【0013】
第4の発明に係るポンプにおいて、第3の発明において、前記循環水流路が、前記第1の水圧モータ及び前記第2の水圧モータに前記循環水供給部から加圧した前記循環水を送る高圧水管と、前記第1の水圧モータ及び前記第2の水圧モータから前記循環水供給部に前記循環水を戻す低圧水管とを備え、前記循環水冷却機構が、前記吸水口から吸い上げる前又は吸い上げる途中の前記原水に前記高圧水管及び前記低圧水管の少なくとも一部が接触可能に配された冷却用配管部を有していることを特徴とする。
すなわち、このポンプでは、循環水冷却機構が、吸水口から吸い上げる前又は吸い上げる途中の原水に高圧水管及び低圧水管の少なくとも一部が接触可能に配された冷却用配管部を有しているので、高圧水管及び低圧水管の冷却用配管部が原水と接触することで循環水の効率的な放熱が可能になる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、以下の効果を奏する。
すなわち、本発明のポンプによれば、第1の水圧モータと第2の水圧モータとが、第1の羽根車と第2の羽根車とを互いに逆方向に回転駆動するので、電気機器ではなく管理や設備が簡易な第1の水圧モータ及び第2の水圧モータで第1の羽根車及び第2の羽根車を駆動すると共に、循環水冷却機構により循環水を冷却して第1の水圧モータ及び第2の水圧モータの過熱を抑制することができる。
したがって、本発明のポンプでは、減速機や二重構造の主軸を用いずに二重反転式の羽根車を回転駆動することができると共に、煩雑な維持管理や高圧配電盤用の建屋設備等も不要となり、管理・設備コスト及び消費電力の低減により低コスト化することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明に係るポンプの一実施形態を示す要部の断面図及び配管図である。
図2】本発明に係るポンプの従来例を示す全体の断面図である。
図3】本発明に係るポンプの従来例において、二重反転式の羽根車を示す要部の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明におけるポンプの一実施形態を、図1に基づいて説明する。
【0017】
本実施形態におけるポンプ1は、例えば河川の救急排水ポンプであり、図1に示すように、第1の羽根車(インペラ)4Aが取り付けられ第1の羽根車4Aを回転駆動する第1の水圧モータ3Aと、第2の羽根車(インペラ)4Bが取り付けられ第2の羽根車4Bを回転駆動する第2の水圧モータ3Bと、内部に第1の羽根車4A及び第2の羽根車4Bを回転可能に第1の水圧モータ3A及び第2の水圧モータ3Bを支持すると共に原水を吸い上げる吸水口2aを端部に有したケーシング2と、第1の水圧モータ3A及び第2の水圧モータ3Bに循環水を送る循環水流路5と、ケーシング2の外部に設置され循環水流路5を介して加圧した循環水を第1の水圧モータ3A及び第2の水圧モータ3Bに送る循環水供給部6とを備えている。
【0018】
上記第1の羽根車4Aと第2の羽根車4Bとは、互いに同一軸心上の前後2段に配設されていると共に捻れ方向が互いに逆の羽根4aを有している。
上記第1の水圧モータ3Aと第2の水圧モータ3Bとは、第1の羽根車4Aと第2の羽根車4Bとを互いに逆方向に回転駆動する。
上記循環水流路5は、第1の水圧モータ3Aに供給する循環水の流量を制御する第1の流量調整弁7Aと、第2の水圧モータ3Bに供給する循環水の流量を制御する第2の流量調整弁7Bとを備えている。
【0019】
なお、本実施形態のポンプ1は、吸水口2aを下端にしてケーシング5が垂直に設置され第1の水圧モータ3A及び第2の水圧モータ3Bをケーシング2内に配した水災害時の緊急排水用のポンプである。
上記第1の水圧モータ3A及び第2の水圧モータ3Bは、支え板2b等を介してケーシング2内の中心軸上で吸水口2a近傍に支持されている。
また、本実施形態のポンプ1は、循環水流路5中の循環水を冷却する循環水冷却機構8を備えている。
【0020】
上記循環水流路5は、第1の水圧モータ3A及び第2の水圧モータ3Bに循環水供給部6から加圧した循環水を送る高圧水管9と、第1の水圧モータ3A及び第2の水圧モータ3Bから循環水供給部6に循環水を戻す低圧水管10とを備えている。
上記高圧水管9及び低圧水管10は、例えばステンレス等の耐蝕性の高い金属等で形成されている。
【0021】
上記循環水冷却機構8は、吸水口2aから吸い上げる前又は吸い上げる途中の原水に高圧水管9及び低圧水管10の少なくとも一部が接触可能に配された冷却用配管部8aを有している。
上記循環水供給部6は、高圧水管9に加圧した潤滑水を送る水圧ポンプ6aと、水圧ポンプ6aを駆動するディーゼルエンジン6bと、ディーゼルエンジン6bの操作パネル6cとを備え、これらが陸上の建屋6dに設置されている。
【0022】
上記第1の羽根車4A及び第2の羽根車4Bは、例えばステンレス等で形成されている。
また、第1の羽根車4A及び第2の羽根車4Bは、互いに逆方向に回転すると、河川水等の原水を下方から上方へと押し出し可能なプロペラ形状とされている。
第1の羽根車4Aは、第1の羽根車4Aの上方に設置された第1の水圧モータ3Aの下方に突出した回転軸の外周面に取り付けられていると共に、第2の羽根車4Bは、第2の羽根車4Bの下方に設置された第2の水圧モータ3Bの上方に突出した回転軸の外周面に取り付けられている。
【0023】
上記ケーシング2は、下端に水の吸水口2aを有する筒状であり、上部側に吐出管(図示略)が接続されている。
本実施形態のポンプ1は、図2に示す従来のポンプと同様に、吸込水槽の上部の据付床(図示略)に形成された据付孔に取り付けられたポンプベース(ベースプレート)(図示略)にケーシング2上部が固定されて吊り下げ設置されている。
【0024】
上記高圧水管9は、第1の流量調整弁7Aを介して第1の水圧モータ3Aに接続された第1の分岐管9Aと、第2の流量調整弁7Bを介して第2の水圧モータ3Bに接続された第2の分岐管9Bとに分岐されている。
上記低圧水管10は、第1の水圧モータ3Aから排出される循環水が流通する第1の返却管10Aと、第2の水圧モータ3Bから排出される循環水が流通する第2の返却管10Bとを備え、第1の返却管10Aと第2の返却管10Bとが途中で合流して循環水を循環水供給部6に戻すように配管されている。
【0025】
上記冷却用配管部8aは、第1の返却管10A及び第2の返却管10Bのそれぞれの途中に設けられ螺旋状に配されたスパイラルコイルの螺旋部8bを有している。第1の返却管10A及び第2の返却管10Bは、少なくとも螺旋部8bが吸込水槽内の原水に接触した状態で配管されている。
すなわち、上記冷却用配管部8aが、高圧水管9及び低圧水管10の少なくとも一方を螺旋状に配した螺旋部8bを有しているので、螺旋部8bにより原水との接触面積が増大して放熱性が高まり、より効果的に循環水を冷却することができる。
【0026】
このように本実施形態の循環水冷却機構8では、吸水口2aから吸い上げる前の原水、すなわち吸込水槽内の原水に低圧水管10の一部(上記螺旋部8b等)が接触可能に配された冷却用配管部8aを有している。
なお、冷却用配管部として、吸水口2aから吸い上げる途中の原水に高圧水管9及び低圧水管10の少なくとも一部(上記螺旋部等)を接触可能に配した部分を採用しても構わない。すなわち、ケーシング2内に高圧水管9及び低圧水管10の少なくとも一部(上記螺旋部等)を配してケーシング2内で吸い上げる原水に接触させて熱交換させても良い。
【0027】
このように本実施形態のポンプ1は、第1の水圧モータ3Aと第2の水圧モータ3Bとが、第1の羽根車4Aと第2の羽根車4Bとを互いに逆方向に回転駆動するので、電気機器ではなく管理や設備が簡易な第1の水圧モータ3A及び第2の水圧モータ3Bで第1の羽根車4A及び第2の羽根車4Bを駆動すると共に、循環水冷却機構8により循環水を冷却して第1の水圧モータ3A及び第2の水圧モータ3Bの過熱を抑制することができる。
【0028】
また、第1の羽根車4Aと第2の羽根車4Bとを別々に第1の水圧モータ3Aと第2の水圧モータ3Bで回転駆動するので、減速機や二重構造の主軸などが不要になり、潤滑機構やシール機構も簡易になって低コスト化することが可能になる。
また、循環水流路5が、第1の水圧モータ3Aに供給する循環水の流量を制御する第1の流量調整弁7Aと、第2の水圧モータ3Bに供給する循環水の流量を制御する第2の流量調整弁7Bとを備えているので、第1の流量調整弁7Aと第2の流量調整弁7Bとにより第1の水圧モータ3Aの回転と第2の水圧モータ3Bの回転とを個別に制御することが容易になる。
【0029】
したがって、第1の流量調整弁7A及び第2の流量調整弁7Bによる第1の水圧モータ3A及び第2の水圧モータ3Bに対する循環水の流量をそれぞれ変えることで、第1の水圧モータ3Aと第2の水圧モータ3Bとを互いに異なる回転数に設定することができ、1つのポンプの適用範囲を大幅に拡大することができる。
【0030】
また、循環水流路5中の循環水を冷却する循環水冷却機構8を備えているので、循環水冷却機構8により循環水を冷却して第1の水圧モータ3A及び第2の水圧モータ3Bの過熱を抑制することができる。
特に、循環水冷却機構8が、吸水口2aから吸い上げる前又は吸い上げる途中の原水に高圧水管9及び低圧水管10の少なくとも一部が接触可能に配された冷却用配管部8aを有しているので、高圧水管9及び低圧水管10の冷却用配管部8aが原水と接触することで循環水の効率的な放熱が可能になる。
【0031】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の変更を加えることが可能である。
すなわち、上記実施形態では、循環水冷却機構が螺旋部を有した冷却用配管部を備えているが、冷却用配管部として、高圧水管や低圧水管に冷却フィンを設けた部分や、高圧水管や低圧水管を枝分かれさせた複数の分岐管で構成した多鋼管部等を採用しても構わない。
【符号の説明】
【0032】
1…ポンプ、2…ケーシング、2a…吸水口、3A…第1の水圧モータ、3B…第2の水圧モータ、4A…第1の羽根車、4B…第2の羽根車、5…循環水流路、6…循環水供給部、7A…第1の流量調整弁、7B…第2の流量調整弁、8…循環水冷却機構、8a…冷却用配管部、9…高圧水管、10…低圧水管
図1
図2
図3