(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158025
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】音響障害防止等装置
(51)【国際特許分類】
G10K 11/20 20060101AFI20221006BHJP
E04B 1/86 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
G10K11/20
E04B1/86 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】19
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021062625
(22)【出願日】2021-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】594075765
【氏名又は名称】日本環境アメニティ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102048
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 光司
(74)【代理人】
【識別番号】100146503
【弁理士】
【氏名又は名称】高尾 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】八並 心平
【テーマコード(参考)】
2E001
【Fターム(参考)】
2E001DF02
2E001DF05
2E001FA07
2E001GA18
2E001HA01
2E001HA04
2E001HA11
2E001HA14
2E001HB01
2E001HC01
2E001HC11
2E001HD11
2E001HE01
(57)【要約】
【課題】 簡易に製造できると共に、従来より破損しにくく設置上の自由度が高い音響障害防止等装置を提供すること。
【解決手段】面上に並ぶ複数の点Pを線分Lで接続した音響拡散のための複数のリブ3を有する。リブは音の入射側Saに音響的に露出し、複数の点Pは次式により配置される。
n番目点及び基準点を結ぶn番目線分と、n+1番目点及び基準点を結ぶn+1番目線分相互の角度がnα(nは自然数)であり、n+1番目線分長R(n+1)>n番目線分長R(n)を満たすn範囲を有する。
φ=(1+sqrt(5))/2
α=360°*1/(1+φ)
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
面上に並ぶ複数の点を線分で接続した音響拡散のための複数のリブを有し、これらのリブは音の入射側に音響的に露出しており、前記複数の点は次式により配置される、音響障害を防止し、または、音質の改善を行うための板状単位体を有する音響障害防止等装置。
n番目点及び基準点を結ぶn番目線分と、n+1番目点及び基準点を結ぶn+1番目線分相互の角度がnα(nは自然数)であり、n+1番目線分長R(n+1)>n番目線分長R(n)を満たすn範囲を有する。
φ=(1+sqrt(5))/2
α=360°*1/(1+φ)
【請求項2】
前記板状単位体はR(n+1)/R(n)が等倍、任意の倍率、または、nφ倍(nは自然数)で規定される請求項1記載の音響障害防止等装置。
【請求項3】
前記板状単位体は前記複数の点が基準点中心側から外側にらせん状に接続されてリブを形成している請求項1または2記載の音響障害防止等装置。
【請求項4】
前記板状単位体は周囲に枠を有し、枠が前記線分を横切る位置で前記リブは枠に接続されている請求項1~3のいずれかに記載の音響障害防止等装置。
【請求項5】
前記板状単位体を複数枚設け、前記基準点周りで異なる角度または表裏反転して前記複数の板状単位体を重ねてある請求項1~4のいずれかに記載の音響障害防止等装置。
【請求項6】
前記各板状単位体間を離隔させてある請求項5記載の音響障害防止等装置。
【請求項7】
前記各板状単位体間にスペーサーを設けて各板状単位体間を離隔させてある請求項5記載の音響障害防止等装置。
【請求項8】
前記各板状単位体間に吸音材を介在させてある請求項6または7記載の音響障害防止等装置。
【請求項9】
前記板状単位体を複数枚設け、各板状単位体を同一面上に複数並べ、または、各板状単位体の面が角をなすように複数並べてある請求項1~8のいずれかに記載の音響障害防止等装置。
【請求項10】
前記複数の板状単位体は面の広がり方向に対する互いに大きさの異なるものを有している請求項9記載の音響障害防止等装置。
【請求項11】
前記板状単位体の一面に通気性の目隠し材を設けてある請求項1~10のいずれかに記載の音響障害防止等装置。
【請求項12】
前記板状単位体は、前記各点の位置に他のリブ部分より大きなリブ交差部を有している請求項1~11のいずれかに記載の音響障害防止等装置。
【請求項13】
前記板状単位体をマイクの音源側とは反対側に配置してある請求項1~12のいずれかに記載の音響障害防止等装置。
【請求項14】
前記各板状単位体は面の表裏側で異なる素材を組み合わせたものである請求項1~13のいずれかに記載の音響障害防止等装置。
【請求項15】
前記板状単位体を他の面状部材と組み合わせて用いるものである請求項1~14のいずれかに記載の音響障害防止等装置。
【請求項16】
前記板状単位体を部屋の床または音源が上方に設置される台の上面に設けてある請求項1~15のいずれかに記載の音響障害防止等装置。
【請求項17】
前記板状単位体の複数個を互いの側縁で角度変更自在に連結してある請求項1~15のいずれかに記載の音響障害防止等装置。
【請求項18】
前記各板状単位体は板材を刃物若しくはレーザーで切り抜き、または、3Dプリンターを用いて作成したものである請求項1~17のいずれかに記載の音響障害防止等装置。
【請求項19】
前記各板状単位体は型を用いた成型により作成したものである請求項1~17のいずれかに記載の音響障害防止等装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、音響障害を防止し、または、音質の改善を行う(以下、「音響障害防止等」という。)ための音響障害防止等装置に関する。さらに詳しくは、空間等に配置される音響拡散体のためのリブを有する音響障害防止等装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばコンサートホールや音楽スタジオ等では、フラッターエコー、ロングパスエコー、音響集中等の音響障害を防止する必要がある。また、例えば、音楽ジャンル、ミュージシャンの嗜好に合わせて音質の改善が行われる場合がある。これら音響障害の防止または音質の改善を行うために、多重反射の防止、音の拡散などを個別に調整する手法として、特許文献1記載の音響障害防止等装置が提唱されていた。
【0003】
同文献によれば、互いに略相似形または合同である複数の音響拡散のための立体の多面体(ユニット)を互いの向きを異ならせて近接配置し、これら多面体を相互に接合し、及び/又は、連結体を介して接合して音響拡散体を構成していた。しかし、同構成によれば、各多面体が互いの向きを異ならせた凹凸を立体的に形成するため、凹凸が人体や器物に接触して破損しない配慮が必要で、設置上の制限があった。また、多面体の入り組んだ凹凸は3Dプリンター等で精密に製作する必要があり、製造上の制約を抱えていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開WO2020/196900公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
かかる従来の実情に鑑みて、本発明は、簡易に製造できると共に、従来より破損しにくく設置上の自由度が高い音響障害防止等装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明に係る音響障害防止等装置の特徴は、面上に並ぶ複数の点を線分で接続した音響拡散のための複数のリブを有し、これらのリブは音の入射側に音響的に露出しており、前記複数の点は次式により配置される、音響障害を防止し、または、音質の改善を行うための板状単位体を有することにある。
n番目点及び基準点を結ぶn番目線分と、n+1番目点及び基準点を結ぶn+1番目線分相互の角度がnα(nは自然数)であり、n+1番目線分長R(n+1)>n番目線分長R(n)を満たすn範囲を有する。
φ=(1+sqrt(5))/2
α=360°*1/(1+φ)
【0007】
同構成によれば、n+1番目線分長R(n+1)>n番目線分長R(n)を満たすn範囲を有するので、点が重ならずに形成できる。そして、上記点n番目点及び基準点を結ぶn番目線分と、n+1番目点及び基準点を結ぶn+1番目線分相互の角度がnα(nは自然数)であり、いわゆる黄金角の関係により出現する。これら相互の角度が黄金角の要素を有する各点Pを結ぶリブで入射音が反射、拡散されるので、反射・拡散が非常に円滑に進むこととなり、音響障害等が効率的に解消される。しかも、板状体のリブを形成すればよいだけなので、制作も極めて簡易に行うことができ、形状が平面的で凹凸が少ないので、破損しにくいものとなる。
【0008】
上記構成において、前記板状単位体はR(n+1)/R(n)が等倍、任意の倍率、または、nφ倍(nは自然数)で規定されるとよい。
【0009】
また、前記板状単位体は前記複数の点が基準点中心側から外側にらせん状に接続されてリブを形成するとよい。螺旋状のリブで規則的に各点が連結され、強度のみならず意匠的にも優れたものとなる。
【0010】
前記板状単位体は周囲に枠を有し、枠が前記線分を横切る位置で前記リブは枠に接続されてもよい。同構成によれば、枠でリブは破損しにくく、また、複数の組み合わせが容易となる。
【0011】
前記板状単位体を複数枚設け、前記基準点周りで異なる角度または表裏反転して前記複数の板状単位体を重ねてもよい。これらの変更で、音の拡散等はより向上することとなる。
【0012】
また、前記各板状単位体間を離隔させてもよい。複数の板状単位体に音の拡散が及び、音響障害等の防止効果が向上する。具体的には、前記各板状単位体間にスペーサーを設けて各板状単位体間を離隔させるとよい。
【0013】
前記各板状単位体間に吸音材を介在させることで、拡散等した音を効率よく減衰させることができる。
【0014】
前記板状単位体を複数枚設け、各板状単位体を同一面上に複数並べ、または、各板状単位体の面が角をなすように複数並べるとよい。また、前記複数の板状単位体は面の広がり方向に対する互いに大きさの異なるものを有してもよい。
【0015】
前記板状単位体の一面に通気性の目隠し材を設けることで、意匠性を向上させたり、床材としての利用も可能となる。
【0016】
前記板状単位体は、前記各点の位置に他のリブ部分より大きなリブ交差部を有してもよい。
【0017】
前記板状単位体をマイクの音源側とは反対側に配置してもよい。
【0018】
構成にあたっては、前記各板状単位体は面の表裏側で異なる素材を組み合わせるとよい。
【0019】
前記板状単位体を他の面状部材と組み合わせて用いてもよい。
【0020】
前記板状単位体を部屋の床または音源が上方に設置される台の上面に設けてもよい。
【0021】
前記板状単位体の複数個を互いの側縁で角度変更自在に連結してもよい。
【0022】
前記各板状単位体は板材を刃物若しくはレーザーで切り抜き、または、3Dプリンターを用いて作成することができる。
【0023】
前記各板状単位体は型を用いた成型により作成してもよい。
【発明の効果】
【0024】
上記本発明に係る音響障害防止等装置の特徴によれば、簡易に製造できると共に、従来より破損しにくく設置上の自由度が高い音響障害防止等装置を提供しうるに至った。
【0025】
本発明の他の目的、構成及び効果については、以下の発明の実施の形態の項から明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】本発明にかかる音響障害防止等装置を構成する板状単位体の正面側視図である。
【
図4a】音響障害防止等装置を構成する複数層の板状単位体間にスペーサーを設けない場合を示す概念的な断面図である。
【
図4b】音響障害防止等装置を構成する複数層の板状単位体間にスペーサーを設ける場合を示す概念的な断面図である。
【
図5a】基準点から、1,2…n番目の点を形成する手順を示す図における1番目の点をとった状態を示す図である。
【
図5b】上記において点を順次形成した状態を示す図である。
【
図5d】さらに異なる螺旋状に点をつなぐ手順を示すである。
【
図5e】基準点近傍の点を接続する状態を示す図である。
【
図5f】矩形の枠体でリブを区切った例を示す正面図である。
【
図5g】星形の枠体でリブを区切った例を示す正面図である。
【
図6】リブの交差部に拡大部を有する例を示す板状単位体の正面側視図である。
【
図7a】大きさの異なる板状単位体を面方向に並べた例を示す音響障害防止等装置の正面側視図である。
【
図7b】重ね枚数の異なる板状単位体を面方向に並べた例を示す音響障害防止等装置の正面側視図である。
【
図7c】板状単位体を面方向に並べると共に重ねた例を示す音響障害防止等装置の正面側視図である。
【
図7d】板状単位体を方形に組み合わせ、さらに立体的に組み合わせた例を示す音響障害防止等装置の正面側視図である。
【
図8】板状単位体を屏風上に組み合わせた音響障害防止等装置の斜視図であり、(a)は折りたたんだ状態、(b)は展開した状態を示す図である。
【
図9a】板状単位体をパーティションに組込んだ例を示す音響障害防止等装置の斜視図である。
【
図9b】板状単位体を建造物の壁面に組込んだ例を示す音響障害防止等装置の斜視図である。
【
図10】板状単位体と吸音材とを組み合わせた例を示す音響障害防止等装置の斜視図である。
【
図11】板状単位体をパーティションへの上置きユニットに組込んだ例を示す音響障害防止等装置の斜視図である。
【
図12】板状単位体を重ねて床材を構成した例を示す音響障害防止等装置の斜視図であり、(a)は組み合わせ状態、(b)は分解斜視図である。
【
図13】板状単位体に壁材を重ねた例を示す音響障害防止等装置の斜視図である。
【
図14】板状単位体を窓に開閉可能に設けた例を示す音響障害防止等装置の斜視図である。
【
図15】板状単位体を2枚組み合わせて棒状体に組付けた例を示す音響障害防止等装置の斜視図である。
【
図16】板状単位体を面方向に組み合わせて譜面台を構成した例を示す音響障害防止等装置の斜視図である。
【
図17】板状単位体を面方向に組み合わせるとともに重ねて他の譜面台を構成した例を示す音響障害防止等装置の斜視図である。
【
図18】板状単位体をマイクスタンドに組み合わせた例を示す音響障害防止等装置の斜視図である。
【
図19】板状単位体をスピーカースタンドに組み合わせた例を示す音響障害防止等装置の斜視図である。
【
図20】板状単位体をドラムセット台に組み合わせた例を示す音響障害防止等装置の斜視図である。
【
図21】板状単位体をコンサート用のシールドとして用いた例を示す音響障害防止等装置の斜視図である。
【
図22】板状単位体をモニタースピーカーのハウリング防止に用いた例を示す音響障害防止等装置の斜視図である。
【
図23】板状単位体でトラスを構成した例を示す音響障害防止等装置の斜視図である。
【
図24】板状単位体をプール等に用いた例を示す音響障害防止等装置の斜視図である。
【
図25】板状単位体をリモートワークスペース等に用いた例を示す音響障害防止等装置の斜視図である。
【
図26】板状単位体を用いて構成したヘルムホルツ共鳴器の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
次に、適宜添付図面を参照しながら、本発明をさらに詳しく説明する。
図1、2は、本発明にかかる音響障害防止等装置100を構成する板状単位体1の正面側視図である(立体を表現するために、正面図とは異なる表記としてある。)。後述するように、面PL上に複数の点Pは配置され、各点を結ぶ線分Lの位置にリブ3が形成される。リブ3の周りは矩形の枠5で囲まれ、これら枠5とリブ3との間、リブ3どうしの間に透過部7が形成される。
【0028】
図2に示すように、各リブ3の断面は、表面3a、側面3b、裏面3cを有して矩形を呈し、入射側Saから入った音を散乱反射させるか、裏面側Sbに透過させて異なる向きに散乱させる。面PLはこの例ではXY平面でありこの面PL上に複数の点Pは配置されている。構成後に面を曲面にしてもよく、曲面と平面とが含まれる。
【0029】
各リブ3の断面は、
図3に示すように、符号3Aの如く矩形に形成するほか、符号3Bの如く半円に形成したり、符号3Cの如く円形に形成したり、符号3Dの如く三角形に形成したり、上述の透過部7を有する限り様々な断面形状をとりうる。各板状単位体は、リブ3の断面形状に応じて、板材を刃物で打ち抜き若しくはルーターやレーザーで切り抜き、または、3Dプリンターを用いて作成することができる。型に流動性の材料を注入して固化させてもよい。また、表裏を別材料でそれぞれ形成し、製作後に表裏で貼り合わせてもよい。平面の更生後に、面を曲面とするように屈曲させることも可能である。作成材料としては、木、アクリルやABSなどの合成樹脂、金属、セラミック、コンクリート、セメント、モルタル、漆喰、ガラス、ゴムなどを用いることができる。
【0030】
ここで、
図4a、4bを比較しながら、スペーサーの効果について検討する。
図4aは、音響障害防止等装置を構成する複数層の板状単位体間にスペーサーを設けない場合を示す概念的な断面図である。板状単位体1a~c、及び、板状単位体1d~fが隙間なくそれぞれ重なっている場合は、入射音S1は透過部7を通るとともに、枠5、壁200などで反射されて、枠5内の範囲のみで反射音S2として外部に放散される。これに対し、
図4bの如く、音響障害防止等装置を構成する複数層の板状単位体間1a,1b,1c,1dにスペーサー10を設ける場合は、枠5を超えて隣の単位体内で反射して反射音S2として外部へ放散される。したがって、スペーサー10を設けた方が、多数のリブを用いて拡散等を行うことができる。
【0031】
次に、
図5a~gを参照しながら、リブ3と枠5の設計手順について説明する。下記は一例であり、螺旋状、放射状等、さまざまな方式でリブを形成するとよい。基準点(原点)Oを設定し、基準点以外の位置に任意に枝交点Pをまず作成し、これが1点目となる。ここで各値は次のとおり定義される。
黄金比 φ=(1+sqrt(5))/2
黄金角 α=360°*1/(1+φ)
【0032】
そして、n番目の点P(n)と、N+1番目の点P(n+1)との関係を
図5bに示す。基準点からの距離Rは前の点での距離のφ倍、回転はαを加える。なお、応用として、φをnφ、αをnαとするなど、各々整数倍を用いても構わない。また、外周に近づいた場合は、基準点からの距離Rは前の点での距離と同じとし、回転はnαを加えるようにしてもよい。すなわち、n+1番目線分長R(n+1)>n番目線分長R(n)を満たすn範囲を有すれば足りる。
【0033】
次いで、
図5cに示すように、各点Pを左周りの螺旋として第一線分(リブ)Laで接続する。つぎに、
図5dに示すように、各点を第二線分(リブ)Lbにより先の螺旋方向とは逆回りの螺旋報告に連結する。さらに、
図5eに示すように、基準点O近傍は螺旋の規則に沿うのが困難な場合もあり、近隣のものを順次第三線分(リブ)Lcで接続するとよい。
【0034】
上述の如くリブを形成した後、
図5fの如く、枠5でリブを区切り、リブを決定する。ここでは、第一線分(リブ)La、第二線分(リブ)Lbがそれぞれ枠5で区切られている。枠は、
図5gの如く星形枠5aのほか、任意の様々な形で区切っても良い。
【0035】
ところで、上記実施形態は、枝交点である点Pはリブが存在するだけで、他の形状のものは存在していないが、
図6のように枝交点9をリブ3よりも大きな拡大部を形成してもよい。この場合も面PLに沿う方向に拡大し、枝交点9の形状がリブ3への音響の入射を防がないことが重要である。拡大した枝交点9は、円形の他、方形や多角形など様々な形状のものを設けることが可能であり、また、これらを黄金角αの整数倍で角変位させてもよい。
【0036】
図7以降に、板状単位体を複数枚組み合わせて音響霜害防止等装置を構成する例を列挙する。
【0037】
図7aは、大きさの異なる板状単位体を面方向に並べた例を示す。組合体11は、小さな板状単位体11aを2枚と,大きな板状単位体11bを1枚とを面PL方向に並べて構成し、音響障害防止等装置100を構成している。各状単位体11a,11bは、先の中心軸周りで異なる角位置となるように回転させてから組み合わせてもよく、以下同様である。
【0038】
図7bは、重ね枚数の異なる板状単位体を面方向に並べた例を示す。組合体13を構成する5カ所の面PL方向位置にならべられた板状単位体13a,13b、13cのうち、右上及び左下の位置は1枚の板状単位体13aのみが設けられ、左上及び右下の位置は2枚の板状単位体13a,13bが重ねて設けられ、中央位置は3枚の板状単位体13a,13b、13cが重ねて設けられる。重ねた部分は、それぞれ、同じ板状単位体を90度ずつ向きを変して重ねてある。
【0039】
図7cは、板状単位体を面方向に並べると共に重ねた例を示す。組合体15は、9枚の板状単位体15aを面方向に並べ、その上に板状単位体15bを4枚並べ、さらに、最上段に板状単位体15cを45度傾斜させて重ねてある。
【0040】
図7dは、板状単位体を方形に組み合わせ、さらに立体的に組み合わせた例を示す。組合体16は、それぞれ板状単位体17を複数枚方形に組み合わせて形成した4つの方形体17A~Dをさらに組み合わせたものである。
【0041】
図8は、板状単位体を屏風上に組み合わせた例を示し、(a)は折りたたんだ状態、(b)は展開した状態を示す図である。屏風体19は、3枚の板状単位体19a,19b、19cをそれぞれ側縁に設けたヒンジで角度変更自在に組み合わせている。
【0042】
図9aは、板状単位体をパーティションに組込んだ例を示す。パーティションブース20は、複数の板状単位体21を、パーティション201の前パーティション201a及び直交して固定された横パーティション201bの上に取り付けたものであり、テーブル203が設けられている。各ブース内における会話等の漏洩を防ぐことができ、しかも、空調や消防上の問題も生じにくい利点がある。パティション201の上に複数の板状単位体21を固定せずに天井などからつり下げてもよい。
【0043】
図9bは、板状単位体を建造物の壁面に組込んだ例を示す。組合体22は板状単位体23と小壁205とを千鳥状に組み合わせ、さらに、大壁206と組み合わせたものである。板状単位体23と小壁205とを千鳥状に組み合わせたものの上には、たとえば通気性を有するクロスなどの目隠し材を設けても良い。
【0044】
図10は、板状単位体と吸音材とを組み合わせた例を示す。積層体24は、板状単位体25を、吸音材208を組み込んだ枠体207と重ね合わせたものである。
【0045】
図11は、板状単位体をパーティションへの上置きユニットに組込んだ例を示す。上置ユニット27は、複数個離隔して並べた板状単位体27a,27bの下部に側板211を一対設け、下板213及び横板215で両者を連結したものである。板状単位体27a,27b間の空洞には、音圧低下のため、先の吸音材を収納してもよい。使用に際しては、一対の側板211間に、パーティションの上部を嵌め合わせて固定するとよい。
【0046】
板状単位体を重ねて床材を構成した例を示す音響障害防止等装置の斜視図である。単位床材29は、板状単位体29a,29b及び目隠し材であるメッシュ板29cをそれぞれスペーサー29dで隔てたものである。スペーサー29dは硬質材料で作成するほか、ゴムや合成樹脂などの弾性体で構成してもよい。
【0047】
図13は、板状単位体に壁材を重ねた例を示す。板状単位体31の背面に壁材219を設けている。例えば漆喰を用いた場合は、意匠性も向上するとともに散乱に変化を付与できるほか、吸湿性も向上することが期待される。漆喰の代わりにコンクリート、セメント、モルタルなどを用いてもよい。、
【0048】
図14は、板状単位体を窓に開閉可能に設けた例を示す。この例では、一対の板状単位体33a,33bを2つの窓枠221の側縁のヒンジ辺33cでヒンジにより開閉自在に取り付けてある。窓のほか、ドアに設けてもよく、窓やドアは向かい合う面があると音響障害がおこりやすいので、音響障害防止等装置100を設ける利点がある。採光や換気などの妨げにもなりにくい。
【0049】
図15では、板状単位体を2枚組み合わせて棒状体に組付けた例を示す。シールド34は、を組み合わせたもので、表材35A,裏材35Bは、それぞれが、2枚の板状単位体35の中央を連結板225で連結し、スペーサー35aで離隔して組み合わせたものである。貫通切込み226に取付ベルト227を通して表裏で連結し、取付ベルト227を締め付けることで、棒状体231の任意位置に固定してある。
【0050】
図16は、板状単位体を面方向に組み合わせて譜面台を構成した例を示す。譜面台37は、大きな板状単位体37bの周囲4カ所に小さな板状単位体37aを取り付け、譜面受233及び支柱235を設けたものである。
【0051】
一方、
図17は、板状単位体を面方向に組み合わせるとともに重ねて他の譜面台を構成した例を示す。譜面台アタッチメント38は、4枚の板状単位体39、前板241及び後板243のそれぞれの4角に設けたものである。後板243の中央には譜面台との干渉を防ぐ切欠243aを設け、譜面台245の支柱245bに支えられる245a背板に前後から挟むように固定してある。
【0052】
図18は、板状単位体をマイクスタンドに組み合わせたボーカル、司会などのマイクの例を示す。マイクシールド41は、一対の板状単位体41a,41bを4角のスペーサー41cで離隔させ、音響障害防止等装置ホルダー255を介して、マイク251のマイクスタンド251aに固定してある。シールドホルダー253aでマイク前方に取り付けるウインドシールド253とは反対方向となる。なお、この種のシールドは、双方面が音の入射側Saとなり得、上記パーティションや以下の他のシールドでも同様である。
【0053】
図19は、板状単位体をスピーカースタンドに組み合わせた例を示す。スピーカースタンド43は、互いに傾斜する板状単位体43a,43bを、1対の前脚部43c、及び、一対の後脚部43dで支持してなる。上部にスピーカー257を載置する。狭いスペースで有効に音響障害等の防止効果を奏することができる。
【0054】
図20は、板状単位体をドラムセット台に組み合わせた例を示す。ドラム台45は、4つの単位台45A~Dを組み合わせたもので、上部にドラムセット259を載置する。各単位台45A~Dは、板状単位体45a,45bとメッシュ板45cを4角のスペーサー45dで離隔させて固定したものである。例えば、ピアノの音が床に伝わり、ドラムへと振動が伝わることでシンバルが鳴るようなこと(固体伝搬音)も防止することが期待される。
【0055】
図21は、板状単位体をコンサート用のシールドとして用いた例を示す。シールド47は、表裏に板状単位体47a,47bを重ね合わせたもので、楽器261a,261bを利用するプレーヤーの間に配置され、前に座るプレーヤーの耳を保護するものである。音を透過させる布を貼ることで、ウィルス飛沫の散乱を抑制する効果が期待される。
【0056】
図22は、板状単位体をモニタースピーカーのハウリング防止に用いた例を示す。ハウリング防止体49は、表裏に板状単位体49a,49bを組み合わせたもので、モニタースピーカー263のスピーカー面263aの前に配置される。例えば、マイク265とスピーカー263との間のハウリングを防止することができる。
【0057】
図23は、板状単位体でトラスを構成した例を示す。トラス51は、各異なる面を担う複数の板状単位体51a~fを組み合わせたものであり、それぞれの回転向きを異ならせる等の設置上のバリエーションが考えられる。
【0058】
図24は、板状単位体をプール等に用いた例を示す。板状単位体53は、例えば耐水素材で構成され、プール269の壁面271に設けられている。プールではコーチやインストラクターの声がフラッターエコー等で聞こえにくい場合があり、この種の状況の改善に適している。グラスウールのように飛散することもないため、設置上の不都合も生じがたい。
【0059】
図25は、板状単位体をリモートワークスペース等に用いた例を示す。板状単位体55は、リモートワークスペース273内の壁面273aに設けられる。図では、机275aや椅子275b、その他のオフィス機器が用いられる。この種の狭い空間では、web会議のときにエコーが発生しやすく、また、吸音材のみで音をカットして通常時に音が静かすぎて違和感を覚えるようなことも発生しにくい。
【0060】
図26は、板状単位体を用いて構成したヘルムホルツ共鳴器の斜視図である。板状単位体57の全面に、貫通孔58aを多数有する有孔板58を取り付けることで、ヘルムホルツ共鳴器59を構成することも可能である。
【0061】
なお、本発明の上記各実施形態は、相互の趣旨に反しない限り、相互に組み合わせて実施することも可能である。
【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明は、音響障害防止等装置として、建築物や部屋の一部、オフィス家具の一部、個別のシールドやハウリング防止機等に利用することができる。
【符号の説明】
【0063】
1,1a~1f:板状単位体、3:リブ、3a:表面、3b:側面、3c:裏面、5:枠(矩形枠)、5a:星側枠、7:透過部、9:交差部、10,10a,10b,10c:スペーサー、11:組合体、11a,11b:板状単位体、13:組合体、13a,13b,13c:板状単位体、15:組合体、15a,15b,15c:板状単位体、16:組合体、17:板状単位体、17A~D:方形体、19:屏風体、19a,19b,19c:板状単位体、20:パーティションブース、21:板状単位体、22:組合体、23:板状単位体、24:積層体、25:板状単位体、27:上置ユニット、27a,27b:板状単位体、29:単位床材、29a,29b:板状単位体、29c:メッシュ板、31:板状単位体、33a,33b:板状単位体、33c:ヒンジ辺、34:シールド、35:板状単位体、35a:スペーサー、35A:表材、35B:裏材、37:譜面台、37a,37b:板状単位体、38:譜面台アタッチメント、39:板状単位体、41:マイクシールド、41a,41b:板状単位体、41c:スペーサー、43:スピーカースタンド、43a,43b:板状単位体、43c:前脚部、43d:後脚部、45:ドラム台、45a,45b:板状単位体、45c:メッシュ板、45d:スペーサー、45A~D:単位台、259:ドラムセット、47:シールド、47a,47b:板状単位体、49:ハウリング防止体、49a,49b:板状単位体、51:トラス、51a~f:板状単位体、53:板状単位体、55:板状単位体、57:板状単位体、58:有孔板、58a:貫通孔、59:ヘルムホルツ共鳴器、100:音響障害防止等装置、200:壁、201:パーティション、201a:前パーティション、201b:横パーティション、203:テーブル、205:小壁、206:大壁、207:枠体、208:吸音材、211:側板、下213:板、215:横板、219:壁材、221:窓枠、225:連結板、226:貫通切込み、227:取付ベルト、231:棒状体、233:譜面受、235:支柱、241:前板、243:後板、243a:切欠、245:譜面台、背板:245a、245b:支柱、251:マイク、251a:マイクスタンド、253:ウインドシールド、253a:シールドホルダー、255:音響障害防止等装置ホルダー、257:スピーカー、261a,261b:楽器、263:モニタースピーカー、263a:スピーカー面、265:マイク、269:プール、271:壁面、73:リモートワークスペース2、273a:壁面、275a:机、275b:椅子、PL:面、P:点、L:線分、Sa:入射側、Sb:裏面側、La:第一線分(リブ)、Lb:第二線分(リブ)、Lc:第三線分(リブ)、P(n):n番目点、O:基準点、L(n):n番目線分、P(n):n+1番目点、L(n+1):n+1番目線分、α:線分相互の角度、R(n+1):n+1番目線分長、R(n):n番目線分長