(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158058
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】流体継手
(51)【国際特許分類】
F16H 45/02 20060101AFI20221006BHJP
F16F 15/134 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
F16H45/02 X
F16H45/02 Y
F16F15/134 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021062685
(22)【出願日】2021-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000149033
【氏名又は名称】株式会社エクセディ
(74)【代理人】
【識別番号】110000202
【氏名又は名称】新樹グローバル・アイピー特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】森 幸三
(72)【発明者】
【氏名】岸原 啓介
(72)【発明者】
【氏名】田中 智裕
(72)【発明者】
【氏名】福井 捷太
(57)【要約】
【課題】ロックアップピストンの応答性を向上させる。
【解決手段】流体継手100は、カバー2と、インペラ3と、タービン4と、出力ハブ6と、ロックアップピストン7と、壁部材82bとを備えている。インペラ3は、カバー2に固定されている。タービン4は、インペラ3と対向して配置されている。出力ハブ6は、タービン4からのトルクを出力する。ロックアップピストン7は、カバー2とタービン4との間に配置されている。ロックアップピストン7は、出力ハブ6上を軸方向に摺動可能に配置されている。ロックアップピストン7は、カバー2に摩擦係合するように構成されている。壁部材82bは、出力ハブ6に取り付けられている。壁部材82bは、ロックアップピストン7と協働して油圧室Sを画定する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カバーと、
前記カバーに固定されるインペラと、
前記インペラと対向して配置されるタービンと、
前記タービンからのトルクを出力するように構成された出力ハブと、
前記カバーと前記タービンとの間に配置され、前記出力ハブ上を軸方向に摺動可能に配置され、前記カバーに摩擦係合するように構成されるロックアップピストンと、
前記出力ハブに取り付けられ、前記ロックアップピストンと協働して油圧室を画定する壁部材と、
を備える、流体継手。
【請求項2】
前記ロックアップピストンから前記出力ハブにトルクを伝達するように構成されたダンパ装置をさらに備え、
前記ダンパ装置は、
前記ロックアップピストンからトルクが伝達されるように構成された入力プレートと、
前記入力プレートを軸方向において挟むように配置され、前記出力ハブに取り付けられる第1及び第2出力プレートと、
前記入力プレートと前記第1及び第2出力プレートとを弾性的に連結する弾性部材と、
を有し、
前記第1及び前記第2出力プレートの少なくとも一方は、前記壁部材を構成する、
請求項1に記載の流体継手。
【請求項3】
前記第1出力プレートは、軸方向において、前記ロックアップピストンと前記入力プレートとの間に配置され、
前記第2出力プレートは、軸方向において、前記タービンと前記入力プレートとの間に配置され、
前記第2出力プレートは、前記壁部材を構成する、
請求項2に記載の流体継手。
【請求項4】
前記第1出力プレートは、前記弾性部材の形状に沿って軸方向に膨らむ第1膨出部を有し、
前記第2出力プレートは、前記弾性部材の形状に沿って軸方向に膨らむ第2膨出部を有し、
前記第1膨出部は、頂点部が軸方向において開口しており、
前記第2膨出部は、頂点部が軸方向において閉鎖されている、
請求項3に記載の流体継手。
【請求項5】
前記第1出力プレートは、軸方向において、前記ロックアップピストンと前記入力プレートとの間に配置され、
前記第2出力プレートは、軸方向において、前記タービンと前記入力プレートとの間に配置され、
前記第1出力プレートは、前記壁部材を構成する、
請求項2に記載の流体継手。
【請求項6】
前記第1出力プレートは、前記弾性部材の形状に沿って軸方向に膨らむ第1膨出部を有し、
前記第2出力プレートは、前記弾性部材の形状に沿って軸方向に膨らむ第2膨出部を有し、
前記第1膨出部は、頂点部が軸方向において閉鎖されており、
前記第2膨出部は、頂点部が軸方向において開口している、
請求項5に記載の流体継手。
【請求項7】
前記ロックアップピストンは、円板部と、前記円板部の外周端部から軸方向に延びる円筒部と、を有し、
前記壁部材は、前記出力ハブから前記円筒部まで延びる、
請求項1から6のいずれかに記載の流体継手。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体継手に関するものである。
【背景技術】
【0002】
流体継手は、インペラ及びタービンを有しており、内部の作動油を介してインペラからタービンへとトルクを伝達する。インペラは、トルクが入力されるカバーに固定されている。タービンはインペラに対向して配置されている。インペラが回転すると、インペラからタービンへと作動油が流れ、タービンを回転させることでトルクを出力する。
【0003】
また、流体継手は、ロックアップ装置を有している。ロックアップ装置がオン状態になると、カバーからのトルクが機械的にタービンに伝達されてトランスミッションの入力軸に出力される。
【0004】
例えば、特許文献1に記載のトルクコンバータは、ロックアップピストンを有している。高速伝動域においてロックアップピストンがコンバータカバーと摩擦係合することによって、動力伝達効率を向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したようなロックアップピストンを有する流体継手において、燃費向上などの観点から、ロックアップピストンの応答性を向上させることが好ましい。そこで、本発明の課題は、ロックアップピストンの応答性を向上させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のある側面に係る流体継手は、カバーと、インペラと、タービンと、出力ハブと、ロックアップピストンと、壁部材とを備えている。インペラは、カバーに固定されている。タービンは、インペラと対向して配置されている。出力ハブは、タービンからのトルクを出力する。ロックアップピストンは、カバーとタービンとの間に配置されている。ロックアップピストンは、出力ハブ上を軸方向に摺動可能に配置されている。ロックアップピストンは、カバーに摩擦係合するように構成されている。壁部材は、出力ハブに取り付けられている。壁部材は、ロックアップピストンと協働して油圧室を画定する。
【0008】
上述した流体継手は、ロックアップピストンと協働して油圧室を画定するための壁部材を有している。なお、油圧室内には供給路を介して作動油が供給される。このように、壁部材とロックアップピストンとによって油圧室が形成されているため、ロックアップピストンの応答性を向上させることができる。
【0009】
好ましくは、流体継手は、ダンパ装置をさらに備える。ダンパ装置は、ロックアップピストンから出力ハブにトルクを伝達するように構成されている。ダンパ装置は、入力プレートと、第1及び第2出力プレートと、弾性部材とを有する。入力プレートは、ロックアップピストンからトルクが伝達されるように構成されている。第1及び第2出力プレートは、入力プレートを軸方向において挟むように配置されている。第1及び第2出力プレートは、出力ハブに取り付けられている。弾性部材は、入力プレートと第1及び第2出力プレートとを弾性的に連結している。第1及び第2出力プレートの少なくとも一方は、壁部材を構成する。
【0010】
好ましくは、第1出力プレートは、軸方向において、ロックアップピストンと入力プレートとの間に配置されている。第2出力プレートは、軸方向において、タービンと入力プレートとの間に配置されている。第2出力プレートは、壁部材を構成する。
【0011】
好ましくは、第1出力プレートは、弾性部材の形状に沿って軸方向に膨らむ第1膨出部を有している。第2出力プレートは、弾性部材の形状に沿って軸方向に膨らむ第2膨出部を有している。第1膨出部は、頂点部が軸方向において開口している。すなわち、第1膨出部は、頂点部において窓部を有している。第2膨出部は、頂点部が軸方向において閉鎖されている。すなわち、第2膨出部は、頂点部において、窓部を有していない。
【0012】
好ましくは、第1出力プレートは、軸方向において、ロックアップピストンと入力プレートとの間に配置されている。第2出力プレートは、軸方向において、タービンと入力プレートとの間に配置されている。第1出力プレートは、壁部材を構成する。
【0013】
好ましくは、第1出力プレートは、弾性部材の形状に沿って軸方向に膨らむ第1膨出部を有している。第2出力プレートは、弾性部材の形状に沿って軸方向に膨らむ第2膨出部を有している。第1膨出部は、頂点部が軸方向において閉鎖されている。すなわち、第1膨出部は、頂点部において窓部を有していない。第2膨出部は、頂点部が軸方向において開口している。すなわち、第2膨出部は、頂点部において、窓部を有している。
【0014】
好ましくは、ロックアップピストンは、円板部と、円板部の外周端部から軸方向に延びる円筒部と、を有する。壁部材は、出力ハブから円筒部まで延びる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ロックアップピストンの応答性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【発明を実施するための形態】
【0017】
[全体構成]
図1は、本実施形態に係るトルクコンバータ100(流体継手の一例)の断面図である。以下の説明において、「軸方向」とは、トルクコンバータ100の回転軸Oが延びる方向を意味する。また、「半径方向」とは、回転軸Oを中心とした円の半径方向を意味し、「周方向」とは、回転軸Oを中心とした円の周方向を意味する。なお、図示していないが、
図1の左側にはエンジンが配置されており、
図1の右側にはトランスミッションが配置されている。
【0018】
トルクコンバータ100は、回転軸Oを中心に回転可能である。トルクコンバータ100は、カバー2、インペラ3、タービン4、ステータ5、出力ハブ6、ロックアップピストン7、及びダンパ装置8を備えている。
【0019】
[カバー2]
カバー2は、エンジンからのトルクが入力される。カバー2は、円板部21と、第1円筒部22とを有している。第1円筒部22は、円板部21の外周端部からインペラ3側へ軸方向に延びている。
【0020】
[インペラ3]
インペラ3は、カバー2に固定されている。インペラ3は、インペラシェル31、複数のインペラブレード32、及びインペラハブ33を有する。インペラシェル31は、例えば溶接によって、カバー2に固定されている。
【0021】
インペラブレード32はインペラシェル31の内側面に固定されている。インペラハブ33はインペラシェル31の内周端部に溶接などによって固定されている。
【0022】
[タービン4]
タービン4は、インペラ3に対向して配置されている。タービン4は、タービンシェル41、及び複数のタービンブレード42を有している。タービンブレード42は、タービンシェル41の内側面に、ろう付けなどによって固定されている。
【0023】
[ステータ5]
ステータ5は、タービン4からインペラ3へと戻る作動油を整流するように構成されている。ステータ5は、回転軸O周りに回転可能である。詳細には、ステータ5は、回転不能の固定シャフト101に、ワンウェイクラッチ102を介して支持されている。このステータ5は、インペラ3とタービン4との間に配置される。
【0024】
ステータ5は、円板状のステータキャリア51と、その外周面に取り付けられる複数のステータブレード52と、を有している。なお、ステータ5とインペラ3との間には第1スラストベアリング103が配置され、ステータ5と出力ハブ6との間には第2スラストベアリング104が配置されている。
【0025】
[出力ハブ]
出力ハブ6は、タービン4から伝達されたトルクを、トランスミッションの入力シャフト105へ出力するように構成されている。タービン4は、この出力ハブ6に取り付けられている。詳細には、タービンシェル41がリベットなどを介して出力ハブ6に取り付けられている。出力ハブ6はスプライン孔611が形成されている。このスプライン孔611に、入力シャフト105がスプライン嵌合する。
【0026】
出力ハブ6は、ボス部61とフランジ部62とを有している。ボス部61は、円筒状であり、軸方向に延びている。ボス部61は、スプライン孔611を有している。フランジ部62は、ボス部61の外周面から径方向外側に延びている。フランジ部62は、円環状であり、周方向に延びている。タービンシェル41は、このフランジ部62に取り付けられている。
【0027】
[ロックアップピストン]
ロックアップピストン7は、カバー2とタービン4との間において軸方向に移動可能に配置されている。詳細には、ロックアップピストン7は、出力ハブ6上を軸方向に摺動可能に配置されている。より詳細には、ロックアップピストン7は、出力ハブ6のボス部61の外周面上を軸方向に摺動可能に配置されている。また、ロックアップピストン7は、出力ハブ6と相対回転可能である。
【0028】
図2に示すように、ロックアップピストン7は、カバー2と摩擦係合するように構成されている。詳細には、ロックアップピストン7は、外周端部において、カバー2と摩擦係合するように構成されている。なお、
図2の状態では、ロックアップピストン7は、カバー2と摩擦係合していない。この
図2の状態からロックアップピストン7が左側に移動することによって、ロックアップピストン7はカバー2と摩擦係合する。ロックアップピストン7は、円板部71と、第2円筒部72(円筒部の一例)と、摺動部73と、を有している。
【0029】
円板部71の外周端部には摩擦材9が固定されている。円板部71は、摩擦材9を介してカバー2の円板部21を押圧するように構成されている。このように円板部71が摩擦材9を介してカバー2を押圧することによって、ロックアップピストン7がカバー2に摩擦係合する。なお、摩擦材9は、ロックアップピストン7ではなくカバー2に固定されていてもよい。摩擦材9は、環状である。
【0030】
第2円筒部72は、円板部71の外周端部から軸方向に延びている。第2円筒部72は、カバー2から遠ざかる方向に延びている。第2円筒部72の外周面は、カバー2の第1円筒部22の内周面と間隔をあけて配置されている。
【0031】
摺動部73は、円筒状である。摺動部73は、円板部71の内周端部から軸方向に延びている。摺動部73は、カバー2から遠ざかる方向に延びている。摺動部73は、出力ハブ6の外周面上に摺動可能に支持されている。出力ハブ6の外周面にはシール部材106が設けられており、このシール部材106によって、ロックアップピストン7の摺動部73の内周面と出力ハブ6の外周面との間がシールされている。
【0032】
[ダンパ装置]
ダンパ装置8は、軸方向においてロックアップピストン7とタービン4との間に配置されている。ダンパ装置8は、ロックアップピストン7から出力ハブ6にトルクを伝達するように構成されている。ダンパ装置8は、ロックアップピストン7と出力ハブ6とを弾性的に連結している。ダンパ装置8は、入力プレート81、第1出力プレート82a、第2出力プレート82b、複数の第1トーションスプリング83(弾性部材の一例)、及び複数の第2トーションスプリング(図示省略)を有している。
【0033】
[入力プレート]
入力プレート81は、ロックアップピストン7からトルクが伝達されるように構成されている。入力プレート81は、円板状に形成されている。入力プレート81は、外周端部において、ロックアップピストン7に取り付けられている。入力プレート81は、ロックアップピストン7と一体的に回転する。なお、入力プレート81は、ロックアップピストン7に対して、軸方向に相対移動可能である。
【0034】
詳細には、入力プレート81は、外周端部において、複数の歯を有している。この入力プレート81の歯が、ロックアップピストン7の第2円筒部72に形成された軸方向に延びる溝部に係合している。
【0035】
入力プレート81は、周方向に延びる第1孔部811を有している。この第1孔部811内に第1トーションスプリング83を収容している。また、入力プレート81は、周方向に延びる第2孔部(図示省略)を有している。この第2孔部内に、第2トーションスプリングを収容している。第2孔部は、第1孔部811に対して径方向外側に配置されている。
【0036】
[第1及び第2出力プレート]
第1及び第2出力プレート82a、82bは、軸方向において、入力プレート81を挟むように配置されている。すなわち、入力プレート81は、軸方向において、第1出力プレート82aと第2出力プレート82bとの間に配置されている。第1及び第2出力プレート82a、82bは、入力プレート81と相対回転可能である。第1及び第2出力プレート82a、82bは、互いに一体的に回転する。
【0037】
第1出力プレート82aは、軸方向において、ロックアップピストン7と入力プレート81との間に配置されている。第2出力プレート82bは、軸方向において、タービン4と入力プレート81との間に配置されている。すなわち、軸方向において、ロックアップピストン7、第1出力プレート82a、入力プレート81、第2出力プレート82bの順に配置されている。
【0038】
第1及び第2出力プレート82a、82bは、出力ハブ6に取り付けられている。例えば、第1及び第2出力プレート82a、82bは、内周端部において、出力ハブ6のフランジ部62に、リベットなどによって固定されている。
【0039】
第1出力プレート82aは、複数の第1膨出部821aを有している。第1膨出部821aは、軸方向において、第1トーションスプリング83と対向している。第1膨出部821aは、周方向に延びている。
【0040】
第1膨出部821aは、第1トーションスプリング83の形状に沿って軸方向に膨らんでいる。詳細には、第1膨出部821aは、ロックアップピストン7に向かって膨らんでいる。第1膨出部821aの頂点部は、軸方向に開口している。すなわち、第1膨出部821aは、窓部822aを有している。
【0041】
また、第1出力プレート82aは、複数の第3膨出部823aを有している。第3膨出部823aは、第1膨出部821aに対して、径方向外側に配置されている。第3膨出部823aは、第2トーションスプリングと対向している。第3膨出部823aは、周方向に延びている。
【0042】
第3膨出部823aは、第2トーションスプリングの形状に沿って軸方向に膨らんでいる。詳細には、第3膨出部823aは、ロックアップピストン7に向かって膨らんでいる。すなわち、第3膨出部823aは、第1膨出部821aと同じ方向に膨らんでいる。なお、第3膨出部823aは、第1膨出部821aに比べて膨らみが小さい。第3膨出部823aの頂点部は、軸方向に開口している。すなわち、第3膨出部823aは、窓部824aを有している。
【0043】
第2出力プレート82bは、ロックアップピストン7と協働して、油圧室Sを画定している。すなわち、第2出力プレート82bは、壁部材を構成している。
【0044】
図2及び
図3に示すように、第2出力プレート82bは、複数の第2膨出部821bを有している。第2膨出部821bは、軸方向において、第1トーションスプリング83と対向している。第2膨出部821bは、周方向に延びている。第2膨出部821bの径方向の位置は、第1膨出部821aとほぼ同じである。
【0045】
第2膨出部821bは、第1トーションスプリング83の形状に沿って軸方向に膨らんでいる。詳細には、第2膨出部821bは、タービン4に向かって膨らんでいる。第2膨出部821bの頂点部は、軸方向において閉鎖されている。すなわち、第2膨出部821bは、軸方向に開口しておらず、窓部を有していない。
【0046】
また、第2出力プレート82bは、複数の第4膨出部823bを有している。第4膨出部823bは、第2膨出部821bに対して、径方向外側に配置されている。第4膨出部823bは、第2トーションスプリングと対向している。第4膨出部823bは、周方向に延びている。
【0047】
第4膨出部823bは、第2トーションスプリングの形状に沿って軸方向に膨らんでいる。詳細には、第4膨出部823bは、タービン4に向かって膨らんでいる。すなわち、第4膨出部823bは、第2膨出部821bと同じ方向に膨らんでいる。なお、第4膨出部823bは、第2膨出部821bに比べて膨らみが小さい。第4膨出部823bの頂点部は、軸方向において閉鎖されている。すなわち、第4膨出部823bは、軸方向に開口しておらず、窓部を有していない。
【0048】
このように、第2出力プレート82bは、軸方向に開口する窓部を有していない。このため、第2出力プレート82bは、ロックアップピストン7と協働して、油圧室Sを画定している。すなわち、第2出力プレート82bは、壁部材を構成している。なお、第2出力プレート82bは、出力ハブ6からロックアップピストン7の第2円筒部72まで延びている。第2出力プレート82bの外周面は、第2円筒部72の内周面と接触していてもよいし、接触していなくてもよい。
【0049】
第2出力プレート82bの外周面と第2円筒部72の内周面とが接触していない場合、第2出力プレート82bの外周面と第2円筒部72の内周面との隙間は、約1.5mm以下とすることができ、好ましくは約0.5mm以下である。
【0050】
また、トルクコンバータ100は、複数の供給路11を有している。供給路11は、第2出力プレート82bとロックアップピストン7とによって形成された油圧室S内に作動油を供給するように構成されている。
【0051】
供給路11は、タービンシェル41、フランジ部62、第1出力プレート82a、及び第2出力プレート82bを貫通する貫通孔である。各供給路11は、周方向において互いに間隔をあけて配置されている。
【0052】
[トーションスプリング]
図2に示すように、第1トーションスプリング83は、入力プレート81と、第1及び第2出力プレート82a、82bとを、弾性的に連結している。第1トーションスプリング83は、入力プレート81からのトルクを第1及び第2出力プレート82a、82bに伝達する。
【0053】
第2トーションスプリングは、入力プレート81と、第1及び第2出力プレート82a、82bとを、弾性的に連結している。第2トーションスプリングは、第1トーションスプリング83とともに、入力プレート81からのトルクを第1及び第2出力プレート82a、82bに伝達する。なお、入力プレート81と、第1及び第2出力プレート82a、82bとのねじり角度が所定値を超えるまでは、第1トーションスプリング83のみが作動し、ねじり角度が所定値を超えると、第1トーションスプリング83とともに第2トーションスプリングも作動する。
【0054】
[動作]
次に、上述したように構成されたトルクコンバータ100の動作について、説明する。作動油を介してインペラ3からタービン4にトルクを伝達するトルクコンバータ作動領域では、ロックアップピストン7は軸方向においてカバー2から離れる側に移動しており、カバー2と摩擦係合していない。すなわち、ロックアップピストン7は、トルクを伝達していない。
【0055】
次に、トルクコンバータが所定の条件になると、供給路11を介して、油圧室Sへ作動油を供給する。すると、ロックアップピストン7がカバー2側に移動し、ロックアップピストン7とカバー2とが摩擦係合する。この結果、カバー2からのトルクは、ロックアップピストン7及びダンパ装置8を介して出力ハブ6に伝達される。
【0056】
[変形例]
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々の変更が可能である。
【0057】
例えば、上記実施形態では、第2出力プレート82bが壁部材を構成していたが、トルクコンバータ100の構成はこれに限定されない。詳細には、第1出力プレート82aが壁部材を構成してもよい。
【0058】
この場合、
図4に示すように、第1出力プレート82aの第1膨出部821aの頂点部は、軸方向において閉鎖されている。すなわち、第1膨出部821aは、軸方向に開口しておらず、窓部を有していない。一方、第2出力プレート82bの第2膨出部821bの頂点部は、軸方向に開口している。すなわち、第2膨出部821bは、窓部822bを有している。
【0059】
また、第1出力プレート82aの第3膨出部823aの頂点部は、軸方向において閉鎖されている。すなわち、第3膨出部823aは、軸方向に開口しておらず、窓部を有していない。一方、第2出力プレート82bの第4膨出部823bの頂点部は、軸方向に開口している。すなわち、第4膨出部823bは、窓部824bを有している。
【0060】
なお、第1出力プレート82aと第2出力プレート82bの両方が壁部材を構成していてもよい。すなわち、第1~第4膨出部821a、821b、823a、823bの全てが軸方向において閉鎖されていてもよい。
【符号の説明】
【0061】
2 :カバー
3 :インペラ
4 :タービン
6 :出力ハブ
7 :ロックアップピストン
71 :円板部
72 :第2円筒部
8 :ダンパ装置
81 :入力プレート
82a :第1出力プレート
821a :第1膨出部
822a :窓部
82b :第2出力プレート
821b :第2膨出部
822b :窓部
83 :第1トーションスプリング
100 :トルクコンバータ