(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158065
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】レシピ提供システムとそのプログラム並びにクラウドコンピューティング
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20221006BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021062696
(22)【出願日】2021-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000147833
【氏名又は名称】株式会社イシダ
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 渉
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049AA21
5L049CC17
(57)【要約】 (修正有)
【課題】料理名とその摂取カロリーとを入力すれば、入力された摂取カロリーの料理レシピを表示することができるレシピ提供システムを提供する。
【解決手段】レシピ提供システムは、食材を他の食材に置き換えた場合でも、同じ料理名の料理を作ることができる複数の置換可能な食材を含む各食材とそれらのカロリー情報とを、料理名に対応させたデータベースを有する外部記憶装置Mと、料理名と料理の摂取カロリーを入力する入力部21と、入力された料理名の料理に使う食材を、複数の置換可能な食材の中から選んで料理を作った場合の摂取カロリーを求める制御部20と、料理のレシピを表示する表示部22と、を有するコンピュータ2と、備える。制御部20は、求めた摂取カロリーが、入力部21から入力された摂取カロリーと略等しくなる場合の料理に使用する各食材を求め、求めた各食材と、それらの使用量とを、料理のレシピとして表示部に表示する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
食材を他の食材に置き換えた場合でも、同じ料理名の料理を作ることができる複数の置換可能な食材を含む各食材とそれらのカロリー情報とを、前記料理名に対応させたデータベースと、
前記料理名と該料理の摂取カロリーを入力する入力部と、
入力された前記料理名の料理に使う食材を、前記複数の置換可能な食材の中から選んで前記料理を作った場合の摂取カロリーを求める制御部と、
前記料理のレシピを表示する表示部と、を備え、
前記制御部は、求めた前記摂取カロリーが、前記入力部から入力された摂取カロリーと略等しくなる場合の前記料理に使用する各食材を求め、求めた各食材と、それらの使用量とを、前記料理のレシピとして前記表示部に表示する、
レシピ提供システム。
【請求項2】
請求項1に記載のレシピ提供システムが、
利用者が操作するコンピュータと、サーバとがネットワークを介して接続されたクライアントサーバシステムで構成され、
前記データベースは、前記サーバに記憶され、
前記制御部は、プログラムとして前記サーバ又は前記コンピュータに記憶され、
前記入力部は、前記コンピュータの入力装置であり、
前記表示部は、前記コンピュータの表示装置である、
クライアントサーバシステム。
【請求項3】
請求項2に記載のコンピュータで実行される前記制御部のプログラムであって、
前記入力装置で入力された料理名に基づいて、前記料理名の料理において使用される複数の食材の中から、使用する食材を選ぶ第1ステップと、
前記第1ステップで選ばれた食材で前記料理を作った場合の摂取カロリーを求める第2ステップと、
前記第2ステップで求めた摂取カローが、前記入力部から入力された摂取カロリーと略等しくなるか否かを判断する第3ステップと、
第3ステップで判断した結果が、略等しくない場合は、前記第1ステップに戻って前記第3ステップまでの処理を実行し、略等しい場合は、第1ステップで選んだ食材とその使用量とを、入力された料理名の料理レシピとして記憶する第4ステップと、
第4ステップで記憶した料理レシピを前記表示装置に出力する第5ステップと、
を備えるプログラム。
【請求項4】
請求項3に記載のプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のデータベースと、請求項3に記載のプログラムとが、外部コンピュータにダウンロード可能に記憶されているクラウドコンピューティング。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、指定された摂取カロリーの料理レシピを提供することができるレシピ提供システムに関する。
【背景技術】
【0002】
消費者の健康志向の影響を受けて、コンビニ弁当等は、ラベルに表示された栄養成分とカロリー表示によって販売量に差が出るようになってきた。例えばコンビニ弁当では、カロリーが1000Kcalを超える弁当では売り上げが落ち、それを800Kcalに抑えると、売り上げが伸びる傾向がある。
また、摂取カロリーを抑えるために、弁当の内容量を減らしたのでは、量的に貧弱な弁当になるから、料理の内容を替えず、ボリュームも減らさずに、カロリーの低い食材を使用したり、調理方法を見直したりして、弁当全体の摂取カロリーを減らす試みがなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、料理の内容を替えずに、カロリーの低い食材を用いたり、調理方法を見直したりするのは、種々の食材のカロリー表を見ながら各食材の使用量を割り出して料理の摂取カロリーを求める必要があるから、日々の献立を考える弁当事業者等の担当者では、対応しきれない問題がある。
【0005】
本発明は、そうした問題に鑑みて開発したもので、料理名とその摂取カロリーとを入力すれば、入力された摂取カロリーの料理レシピを表示することができるレシピ提供システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1観点に係るレシピ提供システムは、
食材を他の食材に置き換えた場合でも、同じ料理名の料理を作ることができる複数の置換可能な食材を含む各食材とそれらのカロリー情報とを、前記料理名に対応させたデータベースと、
前記料理名と該料理名の料理の摂取カロリーを入力する入力部と、
入力された前記料理名の料理に使う食材を、前記複数の置換可能な食材の中から選んで前記料理を作った場合の摂取カロリーを求める制御部と、
前記料理のレシピを表示する表示部と、を備え、
前記制御部は、求めた前記摂取カロリーが、前記入力部から入力された摂取カロリーと略等しくなる場合の前記料理に使用する各食材を求め、求めた各食材と、それらの使用量とを、前記料理のレシピとして前記表示部に表示することを特徴とする。
【0007】
ここで、料理とは、例えばトンカツ、ハンバーグ、かつ丼等と総称される料理である。また、食材を他の食材に置き換えた場合でも、同じ料理名の料理を作ることができる複数の置換可能な食材とは、例えばトンカツの場合、豚の肩肉、肩ロース肉、ロース肉、ヒレ肉、モモ肉等は、トンカツ素材として互いに置換可能であるから、これらが置換可能な食材となる。また、トンカツ弁当では、トンカツのほかに、サラダ類、和え物類、煮物類等の中から選ばれた一品乃至数品が添えられるから、これらの添え物料理(惣菜)も、トンカツ弁当においては、互いに置換可能な食材となる。なお、ここでは、調理前の豚肉素材と、調理後の添え物料理(惣菜)とを含めて食材としている。また、カロリー情報は、食材100g当たりのカロリーを、その食材の使用量に応じたカロリー値に変換したものである。
【0008】
このように、一つの料理に使用する複数の置換可能な食材を含む各食材と、それらの使用量と、カロリー情報とを、その料理に紐づけて、種々の料理についてアクセス可能にデータベース化しておく。なお、料理に使用する食材には、例えばご飯とか、調味料のように、他には置き換えられない食材もあるから、ここでは、それらを含めて置換可能な食材を含む各食材としている。
【0009】
そして、入力部から料理名が入力されると、その料理名のデータベースからその料理に使用される複数の食材が抽出される。例えば、料理名として「トンカツ弁当」が入力されると、制御部は、それに対応するデータベース、例えば
図4に示す「トンカツ弁当」のデータベースから、使用する食材を選択する。その際、制御部は、各食材の使用頻度や平均的使用量を基準にして、入力部から入力された摂取カロリーに適合する候補を選択する。例えばご飯については、大盛、中盛、小盛の中から適合する一種類を選択し、豚肉については、9種類の中から一種類を選択し、揚げ油については、3種類の中から一種類を選択し、キャベツの千切りについては、3種類の中から一種類を選択し、サラダ、和え物、煮物等については、それらの中から、指定された数の惣菜を選択する。ただし、ここに挙げたものは、一例であって、これらに限定されない。また、衣の使用量は、豚肉100gを揚げるときの使用量である。したがって、豚肉が増減されると、同じ割合で衣の使用量とカロリーが増減される。また、キャベツの千切りは、弁当であれば、その使用量は大体決まってくるが、弁当に添えられるサラダ、和え物、煮物等の総菜は、トンカツ弁当の価格帯によって複数選択される場合もあれば、全く選択されない場合もある。
【0010】
また、
図4には、各食材の使用量に応じたカロリー情報を記載しているが、これらのカロリー情報は、例えば文部科学省が提供する日本食品標準成分表から、或いは、それをデータベース化した食品成分データベースから取得することができる。そこで、
図4のデータには、こうした食品成分データベースから各食材のカロリーを取得し、それに基づいて各食材の使用量に応じたカロリー情報を記載している。
【0011】
料理名と摂取カロリーは、入力部から入力される。その場合の入力は、例えばキーボードから料理名を直接入力しても良いし、料理名の一覧表を表示部に表示し、その中から一つの料理名を選択して入力しても良い。このような入力部や表示部は、コンピュータの入力装置や表示装置で構成することができる。また、制御部は、コンピュータにインストールされたプログラムを実行することによって実現される。
【0012】
すなわち、制御部は、入力部から料理名が入力されると、その料理名のデータベースをアクセスして、その料理で使用する複数の置換可能な食材を含む各食材の中から、使用する食材を選んでその料理を作った場合の摂取カロリーを求める。続いて求めた摂取カロリーが、入力部で入力された摂取カロリーと略等しくなるか否かを判断する。等しくならなければ、制御部は、置換可能な他の食材と入れ替えて、再び摂取カロリーを求める。そうした処理を繰り返して、求めた摂取カロリーが、入力された摂取カロリーと略等しくなれば、そのときの各食材とそれらの使用量とを、入力された摂取カロリーになる料理レシピとして記憶する。この場合の略等しくなるとは、求めた摂取カロリーと、指定された摂取カロリーとの差が、所定の許容範囲に入っている場合をいう。また、その許容範囲は、入力部から入力することができるし、デフォルトとして設定されていても良い。
【0013】
具体的に説明すると、例えば料理名として「トンカツ弁当」が入力され、摂取カロリーとして700Kcalが入力されると、制御部は、トンカツ弁当のデータベースにアクセスして、
図4の食材の中から、料理に使用する複数の食材を選び、それらのカロリー情報を加算して摂取カロリーを求める。例えば平均的な中盛150g(252Kcal)ご飯と、使用頻度の高い脂身付き肩ロース100g(256Kcal)と、トンカツに常用されるキャベツの千切り20g(5Kcal)とを選び、揚げ油としてラード(141Kcal)を使用し、衣(71Kcal)は、100gの肉に使用する量であるからそのまま使用すると仮定して、摂取カロリー(725Kcal)を求める。
【0014】
一方、入力された摂取カロリーは、700Kcalであるから、制御部は、次にカロリーの低い脂身付き肩肉100g(239Kcal)を脂身付き肩ロース100gに置き換えて摂取カロリーを求める。すると、求めた摂取カロリーは、708Kcalになり、入力された摂取カロリーとの差は、8Kcalであるから、その差が許容範囲内に入っていれば、制御部は、そのときに選んだ各食材と各使用量とを一つのレシピ候補として記憶する。
【0015】
続いて制御部は、先に選んだ脂身付き肩肉100gに替えて、それよりもカロリーの低い脂身付きモモ肉(225Kcal)を選んだ場合の摂取カロリーを求める。そのときの摂取カロリーは、694Kcalになるから、目標カロリーとの差6Kcalが許容範囲内に入っていれば、制御部は、これも一つのレシピ候補として記憶する。こうして置換可能な豚肉素材の入れ替えが終了して、許容範囲内の料理レシピが幾つか記憶されると、制御部は、記憶した料理レシピを「トンカツ弁当」のレシピ候補として表示部に表示する。なお、料理レシピの表示には、その料理に使用する各食材の名前とそれらの使用量とを含めておく。
【0016】
調理担当者は、表示部に表示されたレシピ候補の中から、一つのレシピを選んで調理することになる。この場合、表示されるレシピ候補に、その料理に含まれる栄養成分や、食塩相当量、材料費等も併せて表示するように構成しておけば、幾つかのレシピ候補の中から、最適な料理レシピを選ぶことができる。
【0017】
以上では、データベースに記憶された豚肉100gを増減しない場合について説明したが、これには限定されない。例えば、摂取カロリーとして、800Kcalが入力された場合、カロリーの最も高い脂身付きロース100g(291Kcal)を選択しても、摂取カロリーは、760Kcalになり、目標値(800Kcal)には届かないから、制御部は、豚肉の使用量を増やし、それに伴って揚げ油の使用量と、衣の使用量を増やして摂取カロリー800Kcalの料理レシピを求める。また、選択条件として、ご飯の盛り量が指定されていない場合は、摂取カロリー(800Kcal)になるように、標準的なご飯の盛り量150gを174g(292Kcal)に増量して、800Kcalの料理レシピを求めても良い。こうして、800Kcalになる料理レシピが決まれば、制御部は、それを表示部に表示する。この場合、ご飯や豚肉の他に、惣菜の使用量についても調整可能であるが、各食材の量的なバランスも重要であるから、どの食材をどの程度増減するかという食材の優先順位やその増減割合を予め決めておくのが好ましい。
【0018】
本発明の第2観点に係るレシピ提供システムが、
利用者が操作するコンピュータと、サーバとがネットワークを介して接続されたクライアントサーバシステムで構成され、
第1観点に係る前記データベースは、前記サーバに記憶され、
前記制御部は、プログラムとして前記サーバ又は前記コンピュータに記憶され、
前記入力部は、前記コンピュータの入力装置であり、
前記表示部は、前記コンピュータの表示装置であることを特徴とする。
【0019】
制御部がサーバに記憶されている場合は、コンピュータから入力した料理名と摂取カロリーとを、コンピュータからサーバへ送信する。サーバは、受信した情報に基づいて制御部のプログラムを実行させて、受信した料理名のデータベースから使用する食材を選び出して、選んだ各食材による摂取カロリーを求める。求めた摂取カロリーと、入力された摂取カロリーとの差が、許容範囲内に入らなければ、置換可能な他の食材と入れ替えて、再び摂取カロリーを求め、求めた摂取カロリーが許容範囲内に入っていれば、そのときの各食材と各使用量とを一つの料理レシピとして記憶する。こうした処理を繰り返して、置き換える食材がなくなると、制御部は、メモリに記憶した幾つかの料理レシピをコンピュータに返信する。それを受信したコンピュータは、受信した料理レシピを表示装置に表示する。
【0020】
一方、利用者側のコンピュータが、制御部としてのプログラムをサーバからダウンロードして使うこともできる。この場合には、コンピュータ側に制御部、入力部、表示部が備えられるから、入力部で入力された料理名をサーバに送り、サーバは、その料理名のデータベースから、その料理に紐づけられた全データを取得してコンピュータに送信する。これを受け取ったコンピュータの制御部は、前述同様の処理を実行して、入力された摂取カロリーと略等しくなる各食材と各使用量とを求め、それを一つの料理レシピとして表示部に表示する。
【0021】
これにより、例えば弁当を調理する担当者は、料理名とその摂取カロリーとを入力部から入力するだけで、所望の摂取カロリーの料理レシピを取得することができるから、献立を考える作業時間を短縮することができる。
【0022】
本発明の第3観点に係るプログラムが、
前記第2観点に係る制御部のプログラムであって、
前記入力装置で入力された料理名に基づいて、前記データベースの前記料理名の料理において使用される複数の食材の中から、使用する食材を選ぶ第1ステップと、
前記第1ステップで選ばれた食材で前記料理を作った場合の摂取カロリーを求める第2ステップと、
前記第2ステップで求めた摂取カローが、前記入力部から入力された摂取カロリーと略等しくなるか否かを判断する第3ステップと、
第3ステップで判断した結果が、略等しくない場合は、前記第1ステップに戻って前記第3ステップまでの処理を実行し、略等しい場合は、第1ステップで選んだ食材とその使用量とを、入力された料理名の料理レシピとして記憶する第4ステップと、
第4ステップで記憶した料理レシピを前記表示装置に出力する第5ステップと、を備えたことを特徴とする。
【0023】
また、本発明の第4観点に係る記憶媒体が、
第3観点に係るプログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体であることを特徴とする。
【0024】
したがって、この記憶媒体に記憶されたプログラムを、汎用性のあるコンピュータにインストールすれば、種々の料理のデータベースを利用することができるとともに、料理名とその摂取カロリーとを入力部に入力するだけで、所望の摂取カロリーの料理レシピを取得することができる。
【0025】
また、第1観点又は第2観点に記載のデータベースと、第3観点に記載のプログラムとが、外部コンピュータにダウンロード可能に記憶されているクラウドコンピューティングであることを特徴とする。
【0026】
これにより、汎用性のあるコンピュータをクラウドと通信可能に設定して、入力部から料理名とその摂取カロリーとを入力するだけで、入力した摂取カロリーの料理レシピを取得することができるから、種々の業種で使用できる汎用性の高いシステムとすることができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、料理名とその摂取カロリーとを、コンピュータの入力部に入力するだけで、入力した摂取カロリーの料理レシピをコンピュータの表示画面に表示させることができるから、カロリー表を見ながら摂取カロリーの料理レシピを考える手間と時間を省くことができる。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【
図1】レシピ提供システムの構成を概略的に示す説明図。
【
図2】クライアントコンピュータの機能ブロック図。
【
図4】トンカツ弁当を作る場合の各食材の使用量と熱量の料理データベース。
【
図5】かつ丼を作る場合の各食材の使用量と熱量の料理データベース。
【
図6】ミックスフライ弁当に詰めるご飯と白身魚フライの料理データベース。
【
図7】ミックスフライ弁当に詰めるトンカツの料理データベース。
【
図8】ミックスフライ弁当に詰めるミンチカツの料理データベース。
【
図9】ミックスフライ弁当に詰めるエビフライの料理データベース。
【
図10】ミックスフライ弁当に詰めるコロッケの料理データベース。
【
図12】ミックスフライ弁当の摂取カロリーを求めるためのカロリー表
【発明を実施するための形態】
【0029】
次に本発明の一実施形態に係るレシピ提供システムを、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す実施形態は、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0030】
図1は、レシピ提供システムをクライアントサーバシステムで構成した場合の説明図である。この図において、レシピ提供システム1は、利用者のコンピュータ2と、クラウド上のサーバ3とがネットワーク4を介して通信可能に接続された構成である。
【0031】
利用者のコンピュータ2は、ミールキットの食品加工業者や、弁当の製造業者等に設置されるもので、LANを介して複数の生産管理計量器5と接続されている。また、コンピュータ2には、外部記憶装置Mが接続され、クラウド上のサーバ3から料理データベースをダウンロードして、その記憶装置Mに格納することができるようになっている。
【0032】
クラウド上のサーバ3、あるいは、外部記憶装置Mには、
図4~
図6に示すような種々の料理データベースDBが記憶されている。ただし、
図4~
図6に示す料理データベースDBは、一例に過ぎない。こうしたデータベースDBには、料理を作ることができる複数の置換可能な食材を含む各食材とそれらの使用量、カロリー情報とが、各料理に紐づけられて登録されている。
【0033】
例えば、
図4は、「トンカツ弁当」の料理データベースの一例であり、
図5は、「かつ丼」の料理データベースの一例である。この
図5では、「かつ丼」を作る場合に使用する複数の置換可能な豚肉(例えば豚肩ロース、豚ロース赤肉、豚モモ)と、豚肉を揚げるための食材(衣、揚げ油)と、玉子とじの食材(玉ねぎ、調味料、添え物としての三つ葉)と、それらの使用量とを紐づけて登録している。また、
図5では、参考として、「かつ丼」の摂取カロリーが500Kcalとして入力された場合に、後述の制御部20が選ぶ一例を示している。すなわち、ご飯の使用量を、標準の150gから100gに減らし、使用する豚肉は、標準的に使用する豚肩ロースを豚ロース赤肉に替えて使用し、その使用量も100gから70gに減らして、500Kcalの「かつ丼」とした料理レシピを示している。
【0034】
また、
図6~
図10は、「ミックスフライ弁当」を作る場合の各フライ料理のデータベースの一例である。また、これらのデータベースは、白身魚フライ、トンカツ、ミンチカツ、エビフライ、コロッケの中から、3種類のフライを選んで「ミックスフライ弁当」を作るために紐づけられ、あるいは、呼び出されたものである。また、これらのデータベースでは、互いに置換可能な複数の食材に加えて、各食材の栄養成分と食塩相当量も併せて登録されている。
【0035】
図2は、利用者のコンピュータ2の機能ブロック図を示す。この
図2において、コンピュータ2は、ミールキットの食品加工業者や、弁当製造業者等に設置されるもので、主として制御部20、入力部21、表示部22、通信部23に加え、外部記憶装置Mと、生産管理計量器5へ作業指示を出力する作業指示部24とを備えている。
【0036】
入力部21は、料理名とその料理の摂取カロリーとを入力するもので、例えば、キーボードやタッチパネル等から構成される。タッチパネルで構成するときは、表示部22の表示画面に入力欄を設け、そこにキーボードから料理名を入力する。あるいは、料理の一覧表を表示画面に表示させ、その中から所望の料理名を指定することによって、料理名を入力する。
【0037】
制御部20は、プログラムを実行することによって実現される機能である。そのため、制御部20は、サーバ3にもインストールされているが、ここでは、サーバ3からコンピュータ2側に制御部20のプログラムがダウンロードされている場合を示している。
【0038】
制御部20は、入力部21から料理名と摂取カロリーが入力されると、それらの情報を通信部24とネットワーク4とを介してサーバ3に送信する。それを受け取ったサーバ3は、料理名に対応する料理データベースDBから、全てのデータを取得してコンピュータ2に送信する。コンピュータ2は、受け取った料理データを外部記憶装置Mに記憶する。続いて、制御部20は、料理名の料理において使用する複数の置換可能な食材を含む各食材の中から、該料理に使用する食材を選んで摂取カロリーを求める。
【0039】
その処理手順を、
図3のフローチャートに基づいて説明すると、制御部20のプログラムは、以下のステップを有する。すなわち、
入力された料理名の料理で使用される複数の置換可能な食材の中から、その料理に使用する食材を選ぶ第1ステップS1と、
第1ステップで選んだ各食材のカロリー情報に基づいて前記料理の摂取カロリーを求める第2ステップS2と、
第2ステップS2で求めた摂取カロリーが、入力部21で入力された摂取カロリーと略等しくなるか否かを判断する第3ステップS3と、
第3ステップの判断結果が、略等しくない場合は、第1ステップS1で選んだ食材を他の食材と入れ替えて、第2ステップS2の摂取カロリーを求める処理を実行させる第4ステップS4と、
第3ステップの判断結果が、略等しい場合は、第1ステップS1又は第4ステップS4で選んだ各食材とそれらの使用量とを、入力された摂取カロリーの料理レシピとして記憶する第5ステップS5と、
第5ステップS5で記憶した前記料理レシピを表示装置に出力する第6ステップS6とを少なくとも備えている。
【0040】
ただし、この処理手順は、一例を示したもので、ここに、例えば、使用する食材を選ぶ第1ステップにおいて、さらに、使用頻度の高い食材から優先的に選ぶ処理を加えても良いし、第4ステップにおいて、置換可能な食材同志を入れ替えた場合でも、所定の摂取カロリーになる料理レシピが求められない場合は、食材の使用量を増減する処理に移行するようにしても良い。また、こうした食材の選択と、使用量の増減処理については、人口知能(AI)を用いて機械学習させれば、より適正な料理レシピを求めることができる。
【0041】
表示部22は、制御部20から出力された料理レシピを表示する。具体的には、液晶パネルのような表示装置で構成することができる。また、液晶パネルにタッチパッド等の入力装置を組み合わせたタッチパネルで構成することもできる。また、コンピュータ2に生産管理計量器5が接続されている場合は、コンピュータ2に代わって、生産管理計量器5側のコンピュータが、同様な制御部20の機能を実現するようにしても良い。この場合には、生産管理計量器5の表示装置50が、表示部22として機能し、入力装置51が入力部21として機能するように構成される。
【0042】
通信部23は、ネットワーク4を介してサーバ3と通信したり、LANを介して生産管理装置5と通信したりする。
作業指示部24は、制御部20が記憶した料理レシピ(各食材とそれらの使用量)に基づいて、どの食材を何人前調理するかの指示データを作成し、それを生産管理計量器5に出力するものである。
生産管理計量器5は、調理場に設置されて、作業指示部24から受け取った指示データに基づいて、調理する各食材を計量し、それらの計量結果を生産実績として保管し、必要に応じて出力するように構成されている。そのため、生産管理計量器5には、計量器52と、ラベル発行機53が備えられている。
【0043】
一方、コンピュータ2は、入力された摂取カロリーの料理レシピを求めるだけでなく、求めた料理レシピを何人前作るかの情報に基づいて、調理場の生産管理計量器5に対し、作業指示データを送信するように構成されている。例えばエビフライを100人前作る場合は、生産指示部24は、調理場の生産管理計量器5に対し、エビの種類とその使用量、衣素材(小麦粉、卵、パン粉)の各使用量を出力する。すると、生産管理計量器5は、
図11に示すような指示データを表示装置50に表示する。
【0044】
図11に示す指示データには、エビフライを調理する場合の食材として、一匹34gのブラックタイガーを100匹、フライにする衣として、小麦粉300g、卵500g、パン粉500gの計量を指示するデータが含まれている。調理場の担当者は、この表示画面を見ながら、ブラックタイガーを100匹計量し、それが終了すると、「確定」キーを押してから、次に計量する小麦粉を押して、小麦粉の計量を開始する、というように、指示内容に従って順番に食材を指定しながら計量していく。そして、指示された全ての食材の計量が終わり、確定キーが操作されると、それまでの実績データが、コンピュータ2に送信されるようになっている。これにより、食材の間違いや作り過ぎを防止することができる。
【0045】
次にレシピ提供システム1が、弁当事業者に導入されている場合を想定して、その具体的な使用例を説明する。
【0046】
例えば、コンピュータ2の入力部21に、料理名として「ミックスフライ弁当」が入力され、それに加えて、フライは、3種類、摂取カロリーは、950Kcal、食塩の使用量は、3g以内という選択条件が入力されたとする。
【0047】
すると制御部20は、サーバ3又は記憶装置Mにアクセスして、
図6~
図10の料理データベースから「ミックスフライ弁当」用の各食材のデータを取得する。すなわち、これらのデータベースには、白身魚フライ、トンカツ、ミンチカツ、エビフライ、コロッケの各料理レシピが登録されているので、制御部20は、各食材を選択する前に、例えば白身魚については、スケソウタラ、マダラ、ホキ、メルルーサをそれぞれフライにしたときのそれぞれのカロリーを求め、求めたカロリーを、
図12に示すように、メモリエリアに一時的に記憶しておく。同様にトンカツ、ミンチカツ、コロッケ、エビフライについても、それぞれをフライにしたときのカロリーを求めて、
図12に示すように、メモリエリアに一時的に記憶しておく。
【0048】
この場合のカロリー計算では、例えば白身魚100gを使用し、それに付ける衣の使用量から、衣の熱量を71Kcal、菜種油は、吸油率を10%の熱量として118Kcalを加えている。同様に、トンカツの場合は、衣の熱量を71Kcal,菜種油の熱量を136Kcalとして加え、表面積の小さいエビフライでは、衣の熱量を38Kcal、衣に吸収される揚げ油の熱量を48Kcalとしている。
【0049】
そして、「ミックスフライ弁当」の選択条件として、フライ3種、摂取カロリー950Kcalが入力されていれば、制御部20は、白身魚フライ、トンカツ、ミンチカツ、エビフライ、コロッケから一つずつ選んだ5種類の中から3種類組み合わせたときの合計摂取カロリーを求める。求めた摂取カロリーに、指定されたご飯の使用量130gのカロリー202Kcalと、キャベツの千切り又はちぎりレタスのカロリーと、たくあんのカロリーとを加えて、摂取カロリーが、入力された摂取カロリー950Kcalに最も近くなる組み合わせを求める。
【0050】
図6~
図10に示す、網掛け部分は、そうして求めた食材である。すなわち、白身魚フライとしてマダラフライ、トンカツとしてモモ肉、エビフライとしてブラックタイガー、それに加えて、ご飯130gと、キャベツの千切り30gと、「たくあん」8gが選択されたことを示している。この場合の合計摂取カロリーは、948Kcalである。
【0051】
こうして、「ミックスフライ弁当」の料理レシピが決まると、制御部20は、その料理レシピを表示部22に出力する。
一方、入力部から「ミックスフライ弁当」を100人前作るとして入力されていれば、作業指示部24は、使用する各食材のそれぞれの使用量を算出して指示データを作成し、それを調理場の生産管理計量器5へ出力する。
図11は、そうして出力された表示画面の一例である。
【0052】
また、生産管理計量器5が、鮮魚調理場と、精肉調理場にそれぞれ配置されていれば、作業指示部24は、白身魚フライとエビフライを作る場合の各食材に関する作業指示データを鮮魚調理場の生産管理計量器5に送信し、トンカツを作る場合の各食材に関する作業指示データを精肉調理場の生産管理計量器5に送信する。これにより、鮮魚系フライと、精肉系フライが同時に作られて、短時間でミックスフライ弁当が盛り付けられるようになっている。
【0053】
<他の実施形態1>
以上、本発明の一実施形態を説明したが、本発明は、この実施形態に限定されるものではなく、他の実施形態も採用可能である。例えばLANにラベルプリンターを接続して、作業指示部24から、料理レシピとその摂取カロリー、栄養成分をラベルプリンターに送信しておく。そうすれば、ラベルプリンターから、カロリーや栄養成分を印字したラベルを発行し、それを弁当に貼付することができるから、作業性を向上させることができる。
【0054】
<他の実施形態2>
また、以上の説明では、料理名が入力される度に、入力された摂取カロリーになる料理レシピを求めたが、食材は、季節や旬によって変わるから、同じ料理名の料理でも、例えば添え物としての総菜を替えるだけで、同じ摂取カロリーの料理レシピを求めることができるから、求めた料理レシピをメモリに複数記憶しておき、その中から、摂取カロリーに略等しくなる料理レシピを選んで出力するようにしても良い。
【符号の説明】
【0055】
1 レシピ提供システム
2 コンピュータ
3 サーバ
4 ネットワーク
5 生産管理計量器
20 制御部
21 入力部
22 表示部
23 通信部
24 作業指示部
DB データベース