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特開2022-15807車両管理システム、案内システム、車両管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022015807
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】車両管理システム、案内システム、車両管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/00 20060101AFI20220114BHJP
   G08G 1/13 20060101ALI20220114BHJP
   G06Q 30/06 20120101ALI20220114BHJP
   G06Q 50/10 20120101ALI20220114BHJP
【FI】
G08G1/00 D
G08G1/13
G06Q30/06 350
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020118913
(22)【出願日】2020-07-10
(71)【出願人】
【識別番号】000000011
【氏名又は名称】株式会社アイシン
(74)【代理人】
【識別番号】110000660
【氏名又は名称】Knowledge Partners 特許業務法人
(72)【発明者】
【氏名】橋口 壮太
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181AA21
5H181BB04
5H181FF04
5H181FF05
5H181FF10
5H181FF13
5H181FF22
5H181MA07
5H181MA44
5H181MA48
5H181MB08
5L049BB22
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】カーシェアリングサービスの利便性が向上する可能性を高める技術の提供。
【解決手段】カーシェアリングサービスの第1利用者が利用する第1車両の故障を検知する故障検知部と、前記カーシェアリングサービスの利用者であって前記第1車両から既定距離以内に存在する第2車両を利用中の第2利用者に対して、前記第1車両の位置にて前記第2車両の利用を終了可能であることを案内する案内部と、を備える車両管理システムを構成する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーシェアリングサービスの第1利用者が利用する第1車両の故障を検知する故障検知部と、
前記カーシェアリングサービスの利用者であって前記第1車両から既定距離以内に存在する第2車両を利用中の第2利用者に対して、前記第1車両の位置にて前記第2車両の利用を終了可能であることを案内する案内部と、
を備える車両管理システム。
【請求項2】
前記第2車両は、前記第2車両に設定された目的地及び前記第2車両の移動履歴の少なくとも一方に基づいて前記第1車両の位置に近づくことが推定される車両である、
請求項1に記載の車両管理システム。
【請求項3】
前記既定距離は、前記第1利用者の利用開始時刻までの時間が長いほど長い、
請求項1または請求項2に記載の車両管理システム。
【請求項4】
前記第2車両は、
前記第1利用者が前記第1車両の代替としての前記第2車両の利用を終了する時刻から、第3利用者が前記第2車両の利用を開始する時刻までの時間が既定時間以上である車両である、
請求項1~請求項3のいずれか一項に記載の車両管理システム。
【請求項5】
前記案内部は、前記第2利用者が前記第2車両の利用終了を承諾した場合、前記第2車両の位置から前記第1車両の位置までの経路案内を行う、
請求項1~請求項4のいずれか一項に記載の車両管理システム。
【請求項6】
カーシェアリングサービスを提供する車両に備えられたシステムであって、
前記車両の位置を取得し車両管理システムに送信する車両位置取得部と、
前記車両の位置に基づいて前記カーシェアリングサービスの故障車両から既定距離以内に前記車両が存在すると判定した前記車両管理システムから前記故障車両の位置にて前記車両の利用を終了可能であることが通知されると、前記故障車両の位置にて前記車両の利用を終了可能であることを前記車両の利用者に案内する案内実行部と、
を備える案内システム。
【請求項7】
コンピュータを、
カーシェアリングサービスの第1利用者が利用する第1車両の故障を検知する故障検知部、
前記カーシェアリングサービスの利用者であって前記第1車両から既定距離以内に存在する第2車両を利用中の第2利用者に対して、前記第1車両の位置にて前記第2車両の利用を終了可能であることを案内する案内部、
として機能させる車両管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両管理システム、案内システム、車両管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カーシェアリングサービスにおいて、利用者の予約車両が故障等によって貸し出し不能となった場合に代替車両が手配されることが知られている。特許文献1には、予約車両が駐車されたステーションの近隣のステーションに駐車され、且つ、予約車両の予約時間内に未だ予約が入っておらず、且つ、予約車両と同一車種の車両を代替車両とすることが記載されている。また、特許文献1には、代替車両は作業員によって予約車両のステーションに移送されることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-8658号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来の手法では、例えば近隣のステーションにおいて代替候補車両が全て出払っている場合、代替車両を迅速に手配することが困難となり利便性が損なわれる可能性があった。
本発明は、上記課題にかんがみてなされたもので、カーシェアリングサービスの利便性が向上する可能性を高める技術の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、車両管理システムは、カーシェアリングサービスの第1利用者が利用する第1車両の故障を検知する故障検知部と、カーシェアリングサービスの利用者であって第1車両から既定距離以内に存在する第2車両を利用中の第2利用者に対して、第1車両の位置にて第2車両の利用を終了可能であることを案内する案内部と、を備える。
【0006】
さらに、上記の目的を達成するため、車両管理プログラムは、コンピュータを、カーシェアリングサービスの第1利用者が利用する第1車両の故障を検知する故障検知部、カーシェアリングサービスの利用者であって第1車両から既定距離以内に存在する第2車両を利用中の第2利用者に対して、第1車両の位置にて第2車両の利用を終了可能であることを案内する案内部、として機能させる。
【0007】
すなわち、この車両管理システム、車両管理プログラムでは、故障が検知された第1車両から既定距離以内の位置にて第2車両を利用中の第2利用者に対して、第1車両の位置にて第2車両の利用を終了可能であることを案内する。案内を受けて第2利用者が第2車両を第1車両の位置まで運転し第2車両の利用を終了した場合、第1利用者は、第1車両の代替車両として第2車両を利用可能となり得る。そのため、この車両管理システム、車両管理プログラムによれば、カーシェアリングサービスの利便性が向上する可能性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】車両管理システムの構成を示すブロック図。
図2図2Aおよび図2Bは、予約時間の例を示す図。
図3】推定移動方向と故障車両に向かう方向との角度を説明する説明図。
図4図4Aは第2車両における案内例を示す図、図4Bは第1利用者の携帯端末における案内例を示す図。
図5】車両管理処理のフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0009】
ここでは、下記の順序に従って本発明の実施の形態について説明する。
(1)全体の構成:
(2)携帯端末の構成:
(3)車載システムの構成:
(4)車両管理システムの構成:
(5)車両管理処理:
(6)他の実施形態:
【0010】
(1)全体の構成:
図1は、本発明の一実施形態にかかる車両管理システム10と協働するシステムの構成例を示す図である。本実施形態においては、カーシェアリングサービスを提供する管理者が1以上の拠点に車両管理システム10を設置し、複数の車両のシェアリングサービスを提供する。カーシェアリングサービスにおいて提供される車両には車載システムが搭載されている。図1には、2台の車両にそれぞれ搭載された車載システム100,200が示されている。携帯端末300は、利用者がカーシェアリングサービスの車両を予約する等のために用いられる端末である。車両管理システム10は、車載システム100、車載システム200(案内システム)、携帯端末300と無線通信可能である。
【0011】
車両管理システム10は、カーシェアリングサービスを提供する複数の車両を管理するサーバである。カーシェアリングサービスを提供する車両は、予め決められたステーションの予め決められた駐車スペースに駐車されている。利用者は、所望のステーションに配備されている車両の中から、所望の車種であって利用したい時間帯に空きがある車両を予約することができる。利用者は、予約した時間内において、利用する車両を運転してステーションから出発し、その後、当該ステーションに戻って駐車スペースに駐車し車両の利用を終了する。
【0012】
本実施形態においては、利用者がサービスの利用開始時等に車両の電源をオンした際、あるいは、利用終了時等に車両の電源をオフする際に、車両に搭載された車載システムが車両の状態を収集し故障の有無を検知するように構成されている。そして、故障を示す情報が取得された場合、車載システムが車両管理システム10に車両の故障を通知する。本実施形態において、車両管理システム10は、カーシェアリングサービス提供車両のいずれかにおける故障を検知すると、故障車両の周辺にてカーシェアリングサービス利用中の他の利用者に、故障車両が駐車されているステーションにて、利用中の車両の利用を終了可能である旨の案内(以降では乗り捨て案内ともいう)を行うように構成されている。カーシェアリングサービス提供車両のうちの故障車両を第1車両と呼ぶ。また故障車両の利用を予約していた利用者を第1利用者と呼ぶ。また、乗り捨て案内が実施される車両(代替候補車両)を第2車両と呼び、当該第2車両を利用中の利用者を第2利用者と呼ぶ。
【0013】
(2)携帯端末の構成:
次に、携帯端末300の構成を説明する。携帯端末300は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部320と、タッチパネルディスプレイ310と、通信部330と図示しない記録媒体を備えている。制御部320は、ROMや記録媒体に記録された様々なプログラムを実行することができる。本実施形態にかかる携帯端末300は、各種のプログラムにより各種の機能を実行可能な多機能端末である。携帯端末300は、各種の態様で実現可能であるが、本実施形態において、携帯端末300は、通話機能を含む各種の機能を実現可能なスマートフォンである。
【0014】
タッチパネルディスプレイ310は、図示しないインタフェースを介して制御部320と接続されており、制御部320とタッチパネルディスプレイ310とで各種の信号を授受する。制御部320の制御に従って、タッチパネルディスプレイ310は、携帯端末300の利用者による各種の指示を入力し、利用者に対する各種の情報を出力する。通信部330は、他の装置と無線通信を行うための回路を含んでいる。本実施形態においては、制御部20は、無線通信規格に従って通信部330を介して、車両管理システム10と様々な情報を授受することができる。
【0015】
(3)車載システムの構成:
次に、カーシェアリングサービスの提供車両に搭載されている車載システムの構成を説明する。第1車両に相当する車両に搭載されている車載システムに100を付し第2車両に相当する車両に搭載されている車載システムに200を付すが、図1に示す車載システム100,200のように、本実施形態において、提供車両の車載システムは共通の構成を備えている。共通の構成には共通の符号を付し、重複する説明は省略する。
【0016】
車載システム100,200は、CPU,RAM,ROM等を備える制御部120、記録媒体130、通信部140、GNSS受信部141、車速センサ142、ジャイロセンサ143を備えている。制御部120は、記録媒体130やROMに記憶された図示しないナビゲーションプログラムを実行することができる。
【0017】
記録媒体130には、予め地図情報130aが記録されている。地図情報130aは、車両の位置や案内対象の施設の特定に利用される情報であり、車両が走行する道路上に設定されたノードの位置等を示すノードデータ、ノード間の道路の形状を特定するための形状補間点の位置等を示す形状補間点データ、ノード同士の連結を示すリンクデータ、道路やその周辺に存在する地物の位置等を示すデータ等を含んでいる。
通信部140は、他の装置と通信を行う回路を備えている。制御部120は、ナビゲーションプログラムの処理によって車両管理システム10と通信を行うことが可能である。
【0018】
GNSS受信部141は、Global Navigation Satellite Systemの信号を受信する装置であり、航法衛星からの電波を受信し、図示しないインタフェースを介して車両の現在位置を算出するための信号を出力する。制御部120は、この信号を取得して車両の現在位置を取得する。車速センサ142は、車両が備える車輪の回転速度に対応した信号を出力する。制御部120は、図示しないインタフェースを介してこの信号を取得し、車速を取得する。ジャイロセンサ143は、車両の水平面内の旋回についての角加速度を検出し、車両の向きに対応した信号を出力する。制御部120は、この信号を取得して車両の進行方向を取得する。車速センサ142およびジャイロセンサ143等は、車両の走行軌跡を特定するために利用され、本実施形態においては、車両の出発位置と走行軌跡とに基づいて現在位置が特定され、当該出発位置と走行軌跡とに基づいて特定された車両の現在位置がGNSS受信部141の出力信号に基づいて補正される。
【0019】
ユーザI/F部144は、利用者の指示を入力し、また利用者に各種の情報を提供するためのインタフェース部であり、図示しないタッチパネル式のディスプレイやスピーカ等を備えている。すなわち、ユーザI/F部144は画像や音の出力部およびユーザによる指示の入力部を備えている。
【0020】
制御部120は、図示しないナビゲーションプログラムの機能により、ユーザI/F部144の入力部を介して利用者による目的地の入力を受け付け、地図情報130aに基づいて車両の現在位置から目的地までの経路を探索することができる。また、制御部120は、ナビゲーションプログラムの機能により、地図情報130aに基づいて、ユーザI/F部144の出力部を利用して利用者(運転者)に対して目的地までの経路を案内することができる。
【0021】
さらに、本実施形態おいて、ナビゲーションプログラムは、車両管理システム10と連携し、車両故障時における他車両に対する乗り捨て案内機能を実現するために、車両位置取得部121aと車両状態取得部121bと案内実行部121cを備えている。
【0022】
車両位置取得部121aは、車両の位置を取得し車両管理システム10に送信する機能を制御部120に実現させるプログラムモジュールである。制御部120は、GNSS受信部141、車速センサ142、ジャイロセンサ143の出力に基づいて車両の現在位置を取得する。現在位置の取得は、予め決められたトリガが発生した場合や、予め決められたタイミング等に行われる。制御部120は、車両の現在位置を取得した時刻と対応付けて現在位置を移動履歴情報130b(230b)として記録媒体130に記録する。また、制御部120は、通信部140を介して、予め決められたタイミングで移動履歴情報130b(230b)を車両管理システム10に送信する。
【0023】
車両状態取得部121bは、車両の状態情報を取得し、車両管理システム10に送信する機能を制御部120に実現させるプログラムモジュールである。本実施形態において、車両の電源がオフからオンに切り替わった場合や、オンからオフに切り替わる際に、車両の各部を制御する図示しない各制御ECUにおいて、故障診断プログラムが実行され、各ECUは、制御対象部(例えばエンジン、エアーコンディショナー等)の状態を示す情報(状態情報)を収集する。状態情報には、車両に搭載された部品の不調、不具合、故障を示す情報が含まれうる。制御部120は、各ECUから状態情報を取得し、車両IDと車両の位置ともに車両管理システム10に送信する。
【0024】
案内実行部121cは、後述する車両管理システム10によって第1車両の代替車両として選定され車両管理システム10から第1車両の位置にてカーシェアリングサービスの利用を終了可能であることが通知された場合に、その旨を利用者に案内する機能を制御部120に実現させるプログラムモジュールである。すなわち案内システムとして機能する第2車両の車載システム200において、案内実行部121cの機能により制御部120は、車両管理システム10から乗り捨て案内を示す案内情報を取得する。案内情報には、第1車両の位置を示す情報と乗り捨て案内メッセージが含まれる。本実施形態において、故障が検知されるのは車両が配備されているステーションであることを想定している。従って、案内情報に含まれる第1車両の位置は、本実施形態においては第1車両の現在位置(第1車両が配備されているステーション(第1ステーション))であるとして説明を続ける。制御部120は、案内情報に従って、乗り捨て案内画面をユーザI/F部144に表示する。図4Aのg1は、乗り捨て案内画面の一例を示す図である。乗り捨て案内画面では、例えば、第1ステーションに該当する施設名称が表示される。第1ステーションの住所や地図等が乗り捨て案内画面において表示されてもよい。また、案内した施設を乗り捨てステーションとして利用することを承諾するか否かの選択を入力させるボタンが乗り捨て案内画面に含まれている。利用者がいずれかを選択すると、制御部120は、車両管理システム10に利用者の選択内容を送信する。
【0025】
乗り捨てステーションとしての利用を承諾することが選択された場合であって、車両管理システム10において第1車両の代替車両に選定された場合、車両管理システム10から車載システムに乗り捨てステーションまでの経路情報が送信される。制御部120は案内実行部121cの機能により、経路情報を受信すると、経路情報に基づいて、ユーザI/F部144に車両の位置から乗り捨てステーションまでの経路を表示し、経路案内を行う。
【0026】
(4)車両管理システムの構成:
次に、車両管理システム10の構成を詳細に説明する。本実施形態にかかる車両管理システム10は、サービス提供車両が故障した場合に故障車両(第1車両)の周囲に位置する他の車両を後述する条件に基づいて代替候補車両として選定し、代替候補車両(第2車両)の利用者(第2利用者)に乗り捨て案内を行う機能を有している。車両管理システム10は、車載システム100,200、携帯端末300と通信可能なサーバである。車両管理システム10を構成するサーバは、一台で構成されても良いし、複数台で構成されるサーバであっても良い。車両管理システム10は、制御部20、記録媒体30、通信部40を備えている。制御部20は、CPU,RAM,ROM等を備えるコンピュータである。制御部20は、記録媒体30やROMに記憶された車両管理プログラム21を実行することができる。
【0027】
通信部40は、他の装置と通信を行う回路を備えている。制御部20は、車両管理プログラム21の処理によって、通信部40を介して、カーシェアリングサービスの利用者の携帯端末(300等)や、車載システム(100,200等)と無線通信することができる。
【0028】
記録媒体30には、予め地図情報30aが記録されている。地図情報30aは、故障車両の既定距離以内に存在する車両の特定や、当該車両の移動方向の算出等に利用される。地図情報30aの構成は、地図情報130aと共通である。
【0029】
また、記録媒体30には、車両情報30bが記録される。車両情報30bは、カーシェアリングサービスで提供される各車両の情報である。提供車両には、車両を一意に識別するための車両IDが付されており、車両情報30bにおいては、車両IDに対応付けて当該車両の車種や、移動履歴、スケジュール等の情報が含まれる。スケジュールや移動履歴は、カーシェアリングサービスの運用過程において、更新や追加がなされる。移動履歴は、各車両の車載システム100,200から送信された車両位置情報の履歴である。
【0030】
スケジュールは、車両に対して定められた予定(過去の予定も含まれてよい)であり、車両に対するカーシェアリングサービスの予約日時(利用開始時刻から利用終了時刻)や、車両メンテナンスの予定日時(メンテナンス開始時刻から終了時刻)等の情報が含まれる。また、カーシェアリングサービスの各予約には、予約者(利用者)のIDが対応付けられている。さらに、利用者IDには、利用者の連絡先(電話番号、電子メールアドレス等)や当該利用者が利用する携帯端末にプッシュ通知するための端末ID等が対応付けられている。車両IDに対応するスケジュールを参照することで、制御部20は、例えば車両IDが示す車両の次の予約日時や予約者(利用者)を特定し、当該利用者の携帯端末に端末IDを用いたプッシュ通知等を行うことによって各種の通知を送信することができる。
【0031】
車両管理プログラム21は、故障車両の周辺に位置する車両に乗り捨て案内する機能を実現するため、故障検知部21aと案内部21bとを備えている。故障検知部21aは、カーシェアリングサービスの第1利用者が利用する第1車両の故障を検知する機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。制御部20は、車載システムから送信された車両ID、現在位置、状態情報を、通信部40を介して受信する。受信した状態情報に故障を示す情報が含まれている場合、制御部20は、受信した車両IDが示す車両の故障を検知する。
【0032】
案内部21bは、第1車両から既定距離以内に存在する第2車両を利用する第2利用者に対して、第1車両の位置にて第2車両の利用を終了可能であることを案内する機能を制御部20に実現させるプログラムモジュールである。制御部20は、サービス提供車両のうちのいずれかの故障を検知すると、本実施形態においては、次の条件を満たす車両を特定する。まず制御部20は、移動履歴に基づく最新位置が第1車両から既定距離以内の地点である車両であって、且つ、現在、他の利用者によって利用中である車両(条件1)の車両IDを特定する。既定距離は例えば3km程度を想定してよい。
【0033】
図2Aおよび図2Bに示すスケジュール例においては、故障が検知された車両Mのスケジュールと、車両Mの故障検知時に利用中である車両Pのスケジュールが示されている。なお、図2Aの例では、第1利用者の前の利用者が、第1車両が配備されているステーション(第1ステーション)にて第1車両の利用を終了する際に故障が検知されたユースケースを想定している。図2Bの例では、第1利用者が第1ステーションにて第1車両の利用を開始する際に、故障が検知されたユースケースを想定している。制御部20は、例えば図2A図2Bに示すようなスケジュールを参照し、条件1を満たす車両を特定する。
【0034】
さらに、制御部20は、条件1を満たす車両の中から、車種が第1車両の車種と同じ車両(条件2)を車両情報30bに基づいて抽出する。なお、車種は、車体の大きさ等や装備品の有無等に応じて分類された車両クラスを想定してよい。車種の分類方法は適宜決定されてよい。
【0035】
条件1、2を満たす車両の中からさらに、制御部20は、第1利用者が第1車両の代替とする車両の利用を終了する時刻から、代替とする車両における次の予約(第3利用者が利用を開始する時刻)までの時間が既定時間以上である車両(条件3)を、車両情報30bのスケジュールを参照して選出する。例えば図2Aに示すスケジュール例では、故障検知時刻t0において利用中である車両Pは、車両Pの利用者によって時刻t2にまでに車両Pのステーションにて利用が終了される予定であり、車両Pにおける次の予約は、時刻t5から入っている。一方、故障が検知された車両Mは、本来であれば時刻t3から時刻t4まで第1利用者が利用可能であり、仮に車両Pを代替車両として第1利用者が利用する場合も利用時間は同じ時間帯とすることを想定している。従って図2Aの破線の矩形枠に示すように、第1利用者が代替車両として車両Pを利用する時刻t3からt4において元々予約が入っておらず、尚且つ、利用終了時刻t4から車両Pに対する次の予約の開始時刻t5までの期間Tが既定時間以上であれば条件3を満たすこととなる。既定時間は、例えば、ステーション間の移動に要する時間に基づいて設定されてよい。すなわち、代替車両として第1利用者に利用され第1ステーションにて利用を終了された後、次の利用者である第3利用者が車両Pの本来のステーションにて利用を開始可能とするために、作業員が車両Pを第1ステーションから当該ステーションに移動させるための所用時間より大きい時間が既定時間として採用されてもよい。なお、第1利用者が代替車両として車両Pを利用する場合に、車両Pのステーション(車両Pを配備するステーション)にて車両Pを乗り捨て可能であることが第1利用者に案内されてもよい。
【0036】
図2Bに示すスケジュール例では、故障検知時刻t10において利用中である車両Pは、車両Pの利用者によって時刻t12までに車両Pのステーションにて利用が終了される予定であり、車両Pにおける次の予約は、時刻t14から入っている。一方、故障が検知された車両Mは、本来であれば時刻t10から時刻t13まで第1利用者が利用可能であり、仮に車両Pを代替車両として第1利用者が用いた場合も、少なくとも利用終了時刻t13までは第1利用者によって利用可能とすることを想定している。時刻t10における故障検知以降、第2利用者が乗り捨て案内を承諾し、第1ステーションまで移動して第1ステーションにて利用を終了したことによって第1利用者が車両Pを利用可能となる時刻t11は、車両Pの利用者の本来の利用終了時刻t12より早くても遅くても良いが、図2Bの例では早い場合を図示している。すなわち図2Bの例の場合、車両Pの利用者は本来の利用時間を短縮することとなる。第1利用者が代替車両として車両Pを利用する時刻t11から時刻t13(図2Bの破線の矩形枠の時間帯)において、他の利用者による予約が元々入っておらず、尚且つ、利用終了時刻t13から車両Pに対する次の予約の開始時刻t14までの期間Tが既定時間以上であれば条件3を満たすこととなる。なお、期間Tが既定時間より充分長い場合、次の予約の開始時刻t14から既定時間分遡った時刻までの間であれば、第1利用者の利用終了時刻t13を延長可能であることを第1利用者の携帯端末300に案内するように構成されてもよい。
【0037】
このように、条件3を満たす車両を代替候補車両とすることにより、乗り捨て案内が実施される車両における次の予約をキャンセルする必要等がなく、乗り捨てが実施されることによって他の利用者に影響が及ぼされる可能性を低減できる。
【0038】
さらに本実施形態において、制御部20は、条件1~3を満たす車両の中から、車両に設定された目的地、または、移動履歴に基づいて故障車両の位置に近づくことが推定される車両(条件4)を抽出し、代替候補車両(第2車両)とする。車載システムに目的地が設定されている場合、車両は目的地に向かって移動中であることが推定される。制御部20は、通信部40を介して車載システムに設定されている目的地を取得し、目的地が故障車両の既定距離内であるか否かを判定する。既定距離内である場合、制御部20は、当該車両(条件4-1)を代替候補車両とする。
【0039】
目的地が設定されていない車両については、制御部20は、移動履歴から推定される今後の移動方向Vと現在位置から故障車両の位置に向かう移動方向Vとのなす角度θを算出し、角度θが閾値以下である車両(条件4-2)を代替候補車両とする。閾値は例えば10°を想定してよい。図3の例においてP,Qは、Mで示される第1車両の位置(第1ステーション)から既定距離以内に存在する車両(の現在位置)を示している。同図においてPは車両Pの移動履歴に含まれる地点であり、Qは車両Qの移動履歴に含まれる地点である。地点Pは、例えば、車両Pが現在利用中の利用者が車両Pの利用を開始した地点(例えば車両Pが配備されているステーション等)、地点Qは車両Qの利用者が車両Qの利用を開始した地点を想定してよい。なお、地点P,Qは、現在時刻の一定期間前の地点や現在位置から一定距離遡った地点などであってもよい。制御部20は、車両P,Qについてそれぞれ移動履歴を参照し、地点P,Qを取得する。
【0040】
制御部20は、PからPに向かう移動方向V1pとQからQに向かう移動方向V1qを取得する。また制御部20は、車両Pの現在位置からMに向かう方向V2pと、車両Qの現在位置からMに向かう方向V2qを取得する。制御部20は、車両Pの現在位置からV1pと同じ方向に移動した場合にV2pとのなす角θを算出する。また、制御部20は、車両Qの現在位置からV1qと同じ方向に移動した場合にV2qとのなす角θを算出する。
【0041】
制御部20は、条件1~4を満たす車両を代替候補車両(第2車両)とし、代替候補車両において乗り捨て案内を行う。すなわち制御部20は、第1車両が駐車されている第1ステーションを示す情報と、第1ステーションにて現在利用中の車両の利用を終了可能であることを案内するための案内情報を第2車両の車載システム200に送信する。車載システム200の制御部120は、当該案内情報を受信すると、ユーザI/F部144に案内情報に基づく乗り捨て案内画面(図4Aを参照)を表示する。図4Aに示すように、本実施形態において、乗り捨て案内画面には、乗り捨てステーションとして利用することを承諾するか否かの選択を入力するボタンが含まれる。利用者が承諾する旨を入力すると、車載システム200の制御部120は承諾を示す情報と車両IDを車両管理システム10に送信する。制御部20は承諾を示す情報を車載システム200から受信すると、車載システム200を搭載する車両の現在位置から第1ステーションまでの経路を探索し、当該経路を示す経路情報を車載システム200に返信する。車載システム200は、受信した経路情報に基づいて、図4Bの画面g2に示すように推奨経路を表示し、車両の現在位置(第2車両の位置)から乗り捨てステーション(第1車両の位置)までの経路案内を行う。この結果、第2利用者は、乗り捨てステーションを目的地として設定し経路探索する操作を自身が行う必要がなく、第2利用者の手間を軽減することができる。また、推奨経路が案内されることで、第2利用者が乗り捨てステーションに容易に到達できるように支援することができる。
【0042】
本実施形態において、第1ステーションでの乗り捨てについて承諾を選択した利用者が複数存在する場合、制御部20は、車両の現在位置から第1ステーションまでの距離が最小の車両を選択し、第1ステーションまでの推奨経路の案内をする。
【0043】
なお、第1ステーションでの乗り捨てを第2利用者が承諾した場合、制御部20は、第1利用者の携帯端末300に、利用予定の車両が故障した旨と代替車両の情報を案内するための案内情報を送信する。通信部330を介して当該案内情報を受信した携帯端末300の制御部320は、案内情報に基づく案内画面(例…図4B)をタッチパネルディスプレイ310に表示する。このようにすることで、第1利用者は、利用予定の車両が故障で利用できないことを認識できると共に、代替車両の存在を把握することができる。従ってこの案内によって第1利用者が代替車両をスムーズに利用できるように支援することができる。
【0044】
以上のように、本実施形態において車両管理システムおよび案内システムは、上述の条件1~5を満たす車両を代替候補車両(第2車両)とし、第2車両を利用中の第2利用者に対して、第1車両の位置にて第2車両の利用を終了可能であることを案内する。案内を受けて第2利用者が第2車両を第1車両の位置まで運転し第2車両の利用を終了した場合、第1利用者は、第1車両の代替車両として第2車両を利用可能となり得る。そのため、この車両管理システム、案内システムによれば、カーシェアリングサービスの利便性が向上する可能性を高めることができる。
【0045】
なお、第2車両の本来の配備ステーションは、第1車両の配備ステーションと異なっていても良いし、同じであってもよい。第2車両のステーションと第1車両のステーションが異なる場合、第2車両の第2利用者は、本来利用を終了する予定であったステーションとは異なるステーションで車両の利用を終了することとなるが、このような予定変更を受け入れた第2利用者に対して、利用料金の割引サービスが実施されてもよい。また、利用時間が本来予定していた利用時間より短縮した場合、利用時間短縮により第2利用者の利用料金が低減されるというメリットがある。第2車両のステーションと第1車両のステーションが同じである場合であっても、この乗り捨て案内によって第2利用者が第2車両の利用を本来終了する予定の時刻よりも実際の利用終了を早める可能性があり、この場合、第2利用者にとって利用料金が低減されるというメリットがある。車両管理システム10は、これらのメリットを乗り捨て案内画面において第2利用者に案内するようにしてもよい。
【0046】
(5)車両管理処理:
次に、制御部20が実行する車両管理処理を、図5を参照しながら説明する。車両管理処理は、故障検知部21aの機能により制御部20が車載システムから状態情報を受信した場合に実行される。本実施形態においては、車両の電源のオン/オフ時に車載システムから状態情報が送信されることを想定しているが、他の実施形態においては、それ以外のタイミングで状態情報が送信されてもよい。車両管理処理が開始されると、制御部20は、故障検知部21aの機能により、故障を検知したか否かを判定する(ステップS100)。すなわち、制御部20は、車載システム100から受信した状態情報に故障を示す情報が含まれるか否かを判定する。ステップS100にて、故障を検知したと判定されなかった場合、制御部20は車両管理処理を終了する。ステップS100にて故障を検知したと判定された場合、制御部20は故障検知部21aの機能により、第1車両の現在位置を取得する(ステップS105)。すなわち、制御部20は、故障を検知した車両の車載システムから送信された最新の車両位置を取得する。
【0047】
続いて、制御部20は、案内部21bの機能により、第1車両から既定距離以内に存在する車両(条件1)であって、上述の条件2,3を満たす車両の台数を取得する(ステップS110)。制御部20は、カーシェアリングサービスで提供される車両の現在位置とスケジュールに基づいて、現在利用中の車両であって、第1車両から既定距離以内に位置する車両(条件1)を特定する。さらに、制御部20は、条件1を満たす車両のうち、車種が第1車両の車種と同じ車両(条件2)を特定する。さらに、制御部20は、条件1,2を満たす車両のうち、第1利用者が第1車両の代替とする車両の利用を終了する時刻から、代替とする車両における次の予約(第3利用者が利用を開始する時刻)までの時間が既定時間以上である車両(条件3)を特定する。制御部20は、条件1~3を満たす車両の台数を取得する。
【0048】
続いて、制御部20は、ステップS110で特定した車両について1台ずつステップS115~S150の処理を実行する。すなわち条件1~3を満たす車両の台数分、S115~S150が繰り返し実行される。ステップS115では、制御部20は、案内部21bの機能により、処理対象の車両の目的地を取得する。すなわち、制御部20は、処理対象とする車両の車載システムに対して、設定されている目的地の送信を要求し、車載システムから送信された目的地の位置情報を取得する。
【0049】
続いて、制御部20は、案内部21bの機能により、目的地と第1車両との距離は既定距離以内であるか否かを判定する(ステップS120)。なおステップS110において採用される既定距離と、ステップS120において採用される既定距離は同じ値であってもよいし、異なっていても良い。
【0050】
ステップS120において、目的地と第1車両との距離が既定距離以内であると判定されなかった場合、制御部20は、案内部21bの機能により、処理対象の車両の移動履歴を、車両情報30bを参照して取得する(ステップS125)。なお、車載システムに目的地が設定されていない場合や、目的地が設定されていたとしても目的地と第1車両との距離が既定距離より大きい場合に、ステップS120においてN判定となる。
【0051】
続いて、制御部20は、案内部21bの機能により、処理対象の車両の移動方向Vを算出する(ステップS130)。続いて、制御部20は、案内部21bの機能により、処理対象の車両から第1車両の位置に向かう方向Vを算出する(ステップS135)。続いて、制御部20は、案内部21bの機能により、VとVのなす角度θ(図3を参照)が閾値以内であるか否かを判定する(ステップS140)。
【0052】
ステップS140においてVとVのなす角度が閾値以内である(条件4-2)と判定された場合、または、ステップS120において目的地と第1車両との距離は既定距離以内である(条件4-1)と判定された場合、制御部20は、案内部21bの機能により、処理対象の車両を代替候補車両(第2車両)として登録する(ステップS145)。
【0053】
ステップS145を実行後、または、ステップS140においてVとVのなす角度が閾値以内であると判定されなかった場合、制御部20は、案内部21bの機能により、全ての車両について処理済みであるか否かを判定する(ステップS150)。すなわち制御部20は、ステップS110において特定した車両の全てについてステップS115~S145の処理が終了したか否かを判定する。ステップS150において全ての車両について処理済みであると判定されなかった場合、制御部20は、次の処理対象の車両についてステップS115以降の処理を実行する。
【0054】
ステップS150において、処理済みであると判定された場合、制御部20は、代替候補車両(第2車両)として登録された各車両についてステップS155~S170の処理を実行する。ステップS155では、制御部20は、案内部21bの機能により、第1車両の位置にて車両の利用を終了可能であることを示す案内情報、代替候補車両(第2車両)の車載システム200に送信する。この案内情報を受信すると、第2車両の車載システム200は、例えば図4Aに示すような案内画面をユーザI/F部144の表示部に表示する。
【0055】
続いて、制御部20は、案内部21bの機能により、第2車両を利用中の第2利用者が承諾したか否かを判定する(ステップS160)。すなわち、第2利用者が第2車両の車載システム200のユーザI/F部144を操作して承諾または不承諾を入力すると、第2車両の車載システム200の制御部120が入力結果を車両管理システム10に送信する。車両管理システム10の制御部20は、第2車両の車載システム200から送信された入力結果に基づいて第2利用者が承諾したか否かを判定する。
【0056】
ステップS160において、承諾したと判定されなかった場合、制御部20は案内部21bの機能により、処理対象の車両を代替候補車両から除外する(ステップS165)。ステップS165実行後、またはステップS160にて承諾したと判定された場合、制御部20は、案内部21bの機能により、全ての代替候補車両に通知済みであるか否かを判定する(ステップS170)。すなわち乗り捨て案内を示す案内情報を全ての代替候補車両に送信し、承諾/不承諾の結果を取得済みであるか否かが判定される。ステップS170において、通知済みであると判定されなかった場合、ステップS155に戻る。
【0057】
ステップS170において通知済みであると判定された場合、制御部20は、案内部21bの機能により、代替候補車両があるか否かを判定する(ステップS175)。すなわち制御部20は、ステップS155~S170の処理において除外されずに代替候補車両として残存している代替候補車両の有無を判定する。
【0058】
ステップS175において代替候補車両があると判定されなかった場合、制御部20は、車両を手配し、手配車両を代替車両として登録する(ステップS195)。例えば、カーシェアリングサービスを提供する事業者における予備車両を代替車両とするように手配される。例えば、予備車両は当該事業者の作業員によって第1車両のステーションに移送される構成を採用してよい。
【0059】
ステップS175において、代替候補車両有りと判定された場合、制御部20は、案内部21bの機能により、代替候補車両は2台以上有るか否かを判定する(ステップS180)。ステップS180において2台以上と判定された場合、制御部20は、第1車両と代替候補車両との距離をそれぞれ算出する(ステップS185)。続いて、制御部20は、案内部21bの機能により、距離が最小となる代替候補車両を代替車両として登録する(ステップS190)。なお、代替車両として選択されなかった代替候補車両に対しては、第1ステーションでの利用終了ではなく、利用中の車両のステーション(当該車両を配備するステーション)にて予定通り利用を終了するように案内されてよい。なお、第1ステーションに空き駐車スペースが存在する場合、利用中の車両を第1ステーションにて利用終了してもよい旨を案内してもよい。
【0060】
ステップS180において2台以上であると判定されなかった場合、制御部20は1台の代替候補車両を代替車両として登録しステップS200を実行する。また、ステップS190を実行後、ステップS200を実行する。ステップS200では、制御部20は、案内部21bの機能により、第1車両のステーションを目的地とした経路を通知する。すなわち、制御部20は、代替車両の現在位置から第1車両に向かう経路を探索し、当該経路を示す経路情報を、代替車両の車載システム200に送信する。
【0061】
ステップS195を実行後、または、ステップS200を実行後に、制御部20は、案内部21bの機能により、第1利用者の携帯端末300に代替車両の案内情報を送信する(ステップS205)。この案内情報により、第1利用者は携帯端末300にて代替車両の情報を把握することができる。
【0062】
(6)他の実施形態:
以上の実施形態は本発明を実施するための一例であり、他にも種々の実施形態を採用可能である。例えば、車両管理システムは複数のサーバコンピュータによって構成されていてもよい。また、案内システムは、車両に備え付けられた装置であってもよいし、可搬型の装置(例えば利用者の携帯端末等)であってもよい。さらに、上述の実施形態の一部の構成が省略されてもよいし、処理の順序が変動または省略されてもよい。
【0063】
故障検知部は、カーシェアリングサービスの第1利用者が利用する第1車両の故障を検知することができればよい。故障は、カーシェアリングサービスを提供できない状態としてサービスの事業者等において予め決められた状態であり、故障を示す状態の具体的な態様は種々想定可能である。例えばバッテリに蓄積された電力が基準以下に低下した状態も故障状態として含んでも良い。
【0064】
また、故障は、第1利用者の前の利用者(図2Aを参照)が目視で把握し、当該利用者が自身の所有する携帯端末や車載システムを介して車両管理システムに故障を通知する構成が採用されてもよい。なお、もちろん、図2Bに示すように、第1利用者が利用開始時に目視確認により故障を把握し、当該利用者が自身の所有する携帯端末や車載システムを介して車両管理システムに通知する構成が採用されてもよい。
【0065】
また、カーシェアリングサービスの提供車両には振動センサや音センサ、加速度センサ、ドライブレコーダが備えられていても良く、車載システムはこれらのセンサ等からの出力に基づいて、故障を検知するように構成されていてもよい。例えば、これらのセンサ等からの出力が、車体に対する物体の接触や衝突等を示す典型的な出力パターンと合致した場合に、故障が発生したと判断する構成を採用してもよい。故障発生の有無は、車載システムにおいて行われても良いし、車載システムからこれらのセンサからの出力を取得した車両管理システムにおいて行われても良い。また、車両の電源オン、オフ時の他にも、例えば、ステーションに駐車中も故障発生の有無が判断されてもよい。また、車両の走行中に故障発生の有無が判断されてもよい。
【0066】
第1利用者は、故障が検知された車両の利用者であればよく、図2Aに示すように、予約時間前の利用予定者であってもよいし、図2Bに示すように予約時間中(利用中)の利用者であってもよい。
【0067】
案内部は、カーシェアリングサービスの利用者であって第1車両から既定距離以内に存在する第2車両を利用中の第2利用者に対して、第1車両の位置にて第2車両の利用を終了可能であることを案内することができればよい。上記実施形態においては、条件1~4を満たす車両を代替候補車両(第2車両)とする構成を採用しているが、単に条件1を満たす車両を第2車両とする構成を採用してもよい。また、条件1に組み合わされる条件は、条件2~4に限定されず、他の条件が組み合わされても良いし、条件2~4のいずれかが省略されてもよい。また、条件4-1と条件4-2は択一的ではなく両方満たすことを条件としてもよい。
【0068】
例えば、代替候補車両の利用者が車両の利用を開始してから間もない場合、利用終了予定時刻まで残り少ない場合と比較して、乗り捨てを承諾する可能性が低いと見なし、本来の利用終了時刻までの残り時間が予め決められた時間以下となっていることを条件として採用してもよい。
【0069】
また、移動履歴に基づいて第1車両の位置に近づくことが推定される車両は、当該車両の利用者がカーシェアリングサービスを過去に利用した際の移動履歴から第1車両の位置の既定距離内を基準以上の頻度で走行したことがある利用者が利用中の車両であるとする構成を採用してもよい。また例えば、利用者の利用者登録情報から利用者の生活圏内(自宅周辺やよく立ち寄る施設周辺等)を取得し、生活圏と第1車両から既定距離内の範囲が重複する場合に、当該利用者が利用中の車両を第1車両の位置に近づくことが推定される車両であると判断する構成を採用してもよい。
【0070】
また、上記実施形態においては、乗り捨て案内を実施した複数の代替候補車両の中から1台の代替車両を選択する状態になりえるが、条件を満たす複数の車両について1台ずつ乗り捨て案内を実施し、最初に乗り捨てを承諾した利用者の車両を代替車両として決定する構成を採用してもよい。その場合、複数の条件のうち満足する条件の数が多い順や、第1車両からの距離が近い順や、代替候補車両の次の予約(第3利用者による予約)までの時間が長い順や、車両クラスが近い順等のように、1台ずつ乗り捨て案内を実施し承諾/不承諾の意思を得る順序を決定してもよい。そのようにすることで、代替車両として好適な車両が代替車両として決定される可能性を高めることができる。代替候補車両の台数によってこれらの条件のうち採用する条件を変更してもよい。組み合わせる条件や、条件を緩和する順序などは適宜設計されてよい。
【0071】
なお例えば、代替車両において、第1利用者の本来の利用時間(予約時間)に基づいて、第1ステーションへの到着希望時刻が案内される構成を採用してもよい。例えば図2Aの場合、第1利用者の利用開始時刻t3よりも前に第1ステーションに到着することが望まれる旨を、乗り捨て案内画面(例えば図4Aの画面g1)において通知する構成を採用してもよい。また、図2Bの例の場合、第1利用者の利用開始時刻が経過しつつあることから、第1ステーションに直行することが望まれる旨を、乗り捨て案内画面において通知する構成が採用されてもよい。
【0072】
また、第2車両の利用を終了可能と案内する第1車両の位置は、第1車両が配備されている第1ステーションであってもよいし、第1車両の現在位置の近隣(例えば徒歩圏内)の第1ステーション以外の駐車場や駐車スペースであってもよい。故障検知時の第1車両の現在位置は、第1ステーション内である場合や、第1ステーション以外である場合を想定してよい。例えば、図2Aに示す時刻t0における故障が前の利用者が走行中に検知されたものであって、故障検知後、車両Mが走行不能(車両Mが配備されるステーションに戻ることができない状態)になった場合、案内部の機能によって第2利用者に対して案内される「第1車両の位置」は、車両Mの現在位置ではなく、車両Mを配備するステーションの位置であってよい。その結果、時刻t3から、第1利用者が車両Mのステーションから代替車両の車両Pを利用開始できうる。
【0073】
なお、案内部においては、第1車両からの距離が既定距離以内に存在する第2車両を選出するが、当該既定距離は、第1利用者の利用開始時刻までの時間が長いほど長い値を採用してもよい。例えば図2Aの例において、故障検知時刻t0から第1利用者の利用開始時刻t3までの時間が長いほど既定距離を大きく設定してもよい。このことによって、より多くの代替候補車両を選出できる可能性を高めることができ、図5のステップS195のように事業者が代替車両を手配する可能性を低減できる。
【0074】
さらに、本発明のように、カーシェアリングサービスの第1利用者が利用する第1車両の故障を検知すると、第1車両から既定距離以内に存在する第2車両を利用中の第2利用者に対して、第1車両の位置にて第2車両の利用を終了可能であることを案内する手法は、プログラムや方法としても適用可能である。また、以上のようなシステム、プログラム、方法は、単独の装置として実現される場合もあれば、車両に備えられる各部と共有の部品を利用して実現される場合もあり、各種の態様を含むものである。また、一部がソフトウェアであり一部がハードウェアであったりするなど、適宜、変更可能である。さらに、システムを制御するプログラムの記録媒体としても発明は成立する。むろん、そのプログラムの記録媒体は、磁気記録媒体であってもよいし半導体メモリであってもよいし、今後開発されるいかなる記録媒体においても全く同様に考えることができる。
【符号の説明】
【0075】
10…車両管理システム、20…制御部、21…車両管理プログラム、21a…故障検知部、21b…案内部、30…記録媒体、30a…地図情報、30b…車両情報、40…通信部、100…車載システム、200…車載システム(案内システム)、120…制御部、121a…車両位置取得部、121b…車両状態取得部、121c…案内実行部、130…記録媒体、130a…地図情報、130b…移動履歴情報、140…通信部、141…GNSS受信部、142…車速センサ、143…ジャイロセンサ、144…ユーザI/F部、300…携帯端末
図1
図2
図3
図4
図5