(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158076
(43)【公開日】2022-10-14
(54)【発明の名称】仮組構造、連結手段およびインバート施工方法
(51)【国際特許分類】
E21D 11/08 20060101AFI20221006BHJP
【FI】
E21D11/08
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021062711
(22)【出願日】2021-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000206211
【氏名又は名称】大成建設株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤上 晋
(72)【発明者】
【氏名】田中 敦
【テーマコード(参考)】
2D155
【Fターム(参考)】
2D155BA01
2D155CA08
2D155GB01
2D155GC02
(57)【要約】
【課題】一対のプレキャスト部材の輸送から位置決めまでの作業の手間を低減するための仮組構造および連結手段と、これを使用したインバート施工方法を提案する。
【解決手段】仮組構造8は、間隔をあけて配設された一対のインバートブロック3,3と、インバートブロック3同士を連結する連結手段7と、インバートブロック3同士の間に横架されたサポート部材5とを備えている。インバートブロック3には、複数のインサート31が埋め込まれており、連結手段7は、インサート31に締結されたボルトを介してインバートブロック3の上面に固定されている。また、サポート部材5は、インバートブロック3同士の対向する面の下部において、インバートブロック3間に横架されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
間隔をあけて配設された一対のプレキャスト部材と、
前記プレキャスト部材同士を連結する連結手段と、
前記プレキャスト部材同士の間に横架されたサポート部材と、を備える仮組構造であって、
前記プレキャスト部材には、当該プレキャスト部材の上面に開口するインサートが埋め込まれており、
前記連結手段は、前記インサートに締結されたボルトを介して前記プレキャスト部材の上面に固定されていて、
前記サポート部材は、前記プレキャスト部材同士の対向する面の下部において、前記プレキャスト部材間に横架されていることを特徴とする、仮組構造。
【請求項2】
前記連結手段の上面に、複数の凸部が間隔をあけて形成されており、
前記凸部の上端の高さは、前記プレキャスト部材の下面形状に応じた高さに設定されていることを特徴とする、請求項1に記載の仮組構造。
【請求項3】
前記連結手段は、一対の前記プレキャスト部材の間に横架された複数の第一部材と、複数の前記第一部材同士を連結する複数の第二部材とにより、平面視井桁状を呈していることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の仮組構造。
【請求項4】
複数のプレキャスト部材を連結する連結手段であって、
前記プレキャスト部材同士の間に横架された複数の第一部材と、
前記第一部材同士を連結する複数の第二部材と、により平面視井桁状を呈しており、
前記第一部材上面には、前記プレキャスト部材の底面形状に応じた高さを有する複数の凸部が形成されていることを特徴とする、連結手段。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の仮組構造を利用したインバート施工方法であって、
前記連結手段を吊持して、前記プレキャスト部材であるインバートブロックを所定の位置まで輸送する作業と、
前記インバートブロックを所定の位置に載置する作業と、
前記インバートブロック同士の隙間にコンクリートを打設する作業と、
前記連結手段を撤去する作業と、を備えていることを特徴とするインバート施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、仮組構造、連結手段およびインバート施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シールドトンネルのインバートは、現場打ちコンクリートを打設することにより形成するのが一般的である。しかしながら、トンネル坑内におけるコンクリート打設は、コンクリート輸送管の配管作業やコンクリートの養生等に手間や時間がかかる。そのため、プレキャストコンクリート製のインバートブロックを使用することで、施工時の手間の低減化を図る場合がある。
例えば特許文献1には、トンネル周方向(断面方向)に対して複数に分割されたインバートブロックを、トンネル内に設置することでインバートを形成する施工方法が開示されている。
ところが、従来のインバート施工方法では、一つのリング毎に複数のインバートブロックを個別に輸送するため、輸送に手間がかかる。また、各インバートブロックは、個別に位置決めを行う必要があり、位置決めにも手間がかかる。すなわち、仮置きしてから位置合わせを行う必要があり、また、位置決めにはインバートブロックの吊り上げおよび吊り下しの作業を複数回行う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、一対のプレキャスト部材の輸送から位置決めまでの作業の手間を低減するための仮組構造および連結手段と、これを使用したインバート施工方法を提案することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するための本発明の仮組構造は、間隔をあけて配設された一対のプレキャスト部材と、前記プレキャスト部材同士を連結する連結手段と、前記プレキャスト部材同士の間に横架されたサポート部材とを備えている。前記プレキャスト部材には当該プレキャスト部材の上面に開口するインサートが埋め込まれており、前記連結手段は前記インサートに締結されたボルトを介して前記プレキャスト部材の上面に固定されていて、前記サポート部材は前記プレキャスト部材同士の対向する面の下部において前記プレキャスト部材間に横架されている。
かかる仮組構造によれば、連結手段およびサポート部材により一対のプレキャスト部材同士が仮組みされており、連結手段を吊持することで、一対のプレキャスト部材を組み合わせた状態で輸送できるため、プレキャスト部材を個別に輸送する場合に比べて、輸送や位置決めに要する手間を低減できる。また、プレキャスト部材同士の間にサポート部材が横架されているため、吊り上げた際にプレキャスト部材同士の間隔が変化せず、所定の位置関係を保持した状態で輸送することができ、その結果、プレキャスト部材の位置決めが容易となる。
【0006】
なお、前記連結手段の上面に、上端の高さが前記プレキャスト部材の下面形状に応じた高さに設定されている複数の凸部が間隔をあけて形成されていれば、仮組された他のプレキャスト部材を積み上げることができる。そのため、仮置きする際の用地を最小限に抑えることができ、また、工場等から車両などにより輸送する際にも、重ねた状態で輸送できる。
また、前記連結手段は、一対の前記プレキャスト部材の間に横架された複数の第一部材と、複数の前記第一部材同士を連結する複数の第二部材とにより、平面視井桁状を呈しているのが望ましい。かかる連結手段によれば、吊り上げる際の強度を確保できるとともに、バランスよくプレキャスト部材を吊持できる。
【0007】
また、本発明の連結手段は、複数のプレキャスト部材を連結するものであって、プレキャスト部材同士の間に横架された複数の第一部材と、第一部材同士を連結する複数の第二部材とにより平面視井桁状を呈しており、第一部材の上面にはプレキャスト部材の底面形状に応じた高さを有した凸部が形成されている。
かかる連結手段は、プレキャスト部材同士を連結した状態で輸送するための吊具として機能し、また、プレキャスト部材同士の位置関係を決定するための位置決め用の定規としても機能する。また、連結手段は、井桁状に形成されているため、プレキャスト部材を吊持するために必要な強度を確保しつつ、バランスよくプレキャスト部材を支持することができる。さらに、凸部により、他のプレキャスト部材を上載することが可能である。
【0008】
さらに、本発明のインバート施工方法は、請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の仮組構造を利用したインバート施工方法であって、前記連結手段を吊持して前記プレキャスト部材であるインバートブロックを所定の位置まで輸送する作業と、前記インバートブロックを所定の位置に載置する作業と、前記インバートブロック同士の隙間にコンクリートを打設する作業と、前記連結手段を撤去する作業とを備えている。
かかるインバート施工方法によれば、連結手段を使用することで、インバートブロックの移送、設置および位置決めを容易に行うことができる。また、プレキャスト部材であるインバートブロックを使用しているため、現場でのコンクリート打設量を最小限に抑え、コンクリート打設に要する手間を低減できる。
【発明の効果】
【0009】
本発明の仮組構造、連結手段およびこれを使用したインバート施工方法によれば、一対のプレキャスト部材の輸送から位置決めまでの作業を簡易かつ効率的に行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図2】インバートブロックの設置状況を示す拡大断面図である。
【
図3】インバートブロックの設置状況を示す平面図である。
【
図4】サポート部材を示す図であって、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は側面図である。
【
図5】連結金具を示す図であって、(a)は側面図、(b)は正面図である。
【
図6】仮組構造を示す図であって、(a)は正面図、(b)は側面図である。
【
図7】連結手段を示す図であって、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本実施形態では、
図1に示すように、地山Gを掘削するとともにセグメント1を組み立てることにより形成されたトンネルTの底部にインバート2を形成する場合について説明する。
図1は、本実施形態のトンネルTを示す断面図である。本実施形態のインバート2は、左右に並設した一対のインバートブロック3,3をトンネル軸方向に連設することにより形成する。インバートブロック3は、コンクリート製のプレキャスト部材である。
図2に本実施形態のインバートブロック3の拡大断面図、
図3にインバートブロック3の平面図を示す。
図2および
図3に示すように、一対のインバートブロック3,3は、間隔をあけて対向している。一対のインバートブロック3,3の間には、サポート部材5が介設されている。サポート部材5は、インバートブロック3のトンネル軸方向端部において、左右のインバートブロック3,3に横架されている。
【0012】
インバートブロック3には、上面に開口する複数のインサート31が設けられている。
図3に示すように、本実施形態にインバートブロック3には、二つ一組のインサート31,31がインバートブロック3の前後左右の4箇所に形成されている。
また、
図2に示すように、インバートブロック3のトンネル中央側の側面(他のインバートブロック3側の側面)にも、上下2段のインサート31が開口している。
図3に示すように、インバートブロック3の側面には、インバートブロック3のトンネル軸方向両端部において、それぞれ2カ所ずつインサート31,31が設けられている。すなわち、インバートブロック3の側面には、合計8個のインサート31,31,…が設けられている。
【0013】
図2に示すように、サポート部材5は、インバートブロック3同士の対向する面の下部において、インバートブロック3同士の間に横架されている。本実施形態のサポート部材5は、
図4に示すように、インバートブロック3同士の間に横架される本体部51と、本体部51両端部に固定された取付部52と、インバートブロック3のインサート31に螺合されるボルト53とからなる。本体部51は、アングル材等の鋼材からなる。取付部52は、鋼板からなり、ボルト53を挿通するための貫通孔54が形成されている。ボルト53は、インバートブロック3の側面に形成されたインサート31に螺合される。サポート部材5の長さ(本体部51の長さに両端の取付部52,52の厚さを加えた長さ)は、インバートブロック3を所定の位置に設置した際の間隔の大きさと同じとする。
【0014】
インバート2は、
図3に示すように、インバートブロック3をトンネル軸方向に連設することにより形成する。トンネル軸方向に隣合うインバートブロック3,3は、連結金具6により連結する。
図5に連結金具6を示す。
図5(a)および(b)に示すように、連結金具6は、例えば溝形鋼等の鋼材からなる。連結金具6の両端部には、インバートブロック3の側面に形成されたインサート31に対応して、上下二段の貫通孔61,62が形成されている。一方の端部に形成された貫通孔61は円形を呈しており、他方の端部に形成された貫通孔62は、連結金具6の長手方向(トンネル軸方向)に長い長孔状を呈している。連結金具6は、トンネル軸方向に隣り合うインバートブロック3,3の突き合わせ部にまたがって配設した状態で、貫通孔61,62を挿通させたボルトをインサート31に螺合することにより、両インバートブロック3,3の側面に固定する。連結金具6の一方の貫通孔62が長孔であるため、隣り合うインバートブロック3,3にトンネル軸方向のズレが生じている場合であっても、連結することができる。
なお、本実施形態のインバートブロック3のトンネル軸方向端面には、トンネル軸方向に隣接する他のインバートブロック3と連結するための複数のジョイント32,32が形成されている。
【0015】
インバート2の施工は、インバートブロック3を所定の位置まで輸送する作業と、インバートブロック3を所定の位置に載置する作業と、インバートブロック3同士の隙間にコンクリート4を打設する作業を行う。
インバートブロック3を輸送して所定の位置に設置する際には、
図6(a)および(b)に示すように、インバートブロック3に連結手段7を固定した状態で、連結手段7を吊持することにより行う。
図6は、インバートブロック3に連結手段7が取り付けられた状態(仮組構造8)を示す図である。
図6(a)に示すように、連結手段7は、間隔をあけて配設された一対のインバートブロック3,3を連結するものである。連結手段7は、インバートブロック3,3の間隔がトンネル坑内に配設した際の間隔と同じになるように、一対のインバートブロック3,3の上面に取り付ける。このとき、インバートブロック3同士の間には、サポート部材5を横架する。一対のインバートブロック3,3は、連結手段7およびサポート部材5が設けられた仮組構造8の状態で輸送および載置する。
【0016】
連結手段7は、
図7(a)に示すように、一対のインバートブロック3,3(
図6参照)に横架される一対の第一部材71,71と、第一部材71同士を連結する複数(本実施形態では3つ)の第二部材72,72,72とにより平面視井桁状を呈している。
第一部材71は、直線状の鋼材(本実施形態では角鋼管)からなる。一対の第一部材71,71は、平行である。第一部材71は、
図6(a)に示すように、一対のインバートブロック3,3に取り付けた状態で、両端がインバートブロック3の外側の端部よりも内側に位置する長さを有している。
図7(b)に示すように、第一部材71の底部には、取付板77が固定されている。取付板77は、インバートブロック3の上面に開口するインサート31の位置に応じた位置に固定されていて、
図7(a)に示すように、連結手段7の外側(他の第一部材71と反対側の側面)に張り出している。取付板77の第一部材71から張り出した部分には貫通孔77aが形成されている。第一部材71(連結手段7)は、取付板77の貫通孔77aを貫通してインサート31に螺合したボルトにより、インバートブロック3の上面に固定する(
図6参照)。なお、
図7(b)に示すように、第一部材71の中央側に設けられた取付板77は、第一部材71の両端部に設けられた取付板77よりも低い位置に配設されている。すなわち、連結手段7を取り付けるインバートブロック3の上面の傾斜に応じて取付板77の高さ位置を設定する。また、取付板77の上面と第一部材71の側面との角部には、補強材として一対の縦リブ77b,77bが固定されている。
【0017】
第二部材72は、鋼材(本実施形態では角鋼管)からなり、
図7(a)に示すように、第一部材71同士を連結している。本実施形態の第二部材72は、第一部材71に対して直交しているが、第二部材72は、第一部材71に対して傾斜していてもよい。本実施形態の第二部材72は、一対の第一部材71,71の間に介設されているが、第二部材72は一対の第一部材71,71の上面または下面に横架してもよい。
【0018】
図7(a)および(b)に示すように、第一部材71の上面には、複数(本実施形態では4つ)の凸部73、73,…が間隔をあけて形成されている。凸部73の上端の高さは、インバートブロック3の下面形状に応じた高さに設定されている。すなわち、内側に配設された凸部73aと外側に配設された凸部73bは、弧状のセグメント1上に設置されるインバートブロック3の下面形状に応じて段差を有している。また、凸部73の上面は、インバートブロック3の下面形状に応じて、内側に向かうにしたがって高さが低くなるように傾斜を有している。凸部73は、一対の第一部材71,71上を横架するように、トンネル軸方向に沿って延設されている。凸部73は、各インバートブロック3の上方に二か所ずつ形成されている。インバートブロック3の上方において隣り合う凸部73同士の間には、一対の横鋼材74,74が横架されている。横鋼材74は、角鋼管からなり、一対の凸部73,73を連結している。また、横鋼材74には、係止金物75が取り付けられている。本実施形態では、連結手段7の前後左右に4つの係止金物75が設けられている。係止金物75は、連結手段7を吊持する際に、フックなどを係止するための部材である。本実施形態の横鋼材74同士の間には、縦鋼材76が横架されている。本実施形態の縦鋼材76は、角鋼管からなり、一対の横鋼材74,74を連結している。
【0019】
インバートブロック3は、
図8に示すように、工場等により、連結手段7を取り付けた仮組構造8の状態で、作業現場に搬入する。このとき、仮組構造8の連結手段7(凸部73)に他の仮組構造8を上載することで、複数の仮組構造8を積み重ねることができる。また、最下段の仮組構造8の下には、当該仮組構造8を支持する連結手段7を配設しておく。。
現場内に搬入した仮組構造8は、輸送時と同様に、複数の仮組構造8を積み重ねた場外で仮置きする。
【0020】
トンネルT坑内において、インバートブロック3,3を所定の位置に輸送して、設置する際には、クレーンなどを利用して、連結手段7を吊持した状態で行う。クレーンなどの揚重手段から延びるワイヤーW等は、
図6(a)に示すように、係止金物75に係止する。インバートブロック3を所定の位置に配設したら、インバートブロック3同士の間にコンクリート4を打設する(
図1参照)。
コンクリート4の養生を行い、所定の強度が発現したら、連結手段7をインバートブロック3から撤去する。なお、連結手段7は、コンクリート4の打設前に撤去してもよく、連結手段7を撤去するタイミングは限定されない。
【0021】
本実施形態のインバート2の施工方法によれば、インバートブロック3を使用しているため、現場でのコンクリート打設量を最小限に抑え、コンクリート打設に要する手間を低減できる。
また、インバートブロック3を連結手段7およびサポート部材5により仮組みした仮組構造8として、輸送するため、インバートブロック3を個別に輸送する場合に比べて、輸送や位置決めに要する手間を低減できる。仮組構造8を吊持する際は、連結手段7を吊持するため、インバートブロック3への負担を低減できる。また、インバートブロック3同士の間にサポート部材5が横架されているため、吊り上げた際にインバートブロック3同士の間隔が変化せず、所定の位置関係を保持した状態で輸送することができ、その結果、インバートブロック3の位置決めが容易となる。
【0022】
また、連結手段7には、インバートブロック3の底面形状に応じた形状の凸部73が形成されているため、仮組構造8を積み上げることができる。そのため、仮組構造8を保管するための用地の省スペース化が可能となる。また、複数の仮組構造8を重ねた状態で輸送することで、輸送コストの低減化を図ることができる。積み上げられた仮組構造8は、複数の凸部73により保持されているため、振動などのよるズレが生じ難い。
また、連結手段7は、一対のインバートブロック3,3の間に横架された複数の第一部材71と、複数の前記第一部材同士を連結する複数の第二部材とにより、平面視井桁状を呈しているため、吊り上げる際の強度を確保しつつ、バランスよくインバートブロック3を吊持できる。
また、連結手段7は、一対のインバートブロック3を、所定の間隔をあけた状態で連結するため、吊具として機能するとともに、インバートブロック3同士の位置関係を決定するための位置決め用の定規としても機能する。そのため、一対のインバートブロック3,3を同時に所定の位置に接地することができ、インバートブロック3の位置決め時の手間の低減化を図ることができる。
撤去後の連結手段7を他の仮組構造8(インバートブロック3)に転用することで、コスト低減化を図ることができる。
【0023】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前述の実施形態に限られず、前記の各構成要素については本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
前記実施形態では、一対のインバートブロック3を輸送および設置するために連結手段7を使用する場合について説明したが、仮組構造8を構成するプレキャスト部材はインバートブロックに限定されるものではない。また、仮組構造8を構成するプレキャスト部材の数は2つに限定されるものではなく、3つ以上であってもよい。
前記実施形態では、第二部材72と凸部73とを個別に設けたが、凸部73は、第二部材72に一体に形成されていてもよい。
前記実施形態では、インバートブロック3の上面の傾斜に応じて中央の取付板77の高さ位置をその他の取付板77の高さ位置よりも低くしたが、取付板77の高さ位置は連結手段7を設置する部材または場所に応じて決定すればよく、連結手段7の設置箇所が平坦な場合には、複数の取付板77の高さ位置は一定とする。
サポート部材5は、コンクリート4打設前に撤去してもよい。
コンクリート4の打設高さ(上面の高さ)は、インバートブロック3の上端高さと異なってもよい。コンクリート4の打設高さをインバートブロック3の上面よりも低くすることで、水路として利用することができる。
サポート部材5,連結金具6および連結手段7は、伸縮機能を備えていてもよい。サポート部材5,連結金具6および連結手段7が伸縮可能であれば、インバートブロック3同士を連結(一体化)する際や位置決め時等における微調整が可能となる。
【符号の説明】
【0024】
1 セグメント
2 インバート
3 インバートブロック(プレキャスト部材)
31 インサート
4 コンクリート
5 サポート部材
6 連結金具
7 連結手段
71 第一部材
72 第二部材
73 凸部
8 仮組構造
T トンネル