(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158103
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】冷却システム
(51)【国際特許分類】
F28D 15/02 20060101AFI20221006BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20221006BHJP
F28F 1/00 20060101ALI20221006BHJP
F28F 1/06 20060101ALI20221006BHJP
G06F 1/20 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
F28D15/02 D
H05K7/20 Q
F28D15/02 102H
F28D15/02 101L
F28F1/00 E
F28F1/06
G06F1/20 A
G06F1/20 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】27
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021062776
(22)【出願日】2021-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】原 伸英
(72)【発明者】
【氏名】大谷 雄一
(72)【発明者】
【氏名】内田 澄生
(72)【発明者】
【氏名】鈴田 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】北本 博子
(72)【発明者】
【氏名】林 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】今井 篤史
【テーマコード(参考)】
5E322
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA05
5E322AA10
5E322BA03
5E322BB03
5E322DB02
5E322DB04
5E322DB06
5E322DB07
5E322DB09
5E322DB10
5E322FA01
5E322FA04
(57)【要約】
【課題】冷却効率を向上させることができる冷却システムを提供する。
【解決手段】発熱体から熱を除去する冷媒を、閉空間とされた内部に収容する冷媒槽と、 冷媒槽から該冷媒槽の外方に延在するように複数が配列されているとともに、それぞれの内部に作動流体としての冷媒が移動可能な通路が形成された複数のヒートパイプと、冷媒槽の外部で複数のヒートパイプに対してこれらヒートパイプの配列方向に送風する送風ファンと、を備え、各ヒートパイプの延在方向に直交する断面形状が、送風方向を長手方向とするとともに、該送風方向の上流側を前縁とし下流側を後縁とする偏平状をなしている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発熱体から熱を除去する冷媒を、閉空間とされた内部に収容する冷媒槽と、
前記冷媒槽から該冷媒槽の外方に延在するように複数が配列されているとともに、それぞれの内部に作動流体としての冷媒が移動可能な通路が形成された複数のヒートパイプと、
前記冷媒槽の外部で複数の前記ヒートパイプに対してこれらヒートパイプの配列方向に送風する送風ファンと、
を備え、
各前記ヒートパイプの延在方向に直交する断面形状が、前記送風ファンの送風方向を長手方向とするとともに、該送風方向の上流側を前縁とし下流側を後縁とする偏平状をなしている冷却システム。
【請求項2】
複数の前記ヒートパイプは、前記送風方向の上流側よりも下流側の方が疎となるように配列されている請求項1に記載の冷却システム。
【請求項3】
前記冷媒槽の外部で複数の前記ヒートパイプの延在方向に直交する方向に延びて、これらヒートパイプが貫通する貫通孔を有する板状フィンをさらに備え、
前記ヒートパイプの前記前縁は、前記板状フィンの前記貫通孔の内周縁部と接触しており、
前記ヒートパイプの前記後縁は、前記板状フィンの前記貫通孔の内周縁部との間に隙間を介している請求項1又は2に記載の冷却システム。
【請求項4】
前記ヒートパイプは、該ヒートパイプ内の前記通路を、前記上流側の前縁側通路と、前記下流側の後縁側通路とに隔てる仕切り部をさらに有する請求項1から3のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項5】
前記ヒートパイプは、前記冷媒槽の内方側の端部が前記冷媒槽内に連通しているとともに、
前記冷媒槽内の前記冷媒と、前記ヒートパイプ内の前記冷媒とが同一である請求項1から4のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項6】
前記ヒートパイプは、前記冷媒槽の内方側の端部が閉塞されているとともに、前記冷媒槽の内部まで延びて前記冷媒に浸漬されており、
前記冷媒槽の内部の冷媒は、第一の冷媒であって、
前記ヒートパイプの内部の冷媒は第二の冷媒である請求項1から4のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項7】
室内と室外とを区画する外壁と、
前記室内に配置されて、発熱体から熱を除去する冷媒を閉空間とされた内部に収容する冷媒槽と、
前記室外に配置された熱交換器と、
前記冷媒槽内で蒸発して気相となった作動流体としての前記冷媒を前記熱交換器に導く気相管と、
前記熱交換器で気相から液相となった作動流体としての前記冷媒を前記冷媒槽に導く液相管と、
を備える冷却システム。
【請求項8】
前記外壁の外面とともに、下方から上方に抜けるダクト通路を形成するダクト形成部をさらに備え、
前記熱交換器は、前記ダクト通路内に設けられている請求項7に記載の冷却システム。
【請求項9】
前記熱交換器は、前記外壁の外面に沿うように一体に設けられている請求項7又は8に記載の冷却システム。
【請求項10】
前記冷媒槽内で前記冷媒に浸漬されるように配置されて、前記発熱体からの熱を伝達される放熱体と、
前記放熱体の放熱面から前記冷媒への熱伝達を促進させる熱伝達促進部と、
をさらに備える請求項1から9のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項11】
発熱体から熱を除去する冷媒を閉空間とされた内部に収容する冷媒槽と、
前記冷媒槽内で前記冷媒に浸漬されて、前記発熱体からの熱が伝達される放熱体と、
前記放熱体の放熱面から前記冷媒への熱伝達を促進させる熱伝達促進部と、
を備える冷却システム。
【請求項12】
前記熱伝達促進部は、
前記放熱体の放熱面に、超音波を照射する超音波発生器を含む請求項10又は11に記載の冷却システム。
【請求項13】
前記熱伝達促進部は、
前記放熱体の放熱面に、前記冷媒によるジェット噴流を噴射するジェット噴射器を含む請求項10から12のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項14】
前記熱伝達促進部は、
前記放熱体の放熱面に前記ジェット噴流の流通方向に延びる流路を形成する流路形成部をさらに含む請求項13に記載の冷却システム。
【請求項15】
前記熱伝達促進部は、
前記放熱体の放熱面に、前記冷媒による旋回流を発生させる旋回流発生器を含む請求項10から14のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項16】
前記熱伝達促進部は、
前記放熱体の放熱面に設けられて、該放熱体よりも熱伝導率の高いバインダを含む請求項10から15のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項17】
前記熱伝達促進部は、
前記放熱体の放熱面から突出するように設けられた放熱フィンを含む請求項10から15のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項18】
上下方向に直線状に延びて内側が空気通路とされた複数の伝熱管を有し、これら伝熱管が互いに間隔をあけて束ねられることで前記伝熱管同士の間に冷媒通路が形成された伝熱管群、各前記伝熱管の両端が外部に開口するように前記伝熱管群を覆うケーシング、及び、前記ケーシング内に冷媒を供給する冷媒供給部、及び、前記ケーシング内から冷媒を排出する冷媒排出部を有する熱交換部と、
前記熱交換部の下方に設けられて、前記伝熱管群に対して下方から送風する送風部と、
を備える冷却システム。
【請求項19】
前記伝熱管は、該伝熱管の内周面から突出して上下方向に延びる内面フィンを有する請求項18に記載の冷却システム。
【請求項20】
前記ケーシングは、
前記伝熱管群を外周側から囲う筒部と、
前記筒部の上部で該筒部を外周側から囲う環状をなして、前記冷媒供給部と前記冷媒排出部とのうちの一方が設けられた上部ヘッダと、
前記筒部の下部で該筒部を外周側から囲う環状をなして、前記冷媒供給部と前記冷媒排出部とのうちの他方が設けられた下部ヘッダと、
前記筒部は、
前記上部ヘッダ内の空間と前記筒部内の空間とを連通させるとともに周方向に間隔をあけて複数が形成された上部連通孔と、
前記下部ヘッダ内の空間と前記筒部内の空間とを連通させるとともに周方向に間隔をあけて複数が形成された下部連通孔と、
を有する請求項18又は19に記載の冷却システム。
【請求項21】
前記熱交換部は、
前記冷媒通路内で前記伝熱管の外周面水平方向に所定の間隔をあけて水平方向に延びる抵抗体をさらに有する請求項18から20のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項22】
前記抵抗体は、前記熱交換部の径方向外側から内側に向かうにしたがって、前記伝熱管との間の間隔が大きくなるように形成されている請求項21に記載の冷却システム。
【請求項23】
前記熱交換部は、前記ケーシングの内面と前記伝熱管群の最外面との間の空間を閉塞する閉塞部をさらに備える請求項18から22のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項24】
前記送風部は、
上下方向に延びる軸線回りに回転可能な羽根車と、
該羽根車の下方に配置されて該羽根車を回転駆動させる駆動部と、
を有し、
前記羽根車を外周側から囲うように上下方向に延びる筒状をなして内側が空気の流路とされるとともに、上端が前記熱交換部の下端に接続された上部ハウジングと、
前記駆動部を外周側から覆いながら上方に向かうにしたがって縮径する内側環状壁、及び、前記内側環状壁を外周側から覆いながらに上方に向かうにしたがって縮径するとともに前記内側環状壁とともに前記羽根車への空気の導入流路を形成する外側環状壁を有する下部ハウジングと、
をさらに備える請求項18から23のいずれか一項に記載の冷却システム。
【請求項25】
前記上部ハウジング及び前記下部ハウジングの少なくとも一方の一部が、吸音材によって形成されている請求項24に記載の冷却システム。
【請求項26】
前記上部ハウジング内の空気の流路に設けられて、上下方向に貫通する整流孔が水平方向に複数配列されている整流体をさらに備える請求項24又は25に記載の冷却システム。
【請求項27】
前記上部ハウジング内の空気の流路に水を供給する水供給部をさらに備える請求項24から26のいずれか一項に記載の冷却システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、冷却システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、作動液によって電子機器を冷却し、蒸発した作動液をヒートパイプで冷却する冷却システムが開示されている。
特許文献2には、電子機器を冷媒内に浸漬し、蒸発した冷媒をフィンを介して冷却する冷却システムが開示されている。
特許文献3には、電子機器を冷媒に浸漬して冷却するとともに該冷媒をヒートパイプで冷却する冷却システムが開示されている。
【0003】
特許文献4には、電子機器を冷媒で冷却し、蒸発した冷媒をヒートパイプで移送して冷却・凝縮する冷却システムが開示されている。
特許文献5には、電子機器を冷媒に浸漬し、蒸発した冷媒を冷却管で凝縮する冷却システムが開示されている。
特許文献6には、コンピュータにヒートパイプを接続し、蒸発したヒートパイプ内の作動流体を煙突下部の熱交換器で冷却する冷却システムが開示されている。
【0004】
特許文献7には、サーバを冷却する一次冷媒を二次冷媒によって冷却し、当該二次冷媒を外気と熱交換をして冷却する冷却システムが開示されている。
特許文献8には、空気と冷媒との流れ方向を同一とした熱交換器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平6-21279号公報
【特許文献2】特開2016-54248号公報
【特許文献3】特開2018-88433号公報
【特許文献4】国際公開第2015/128951号
【特許文献5】特表2019-516195号公報
【特許文献6】特許第5797758号公報
【特許文献7】特開2020-136335号公報
【特許文献8】特許第4347990号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、近年電子機器の発熱密度が増加しており、冷却効率をさらに向上させることが望まれている。
さらに、蒸発した冷媒を冷却・凝縮に適した場所まで移送する際には、ポンプ等の外部のエネルギーを使用せずに移送できることが省エネルギーの観点から好ましい。
また、電子機器の発熱密度が高い場合、冷媒と電子機器との接触箇所では、冷媒による上記の膜が形成され、熱の除去能力が低下してしまうという問題があった。
さらに、蒸発した冷媒を冷却する機器については、メンテナンスが容易であることが好ましい。
【0007】
本開示は上記課題を解決するためになされたものであって、冷却効率を向上させることができる冷却システムを提供することを第一の目的とする。
また本開示は、冷媒の移送に際して省エネルギーを実現できる冷却システムを提供することを第二の目的とする。
さらに本開示は、冷媒による発熱体からの熱の除去能力を高く維持することができる冷却システムを提供することを第三の目的とする。
さらに本開示は、メンテナンス性の高い冷却システムを提供することを第四の目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本開示の第一の態様に係る冷却システムは、発熱体から熱を除去する冷媒を、閉空間とされた内部に収容する冷媒槽と、前記冷媒槽から該冷媒槽の外方に延在するように複数が配列されているとともに、それぞれの内部に作動流体としての冷媒が移動可能な通路が形成された複数のヒートパイプと、前記冷媒槽の外部で複数の前記ヒートパイプに対してこれらヒートパイプの配列方向に送風する送風ファンと、を備え、各前記ヒートパイプの延在方向に直交する断面形状が、前記送風方向を長手方向とするとともに、該送風方向の上流側を前縁とし下流側を後縁とする偏平状をなしている。
【0009】
また、本開示の第二の態様に係る冷却システムは、室内と室外とを区画する外壁と、前記室内に配置されて、発熱体から熱を除去する冷媒を閉空間とされた内部に収容する冷媒槽と、前記室外に配置された熱交換器と、前記冷媒槽内で蒸発して気相となった作動流体としての前記冷媒を前記熱交換器に導く気相管と、前記熱交換器で気相から液相となった作動流体としての前記冷媒を前記冷媒槽に導く液相管と、を備える。
【0010】
さらに、本開示の第三の態様に係る冷却システムは、発熱体から熱を除去する冷媒を閉空間とされた内部に収容する冷媒槽と、前記冷媒槽内で前記冷媒に浸漬されて、前記発熱体からの熱が伝達される放熱体と、前記放熱体の放熱面への前記冷媒の蒸気膜の付着を阻害する蒸気膜除去部と、を備える。
【0011】
また、本開示の第四の態様に係る冷却システムは、上下方向に直線状に延びて内側が空気通路とされた複数の伝熱管を有し、これら伝熱管が互いに間隔をあけて束ねられることで前記伝熱管同士の間に冷媒通路が形成された伝熱管群、各前記伝熱管の両端が外部に開口するように前記伝熱管群を覆うケーシング、及び、前記ケーシング内に冷媒を供給する冷媒供給部、及び、前記ケーシング内から冷媒を排出する冷媒排出部を有する熱交換部と、前記熱交換部の下方に設けられて、前記伝熱管群に対して下方から送風する送風部と、を備える。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、冷却効率を向上させることができる冷却システムを提供することを第一の目的とする。
また本開示によれば、冷媒の移送に際して省エネルギーを実現することができる。
さらに本開示によれば、冷媒による発熱体からの熱の除去能力を高く維持することができる。
さらに本開示によれば、メンテナンス性の高い冷却システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本開示の第一実施形態に係る第一冷却システムの全体構成を示す縦断面図である。
【
図2】本開示の第一実施形態に係る第一冷却システムにおけるヒートパイプ群の模式的な水平断面図である。
【
図3】本開示の第一実施形態に係る第一冷却システムにおけるヒートパイプの水平断面図であって、ファンによる空気の流れ及びヒートパイプ内の冷媒の流れを説明する図である。
【
図4】本開示の第一実施形態に係る第一冷却システムにおけるヒートパイプの縦断面図であって、冷媒の流れを説明する図である。
【
図5】本開示の第一実施形態の第一変形例のヒートパイプ群の模式的な水平断面図である。
【
図6】本開示の第一実施形態の第二変形例のヒートパイプの水平断面図である。
【
図7】本開示の第一実施形態の第三変形例のヒートパイプの縦断面図である。
【
図8】本開示の第一実施形態の第四変形例の全体構成を示す縦断面図である。
【
図9】本開示の第二実施形態に係る第二冷却システムの模式的な全体構成図である。
【
図10】本開示の第二実施形態の第一変形例の模式的な全体構成図である。
【
図11】本開示の第二実施形態の第一変形例の熱交換器の構成を示す図である。
【
図12】本開示の第二実施形態の第二変形例の模式的な全体構成図である。
【
図13】本開示の第三実施形態に係る第三冷却システムの模式的な全体構成図である。
【
図14】本開示の第三実施形態の第一変形例の模式的な全体構成図である。
【
図15】本開示の第三実施形態の第二変形例の模式的な全体構成図である。
【
図16】本開示の第三実施形態の第三変形例の模式的な全体構成図である。
【
図17】本開示の第三実施形態の第四変形例の模式的な全体構成図である。
【
図18】本開示の第三実施形態の第五変形例の模式的な全体構成図である。
【
図19】本開示の第四実施形態に係る第三冷却システムの模式的な全体構成図である。
【
図23】本開示の第四実施形態の第一変形例の伝熱管群の水平断面図である。
【
図24】本開示の第四実施形態の第二変形例の熱交換部の水平断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<第一実施形態>
以下、本発明の実施形態について
図1から
図4を参照して詳細に説明する。
<第一冷却システム>
図1及び
図2に示すように、第一冷却システム1は、サーバ2、冷媒槽3、ヒートパイプ10、板状フィン20、カバー25及び送風ファン27を備えている。
【0015】
<サーバ>
サーバ2は、第一冷却システム1における冷却対象となる発熱体である。サーバ2は筐体を有しており、筐体の中にCPU等のコンピュータを構成する機器が収容されている。本実施形態のサーバ2は、略直方体状をなしている。
【0016】
<冷媒槽3>
冷媒槽3は、サーバ2に接触するように設けられている。本実施形態の冷媒槽3はサーバ2の上面に設置されている。冷媒槽3は、槽底壁3a、槽側壁3b、及び槽天壁3cによって構成されている。
槽底壁3aは、水平方向に広がる板状をなしており、サーバ2の上面に接触するように設けられている。槽底壁3aは、サーバ2の上面からさらに水平方向に広がるように延びている。槽底壁3aは、熱伝導率の高い金属から構成されており、例えばアルミニウムや銅を含む材料から構成されている。
【0017】
槽側壁3bは、槽底壁3aの外周縁部から上方に向かって立ち上がる壁状をなしている。槽側壁3bの上部は、上方に向かうにしたがって槽底壁3aの外周縁部から後退するように傾斜している。
槽天壁3cは、水平方向に広がる板状をなしており、槽側壁3bの上端開口を閉塞するように設けられている。
冷媒槽3は、槽底壁3a、槽側壁3b及び槽天壁3cによって内部が閉空間とされた中空状の箱型をなしている。冷媒槽3の内部には、冷媒Cが収容されている。冷媒Cとしては、揮発性を有するとともに常温で液体となる物質(例えば水や空調用冷媒)を用いることができる。
【0018】
<ヒートパイプ>
ヒートパイプ10は、冷媒槽3から該冷媒槽3の外方に向かって延びるように複数が配列されている。本実施形態のヒートパイプ10は、冷媒槽3の上面、即ち、冷媒槽3の槽天壁3cの上面から上方に向かって延びるように設けられている。
【0019】
ヒートパイプ10は、熱伝導率の高い金属によって構成されている。ヒートパイプ10は、例えば、銅やアルミニウムを含む材料によって構成されている。
ヒートパイプ10は内部が中空状とされて上下に延びる筒状をなしている。ヒートパイプ10の上端は閉塞されている。ヒートパイプ10の上端の内面は上方に向かって凹となる凹曲面状をなしている。
【0020】
ヒートパイプ10の一方側の端部である下端は下方に向かって連通しており、槽天壁3cの上面に固定されている。ヒートパイプ10は下端を介して冷媒槽3の内部と連通状態とされている。即ち、冷媒槽3の内部空間に加えてこれに連通するヒートパイプ10の内部空間も、外部と隔離された閉空間とされている。これによりヒートパイプ10内は、該ヒートパイプ10内に入り込んだ冷媒Cの通路となる。
冷媒槽3及びヒートパイプ10の内部空間は、冷媒Cを収容した状態で真空引きをされていることが好ましい。当該内部空間に、冷媒Cが気相及び液相の状態で収容されている。
【0021】
このようなヒートパイプ10は、
図1及び
図2に示すように、水平方向を配列方向として配列されている。即ち、複数のヒートパイプ10は、水平第一方向(
図1及び
図2における左右方向)、及び、該水平第一方向に直交する水平第二方向(
図1の紙面奥行方向、
図2の上下方向)に配列されている。各ヒートパイプ10は同一構造とされている。
【0022】
ここで、
図2及び
図3に示すように、ヒートパイプ10の延在方向に直交する断面形状、即ち、ヒートパイプ10の水平断面形状は、水平第一方向を長手方向とする偏平状をなしている。ヒートパイプ10の水平断面形状は、水平第一方向一方側(
図1~
図3の左側)を前縁11とし、水平第一方向他方側(
図1~
図3の右側)を後縁12とした流線形状をなしている。ヒートパイプ10の水平断面形状は、水平第一方向を長軸とし水平第二方向を短軸とした楕円形状をなしていてもよい。ヒートパイプ10の水平断面形状は、上記の前縁11及び後縁12を有する翼型をなしていてもよい。
【0023】
<板状フィン20>
図1に示すように、板状フィン20は、水平方向に広がる板状をなしており、上下方向に間隔をあけて複数が設けられている。各板状フィン20には、複数のヒートパイプ10が上下に貫通するように接している。即ち、各板状フィン20は、複数のヒートパイプ10が貫通する孔部の内周縁部を介して各ヒートパイプ10の外周面に固定されている。板状フィン20は、例えば銅やアルミニウムを含む金属等の熱伝導率の高い材料によって構成されている。
【0024】
<カバー>
図1に示すように、カバー25は、複数のヒートパイプ10及び複数の板状フィン20を上方及び水平第二方向から囲うように設けられている。これによってカバー25内には、水平第一方向に延びる空気の流路を区画形成している。即ち、複数のヒートパイプ10及び複数の板状フィン20は、カバー25によって区画形成される流路内に収容されている。
【0025】
<送風ファン>
送風ファン27は、複数のヒートパイプ10の配列方向である水平方向に空気を送風する。送風ファン27は、カバー25が形成する流路の水平第一方向一方側に設けられている。送風ファン27は、水平第一方向一方側から他方側に向かって、カバー25内の空気の流路に沿って空気を送風する。水平第一方向一方側が空気の流れの上流側となり、水平第一方向他方側が空気の流れの下流側となる。
【0026】
<第一実施形態の作用効果>
図1に示すように、サーバ2が稼働されることにより発熱すると、該サーバ2の熱が冷媒槽3の槽底壁3aを介して冷媒槽3内の液相の冷媒C(凝縮液)に伝達される。この熱によって凝縮液が蒸発・沸騰して蒸気になることで、サーバ2の熱が除去されてサーバ2が冷却される。蒸気となった気相の冷媒Cは、冷媒Cの液面よりも上方に移動して、ヒートパイプ10の下端から該ヒートパイプ10内に導入される。ヒートパイプ10内に導入された蒸気としての冷媒Cは、ヒートパイプ10内を上方に向かって移動する。そして、冷媒Cがヒートパイプ10の上端に到達すると当該上端の凹曲面形状に応じて下方に向かって転向する。これによって、冷媒Cは、ヒートパイプ10の内面を伝って下方に移動する。
【0027】
冷媒Cは、ヒートパイプ10の内面に沿って移動する時に、板状フィン20及びヒートパイプ10の内面を介して、送風ファン27によって送風される空気と熱交換をする。これによって冷媒Cの熱が奪われることで、該冷媒Cは気相から液相に相変化して凝縮水となり、冷媒槽3内の下部に垂れ落ちる。このように第一冷却システム1では、冷媒Cが冷媒槽3及びヒートパイプ10の内部を循環することで、サーバ2の熱を外部に逃がす。これによって、冷媒Cを循環させるためのポンプ等の動力を必要とせずに、サーバ2の継続的な冷却を行うことができる。
【0028】
ここで本実施形態では、
図3に示すように、各ヒートパイプ10の水平断面形状が送風ファン27による送風方向の上流側を前縁11とし、下流側を後縁12とする偏平状をなしている。これによって、各ヒートパイプ10の外面における空気の圧損を低下させ、送風方向の下流側に位置するヒートパイプ10にも適切に送風を行うことができる。
【0029】
また、ヒートパイプ10の前縁11側では、送風される空気とヒートパイプ10内部の冷媒Cとの熱交換が盛んに行われる。これに対して、ヒートパイプ10の後縁12側では、空気がヒートパイプ10の外面から剥離する結果、ヒートパイプ10と空気との熱伝達率が低下する。そのため、ヒートパイプ10の後縁12側では、送風される空気とヒートパイプ10内部の冷媒Cとの熱交換が前縁11側に比べて行われなくなる。即ち、ヒートパイプ10の前縁11側では空気による冷却が促される一方、後縁12側では空気による冷却が阻害される。
【0030】
そのため、
図3及び
図4に示すように、ヒートパイプ10内部の後縁12側の領域では、冷媒Cの凝縮が阻害されて気相としての冷媒Cの流れである気相流F1が形成される。一方では、ヒートパイプ10内部の前縁11側の領域では、冷媒Cの凝縮が促されて凝縮水の流れである液相流F2が形成される。
【0031】
このように、ヒートパイプ10内部の後縁12側の領域では上方に向かう気相流F1が支配的となり、前縁11側の領域では下方に向かう液相流F2が支配的となる。その結果、ヒートパイプ10内で気相流F1と液相流F2との通路を分離することができ、気相流F1と液相流F2とが互いに干渉してしまうことが抑制することができる。これにより、ヒートパイプ10による熱の移送を効率的に行うことができ、サーバ2の冷却効率を向上させることができる。
【0032】
なお、本実施形態では、ヒートパイプ10の内部を単なる中空状としており、毛細管現象により凝縮水の移動を促すウィックを設けない構成としたが、ヒートパイプ10の内部にウィックを設けてもよい。この場合、ヒートパイプ10の内部の前縁11側の領域にウィックを設ければよい。
【0033】
<第一実施形態の第一変形例>
図5に示すように、複数のヒートパイプ10を上流側ほど密に配置し、下流側ほど疎に配置してもよい。即ち、ヒートパイプ10群の上流側の部分では、隣り合うヒートパイプ10同士の間隔を相対的に小さくする一方、ヒートパイプ10の下流側の部分では、隣り合うヒートパイプ10同士の間隔を相対的に大きくしてもよい。
【0034】
一般に、空気の温度が上昇する下流側では、空気密度が小さくなり、体積流量が大きくなる。そのため、ヒートパイプ10群の配列を下流側ほど疎とすることで、圧力損失の適正化を図ることができる。
なお、例えば下流側のヒートパイプ10を上流側のヒートパイプ10に比べて細くすることで、下流側ほど疎となる構成としてもよい。これによっても上記同様の効果を得ることができる。
【0035】
<第一実施形態の第二変形例>
図6に示すように、ヒートパイプ10の外面のうち前縁11を含む前縁11側の部分を板状フィン20に接触させる一方、ヒートパイプ10の外面のうち後縁12を含む後縁12側の部分を板状フィン20と非接触してもよい。
【0036】
即ち、板状フィン20におけるヒートパイプ10が貫通する貫通孔21の内周縁部のうちの上流側の部分は、ヒートパイプ10の外面に合った形状をなす当接縁部21aとする。一方で、貫通孔21の内周縁部のうちの下流側の部分は、例えば矩形に切り欠いた形状とする。これによって、貫通孔21の内周縁部のうちの下流側の部分を、ヒートパイプ10の外面と当接しない被当接縁部21bとする。
【0037】
当該構成によって、板状フィン20と接触するヒートパイプ10の前縁11側の部分では、冷却をより促進させて冷媒Cの凝縮を促すことができる。一方で、板状フィン20と非当接とするヒートパイプ10の後縁12側の部分では冷却を阻害することで、冷媒Cの凝縮を阻害することができる。これによって、第一実施形態同様、冷媒Cの気相流F1と液相流F2との流通領域を適切に分離することができ、熱の移動効率をより一層向上させることができる。
【0038】
<第一実施形態の第三変形例>
図7に示すように、各ヒートパイプ10内の通路を上流側の前縁側通路16と下流側の後縁側通路17とに隔てる仕切り部15を設けてもよい。仕切り部15の上端は、ヒートパイプ10の内面の上端に接していない。そのため、前縁側通路16と後縁側通路17とは、ヒートパイプ10の通路の上端で連通している。
これによっても、冷媒Cの気相流F1と液相流F2との流通領域を適切に分離することができ、熱の移動効率をさらに向上させることができる。
【0039】
<第一実施形態の第四変形例>
例えば
図8に示すように、ヒートパイプ10の下端(冷媒槽3の内方側の端部)をヒートパイプ10の上端(冷媒槽3の外方側の端部)と同様に閉塞するとともに、冷媒槽3の内部へ下方に向かって延ばして液相の冷媒Cに浸漬させた構成であってもよい。この場合、冷媒槽3に収容された冷媒C(第一の冷媒C1)とヒートパイプ10に収容された冷媒C(第二の冷媒C2)を異なるものとしてもよい。
【0040】
当該構成によれば、サーバ2の熱により蒸気となった第一の冷媒C1は、ヒートパイプ10内の凝縮液としての第二の冷媒C2と熱交換することで凝縮する。ヒートパイプ10内の第二の冷媒C2は、第一の冷媒C1から熱を奪った後、蒸気として上方に向かい、外気と熱交換をすることで凝縮して下方に流れ落ちる。
これによっても第一実施形態同様、ポンプ等の動力を必要とせずに、第一の冷媒C1及び第二の冷媒C2の循環によってサーバ2を継続的に冷却することができる。
また、サーバ2及び外気の温度に適した冷媒Cをそれぞれ選択することができるため、熱交換効率をより一層高めることもできる。
【0041】
なお、第一実施形態では、ヒートパイプ10は冷媒槽3の外方、即ち、冷媒槽3から遠ざかる方向に延びていればよく、例えばヒートパイプ10が水平方向や上斜め方向に延びていてもよい。この場合、複数のヒートパイプ10は、上下方向に配列されていてもよく。送風ファン27によって上下方向に空気を送風してもよい。
【0042】
<第二実施形態>
次に本発明の第二実施形態について
図9を参照して説明する。第二実施形態では第一実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
<第二冷却システム>
第二実施形態に係る第二冷却システム30は、第一実施形態同様、サーバ2の冷却を行うシステムである。第二冷却システム30は、コンテナ31、サーバ2、冷媒槽3、熱交換器40、気相管47、液相管48及び送風ファン27を備えている。
【0043】
<コンテナ>
コンテナ31は、内側に居室又は機器室を区画する直方体形状の箱型をなしている。コンテナ31は、水平方向に広がり床面や地面に設置される底壁32、該底壁32から上方に向かって立ち上がる側壁33、側壁33の上端に接してコンテナ31内を上方から閉塞する天壁34を有している。即ち、コンテナ31は、底壁32、側壁33及び天壁34から構成された外壁を有している。コンテナ31の内側が室内Rとされ、該コンテナ31の外側が室外Eとされている。
【0044】
<サーバ及び冷媒槽>
コンテナ31内には、サーバ2及び冷媒槽3が設置されている。本実施形態では、サーバ2の側方に接するように冷媒槽3が設置されている。冷媒槽3の内部の閉空間には冷媒Cが収容されている。冷媒Cは、サーバ2と冷媒槽3との接触部を介してサーバ2から熱を除去する。
【0045】
<熱交換器>
熱交換器40は、室外Eにおける冷媒槽3よりも上方に設置されている。熱交換器40は、冷媒Cと外気との間での熱交換を行う。熱交換器40は、外部伝熱管41、上流側ヘッダ42及び下流側ヘッダ43を有している。
外部伝熱管41は、例えば上下方向に延びる管状をなしており、水平方向に間隔をあけて複数が並設されている。各外部伝熱管41の内部は、上下方向に延びる冷媒Cの通路とされている。冷媒Cの通路は、上方を上流側とし下方を下流側としている。
【0046】
上流側ヘッダ42及び下流側ヘッダ43は、水平方向に延びており、内部が中空部とされている。
上流側ヘッダ42は複数の外部伝熱管41の上方に配置されている。上流側ヘッダ42の内部は、各外部伝熱管41の上端と連通している。即ち、上流側ヘッダ42は、複数の外部伝熱管41の上端を接続している。
下流側ヘッダ43は複数の外部伝熱管41の下方に配置されている。下流側ヘッダ43の内部は、各外部伝熱管41の下端と連通している。即ち、下流側ヘッダ43は、複数の外部伝熱管41の下端を接続している。
【0047】
<気相管>
気相管47は、冷媒槽3と熱交換器40の上流側ヘッダ42とを接続する。気相管47の上流側の端部である一端は、冷媒槽3の上端に該冷媒槽3の内部と連通状態で接続されている。気相管47の下流側の端部である他端は、上流側ヘッダ42の内部と連通状態で接続されている。
【0048】
<液相管>
液相管48は、熱交換器40の下流側ヘッダ43と冷媒槽3とを接続する。液相管48の上流側の端部である一端は、下流側ヘッダ43に対して下方から接続されている。液相管48の一端は、下流側ヘッダ43の内部と連通状態とされている。気相管47は、一端から下方及び水平方向に延びて、もう一方の端部である他端が冷媒槽3に連通状態で接続されている。
【0049】
<送風ファン>
送風ファン27は、熱交換器40の複数の外部伝熱管41に送風を行うことで、該外部伝熱管41及び該外部伝熱管41内を流通する冷媒Cを冷却する。
【0050】
<第二実施形態の作用効果>
冷媒槽3内の液相としての冷媒Cは、サーバ2から熱を奪うことでサーバ2を冷却する。この際、冷媒Cは蒸発・沸騰することで蒸気となり、即ち、気相の冷媒Cとなる。気相の冷媒Cは、気相管47内に導入されて、該気相管47内を気相流F1として室外Eの熱交換器40に導かれる。熱交換器40に到達した気相流F1としての冷媒Cは、上流側ヘッダ42を介して各外部伝熱管41に導入される。
【0051】
の
冷媒Cは外部伝熱管41を上方から下方に流通する過程で、送風ファン27が送風する空気と熱交換をすることで冷却され凝縮する。これにより、冷媒Cは凝縮水の液相流F2として、下流側ヘッダ43及び液相管48を重力にしたがって流通して冷媒槽3に還流される。
以上のように、第二実施形態の第二冷却システム30は、冷媒Cを循環させるポンプ等を必要としないループ型サーモサイフォン式ヒートパイプを構成している。これにより、外部動力を必要とせずに、継続的にサーバ2の冷却を行うことができる。
【0052】
<第二実施形態の第一変形例>
例えば
図10に示すように、コンテナ31の外壁に熱交換器40を収容するダクト形成部49を設けてもよい。ダクト形成部49は、コンテナ31の外壁に沿って上下方向に延びるとともに上端及び下端が開放されたダクトを形成する。
【0053】
この場合、
図11に示すように、熱交換器40の外部伝熱管41をそれぞれ水平方向に延びるように、かつ、上下方向に並設するように配置し、その水平方向両側の上流側ヘッダ42及び下流側ヘッダ43を設けてもよい。各外部伝熱管41には、該外部伝熱管41の外周面と接する複数の外部フィン44を設けてもよい。
【0054】
当該構成によれば、熱交換器40に温度の高い冷媒Cが導入されることでダクト内に上昇気流が生じる。その結果、ダクトの下端から上端に向かって継続的な空気の流れが形成される。これにより、熱交換器40での冷媒Cの冷却をより効率良く行うことができ、サーバ2の冷却をより一層効率的に行うことができる。
【0055】
<第二実施形態の第二変形例>
例えば
図12に示すように、熱交換器40をコンテナ31の外壁の外面に沿うように該外壁に一体に設けてもよい。この場合、外壁に沿って複数の外部伝熱管41が配置されるとともに、これらを接続する上流側ヘッダ42及び下流側ヘッダ43も外壁に沿って配置される。
【0056】
このようにコンテナ31の外壁自体に一体に熱交換器40を設けることで、熱交換器40の収容スペースを別途確保する必要がなく、全体としてコンパクトな構成を実現できる。さらに、外壁自体を放熱部として利用することができるため、熱交換器40での冷媒Cと外気との熱交換をさらに促し、冷媒Cの凝縮性能を向上させることができる。その結果、サーバ2の冷却をより一層効率的に行うことができる。
【0057】
<第三実施形態>
次に本発明の第二実施形態について
図13を参照して説明する。第三実施形態では他の実施形態と同様の構成要素には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
<第三冷却システム>
図13に示すように、第三実施形態の第三冷却システム50は、サーバ2、冷媒槽3、放熱体51及び熱伝達促進部としての蒸気膜除去部60を有している。
【0058】
サーバ2及び冷媒槽3は、第二実施形態と同様の構成を有している。即ち、冷媒槽3内の冷媒Cによってサーバ2からの熱を除去する構成とされている。
【0059】
<放熱体>
放熱体51は、例えば、アルミニウムや銅等の熱伝導率の高い金属を含む材料によって構成されている。放熱体51は、冷媒槽3内で該冷媒槽3内の冷媒Cに浸漬されるように設けられている。放熱体51は、冷媒槽3におけるサーバ2と接触する側の内壁面に接触するように設けられている。即ち、放熱体51は、冷媒槽3の内壁面を介してサーバ2と熱的に接触している。放熱体51は、冷媒槽3の内壁面に沿って延びる平板状をなしており、即ち、上下方向及び水平方向に広がる板状をなしている。
【0060】
放熱体51の一対の板面のうちの一方は、冷媒槽3の内壁面に固定一体化されている。放熱体51の一対の板面のうちの他方は、該放熱体51の放熱面51aとされており、冷媒槽3内の冷媒Cに面している。
【0061】
<蒸気膜除去部>
蒸気膜除去部60は、放熱体51の放熱面51aへの冷媒Cの蒸気膜の付着を阻害する。
<超音波発生器>
本実施形態では、蒸気膜除去部60として超音波発生器61を採用している。超音波発生器61は、冷媒槽3内に配置されており、例えば冷媒槽3の底面における放熱体51の直下に設置されている。超音波発生器61は、上方に向かって、即ち、放熱体51の放熱面51aに向かって超音波を照射する。照射された超音波は、冷媒Cを媒体として放熱体51の放熱面51aに伝達される。
【0062】
<第三実施形態の作用効果>
上記のような第三冷却システム50では、サーバ2から発生する熱は、放熱体51に伝達され、該放熱体51の放熱面51aで冷媒Cが蒸発・沸騰することで除去される。ここで、サーバ2による発熱密度が高い場合、放熱体51から冷媒Cへの限界熱流束を超えるような条件となると、放熱体51の放熱面51a全域に冷媒Cの蒸気による膜(蒸気膜)が形成された状態となる。このような蒸気膜が形成されると放熱体51から冷媒Cへの熱伝達率が急激に低下し、放熱体51から十分に熱を放熱できない場合がある。
【0063】
これに対して本実施形態では、放熱体51の放熱面51aに蒸気膜が生成された場合であっても、蒸気膜除去部60としての超音波発生器61が放熱体51の放熱面51aに超音波を当てることで蒸気膜を除去することができる。即ち、超音波を放熱体51の放熱面51aに当てることで蒸気膜を微細化させて蒸気膜を崩壊させることができる。これにより、放熱体51の放熱面51aに冷媒Cが直接的に触れることが可能となるため、放熱体51から冷媒Cによって効果的に熱を奪うことができる。これにより、サーバ2の冷却をより効果的に行うことができる。
【0064】
また、蒸気膜除去部60によって放熱面51aの蒸気膜を除去できることで、限界熱流束を高めることができる。当該限界熱流束が向上すれば、冷媒Cをより高い温度で運転することが可能となる。これにより、冷媒Cと大気との温度差を大きくすることができるため、該冷媒Cを冷却する機器のサイズのコンパクト化を図ることができる。また、冷媒Cからの廃熱回収が容易となり、例えば有機ランキンサイクル等を用いることで熱回収を効果的に行うことができる。
【0065】
<第三実施形態の第一変形例>
例えば
図14に示すように、蒸気膜除去部60としてジェット噴射器62を採用してもよい。ジェット噴射器62は、冷媒槽3における放熱面51aの直下から該放熱面51aに対して冷媒Cによるジェット噴流を供給する。即ち、放熱面51aに沿ってジェット噴流を噴射する。
これにより第三実施形態同様、放熱面51aから蒸気膜を容易に除去することができる。
【0066】
<第三実施形態の第二変形例>
例えば
図15に示すように、ジェット噴射器62に加えて放熱面51aに流路形成部63を形成してもよい。流路形成部63としては、例えば、放熱面51aから立ち上がり上下方向に延びるフィン状の構成や、放熱面51a上に上下方向に延びる流路を形成するカバー25状の部材を採用することができる。これにより、放熱面51aの表面に沿ってジェット噴射器62を局所的に供給することができ、蒸気膜を容易に除去することができる。さらに、ジェット噴流としての冷媒Cと放熱面51aとの熱交換を促すことができ、サーバ2からの熱の除去をより効果的に行うことができる。
【0067】
<第三実施形態の第三変形例>
例えば
図16に示すように、蒸気膜除去部60として旋回流発生器64を採用してもよい。
旋回流発生器64は、放熱面51aの直下で鉛直方向に延びる軸線回りに回転可能なプロペラ64aを有している。該プロペラ64aによって鉛直軸線O回りの旋回流が放熱面51aに供給されることで、放熱面51aの蒸気膜を容易に除去できる他、旋回流としての冷媒Cと放熱面51aとの熱交換を促し、サーバ2の熱をより容易に除去することができる。
【0068】
<第三実施形態の第四変形例>
例えば
図17に示すように、蒸気膜除去部60として放熱面51aに沿ってバインダ65を設けてもよい。バインダ65は、例えば熱伝導率の高い繊維とその他の金属等の材料から構成されたものを採用することができる。バインダ65としては、例えば炭素繊維とアルミニウムや銅を複合化したものを採用してもよい。
放熱体51の放熱面51aに該放熱体51よりも熱伝導率の高いバインダ65を設けることで、冷媒Cとの間の限界熱流束を高めることができる。これによって、上記同様の利点を得ることができる。
【0069】
<第三実施形態の第四変形例>
例えば
図18に示すように、蒸気膜除去部60として放熱体51の放熱面51aに該放熱面51aから立ち上がる複数のフィンを設けてもよい。フィンは放熱体51と同一の材料によって構成されている。これによって放熱面51a積を増加させることができ、限界熱流束を引き上げることができる。
なお、放熱体51にフィンを設ける場合には、フィンと放熱体51との間にバインダ65を介在させてもよい。これによって、フィンと放熱体51との接合面での熱抵抗を低下させることができる他、上記バインダ65を設けた場合と同様の作用効果も得ることができる。
【0070】
<第三実施形態の他の変形例>
また、第三実施形態及びその変形例では、熱伝達促進部として蒸気膜除去部60を設けた例について説明したが、これに限定されることはない。放熱体51の放熱面51aに蒸気膜が形成されていない場合であっても、上記構成の蒸気膜除去部60の各構成を熱伝達促進部として用いることで、放熱面51aに沿う冷媒Cの流れを乱すことができる。これによって、放熱面51aでの熱伝達率を大きくすることができるため、サーバの冷却をより効率的に行える他、温度ムラが低減され、運転温度を適切に管理することが可能となる。
【0071】
<第四実施形態>
次に本発明の第四実施形態について
図19~
図22を参照して説明する。
<第四冷却システム>
第四実施形態に係る第四冷却システム70は、例えばサーバ2から熱を奪って上記となった冷媒Cを冷却する際に用いられる。第四冷却システム70は、鉛直軸線Oに沿って上下に延びている。第四冷却システム70は、下部ハウジング80、送風部90、上部ハウジング100、整流体110、水噴射部112及び熱交換部120を備えている。
【0072】
<下部ハウジング>
下部ハウジング80は、第四冷却システム70の最下部を構成する部分である。下部ハウジング80は、鉛直軸線Oを取り囲む筒状をなすハウジング外周壁81を有している。ハウジング外周壁81は例えば、鉛直軸線Oに直交する断面形状が矩形状をなしている。ハウジング外周壁81の上部には、該ハウジング外周壁81を鉛直軸線Oの径方向に貫通する外周開口部81aが形成されている。該外周開口部81aは、第四冷却システム70への空気の取入れ口とされている。
【0073】
ハウジング外周壁81の下端には、該ハウジング外周壁81の下端から径方向内側に延びるハウジング底壁82が全周にわたって接続されている。ハウジング底壁82は、平面視で環状をなしている。
【0074】
ハウジング外周壁81の上端には、該ハウジング外周壁81の上端から径方向内側に延びるハウジング天壁83が全周にわたって接続されている、ハウジング天壁83は、平面視で環状をなしており、ハウジング底壁82と平行かつ略同一外形をなしている。ハウジング天壁83には、該ハウジング天壁83を上下方向に貫通する上部開口部83aを有している。該上部開口部83aは、第四冷却システム70への空気の取入れ口となる。
【0075】
下部ハウジング80の内部には、内側環状壁84及び外側環状壁85が設けられている。
内側環状壁84は、鉛直軸線Oを中心とするとともに下方から上方に向かうにしたがって漸次縮径する円錐台状をなしている。内側環状壁84の下端は全周にわたってハウジング底壁82の内周縁部に接続されている。内側環状壁84の上端は、ハウジング天壁83と略同一の高さとされている。
【0076】
外側環状壁85は、内側環状壁84の外周側に配置されており、鉛直軸線Oを中心とするとともに下方から上方に向かうにしたがって漸次縮径する円錐台状をなしている。外側環状壁85の上端は全周にわたってハウジング天壁83の内周縁部に接続されている。外側環状壁85と内側環状壁84との間の空間は、下方から上方に向かうにしたがって漸次縮径する空気の導入流路とされている。
このような構成の下部ハウジング80は、脚部88によって下方から支持されている。即ち、下部ハウジング80は、脚部88を介して床面に設置されている。
【0077】
<送風部>
送風部90は、駆動部91、軸部92及び羽根車93を有している。
駆動部91は、例えば電動機であって、外部からの給電によって鉛直軸線O回りに回転駆動する。駆動部91は、内側環状壁84の径方向内側に配置されている。即ち、内側環状壁84は駆動部91を外周側から覆っている。
軸部92は駆動部91から上方に向かって鉛直軸線Oに沿って延びている。駆動部91の駆動によって軸部92が鉛直軸線O回りに回転する。
【0078】
羽根車93は、ボス部94と複数の羽根95とを有している。ボス部94は軸部92の上端に一体に設けられている。複数の羽根95は、ボス部94の外周面から径方向外側に延びるように、かつ、周方向に間隔をあけて設けられている。複数の羽根95は、内側環状壁84と外側環状壁85とによって構成される導入流路の出口側、即ち、導入流路の直上に配置されている。駆動部91が回転駆動されることで、羽根車93が回転し、下方から上方に向かって空気が送風される。
【0079】
<上部ハウジング>
上部ハウジング100は、軸線を中心して上下方向に延びる筒状をなしている。上部ハウジング100の下端は、下部ハウジング80におけるハウジング天壁83の上面に全周にわたって固定されている。上部ハウジング100は、送風部90の羽根車93を全周から囲んでいる。羽根車93の径方向外側の端部と上部ハウジング100の内周面との間にはクリアランスが形成されている。上部ハウジング100の内側の空間は、送風部90が送風する空気の上方への流路とされている。
【0080】
上部ハウジング100の内周面は、下端から上方に向かっての所定の高さまでは、一様の流路断面積で延びる第一内周面100aとされている。上部ハウジング100の内周面における第一内周面100aよりも上方の部分は、上方に向かうにしたがって次第に拡径する第二内周面100bとされている。
【0081】
ここで本実施形態の上部ハウジング100の内周面には、吸音材が設けられている。吸音材としては、例えば音響ダンパ等の音響ライナを採用することができる。また、吸音材として、多孔材、発砲材等を上部ハウジング100の内周面に設けてもよい。
【0082】
<整流体>
整流体110は、上部ハウジング100内における第一内周面100aと第二内周面100bとの境界の高さ位置に設けられている。整流体110は、鉛直軸線Oに直交する平板状をなしており、上部ハウジング100内の流路を閉塞するように延びている。整流体110には、上下方向に貫通する整流孔110aが水平方向に間隔をあけて複数が配列されている。
なお、整流体110としては、上下方向にある程度の厚さを有するとともに上下方向に貫通する複数の孔部が形成されたハニカム構造体であってもよい。
【0083】
<水噴射部>
水噴射部112は、上部ハウジング100の内周面に周方向に間隔をあけて複数が設けられている。水噴射部112は、上部ハウジング100内における整流体110よりも下方である第一内周面100aに設けられている。水噴射部112は上部ハウジング100内における整流体110よりも上方である第二内周面100bに設けられていてもよい。各水噴射部112は、上部ハウジング100の内部で径方向内側かつ上方に向かっての斜め上方向に水を噴射可能に構成されている。
【0084】
<熱交換部>
次に熱交換部120について説明する。熱交換部120は、第四冷却システム70の最上部に設けられている。熱交換部120は、上部ハウジング100の上端に一体に固定されている。熱交換部120は、伝熱管群130、ケーシング140、冷媒供給部180及び冷媒排出部190を有している。
【0085】
<伝熱管群>
伝熱管群130は、
図19~
図22に示すように、複数の伝熱管131の集合体である。各伝熱管131は、上下方向に延びている。各伝熱管131の内側の空間は、上下方向に延びて上端及び下端が開放された空気通路P1とされている。
【0086】
各伝熱管131の水平断面形状は、内周面及び外周面がともに正六角形状をなしている。各伝熱管131の水平断面形状は、多角形状であってもよく、円形であってもよい。伝熱管131の厚さは全周にわたって一様に形成されている。各伝熱管131の内周面には、該内周面から該伝熱管131の径方向内側に突出するとともに上下方向全域にわたって延びる内面フィン131aが形成されている。内面フィン131aは、伝熱管131の内面を構成する六つの内面にそれぞれ一つずつが形成されている。即ち、内面フィン131aは、伝熱管131の内周面に周方向に等間隔をあけて複数(本実施形態では六つ)が形成されている。
【0087】
このような複数の伝熱管131は、互いに等間隔をあけて集合的に設けられている。隣り合う伝熱管131同士は、互いの外周面を構成する平面同士を対向させた状態で規則的に配列されている。これによって、伝熱管131同士の間には、上下方向及び水平方向に延びる冷媒通路P2が形成されている。平面視においては、冷媒通路P2は、正六角形状をなす伝熱管131を避けるように網の目状に形成されている。
【0088】
<ケーシング>
ケーシング140は、
図19から
図21に示すように、伝熱管群130を外周側から覆うように設けられている。ケーシング140は、筒部150、上部管板155、下部管板156、上部ヘッダ160及び下部ヘッダ170を有している。
【0089】
筒部150は、鉛直軸線Oを中心として上下方向に延びる筒状をなしており、本実施形態では円筒状をなしている。筒部150の上下方向の寸法は、伝熱管群130の上下方向の寸法と略同一とされている。これにより、筒部150は、伝熱管群130を外周側から上下方向全域にわたって覆っている。
【0090】
上部管板155は、筒部150の上端開口を閉塞するように設けられている。上部管板155には、上下方向に貫通する孔が多数形成されている。当該孔には、伝熱管群130の各伝熱管131の上端がそれぞれ嵌まり込んでいる。伝熱管131の上端開口は、上部管板155の上面と面一とされている。これによって、伝熱管131の上端開口は上部管板155によって閉塞されることなく、上方の空間と連通状態とされている。
【0091】
下部管板156は、筒部150の下端開口を閉塞するように設けられている。下部管板156には、上下方向に貫通する孔が多数形成されている。当該孔には、伝熱管群130の各伝熱管131の下端がそれぞれ嵌まり込んでいる。伝熱管131の下端開口は、下部管板156の下面と面一とされている。これによって、伝熱管131の下端開口はした部管板によって閉塞されることなく、上方の空間と連通状態とされている。
【0092】
即ち、これら上部管板155及び下部管板156によって、各伝熱管131が互いに間隔をあけて集合した構造の伝熱管群130が支持されている。また、筒部150、上部管板155及び下部管板156によって囲われる空間は、外部から供給される冷媒Cが導入される冷媒室とされている。伝熱管群130における伝熱管131同士の間の冷媒通路P2は、冷媒室内に位置している。
【0093】
<上部ヘッダ>
図19に示すように、上部ヘッダ160は、筒部150の上端の外周に環状に設けられている。上部ヘッダ160内には、筒部150を囲う環状の流路が区画形成されている。
図20に示すように、筒部150における上部ヘッダ160に対応する高さ位置には、該筒部150を径方向に貫通するとともに周方向に間隔あけて形成された複数の上部連通孔151が設けられている。即ち、上部連通孔151を介して上部ヘッダ160内の空間と筒部150内の冷媒室とが連通状態とされている。
【0094】
<下部ヘッダ>
図19に示すように、下部ヘッダ170は、筒部150の下端の外周に環状に設けられている。下部ヘッダ170内には、筒部150を囲う環状の流路が区画形成されている。
図20に示すように、筒部150における下部ヘッダ170に対応する高さ位置には、該筒部150を径方向に貫通するとともに周方向に間隔あけて形成された複数の下部連通孔152が設けられている。即ち、下部連通孔152を介して下部ヘッダ170内の空間と筒部150内の冷媒室とが連通状態とされている。
【0095】
<冷媒供給部>
冷媒供給部180は、上部ヘッダ160内に冷媒Cを供給する。冷媒供給部180は、上部ヘッダ160の外周面に周方向に間隔をあけて複数(本実施形態では周方向に等間隔に4つ)が設けられている。
【0096】
<冷媒排出部>
冷媒排出部190は、下部ヘッダ170内に冷媒Cを供給する。冷媒排出部190は、下部ヘッダ170の外周面に周方向に間隔をあけて複数(本実施形態では周方向に等間隔に4つ)が設けられている。
【0097】
<第四実施形態の作用効果>
第四冷却システム70は、例えばサーバ2から熱を奪うことで蒸発して蒸気となった冷媒Cを冷却・凝縮する。
送風部90の駆動部91が回転駆動するとこれに伴い羽根車93が回転する。すると、該羽根車93によって空気が下方から上方に送風される。即ち。下部ハウジング80の外周開口部81a及び上部開口部83aを介して下部ハウジング80内に流入する空気は、内側環状壁84と外側環状壁85との間の導入流路を通過し、羽根車93の羽根95同士の間を通って上部ハウジング100内を上方に向かって送風される。空気は上部ハウジング100を流通する際に、水噴射部112によって水が混入される。そして、当該空気は、整流体110の整流孔110aを通過することで旋回成分が除去された上方に向かって整流された流れとなる。
【0098】
このような流れの空気は、熱交換部120の下端で伝熱管群130を構成する各伝熱管131内の空気通路P1に下方から導入される。伝熱管131に導入された空気は該伝熱管131の直線形状に従って空気通路P1を下方から上方に向かって流通し、該伝熱管131の上端から外部に排出される。
【0099】
一方、蒸気としての冷媒Cは、冷媒供給部180を介して熱交換部120のケーシング140における上部ヘッダ160内に導入される。上部ヘッダ160内に導入された冷媒Cは、該上部ヘッダ160内を周方向に移動して、複数の上部連通孔151のいずれかから筒部150内の冷媒室へと導入される。冷媒Cは冷媒室内で伝熱管131同士の間の冷媒通路P2を水平方向及び下方に向かって流通する。この際、各伝熱管131を介して冷媒通路P2を流通する冷媒Cと空気通路P1を流通する空気との間で熱交換が行われる。即ち、冷媒Cの熱が空気に伝達されることで冷媒Cが冷却され、該冷媒Cは冷媒通路P2を流通する過程で液相の冷媒Cへと凝縮する。
【0100】
このように凝縮された冷媒Cは、重量及び冷媒Cの供給圧に応じて下方に向かって進行し、筒部150の下端に形成された下部連通孔152を介して下部ヘッダ170内に排出される。そして、下部ヘッダ170内の冷媒Cは、周方向に移動しながら複数の冷媒排出部190のいずれかから熱交換部120の外部に導出される。このような冷媒Cは、再度サーバ2に移送され、該サーバ2を冷却する。
【0101】
以上のような構成の第四冷却システム70によれば、伝熱管131内の空気通路P1は、すべての伝熱管131で上下方向に延びる直線状をなしている。したがって、空気通路P1内に侵入した塵や埃は、重量によって下方へ、または、送風部90の送風によって上方へ抜け出ることになる。よって、空気通路P1内に塵や埃が溜まってしまうことを抑制できる。
また、各伝熱管131内の空気通路P1は、例えばメンテナンス作業者が一方向から見通すことができる。そのため、いずれの空気通路P1に異物があるかを容易に判断することができる。また、空気通路P1が直線状であるため、洗浄を容易に行うことができる。即ち、メンテナンス性を向上させることができる。
【0102】
また、伝熱管131内には該伝熱管131の内周面から突出する内面フィン131aが形成されている。これによって、空気通路P1を流通する空気と伝熱管131との接触面積を造作させることができ冷媒Cと空気との熱交換を促すことができる。そのため、伝熱管131の総数を少なくしても十分に冷媒Cの冷却を行うことができる。
さらにフィンは、上下方向にわたって一様に延びているため、空気通路P1の直線性を損なうことはない。そのため、メンテナンス性を高く維持することができる。
【0103】
また、ケーシング140が上部ヘッダ160を介して周方向の全域から冷媒室に冷媒Cを導入する構成とされているため、伝熱管群130の周方向一部に冷媒Cが偏って導入されてしまうことを回避できる。さらに、冷媒室内を流通した冷媒Cは、周方向の全域から下部ハウジング80に排出されるため、冷媒室の下部でも冷媒Cが周方向の一部に偏ってしまうことを抑制できる。これにより、冷媒C流路への冷媒Cの流量分配を均一化することができ、空気との熱交換を効率よく行うことができる。
【0104】
さらに、送風部90の駆動部91は、羽根車93への導入流路を区画形成する内側環状壁84の径方向内側に設けられている。そのため、駆動部91が空気の流れの障害物となることはない。よって、空気の流れが偏ってしまうことを抑制し、熱交換部120の各伝熱管131への流量分配を適正に行うことができる。さらに、内側環状壁84の内側といったデッドスペースに駆動部91を配置しているため、駆動部91のための余分なスペースを設ける必要はない。そのため、第四冷却システム70全体として大型化してしまうことを回避できる。
【0105】
また、上部ハウジング100に吸音材が設けられているため、羽根車93の駆動によって生じる音を当該吸音材によって吸収することができる。これにより、第四冷却システム70の駆動によって生じる騒音の周囲への影響を低減させることができる。
なお、上部ハウジング100に加えて又は、上部ハウジング100に変えて、下部ハウジング80に吸音材を設けてもよい。これによっても、同様の作用効果を奏する。
【0106】
さらに、上部ハウジング100内に整流体110が設けられているため、空気が整流体110の整流孔110aを通過することで、伝熱管131の空気通路P1に沿って該伝熱管131内の空気流路に空気を導入することができる。そのため、外部環境の風の影響を受けにくく、冷却性能を安定化することができる。
【0107】
また、上部ハウジング100を通過する際に水噴射部112によって空気に水を混入することができる。これにより、例えば外気温が高い条件の場合であっても、水が蒸発する際の気化熱を利用し、見かけの空気温度を低下させることができる。よって、熱交換部120での冷媒Cの冷却性能を向上させることができる。また、上部ハウジング100の内部で水を噴射する構成のため、第四冷却システム70内部のスペースで完結させることができ、別途大掛かりな構成を導入する必要はない。そのため、コンパクトかつ低コストにして冷却性能を向上させることができる。
【0108】
<第四実施形態の第一変形例>
例えば
図23に示すように、伝熱管群130における冷媒通路P2内に、抵抗体200を設けた構成であってもよい。抵抗体200は、上下方向に間隔をあけて複数が設けられており、上下方向を厚さ方向とする板状をなしている。抵抗体200は、平面視で冷媒通路P2に沿って水平方向に延びている。抵抗体200は、伝熱管131の外周面と所定の通路間隔Dをあけて冷媒通路P2同様に平面視網目状に延びている。冷媒通路P2を延びる抵抗体200の両側に、通路間隔Dが形成されている。
【0109】
このような構成によれば、抵抗体200によって上下方向の冷媒Cの移動が制限される。即ち、冷媒Cにとって上下方向の抵抗が大きくなるため、該冷媒Cは水平方向に進行し易くなる。これによって、伝熱管群130の径方向内側の内部にも冷媒Cを適切に行き渡らせることができ、熱交換器40全体としての流量分配を均一化することができる。
【0110】
なお、例えば、抵抗体200と伝熱管131の外周面との間の通路間隔Dの大きさは、伝熱管群130の内部に向かうに連れて、即ち、径方向内側に向かうに連れて大きくなるように構成されていてみよい。
これにより、冷媒Cが到達しにくい伝熱管群130の径方向内側の部分にも積極的に冷媒Cを到達させることができる。そのため、流量分配のより一層の均一化を図ることができる。
【0111】
<第四実施形態の第一変形例>
例えば
図24に示すように、ケーシング140の筒部150の内周面と伝熱管群130の最外面との間を閉塞する閉塞部210を設けてもよい。閉塞部210は、例えば筒部150の内周面から径方向内側に突出するとともに周方向にわたって配列されたブラシ毛を有するブラシである。なお、閉塞部210としては、ケーシング140の筒部150の内周面と伝熱管群130の最外面との間の空間を埋めることができればよく、例えば、スポンジやゴム等の弾性体であってもよい。
【0112】
これにより、熱交換に寄与しない伝熱管群130とケーシング140との隙間を冷媒Cが流通してしまうことを抑制できる。そのため、熱交換を行うことができる伝熱管131同士の間の冷媒通路P2に冷媒Cを積極的に導入することができ、熱交換効率を向上させることができる。
【0113】
<その他の実施形態>
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、その発明の技術的思想を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。
【0114】
例えば第一実施形態の第一冷却システム1の冷媒槽3を第二冷却システム30のコンテナ31内の室内Rに配置して、ヒートパイプ10の一部及び板状フィン20をコンテナ31外の室外Eに配置してもよい。
【0115】
第三実施形態の第三冷却システム50を、第一実施形態及び第二実施形態の冷媒槽3に適用してもよい。
また、第二実施形態の熱交換器40に変えて、第四実施形態の第四冷却システム70を設けてもよい。
【0116】
<付記>
各実施形態に記載の、例えば以下のように把握される。
【0117】
(1)の冷却システムは、発熱体から熱を除去する冷媒Cを、閉空間とされた内部に収容する冷媒槽3と、前記冷媒槽3から該冷媒槽3の外方に延在するように複数が配列されているとともに、それぞれの内部に作動流体としての冷媒Cが移動可能な通路が形成された複数のヒートパイプ10と、前記冷媒槽3の外部で複数の前記ヒートパイプ10に対してこれらヒートパイプ10の配列方向に送風する送風ファン27と、を備え、各前記ヒートパイプ10の延在方向に直交する断面形状が、前記送風方向を長手方向とするとともに、該送風方向の上流側を前縁11とし下流側を後縁12とする偏平状をなしている冷却システムである。
【0118】
これにより、ヒートパイプ10の前縁11では冷却が促される一方、後縁12では冷却が阻害される。そのため、ヒートパイプ10の前縁11側では冷媒Cが凝縮し易くなることで液相の冷媒Cの通路となり、後縁12側では冷媒Cが凝縮し易くなることで気相の冷媒Cの通路となる。そのため、ヒートパイプ10内での冷媒Cの移動が促進され、熱の移送を効率的に行うことができる。
【0119】
(2)の冷却システムは、前記ヒートパイプ10は、前記送風方向の上流側よりも下流側の方が疎となるように配列されている(1)の冷却システムである。
【0120】
空気の温度が上昇する下流側では、空気密度が小さくなり、体積流量が大きくなる。そのため、ヒートパイプ10群の下流側を疎とすることで、圧力損失を適正化することができる。
【0121】
(3)の冷却システムは、前記冷媒槽3の外部で複数の前記ヒートパイプ10の延在方向に直交する方向に延びて、これらヒートパイプ10が貫通する貫通孔21を有する板状フィン20をさらに備え、前記ヒートパイプ10の前記前縁11は、前記板状フィン20の前記貫通孔21の内周縁部と接触しており、前記ヒートパイプ10の前記後縁12は、前記板状フィン20の前記貫通孔21の内周縁部との間に隙間を介している(1)又は(2)の冷却システムである。
【0122】
これにより、ヒートパイプ10の前縁11側での冷媒Cの凝縮を促しながら、後縁12側での冷媒Cの凝縮を妨げることができる。
【0123】
(4)の冷却システムは、前記ヒートパイプ10は、該ヒートパイプ10内の前記通路を、前記上流側の前縁側通路16と、前記下流側の後縁側通路17とに隔てる仕切り部15をさらに有する(1)から(3)のいずれか一項に記載の冷却システムである。
【0124】
これによって、ヒートパイプ10での冷媒Cの気相の通路(蒸気流路)と液相との通路(凝縮液流路)を区画形成することができ、移送効率を向上させることができる。
【0125】
(5)の冷却システムは、前記ヒートパイプ10は、前記冷媒槽3の内方側の端部が前記冷媒槽3内に連通しているとともに、前記冷媒槽3内の前記冷媒Cと、前記ヒートパイプ10内の前記冷媒Cとが同一である(1)から(4)のいずれかの冷却システムである。
【0126】
これにより、冷媒Cを循環させるためのポンプ等を不要とすることができる。
【0127】
(6)の冷却システムは、前記ヒートパイプ10は、前記冷媒槽3の内方側の端部が閉塞されているとともに、前記冷媒槽3の内部まで延びて前記冷媒Cに浸漬されており、前記冷媒槽3の内部の冷媒Cは、第一の冷媒C1であって、前記ヒートパイプ10の内部の冷媒Cは第二の冷媒C2である(1)から(4)のいずれかの冷却システムである。
【0128】
これによっても、冷媒Cを循環させるためのポンプ等を不要とすることができる。
【0129】
(7)の冷却システムは、室内Rと室外Eとを区画する外壁と、前記室内Rに配置されて、発熱体から熱を除去する冷媒Cを閉空間とされた内部に収容する冷媒槽3と、前記室外Eに配置された熱交換器40と、前記冷媒槽3内で蒸発して気相となった作動流体としての前記冷媒Cを前記熱交換器40に導く気相管47と、前記熱交換器40で気相から液相となった作動流体としての前記冷媒Cを前記冷媒槽3に導く液相管48と、を備える冷却システムである。
【0130】
冷媒槽3内で発熱体から熱を奪うことで蒸気となった冷媒Cは、気相管47に導入されて室外Eの熱交換器40に導かれる。当該冷媒Cは熱交換器40で凝縮して凝縮水となりその自重によって液相管48を流通して冷媒槽3に導入される。そのため、冷媒Cを循環させるポンプ等を設けることなく、発熱体を効率的に冷却することができる。
【0131】
(8)の冷却システムは、前記外壁の外面とともに、下方から上方に抜けるダクト通路を形成するダクト形成部49をさらに備え、前記熱交換器40は、前記ダクト通路内に設けられている(7)に記載の冷却システムである。
【0132】
熱交換器40に温度の高い冷媒Cが導入されることでダクト内に上昇気流が生じ、該ダクト内に外気が導かれる。これにより、熱交換器40での冷媒Cの冷却をより効率良く行うことができる。
【0133】
(9)の冷却システムは、前記熱交換器40は、前記外壁の外面に沿うように一体に設けられている(7)又は(8)に記載の冷却システムである。
【0134】
外壁自体に一体に熱交換器40を設けることで、外壁自体を放熱体51として使用することができる。これにより、コンパクトかつ冷媒Cの凝縮性能の高い熱交換器40を実現できる。
【0135】
(10)の冷却システムは、前記冷媒槽3内で前記冷媒Cに浸漬されるように配置されて、前記発熱体からの熱を伝達される放熱体51と、前記放熱体51の放熱面51aから前記冷媒への熱伝達を促進させる熱伝達促進部と、をさらに備える(1)から(9)のいずれかの冷却システムである。
【0136】
これにより、例えば放熱体51に蒸気膜が付着することを抑制できるため、冷媒Cと放熱体51との間での熱伝達率を高く維持することができる。
また、放熱体の放熱面に冷媒の単相流が形成されている場合には、当該単層流を乱すことによって熱伝達を促進させることができる。
【0137】
(11)の冷却システムは、発熱体から熱を除去する冷媒Cを閉空間とされた内部に収容する冷媒槽3と、前記冷媒槽3内で前記冷媒Cに浸漬されて、前記発熱体からの熱が伝達される放熱体51と、前記放熱体51の放熱面51aから前記冷媒への熱伝達を促進させる熱伝達促進部60と、を備える冷却システムである。
【0138】
放熱体51に蒸気膜が付着することを抑制できる他、流れを乱すことで冷媒Cと放熱体51との間での熱伝達率を高く維持することができる。
【0139】
(12)の冷却システムは、前記熱伝達促進部は、前記放熱体51の放熱面51aに、超音波を照射する超音波発生器61を含む(10)又は(11)に記載の冷却システムである。
【0140】
これによって、放熱体51の放熱面51aへの蒸気膜の付着を抑制し、また、放熱面の流れを乱すことができる。例えば、層流域を乱流域に遷移させることに繋がる。
【0141】
(13)の冷却システムは、前記熱伝達促進部は、前記放熱体51の放熱面51aに、前記冷媒Cによるジェット噴流を噴射するジェット噴射器62を含む(10)から(12)のいずれかの冷却システムである。
【0142】
これによって、放熱体51の放熱面51aへの蒸気膜の付着を抑制し、また、放熱面の流れを乱すことでできる。
【0143】
(14)の冷却システムは、前記熱伝達促進部は、前記放熱体51の放熱面51aに前記ジェット噴流の流通方向に延びる流路を形成する流路形成部63をさらに含む(13)の冷却システムである。
【0144】
これによって、放熱体51の放熱面51aへの蒸気膜の付着を抑制し、また、放熱面の流れを乱すことができる。
【0145】
(15)の冷却システムは、前記熱伝達促進部は、前記放熱体51の放熱面51aに、前記冷媒Cによる旋回流を発生させる旋回流発生器64を含む(10)から(14)のいずれかの冷却システムである。
【0146】
これによって、放熱体51の放熱面51aへの蒸気膜の付着を抑制し、また、放熱面の流れを乱すことができる。
【0147】
(16)の冷却システムは、前記熱伝達促進部は、前記放熱体51の放熱面51aに設けられて、該放熱体51よりも熱伝導率の高いバインダ65を含む(10)から(15)のいずれかの冷却システムである。
【0148】
これによって、放熱体51の放熱面51aへの蒸気膜の付着を抑制し、また、放熱面の流れを乱すことができる。
【0149】
(17)の冷却システムは、前記熱伝達促進部60は、前記放熱体51の放熱面51aから突出するように設けられた放熱フィン66を含む(10)から(15)のいずれかの冷却システムである。
【0150】
これによって、放熱体51の放熱面51aへの蒸気膜の付着を抑制し、また、放熱面の流れを乱すことができる。
【0151】
(18)の冷却システムは、上下方向に直線状に延びて内側が空気通路P1とされた複数の伝熱管131を有し、これら伝熱管131が互いに間隔をあけて束ねられることで前記伝熱管131同士の間に冷媒通路P2が形成された伝熱管群130、各前記伝熱管131の両端が外部に開口するように前記伝熱管群130を覆うケーシング140、及び、前記ケーシング140内に冷媒Cを供給する冷媒供給部180、及び、前記ケーシング140内から冷媒Cを排出する冷媒排出部190を有する熱交換部120と、前記熱交換部120の下方に設けられて、前記伝熱管群130に対して下方から送風する送風部90と、を備える冷却システムである。
【0152】
伝熱管131内の空気通路P1は、すべての伝熱管131で上下方向に延びる直線状をなしている。そのため、空気通路P1内に塵や埃がたまりにくく、かつ、空気通路P1を一方向から見通すことができるため洗浄等を容易に行うことができる。
【0153】
(19)の冷却システムは、前記伝熱管131は、該伝熱管131の内周面から突出して上下方向に延びる内面フィン131aを有する(18)の冷却システムである。
【0154】
これによって冷媒Cと空気との熱交換を促すことができる。そのため、伝熱管131の総数を少なくしても十分に冷媒Cの冷却を行うことができ、製造性、メンテナンス性を向上させることができる。
【0155】
(20)の冷却システムは、ケーシング140は、前記伝熱管群130を外周側から囲う筒部150と、前記筒部150の上部で該筒部150を外周側から囲う環状をなして、前記冷媒供給部180と前記冷媒排出部190とのうちの一方が設けられた上部ヘッダ160と、前記筒部150の下部で該筒部150を外周側から囲う環状をなして、前記冷媒供給部180と前記冷媒排出部190とのうちの他方が設けられた下部ヘッダ170と、前記筒部150は、前記上部ヘッダ160内の空間と前記筒部150内の空間とを連通させるとともに周方向に間隔をあけて複数が形成された上部連通孔151と、前記下部ヘッダ170内の空間と前記筒部150内の空間とを連通させるとともに周方向に間隔をあけて複数が形成された下部連通孔152と、を有する(18)又は(19)の冷却システムである。
【0156】
これにより、冷媒C流路への冷媒Cの流量分配を均一化することができる。
【0157】
(21)の冷却システムは、前記熱交換部120は、前記冷媒通路P2内で前記伝熱管131の外周面水平方向に所定の間隔をあけて水平方向に延びる抵抗体200をさらに有する(18)から(20)のいずれかの冷却システムである。
【0158】
抵抗体200によって、上下方向のみならず水平方向に冷媒Cを導入し易くなる。そのため、熱交換部120全体として流量分配をより均一化することができる。
【0159】
(22)の冷却システムは、前記抵抗体200は、前記熱交換部120の径方向外側から内側に向かうにしたがって、前記伝熱管131との間の間隔が大きくなるように形成されている(21)の冷却システムである。
【0160】
これにより、冷媒Cが到達しにくい径方向内側にも冷媒Cを到達させ易くなる。そのため、流量分配をより一層均一化することができる。
【0161】
(23)の冷却システムは、前記熱交換部120は、前記ケーシング140の内面と前記伝熱管群130の最外面との間の空間を閉塞する閉塞部210をさらに備える(18)から(22)のいずれかの冷却システムである。
【0162】
これにより、熱交換に寄与しない伝熱管群130とケーシング140との隙間を冷媒Cが流通してしまうことを抑制できる。
【0163】
(24)の冷却システムは、前記送風部90は、上下方向に延びる軸線回りに回転可能な羽根車93と、該羽根車93の下方に配置されて該羽根車93を回転駆動させる駆動部91と、を有し、前記羽根車93を外周側から囲うように上下方向に延びる筒状をなして内側が空気の流路とされるとともに、上端が前記熱交換部120の下端に接続された上部ハウジング100と、前記駆動部91を外周側から覆いながら上方に向かうにしたがって縮径する内側環状壁84、及び、前記内側環状壁84を外周側から覆いながらに上方に向かうにしたがって縮径するとともに前記内側環状壁84とともに前記羽根車93への空気の導入流路を形成する外側環状壁85を有する下部ハウジング80と、をさらに備える(18)から(23)のいずれかの冷却システムである。
【0164】
これにより、駆動部91が空気の流れの障害物とならず、偏流を回避することができる。また、全体としてコンパクトな構成を実現できる。
【0165】
(25)の冷却システムは、前記上部ハウジング100及び前記下部ハウジング80の少なくとも一方の一部が、吸音材によって形成されている(24)の冷却システムである。
【0166】
これによって、周囲への騒音を低減することができる。
【0167】
(26)の冷却システムは、前記上部ハウジング100内の空気の流路に設けられて、上下方向に貫通する整流孔110aが水平方向に複数配列されている整流体110をさらに備える(24)又は(25)の冷却システムである。
【0168】
これによって、伝熱管131の空気通路P1に沿って空気を導入することができる。そのため、外部環境の風の影響を受けにくく、冷却性能を安定化することができる。
【0169】
(27)の冷却システムは、前記上部ハウジング100内の空気の流路に水を供給する水供給部をさらに備える(24)から(26)のいずれかの冷却システムである。
【0170】
これによって、熱交換部120での冷媒Cの冷却性能をより向上させることができる。
【符号の説明】
【0171】
1…第一冷却システム 2…サーバ 3…冷媒槽 3a…槽底壁 3b…槽側壁 3c…槽天壁 10…ヒートパイプ 11…前縁 12…後縁 13…前縁側領域 14…後縁側領域 15…仕切り部 16…前縁側通路 17…後縁側通路 20…板状フィン 21…貫通孔 21a…当接縁部 21b…被当接縁部 25…カバー 27…送風ファン 30…第二冷却システム 31…コンテナ 32…底壁 33…側壁 34…天壁 40…熱交換器 41…外部伝熱管 42…上流側ヘッダ 43…下流側ヘッダ 44…外部フィン 47…気相管 48…液相管 49…ダクト形成部 50…第三冷却システム 51…放熱体 51a…放熱面 60…蒸気膜除去部(熱伝達促進部) 61…超音波発生器 62…ジェット噴射器 63…流路形成部 64…旋回流発生器 64a…プロペラ 65…バインダ 66…放熱フィン 70…第四冷却システム 80…下部ハウジング 81…ハウジング外周壁 81a…外周開口部 82…ハウジング底壁 83…ハウジング天壁 83a…上部開口部 84…内側環状壁 85…外側環状壁 88…脚部 90…送風部 91…駆動部 92…軸部 93…羽根車 94…ボス部 95…羽根 100…上部ハウジング 100a…第一内周面 100b…第二内周面 110…整流体 110a…整流孔 112…水噴射部 120…熱交換部 130…伝熱管群 131…伝熱管 131a…内面フィン 140…ケーシング 150…筒部 151…上部連通孔 152…下部連通孔 155…上部管板 156…下部管板 160…上部ヘッダ 170…下部ヘッダ 180…冷媒供給部 190…冷媒排出部 200…抵抗体 210…閉塞部 C…冷媒 C1…第一の冷媒 C2…第二の冷媒 R…室内 E…室外 F1…気相流 F2…液相流 O…鉛直軸線 P1…空気通路 P2…冷媒通路 D…通路間隔