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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022158115
(43)【公開日】2022-10-17
(54)【発明の名称】プリンタ装置、及び可動刃ユニット
(51)【国際特許分類】
   B41J 11/70 20060101AFI20221006BHJP
   B26D 1/08 20060101ALI20221006BHJP
   B26D 7/26 20060101ALI20221006BHJP
【FI】
B41J11/70
B26D1/08
B26D7/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021062803
(22)【出願日】2021-04-01
(71)【出願人】
【識別番号】501398606
【氏名又は名称】富士通コンポーネント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】小口 達也
(72)【発明者】
【氏名】矢田 雄二
【テーマコード(参考)】
2C058
3C021
3C027
【Fターム(参考)】
2C058AB12
2C058AC06
2C058AE04
2C058AE10
2C058AF51
2C058LA03
2C058LA08
2C058LA13
2C058LA24
2C058LB09
2C058LB17
2C058LB24
3C021JA05
3C021JA08
3C021JA10
3C027JJ02
3C027JJ09
(57)【要約】
【課題】カッターを有するプリンタ装置において、容易に可動刃等を交換できるプリンタ装置を提供する。
【解決手段】プリントヘッドにより印字がなされた記録紙を固定刃と可動刃により切断するプリンタ装置において、前記可動刃が取り付けられるスライダを含む可動刃ユニットを有し、前記スライダは、前記可動刃に接触する接触部と、前記接触部より薄く形成された可撓部と、前記可撓部に設けられた第1突起とを有し、前記可動刃は第1開口を有し、 前記第2開が前記第1突起に係合してなることを特徴とするプリンタ装置。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリントヘッドにより印字がなされた記録紙を固定刃と可動刃により切断するプリンタ装置において、
前記可動刃が取り付けられるスライダを含む可動刃ユニットを有し、
前記スライダは、前記可動刃に接触する接触部と、前記接触部より薄く形成された可撓部と、前記可撓部上に設けられた第1突起と、を有し、
前記可動刃は第1開口を有し、
前記可動刃の前記第1開口が前記第1突起に係合してなることを特徴とするプリンタ装置。
【請求項2】
前記スライダは孔部を有し、
前記可撓部は、前記孔部に架けられた梁部からなることを特徴とする請求項1に記載のプリンタ装置。
【請求項3】
前記可動刃は、前記第1突起より外側に設けられた第2突起をさらに有し、
前記スライダは、前記スライダ上に取り付けられた前記可動刃の一部を収容可能な収容部と、前記第2突起に係合する第2開口とを有してなる請求項1または2に記載のプリンタ装置。
【請求項4】
前記可動刃ユニットは、前記可動刃を駆動する駆動ギアを備えたフレームを更に有し、
前記スライダは、前記駆動ギアの回転が伝達されるラックを更に備え、
前記スライダは、前記駆動ギアの回転を受けて前記可動刃ユニットから突出するよう構成され、
前記スライダが前記可動刃ユニットから突出している状態において、前記可動刃を取り外すことができることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のプリンタ装置。
【請求項5】
プリントヘッドにより印字がなされた記録紙を固定刃と可動刃により切断するプリンタ装置に着脱可能な可動刃ユニットにおいて、
前記可動刃が取り付けられるスライダを有し、
前記スライダは、前記可動刃に接触する接触部と、前記接触部より薄く形成された可撓部と、前記可撓部に設けられた第1突起とを有し、
前記可動刃は第1開口を有し、
第1開口が前記第1突起に係合してなることを特徴とする可動刃ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタ装置、及び可動刃ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
レシート等を発行するプリンタは、商店等のレジスタ、銀行等におけるATM(Automated Teller Machine)やCD(Cash dispenser)等の用途に幅広く用いられている。このようなレシート等を発行するプリンタは、記録紙となる感熱紙を搬送しながらサーマルヘッド等により記録紙に印字等を行ない、所定の長さまで記録紙を搬送した後、カッターで所定の長さで記録紙を切断するものである。
【0003】
このようなプリンタ装置においては、例えば、プリンタの本体と、本体に回転可能に支持された蓋が設けられており、蓋を開くことにより本体にロール状に巻かれた記録紙を設置できる。この場合、サーマルヘッドは本体に、プラテンローラは蓋に設置されており、蓋を閉じることにより、記録紙はサーマルヘッドとプラテンローラとの間に挟まれる。このようにサーマルヘッドとプラテンローラとの間に記録紙が挟まれた状態で、記録紙にサーマルヘッドによる印字がなされる。
【0004】
このようなプリンタ装置に設けられているカッターは、可動刃と固定刃により記録紙を切断するものであり、可動刃と固定刃との間に記録紙が存在している状態において、可動刃が固定刃の設けられている側に移動することにより、記録紙を切断できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004-106489号公報
【特許文献2】特開2004-090255号公報
【特許文献3】特許第6293439号公報
【特許文献4】特許第5292114号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
カッターは、記録紙の切断を繰り返しているうちに破損する場合がある。この状態では記録紙を切断できないため、定期的にカッターを交換することが必要となるが、カッターを構成している可動刃のみをユーザー自身により交換することは容易ではなく、特殊な工具を用いるなどして、専門業者の手により行なわれている。また、カッターの摩耗時もカッターを交換する必要がある。
【0007】
よって、カッターを有するプリンタ装置において、容易に可動刃を交換できるプリンタ装置が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本実施形態の一観点によれば、プリントヘッドにより印字がなされた記録紙を固定刃と可動刃により切断するプリンタ装置において、前記可動刃が取り付けられるスライダを含む可動刃ユニットを有し、前記スライダは、前記可動刃に接触する接触部と前記接触部より薄く形成された可撓部と、前記可撓部上に設けられた第1突起とを有し、前記可動刃は第1開口を有し、前記可動刃の前記第1開口が前記第1突起に係合してなることを特徴とする。
【0009】
本実施形態の一観点によれば、プリントヘッドにより印字がなされた記録紙を固定刃と可動刃により切断するプリンタ装置に着脱可能な可動刃ユニットにおいて、前記可動刃が取り付けられるスライダを有し、前記スライダは、前記可動刃に接触する接触部と、前記接触部より薄く形成された可撓部と、前記可撓部に設けられた第1突起とを有し、前記可動刃は第1開口を有し、第1開口が前記第1突起に係合してなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、カッターを有するプリンタ装置において、容易に可動刃を交換することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本実施形態におけるプリンタ装置の断面図
図2】本実施形態におけるプリンタ装置の斜視図
図3】本実施形態におけるプリンタ装置の可動刃ユニットの分解図
図4】スライダの一例を示す図
図5】スライダの他の例を示す図
図6】可動刃着脱時の可動刃及びスライダの移動を示す斜視図
図7】可動刃ユニットの背面側からの斜視図
図8】スライダへの可動刃の取り付けを示す図
図9】スライダからの可動刃の取り外しを示す図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明を実施するための形態について、以下に詳細に説明する。なお、同じ部材等については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0013】
以下に示す図でX軸、Y軸及びZ軸により方向を示す場合、X軸に沿うX方向は本実施形態に係るプリンタ装置が有する可動刃の長手方向を示す。Y軸に沿うY方向は可動刃の短手方向を示す。Z軸に沿うZ方向はX軸及びY軸の両方に直交する方向を示す。
【0014】
X方向で矢印が向いている方向を+X方向、+X方向の反対方向を-X方向と表記し、Y方向で矢印が向いている方向を+Y方向、+Y方向の反対方向を-Y方向と表記し、Z方向で矢印が向いている方向を+Z方向、+Z方向の反対方向を-Z方向と表記する。X方向は左右方向に対応する。
【0015】
図1は、本実施形態におけるプリンタ装置の断面図であり、図2は、本実施形態におけるプリンタ装置の斜視図である。本実施形態におけるプリンタ装置は、感熱紙などの記録紙Pに印字を行うサーマルヘッド10(プリントヘッド)、記録紙Pを搬送するプラテンローラ20、記録紙Pを切断する可動刃31及び固定刃41を有している。本実施形態においては、記録紙Pがサーマルヘッド10とプラテンローラ20との間に挟まれた状態で記録紙Pへの印字がなされる。
【0016】
本実施形態におけるプリンタ装置は、プリンタ本体(以下「本体」)50と本体50に対して着脱可能な可動刃ユニット70とを有している。本体50は不図示の筐体に取り付けられており、可動刃ユニット70は筐体に回動可能に取り付けられた蓋60に着脱可能に取り付けられている。蓋60を開くことにより、可動刃ユニット70が本体50から外れて本体50と可動刃ユニット70との間に記録紙Pを設置でき、蓋60を閉じることにより、サーマルヘッド10により記録紙Pに印字可能な状態となる。なお、図1は、蓋60が閉じている状態を示し、図2は、可動刃ユニット70が本体50から外れた状態を示している。
【0017】
本実施の形態において、サーマルヘッド10及び固定刃41は本体50に設置されており、プラテンローラ20、可動刃31及びスライダ32は可動刃ユニット70に設置されている。
【0018】
図1において、可動刃31と固定刃41とはカッターを構成しており、可動刃31がスライダ32とともに-Y方向に移動し、固定刃41の上を通過することにより記録紙Pが切断される。
【0019】
固定刃41は、固定刃41を+Z方向に付勢するバネ部42の上に設置されている。
【0020】
固定刃41は、バネ部42により可動刃31の側に押されており、固定刃41の上を可動刃31が通過する際に記録紙Pが切断される。記録紙Pの搬送経路のサーマルヘッド10に対して上流の印字面側には、搬送経路を形成し記録紙を案内する記録紙ガイド43が設置されており、サーマルヘッド10の背面には、サーマルヘッド10に発生した熱を放出する放熱板11が設置されている。
【0021】
(可動刃ユニット70)
図3は、本実施形態におけるプリンタ装置の可動刃ユニットの分解図である。可動刃ユニット70は、可動刃31、スライダ32、フレーム33、プラテンローラ20、補強用の金具34及び取付け板35を有している。
【0022】
可動刃31は、金属等の材料により形成されており、可動刃31の刃の部分がV字状に形成されている。また、可動刃31の両側の端部近傍には、各々第2開口311が設けられており、両側の端部より中央側には、各々第1開口312が設けられている。
【0023】
第2開口311は、平面視が略矩形状の貫通孔であり、第1開口312は、平面視が略円形状の貫通孔である。但し、各開口の形状はこれに限定されるものではなく、第2開口311と第1開口312の両方が略円形状又は略矩形状の貫通孔であってもよいし、平面視が略楕円形状又は長孔状の貫通孔であってもよい。
【0024】
可動刃31の中央近傍であって刃の反対側には、切欠き313が設けられている。切欠き313が設けられることで、可動刃31は、少なくとも一部が左右非対称に形成されている。
【0025】
プリンタ装置では、可動刃31と固定刃41との接触面積を小さくして記録紙Pの切断力を向上させるために、凸側が向き合うように可動刃31と固定刃41を各々僅かに長手方向に反らせる場合がある。このため、可動刃31をスライダ32に組み付ける際に可動刃31の表裏が誤って組み付けられると、可動刃31と固定刃41の凸側同士が向き合わずにカッターの切断力が低下する懸念がある。可動刃31の少なくとも一部を左右非対称に形成することで、スライダ32に可動刃31の表裏が誤って組み付けられることを防ぎ、カッターの切断力低下を防止できる。
【0026】
スライダ32は、樹脂材料等により形成されている。スライダ32の-Z側の左右両側の各々にはラック320が設けられており、可動刃駆動用のモータにギア等を介して接続されている不図示のピニオンと接続可能である。モータを回転させることにより不図示のピニオンが回転し、この回転がラック320に伝達され、スライダ32をY方向に動かすことができる。
【0027】
可動刃31はスライダ32に組みつけられており、スライダ32を動かすことにより、可動刃31を動かすことができる。可動刃31及びスライダ32は、フレーム33の+Z側に、スライダ32とフレーム33とで可動刃31をはさむように取り付けられる。また、可動刃31及びスライダ32を覆うように金具34及び取付け板35が設置されている。金具34及び取付け板35は金属等の材料により形成されている。また、プラテンローラ20は、フレーム33に、回転可能に取り付けられている。なお、上述した図2では、金具34の図示を省略している。
【0028】
(スライダ32)
次に、スライダ32について説明する。図4は、スライダ32の一例を示す図であり、図4(a)は-Z側からの斜視図、図4(b)は図4(a)の領域Aの部分拡大図であり、図4(c)は図4(a)のB-B切断線に沿う断面図である。
【0029】
図4に示すように、スライダ32には、第2突起321と、孔部322と、可撓部323と、第1突起324と、収容部325と、案内部326と、が設けられている。
【0030】
第2突起321は、スライダ32の一方の面に対応する-Z側の面における両側の端部近傍に設けられており、平面視が略矩形状の突起である。
【0031】
第2突起321は、対をなす可動刃31の第2開口311の形状と長辺及び短辺の長さが等しい略矩形状か、或いは長辺及び短辺の長さが僅かに小さい略矩形状に形成されていることが好ましい。こうすることで、可動刃31をスライダ32に取り付ける際に、対をなす第2突起321を、第2開口311に対して容易に係合させることができる。或いは、可動刃31をスライダ32から取り外す際に、対をなす第2突起321から、第2開口311を容易に抜き出すことができる。
【0032】
図4(c)に示すように、第2突起321には、各々第1傾斜部321aが形成されている。第1傾斜部321aは、-Y側が高く、+Y側が低くなるように、傾斜角度θ1で傾斜している。
【0033】
孔部322は、スライダ32の両側の端部より中央側に設けられている。図4における孔部322は、可動刃31と接触しないよう設けられた貫通孔である。孔部322には、孔部322に架けられた梁部からなる可撓部323が設けられている。スライダ32の一方の面に対応する可撓部323の-Z側の面には、第1突起324が設けられている。第1突起324は平面視が略円形状の突起である。
【0034】
第1突起324は、対をなす第1開口312の形状と略等しい略円形状か、或いは直径が僅かに小さい略円形状に形成されていることが好ましい。このような形状とすることで、可動刃31をスライダ32に取り付ける際に、一対の第2突起321を第2開口311に容易に係合させることができる。或いは、可動刃31をスライダ32から取り外す際に、第2突起321から第2開口311を容易に抜き出すことができる。
【0035】
図4(c)に示すように、第1突起324には、第2傾斜部324aが設けられている。第2傾斜部324aは、+Y側が高く、-Y側が低くなるように、傾斜角度θ2で傾斜している。
【0036】
接触部329は、可動刃31がスライダ32に取り付けられている状態で、可動刃31が接触するスライダ32の部分である。可撓部323の厚みt1は、接触部329におけるスライダ32の厚みt0より薄く形成されており、接触部329と比較して撓みやすくなっている。
【0037】
可撓部323の機械的強度を確保する場合、可撓部323の厚みt1は厚くすることが好ましい。一方、可動刃31をスライダ32に対して着脱する際に要求される可撓部323の可撓性を確保には、厚みt1を薄くすることが好ましい。例えば接触部329の厚みt0が1.0[mm]である場合には、可撓部323の厚みt1は例えば0.7[mm]以上、0.8[mm]以下とすることが好ましい。
【0038】
孔部322に架けられた梁部により可撓部323を構成することで、可撓部323がより撓みやすくなる。撓みやすさの観点では梁部の幅は狭い方が撓みやすく、例えば梁部の幅を第1突起324のY方向における幅と略等しくすることが好ましい。
【0039】
収容部325は、孔部322の各々の外側近傍において、スライダ32の-Z側に設置された可動刃31の一部を収容可能に設けられている。収容部325は箱状に形成されており、X方向における内側及び-Y側の壁部が各々開放されている。
【0040】
収容部325は、可動刃31がスライダ32に取り付けられている状態で、可動刃31のスライダ32に向き合う面とは反対側の面を突き当て可能な突き当て面327を有する。収容部325は、壁部が開放されている部分を介して可動刃31を内側に収容し、可動刃31の-Z側の面を突き当て面327に突き当て可能になっている。
【0041】
案内部326は、X方向における収容部325の外側に設けられており、Y方向を長手方向とする長孔である。フレーム33に設けられた凸部331(図7参照)を案内部326に挿入させることで、フレーム33に対する可動刃31及びスライダ32のY方向への移動を案内できる。
【0042】
なお、図4では、可撓部323が、貫通孔である孔部322に架けられた梁部からなる構成を例示したが、これに限定されるものではない。図5は、スライダ32の他の例を示す図であり、図5(a)は-Z側からの斜視図であり、図5(b)は図5(a)の領域Cの部分拡大斜視図であり、図5(c)は図5(a)のD-D切断線に沿う断面図である。
【0043】
図5に示すように、スライダ32には、スライダ32の+Z側及び-Z側の面には各々孔部322の一例である凹部が形成されている。凹部は接触部329よりも厚みが薄く、この部分が可撓部328となっている。凹みをスライダ32の両面に形成することによって、可撓部328が可動刃31と接触しないようにすることが可能となる。
【0044】
(スライダ32への可動刃31の着脱)
次に図6乃至図9に基づき、可動刃ユニット70におけるスライダ32への可動刃31の着脱動作について説明する。図6は、スライダ32に対して可動刃31を着脱する際における可動刃31及びスライダ32の移動を示す斜視図であり、図6(a)は移動前の状態を示す斜視図、図6(b)は移動後を示す斜視図である。図7は、可動刃ユニットの背面側からの斜視図であり、金具34及び取付け板35を取り外した状態を示している。
【0045】
図8は、スライダ32への可動刃31の取り付け示す図であり、図8(a)は設置途中の状態を示す図、図8(b)は図8(a)のE-E切断線に沿う断面図、図8(c)は設置後の状態を示す図、図8(d)は図8(c)のF-F切断線に沿う断面図である。
【0046】
図9は、スライダ32からの可動刃31の取り外しを示す図であり、図9(a)は取り外し途中の状態を示す図、図9(b)は図9(a)のG-G切断線に沿う断面図、図9(c)は取り外し可能な状態を示す図である。
【0047】
図6に示すように、フレーム33には可動刃を駆動するための駆動ギア36が設けられている。駆動ギア36は、本体50に設けられたモータにより駆動され、可動刃ユニット70の内部に設けられている中間ギア(不図示)とかみ合い、中間ギアはスライダ32に設けられているラック320とかみ合う。駆動ギア36の回転に連動して可動刃31及びスライダ32が-Y方向に移動することにより、記録紙Pを切断できる。
【0048】
蓋60が開いている状態において、駆動ギア36を矢印81方向に回転させると、中間ギアを介して可動刃31及びスライダ32が-Y方向に移動する。これにより、図6(b)に示すように、可動刃31を取り付けた状態でスライダ32が可動刃ユニット70から突出することで第1突起324が視認可能な状態になり、可動刃31及びスライダ32を停止させた後、スライダ32に対して可動刃31を着脱できる。
【0049】
図7に示すように、フレーム33には凸部331が設けられている。凸部331は案内部326に挿入されている。案内部326が設けられていることにより、駆動ギア36を回転させて可動刃31及びスライダ32を移動させる際に、可動刃31及びスライダ32のY方向への移動を円滑化できると共に、その移動範囲を制限できる。また図7において、スライダ32の+Z側に金具34(図3参照)が設置されることにより、フレーム33から可動刃31及びスライダ32が外れることを防止できる。
【0050】
可動刃31をスライダ32に取り付ける際には、図8(a)に示すように、スライダ32のやや-Y側に可動刃31を配置し、可動刃31の+Z側の面とスライダ32の-Z側の面とを向き合わせる。この状態では、図8(b)に示すように、可動刃31の+Z側の面によって第1突起324が押されることにより、可撓部323が+Z側に撓んでいる。
【0051】
その後、可動刃31を+Y方向に移動させる。第1突起324と平面視が重なる位置に第1開口312が到達すると、図8(d)に示すように、可撓部323が撓んでいる状態から復元し、第1開口312が、対をなす第1突起324に各々入り込む。これにより、スライダ32に対して可動刃31が固定される。
【0052】
第1突起324に設けられている第2傾斜部324aは、+Y側が高くなるように傾斜角度θ2で傾斜しているため、傾斜がない場合と比較して、可動刃31が+Y方向に容易に移動可能であり、第1開口312が第1突起324に入り込みやすくなっている。また可動刃31がスライダ32に取り付けられている状態においては、可動刃31を確実に固定できる。
【0053】
可動刃31の+Y方向への移動により第1突起324と平面視が重なる位置に第1開口312が到達した後、第1突起324を第1開口312に入れる。これにより、可動刃31がスライダ32に対し、X方向及びY方向、即ち可動刃31の面内方向において容易に位置決めすることができる。
【0054】
可動刃31の+Y方向への移動により収容部325の位置に可動刃31の一部が到達した後、可動刃31の一部を収容部325により収容させる。この際に、可動刃31の-Z側の面は、突き当て面327に突き当てられることにより、可動刃31がスライダ32に対し、Z方向、即ち可動刃31の面外方向においても容易に位置決めすることができる。
【0055】
換言すると、第1突起324が第1開口312に入り込むことは、XY平面内においてスライダ32に対し可動刃31を位置決めする機能を担い、第2突起321が第2開口311に入り込むことは、可動刃31が移動して紙を切断する際に紙に押されて可動刃が逃げないようにするストッパ機能を担っている。また、可動刃31の一部を収容部325が収容することは、スライダ32に対しZ方向において可動刃31を位置決めする機能を担っている。このように、各方向の位置決め機能とストッパ機能が各構成により分担されている。
【0056】
本実施形態では、2つの第1開口312のうちの一方である+X側の第1開口312が、X方向を長手方向とする長孔になっている。2つの第1開口312のうちの両方を略円形状の開口にすると、製作誤差等によって、2つの第1突起324が、対をなす第1開口312に各々円滑に入り込まなくなる場合があるので、これを抑制するためである。但し、2つの第1開口312のうちの一方を長孔にすることは必須ではなく、両方を略円形状に形成してもよい。
【0057】
可動刃31をスライダ32から取り外す際には、図9(a)及び図9(b)に示すように、第1開口312と係合している第1突起324が+Z側に押されて可撓部323が押された方向に撓むことで、第1突起324が第1開口312から抜け出す。これにより、可動刃31がスライダ32から取り外し可能な状態になる。この状態で、第2開口311から第2突起321を抜き、可動刃31を-Y側に移動させることで、図9(c)に示すように、可動刃31がスライダ32から取り外せる。
【0058】
第2突起321に設けられている第1傾斜部321aは、-Y側が高くなるように、傾斜角度θ1で傾斜しているため、傾斜がない場合と比較して、可動刃31が-Y方向に容易に移動可能であり、第2突起321が第2開口311から抜けやすくなっている。また可動刃31がスライダ32に取り付けられた状態においては、可動刃31を確実に固定できる。
【0059】
蓋が閉じている状態においては、固定刃41を上方向に押しているバネ部42により、可動刃31はスライダ32の側に押されている。よって、可動刃31が動いて可動刃ユニットから出ても、第2開口311が第2突起321より外れることはなく、また第1開口312が第1突起324より外れることはない。よって、可動刃31が外れることなく、可動刃31と固定刃41により記録紙Pを切断できる。
【0060】
以上説明したように、本実施形態では、32スライダは、可動刃31に接触する接触部329と、接触部329より薄く形成された可撓部323と、可撓部323上に設けられた第1突起324とを有し、可動刃31は第1開口312を有し、可動刃31の第1開口312が第1突起324に係合してなる。
【0061】
この構成により、可動刃31をスライダ32に確実に固定すると共に、第1突起324を第1開口312に係合しやすく形成できる。そして、開口に圧力をかけて突起に入れる圧入により可動刃をスライダに設置する方法や、可動刃及びスライダをフレームに固定する方法と比較して、可動刃31をスライダ32に容易に取り付けることができる。また、可動刃31をスライダ32から容易に取り外すことができる。よって、カッターを有するプリンタ装置において、ユーザー自身によっても容易に可動刃等を交換できる。
【0062】
また、本実施形態に係るプリンタ装置は、本体50と、本体50に開閉可能に接続されている蓋60とを有している。本体50には固定刃41が設置されており、蓋60には、可動刃31を備えた可動刃ユニット70が設置されている。そして、蓋60が開いている状態において、可動刃31をスライダ32から容易に着脱できる。
【0063】
また、本実施形態では、スライダ32には可撓部323が設けられており、可撓部323には第1突起324が設けられており、可動刃31をスライダ32に対して着脱する際に、第1突起324が押されるため、可撓部323が局所的に撓む。
【0064】
可動刃をスライダに対して着脱する際にスライダの全体が撓む構成にすると、スライダの撓みに応じて可動刃も撓むことで、可動刃に応力が加わる場合がある。しかし、可撓部323によりスライダを局所的に撓ませることにより、このような応力の発生を防止できる。特に、上述したように切断力向上のために可動刃を僅かに反らせている構成においては、応力により可動刃の反り状態が変化する懸念があるため、可撓部323の効果がより顕著となる。
【0065】
また、可動刃ユニット70においても、上述したプリンタ装置と同様の効果が得られる。
【0066】
以上、本発明の実施に係る形態について説明したが、上記内容は、発明の内容を限定するものではない。
【符号の説明】
【0067】
10 サーマルヘッド、20 プラテンローラ、31 可動刃、311 第2開口、312 第1開口、313 切欠き、32 スライダ、320 ラック、321 第2突起、
321a 第1傾斜部、322 孔部、323、328 可撓部、324 第1突起、
324a 第2傾斜部、325 収容部、326 案内部、327 突き当て面、
329 接触部、33 フレーム、331 凸部、34 金具、35 取付け板、
36 駆動ギア、41 固定刃、42 バネ部、43 記録紙ガイド、
50 プリンタ本体、60 蓋、70 可動刃ユニット
図1
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図9