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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2022015814
(43)【公開日】2022-01-21
(54)【発明の名称】連結支持具
(51)【国際特許分類】
   F16B 7/20 20060101AFI20220114BHJP
   E04B 2/74 20060101ALI20220114BHJP
【FI】
F16B7/20 D
E04B2/74 531E
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020118923
(22)【出願日】2020-07-10
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-05-26
(71)【出願人】
【識別番号】520255126
【氏名又は名称】株式会社エバー・ウィステリア
(74)【代理人】
【識別番号】100120086
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼津 一也
(74)【代理人】
【識別番号】100191204
【弁理士】
【氏名又は名称】大塚 春彦
(72)【発明者】
【氏名】藤永 勝已
【テーマコード(参考)】
3J039
【Fターム(参考)】
3J039AA06
3J039BB01
(57)【要約】
【課題】入手の容易な汎用的な部材を用いて容易に設置できる安価な組立式構造物の作製を可能とする連結支持具を提供する。
【解決手段】接続部を中心として放射状に等間隔に立設された4つの板部12~18を備え、4つの板部12~18が、それぞれ、接続部近傍に設けられ、支柱管部材端部の周縁部を挿入可能な上端が開放され上下方向に形成された挿入切欠部20~26と、挿入切欠部20~26の下方に設けられ、フレーム管部材を挿入可能な外方に延伸した棒状部材28~34とを具備している連結支持具10である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
立設する支柱管部材及び横設するフレーム管部材を連結して支持する連結支持具であって、
接続部を中心として放射状に等間隔に立設された4つの板部を備え、
前記4つの板部が、それぞれ、
前記接続部近傍に設けられ、前記支柱管部材端部の周縁部を挿入可能な上端が開放され上下方向に形成された挿入切欠部と、
前記挿入切欠部の下方に設けられ、前記フレーム管部材を挿入可能な外方に延伸した棒状部材と、
を具備していることを特徴とする連結支持具。
【請求項2】
前記支柱管部材の下端及び上端に取り付け可能な連結支持具であって、
前記棒状部材が、前記挿入切欠部から遠い側の下側棒状部材、及び前記挿入切欠部に近い側の上側棒状部材を具備し、
前記支柱管部材の下端に取り付ける場合、
前記下側棒状部材が、地面に設置される部材となると共に、前記上側棒状部材が、前記フレーム管部材を挿入して支持する部材となり、
前記支柱管部材の上端に取り付ける場合、
前記下側棒状部材が、前記フレーム管部材を挿入して支持する部材となることを特徴とする請求項1記載の連結支持具。
【請求項3】
前記板部に設けられた2本の下側棒状部材及び上側棒状部材は、それぞれ、水平方向に対して上下両側に等角度傾斜して配置されていることを特徴とする請求項2記載の連結支持具。
【請求項4】
直線上に配置された2つの板部からなる第1平板部材と、他方の直線上に配置された2つの板部からなる第2平板部材とを組み合わせて構成されることを特徴とする請求項1~3のいずれか記載の連結支持具。
【請求項5】
立設する支柱管部材及び横設するフレーム管部材を連結して支持する連結支持具を製造するための、第1平板部材及び第2平板部材を備えた連結支持具組立キットであって、
前記第1平板部材が、
中央上部に設けられ、前記第2平板部材を嵌合するための上端が開放され上下方向に形成された第1嵌合切欠部と、
前記第1嵌合切欠部の両側に設けられ、前記支柱管部材端部の周縁部を挿入可能な上端が開放され上下方向に形成された第1挿入切欠部と、
前記第1挿入切欠部の下方に設けられ、前記フレーム管部材を挿入可能な両側外方に延伸した棒状部材とを具備すると共に、
前記第2平板部材が、
中央下部に設けられ、前記第1平板部材の前記第1嵌合切欠部を嵌合するための下端が開放され上下方向に形成された第2嵌合切欠部と、
前記第2嵌合切欠部の両側に設けられ、前記支柱管部材端部の周縁部を挿入可能な上端が開放され上下方向に形成された第2挿入切欠部と、
前記第2挿入切欠部の下方に設けられ、前記フレーム管部材を挿入可能な両側外方に延伸した棒状部材とを具備している
ことを特徴とする連結支持具組立キット。
【請求項6】
前記第1平板部材の棒状部材が、前記第1挿入切欠部から遠い側の下側棒状部材と、前記第1挿入切欠部に近い側の上側棒状部材とを具備すると共に、
前記第2平板部材の棒状部材が、前記第2挿入切欠部から遠い側の下側棒状部材と、前記第2挿入切欠部に近い側の上側棒状部材と
を具備していることを特徴とする請求項5記載の連結支持具組立キット。
【請求項7】
前記第1平板部材及び第2平板部材の下側棒状部材及び上側棒状部材は、それぞれ、水平方向に対して上下両側に等角度傾斜して配置されていることを特徴とする請求項6記載の連結支持具組立キット。
【請求項8】
請求項1~4のいずれか記載の連結支持具又は請求項5~7のいずれか記載の連結支持具組立キットと、連結支持具に支持され立設する支柱管部材と、連結支持具に支持され横設するフレーム管部材とをそれぞれ複数備えたことを特徴とする連結構造体組立セット。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーテーション等の組立式構造物の支柱及び枝柱(フレーム部材)を連結して支持するための連結支持具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、支柱と、支柱を連結する枝柱によって間仕切りの機能を持たせたパーテーションが市販されており、その多くは、専用の支柱・枝柱や、プラスチック成型品等の専用の連結支持具が用いられるものである。現在、このような専用の支柱・枝柱、専用の連結支持具等の専用部材を用いる様々なパーテーションが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
ところで、災害時等の緊急時に避難所などで使用するパーテンションは、地域自治体等に対して必要量に応じた十分な供給が必要となるが、専用の部材を用いるパーテンションは、地域自治体の規模や予算などの事情によって十分な供給がなされないという問題があった。
【0004】
一方、棒やパイプ類等の汎用的な部材を用いるパーテーションも市販されているが、これらの汎用的な部材を用いるものは、組み立て時に、ボルトやナット類等の止め具や、それらを締め付ける工具が必要となり、組み立てが容易とはいえなかった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-005717号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の課題は、入手の容易な汎用的な部材を用いて容易に設置できる安価な組立式構造物の作製を可能とする連結支持具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究した結果、接続部を中心として放射状に等間隔に立設された4つの板部を備え、かかる4つの板部が、支柱管部材端部の周縁部を上方から挿入可能な挿入切欠部と、フレーム管部材を側方から挿入可能な棒状部材とをそれぞれ具備する構成の連結支持具を用いることにより、上記課題を解決できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0008】
すなわち、本発明は、以下の通りである。
[1]立設する支柱管部材及び横設するフレーム管部材を連結して支持する連結支持具であって、
接続部を中心として放射状に等間隔に立設された4つの板部を備え、
前記4つの板部が、それぞれ、
前記接続部近傍に設けられ、前記支柱管部材端部の周縁部を挿入可能な上端が開放され上下方向に形成された挿入切欠部と、
前記挿入切欠部の下方に設けられ、前記フレーム管部材を挿入可能な外方に延伸した棒状部材と、
を具備していることを特徴とする連結支持具。
【0009】
[2]前記支柱管部材の下端及び上端に取り付け可能な連結支持具であって、
前記棒状部材が、前記挿入切欠部から遠い側の下側棒状部材、及び前記挿入切欠部に近い側の上側棒状部材を具備し、
前記支柱管部材の下端に取り付ける場合、
前記下側棒状部材が、地面に設置される部材となると共に、前記上側棒状部材が、前記フレーム管部材を挿入して支持する部材となり、
前記支柱管部材の上端に取り付ける場合、
前記下側棒状部材が、前記フレーム管部材を挿入して支持する部材となることを特徴とする上記[1]記載の連結支持具。
[3]前記板部に設けられた2本の下側棒状部材及び上側棒状部材は、それぞれ、水平方向に対して上下両側に等角度傾斜して配置されていることを特徴とする上記[2]記載の連結支持具。
[4]直線上に配置された2つの板部からなる第1平板部材と、他方の直線上に配置された2つの板部からなる第2平板部材とを組み合わせて構成されることを特徴とする上記[1]~[3]のいずれか記載の連結支持具。
【0010】
[5]立設する支柱管部材及び横設するフレーム管部材を連結して支持する連結支持具を製造するための、第1平板部材及び第2平板部材を備えた連結支持具組立キットであって、
前記第1平板部材が、
中央上部に設けられ、前記第2平板部材を嵌合するための上端が開放され上下方向に形成された第1嵌合切欠部と、
前記第1嵌合切欠部の両側に設けられ、前記支柱管部材端部の周縁部を挿入可能な上端が開放され上下方向に形成された第1挿入切欠部と、
前記第1挿入切欠部の下方に設けられ、前記フレーム管部材を挿入可能な両側外方に延伸した棒状部材とを具備すると共に、
前記第2平板部材が、
中央下部に設けられ、前記第1平板部材の前記第1嵌合切欠部を嵌合するための下端が開放され上下方向に形成された第2嵌合切欠部と、
前記第2嵌合切欠部の両側に設けられ、前記支柱管部材端部の周縁部を挿入可能な上端が開放され上下方向に形成された第2挿入切欠部と、
前記第2挿入切欠部の下方に設けられ、前記フレーム管部材を挿入可能な両側外方に延伸した棒状部材とを具備している
ことを特徴とする連結支持具組立キット。
【0011】
[6]前記第1平板部材の棒状部材が、前記第1挿入切欠部から遠い側の下側棒状部材と、前記第1挿入切欠部に近い側の上側棒状部材とを具備すると共に、
前記第2平板部材の棒状部材が、前記第2挿入切欠部から遠い側の下側棒状部材と、前記第2挿入切欠部に近い側の上側棒状部材と
を具備していることを特徴とする上記[5]記載の連結支持具組立キット。
[7]前記第1平板部材及び第2平板部材の下側棒状部材及び上側棒状部材は、それぞれ、水平方向に対して上下両側に等角度傾斜して配置されていることを特徴とする上記[6]記載の連結支持具組立キット。
【0012】
[8]上記[1]~[4]のいずれか記載の連結支持具又は上記[5]~[7]のいずれか記載の連結支持具組立キットと、連結支持具に支持され立設する支柱管部材と、連結支持具に支持され横設するフレーム管部材とをそれぞれ複数備えたことを特徴とする連結構造体組立セット。
【発明の効果】
【0013】
本発明の連結支持具を用いることにより、入手の容易な汎用的な部材を用いて容易に設置できる安価な組立式構造物の作製が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施形態に係る連結支持具の概略斜視図である。
図2】本発明の一実施形態に係る連結支持具の説明図であり、(A)は第1平板部材の正面図であり、(B)は第2平板部材の正面図である。
図3】本発明の一実施形態に係る連結支持具の使用状態の説明図である。なお、便宜上、支柱管部材及びフレーム管部材の一部を省略している。
図4】本発明の一実施形態に係る連結支持具を用いたパーテーションの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の連結支持具は、立設する支柱管部材及び横設するフレーム管部材を連結して支持する連結支持具であって、接続部を中心として放射状に等間隔に立設された4つの板部を備え、4つの板部が、それぞれ、接続部近傍に設けられ、支柱管部材端部の周縁部を挿入可能な上端が開放され上下方向に形成された挿入切欠部と、挿入切欠部の下方に設けられ、フレーム管部材を挿入可能な外方に延伸した棒状部材とを具備していることを特徴とする。
【0016】
本発明の連結支持具を用いることにより、止め具や工具を用いることなく、支柱管部材及びフレーム管部材を連結支持して、容易に組立式構造物を作製することができる。これら支柱管部材及びフレーム管部材として、汎用のパイプを用いることができることから、使用地域で容易に部材を入手することができると共に、組立式構造物を安価に作製することができる。さらに、直線状の支柱管部材及びフレーム管部材、及び小型の連結支持具は、コンパクトに収納することができる。特に、後述するように、連結支持具が2枚の平板部材から作製されるものである場合には、よりコンパクトに収納することができる。したがって、地方自治体等は、緊急時に備えて十分な量の組立式構造物の確保が可能となる。
【0017】
本発明の連結支持具は、パーテーション(間仕切り板)やテント等の組立式構造物における部材を連結して支持する連結支持部材として用いることができ、風の影響を受けない屋内用組立式構造物において好適に用いることができる。また、本発明の連結支持具は、支柱管部材と、フレーム管部材と共に、連結構造体組立セットとすることができる。
【0018】
まず、本発明の連結支持具により連結して支持する支柱管部材及びフレーム管部材について説明する。
本発明における支柱管部材とは、パーテーションやテント等の組立式構造物の支柱として用いる管(パイプ)である。支柱管部材の材質としては、組立式構造物を支えることができるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、プラスチック(合成樹脂)、金属を挙げることができ、プラスチックが好ましい。プラスチックとしては、具体的に例えば、硬質塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、硬質ポリエチレン樹脂等を挙げることができる。金属としては、具体的に例えば、鉄、アルミニウム、これらを主体とする合金等を挙げることができる。これらの中でも、安価であり、さらに汎用部材として入手容易かつ安定供給可能な点から、硬質塩化ビニル樹脂が好ましい。支柱管部材の長さとしては、適宜設定することができるが、例えば、1000~2000mm程度が好ましく、1600mm~1900mm程度がより好ましい。また、支柱管部材の径(呼び径/内径)としては、30~65mmが好ましく、30~50mm程度がより好ましく、40~44mm程度がさらに好ましい。より具体的に、本発明における支柱管部材としては、JIS K6741の硬質ポリ塩化ビニル樹脂管や、JIS K6742の水道用硬質ポリ塩化ビニル管が好ましく、VP(厚肉管)40又はVU(薄肉管)48が特に好ましい。
【0019】
本発明におけるフレーム管部材とは、パーテーションやテント等の組立式構造物の支柱管部材間に架け渡される骨組み(梁や桁等)として用いる管(パイプ)である。フレーム管部材の材質としては、支柱管部材間に架け渡すことができるものであれば特に制限されるものではなく、例えば、プラスチック、金属を挙げることができ、プラスチックが好ましい。プラスチックとしては、具体的に例えば、硬質塩化ビニル樹脂、ポリプロピレン樹脂、硬質ポリエチレン樹脂等を挙げることができる。金属としては、具体的に例えば、鉄、アルミニウム、これらを主体とする合金等を挙げることができる。フレーム管部材は、支柱管部材と同様の素材であってもよいし異なる素材であってもよいが、支柱管部材同様、硬質塩化ビニル樹脂が好ましい。フレーム管部材の長さとしては、適宜設定することができるが、例えば、1500~2500mm程度が好ましく、1800mm~2200mm程度がより好ましく、1800mm~2000mm程度がさらに好ましい。また、フレーム管部材の径(呼び径/内径)としては、10~30mmが好ましく、10~20mm程度がより好ましい。より具体的に、本発明における支柱管部材としては、JIS K6741の硬質ポリ塩化ビニル樹脂管や、JIS K6742の水道用硬質ポリ塩化ビニル管が好ましく、VP(厚肉管)13が特に好ましい。
【0020】
なお、上記支柱管部材及びフレーム管部材で形成される組立式構造物の骨組みの空間には、必要に応じて互いのスペースを仕切るシートを設置することができる。
【0021】
続いて、本発明の連結支持具について説明する。
本発明の連結支持具は、接続部を中心として放射状に等間隔に立設された4つの板部を備えている。すなわち、4つの板部は、それぞれ90°の角度で放射状に配置されている。この連結支持具は、支柱管部材の下端及び上端に取り付け可能である。
【0022】
4つの板部(連結支持具)の材質としては、特に制限されるものではなく、例えば、プラスチック、金属を挙げることができ、強度及び重量を有する点から金属が好ましい。合成樹脂としては、具体的に例えば、塩化ビニル樹脂、強化プラスチック樹脂等を挙げることができる。金属としては、具体的に例えば、鉄、アルミニウム、これらを主体とする合金等を挙げることができる。これらの中でも、入手容易で安価かつ耐腐食性を有する点から、亜鉛系めっき鋼が好ましく、具体的に、SZAHC(JIS G 3317)が好ましい。
【0023】
また、板部1つの横方向の長さ(幅)としては、用途によって適宜設定することができるが、80~250mmであることが好ましく、90~200mmであることがより好ましく、100~150mmであることがさらに好ましい。また、その高さとしては、60~200mmであることが好ましく、70~180mmであることがより好ましく、80~130mmであることがさらに好ましい。
【0024】
4つの板部は、一体に形成されて構成されるものであってもよく、その一部又は全部が別体に形成され、それぞれを組み合わせて構成されるものであってもよいが、保管時にコンパクトに収納できる点から、4つの板部の一部又は全部が別体に形成され、それぞれを組み合わせて構成されるものが好ましい。4つの板部が別体に形成される場合、例えば、直線上に配置された2つの板部からなる第1平板部材と、他方の直線上に配置された2つの板部からなる第2平板部材とから構成されることが好ましい。これにより、不使用時に解体して、運搬が容易であると共に、コンパクトに収納して保管できる。
【0025】
4つの板部は、それぞれ、接続部近傍に設けられ、支柱管部材端部の周縁部を挿入可能な上端が開放され上下方向に形成された挿入切欠部と、挿入切欠部の下方に設けられ、フレーム管部材を挿入可能な外方に延伸した棒状部材とを具備している。
【0026】
挿入切欠部は、上記のように、接続部近傍に設けられ、支柱管部材端部の周縁部が上方から挿入可能に形成されている。すなわち、挿入切欠部は、4つの板部の中心となる接続部を中心として一定の距離の同心円上に、支柱管部材端部の周縁部を挿入可能に上端が開放され上下方向に形成されている。これにより、支柱管部材を立った状態に支持することができる。挿入切欠部の形状としては、支柱管部材端部の周縁部が挿入可能な形状であればよいが、支柱管部材の周縁肉厚部を挿入可能な幅をもつ上下方向に形成されたスリットを挙げることができる。
【0027】
棒状部材は、上記のように、挿入切欠部の下方に設けられ、フレーム管部材を挿入可能な外方に延伸して形成されている部材である。棒状部材は、4つの板部それぞれに、1又は複数設けることができる。
【0028】
4つの板部が、それぞれ1つの棒状部材を具備する場合、棒状部材は、支柱管部材の下端に取り付ける場合には地面に設置される部材となり、支柱管部材の上端に取り付ける場合(連結支持具を上下180度回転させて取り付ける)には、フレーム管部材を挿入して支持する部材となる。したがって、この場合、フレーム管部材は、上側のみに設置されることとなる。
【0029】
上記態様の場合、棒状部材は、水平方向に配置されるものであってもよいが、水平方向に対して下方に傾斜して配置されていることが好ましい。これにより、支柱管部材の下端に取り付ける場合、棒状部材を安定して地面に設置することができると共に、支柱管部材の上端に取り付ける場合、棒状部材が水平方向に対して上方に傾斜して配置され、フレーム管部材を容易に取り付けることができると共に、フレーム管部材取付時にアーチ形状に張力を発生させて、連結強度を高めることができる。
【0030】
棒状部材の傾斜角度としては、水平方向に対して下方に3~20°であることが好ましく、5~15°であることがより好ましく、8~12°であることが特に好ましい。棒状部材の傾斜角度を適切に設定することにより、架け渡すフレーム管部材をアーチ形状として、これによる張力を適切なものとすることができる。この張力を利用して、接地面に直立すべき支柱管部材同士を連結し、支柱管部材の補助及び組み立て式構造物の補強を行うことができる。具体的には、フレーム管部材が適切な張力で支柱管部材を連結することにより、支柱管部材同士の距離を維持し、また、各支柱管部材に垂直方向の牽引力を提供して、支柱管部材の直立性を補助する。また、複数の支柱管部材を連結した際には、衝撃等の外部圧力が加えられても、均等に圧力を分散・吸収して、組立式構造物の骨組を補強する。さらに、止め具や工具を用いることなく、フレーム管部材を容易に取り付け(挿入)、取り外し(脱着)することができる。すなわち、フレーム管部材をたわませることで容易に取り付け、取り外しができ、取付後は張力によって棒状部材と摩擦接着することから、強固に連結することができる。フレーム管部材や支柱管部材に力がかかった場合にも、これらの管部材と連結支持具が容易に外れない。
【0031】
4つの板部が、それぞれ複数の棒状部材を具備する場合、具体的に例えば、挿入切欠部から遠い側の下側棒状部材、及び挿入切欠部に近い側の上側棒状部材を具備する構成を挙げることができる。この構成の場合、支柱管部材の下端に取り付ける場合、下側棒状部材が、地面に設置される部材となると共に、上側棒状部材が、フレーム管部材を挿入して支持する部材となり、支柱管部材の上端に取り付ける場合、下側棒状部材が、フレーム管部材を挿入して支持する部材となる。かかる態様の連結支持具を用いた組立式構造物の場合、支柱管部材の上端及び下端にフレーム管部材を挿入することができることから、支柱管部材の上端のみにフレーム管部材を挿入する1の棒状部材を具備する連結支持具を用いた組立式構造物と比べて、組立式構造物の強度を向上させることができる。
【0032】
また、上記態様の場合、板部に設けられた2本の下側棒状部材及び上側棒状部材は、水平方向に配置されるものであってもよいが、それぞれ、水平方向に対して上下両側に等角度傾斜して配置されていることが好ましい。これにより、支柱管部材の下端に取り付ける場合、下側棒状部材が、水平方向に対して下方に傾斜して配置され、安定して地面に設置することができると共に、上側棒状部材が、水平方向に対して上方に傾斜して配置され、フレーム管部材を容易に取り付けることができると共に、フレーム管部材取付時にアーチ形状に張力を発生させて、連結強度を高めることができる。また、支柱管部材の上端に取り付ける場合、下側棒状部材が、水平方向に対して上方に傾斜して配置され、フレーム管部材を容易に取り付けることができると共に、フレーム管部材取付時にアーチ形状に張力を発生させて、連結強度を高めることができる。
【0033】
2本の下側棒状部材及び上側棒状部材の傾斜角度(図2のα)としては、水平方向に対して上下にそれぞれ3~20°であることが好ましく、5~15°であることがより好ましく、8~12°であることが特に好ましい。棒状部材の傾斜角度を適切に設定することにより、架け渡すフレーム管部材をアーチ形状として、これによる張力を適切なものとすることができる。この張力を利用して、接地面に直立すべき支柱管部材同士を連結し、支柱管部材の補助及び組み立て式構造物の補強を行うことができる。さらに、止め具や工具を用いることなく、フレーム管部材を容易に取り付け(挿入)、取り外し(脱着)することができる。すなわち、フレーム管部材をたわませることで容易に取り付け、取り外しができ、取付後は張力によって棒状部材と摩擦接着することから、強固に連結することができる。フレーム管部材や支柱管部材に力がかかった場合にも、これらの管部材と連結支持具が容易に外れない。
【0034】
なお、4つの板部が、それぞれ3以上の棒状部材を具備する場合、フレーム管部材の取付数を増加させることや、フレーム管部材の取付位置を用途に合わせて変更することができる。
【0035】
上記4つの板部を具備する連結支持具は、上記のように、直線上に配置された2つの板部からなる第1平板部材と、他方の直線上に配置された2つの板部からなる第2平板部材とを組み合わせて構成されることが好ましく、このような別体の第1平板部材及び第2平板部材を具備するキットを本発明の連結支持具組立キットとすることができる。
【0036】
具体的に、本発明の連結支持具キットの第1平板部材は、中央上部に設けられ、第2平板部材を嵌合するための上端が開放され上下方向に形成された第1嵌合切欠部と、第1嵌合切欠部の両側に設けられ、支柱管部材端部の周縁部を挿入可能な上端が開放され上下方向に形成された第1挿入切欠部と、第1挿入切欠部の下方に設けられ、フレーム管部材を挿入可能な両側外方に延伸した棒状部材とを具備する。また、第2平板部材は、中央下部に設けられ、第1平板部材の第1嵌合切欠部を嵌合するための下端が開放され上下方向に形成された第2嵌合切欠部と、第2嵌合切欠部の両側に設けられ、支柱管部材端部の周縁部を挿入可能な上端が開放され上下方向に形成された第2挿入切欠部と、第2挿入切欠部の下方に設けられ、フレーム管部材を挿入可能な両側外方に延伸した棒状部材とを具備する(図2参照)。
【0037】
本発明の連結支持具キットは2枚の平板部材からなることから、よりコンパクトに収納することができる。
【0038】
第1平板部材の第1嵌合切欠部は、中央上部に設けられ、第2平板部材を嵌合するための上端が開放され上下方向に形成された切欠部である。これにより、第1平板部材を第2平板部材と組み合わせることができる。第1嵌合切欠部の形状としては、後述する第2平板部材の第2嵌合切欠部が嵌合可能な形状であればよいが、上下方向に形成されたスリットが好ましい。なお、第1挿入切欠部及び棒状部材は、上述した連結支持具の挿入切欠部及び棒状部材と同様の構成であるため説明を省略する。
【0039】
第2平板部材の第2嵌合切欠部は、中央下部に設けられ、第1平板部材の第1嵌合切欠部を嵌合するための下端が開放され上下方向に形成された切欠部である。これにより、第2平板部材を第1平板部材に組み合わせることができる。第2嵌合切欠部の形状としては、上記第1平板部材の第1嵌合切欠部が嵌合可能な形状であればよいが、上下方向に形成されたスリットが好ましい。なお、第2挿入切欠部及び棒状部材は、上述した連結支持具の挿入切欠部及び棒状部材と同様の構成であるため説明を省略する。
【0040】
以下、図面を用いて本発明の連結支持具の実施形態を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施形態に制限されるものではない。
【0041】
ここで、図1は、本発明の一実施形態に係る連結支持具の概略斜視図である。図2は、本発明の一実施形態に係る連結支持具の説明図であり、(A)は第1平板部材の正面図であり、(B)は第2平板部材の正面図である。図3は、本発明の一実施形態に係る連結支持具の使用状態の説明図である。なお、便宜上、支柱管部材及びフレーム管部材の一部を省略している。図4は、本発明の一実施形態に係る連結支持具を用いたパーテーションの一例を示す説明図である。
【0042】
図1に示すように、本発明の一実施形態に係る連結支持具10は、4つの板部12~18を備えている。4つの板部12~18は、金属製の板材であり、それぞれ、挿入切欠部20~26と、棒状部材28~34とを具備している。
【0043】
この連結支持具10は、図2に示すように、第1平板部材36と、第2平板部材38とを組み合わせて構成されている。すなわち、第1平板部材36によって、直線上に配置された2つの板部12,16が形成され、第2平板部材38によって、直線上に配置された2つの板部14,18が形成されている。
【0044】
第1平板部材36は、中央上部に設けられ、第2平板部材38の第2嵌合切欠部42を上方から嵌合するための上端が開放され上下方向に形成された第1嵌合切欠部40を有している。また、第1嵌合切欠部40の両側に、支柱管部材端部の周縁部を挿入可能な上端が開放され上下方向に形成された第1挿入切欠部20,24を有している。さらに、第1挿入切欠部20,24の下方には、フレーム管部材を側方から挿入可能な両側外方に延伸した棒状部材28,32が設けられている。
【0045】
第1平板部材36の棒状部材28,32は、第1挿入切欠部20,24から遠い側の下側棒状部材28a,32aと、第1挿入切欠部20,24に近い側の上側棒状部材28b,32bとを具備している。第1平板部材36は、一方側(図中左側)に設けられた下側棒状部材28a及び上側棒状部材28bと、他方側(図中右側)に設けられた下側棒状部材32a及び上側棒状部材32bは、それぞれ、水平方向に対して上下両側にα°傾斜して配置されている。
【0046】
第2平板部材38は、中央下部に設けられ、第1平板部材36の第1嵌合切欠部40を下方から嵌合するための下端が開放され上下方向に形成された第2嵌合切欠部42を有している。また、第2嵌合切欠部42の両側に、支柱管部材端部の周縁部を挿入可能な上端が開放され上下方向に形成された第2挿入切欠部22,26を有している。さらに、第2挿入切欠部22,26の下方には、フレーム管部材を側方から挿入可能な両側外方に延伸した棒状部材30,34が設けられている。
【0047】
第2平板部材38の棒状部材30,34は、第2挿入切欠部22,26から遠い側の下側棒状部材30a,34aと、第2挿入切欠部22,26に近い側の上側棒状部材30b,34bとを具備している。第2平板部材38は、一方側(図中左側)に設けられた下側棒状部材30a及び上側棒状部材30bと、他方側(図中右側)に設けられた下側棒状部材34a及び上側棒状部材34bは、それぞれ、水平方向に対して上下両側にα°傾斜して配置されている。
【0048】
この第2平板部材38の第2嵌合切欠部42を第1平板部36第1嵌合切欠部40に対して上方から嵌合させることにより、本発明の連結支持具10を構成する。
【0049】
続いて、上記のような構成の連結支持具10を用いて支柱管部材及びフレーム管部材を連結して支持する方法について説明する。連結支持具10は、支柱管部材の上端及び下端に取り付ける。
【0050】
図3に示すように、連結支持具10を支柱管部材44の下端に取り付ける場合、下側棒状部材28a~34aは、水平方向に対して下方にα°傾斜して地面に設置される。したがって、下側棒状部材28a~34aは安定して地面に設置される。また、上側棒状部材28b~34bは、水平方向に対して上方にα°傾斜して配置され、フレーム管部材46を挿入して支持する。したがって、フレーム管部材を容易に取り付けることができると共に、フレーム管部材をアーチ形状にして張力を発生させ、連結強度を高めることができる。
【0051】
また、連結支持具10を支柱管部材44の上端に取り付ける場合、連結支持具10を上下180度回転させて取り付けることになり、下側棒状部材28a~34aは、水平方向に対して上方にα°傾斜して配置され、フレーム管部材46を挿入して支持する。したがって、フレーム管部材を容易に取り付けることができると共に、フレーム管部材をアーチ形状にして張力を発生させ、連結強度を高めることができる。
【0052】
続いて、図4を用いて、上記のような構成の連結支持具10を用いて組み立てられたパーテーション48の一例について説明する。
【0053】
本実施例においては、18個の連結支持具10と、9本の支柱管部材44と、24本のフレーム管部材46を備えている。連結支持具10は、幅250mm程度、高さ100mm程度の亜鉛系めっき鋼製の金具である。支柱管部材44は、長さ1800mm程度、内径40mm程度の硬質塩化ビニル樹脂製のパイプである。フレーム管部材46は、長さ2000mm程度、内径13mm程度の硬質塩化ビニル樹脂製のパイプである。
【0054】
図4に示すように、パーテーション48は、上端及び下端に連結支持具10を取り付けた支柱管部材44を格子状に配置し、支柱管部材44間にフレーム管部材46を架け渡すことにより、4つの区画を形成している。それぞれの区画の間には、スペースを遮断するためにシート部材50を取り付けることができる。
【0055】
本実施例においては、平面視格子状(四角状)の区画を形成する態様について説明したが、これに限られるものではなく、連結支持具、支柱管部材、及びフレーム管部材の数や配置を変更することにより、平面視L字状、平面視凹状、平面視T字状等の様々な形状のパーテーションを組み立てることができる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明は、パーテーションやテントなどの組立式構造物を組み立てることができる連結支持具を提供するものであることから、産業上有用である。
【符号の説明】
【0057】
10 連結支持具
12~18 板部
20~26 挿入切欠部
28~34 棒状部材
28a~34a 下側棒状部材
28b~34b 上側棒状部材
36 第1平板部材
38 第2平板部材
40 第1嵌合切欠部
42 第2嵌合切欠部
44 支柱管部材
46 フレーム管部材
48 パーテーション
50 シート部材
図1
図2
図3
図4